(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064705
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】移動通信システム、サーバ装置、基地局装置、及びコアネットワーク装置
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20240507BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240507BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W24/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173488
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】山内 孝則
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動通信システムにおけるサービス品質を改善する移動通信システム、サーバ装置、基地局装置及びコアネットワーク装置を提供する。
【解決手段】移動通信システムは、端末装置との無線通信を行う基地局装置と、基地局装置と接続されたコアネットワークに設けられるコアネットワーク装置(UPF、AMF300B、UDM300C)と、所定サービスに属するデータをコアネットワーク及び基地局装置を介して端末装置に送信するサーバ装置と、を備える。基地局装置は、コアネットワーク装置からのトレース報告指示S15に基づいて、無線通信の無線品質に関する無線品質報S19をサーバ装置に送信する。サーバ装置は、基地局装置からの無線品質報告に基づいて、サーバ装置から送信するデータS21の送信量を調整するS20。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置との無線通信を行う基地局装置と、
前記基地局装置と接続されたコアネットワークに設けられるコアネットワーク装置と、
所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク及び前記基地局装置を介して前記端末装置に送信するサーバ装置と、を備え、
前記基地局装置は、前記コアネットワーク装置からのトレース報告指示に基づいて、前記無線通信の無線品質に関する無線品質報告を前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記基地局装置からの前記無線品質報告に基づいて、前記サーバ装置から送信する前記データの送信量を調整する
移動通信システム。
【請求項2】
前記基地局装置は、
前記端末装置が前記基地局装置からの無線信号に基づき測定した測定結果を受信し、
前記測定結果に基づく前記無線品質報告を前記サーバ装置に送信する
請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記コアネットワーク装置は、
前記無線品質報告を前記基地局装置から前記サーバ装置に送信するトレース報告動作の開始を、前記サーバ装置からの開始要求に基づいて、前記基地局装置に指示し、
前記トレース報告動作の停止を、前記サーバ装置からの停止要求に基づいて、前記基地局装置に指示する
請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記データは、映像データ及び音声データの少なくとも一方のデータ種別を含み、
前記サーバ装置は、前記データに適用するコーデックを変更することにより前記送信量を調整する
請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項5】
前記データは、映像データ及び音声データの少なくとも一方のデータ種別を含み、
前記サーバ装置は、前記データ種別を変更することにより前記送信量を調整する
請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、
前記無線品質報告に基づいて前記無線品質の劣化を検出し、
前記無線品質の劣化を検出したことに応じて、前記無線品質の劣化が検出される前に比べて前記送信量を減らすように調整する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の移動通信システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、
前記無線品質の劣化の度合いが2つ以上の段階のうちいずれの段階であるかを判定し、
当該判定した段階に応じて、前記送信量を減らす度合いを制御する
請求項6に記載の移動通信システム。
【請求項8】
前記サーバ装置は、前記無線品質が劣化していない状態が第1所定期間にわたって継続した場合、前記無線品質報告を前記基地局装置から前記サーバ装置に送信するトレース報告動作の停止を要求する
請求項6に記載の移動通信システム。
【請求項9】
前記サーバ装置は、前記トレース報告動作の停止を要求した後、第2所定期間が経過した場合、前記トレース報告動作の再開を要求する
請求項8に記載の移動通信システム。
【請求項10】
移動通信システムで用いるサーバ装置であって、
所定サービスに属するデータをコアネットワーク及び基地局装置を介して端末装置に送信する通信部と、
前記端末装置と前記基地局装置との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告を前記基地局装置から取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記基地局装置からの前記無線品質報告に基づいて、前記端末装置に送信する前記データの送信量を調整する
サーバ装置。
【請求項11】
移動通信システムにおいて端末装置との無線通信を行う基地局装置であって、
前記無線通信の無線品質に関する測定結果を前記端末装置から受信する第1通信部と、
前記基地局装置と接続されたコアネットワークに設けられるコアネットワーク装置からのトレース報告指示に基づいて、前記測定結果に基づく無線品質報告をサーバ装置に送信する第2通信部と、を備え、
前記サーバ装置は、所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク及び前記基地局装置を介して前記端末装置に対して送信する装置である
基地局装置。
【請求項12】
移動通信システムにおいて、基地局装置と接続されたコアネットワークに設けられるコアネットワーク装置であって、
前記基地局装置と端末装置との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告をサーバ装置に送信するトレース報告動作を前記基地局装置に指示する制御部を備え、
前記サーバ装置は、所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク及び前記基地局装置を介して前記端末装置に対して送信する装置である
コアネットワーク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動通信システム、サーバ装置、基地局装置、及びコアネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドゲーム、クラウドAR/VR、遠隔操作運転、及びリアルタイムデジタルツイン等のサービスが注目されている。このようなサービスは、高データレート且つ低遅延が要求されるサービスであり、HDRLL(High Data Rate & Low Latency)サービスとも称される。
【0003】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ)の技術仕様のリリース17では、HDRLLサービスに対する高いQoS(Quality of Service)要件を満たすためにQoS機能の強化がなされている。
【0004】
HDRLLサービスでは、端末装置の高速移動中に画像や音声がフリーズする、無線接続が弱くなった際に遅延時間が増大する、及び1セル内での端末数やHDRLLアプリケーションが増加した際に輻輳が発生するといった問題が報告されている。このような問題の対策方法について、3GPPにおいて、リリース18に向けて継続して検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP寄書:S2-2103940 「New SID on QoS Enhancements on High Data Rate and Low Latency Services」
【非特許文献2】3GPP寄書:S2-2103939 「Discussion Paper of New SID for QoS Enhancements to HDRLL Services」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
HDRLLサービスに属するデータを送信するサーバ装置であるAF(Application Function)は、移動通信システムにおけるネットワーク内のデータレートの変化を迅速に検出及び/又は予測する機能が限られている。特に、AFは、端末装置と基地局装置との間の無線状況を把握できない。そのため、AFがアプリケーション層(及びトランスポート層)においてデータレートの変動に迅速に適応することが困難である。よって、従来の技術では、HDRLLサービス等のサービスについてサービス品質を改善することが難しい。
【0007】
そこで、本開示は、サービス品質を改善可能な移動通信システム、サーバ装置、基地局装置、及びコアネットワーク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る移動通信システムは、端末装置との無線通信を行う基地局装置と、前記基地局装置と接続されたコアネットワークに設けられるコアネットワーク装置と、所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク及び前記基地局装置を介して前記端末装置に送信するサーバ装置と、を備える。前記基地局装置は、前記コアネットワーク装置からのトレース報告指示に基づいて、前記無線通信の無線品質に関する無線品質報告を前記サーバ装置に送信する。前記サーバ装置は、前記基地局装置からの前記無線品質報告に基づいて、前記サーバ装置から送信する前記データの送信量を調整する。
【0009】
第2の態様に係るサーバ装置は、移動通信システムで用いるサーバ装置であって、所定サービスに属するデータをコアネットワーク及び基地局装置を介して端末装置に送信する通信部と、前記端末装置と前記基地局装置との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告を前記基地局装置から取得する制御部と、を備える。前記制御部は、前記基地局装置からの前記無線品質報告に基づいて、前記端末装置に送信する前記データの送信量を調整する。
【0010】
第3の態様に係る基地局装置は、移動通信システムにおいて端末装置との無線通信を行う基地局装置であって、前記無線通信の無線品質に関する測定結果を前記端末装置から受信する第1通信部と、前記基地局装置と接続されたコアネットワークに設けられるコアネットワーク装置からのトレース報告指示に基づいて、前記測定結果に基づく無線品質報告をサーバ装置に送信する第2通信部と、を備える。前記サーバ装置は、所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク及び前記基地局装置を介して前記端末装置に対して送信する装置である。
【0011】
第4の態様に係るコアネットワーク装置は、移動通信システムにおいて、基地局装置と接続されたコアネットワークに設けられるコアネットワーク装置であって、前記基地局装置と端末装置との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告をサーバ装置に送信するトレース報告動作を前記基地局装置に指示する制御部を備える。前記サーバ装置は、所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク及び前記基地局装置を介して前記端末装置に対して送信する装置である。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、サービス品質を改善可能な移動通信システム、サーバ装置、基地局装置、及びコアネットワーク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図3】シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図4】実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である
【
図5】実施形態に係る基地局装置の構成例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るコアネットワーク装置の構成例を示す図である。
【
図7】実施形態に係るサーバ装置の構成例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る移動通信システムの全体動作例を示す図である。
【
図9】実施形態に係るサーバ装置の第1動作例を示す図である。
【
図10】実施形態に係るサーバ装置の第2動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0015】
(1)システム構成例
図1は、本実施形態に係る移動通信システム1の構成例を示す図である。移動通信システム1は、3GPP規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよいし、第6世代(6G)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0016】
移動通信システム1は、端末装置100と、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)10と、コアネットワーク(CN:Core Network)20と、管理装置400と、データネットワーク(DN:Data Network)30と、サーバ装置500とを有する。
【0017】
端末装置100は、UE(User Equipment)とも称される。端末装置100は、移動可能な無線通信装置である。端末装置100は、例えば、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)であってもよい。
【0018】
RAN10は、NG-RAN(Next Generation Radio Access Network)とも称される。RAN10は、端末装置100との無線通信を行う。RAN10は、複数の基地局装置200(図示の例では、基地局装置200a及び基地局装置200b)を含む。基地局装置200は、gNB又はNG-RANノードとも称される。互いに隣接する関係にある基地局装置200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。各基地局装置200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立した端末装置100との無線通信を行う。基地局装置200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、端末装置100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。
【0019】
CN20は、RAN10(基地局装置200)と接続される。CN20は、5GC(5G Core Network)とも称される。CN20は、複数のコアネットワーク装置300を含む。各コアネットワーク装置300は、NF(Network Function)とも称される。図示の例では、複数のコアネットワーク装置300は、UPF(User Plane Function)300Aと、AMF(Access and Mobility Management Function)300Bと、UDM(Unified Data Management)300Cとを含む。UPF300Aは、データの転送制御を行うコアネットワーク装置である。AMF300Bは、各エリアに移動した端末装置100の登録や無線接続の管理を行うコアネットワーク装置である。UPF300A及びAMF300Bは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介して基地局装置200と接続される。UDM300Cは、各ユーザの加入契約情報、認証情報、及び各端末装置100の在圏位置情報を保持するコアネットワーク装置である。
【0020】
CN20は、他のコアネットワーク装置をさらに含んでもよい。例えば、CN20は、サービス(アプリケーション)の利用するデータ転送パスであるセッションの設定及び解放を行うSMF(Session Management Function)をさらに含んでもよい。CN20は、各サービス(アプリケーション)の要件に基づき、利用するセッションのデータレート及び遅延時間等を設定するPCF(Policy Control Function)をさらに含んでもよい。
【0021】
管理装置400は、Management Systemとも称される。管理装置400は、CN20を管理する装置である。
【0022】
DN30は、CN20の外部のネットワークであり、例えばインターネットを含む。DN30には、所定サービスに属するデータをCN20(UPF300A)及びRAN10(基地局装置200)を介して端末装置100に送信するサーバ装置500が接続されている。サーバ装置500は、AF(Application Function)とも称される。
【0023】
本実施形態では、サーバ装置500は、高データレート且つ低遅延が要求される所定サービス、すなわち、HDRLLサービスを端末装置100に提供する。例えば、サーバ装置500は、クラウドゲーム、クラウドAR/VR、遠隔操作運転、又はリアルタイムデジタルツインのサービス(アプリケーション)を実現する。
図1では、サーバ装置500から端末装置100へ下り方向のデータを送信する一例を図示しているが、端末装置100からサーバ装置500へ上り方向のデータを送信してもよい。HDRLLサービスでは、端末装置100の高速移動中に画像や音声がフリーズする、無線接続が弱くなった際に遅延時間が増大する、及び1セル内での端末数やHDRLLアプリケーションが増加した際に輻輳が発生するといった問題が生じ得る。
【0024】
このように、移動通信システム1は、端末装置100との無線通信を行う基地局装置200と、基地局装置200と接続されたCN20に設けられるコアネットワーク装置300と、所定サービス(本実施形態では、HDRLLサービス)に属するデータをCN20及び基地局装置200を介して端末装置100に送信するサーバ装置500と、を有する。
【0025】
本実施形態では、基地局装置200は、コアネットワーク装置300からのトレース報告指示に基づいて、端末装置100との無線通信の無線品質に関する無線品質報告をサーバ装置500に送信する。これにより、HDRLLサービスを提供するサーバ装置500は、端末装置100と基地局装置200との間の無線品質を迅速に(好ましくは、リアルタイムに)把握できる。
【0026】
本実施形態では、3GPPの技術仕様で規定されたトレース機能を応用し、HDRLLサービスを提供するサーバ装置500に対して基地局装置200が無線品質報告を送信する。一般的なトレース機能はネットワーク運用のためのネットワーク診断等に利用されるが、本実施形態では、HDRLLサービスのサービス品質を改善するためにトレース機能を利用する。
【0027】
サーバ装置500と端末装置100との間のデータ転送パス(セッション)において、端末装置100と基地局装置200との間の無線区間がボトルネックになると考えられる。無線品質が劣化すると、サーバ装置500から端末装置100へ送信するデータが基地局装置200で滞留して遅延時間が長くなるとともに、無線区間においてデータ損失(パケットロス)が発生しやすくなる。
【0028】
本実施形態では、サーバ装置500は、基地局装置200からの無線品質報告に基づいて、サーバ装置500から端末装置100へ送信するデータの送信量を調整する。これにより、サーバ装置500から端末装置100へのデータ送信量を無線品質に応じて最適化できる。よって、無線品質が劣化しても、遅延時間及びパケットロスの増大を抑制可能である。
【0029】
基地局装置200は、端末装置100が基地局装置200からの無線信号に基づき測定した測定結果を端末装置100から受信し、当該測定結果に基づく無線品質報告(例えば、当該測定結果を含む無線品質報告)をサーバ装置500に送信してもよい。このような動作を「トレース報告動作」とも称する。このように、基地局装置200は、下りリンクにおける無線品質をサーバ装置500に送信する。これにより、サーバ装置500から端末装置100へのデータ送信量を下りリンクの無線品質の変化に応じて最適化できる。
【0030】
トレース報告動作を実行中の基地局装置200は、無線品質報告をサーバ装置500に周期的に送信してもよい。基地局装置200からサーバ装置500へ無線品質報告を送信する送信周期は、コアネットワーク装置300(例えば、AMF300B)が基地局装置200に設定してもよい。
【0031】
コアネットワーク装置300(例えば、AMF300B)は、サーバ装置500からの開始要求に基づいて、トレース報告動作の開始を基地局装置200に指示してもよい。コアネットワーク装置300(例えば、AMF300B)は、サーバ装置500からの停止要求に基づいて、トレース報告動作の停止を基地局装置200に指示してもよい。これにより、トレース報告動作の開始及び停止をサーバ装置500が管理・制御できるため、適切なタイミング・期間においてトレース報告動作を基地局装置200に実行させることができる。
【0032】
サーバ装置500から端末装置100へ送信するデータは、映像データ及び音声データの少なくとも一方のデータ種別を含む。サーバ装置500は、当該データに適用するコーデックを変更することによりデータ送信量を調整してもよい。コーデックは、映像データ及び/又は音声データを圧縮符号化・復号する機能である。コーデックを変更するとは、圧縮符号化の符号化レート(すなわち、データ容量)を変更することを意味してもよい。これにより、無線品質に適合するようにアプリケーションレベルでデータ送信量を調整できる。
【0033】
サーバ装置500は、サーバ装置500から端末装置100へ送信するデータ種別を変更することによりデータ送信量を調整してもよい。例えば、サーバ装置500は、映像データ及び音声データの両方を送信する状態又は映像データのみを送信する状態から、音声データのみを送信する状態に切り替えてもよい。一般的に、映像データよりも音声データはデータ量が少ない。サーバ装置500は、例えば無線品質が大きく劣化した際に、このような送信データ種別の変更を行ってもよい。
【0034】
サーバ装置500は、基地局装置200からの無線品質報告に基づいて無線品質の劣化を検出する。例えば、サーバ装置500は、基地局装置200からの無線品質報告が示す無線品質が閾値を下回ったことに応じて無線品質の劣化を検出してもよい。サーバ装置500は、無線品質の劣化を検出したことに応じて、無線品質の劣化が検出される前に比べてデータ送信量を減らすように調整する。このようなデータ送信量の調整は、コーデックの変更及び/又は送信データ種別の変更により実現されてもよい。
【0035】
(2)無線プロトコルの一例
図2は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0036】
ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0037】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。端末装置100のPHYレイヤと基地局装置200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0038】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。端末装置100のMACレイヤと基地局装置200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。基地局装置200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及び端末装置100への割当リソースブロックを決定する。
【0039】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。端末装置100のRLCレイヤと基地局装置200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0040】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化等を行う。
【0041】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPC(Evolved Packet Core)に接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0042】
図3は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0043】
制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、
図2に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0044】
端末装置100のRRCレイヤと基地局装置200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。端末装置100のRRCと基地局装置200のRRCとの間にコネクション(RRC接続)がある場合、端末装置100はRRCコネクティッド状態である。端末装置100のRRCと基地局装置200のRRCとの間にコネクション(RRC接続)がない場合、端末装置100はRRCアイドル状態である。端末装置100のRRCと基地局装置200のRRCとの間のコネクションがサスペンドされている場合、端末装置100はRRCインアクティブ状態である。
【0045】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。端末装置100のNASレイヤとAMF300AのNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、端末装置100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。また、NASレイヤよりも下位のレイヤをASレイヤと称する。
【0046】
(3)端末装置の構成例
図4は、本実施形態に係る端末装置100の構成例を示す図である。端末装置100は、受信部110と、送信部120と、制御部130とを有する。受信部110及び送信部120は、基地局装置200との無線通信を行う通信部を構成する。
【0047】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0048】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0049】
制御部130は、端末装置100における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述の端末装置100の動作は、制御部230の制御による動作であってもよい。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0050】
本実施形態では、制御部130は、HDRLLサービスのアプリケーションを実行する。制御部130は、HDRLLサービスに属するデータをサーバ装置500から受信するよう受信部110を制御する。制御部130は、HDRLLサービスに属するデータをサーバ装置500に送信するよう送信部120を制御してもよい。
【0051】
制御部130は、端末装置100が基地局装置200に接続した状態において、当該基地局装置200のセル(サービングセル)から受信する無線信号に対する無線品質測定を行う。例えば、制御部130は、基地局装置200から受信する参照信号を用いて、無線品質として、参照信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)及び/又は信号対干渉雑音比(SINR:Signal to Interference plus Noise Ratio)を測定する。制御部130は、測定結果を含むRRCメッセージである測定報告メッセージを基地局装置200に送信するよう送信部120を制御する。
【0052】
(4)基地局装置の構成例
図5は、本実施形態に係る基地局装置200の構成例を示す図である。基地局装置200は、送信部210と、受信部220と、制御部230と、バックホール通信部240とを有する。送信部210及び受信部220は、端末装置100との無線通信を行う第1通信部を構成する。バックホール通信部240は、CN20とのネットワーク通信を行う第2通信部を構成する。
【0053】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0054】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0055】
制御部230は、基地局装置200における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述の基地局装置200の動作は、制御部230の制御による動作であってもよい。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0056】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してUPF300A及びAMF300Bと接続される。なお、基地局装置200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がフロントホールインターフェイスであるF1インターフェイスで接続されていてもよい。
【0057】
本実施形態では、受信部220は、無線通信の無線品質に関する測定結果を含む測定報告メッセージを端末装置100から受信する。制御部230は、コアネットワーク装置300(例えば、AMF300B)からのトレース報告指示に基づいて、当該測定結果を含む無線品質報告をサーバ装置500に送信するようバックホール通信部240を制御する。このような無線品質報告は、トレース報告(Trace Reporting)と称してもよい。
【0058】
(5)コアネットワーク装置の構成例
図6は、本実施形態に係るコアネットワーク装置300の構成例を示す図である。ここでは、コアネットワーク装置300がAMF300Bである一例について説明する。コアネットワーク装置300は、通信部310と、制御部320とを有する。
【0059】
通信部310は、NGインターフェイスを介して基地局装置200と接続される。また、通信部310は、N8インターフェイスを介してUDM300Cと接続される。通信部310は、トレース開始要求、トレース停止要求、及びトレース設定情報をUDM300Cから受信する。
【0060】
制御部320は、コアネットワーク装置300(AMF300B)における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述のコアネットワーク装置300の動作は、制御部320の制御による動作であってもよい。制御部320は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、CPUを含んでもよい。
【0061】
制御部320は、基地局装置200と端末装置100との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告をサーバ装置500に送信するトレース報告動作を基地局装置200に指示する。例えば、制御部320は、UDM300Cからのトレース開始要求に応じて、トレース報告動作の開始を基地局装置200に指示してもよい。制御部320は、UDM300Cからのトレース設定情報を基地局装置200に設定してもよい。トレース設定情報は、例えば、トレース対象の端末装置100を示す情報と、トレース対象のセッションを示す情報と、無線品質報告の宛先とするサーバ装置500を示す情報と、無線品質報告の送信周期を設定する情報とのうち、少なくとも1つを含む。また、制御部320は、UDM300Cからのトレース停止要求に応じて、トレース報告動作の停止を基地局装置200に指示してもよい。
【0062】
(6)サーバ装置の構成例
図7は、本実施形態に係るサーバ装置500の構成例を示す図である。サーバ装置500は、通信部510と、制御部520とを有する。
【0063】
通信部510は、DN30と接続される。また、通信部510は、管理装置400と接続される。通信部510は、DN30を介してデータを送受信する。
【0064】
制御部520は、サーバ装置500における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述のサーバ装置500の動作は、制御部520の制御による動作であってもよい。制御部520は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、CPUを含んでもよい。
【0065】
本実施形態では、制御部520は、HDRLLサービスのアプリケーションを実行する。制御部520は、HDRLLサービスに属するデータを端末装置100に送信するよう通信部510を制御する。通信部510は、HDRLLサービスに属するデータを、DN30、CN20(UPF300A)、及びRAN10(基地局装置200)を介して端末装置100に送信する。制御部520は、HDRLLサービスに属するデータを端末装置100から受信するよう通信部510を制御してもよい。
【0066】
制御部520は、端末装置100と基地局装置200との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告を基地局装置200から取得する。制御部520は、基地局装置200からの無線品質報告に基づいて、端末装置100に送信するデータの送信量を調整する。これにより、制御部520は、無線状況を把握し、アプリケーション層(及びトランスポート層)において無線品質の変動に迅速に適応する。
【0067】
(7)動作例
上述のように、サーバ装置500が無線品質の変化にかかわらず同じサイズのデータを送信し続けると、無線品質が劣化した場合に大量のパケットロスが発生する可能性がある。本実施形態では、トレース報告機能により端末装置100の無線品質情報を基地局装置200からサーバ装置500に送信し、サーバ装置500において無線品質情報を解析して端末装置100の無線品質をリアルタイムに判定する。無線品質が劣化した場合、サーバ装置500から対象端末装置100への送信データ量をアプリケーションレベルで調整する(例えば、低スループットにする)ことにより、パケットロスの発生を抑制する。以下において、このような動作の具体例について説明する。
【0068】
(7.1)全体動作例
図8は、本実施形態に係る移動通信システム1の全体動作例を示す図である。
【0069】
ステップS11において、サーバ装置500は、トレース要求を管理装置400に送信する。トレース要求は、トレース設定情報を含んでもよい。トレース設定情報は、例えば、トレース対象の端末装置100を示す情報と、トレース対象のセッションを示す情報と、無線品質報告の宛先とするサーバ装置500を示す情報と、無線品質報告の送信周期を設定する情報とのうち、少なくとも1つを含む。
【0070】
ステップS12において、管理装置400は、サーバ装置500からのトレース要求の受信に応じて、トレース開始要求及びトレース設定情報をCN20(UDM300C又はAMF300B)に送信する。
【0071】
その後、ステップS13において、端末装置100は、基地局装置200に接続し、登録要求を基地局装置200に送信する。
【0072】
ステップS14において、基地局装置200は、端末装置100の登録要求をAMF300Bに送信する。
【0073】
ステップS15において、AMF300Bは、トレース対象の端末装置100がネットワークに登録されたことに応じて、トレース設定情報をUDM300Cから取得し、トレース設定情報に従ったトレース報告指示(Start Traceメッセージ)を基地局装置200に送信する。これにより、基地局装置200は、トレース報告動作を開始し、サーバ装置500との接続を確立する。
【0074】
ステップS16において、サーバ装置500及び端末装置100はHDRLLサービスのセッションを確立し、HDRLLサービスに属するデータをサーバ装置500から端末装置100へ送信してもよい。
【0075】
ステップS17において、基地局装置200は、無線品質の測定及び基地局装置200への測定報告を設定する測定設定を端末装置100に送信する。
【0076】
ステップS18において、端末装置100は、基地局装置200からの測定設定に従って無線品質測定を行い、測定結果を基地局装置200に送信する。
【0077】
ステップS19において、基地局装置200は、端末装置100からの測定結果に基づく無線品質報告(端末装置100の無線品質情報)をサーバ装置500に送信する。基地局装置200は、無線品質報告をサーバ装置500に周期的に送信してもよい。
【0078】
ステップS20において、サーバ装置500は、基地局装置200から端末装置100の無線品質情報を取得し、データ送信量を調整する。このようなデータ送信量調整動作の詳細については後述する。
【0079】
ステップS21において、サーバ装置500は、HDRLLサービスに属するデータを、調整されたデータ送信量(データレート)で端末装置100に送信する。
【0080】
(7.2)サーバ装置の第1動作例
図9は、本実施形態に係るサーバ装置500の第1動作例を示す図である。
【0081】
ステップS101において、サーバ装置500は、トレース報告動作により基地局装置200から端末装置100の無線品質情報(例えば、SINR及び/又はRSRP)を取得する。
【0082】
ステップS102において、サーバ装置500は、端末装置100の無線品質情報を第1閾値と比較することにより、無線品質が劣化しているか否かを判定する。例えば、サーバ装置500は、SINR<6dBの条件又はRSRP<-120dBの条件が満たされたか否かを判定する。
【0083】
無線品質が劣化していると判定した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103において、サーバ装置500は、送信データのコーデックを低容量のコーデックに変更する。
【0084】
ステップS104において、サーバ装置500は、端末装置100の無線品質情報を第2閾値(但し、第2閾値<第1閾値)と比較することにより、無線品質がさらに劣化しているか否かを判定する。例えば、サーバ装置500は、SINR<4dBの条件又はRSRP<-140dBの条件が満たされたか否かを判定する。
【0085】
無線品質がさらに劣化していると判定した場合(ステップS104:Yes)、ステップS105において、サーバ装置500は、送信データ種別として音声のみのサービスに変更可能であるか否かを判定する。
【0086】
音声のみのサービスに変更可能であると判定した場合(ステップS105:Yes)、ステップS106において、サーバ装置500は、送信データを音声データのみに変更する。
【0087】
このように、サーバ装置500は、無線品質の劣化の度合いがいずれの段階であるかを判定する(ステップS102、ステップS104)。サーバ装置500は、当該判定した段階に応じて、データ送信量を減らす度合いを制御する(ステップS103、ステップS106)。これにより、サーバ装置500から端末装置100へのデータ送信量を無線品質に応じて最適化できる。なお、本動作例では、2段階の閾値を用いて、無線品質の劣化の度合いを2段階で判定しているが、1段階の閾値を用いて、無線品質の劣化の度合いを1段階で判定してもよく、また、3段階以上の閾値を用いて、無線品質の劣化の度合いを3段階以上で判定してもよい。
【0088】
(7.3)サーバ装置の第2動作例
トレース報告動作により端末装置100の無線品質情報を取得し続けると、通信リソースを占有してしまう懸念がある。そのため、本動作例では、無線品質情報の取得期間(取得時期)を調整することにより通信リソースを節約する。一例を以下に示すが、さらに細かい条件を設定して詳細に制御することも可能である。
【0089】
図10は、本実施形態に係るサーバ装置500の第2動作例を示す図である。本動作例では、サーバ装置500がカウンタ(counter)を管理しているものとする。
【0090】
ステップS201において、サーバ装置500は、トレース報告動作により基地局装置200から端末装置100の無線品質情報(例えば、SINR及び/又はRSRP)を取得する。
【0091】
ステップS202において、サーバ装置500は、端末装置100の無線品質情報を第1閾値と比較することにより、無線品質が劣化しているか否かを判定する。例えば、サーバ装置500は、SINR<6dBの条件又はRSRP<-120dBの条件が満たされたか否かを判定する。
【0092】
無線品質が劣化していると判定した場合(ステップS202:Yes)、ステップS203において、サーバ装置500は、送信データのコーデックを低容量のコーデックに変更する。
【0093】
ステップS204において、サーバ装置500は、端末装置100の無線品質情報を第2閾値(但し、第2閾値<第1閾値)と比較することにより、無線品質がさらに劣化しているか否かを判定する。例えば、サーバ装置500は、SINR<4dBの条件又はRSRP<-140dBの条件が満たされたか否かを判定する。
【0094】
無線品質がさらに劣化していると判定した場合(ステップS204:Yes)、ステップS205において、サーバ装置500は、送信データ種別として音声のみのサービスに変更可能であるか否かを判定する。
【0095】
音声のみのサービスに変更可能であると判定した場合(ステップS205:Yes)、ステップS206において、サーバ装置500は、送信データを音声データのみに変更する。
【0096】
ステップS207において、サーバ装置500は、カウンタをクリアする。その後、処理がステップS201に戻る。
【0097】
一方、無線品質が劣化していない、すなわち、無線品質が正常と判定した場合(ステップS202:No)、ステップS208において、サーバ装置500は、カウンタをインクリメント、すなわち、カウンタの値に1を加算する。
【0098】
ステップS209において、サーバ装置500は、カウンタの値が10よりも大きいか否か、すなわち、10回連続で無線品質が正常と判定されたか否かを判定する。
【0099】
カウンタの値が10よりも大きいと判定した場合(ステップS209:Yes)、ステップS210において、サーバ装置500は、トレースセッションの停止(Deactivation)の送信を管理装置400に要求する。管理装置400は、トレースセッションの停止指示(Deactivation)をCN20(UDM300C又はAMF300B)に送信することにより、トレース報告動作を終了(停止)する。
【0100】
ステップS211において、サーバ装置500は、トレース報告動作の終了(停止)から10分待機する。
【0101】
ステップS212において、サーバ装置500は、カウンタをクリアする。
【0102】
ステップS213において、サーバ装置500は、トレースセッションの開始・再開(Activation)の送信を管理装置400に送信する。管理装置400は、トレースセッションの開始・再開指示をCN20(UDM300C又はAMF300B)に送信することにより、トレース報告動作を開始(再開)する。その後、処理がステップS201に戻る。
【0103】
このように、本動作例では、サーバ装置500は、無線品質が劣化していない状態が第1所定期間(例えば、10回連続で無線品質が正常と判定されるまでの期間)にわたって継続したと判定した場合(ステップS209:Yes)、基地局装置200から無線品質報告をサーバ装置500に送信するトレース報告動作の停止を決定及び要求する(ステップS210)。これにより、トレース報告動作により消費される通信リソースを節約できる。また、サーバ装置500は、トレース報告動作の停止を要求した後、第2所定期間(例えば、10分間)が経過した場合、トレース報告動作の再開を要求する(ステップS213)。これにより、トレース報告動作を再開させることができる。
【0104】
(8)その他の実施形態
上述の実施形態では、HDRLLサービスに属するデータをサーバ装置500から端末装置100へ送信する一例について説明したが、HDRLLサービス以外のサービスに属するデータをサーバ装置500から端末装置100へ送信してもよい。
【0105】
上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。各フローにおいて、必ずしもすべてのステップを実行する必要は無く、一部のステップのみを実行してもよい。
【0106】
上述の実施形態において、基地局装置200がNR基地局(gNB)である一例について説明したが、基地局装置200がLTE基地局(eNB)又は6G基地局であってもよい。また、基地局装置200は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノード等の中継ノードであってもよい。基地局装置200は、IABノードのDUであってもよい。
【0107】
上述の実施形態に係る動作をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、上述の実施形態に係る各装置が行う各処理を実行する回路を集積化し、当該装置の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0108】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on/in response to)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」等の呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0109】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0110】
(9)付記
上述の実施形態に関する特徴について付記する。
【0111】
(付記1)
端末装置(100)との無線通信を行う基地局装置(200)と、
前記基地局装置(200)と接続されたコアネットワーク(20)に設けられるコアネットワーク装置(300)と、
所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク(20)及び前記基地局装置(200)を介して前記端末装置(100)に送信するサーバ装置(500)と、を備え、
前記基地局装置(200)は、前記コアネットワーク装置(300)からのトレース報告指示に基づいて、前記無線通信の無線品質に関する無線品質報告を前記サーバ装置(500)に送信し、
前記サーバ装置(500)は、前記基地局装置(200)からの前記無線品質報告に基づいて、前記サーバ装置(500)から送信する前記データの送信量を調整する
移動通信システム(1)。
【0112】
(付記2)
前記基地局装置(200)は、
前記端末装置(100)が前記基地局装置(200)からの無線信号に基づき測定した測定結果を受信し、
前記測定結果に基づく前記無線品質報告を前記サーバ装置(500)に送信する
付記1に記載の移動通信システム(1)。
【0113】
(付記3)
前記コアネットワーク装置(300)は、
前記無線品質報告を前記基地局装置(200)から前記サーバ装置(500)に送信するトレース報告動作の開始を、前記サーバ装置(500)からの開始要求に基づいて、前記基地局装置(200)に指示し、
前記トレース報告動作の停止を、前記サーバ装置(500)からの停止要求に基づいて、前記基地局装置(200)に指示する
付記1又は2に記載の移動通信システム(1)。
【0114】
(付記4)
前記データは、映像データ及び音声データの少なくとも一方のデータ種別を含み、
前記サーバ装置(500)は、前記データに適用するコーデックを変更することにより前記送信量を調整する
付記1乃至3のいずれかに記載の移動通信システム(1)。
【0115】
(付記5)
前記データは、映像データ及び音声データの少なくとも一方のデータ種別を含み、
前記サーバ装置(500)は、前記データ種別を変更することにより前記送信量を調整する
付記1乃至4のいずれかに記載の移動通信システム(1)。
【0116】
(付記6)
前記サーバ装置(500)は、
前記無線品質報告に基づいて前記無線品質の劣化を検出し、
前記無線品質の劣化を検出したことに応じて、前記無線品質の劣化が検出される前に比べて前記送信量を減らすように調整する
付記1乃至5のいずれか1項に記載の移動通信システム(1)。
【0117】
(付記7)
前記サーバ装置(500)は、
前記無線品質の劣化の度合いが2つ以上の段階のうちいずれの段階であるかを判定し、
当該判定した段階に応じて、前記送信量を減らす度合いを制御する
付記6に記載の移動通信システム(1)。
【0118】
(付記8)
前記サーバ装置(500)は、前記無線品質が劣化していない状態が第1所定期間にわたって継続した場合、前記無線品質報告を前記基地局装置(200)から前記サーバ装置(500)に送信するトレース報告動作の停止を要求する
付記6又は7に記載の移動通信システム(1)。
【0119】
(付記9)
前記サーバ装置(500)は、前記トレース報告動作の停止を要求した後、第2所定期間が経過した場合、前記トレース報告動作の再開を要求する
付記8に記載の移動通信システム(1)。
【0120】
(付記10)
移動通信システム(1)で用いるサーバ装置(500)であって、
所定サービスに属するデータをコアネットワーク(20)及び基地局装置(200)を介して端末装置(100)に送信する通信部(510)と、
前記端末装置(100)と前記基地局装置(200)との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告を前記基地局装置(200)から取得する制御部(520)と、を備え、
前記制御部(520)は、前記基地局装置(200)からの前記無線品質報告に基づいて、前記端末装置(100)に送信する前記データの送信量を調整する
サーバ装置(500)。
【0121】
(付記11)
移動通信システム(1)において端末装置(100)との無線通信を行う基地局装置(200)であって、
前記無線通信の無線品質に関する測定結果を前記端末装置(100)から受信する第1通信部(220)と、
前記基地局装置(200)と接続されたコアネットワーク(20)に設けられるコアネットワーク装置(300)からのトレース報告指示に基づいて、前記測定結果に基づく無線品質報告をサーバ装置(500)に送信する第2通信部(240)と、を備え、
前記サーバ装置(500)は、所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク(20)及び前記基地局装置(200)を介して前記端末装置(100)に対して送信する装置である
基地局装置(200)。
【0122】
(付記12)
移動通信システム(1)において、基地局装置(200)と接続されたコアネットワーク(20)に設けられるコアネットワーク装置(300)であって、
前記基地局装置(200)と端末装置(100)との間の無線通信の無線品質に関する無線品質報告をサーバ装置(500)に送信するトレース報告動作を前記基地局装置(200)に指示する制御部(320)を備え、
前記サーバ装置(500)は、所定サービスに属するデータを前記コアネットワーク(20)及び前記基地局装置(200)を介して前記端末装置(100)に対して送信する装置である
コアネットワーク装置(300)。
【符号の説明】
【0123】
1 :移動通信システム
10 :RAN
20 :CN
30 :DN
100 :端末装置
110 :受信部
120 :送信部
130 :制御部
200 :基地局装置
210 :送信部
220 :受信部
230 :制御部
240 :バックホール通信部
300 :コアネットワーク装置
300A :UPF
300B :AMF
300C :UDM
310 :通信部
320 :制御部
400 :管理装置
500 :サーバ装置
510 :通信部
520 :制御部