(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064709
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造
(51)【国際特許分類】
B60P 3/38 20060101AFI20240507BHJP
B60N 2/34 20060101ALI20240507BHJP
A47C 17/80 20060101ALI20240507BHJP
A47C 17/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60P3/38
B60N2/34
A47C17/80
A47C17/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173501
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】522424485
【氏名又は名称】田中 一孝
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】田中 一孝
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA09
3B087CB01
3B087CE10
(57)【要約】
【課題】
バン型車両内にソファーベッドをソファー姿勢とベッド姿勢との間で変形可能な状態で積載すると共に、車両に関連する法規制の制限に該当する設備改造と認定されずソファーベッドを荷物として積載できる箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造を提供する。
【解決手段】ソファーベッドの左右両端底部の前後方向に取付けてソファーベッドと共に前後スライド自在とした断面略L字状のスライドフレームと、上端縁部にローラを設け取外し自在の固定手段を介してスライドフレームに対応した自動車荷台位置に取付けた断面略L字状のベースフレームと、より構成し、自動車の荷台空間においてベースフレーム上にスライドフレームを介してソファーベッドを前後摺動可能に載置構成すると共に、ソファーベッドのベッド変形に際してはソファーベッドの摺動によって背もたれを倒伏変形可能に構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソファーベッドの左右両端底部の前後方向に取付けてソファーベッドと共に前後スライド自在とした断面略L字状のスライドフレームと、
上端縁部にローラを設け取外し自在の固定手段を介してスライドフレームに対応した自動車荷台位置に取付けた断面略L字状のベースフレームと、より構成し、
自動車の荷台空間においてベースフレーム上にスライドフレームを介してソファーベッドを前後摺動可能に載置構成すると共に、ソファーベッドのベッド変形に際してはソファーベッドの摺動によって背もたれを倒伏変形可能に構成したことを特徴とする箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造。
【請求項2】
断面L字状のスライドフレームにおける縦プレートには長孔を設けると共に、断面L字状のベースフレームにおける縦プレートにはスライドフレームを一体に固定するためのボルトを挿貫し、ボルトを介してスライドフレームとベースフレームとを一体に固定することにより自動車荷台におけるソファーベッドの固定を可能としたことを特徴とする請求項1に記載の箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造。
【請求項3】
荷台へのベースフレームの固定手段は荷台所定位置へ取外し自在な構造としてソファーベッドを荷台に搭載することにより、いわゆる車両への積載荷物と認定とされる構造としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小型バン等の箱型荷台を有する貨物自動車を車両に関する法的規制に抵触しないで容易にかつ簡便に改造することができる箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ソファーベッドと称されるものは、背もたれと座面で構成される長椅子であり、リクライニング式で背もたれをフラットにすることによりベッドに変形できるものである。
【0003】
日常的には家庭内や職場などにおいて使用されているが、長椅子とベッドの機能を兼用できることを利用してキャンピング車のように貨物車の荷台に装置すれば、改めて大改造することなく荷台を寝台として或いは安楽な長椅子として多機能面の利用が行える。
【0004】
かかる改造キャンピング車は、個人的には改造が大掛かりとなり簡単には改造しにくいものであった。従って、自動車修理工場などで専門家に改造を依頼することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、自動車修理工場で改造を行うとなれば費用的に高価となり、簡単にキャンピング車への改造は行えないのが実情であった。
【0007】
更にはかかる改造において大きな問題点は上記のような荷台改造を行うことは自動車の法規上は設備の新設、変更と認定されることから安全性やメンテナンス性で厳しい法規上の規制が行われることから煩雑で容易に改造が行えないのが実情であった。
【0008】
この発明では、荷台空間にソファーベッド長手を車両長手沿って収納装置し、かつ、ソファーベッドは着座方向にスライド可能に構成し、この形態でソファーベッドを荷台に取外し自在に取付けることにより、法規制の制限に該当するソファー設備改造に該当することなく、いわゆる車両への積載荷物の認定とされる構造とし厳しい法規制を回避して簡便にキャンピング車両に改造することができる箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造では、(1)ソファーベッドの左右両端底部の前後方向に取付けてソファーベッドと共に前後スライド自在とした断面略L字状のスライドフレームと、上端縁部にローラを設け取外し自在の固定手段を介してスライドフレームに対応した自動車荷台位置に取付けた断面略L字状のベースフレームと、より構成し、自動車の荷台空間においてベースフレーム上にスライドフレームを介してソファーベッドを前後摺動可能に載置構成すると共に、ソファーベッドのベッド変形に際してはソファーベッドの摺動によって背もたれを倒伏変形可能に構成した。
【0010】
また、本発明に係る箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造では、以下の点にも特徴を有する。
(2)断面L字状のスライドフレームにおける縦プレートには長孔を設けると共に、断面L字状のベースフレームにおける縦プレートにはスライドフレームを一体に固定するためのボルトを挿貫し、ボルトを介してスライドフレームとベースフレームとを一体に固定することにより自動車荷台におけるソファーベッドの固定を可能としたこと。
(3)荷台へのベースフレームの固定手段は荷台所定位置へ取外し自在な構造としてソファーベッドを荷台に搭載することにより、いわゆる車両への積載荷物と認定とされる構造としたこと。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造によれば、ソファーベッドの左右両端底部の前後方向に取付けてソファーベッドと共に前後スライド自在とした断面略L字状のスライドフレームと、上端縁部にローラを設け取外し自在の固定手段を介してスライドフレームに対応した自動車荷台位置に取付けた断面略L字状のベースフレームと、より構成し、自動車の荷台空間においてベースフレーム上にスライドフレームを介してソファーベッドを前後摺動可能に載置構成すると共に、ソファーベッドのベッド変形に際してはソファーベッドの摺動によって背もたれを倒伏変形可能に構成したことにより、荷台に固定したベースフレーム上でソファーベッドに一体に取付けたスライドフレームをローラを介して摺動させることにより荷台においてソファーベッドの移動が簡便に行えることになり、荷台においてソファーを利用した安楽姿勢とソファーの変形ベッドへの就寝姿勢とを任意に選択することができ簡単にキャンピングカーへの改造が可能となる効果がある。
【0012】
また、断面L字状のスライドフレームにおける縦プレートには長孔を設けると共に、断面L字状のベースフレームにおける縦プレートにはスライドフレームを一体に固定するためのボルトを挿貫し、ボルトを介してスライドフレームとベースフレームとを一体に固定することにより自動車荷台におけるソファーベッドの固定を可能とすれば、荷台における左右側へのソファーベッドの移動にはボルトを弛緩するだけで簡便に行える効果がある。
【0013】
また、荷台へのベースフレームの固定手段は荷台所定位置へ取外し自在な構造としてソファーベッドを荷台に搭載することとすれば、車両法に関連する法規制の制限に該当する設備改造と認定されることなく、ソファーベッドをいわゆる車両への積載荷物と認定とされる構造とすることができ、その結果既存の厳格な法規制を回避することができ個人的にまた車両修理工場などにおいても簡便にキャンピング車両に容易に変造や改造を行うことができる効果があり、趣味の範囲でのキャンピングカーへの改造に限らず、最近の天候異変にともなう洪水や台風や地震などの災害における避難就寝場所としてかかる簡易に改造できる自動車は社会的なニーズに合致して容易に普及することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る改造構造を備えたバン型車両を示す説明図である。
【
図2】本実施形態に係る改造構造を備えたバン型車両を示す説明図である。
【
図3】ソファーベッド積載具との取付構造を示した説明図である。
【
図4】ソファーベッド積載具の外観を示した説明図である。
【
図5】ソファーベッド積載具の構成を示した説明図である。
【
図6】ベースフレームの構成を示した説明図である。
【
図7】ソファー姿勢からベッド姿勢への変形過程を示した説明図である。
【
図8】ソファーベッド積載具の動きを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の要旨は、箱型荷台の貨物車においてキャンピングカーの如き車中泊が可能な車両への改造構造に関し、ソファーベッドの左右両端底部の前後方向に取付けてソファーベッドと共に前後スライド自在とした断面略L字状のスライドフレームと、上端縁部にローラを設け取外し自在の固定手段を介してスライドフレームに対応した自動車荷台位置に取付けた断面略L字状のベースフレームと、より構成し、自動車の荷台空間においてベースフレーム上にスライドフレームを介してソファーベッドを前後摺動可能に載置構成すると共に、ソファーベッドのベッド変形に際してはソファーベッドの摺動によって背もたれを倒伏変形可能に構成したことを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、断面L字状のスライドフレームにおける縦プレートには長孔を設けると共に、断面L字状のベースフレームにおける縦プレートにはスライドフレームを一体に固定するためのボルトを挿貫し、ボルトを介してスライドフレームとベースフレームとを一体に固定することにより自動車荷台におけるソファーベッドの固定を可能としたことや、荷台へのベースフレームの固定手段は荷台所定位置へ取外し自在な構造としてソファーベッドを荷台に搭載することにより、いわゆる車両への積載荷物と認定とされる構造とした点にも特徴を有している。
【0017】
以下、本実施形態に係る箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造に関し、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1及び
図2は、ソファーベッド10を貨物として積載したバン型車両Sを一部透視で示した説明図であり、
図1(a)と
図2(a)はバン型車両Sの左方、
図1(b)と
図2(b)は上方、
図1(c)と
図2(c)は後方より望んだ状態を示している。
【0019】
図1に示すバン型車両Sは、自動車の用途等の区分が貨物自動車等として登録された自動車(貨物車)であり、その箱型の車内には運転席16aや助手席16bを含むフロントシート16と共に、荷台となる床面12を備えた荷室13が備えられている。
【0020】
また、バン型車両Sの後方にはバックドア15が備えられており、荷室13内に積載された貨物をバン型車両Sの後方から容易に出し入れできるようにしている。特に本実施形態では、貨物としてのソファーベッド10の付け外しや積み下ろしを容易としている。
【0021】
また、
図1(a)に示すようにバン型車両Sは、リアシート14を格納することで荷室13を拡張することが可能である。本実施形態ではリアシート14が格納状態か否かにかかわらず常に荷室として機能する空間(
図1(a)にて破線で示す常荷室空間13a)の床面(常荷台部12a)と、リアシート14の格納により荷室として利用可能となった空間(
図1(a)にて破線で示す拡張荷室空間13b)の床面として機能する略面一状態となったリアシート14の背もたれの背面(拡張荷台部12b)とで床面12を構成している。なお、積載した貨物の荷室13内での方向や向きを説明するにあたり、便宜上、荷室13内の前寄り(フロントシート16寄り)のことを「フロント寄り」、荷室13内の後寄り(バックドア15寄り)のことを「バック寄り」、荷室13内の左側寄りのことを「左寄り」、荷室13内の右側寄りのことを「右寄り」と表現する。
【0022】
床面12(荷室13)に積載されたソファーベッド10は、
図1に示すように背凭部10aを起立固定し座れる状態のソファー姿勢と、
図2に示すように背凭部10aを着座部10bと略面一に倒伏展開させることでソファー姿勢に比し広い面積で横臥可能なベッド姿勢とに変形可能な家具である。本実施形態のソファーベッド10は、バン型車両Sへ常設固定するために特別に設計し製作されたものではなく、家屋の居室等での使用を想定して製作された家具量販店等において一般的に市販されているソファーベッドである。なお、以下の説明においてソファーベッド10の「前」とはソファー姿勢において腰掛けた使用者の正面側であり、「後」とは使用者の背面側(背凭部10aがある側)、「右」とは使用者の右手側、「左」とは使用者の左手側である。本実施形態では、ソファーベッド10の前を荷室13の左寄りに、ソファーベッド10の後を荷室13の右寄りに、ソファーベッド10の右を荷室13のフロント寄りに、ソファーベッド10の左を荷室13のバック寄りに配置している。
【0023】
そして本実施形態の特徴として、
図1及び
図2に示すようにバン型車両Sには、荷室13の床面12にソファーベッド積載具Aを介してソファーベッド10を取り付けることにより、貨物車であるバン型車両Sをあたかもキャンピングカーの如くキャンプ等に際し快適な車中泊環境が実現された車両とする改造構造Bが備えられている。
【0024】
付言すると、上述の如くソファーベッドはソファー姿勢とベッド姿勢とに変更可能なものであるが、ベッド姿勢では就寝スペースをできるだけ広くしたいが為に、ベッド姿勢のソファーベッドと車両側壁との間にできるだけスペースが生じないような、荷室内左右幅一杯の前後長さを有する可能な限り大型のソファーベッドが選択される場合がある。
【0025】
しかしその一方、ソファーベッドをソファー姿勢に姿勢変更し、ソファーとして利用する場合には、腰掛けた際に足を伸ばす部分、すなわちソファーと車両側壁との間に一定のスペースが必要となる。
【0026】
この点、本実施形態に係るソファーベッド載置具によれば、ソファーベッドをベッド姿勢からソファー姿勢へ姿勢変更した後、背凭部の起立により生じたソファー後方のスペースに移動させて、ソファー前方に足を伸ばすスペースを形成することで、広い就寝スペースを確保しつつ、できるだけ大型のベッド環境を実現しながらも、足を前方に出すことが可能な快適なソファーとして利用可能な改造構造Bを構築できる。
【0027】
本実施形態では、ソファーベッド10の右側底面縁部近傍とバン型車両Sの拡張荷台部12bとの間に配したソファーベッド積載具A(A1)と、ソファーベッド10の左側底面縁部近傍とバン型車両Sの常荷台部12aのバック寄りに配したソファーベッド積載具A(A2)の2つのソファーベッド積載具Aを用いてソファーベッド10を仮固定している。
【0028】
ソファーベッド積載具Aは、
図1(b)や
図1(c)に示すように、その構成としてスライドフレーム20とベースフレーム21とを備えている。
【0029】
スライドフレーム20はソファーベッド10の底面に固定して取り付けられるフレームである。一方、ベースフレーム21は、床面12に固定して取り付けられるフレームである。ベースフレーム21は、使用者が希望する荷室13内でのソファーベッド10の動きに伴うスライドフレーム20の移動軌跡と整合するよう、床面12上のスライドフレーム20の対向位置に固定して取り付けられる。
【0030】
そして、詳細な構成は追って説明するが、スライドフレーム20はベースフレーム21に対して摺動可能且つ所望の位置にて固定可能に構成することで、
図1(b)及び
図1(c)と
図2(b)及び
図2(c)とを見比べると分かるように、ソファーベッド10を荷室13の中央乃至右寄りに仮固定してソファー姿勢にて使用したり、荷室13の左寄りに仮固定して背凭部10aを倒伏させベッド姿勢にて使用できるようにしている。なお仮固定とは、取り外しに工具を必要とする車両装備品としてソファーベッド10を固定するのではなく、ソファーベッド10を貨物として運搬するに際に荷室13内での移動を防ぎ工具を用いることなく着脱可能に固定することを意味している。ソファーベッド積載具Aは、荷室13内での左寄り-右寄り方向へのスライド手段や積載仮固定手段として機能する。
【0031】
すなわちソファーベッド積載具Aは、車中泊を行わない時(以下、通常時ともいう。)は、ソファーベッド10をソファー姿勢の状態として着座使用可能な状態としつつ、同ソファーベッド10を荷室13内の左右幅方向の所望の位置(
図1では右寄り乃至略中央位置)に配置して、床面12上に更なる貨物の積載スペースの確保を可能とするものである。またその一方、車中泊時はソファーベッド10をベッド姿勢に変形可能な荷室13内の左右幅方向の位置(
図2では左寄りの位置)にまで移動させて平坦な就寝スペースの確保を可能とするものである。
【0032】
またソファーベッド積載具Aは、バン型車両Sの荷室13に工具を用いることなくソファーベッド10を着脱できるシステムを実現するものであり、積載されたソファーベッド10は貨物として取り扱われ、貨物自動車等として登録されたバン型車両であっても当該ソファーベッド10の配設は違法改造に該当することなく、快適な就寝環境を適法に実現できるものである。
【0033】
図3は、ソファーベッド積載具Aのソファーベッド10に対する取付位置関係を示した説明図である。
図3に示すようにソファーベッド積載具Aは、ソファーベッド10の底部の左右両端近傍にて長手方向をソファーベッド10の前後に指向させた状態で配置される。
【0034】
また、ソファーベッド10の右端近傍に取り付けたソファーベッド積載具A1と左端近傍に取り付けたソファーベッド積載具A2はいずれも同じものであるが、ソファーベッド10の左右方向略中央にて前後方向に横断する仮想線P1を境界として鏡像対象に配されている。
【0035】
ソファーベッド積載具Aは、ソファーベッド10の底部の左右両端近傍にて長手方向をソファーベッド10の前後に指向させつつ取付けてソファーベッド10と共に前後スライド自在とした断面略L字状のスライドフレーム20と、上端縁部にローラを設け取外し自在の固定手段25を介して前記スライドフレーム20に対応した床面12の位置に取付けた断面略L字状のベースフレーム21とで構成している。なお、符号29で示す実線及び破線は、ノブボルト22の挿通経路を示している。
【0036】
そして、これらのスライドフレーム20やベースフレーム21を介してソファーベッド10をバン型車両Sの荷台である床面12に積載するものであり、ソファー姿勢からベッド姿勢に変形可能として荷室13においてソファーとしての機能とベッドとしての機能を兼用可能としたキャンピングカーの如く利用できるように構成している。
【0037】
また前述したように、これらは固定手段25を介してスライドフレーム20を床面12に設置したベースフレーム21から取外し自在な構造とすることにより、車両法に関連する法規制の制限に該当する設備改造と認定されない。ソファーベッド10をいわゆる車両への積載荷物と認定とされる構造となり、その結果既存の厳格な法規制を回避することができ個人的にまた車両修理工場などにおいても簡便にキャンピング車両に容易に変造や改造を行うことができる。
【0038】
図4は、ソファーベッド積載具Aの六面図のうちの五面における外観を示した説明図であり、
図5はソファーベッド積載具Aの構成を示した分解説明図である。
図4において省略された面は、その対向する面である
図4(c)と対称に表れる。また
図5において
図5(a)と
図5(b)は視点を変えて示している。なお、以下の説明においてソファーベッド積載具Aの長手方向(スライド方向)を「前後方向」と称し、
図5に示すノブボルト22の軸線P2の方向(左右方向及び上下方向と直交する方向)を「左右方向」と称する。バン型車両Sにソファーベッド10を積載した状態において、ソファーベッド積載具Aの前後方向はソファーベッド10の前後方向と一致し、同様に左右方向も一致する。
【0039】
図5に示すようにソファーベッド積載具Aは、ソファーベッド10の底面に取り付けられるスライドフレーム20と、荷室13の床面12に取り付けられるベースフレーム21と、ノブボルト22とで構成しており、ノブボルト22によってスライドフレーム20とベースフレーム21とを工具無しに手で締結し仮固定したり、弛緩し取り外して相互に分離できるよう構成している。
【0040】
スライドフレーム20は断面L字状の長尺フレームであり、ソファー取付プレート部20aと縦プレート部20bとを備えている。
【0041】
ソファー取付プレート部20aは、ソファーベッド10の底面に対向させて取り付けが行われる部位であり、
図3に示すように取付ネジ17を挿通させ固定するための取付ネジ挿通孔24が形成されている。
【0042】
取付ネジ挿通孔24は、様々な市販のソファーベッドを取付可能とすべく取付自由度を高めるために前後方向に伸延する長穴状としており、更にこれを前後及び左右方向に複数整列させつつ形成している。
【0043】
また、取付ネジ挿通孔24は折曲部20cと近接するソファー取付プレート部20aの側縁部から左右方向へ所定幅L1だけ離隔した位置に形成している。この、折曲部20cに沿った幅L1の帯状領域V1、特に本実施形態では符号25にて示す矢印の区間の裏面側(内角側の面)は、後述するスライドローラ35bが当接して転動するレール面として機能する部位である。
【0044】
縦プレート部20bは、折曲部20cを介して垂下形成された部位であり、
図5(a)に示すように、ノブボルト長孔26とスライド側位置決め孔27と軸逃がし孔28が形成されている。
【0045】
ノブボルト長孔26は、スライドフレーム20をベースフレーム21に対してノブボルト22を介して仮固定するための孔であり、仮固定位置を前後方向へ調節可能とすべく前後方向へ伸延する長穴状に形成している。すなわち、このノブボルト長孔26は、ベースフレーム21に対してスライドフレーム20を前後方向へ移動させた際のノブボルト挿通孔33(後述)の対向位置の移動軌跡に沿って形成している。
【0046】
スライド側位置決め孔27は、ベースフレーム21に対してスライドフレーム20を前後方向へ移動させた際のベース側位置決め孔34(後述)の対向位置の軌跡に沿って所定間隔毎に形成された孔である。
【0047】
このスライド側位置決め孔27は、ベース側位置決め孔34と穴の位置を一致させた状態で所定の係止片(図示せず)を挿通させることにより、
図3に示すソファーベッド積載具A1におけるスライドフレーム20のスライド量と、ソファーベッド積載具A2におけるスライドフレーム20のスライド量とを容易に一致させるための孔である。
【0048】
軸逃がし孔28は、ベースフレーム21に設けたローラ軸35a(後述)として使用されるネジの頭部がスライドフレーム20の縦プレート部20bと干渉するのを防止するための孔である。
【0049】
軸逃がし孔28は、ベースフレーム21に対してスライドフレーム20を前後方向へ移動させた際のローラ軸35aのネジ頭部が干渉する軌跡に沿って前後方向へ長穴状に形成している。
【0050】
ベースフレーム21はベースプレート部30と連結プレート部31とを揺動支持部21aを介して揺動可能に構成しており、
図6(a)に示すように連結プレート部31を立てて断面視L字状とした起立姿勢と、
図6(b)に示すように連結プレート部31をベースプレート部30に重ねた倒伏姿勢との間で変位可能としている。すなわち、積載時はベースフレーム21を起立姿勢としてスライドフレーム20と連結させて使用し、ソファーベッド10を積載しないときはベースフレーム21を倒伏姿勢とすることでソファーベッド以外の貨物も積載可能な床面12として利用可能としている。
【0051】
図5(b)に示すように、ベースプレート部30は板状の部材であり平板部30aと、同平板部30aの前後両端に折曲形成されたベース側折立部30bとを備えている。
【0052】
平板部30aには複数の床面取付孔32が穿設されており、所定のネジ等を用いて荷室13の床面12に対しベースフレーム21を固定可能としている。
【0053】
また床面取付孔32は、ベースプレート部30の前後(長手)方向及び左右(短手)方向に所定間隔で複数穿設しており、床面12への固定に際し最適な締結位置を適宜選択可能としている。
【0054】
ベース側折立部30bには、揺動支持部21aの揺動軸線P3と同軸となる位置に、後述する揺動軸ボルト21bを挿通させるための揺動軸孔(図示せず)が穿設されている。
【0055】
連結プレート部31もまた略板状の部材であり、連結板部31aと、同連結板部31aの前後両端に折曲形成された連結板側折立部31bとを備えている。
【0056】
連結板部31aには、
図5(a)及び
図6(a)に示すように、ノブボルト挿通孔33とベース側位置決め孔34とローラ部35が備えられている。
【0057】
ノブボルト挿通孔33はスライドフレーム20のノブボルト長孔26を介して取り付けたノブボルト22のボルト部22aを挿通させるための穴である。
【0058】
また、連結プレート部31の裏面(内角側面)のノブボルト挿通孔33の穿設位置には、軸線を同じくして締結ナット36が固設されている。この同軸状に配された締結ナット36はノブボルト22のボルト部22aと螺合可能なナットである。本実施形態では、このベースフレーム21のノブボルト挿通孔33や締結ナット36や、スライドフレーム20のノブボルト長孔26、ノブボルト22により、固定手段25を実現している。
【0059】
ベース側位置決め孔34は、先述したスライドフレーム20のスライド側位置決め孔27と穴の位置を一致させた状態で所定の係止片(図示せず)を挿通させることにより所定のスライド量に調整するための孔であり、これを使用することで複数のソファーベッド積載具Aのスライド量を簡単に揃えることが可能となる。
【0060】
ローラ部35は、ベースフレーム21上にてスライドフレーム20を前後方向に移動させるための部位であり、本実施形態では起立姿勢とした際の連結プレート部31の上部の前後2カ所に設けている。
【0061】
ローラ部35は、連結プレート部31に穿設したローラ孔(図示せず)と、ローラ孔に挿通させたローラ軸35aと、同ローラ軸35aに回動自在に装着したスライドローラ35bとを備えている。
【0062】
またスライドローラ35bは、
図6(a)に示すように、連結プレート部31の上辺から同スライドローラ35bの一部が露出する径としており、ベースフレーム21にスライドフレーム20を載置した際にスライドフレーム20のソファー取付プレート部20aの裏面側の帯状領域V1が連結プレート部31の上辺とは接触せずにスライドローラ35bと当接するよう構成している。
【0063】
またスライドローラ35bの幅は、帯状領域V1の所定幅L1と略同幅乃至幅狭とし、スライドフレーム20をスライドさせた際にスライドローラ35bが取付ネジ挿通孔24を介して取り付けた取付ネジ17と干渉しないようにしている。
【0064】
そして、ソファーベッド10の底部に取り付けられた状態のスライドフレーム20が起立状態であるベースフレーム21に載置されることで、ソファー取付プレート部20aの裏面側の帯状領域V1がスライドローラ35bに当接し、ソファーベッド10の重量を支えつつ前後方向に移動可能としている。なお、ローラ軸35aの頭部は、ベースフレーム21にスライドフレーム20を組み付けた際に、先述した軸逃がし孔28から露出させて干渉しないよう構成している。
【0065】
連結板側折立部31bは、先述のベース側折立部30bと同様に、揺動支持部21aの揺動軸線P3と同軸となる位置に後述する揺動軸ボルト21bを挿通させるための揺動軸孔(図示せず)が穿設されている。
【0066】
揺動支持部21aは、各折立部30b,31bに形成した揺動軸孔に揺動軸ボルト21bを挿通させて構成しており、連結プレート部31をベースプレート部30に対して揺動軸線P3周りに揺動可能としている。
【0067】
次に、このような構成を備えるソファーベッド積載具Aに関し、ソファーベッド10をソファー姿勢からベッド姿勢に変更する際のセッティング手順を追いながら、その動きについて説明する。
【0068】
車中泊に際してソファーベッド10をベッド姿勢に変更するにあたっては、まず
図7(a)に示すようにソファーベッド10を前に動かして、
図7(b)の如く荷室13内の左寄りに移動させる。
【0069】
具体的には、
図7(a)に示す状態においてソファーベッド積載具Aは、
図8(a)に示すようにスライドフレーム20がベースフレーム21に対して後側一杯に移動している状態で仮固定されている。
【0070】
ここで使用者は、工具を使用することなく手でノブボルト22のノブ部22bを回動させて弛緩状態(仮固定の解除状態)とし、ソファーベッド10に前方への力を加えると、スライドフレーム20はローラ部35により前方へベースフレーム21上を移動する。
【0071】
次に、使用者が所望する位置、本実施形態では
図8(b)に示すようにスライドフレーム20がベースフレーム21に対して前一杯に移動している状態とし、工具を使用することなく手でノブボルト22のノブ部22bを回動させて締結状態とする。これにより、荷室13内においてソファーベッド10は左寄りの位置にて再び仮固定される。
【0072】
次に、
図7(b)に示すソファー姿勢のソファーベッド10の背凭部10aを、
図7(c)に示すように倒伏させる。このとき、ソファーベッド10の荷室13内での左寄りへの移動によって右寄り位置にはスペースができているため、背凭部10aを容易に倒すことが可能である。
【0073】
そして、背凭部10aと着座部10bが平らになるまで背凭部10aを倒伏させることにより、
図7(d)に示すようにソファーベッド10をベッド姿勢とすることができ、荷室13内にて車中泊ができるようになる。
【0074】
このように、ソファーベッド積載具Aは、荷室13内の左寄り-右寄り方向における位置を所望の位置に移動させて仮固定することが可能なスライド機構を備えており、速やかに車中泊環境を整えることができる。
【0075】
また、工具を要することなく手でソファーベッド10を着脱することが可能であるため、バン型車両Sにソファーベッド10を積載しても貨物として取り扱われることとなり、貨物登録のバン型車両Sであっても違法改造に該当することなく、快適な就寝環境を適法に実現できる。
【0076】
上述してきたように、本実施形態に係る箱型荷台の貨物車におけるキャンピングカーへの改造構造によれば、ソファーベッド10の左右両端底部の前後方向に取付けてソファーベッド10と共に前後スライド自在とした断面略L字状のスライドフレーム20と、上端縁部にスライドローラ35bを設け取外し自在の固定手段を介してスライドフレーム20に対応した自動車荷台位置に取付けた断面略L字状のベースフレーム21と、より構成し、自動車の荷台たる床面12を備えた空間、すなわち荷室13においてベースフレーム21上にスライドフレーム20を介してソファーベッド10を前後摺動可能に載置構成すると共に、ソファーベッド10のベッド姿勢への変形に際してはソファーベッド10の摺動によって背凭部10aを倒伏変形可能に構成したため、床面12に固定したベースフレーム21上でソファーベッド10に一体に取付けたスライドフレーム20をローラ部35を介して摺動させることにより床面12においてソファーベッド10の移動が簡便に行えることになり、床面12においてソファーを利用した安楽姿勢とソファーの変形ベッドへの就寝姿勢とを任意に選択することができ簡単にキャンピングカーへの改造を行うことができる。
【0077】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
10 ソファーベッド
10a 背凭部
10b 着座部
12 床面
13 荷室
20 スライドフレーム
20b 縦プレート部
20c 折曲部
21 ベースフレーム
22 ノブボルト
24 取付ネジ挿通孔
25 固定手段
35 ローラ部
35b スライドローラ
A ソファーベッド積載具
B 改造構造