(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064710
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20240507BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240507BHJP
H01G 2/24 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01F27/00 Q
H01F17/00 A
H01G2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173502
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 駿也
(72)【発明者】
【氏名】松浦 利典
(72)【発明者】
【氏名】占部 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】濱地 紀彰
(72)【発明者】
【氏名】及川 康太
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070CB03
5E070CB13
(57)【要約】
【課題】素体における内部導体の露出を正確且つ容易に検査できる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、素体2と、コイル導体7と、第一部材9,11及び第二部材10,12と、を備え、第一部材9,11は、第二方向D2において、コイル導体7が位置している範囲に少なくとも一部が配置されており、第二部材10,12は、第二方向D2において、主面2c寄りの位置に配置されているコイル導体7と主面2cとの間に少なくとも一部が配置されており、素体2と第一部材9,11及び第二部材10,12との色が異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向している第一面及び第二面を有している素体と、
前記素体内に配置されている内部導体と、
前記素体に配置されている第一部材及び第二部材と、を備え、
前記第一部材は、前記第一面と前記第二面との対向方向において、前記内部導体が位置している範囲に少なくとも一部が配置されており、
前記第二部材は、前記第一面と前記第二面との前記対向方向において、前記第一面寄りの位置に配置されている前記内部導体と前記第一面との間及び前記第二面寄りの位置に配置されている前記内部導体と前記第二面との間の少なくとも一方に、少なくとも一部が配置されており、
前記素体と前記第一部材及び前記第二部材との色が異なる、電子部品。
【請求項2】
前記第一部材と前記第二部材とは同じ色である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第一部材と前記第二部材とは、前記対向方向に直交する方向おいて異なる位置に配置されている、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第一部材と前記第二部材とは形状が異なっている、請求項2又は3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第一部材及び前記第二部材は、複数配置されている、請求項2又は3に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第一部材と前記第二部材とは色が異なっている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項7】
前記第一面と前記第二面との前記対向方向から見て、前記第一部材と前記第二部材とが重なっている、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第一部材と前記第二部材とは、前記対向方向に直交する方向において異なる位置に配置されている、請求項6に記載の電子部品。
【請求項9】
前記第一部材の色と前記第二部材の色とは、対照色である、請求項6又は7に記載の電子部品。
【請求項10】
前記第一部材及び前記第二部材は、複数配置されている、請求項6又は7に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品として、素体と、素体内に配置されている内部導体(コイル)と、を備えるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品を製造する際、積層体を切断して個片化する。このとき、積層体の切断位置のずれなどよって、個片化された積層体において内部導体が露出することがある。そのため、電子部品の製造後に、素体内に配置されている内部導体が素体から露出しているか否かを検査する。検査方法としては、電子部品の外観を確認し、内部導体の素体からの露出を検査する。ここで、素体の外表面と内部導体との間の距離が短かったり、素体が透過性を有していたりする場合には、素体内に配置されている内部導体が透けて見える場合がある。この場合、内部導体が素体から露出していない場合であっても、内部導体が素体から露出していると誤認識されるおそれがある。良品である電子部品が不良品であると判定されると、歩留まりが低下するおそれがある。
【0005】
本発明の一側面は、素体における内部導体の露出を正確且つ容易に検査できる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る電子部品は、互いに対向している第一面及び第二面を有している素体と、素体内に配置されている内部導体と、素体に配置されている第一部材及び第二部材と、を備え、第一部材は、第一面と第二面との対向方向において、内部導体が位置している範囲に少なくとも一部が配置されており、第二部材は、第一面と第二面との対向方向において、第一面寄りの位置に配置されている内部導体と第一面との間及び第二面寄りの位置に配置されている内部導体と第二面との間の少なくとも一方に、少なくとも一部が配置されており、素体と第一部材及び第二部材との色が異なる。
【0007】
本発明の一側面に係る電子部品では、素体と第一部材及び第二部材との色が異なる。そのため、素体と第一部材及び第二部材とを区別することができる。この構成において、第一部材は、第一面と第二面との対向方向において、内部導体が位置している範囲に少なくとも一部が配置されており、第二部材は、第一面と第二面との対向方向において、第一面寄りの位置に配置されている内部導体と第一面との間及び第二面寄りの位置に配置されている内部導体と第二面との間の少なくとも一方に、少なくとも一部が配置されている。これにより、素体の第一面及び/又は第二面から内部導体が露出する場合、第二部材の少なくとも一部が確認できなかったり、第一部材の一部が露出していたりする。このように、第一部材及び/又は第二部材を確認することによって、内部導体が素体から露出しているか否かを確認できる。したがって、電子部品では、素体における内部導体の露出を正確且つ容易に検査できる。
【0008】
(2)上記(1)の電子部品において、第一部材と第二部材とは同じ色であってもよい。この構成では、第一部材と第二部材とを同じ色とすることにより、電子部品の製造を容易に行うことができる。
【0009】
(3)上記(2)の電子部品において、第一部材と第二部材とは、対向方向に直交する方向おいて異なる位置に配置されていてもよい。
【0010】
(4)上記(2)又は(3)の電子部品において、第一部材と第二部材とは形状が異なっていてもよい。この構成では、第一部材と第二部材とを区別することができる。
【0011】
(5)上記(2)~(4)のいずれか一つの電子部品において、第一部材及び第二部材は、複数配置されていてもよい。たとえば、積層体を切断する際、素体の第一面が斜めになることがある。このような場合、たとえば、内部導体が露出しているにもかかわらず、第二部材が露出している場合があり得る。そこで、電子部品では、複数の第一部材及び複数の第二部材を配置している。これにより、電子部品では、素体における内部導体の露出をより正確に検査できる。
【0012】
(6)上記(1)の電子部品において、第一部材と第二部材とは色が異なっていてもよい。この構成では、第一部材と第二部材とを一見して区別することができる。
【0013】
(7)上記(6)の電子部品において、第一面と第二面との対向方向から見て、第一部材と第二部材とが重なっていてもよい。この構成では、電子部品において内部導体が露出している場合には、第二部材が露出せずに、第一部材が露出することになる。そのため、素体における内部導体の露出をより正確に検査できる。
【0014】
(8)上記(6)の電子部品において、第一部材と第二部材とは、対向方向に直交する方向において異なる位置に配置されていてもよい。
【0015】
(9)上記(6)~(8)のいずれか一つの電子部品において、第一部材の色と第二部材の色とは、対照色であってもよい。この構成では、第一部材と第二部材とをより明確に区別することができる。
【0016】
(10)上記(6)~(9)のいずれか一つの電子部品において、第一部材及び第二部材は、複数配置されていてもよい。たとえば、積層体を切断する際、素体の第一面が斜めになることがある。このような場合、たとえば、内部導体が露出しているにもかかわらず、第二部材が露出している場合があり得る。そこで、電子部品では、複数の第一部材及び複数の第二部材を配置している。これにより、電子部品では、素体における内部導体の露出をより正確に検査できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一側面によれば、素体における内部導体の露出を正確且つ容易に検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、第一部材を示す図であり、
図5(b)は、第二部材を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、電子部品が良品である場合を示す図であり、
図6(b)は、電子部品が不良品である場合を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、変形例に係る第一部材を示す図であり、
図7(b)は、変形例に係る第二部材を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、電子部品が良品である場合を示す図であり、
図8(b)は、電子部品が不良品である場合を示す図である。
【
図9】
図9は、第二実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図13】
図13(a)は、第一部材を示す図であり、
図13(b)は、第二部材を示す図である。
【
図14】
図14(a)は、電子部品が良品である場合を示す図であり、
図14(b)は、電子部品が不良品である場合を示す図である。
【
図15】
図15は、第三実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図19】
図19(a)は、電子部品が良品である場合を示す図であり、
図19(b)は、電子部品が不良品である場合を示す図である。
【
図20】
図20は、第四実施形態に係るコンデンサを示す斜視図である。
【
図24】
図24(a)は、第一部材を示す図であり、
図24(b)は、第二部材を示す図である。
【
図25】
図25は、電子部品が不良品である場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子部品の側面図である。
図3は、
図1に示す電子部品の上面図である。
図4は、
図1に示す電子部品の端面図である。
図1~
図4に示されるように、第一実施形態では、電子部品1がコイル部品である形態について説明する。電子部品1は、素体2と、素体2の両端部にそれぞれ配置された第一外部電極3及び第二外部電極4と、を備えている。
【0021】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、その外表面として、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の主面(第一面、第二面)2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。一対の端面2a,2bが対向している対向方向が第一方向D1である。一対の主面2c,2dが対向している対向方向が第二方向D2である。一対の側面2e,2fが対向している対向方向が第三方向D3である。本実施形態では、第一方向D1は、素体2の長手方向である。第二方向D2は、素体2の高さ方向であり、第一方向D1と直交している。第三方向D3は、素体2の幅方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。
【0022】
一対の端面2a,2bは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の端面2a,2bは、第三方向D3(一対の主面2c,2dの短辺方向)にも延びている。一対の側面2e,2fは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の側面2e,2fは、第一方向D1(一対の主面2c,2dの長辺方向)にも延びている。主面2dは、電子部品1を他の電子機器(たとえば、回路基板、又は、電子部品など)に実装する際、他の電子機器と対向する実装面として規定され得る。
【0023】
素体2は、たとえば磁性材料(Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料など)により構成されている。素体2を構成する磁性材料には、Fe合金などが含まれていてもよい。素体2は、非磁性材料(ガラスセラミック材料、誘電体材料など)から構成されていてもよい。
【0024】
図1に示されるように、第一外部電極3は、素体2の端面2a側に配置されており、第二外部電極4は、素体2の端面2b側に配置されている。すなわち、第一外部電極3及び第二外部電極4は、一対の端面2a,2bの対向方向に互いに離間して位置している。第一外部電極3及び第二外部電極4は、導電材(たとえば、Ag又はPdなど)を含んでいる。第一外部電極3及び第二外部電極4は、導電性金属粉末(たとえば、Ag粉末又はPd粉末など)及びガラスフリットを含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一外部電極3及び第二外部電極4には、電気めっきが施されることにより、その表面にはめっき層が形成されている。電気めっきには、たとえばNi、Snなどが用いられる。
【0025】
第一外部電極3は、一方の端面2a側に配置されている。第一外部電極3は、端面2a上に位置する第一電極部分と、主面2c上に位置する第二電極部分と、主面2d上に位置する第三電極部分と、側面2e上に位置する第四電極部分と、側面2f上に位置する第五電極部分と、の五つの電極部分を含んでいる。第一電極部分と第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分とは、素体2の稜線部において接続されており、互いに電気的に接続されている。第一外部電極3は、一つの端面2a、一対の主面2c,2d、及び一対の側面2e,2fの五面に形成されている。第一電極部分、第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分は、一体的に形成されている。
【0026】
第二外部電極4は、他方の端面2b側に配置されている。第二外部電極4は、端面2b上に位置する第一電極部分と、主面2c上に位置する第二電極部分と、主面2d上に位置する第三電極部分と、側面2e上に位置する第四電極部分と、側面2f上に位置する第五電極部分と、の五つの電極部分を含んでいる。第一電極部分と第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分とは、素体2の稜線部において接続されており、互いに電気的に接続されている。第二外部電極4は、一つの端面2b、一対の主面2c,2d、及び一対の側面2e,2fの五面に形成されている。第一電極部分、第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分は、一体的に形成されている。
【0027】
電子部品1は、素体2内にコイル6が配置されている。コイル6の一端部6Aは、素体2の端面2aに露出して、第一外部電極3(第一電極部分)に接続されている。コイル6の他端部6Bは、素体2の端面2bに露出して、第二外部電極4(第一電極部分)に接続されている。コイル6は、複数のコイル導体7のそれぞれが接続導体8によって電気的に接続されて構成されている。本実施形態では、コイル6は、七個のコイル導体7を含んで構成されている。コイル6のコイル軸は、第三方向D3に延在している。
【0028】
電子部品1は、第一部材9,11及び第二部材10,12を備えている。第一部材9,11及び第二部材10,12は、素体2に配置されている。第一部材9と第一部材11とは、同じ構造(形状)を有している。第二部材10と第二部材12とは、同じ構造(形状)を有している。第一部材9,11及び第二部材10,12の色は、素体2の色と異なっている。第一部材9,11と第二部材10,12とは、同じ色である。本実施形態では、素体2と第一部材9,11及び第二部材10,12との色が異なっていることを示すために、各図において、第一部材9,11及び第二部材10,12の色を一例としてグレーで示している。第一部材9,11及び第二部材10,12は、素体2と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。第一部材9,11及び第二部材10,12は、着色料などによって色づけされている。
【0029】
図5(a)は、第一部材9,11を示す図であり、
図5(b)は、第二部材10,12を示す図である。
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、第一部材9,11と第二部材10,12とは、形状が異なっている。
図5(a)に示されるように、第一部材9,11は、長方形状を呈している。第一部材9,11は、所定の厚みを有している。
【0030】
図5(b)に示されるように、第二部材10,12は、チャンネル形状(略U字形状)を呈している。第二部材10,12は、所定の厚みを有している。第二部材10,12は、第一部分10A,12Aと、第二部分10B,12Bと、第三部分10C,12Cと、を有している。第一部分10A,12Aは、第一方向D1に沿って延在している。第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cは、第二方向D2に沿って延在している。第二部分10B,12Bは、第一部分10A,12Aの延在方向の一端部に接続されており、第三部分10C,12Cは、第一部分10A,12Aの延在方向の他端部に接続されている。
【0031】
図1、
図3及び
図4に示されるように、第一部材9は、側面2e寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第一部材9は、側面2eとコイル6(コイル導体7)との間に配置されている。第一部材9の第一方向D1における長さは、素体2の第一方向D1における長さと同等である。第一部材9の上端(主面2c側の端、上面)は、素体2の主面2cに露出している。第一部材9の下端(主面2d側の端、下面)は、第二方向D2において素体2の1/2の高さ位置に位置している。第一部材9の一部は、第三方向D3から見て、コイル導体7と重なっている。すなわち、
図4に示されように、第一部材9の少なくとも一部は、第二方向D2において、コイル導体7の位置する高さの範囲Rに配置されている。第一部材9,11は、電子部品1の方向を示すマークとしての機能を有する。第一部材9,11は、第一部材9,11が露出している面が実装面(主面2d)とは反対側の面であることを示す。
【0032】
図1、
図3及び
図4に示されるように、第二部材10は、側面2e寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材10は、第三方向D3において第一部材9とコイル6との間に配置されている。すなわち、第一部材9と第二部材10とは、第三方向D3において異なる位置に配置されている。
【0033】
第一部分10Aは、コイル導体7(コイル6)の主面2c側の端部よりも主面2c寄りの領域に配置されている。
図4に示されるように、第一部分10Aは、第二方向D2において、コイル導体7の上端の高さ位置(
図4において破線で示す位置)よりも主面2c側に配置されている。第一部分10Aの下端(主面2d側の端)は、コイル導体7の上端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第一部分10Aは、主面2cとコイル導体7との間に配置されている。第一部分10Aは、第三方向D3から見て、第一部材9と重なっている。第一部分10Aの第一方向D1における長さは、素体2の第一方向D1における長さと同等である。第二部材10の上端は、素体2の主面2cに露出している。
【0034】
第二部分10B及び第三部分10Cは、第二方向D2において、コイル導体7の配置されている領域に配置されている。第二部分10B及び第三部分10Cは、第二方向D2において、コイル導体7の位置する高さの範囲Rに配置されている。
図4に示されるように、第二部分10B及び第三部分10Cの上端(主面2c側の端)は、第二方向D2において、コイル導体7(コイル6)の上端の高さ位置と同じ高さ位置に位置している。第二部分10B及び第三部分10Cの下端(主面2d側の端)は、第二方向D2において、第一部材9の下端と同じ高さ位置に位置している。第二部分10B及び第三部分10Cは、第三方向D3から見て、第一部材9と重なっている。
【0035】
第一部材11は、側面2f寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第一部材11は、側面2fとコイル6(コイル導体7)との間に配置されている。第二部材12は、側面2f寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材12は、第三方向D3において第一部材11とコイル6との間に配置されている。
【0036】
電子部品1では、第二部材10,12の第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cが露出する場合、すなわち電子部品1の外観に第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cが表れている場合には、素体2からコイル導体7が露出している。つまり、電子部品1では、第二部材10,12の第一部分10A,12Aが露出していない場合、素体2からコイル導体7が露出している。言い換えれば、電子部品1では、第二部材10,12の第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cが露出していない場合、すなわち電子部品1の外観に第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cが表れていない場合には、素体2からコイル導体7が露出していない。電子部品1では、第一部材9,11及び第二部材10,12の第一部分10A,12Aが露出している場合、素体2からコイル導体7が露出していない。
【0037】
本実施形態に係る電子部品1の製造方法の一例を説明する。
【0038】
基材上(たとえば、PETフィルムなど)にコイル導体7及び接続導体8となる導体パターンを形成する。続いて、導体パターンの周りを埋めるように、たとえば、スクリーン印刷によって基材上にスラリーを塗布する。すなわち、導体パターンによって生じる段差(余白)を埋めるように、スラリーを塗布する。また、基材上に第一部材9,11及び第二部材10,12となるパターンを形成する。続いて、当該パターンの周りを埋めるように、たとえば、スクリーン印刷によって基材上にスラリーを塗布する。そして、グリーンシートを転写して積層する。積層方向からプレスして、グリーンシートの積層体を形成する。
【0039】
以上により、熱処理後に電子部品1を構成する積層体を支持体上に形成する。続いて、得られた積層体を所定の大きさに切断する。その後、切断された積層体に対し、脱バインダ処理を行った後、熱処理を行う。熱処理温度は、たとえば650~750℃程度である。熱処理後に第一外部電極3及び第二外部電極4にめっきを施す。これにより、電子部品1が得られる。
【0040】
続いて、電子部品1において、コイル導体7(コイル6)の露出を検査する方法について説明する。上記のように、電子部品1は、積層体を切断して個片化することによって製造されている。積層体の切断位置のずれなどよって、切断された積層体において導体パターンが露出することがある。そのため、素体2からコイル導体7が露出することがある。素体2からコイル導体7が露出している場合、電子部品1は不良品となる。
【0041】
図6(a)は、電子部品1が良品である場合を示す図であり、
図6(b)は、電子部品1が不良品である場合を示す図である。
図6(a)及び
図6(b)では、第一外部電極3及び第二外部電極4の図示を省略している。電子部品1の検査は、検査者による視認検査、電子部品1を撮像した画像(映像)に基づく検査などによって行うことができる。
【0042】
図6(a)に示されるように、電子部品1が良品である場合、電子部品1を第二方向D2から見て、第一部材9,11及び第二部材10,12の第一部分10A,12Aが露出している。すなわち、電子部品1が良品である場合、電子部品1を第二方向D2から見て、第一部材9,11及び第二部材10,12の第一部分10A,12Aを視認可能である。電子部品1において第一部材9,11及び第二部材10,12の第一部分10A,12Aを視認可能である場合、電子部品1が良品、すなわち素体2からコイル導体7が露出していないと判定する。
【0043】
図6(b)に示されるように、電子部品1が不良品である場合、電子部品1を第二方向D2から見て、第一部材9,11、及び、第二部材10,12の第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cが露出している。すなわち、電子部品1が不良品である場合、第二部材10,12の第一部分10A,12Aが無くなり、第一部分10A,12Aを確認することができない。電子部品1において、第二部材10,12の第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cを確認できる場合には、不良品であると判定する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1は、第一部材9,11及び第二部材10,12を備えている。素体2と第一部材9,11及び第二部材10,12とは、色が異なっている。この構成において、第一部材9,11は、第二方向D2において、コイル導体7が位置している範囲に少なくとも一部が配置されている。第二部材10,12は、第二方向D2において、主面2c寄りの位置に配置されているコイル導体7と主面2cとの間に少なくとも一部(第一部分10A,12A)が配置されている。これにより、電子部品1では、第二部材10,12の第一部分10A,12Aが露出していない場合(第二部分10B,12B及び第三部分10C,12Cが露出している場合)、素体2からコイル導体7が露出していると判定することができる。このように、第二部材10,12を確認することによって、コイル導体7が素体2から露出しているか否かを確認できる。したがって、電子部品1では、素体2におけるコイル導体7の露出を正確且つ容易に検査できる。
【0045】
本実施形態に係る電子部品1は、第一部材9及び第一部材11を備え、第二部材10及び第二部材12を備えている。このように、電子部品1では、二つの第一部材9,11及び二つの第二部材10,12を備えている。たとえば、積層体を切断する際、素体2の主面2cが斜めになることがある。このような場合、たとえば第二部材10が一つ配置されている構成では、素体2の側面2f側の主面2cにおいてコイル導体7が素体2から露出しているにもかかわらず、第二部材10の第一部分10Aが露出している場合があり得る。そこで、電子部品1では、第二部材10を側面2e側に配置し、第二部材12を側面2f側に配置している。そのため、電子部品1では、素体2におけるコイル導体7の露出をより正確に検査できる。
【0046】
上記実施形態において、第一部材9,11及び第二部材10,12は、他の形状であってもよい。たとえば、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、電子部品1は、第一部材40,42と、第二部材41,43と、備えていてもよい。第一部材40は、側面2e寄りの位置に配置されている。第一部材40は、側面2eとコイル6(コイル導体7)との間に配置されている。第一部材42は、側面2f寄りの位置に配置されている。第一部材42は、側面2fとコイル6(コイル導体7)との間に配置されている。
【0047】
第二部材41は、側面2e寄りの位置に配置されている。第二部材41は、第三方向D3において第一部材40とコイル6との間に配置されている。第二部材43は、側面2f寄りの位置に配置されている。第二部材43は、第三方向D3において第一部材42とコイル6との間に配置されている。
【0048】
図7(a)に示されるように、第一部材40,42は、長方形状を呈している。第一部材40,42は、所定の厚みを有している。第一部材40,42の上端は、素体2の主面2cに露出している。第一部材40,42の下端は、素体2の主面2dに露出している。
【0049】
図7(b)に示されるように、第二部材41,43は、所定の厚みを有している。第二部材41,43は、四角枠状を呈している。第二部材41,43は、第一部分41A,43Aと、第二部分41B,43Bと、第三部分41C,43Cと、第四部分41D,43Dと、を有している。第一部分41A,43A及び第二部分41B,43Bは、第一方向D1に沿って延在している。第三部分41C,43C及び第四部分41D,43Dは、第二方向D2に沿って延在している。第三部分41C,43Cは、第一部分41A,43A及び第二部分41B,43Bの延在方向の一端部に接続されており、第四部分41D,43Dは、第一部分41A,43A及び第二部分41B,43Bの延在方向の他端部に接続されている。
【0050】
第一部分41A,43Aは、コイル導体7の主面2c側の端部よりも主面2c寄りの領域に配置されている。第一部分41A,43Aは、第二方向D2において、コイル導体7の上端の高さ位置よりも主面2c側に配置されている。第一部分41A,43Aの上端は、素体2の主面2cに露出している。第二部分41B,43Bは、コイル導体7の主面2d側の端部よりも主面2d寄りの領域に配置されている。第二部分41B,43Bは、第二方向D2において、コイル導体7の下端の高さ位置よりも主面2d側に配置されている。第二部分41B,43Bの下端は、素体2の主面2dに露出している。
【0051】
続いて、第一部材40,42及び第二部材41,43を備える電子部品1において、コイル導体7(コイル6)の露出を検査する方法について説明する。
【0052】
図8(a)は、電子部品1が良品である場合を示す図であり、
図8(b)は、電子部品1が不良品である場合を示す図である。
図8(a)及び
図8(b)では、第一外部電極3及び第二外部電極4の図示を省略している。
【0053】
図8(a)に示されるように、電子部品1が良品である場合、電子部品1を第二方向D2から見て、第一部材40,42及び第二部材41,43の第一部分41A,43Aが露出している。すなわち、電子部品1が良品である場合、電子部品1を第二方向D2から見て、第一部材40,42及び第二部材41,43の第一部分41A,43A(第二部分41B,43B)を視認可能である。電子部品1において第一部材40,42及び第二部材41,43の第一部分41A,43A(第二部分41B,43B)を視認可能である場合、電子部品1が良品、すなわち素体2からコイル導体7が露出していないと判定する。
【0054】
図8(b)に示されるように、電子部品1が不良品である場合、電子部品1を第二方向D2から見て、第一部材40,42、及び、第二部材41,43の第三部分41C,43C及び第四部分41D,43Dが露出している。すなわち、電子部品1が不良品である場合、第二部材41,43の第一部分41A,43Aが無くなり、第一部分41A,43Aを確認することができない。電子部品1において、第二部材41,43の第三部分41C,43C及び第四部分41D,43Dを確認できる場合には、不良品であると判定する。
【0055】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態について説明する。
図9は、第二実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図10は、
図9に示す電子部品の側面図である。
図11は、
図9に示す電子部品の上面図である。
図12は、
図9に示す電子部品の端面図である。
図9~
図12に示されるように、第二実施形態では、電子部品1Aがコイル部品である形態について説明する。電子部品1Aは、素体2と、素体2の両端部にそれぞれ配置された第一外部電極3及び第二外部電極4と、を備えている。
【0056】
電子部品1Aは、第一部材13,15と、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dと、を備えている。第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dは、素体2に配置されている。第一部材13と第一部材15とは、同じ構造(形状)を有している。第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dは、同じ構造(形状)を有している。
【0057】
第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dの色は、素体2の色と異なっている。第一部材13,15と第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dとは、異なる色である。第一部材13,15の色と第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dの色とは、対照色(反対色)であることが好ましい。
【0058】
本実施形態では、素体2と第一部材13,15と第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dとの色が異なっていることを示すために、各図において、第一部材13,15の色を一例としてグレーで示しており、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dの色を一例として黒で示している。実際の電子部品1Aにおいて、第一部材13,15をたとえば青色とし、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dをたとえば赤色とすることができる。
【0059】
第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dは、素体2と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dは、着色料などによって色づけされている。
【0060】
図13(a)は、第一部材13,15を示す図であり、
図13(b)は、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dを示す図である。
図13(a)及び
図13(b)に示されるように、第一部材13,15と第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dとは、形状が異なっている。
【0061】
第一部材13,15は、所定の厚みを有している。第一部材13,15は、四角枠状を呈している。第一部材13,15は、第一部分13A,15Aと、第二部分13B,15Bと、第三部分13C,15Cと、第四部分13D,15Dと、を有している。第一部分13A,15A及び第二部分13B,15Dは、第一方向D1に沿って延在している。第三部分13C,15C及び第四部分13D,15Dは、第二方向D2に沿って延在している。第三部分13C,15Cは、第一部分13A,15A及び第二部分13B,15Bの延在方向の一端部に接続されており、第四部分13D,15Dは、第一部分13A,15A及び第二部分13B,15Bの延在方向の他端部に接続されている。
【0062】
図13(b)に示されるように、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dは、矩形状(正方形状)を呈している。第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dは、所定の厚みを有している。
【0063】
図9、
図11及び
図12に示されるように、第一部材13は、側面2e寄りの位置に配置されている。第一部材13は、側面2eとコイル6(コイル導体7)との間に配置されている。第一部材13の第一方向D1における長さは、素体2の第一方向D1における長さと同等である。第一部材13の第二方向D2における長さは、素体2の第二方向D2における長さと同等である。第一部材13の上端(主面2c側の端、上面)は、素体2の主面2cに露出している。第一部材13の下端(主面2d側の端、下面)は、素体2の主面2dに露出している。
【0064】
第一部分13Aは、コイル導体7の主面2c側の端部よりも主面2c寄りの領域に配置されている。
図12に示されるように、第一部分13Aは、第二方向D2において、コイル導体7の上端の高さ位置(
図12において破線で示す位置)よりも主面2c側に配置されている。第一部分13Aの下端(主面2d側の端)は、コイル導体7の上端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第一部分13Aは、主面2cとコイル導体7との間に配置されている。第一部分13Aの第一方向D1における長さは、素体2の第一方向D1における長さと同等である。第一部分13Aの上端は、素体2の主面2cに露出している。
【0065】
第二部分13Bは、コイル導体7の主面2d側の端部よりも主面2d寄りの領域に配置されている。第二部分13Bは、第二方向D2において、コイル導体7の下端の高さ位置(
図12において破線で示す位置)よりも主面2d側に配置されている。第二部分13Bの上端(主面2c側の端)は、コイル導体7の下端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第二部分13Bは、主面2dとコイル導体7との間に配置されている。第二部分13Bの第一方向D1における長さは、素体2の第一方向D1における長さと同等である。第二部分13Bの下端は、素体2の主面2dに露出している。
【0066】
第三部分13C及び第四部分13Dは、第二方向D2において、コイル導体7の配置されている領域に配置されている。第三部分13C及び第四部分13Dは、第二方向D2において、コイル導体7の位置する高さの範囲Rに配置されている。
図12に示されるように、第三部分13C及び第四部分13Dの上端(主面2c側の端)は、第二方向D2において、コイル導体7の上端の高さ位置と同じ高さ位置に位置している。第三部分13C及び第四部分13Dの下端(主面2d側の端)は、第二方向D2において、コイル導体7の下端と同じ高さ位置に位置している。
【0067】
第二部材14A,14B,14C,14Dは、側面2e寄りの位置に配置されている。第二部材14A,14B,14C,14Dは、第三方向D3において第一部材13とコイル6との間に配置されている。第二部材14Aは、第三方向D3から見て、端面2a寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材14Aは、端面2aと主面2cとにより形成される角部に配置されている。第二部材14Aは、
図12に示されるように、第二部材14Aは、第二方向D2において、コイル導体7(コイル6)の上端の高さ位置(
図12において破線で示す位置)よりも主面2c側に配置されている。第二部材14Aの上端は、素体2の主面2cに露出している。第二部材14Aの下端(主面2d側の端)は、コイル導体7の上端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第二部材14Aは、主面2cとコイル導体7との間に配置されている。
【0068】
第二部材14Bは、第三方向D3から見て、端面2b寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材14Bは、端面2bと主面2cとにより形成される角部に配置されている。第二部材14Bは、第二方向D2において、コイル導体7(コイル6)の上端の高さ位置よりも主面2c側に配置されている。第二部材14Bの上端は、素体2の主面2cに露出している。第二部材14Bの下端(主面2d側の端)は、コイル導体7の上端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第二部材14Bは、主面2cとコイル導体7との間に配置されている。
【0069】
第二部材14Cは、第三方向D3から見て、端面2a寄りの位置で且つ主面2d寄りの位置に配置されている。第二部材14Cは、端面2aと主面2dとにより形成される角部に配置されている。第二部材14Cは、
図12に示されるように、第二方向D2において、コイル導体7(コイル6)の下端の高さ位置よりも主面2d側に配置されている。第二部材14Cの上端は、コイル導体7の下端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第二部材14Cは、主面2dとコイル導体7との間に配置されている。第二部材14Cの下端は、素体2の主面2dに露出している。
【0070】
第二部材14Dは、第三方向D3から見て、端面2b寄りの位置で且つ主面2d寄りの位置に配置されている。第二部材14Dは、端面2bと主面2dとにより形成される角部に配置されている。第二部材14Dは、第二方向D2において、コイル導体7(コイル6)の下端の高さ位置よりも主面2d側に配置されている。第二部材14Dの上端は、コイル導体7の下端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第二部材14Dは、主面2dとコイル導体7との間に配置されている。第二部材14Dの下端は、素体2の主面2dに露出している。
【0071】
第一部材15は、側面2f寄りの位置に配置されている。第一部材15は、側面2fとコイル6(コイル導体7)との間に配置されている。
【0072】
第二部材16A,16B,16C,16Dは、側面2f寄りの位置に配置されている。第二部材16A,16B,16C,16Dは、第三方向D3において第一部材15とコイル6との間に配置されている。第二部材16Aは、第三方向D3から見て、端面2a寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材16Aは、端面2aと主面2cとにより形成される角部に配置されている。第二部材16Bは、第三方向D3から見て、端面2b寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材16Bは、端面2bと主面2cとにより形成される角部に配置されている。
【0073】
第二部材16Cは、第三方向D3から見て、端面2a寄りの位置で且つ主面2d寄りの位置に配置されている。第二部材16Cは、端面2aと主面2dとにより形成される角部に配置されている。第二部材16Dは、第三方向D3から見て、端面2b寄りの位置で且つ主面2d寄りの位置に配置されている。第二部材16Dは、端面2bと主面2dとにより形成される角部に配置されている。
【0074】
電子部品1Aでは、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dが露出していない場合、すなわち電子部品1Aの外観に第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dが表れていない場合には、素体2からコイル導体7が露出している。言い換えれば、電子部品1では、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dが露出している場合、すなわち電子部品1Aの外観に第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dが表れている場合には、素体2からコイル導体7が露出していない。電子部品1Aでは、第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dが露出している場合、素体2からコイル導体7が露出していない。
【0075】
続いて、電子部品1Aにおいて、コイル導体7(コイル6)の露出を検査する方法について説明する。
図14(a)は、電子部品1Aが良品である場合を示す図であり、
図14(b)は、電子部品1Aが不良品である場合を示す図である。
図14(a)及び
図14(b)では、第一外部電極3及び第二外部電極4の図示を省略している。
【0076】
図14(a)に示されるように、電子部品1Aが良品である場合、第一部材15(13)及び第二部材16A,16B,16C,16D(14A,14B,14C,14D)が露出している。すなわち、電子部品1Aが良品である場合、第一部材15(13)及び第二部材16A,16B,16C,16D(14A,14B,14C,14D)を視認可能である。電子部品1Aにおいて第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dを視認可能である場合、電子部品1Aが良品、すなわち素体2からコイル導体7が露出していないと判定する。
【0077】
図14(b)に示されるように、電子部品1Aが不良品である場合、第一部材15(13)の第一部分15A(13A)及び第二部材16A,16Bが露出していない。すなわち、電子部品1Aが不良品である場合、第一部材15(13)の第一部分15A(13A)及び第二部材16A,16Bが無くなり、第一部材15(13)の第一部分15A(13A)及び第二部材16A,16Bを確認することができない。電子部品1Aにおいて、第一部材15(13)の第一部分15A(13A)及び第二部材16A,16Bを確認できない場合には、不良品であると判定する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Aでは、第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dを備えている。素体2と第一部材13,15及び第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dとは、色が異なっている。この構成において、第一部材13,15は、第二方向D2において、コイル導体7が位置している範囲に少なくとも一部が配置されている。第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dは、第二方向D2において、主面2c寄りの位置に配置されているコイル導体7と主面2cとの間に配置されている。これにより、電子部品1Aでは、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dが露出していない場合、素体2からコイル導体7が露出していると判定することができる。このように、第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dを確認することによって、コイル導体7が素体2から露出しているか否かを確認できる。したがって、電子部品1Aでは、素体2におけるコイル導体7の露出を正確且つ容易に検査できる。
【0079】
本実施形態に係る電子部品1Aは、第一部材13及び第一部材15を備え、第二部材14A,14B,14C,14D及び第二部材16A,16B,16C,16Dを備えている。このように、電子部品1Aでは、二つの第一部材13,15及び複数の第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dを備えている。たとえば、積層体を切断する際、素体2の主面2cが斜めになることがある。このような場合、たとえば第二部材14A,14Bが配置されている構成では、素体2の側面2f側の主面2cにおいてコイル導体7が素体2から露出しているにもかかわらず、第二部材14A,14Bが露出している場合があり得る。そこで、電子部品1では、第二部材14A,14B,14C,14Dを側面2e側に配置し、第二部材16A,16B,16C,16Dを側面2f側に配置している。そのため、電子部品1Aでは、素体2におけるコイル導体7の露出をより正確に検査できる。
【0080】
本実施形態に係る電子部品1Aでは、第一部材13,15と第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dとは、色が異なっている。この構成では、第一部材13,15と第二部材14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16Dとを一見して区別することができる。
【0081】
[第三実施形態]
続いて、第三実施形態について説明する。
図15は、第三実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図16は、
図15に示す電子部品の側面図である。
図17は、
図15に示す電子部品の上面図である。
図18は、
図15に示す電子部品の端面図である。
図15~
図18に示されるように、第三実施形態では、電子部品1Bがコイル部品である形態について説明する。電子部品1Bは、素体2と、素体2の両端部にそれぞれ配置された第一外部電極20及び第二外部電極21と、を備えている。
【0082】
第一外部電極20は、素体2の端面2a側に配置されており、第二外部電極21は、素体2の端面2b側に配置されている。すなわち、第一外部電極20及び第二外部電極21は、一対の端面2a,2bの対向方向に互いに離間して位置している。第一外部電極20及び第二外部電極21は、導電材(たとえば、Ag又はPdなど)を含んでいる。第一外部電極20及び第二外部電極21は、導電性金属粉末(たとえば、Ag粉末又はPd粉末など)及びガラスフリットを含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一外部電極20及び第二外部電極21には、電気めっきが施されることにより、その表面にはめっき層が形成されている。電気めっきには、たとえばNi、Snなどが用いられる。
【0083】
第一外部電極20は、第三方向D3から見て、L字状を呈している。第一外部電極20は、端面2a及び主面2dにわたって配置されている。第一外部電極20は、端面2aに設けられた第一電極部分20Aと、主面2dに設けられた第二電極部分20Bと、を有している。第一電極部分20A及び第二電極部分20Bは、互いに一体的に設けられている。第一電極部分20A及び第二電極部分20Bは、素体2の稜線部において互いに接続されており、互いに電気的に接続されている。
【0084】
第一電極部分20Aは、第一方向D1に沿って延在している。第一電極部分20Aは、第一方向D1から見て、長方形状を呈している。第二電極部分20Bは、第二方向D2に沿って延在している。第二電極部分20Bは、第二方向D2から見て、長方形状を呈している。第一電極部分20A及び第二電極部分20Bは、第三方向D3に沿って延在している。
【0085】
第二外部電極21は、素体2の端面2b側に配置されている。第二外部電極21は、端面2b及び主面2dにわたって配置されている。第二外部電極21は、第二外部電極21は、端面2bに設けられた第一電極部分21Aと、主面2dに設けられた第二電極部分21Bと、を有している。第一電極部分21A及び第二電極部分21Bは、互いに一体的に設けられている。第一電極部分21A及び第二電極部分21Bは、素体2の稜線部において互いに接続されており、互いに電気的に接続されている。
【0086】
第一電極部分21Aは、第一方向D1に沿って延在している。第一電極部分21Aは、第一方向D1から見て、長方形状を呈している。第二電極部分21Bは、第二方向D2に沿って延在している。第二電極部分21Bは、第二方向D2から見て、長方形状を呈している。第一電極部分21A及び第二電極部分21Bは、第三方向D3に沿って延在している。
【0087】
電子部品1Bは、素体2内にコイル22が配置されている。コイル22の一端部22Aは、第一外部電極20の第一電極部分20Aに接続されている。コイル22の他端部22Bは、第二外部電極21の第一電極部分21Aに接続されている。コイル22は、複数のコイル導体23のそれぞれが接続導体24によって電気的に接続されて構成されている。本実施形態では、コイル22は、五個のコイル導体23を含んで構成されている。コイル22のコイル軸は、第三方向D3に延在している。
【0088】
電子部品1Bは、第一部材25,27及び第二部材26,28を備えている。第一部材25,27及び第二部材26,28は、素体2に配置されている。第一部材25と第一部材27とは、同じ構造(形状)を有している。第二部材26と第二部材28とは、同じ構造(形状)を有している。第一部材25,27及び第二部材26,28の色は、素体2の色と異なっている。第一部材25,27と第二部材26,28とは、異なる色である。第一部材25,27の色と第二部材26,28の色とは、対照色(反対色)であることが好ましい。
【0089】
本実施形態では、素体2と第一部材25,27と第二部材26,28との色が異なっていることを示すために、各図において、第一部材25,27の色を一例としてグレーで示しており、第二部材26,28の色を一例として黒で示している。実際の電子部品1Bにおいて、第一部材25,27をたとえば青色とし、第二部材26,28をたとえば赤色とすることができる。
【0090】
第一部材25,27は、直方体形状を呈している。第二部材26,28は、直方体形状を呈している。
【0091】
第一部材25は、端面2a寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第一部材25は、コイル導体23と素体2の端面2aとの間に配置されている。第一部材25の第三方向D3の長さは、素体2の第三方向D3における長さと同等である。第一部材25の第一方向D1の長さは、素体2の端面2aとコイル導体23との間の距離と同等である。第一部材25は、素体2の端面2aの一部、側面2e,2fの一部を構成している。すなわち、第一部材25は、素体2の端面2a及び側面2e,2fに露出している。
図18に示されるように、第一部材25の上端(主面2c側の端、上面)は、コイル導体23の上端と同じ高さ位置に位置している。第一部材25の下端(主面2d側の端、下面)は、第一外部電極20の第一電極部分20Aの上端と同じ高さ位置に位置している。第一部材25は、第二方向D2において、コイル導体23の位置する高さの範囲Rに配置されている。
【0092】
第二部材26は、端面2a寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材26は、第一部材25上に配置されている。すなわち、第二部材26は、第二方向D2から見て、第一部材25と重なる位置に配置されている。第二部材26の第三方向D3の長さは、素体2の第三方向D3における長さと同等である。第二部材26は、素体2の端面2aの一部、主面2cの一部及び側面2e,2fの一部を構成している。すなわち、第二部材26は、素体2の端面2a、主面2c及び側面2e,2fに露出している。第一部材25の下端(主面2d側の端、下面)は、コイル導体23の上端と同じ高さ位置に位置している。
【0093】
第一部材27は、端面2a寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第一部材27は、コイル導体23と素体2の端面2bとの間に配置されている。第二部材28は、端面2b寄りの位置で且つ主面2c寄りの位置に配置されている。第二部材28は、第一部材27上に配置されている。すなわち、第二部材28は、第二方向D2から見て、第一部材27と重なる位置に配置されている。
【0094】
電子部品1Bでは、第二方向D2から見て、第二部材26,28が露出していない場合、すなわち電子部品1Bの外観に第二部材26,28が表れていない場合には、素体2からコイル導体7が露出している。つまり、電子部品1Bでは、第二方向D2から見て、第一部材25,27が露出している場合、素体2からコイル導体7が露出している。言い換えれば、電子部品1Bでは、第二方向D2から見て、第二部材26,28が露出している場合、すなわち電子部品1の外観に第二部材26,28が表れている場合には、素体2からコイル導体7が露出していない。
【0095】
また、電子部品1Bでは、第三方向D3から見て、第二部材26,28が露出しておらず、第一部材25,27が露出している場合には、素体2からコイル導体7が露出している。言い換えれば、電子部品1Bでは、第三方向D3から見て、第一部材25,27及び第二部材26,28が露出している場合、すなわち電子部品1の外観に第一部材25,27及び第二部材26,28が表れている場合には、素体2からコイル導体7が露出していない。
【0096】
続いて、電子部品1Bにおいて、コイル導体23(コイル22)の露出を検査する方法について説明する。
図19(a)は、電子部品1Bが良品である場合を示す図であり、
図19(b)は、電子部品1Bが不良品である場合を示す図である。
【0097】
図19(a)に示されるように、電子部品1Bが良品である場合、電子部品1Bを第二方向D2から見て、第二部材26,28が露出している。また、電子部品1Bが良品である場合、電子部品1Bを第三方向D3から見て、第一部材25,27及び第二部材26,28が露出している。電子部品1において第一部材25,27及び第二部材26,28を視認可能である場合、電子部品1Bが良品、すなわち素体2からコイル導体23が露出していないと判定する。
【0098】
図19(b)に示されるように、電子部品1Bが不良品である場合、電子部品1Bを第二方向D2及び第三方向D3から見て、第二部材26,28が露出していない。すなわち、電子部品1Bが不良品である場合、第二部材26,28が無くなり、第二部材26,28を確認することができない。電子部品1Bにおいて、第一部材25,27のみを確認できる場合には、不良品であると判定する。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Bでは、第一部材25,27及び第二部材26,28を備えている。素体2と第一部材25,27及び第二部材26,28とは、色が異なっている。この構成において、第一部材25,27は、第二方向D2において、コイル導体7が位置している範囲に配置されている。第二部材26,28は、第二方向D2において、主面2c寄りの位置に配置されているコイル導体7と主面2cとの間に配置されている。これにより、電子部品1Bでは、第二部材26,28が露出していない場合(第一部材25,27が露出している場合)、素体2からコイル導体7が露出していると判定することができる。このように、第二部材26,28を確認することによって、コイル導体7が素体2から露出しているか否かを確認できる。したがって、電子部品1Bでは、素体2におけるコイル導体7の露出を正確且つ容易に検査できる。
【0100】
本実施形態に係る電子部品1Bでは、第一部材25,27と第二部材26,28とは、第三方向D3から見て重なっている。第一部材25,27及び第二部材26,28のそれぞれは、側面2e,2fに露出している。これにより、電子部品1Bでは、第三方向D3から見て、第一部材25,27と第二部材26,28を確認することができる。そのため、電子部品1Bでは、第三方向D3から見て、第二部材26,28が露出しておらず、第一部材25,27が露出している場合には、素体2からコイル導体7が露出していると判定できる。したがって、電子部品1Bでは、素体2におけるコイル導体7の露出を正確且つ容易に検査できる。
【0101】
本実施形態に係る電子部品1Bは、第一部材25及び第一部材27を備え、第二部材26及び第二部材28を備えている。このように、電子部品1Bでは、二つの第一部材25,27及び二つの第二部材26,28を備えている。たとえば、積層体を切断する際、素体2の主面2cが斜めになることがある。このような場合、たとえば第二部材26が一つ配置されている構成では、素体2の端面2b側においてコイル導体7が素体2から露出しているにもかかわらず、第二部材26が露出している場合があり得る。そこで、電子部品1Bでは、第二部材26を端面2a側に配置し、第二部材28を端面2b側に配置している。そのため、電子部品1Bでは、素体2におけるコイル導体7の露出をより正確に検査できる。
【0102】
本実施形態に係る電子部品1Bでは、第一部材25,27と第二部材26,28とは、色が異なっている。この構成では、第一部材25,27と第二部材26,28とを一見して区別することができる。
【0103】
[第四実施形態]
続いて、第三実施形態について説明する。
図20は、第四実施形態に係るコンデンサを示す斜視図である。
図21は、
図20に示すコンデンサの側面図である。
図22は、
図20に示すコンデンサの上面図である。
図23は、
図20に示すコンデンサの端面図である。
図20~
図23に示されるように、第四実施形態では、電子部品30がコンデンサである形態について説明する。電子部品30は、素体31と、素体31の両端部にそれぞれ配置された第一外部電極32及び第二外部電極33と、を備えている。
【0104】
素体31は、直方体形状を呈している。素体31は、その外表面として、互いに対向している一対の端面31a,31bと、互いに対向している一対の主面31c,31dと、互いに対向している一対の側面31e,31fと、を有している。一対の主面31c,31dが対向している対向方向が第一方向D1である。一対の端面31a,31bが対向している対向方向が第一方向D1である。一対の主面31c,31dが対向している対向方向が第二方向D2である。一対の側面31e,31fが対向している対向方向が第三方向D3である。
【0105】
素体31は、たとえば誘電体材料(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミック)により構成されている。
【0106】
第一外部電極32は、素体31の端面31a側に配置されており、第二外部電極33は、素体31の端面31b側に配置されている。すなわち、第一外部電極32及び第二外部電極33は、一対の端面31a,31bの対向方向に互いに離間して位置している。第一外部電極32及び第二外部電極33は、導電材(たとえば、Ag又はPdなど)を含んでいる。第一外部電極32及び第二外部電極33は、導電性金属粉末(たとえば、Ag粉末又はPd粉末など)及びガラスフリットを含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一外部電極32及び第二外部電極33には、電気めっきが施されることにより、その表面にはめっき層が形成されている。電気めっきには、たとえばNi、Snなどが用いられる。
【0107】
第一外部電極32は、一方の端面31a側に配置されている。第一外部電極32は、端面31a上に位置する第一電極部分と、主面31c上に位置する第二電極部分と、主面31d上に位置する第三電極部分と、側面31e上に位置する第四電極部分と、側面31f上に位置する第五電極部分と、の五つの電極部分を含んでいる。第一電極部分と第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分とは、素体31の稜線部において接続されており、互いに電気的に接続されている。第一外部電極32は、一つの端面31a、一対の主面31c,31d、及び一対の側面31e,31fの五面に形成されている。第一電極部分、第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分は、一体的に形成されている。
【0108】
第二外部電極33は、他方の端面31b側に配置されている。第二外部電極33は、端面31b上に位置する第一電極部分と、主面31c上に位置する第二電極部分と、主面31d上に位置する第三電極部分と、側面31e上に位置する第四電極部分と、側面31f上に位置する第五電極部分と、の五つの電極部分を含んでいる。第一電極部分と第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分とは、素体31の稜線部において接続されており、互いに電気的に接続されている。第二外部電極33は、一つの端面31b、一対の主面31c,31d、及び一対の側面31e,31fの五面に形成されている。第一電極部分、第二電極部分、第三電極部分、第四電極部分及び第五電極部分は、一体的に形成されている。
【0109】
電子部品30は、素体31内に配置されている内部導体として、複数の第一内部電極34と、複数の第二内部電極35と、を有している。複数の第一内部電極34の数は、複数の第二内部電極35の数と同じである。複数の第一内部電極34のそれぞれは、端面31aに露出して、第一外部電極32に接続されている。複数の第二内部電極35のそれぞれは、端面31bに露出して、第二外部電極33に接続されている。
【0110】
第一内部電極34及び第二内部電極35は、素体31の一対の側面31e,31fの対向方向において異なる位置に配置されている。第一内部電極34と第二内部電極35とは、素体31内において、所定の間隔を有して対向するように交互に配置されている。
【0111】
電子部品30は、第一部材36,38及び第二部材37,39を備えている。第一部材36,38及び第二部材37,39は、素体31に配置されている。第一部材36と第一部材38とは、同じ構造(形状)を有している。第二部材37と第二部材39は、同じ構造(形状)を有している。第一部材36,38及び第二部材37,39の色は、素体31の色と異なっている。第一部材36,38と第二部材37,39とは、同じ色である。本実施形態では、素体31と第一部材36,38及び第二部材37,39との色が異なっていることを示すために、各図において、第一部材36,38及び第二部材37,39の色を一例としてグレーで示している。第一部材36,38及び第二部材37,39は、素体31と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。第一部材36,38及び第二部材37,39は、着色料などによって色づけされている。
【0112】
図24(a)は、第一部材36,38を示す図であり、
図24(b)は、第二部材37,39を示す図である。
図24(a)及び
図24(b)に示されるように、第一部材36,38と第二部材37,39とは、形状が異なっている。
図24(a)に示されるように、第一部材36,38は、長方形状を呈している。第一部材36,38は、所定の厚みを有している。
【0113】
図24(b)に示されるように、第二部材37,39は、所定の厚みを有している。第二部材37,39は、四角枠状を呈している。第二部材37,39は、第一部分37A,39Aと、第二部分37B,39Bと、第三部分37C,39Cと、第四部分37D,39Dと、を有している。第一部分37A,39A及び第二部分37B,39Bは、第一方向D1に沿って延在している。第三部分37C,39C及び第四部分37D,39Dは、第二方向D2に沿って延在している。第三部分37C,39Cは、第一部分37A,39A及び第二部分37B,39Bの延在方向の一端部に接続されており、第四部分37D,39Dは、第一部分37A,39A及び第二部分37B,39Bの延在方向の他端部に接続されている。
【0114】
図20、
図22及び
図23に示されるように、第一部材36は、側面31e寄りの位置に配置されている。第一部材36は、側面31eと第一内部電極34との間に配置されている。第一部材36の第一方向D1における長さは、素体31の第一方向D1における長さと同等である。第一部材36の第二方向D2における長さは、素体31の第二方向D2における長さと同等である。第一部材36の上端(主面31c側の端、上面)は、素体31の主面31cに露出している。第一部材36の下端(主面31d側の端、下面)は、素体31の主面31dに露出している。第一部材36の一部は、第三方向D3から見て、第一内部電極34及び第二内部電極35と重なっている。すなわち、
図23に示されように、第一部材36の少なくとも一部は、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35の位置する高さの範囲Rに配置されている。
【0115】
図20、
図22及び
図23に示されるように、第二部材37は、側面31e寄りの位置に配置されている。第二部材37は、第三方向D3において第一部材36と第一内部電極34との間に配置されている。すなわち、第一部材36と第二部材37とは、第三方向D3において異なる位置に配置されている。
【0116】
第一部分37Aは、第一内部電極34及び第二内部電極35の主面31c側の端部よりも主面31c寄りの領域に配置されている。
図23に示されるように、第一部分37Aは、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35の上端の高さ位置(
図23において破線で示す位置)よりも主面31c側に配置されている。第一部分37Aの下端(主面31d側の端)は、第一内部電極34及び第二内部電極35の上端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第一部分37Aは、主面31cと第一内部電極34及び第二内部電極35との間に配置されている。第一部分37Aは、第三方向D3から見て、第一部材36と重なっている。第一部分37Aの第一方向D1における長さは、素体31の第一方向D1における長さと同等である。第一部分37Aの上端は、素体31の主面31cに露出している。
【0117】
第二部分37Bは、第一内部電極34及び第二内部電極35の主面31d側の端部よりも主面31d寄りの領域に配置されている。第二部分37Bは、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35の下端の高さ位置(
図23において破線で示す位置)よりも主面31d側に配置されている。第二部分37Bの上端(主面31c側の端)は、第一内部電極34及び第二内部電極35の下端と同じ高さ位置に位置している。すなわち、第二部分37Bは、主面31dと第一内部電極34及び第二内部電極35との間に配置されている。第二部分37Bは、第三方向D3から見て、第一部材36と重なっている。第二部分37Bの第一方向D1における長さは、素体31の第一方向D1における長さと同等である。第二部分37Bの下端は、素体31の主面31dに露出している。
【0118】
第三部分37C及び第四部分37Dは、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35の配置されている領域に配置されている。第三部分37C及び第四部分37Dは、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35の位置する高さの範囲Rに配置されている。
図23に示されるように、第三部分37C及び第四部分37Dの上端(主面31c側の端)は、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35の上端の高さ位置と同じ高さ位置に位置している。第三部分37C及び第四部分37Dの下端(主面31d側の端)は、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35の下端と同じ高さ位置に位置している。第三部分37C及び第四部分37Dは、第三方向D3から見て、第一部材36と重なっている。
【0119】
第一部材38は、側面31f寄りの位置に配置されている。第一部材38は、側面31fと第二内部電極35との間に配置されている。第二部材39は、側面31f寄りの位置に配置されている。第二部材39は、第三方向D3において第一部材38と第二内部電極35との間に配置されている。
【0120】
電子部品30では、第二部材37,39の第三部分37C,39C及び第四部分37D,37Dが露出する場合、すなわち電子部品30の外観に第三部分37C,39C及び第四部分37D,37Dが表れている場合には、素体31から第一内部電極34及び第二内部電極35が露出している。言い換えれば、電子部品30では、第二部材37,39の第三部分37C,39C及び第四部分37D,39Dが露出していない場合、すなわち電子部品30の外観に第三部分37C,39C及び第四部分37D,39Dが表れていない場合には、素体31から第一内部電極34及び第二内部電極35が露出していない。電子部品30では、第一部材36,38及び第二部材37,39の第一部分37A,39A及び第二部分37B,39Bが露出している場合、素体31から第一内部電極34及び第二内部電極35が露出していない。
【0121】
続いて、電子部品30において、第一内部電極34及び第二内部電極35の露出を検査する方法について説明する。
図25は、電子部品30が不良品である場合を示す図である。
図25では、第一外部電極32及び第二外部電極33の図示を省略している。電子部品30の検査は、検査者による視認検査、電子部品30を撮像した画像(映像)に基づく検査などによって行うことができる。
【0122】
電子部品30が良品である場合、電子部品30を第二方向D2から見て、第一部材36,38及び第二部材37,39(第一部分37A,37A及び第二部分37B,39B)が露出している。すなわち、電子部品30が良品である場合、電子部品30を第二方向D2から見て、第一部材36,38及び第二部材37,39(第一部分37A,37A及び第二部分37B,39B)を視認可能である。電子部品30において第一部材36,38及び第二部材37,39(第一部分37A,37A及び第二部分37B,39B)を視認可能である場合、電子部品30が良品、すなわち素体31から第一内部電極34及び第二内部電極35が露出していないと判定する。
【0123】
図25に示されるように、電子部品30が不良品である場合、電子部品30を第二方向D2から見て、第一部材36,38、及び、第二部材37,39の第三部分37C,39C及び第四部分37D,39Dが露出している。すなわち、電子部品30が不良品である場合、第二部材37,39の第一部分37A,39A(第二部分37B,39B)が無くなり、第一部分37A,39A(第二部分37B,39B)を確認することができない。電子部品30において、第二部材37,39の第三部分37C,39C及び第四部分37D,39Dを確認できる場合には、不良品であると判定する。
【0124】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品30では、第一部材36,38及び第二部材37,39を備えている。素体31と第一部材36,38及び第二部材37,39とは、色が異なっている。この構成において、第一部材36,38は、第二方向D2において、第一内部電極34及び第二内部電極35が位置している範囲に少なくとも一部が配置されている。第二部材37,39は、第二方向D2において、主面31c寄りの位置に配置されている第一内部電極34及び第二内部電極35と主面31cとの間、及び、主面31d寄りの位置に配置されている第一内部電極34及び第二内部電極35と主面31dとの間に、に少なくとも一部(第一部分37A,39A、第二部分37B,39B)が配置されている。これにより、電子部品30では、第二部材37,39の第一部分37A,39A及び第二部分37B,39Bが露出していない場合(第三部分37C,39CB及び第四部分37D,39Dが露出している場合)、素体31から第一内部電極34及び第二内部電極35が露出していると判定することができる。このように、第二部材37,39を確認することによって、第一内部電極34及び第二内部電極35が素体31から露出しているか否かを確認できる。したがって、電子部品30では、素体31における第一内部電極34及び第二内部電極35の露出を正確且つ容易に検査できる。
【0125】
本実施形態に係る電子部品30は、第一部材36及び第一部材38を備え、第二部材37及び第二部材39を備えている。このように、電子部品30では、二つの第一部材36,38及び二つの第二部材37,39を備えている。たとえば、積層体を切断する際、素体31の主面31cが斜めになることがある。このような場合、たとえば第二部材37が一つ配置されている構成では、素体31の側面31f側の主面31cにおいて第二内部電極35が素体31から露出しているにもかかわらず、第二部材37の第一部分37Aが露出している場合があり得る。そこで、電子部品30では、第二部材37を側面31e側に配置し、第二部材39を側面31f側に配置している。そのため、電子部品30では、素体31における第一内部電極34及び第二内部電極35の露出をより正確に検査できる。
【0126】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0127】
第一実施形態では、電子部品1の第一外部電極3及び第二外部電極4のそれぞれが、端面2a,2b、一対の主面2c,2d、及び一対の側面2e,2fの五面に形成されている形態を一例に説明した。しかし、第一外部電極及び第二外部電極の形状はこれに限定されない。第一外部電極及び第二外部電極は、たとえば端面2a,2b及び主面2dに形成されていてもよいし(L字形状を呈していてもよいし)、主面2dのみに形成されていてもよい。電子部品1A,30についても同様である。
【0128】
第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態では、素体2が磁性材料により構成されている形態を一例に説明した。素体2は、複数の金属磁性粒子を含んで構成されていてもよい。金属磁性粒子は、軟磁性合金(軟磁性材料)から構成される。軟磁性合金は、たとえば、Fe-Si系合金である。軟磁性合金がFe-Si系合金である場合、軟磁性合金は、Pを含んでいてもよい。軟磁性合金は、たとえば、Fe-Ni-Si-M系合金であってもよい。「M」はCo、Cr、Mn、P、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、B、Al、及び希土類元素から選択される一種以上の元素を含む。素体2では、金属磁性粒子同士が結合している。金属磁性粒子同士の結合は、たとえば、金属磁性粒子の表面に形成される酸化膜同士の結合で実現される。素体2では、酸化膜同士の結合により、金属磁性粒子同士が電気的に絶縁されている。酸化膜の厚さは、たとえば、5~60nm以下である。酸化膜は、一又は複数の層によって構成されていてもよい。
【0129】
この構成において、素体2は、樹脂を含んでいる。樹脂は、複数の金属磁性粒子間に存在している。樹脂は、電気絶縁性を有する樹脂(絶縁性樹脂)である。絶縁性樹脂は、たとえば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、又はエポキシ樹脂を含む。金属磁性粒子の平均粒子径は、0.5~15μmである。金属磁性粒子の平均粒子径は、5μmである。本実施形態では、「平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0130】
第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態において、コイル導体の数は、上述した値に限られない。また、コイル導体の形状は、上述した形状に限られない。
【0131】
第四実施形態において、第一内部電極34及び第二内部電極35の数は、上述した値に限られない。
【符号の説明】
【0132】
1,1A,1B,30…電子部品、2,31…素体、2c,31c…主面(第一面)、2d,31d…主面(第二面)、7…コイル導体(内部導体)、9,11,13,15,25,27,36,38,40,42…第一部材、10,12,14A,14B,14C,14D,16A,16B,16C,16D,26,28,37,39,41,43…第二部材、23…コイル導体(内部導体)、34…第一内部電極(内部導体)、35…第二内部電極(内部導体)。