(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064725
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】種別表示装置及び分別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B07C5/342
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173525
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】391051485
【氏名又は名称】高嶋技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 慶一
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AD17
3F079CA05
3F079CA32
(57)【要約】
【課題】3種以上の対象物の種別を表示することが可能な種別表示装置及び分別装置を提供する。
【解決手段】対象物の種類に基づいて対象物の分別情報を表示する種別表示装置であって、種類に応じて態様が異なる分別光を分別情報として生成して対象物に照射する分別照明装置を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の種類に基づいて前記対象物の分別情報を表示する種別表示装置であって、
前記種類に応じて態様が異なる分別光を前記分別情報として生成して前記対象物に照射する分別照明装置を備えることを特徴とする種別表示装置。
【請求項2】
前記分別照明装置は、複数の前記対象物に対して前記分別光を同時かつ個別に照射することを特徴とする請求項1に記載の種別表示装置。
【請求項3】
前記分別照明装置は、ベルトコンベアで搬送される前記対象物に対して、前記ベルトコンベアの裏側から前記分別光を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の種別表示装置。
【請求項4】
前記態様は、前記分別光の色であることを特徴とする請求項1又は2に記載の種別表示装置。
【請求項5】
前記種類は、前記対象物の材質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の種別表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の種別表示装置と、
前記種類を検出して前記種別表示装置に出力する種類検査装置と
を備えることを特徴とする分別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種別表示装置及び分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、金属屑と当該金属屑とは異なる特定物質とを含む判別対象物群を搬送する搬送部(ベルトコンベア)と、搬送中の判別対象群の撮影画像を取得する撮影部と、撮影画像と特定物質の色および形状に関する情報を用いた判別モデルとを用いて、搬送中の判別対象群から特定物質を判別する判別部と、判別された特定物質に対して、予め設定された投影画像を投影する投影部(プロジェクタ)とを備える判別システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記背景技術は、二者択一的に特定物質のみにベルトコンベアの上方に設けられたプロジェクタから投影画像を投影することによって、特定物質と金属屑との種別を識別(表示)するものである。このような背景技術では、3種以上の対象物の種別を表示することができない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、3種以上の対象物の種別を表示することが可能な種別表示装置及び分別装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、種別表示装置に係る第1の解決手段として、対象物の種類に基づいて前記対象物の分別情報を表示する種別表示装置であって、前記種類に応じて態様が異なる分別光を前記分別情報として生成して前記対象物に照射する分別照明装置を備える、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、種別表示装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記分別照明装置は、複数の前記対象物に対して前記分別光を同時かつ個別に照射する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、種別表示装置に係る第3の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、前記分別照明装置は、ベルトコンベアで搬送される前記対象物に対して、前記ベルトコンベアの裏側から前記分別光を照射する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、種別表示装置に係る第4の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、前記態様は前記分別光の色である、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、種別表示装置に係る第4の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、前記種類は、前記対象物の材質である、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、分別装置に係る解決手段として、上記第4の解決手段に係る種別表示装置と、前記種類を検出して前記種別表示装置に出力する種類検査装置とを備える、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、3種以上の対象物の種別を表示することが可能な種別表示装置及び分別装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る種別表示装置及び分別装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る種別表示装置及び分別装置の機械的構成を示す側面図(a)及び平面図(b)である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る種別表示装置及び分別装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態における廃プラスチック容器の検知を示す模式図(a)及び照明態様を示す模式図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る種別表示装置Aは、
図1に示すように、種類検査装置Bとともに分別装置Cを構成している。
【0015】
この種別表示装置Aは、種類検査装置Bによる廃プラスチック容器Xの材質検査結果に基づいて廃プラスチック容器X(対象物)の材質(種別)に応じて態様が異なる分別光Pを生成して廃プラスチック容器Xに照射する装置である。また、本実施形態における種類検査装置Bは、廃プラスチック容器Xに所定波長の検査光Kを照射することにより、廃プラスチック容器Xの材質を検出し、当該材質を材質検査結果として種別表示装置Aに出力する装置である。
【0016】
ここで、本実施形態における廃プラスチック容器Xは、光透過性を有する材料(例えば透明プラスチック)から形成されており、
図2に示すように投入用コンベヤYによって直線状に搬送されることによって分別装置Cに供給される。上記投入用コンベヤYは、所定高さかつ所定幅の載置面(搬送面)を備え、載置面(搬送面)上に載置された廃プラスチック容器Xを分別装置Cに投入する投入用搬送装置である。
【0017】
廃プラスチック容器Xは、投入用コンベヤYの載置面(搬送面)上のランダムな位置、かつ、投入用コンベヤYの載置面(搬送面)上にランダムな姿勢で載置されている。このような廃プラスチック容器Xは、投入用コンベヤYが作動することによって分別装置Cに向かって搬送される。
【0018】
種別表示装置A及び種類検査装置Bを備える分別装置Cは、
図1に示すように、検査照明装置1、ラインセンサ2、ピックアップコンベヤ3、ロータリーエンコーダ4、操作装置5、演算装置6及び分別照明装置7を備えている。
【0019】
このような分別装置Cの構成要素のうち、検査照明装置1、ラインセンサ2及び演算装置6の一部機能は、種類検査装置Bを構成している。また、ピックアップコンベヤ3、ロータリーエンコーダ4、操作装置5、演算装置6の残部機能及び分別照明装置7は、種別表示装置Aを構成している。さらに、ピックアップコンベヤ3は、本発明のベルトコンベアに相当する。
【0020】
検査照明装置1は、廃プラスチック容器Xの材質を検査するための検査光Kを廃プラスチック容器Xに照射する照明装置である。この検査照明装置1は、
図2に示すようにピックアップコンベヤ3と投入用コンベヤYとの間に設けられたライン状の発光体であり、所定距離を隔ててラインセンサ2と平行対峙している。
【0021】
検査照明装置1は、ピックアップコンベヤ3と投入用コンベヤYとの間に形成された長尺状の隙間からラインセンサ2に向かって検査光Kを出射する。すなわち、この検査照明装置1は、上下方向にラインセンサ2と平行対峙しており、投入用コンベヤYから分別装置Cに投入される廃プラスチック容器Xに下方から検査光Kを照射する。
【0022】
上記検査光Kは、
図2(b)に示すように、ピックアップコンベヤ3と投入用コンベヤYとの隙間より小さく、またピックアップコンベヤ3及び投入用コンベヤYの幅と同等又はピックアップコンベヤ3及び投入用コンベヤYの幅よりも若干長い照射範囲を有する。すなわち、この検査光Kは、ピックアップコンベヤ3及び投入用コンベヤYに照射されることなく、ピックアップコンベヤ3と投入用コンベヤYとの隙間を略水平方向に通過する廃プラスチック容器Xのみに選択的に照射される。
【0023】
ここで、廃プラスチック容器Xは、材質(種類)に応じて光吸収波長帯が異なる。例えば、分別装置Cで分別しようとする廃プラスチック容器Xの材質が5種類であった場合、検査光Kは、上記5種類の材質の光吸収波長帯を包含する波長帯に設定されている。すなわち、本実施形態における検査光Kは、材料が異なる複数種類の廃プラスチック容器Xの光吸収波長帯を全て包含する波長帯を有する。
【0024】
なお、検査光Kの波長帯は、対象物である廃プラスチック容器Xの材質を識別することができれば十分なので、必ずしも複数種類の廃プラスチック容器Xの光吸収波長帯の全てを包含する必要はない。すなわち、複数種類の廃プラスチック容器X(対象物)の光吸収波長帯の各々一部を包含していれば充分である。
【0025】
透明プラスチックの材料には、例えばアクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)の5種類が知られている。これら5種類の廃プラスチック容器Xは、全て異なる光吸収波長を有する。すなわち、アクリル樹脂製の廃プラスチック容器X1は、第1光吸収波長帯E1を有する。
【0026】
また、ポリカーボネート製の廃プラスチック容器X2は第2光吸収波長帯E2を有し、ポリエチレンテレフタレート製の廃プラスチック容器X3は第3光吸収波長帯E3を有する。さらに、ポリ塩化ビニル製の廃プラスチック容器X4は第4光吸収波長帯E4を有し、ポリスチレン製の廃プラスチック容器X5は第5光吸収波長帯E5を有する。
【0027】
ラインセンサ2は、廃プラスチック容器Xを透過した検査光K(透過光)を受光するライン状の光検出器である。ラインセンサ2は、光強度が廃プラスチック容器Xの光吸収波長帯に応じて減衰した検査光K(透過光)を受光することによって、廃プラスチック容器Xの光吸収波長帯つまり廃プラスチック容器Xの材質に応じた光強度の検出信号を演算装置6に出力する。
【0028】
このラインセンサ2は、
図2に示すように、上下方向において検査照明装置1と平行対峙するように設けられている。すなわち、ラインセンサ2は、所定距離を隔てて検査照明装置1の上方に設けられている。
【0029】
ピックアップコンベヤ3は、演算装置6から入力される作動指令に基づいて廃プラスチック容器Xを搬送する搬送装置である。このピックアップコンベヤ3は、演算装置6の作動指令に従って作動することにより、投入用コンベヤYから投入された廃プラスチック容器Xを投入用コンベヤYと同一方向に搬送する。
【0030】
ピックアップコンベヤ3は、
図2に示すように搬送ベルト3a、駆動ローラ3b及び従動ローラ3cを備えている。搬送ベルト3aは、光透過性を有する無端ベルトであり、所定距離を隔てて設けられた駆動ローラ3b及び従動ローラ3cによって略水平方向に延在する姿勢で支持されている。この搬送ベルト3aは、例えば白色ベルトであり、可視光に対して光透過性を有する。
【0031】
駆動ローラ3b及び従動ローラ3cは、搬送ベルト3aの内側かつ水平方向に平行対峙するように所定距離を隔てて設けられている。このような駆動ローラ3b及び従動ローラ3cは、搬送ベルト3aを水平方向に延在する姿勢に支持する。駆動ローラ3bは、搬送ベルト3aの先端側に設けられており、搬送ベルト3aに搬送動力を付加する円筒ローラである。従動ローラ3cは、搬送ベルト3aの先端側に設けられた円筒ローラである。
【0032】
このようなピックアップコンベヤ3は、
図2に示すように所定隙間を設けた状態で投入用コンベヤYに隣接して設けられている。より詳細には、ピックアップコンベヤ3は、搬送ベルト3aの表面(搬送面)が投入用コンベヤYの載置面と同等の高さに設けられ、また搬送ベルト3aの幅が投入用コンベヤYの載置面と同等の幅を有する。
【0033】
ロータリーエンコーダ4は、ピックアップコンベヤ3の搬送速度を検出する速度検出器である。ロータリーエンコーダ4は、上記搬送速度を示す速度信号を演算装置6に出力する。
図2に示すように、ロータリーエンコーダ4は、例えばピックアップコンベヤ3の駆動ローラ3bに設けられている。
【0034】
ここで、
図2では、一例としてピックアップコンベヤ3の先端側に設けられた駆動ローラ3bにロータリーエンコーダ4が設けられている状態を示している。しかしながら、ロータリーエンコーダ4の設置箇所は駆動ローラ3bに限定されず、例えばピックアップコンベヤ3の後端側に設けられた従動ローラ3cに設けてもよい。
【0035】
操作装置5は、操作者の操作指示を演算装置6に入力するための入力装置である。この操作装置5は、分別装置Cの作動指示つまり種別表示装置A及び種類検査装置Bの作動指示等を受け付けて演算装置6に出力する。
【0036】
演算装置6は、分別装置Cつまり種別表示装置A及び種類検査装置Bを統一的に制御するソフトウエア制御装置である。すなわち、演算装置6は、所定の制御プログラムに基づいて、検査照明装置1、ピックアップコンベヤ3及び分別照明装置7を作動させるとともに、ラインセンサ2、ロータリーエンコーダ4及び操作装置5から必要情報を取得することにより分別装置Cを統一的に制御する。
【0037】
この演算装置6は、検査照明装置1を作動させた際にラインセンサ2から得られる検出信号に基づいて、ピックアップコンベヤ3の載置面(搬送面)上に載置された複数種類の廃プラスチック容器Xについて、個々の材質を特定する。演算装置6における各種の廃プラスチック容器Xの材質特定情報は、種類検査装置Bの出力情報である。
【0038】
演算装置6は、上記各廃プラスチック容器Xの材質特定情報及びロータリーエンコーダ4の速度信号に基づいて分別信号を生成して分別照明装置7に出力する。この分別信号は、二次元のカラー画像信号であり、各廃プラスチック容器Xの材質に応じて態様が異なるとともに各廃プラスチック容器Xの搬送に応じて移動する分別光Pを分別照明装置7に発光させる。
【0039】
分別照明装置7は、二次元のカラー表示装置であり、画像演算装置6から入力される分別信号(カラー画像信号)に基づいて各種の廃プラスチック容器Xの分別情報を分別光Pとして表示する。すなわち、この分別照明装置7は、廃プラスチック容器Xの材質(種類)毎に異なる態様の分別光Pを生成して複数の廃プラスチック容器Xに同時かつ個別に照射する。
【0040】
このような分別照明装置7は、
図2に示すように搬送ベルト3aの搬送面の裏側に設けられるとともに、上面が表示面である。すなわち、この分別照明装置7は、上方に位置する搬送ベルト3a上に載置された廃プラスチック容器Xに対して搬送ベルト3aの下側(裏側)から分別光Pを照射する。
【0041】
このような分別光Pは、光透過性を有する搬送ベルト3aを透過して廃プラスチック容器Xを下側(裏側)から照明する。廃プラスチック容器Xは光透過性を有しているので、分別光Pは、廃プラスチック容器Xとも透過することにより、ピックアップコンベヤ3の周囲に廃プラスチック容器Xの材質(種類)を視覚的に報知する。
【0042】
また、この分別照明装置7は、各廃プラスチック容器Xの材質に応じて態様が異なる照明光として、各廃プラスチック容器Xの材質に応じて色(色度)が異なる分別光Pを各廃プラスチック容器Xに照射する。
【0043】
分別照明装置7は、例えばアクリル樹脂製の廃プラスチック容器X1には赤色の分別光P1を照射する。また、分別照明装置7は、ポリカーボネート製の廃プラスチック容器X2には緑色の分別光P2を照射し、ポリエチレンテレフタレート製の廃プラスチック容器X3には青色の分別光P3を照射する。さらに、この分別照明装置7は、ポリ塩化ビニルポリカーボネート製の廃プラスチック容器X4にはピンク色の分別光P4を照射し、ポリスチレン製の廃プラスチック容器X5にはオレンジ色の分別光P5を照射する。
【0044】
ここで、各廃プラスチック容器Xは、ピックアップコンベヤ3上を後端側から先端側に順次移動する。分別照明装置7は、各廃プラスチック容器Xの移動に同期させて分別光Pの照射領域を移動させることにより、材質に応じた態様の分別光Pが対応する廃プラスチック容器Xに照射し続ける。
【0045】
例えば、アクリル樹脂の廃プラスチック容器X1には、ピックアップコンベヤ3上を搬送される間、赤色の分別光P1が照射し続けられる。ポリカーボネートの廃プラスチック容器X2には、ピックアップコンベヤ3上を搬送される間、緑色の分別光P2が照射し続けられる。ポリエチレンテレフタレートの廃プラスチック容器X3には、ピックアップコンベヤ3上を搬送される間、青色の分別光P3が照射し続けられる。
【0046】
また、ポリ塩化ビニルポリカーボネートの廃プラスチック容器X4には、ピックアップコンベヤ3上を搬送される間、ピンク色の分別光P4が照射し続けられる。ポリスチレンの廃プラスチック容器X5には、ピックアップコンベヤ3上を搬送される間、オレンジ色の分別光P5を照射し続けられる。
【0047】
すなわち、本実施形態に係る種別表示装置Aは、分別光Pの色(色度)によって複数の廃プラスチック容器X1の材料を個別に表示するものである。また、このような種別表示装置Aを備える分別装置Cは、分別光Pの色(色度)によって複数の廃プラスチック容器X1を材料毎に分別するものである。
【0048】
次に、本実施形態における分別装置Cの動作つまり種別表示装置Aの動作及び種類検査装置Bの動作について、
図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0049】
分別装置Cは、操作装置5から演算装置6に操作指示が入力されることによって起動する。すなわち、演算装置6は、操作装置5から作動指示が入力されると、当該作動指示に基づいて検査照明装置1及びピックアップコンベヤ3の作動を開始させるとともに、ラインセンサ2を休止状態から活性状態に設定する。そして、分別装置Cは、廃プラスチック容器Xの材質検査と当該材質検査の結果に基づく廃プラスチック容器Xの分別表示を開始する。
【0050】
分別装置Cが起動すると、各種の廃プラスチック容器Xが投入用コンベヤYからピックアップコンベヤ3に順次受け渡される。そして、ピックアップコンベヤ3は、各種の廃プラスチック容器Xを投入用コンベヤYの搬送方向と同一方向に順次搬送する。
【0051】
ここで、投入用コンベヤYとピックアップコンベヤ3との隙間には検査照明装置1によって下方から上方に向かって検査光Kが照射される。したがって、投入用コンベヤYからピックアップコンベヤ3に順次受け渡される各種の廃プラスチック容器Xには、下方から検査光Kが照射され、当該検査光Kの透過光がラインセンサ2によって順次検出される。
【0052】
そして、ラインセンサ2は、上記透過光の光強度を示す検出信号を演算装置6に順次出力する。上記光強度は、投入用コンベヤYとピックアップコンベヤ3との隙間を通過する各種の廃プラスチック容器Xの光吸収波長帯に応じて検査光Kの光強度が減衰したものである。すなわち、上記検出信号は、各種の廃プラスチック容器Xの光吸収波長帯を示す信号である。
【0053】
また、検査光Kは、搬送方向に移動する各種の廃プラスチック容器Xに対して連続的又はラインセンサ2の検出タイミングに同期して検査照明装置1から出射されるので、上記光強度は、各種の廃プラスチック容器Xの形状に応じた光吸収波長帯の二次元分布を示す。すなわち、検出信号は、各種の廃プラスチック容器Xの形状に対応した光吸収波長帯の二次元分布を示す時系列信号である。
【0054】
演算装置6は、分別装置Cが起動すると、このような検出信号を順次取得する(ステップS1)。そして、演算装置6は、時系列的に順次取得した検出信号に基づいて個々の廃プラスチック容器Xを検知する(ステップS2)。すなわち、演算装置6は、時系列的に順次取得した検出信号を複数の強度しきい値と順次比較することにより、検出信号を光強度に応じて複数にグループ分けし、各グループを廃プラスチック容器Xとして検知する。
【0055】
このステップS2における廃プラスチック容器Xの検知は、ラインセンサ2の長さ方向(ピックアップコンベヤ3の幅方向)における廃プラスチック容器Xの位置及び形状を特定するものである。なお、この段階では廃プラスチック容器Xが個々に検知(特定)されるものの、個々の廃プラスチック容器Xの材質は特定されていない。
【0056】
例えば、
図4(a)に示すように、アクリル樹脂製の廃プラスチック容器X1は、第1光吸収波長帯E1を有する容器として検出される。また、ポリカーボネート製の廃プラスチック容器X2は第2光吸収波長帯E2を有する容器として検出され、ポリエチレンテレフタレート製の廃プラスチック容器X3は第3光吸収波長帯E3を有する容器として検出される。さらに、ポリ塩化ビニルポリカーボネート製の廃プラスチック容器X4は第4光吸収波長帯E4を有する容器として検出され、ポリスチレン製の廃プラスチック容器X5は第5光吸収波長帯E5を有する容器として検出される。
【0057】
演算装置6は、上記各グループ(廃プラスチック容器X)に含まれる複数の検出信号に基づいて個々の廃プラスチック容器Xの材質を特定する(ステップS3)。すなわち、演算装置6は、各グループの検出信号から各グループの代表光強度を決定し、当該代表光強度を予め記憶している材料データと比較することにより個々の廃プラスチック容器Xの材質を特定する。
【0058】
上記材料データは、検出信号の光強度(つまり廃プラスチック容器Xの光吸収波長帯)と廃プラスチック容器Xの材質と分別色との関係を示すデータテーブルである。演算装置6は、各グループの代表光強度に対応する材質を材料データから選択することにより、各グループつまり個々の廃プラスチック容器Xの材質及び分別色を特定する。
【0059】
そして、演算装置6は、ロータリーエンコーダ4から入力される速度信号に基づいてピックアップコンベヤ3の搬送速度つまり廃プラスチック容器Xの移動速度を取得する(ステップS4)。そして、演算装置6は、ステップS3で特定した分別色及びステップS4で取得した搬送速度(移動速度)に基づいて分別信号を生成する(ステップS5)。
【0060】
そして、演算装置6は、上記分別信号を分別照明装置7に出力することにより、複数の廃プラスチック容器Xに対して材質(種類)によって異なる態様(色)の分別光を同時かつ個別に照射させる(ステップS6)。例えば、分別照明装置7は、分別信号に基づいてアクリル樹脂製の廃プラスチック容器X1に赤色の分別光P1を照射する。
【0061】
また、分別照明装置7は、分別信号に基づいて、ポリカーボネート製の廃プラスチック容器X2に緑色の分別光P2を照射し、ポリエチレンテレフタレート製の廃プラスチック容器X3には青色の分別光P3を照射する。さらに、分別照明装置7は、分別信号に基づいて、ポリ塩化ビニルポリカーボネート製の廃プラスチック容器X4にピンク色の分別光P4を照射し、ポリスチレン製の廃プラスチック容器X5にはオレンジ色の分別光P5を照射する。
【0062】
実際の分別光は、このように色の違いによって廃プラスチック容器Xの材質の違いを表示するものであるが、
図4(b)では、材質に応じて異なる分別光の色を塗りつぶしパターンの違いによって表している。本実施形態における分別光は、廃プラスチック容器Xの材質(種別)に応じて色(態様)が異なる照明光である。
【0063】
ここで、上記ステップS2における廃プラスチック容器Xの検知は、廃プラスチック容器Xが搬送方向に移動しつつラインセンサ2の長さ方向(ピックアップコンベヤ3の幅方向)における廃プラスチック容器Xの位置及び形状を特定するので、結果的に廃プラスチック容器Xの二次元的な位置及び形状を特定するものである。
【0064】
演算装置6は、ステップS2で特定した各種の廃プラスチック容器Xの位置及び形状に加え、ステップS2で取得した各種の廃プラスチック容器Xを用いて分別信号を生成する。すなわち、カラー画像信号である分別信号は、各種の廃プラスチック容器Xの移動に追従して廃プラスチック容器Xの移動方向に移動する分別光を分別照明装置7に表示させるものである。
【0065】
分別光は、各種の廃プラスチック容器Xの移動に追随して移動方向に移動することによって、ピックアップコンベヤ3上の各種の廃プラスチック容器Xに材質に応じた色(態様)の分別光を照射するものである。ピックアップコンベヤ3の周囲に待機する担当者は、このような分別光を視認することにより、廃プラスチック容器Xの材質に応じた分別処理を容易に行うことが可能である。
【0066】
このような本実施形態によれば、種別に応じて態様が異なる照明光を生成して前記対象物に照射する3種以上の廃プラスチック容器X(対象物)の種類を表示することが可能な種別表示装置A及び分別装置Cを提供することが可能である。したがって、本実施形態によれば、3種以上の廃プラスチック容器X(対象物)の分別を容易化することが可能である。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、種類に応じて態様が異なる分別光として色が異なる分別光Pを採用したが、本発明はこれに限定されない。色以外の態様を用いて廃プラスチック容器X(対象物)の種類を表示してもよい。色以外の態様として、例えば分別光を光パルスとし、当該光パルスの発光周期が種類に応じて異なる分別光を採用してもよい。この場合における種類に応じて異なる態様は発光周期である。
【0068】
(2)上記実施形態では、材質(種類)に応じて異なる色の分別光Pを各種の廃プラスチック容器X(対象物)に同時かつ個別に照射することによって廃プラスチック容器Xの分別性を高めるようにしたが、廃プラスチック容器Xにおける分別光Pの照射範囲を工夫することによって廃プラスチック容器Xの分別性の低下を抑制することが可能である。
【0069】
例えば、廃プラスチック容器Xの大きさや形状に応じて分別光Pの照射範囲を変更することが考えられる。すなわち、比較的小さな廃プラスチック容器Xには照射範囲が狭い分別光Pを照射し、これとは逆に比較的大きな廃プラスチック容器Xには照射範囲が広い分別光Pを照射する。これによって、例えばピックアップコンベヤ3上に廃プラスチック容器Xが接触した状態又は重なった状態で配置している場合であっても、廃プラスチック容器Xの分別性の低下を抑制することができる。
【0070】
(3)上記実施形態では、ピックアップコンベヤ3として光透過性を有する白色ベルトを採用したが、本発明はこれに限定されない。透明な廃プラスチック容器Xを対象物とする場合、光透過性を有する白色ベルトを採用することにより分別光Pの視認性が向上するが、光透過性を有するものの有色な廃プラスチック容器Xを対象物とする場合には、白色ベルト以外の搬送ベルト、例えば透明性の高い搬送ベルトを採用することが考えられる。
【0071】
(4)上記実施形態では、ロータリーエンコーダ4をピックアップコンベヤ3の搬送速度つまり(廃プラスチック容器Xの移動速度)を検出する速度検出器として採用したが、本発明はこれに限定されない。ロータリーエンコーダ4以外の速度検出器を採用してもよい。
【0072】
また、ピックアップコンベヤ3の搬送速度が既知かつ一定速度である場合、速度検出器を省略することが可能である。この場合、演算装置6は、ステップS5において、ステップS3で特定した分別色及び予め記憶している搬送速度データに基づいて分別信号を生成する。
【0073】
(5)上記実施形態では、廃プラスチック容器X(対象物)の材質に応じて異なる態様(色)の分別光を生成したが、本発明はこれに限定されない。対象物の種類として、対象物の材質に代えて、対象物に関する種々の検査結果、例えば対象物の外観(良品、不良部位、不良種類等々)、内部状態又は重量等に応じて異なる態様(色)の分別光を生成してもよい。
【0074】
(6)上記実施形態では、種類に応じて態様が異なる分別光として色が異なる分別光を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ピックアップコンベヤ3に色に加えて文字(マーク、図形)を表示してもよい。
【0075】
(7)上記実施形態では、投入コンベヤYとは別にピックアップコンベヤ3を設けたが、本発明はこれに限定されない。ピックアップコンベヤ3は投入コンベヤYと一体になっていてもよい。すなわち、ピックアップコンベヤ3と投入コンベヤYとが一体となった搬送コンベヤの一部位に分別照明装置7を設けてもよい。
【0076】
この場合、投入コンベヤYとピックアップコンベヤ3との間の隙間は存在しないので、上述した検査照明装置1及びラインセンサ2とで構成される透過型の光検出器を採用することができない。したがって、この場合には、検査照明装置1から照射された検査光Kが廃プラスチック容器X(対象物)で反射された反射光をラインセンサ2で検出する反射型の光検出器を採用することになる。
【符号の説明】
【0077】
A 種別表示装置
B 種類検査装置
C 分別装置
1 検査照明装置
2 ラインセンサ
3 ピックアップコンベヤ
4 ロータリーエンコーダ
5 操作装置
6 演算装置
7 分別照明装置
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の種類に基づいて前記対象物の分別情報を表示する種別表示装置であって、
前記種類に応じて態様が異なる分別光を前記分別情報として生成して前記対象物に照射する分別照明装置を備え、
前記分別照明装置は、前記対象物の大きさや形状に応じて前記分別光の照射範囲を変更することを特徴とする種別表示装置。
【請求項2】
前記分別照明装置は、比較的小さな前記対象物には照射範囲が狭い前記分別光を照射し、比較的大きな前記対象物には照射範囲が広い前記分別光を照射することを特徴とする請求項1に記載の種別表示装置。
【請求項3】
前記分別照明装置は、ベルトコンベアで搬送される前記対象物に対して、前記ベルトコンベアの裏側から前記分別光を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の種別表示装置。
【請求項4】
前記態様は、前記分別光の色に加えて文字であることを特徴とする請求項1又は2に記載の種別表示装置。
【請求項5】
前記種類は、前記対象物の材質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の種別表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の種別表示装置と、
前記種類を検出して前記種別表示装置に出力する種類検査装置と
を備えることを特徴とする分別装置。