(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064733
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240507BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240507BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F27/00 R
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173537
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】豊島 健司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由雅
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AB03
5E070AB06
(57)【要約】
【課題】インダクタ配線に電流を流した際の渦電流損失を抑制する。
【解決手段】インダクタ部品10は、素体20と、インダクタ配線30と、複数の柱状配線40と、を備えている。素体20は、第1主面20Aを有している。インダクタ配線30は、素体20内で、第1主面20Aに対して平行に延びている。各柱状配線40は、インダクタ配線30の端に接続し、第1主面20Aに対して直交方向に延びている。複数の柱状配線40は、第1主面20Aにおいて素体20から露出している。第1主面20Aからインダクタ配線30までの最短距離は、0.04mm以上である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する素体と、
前記素体内で前記主面に対して平行に延びるインダクタ配線と、
前記インダクタ配線の端に接続し、前記主面に対して交差する方向に延びる複数の柱状配線と、
を備え、
複数の前記柱状配線は、前記主面において前記素体から露出しており、
前記主面から前記インダクタ配線までの最短距離は、0.04mm以上である
インダクタ部品。
【請求項2】
前記主面を第1主面とし、前記素体において前記第1主面とは反対側の面を第2主面としたとき、
前記第1主面から前記インダクタ配線までの最短距離は、前記第2主面から前記インダクタ配線までの最短距離の2倍以上である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記主面と直交する方向から透視したときに、
前記インダクタ配線は、前記主面と平行な同一平面上で、渦巻き状に延びている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している外部電極を備え、
前記外部電極の前記主面上に形成された部分の前記主面に直交する方向の最大寸法は、前記インダクタ配線の前記主面に直交する方向の最大寸法の1/2以下である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、
前記インダクタ配線は、渦巻き状に延びており、
同一の前記インダクタ配線の配線間の最短距離は、前記インダクタ配線の最小の配線幅に対して1/3以上である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記柱状配線の前記主面に直交する方向の最大寸法は、前記インダクタ配線の前記主面に直交する方向の最大寸法に対して1.5倍以上である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記主面に直交する方向を向いて前記素体を透視した場合に、前記主面は四角形状であって、
複数の前記柱状配線として、前記インダクタ配線の第1端に接続する第1端柱状配線と、前記インダクタ配線の第2端に接続する第2端柱状配線と、を備え、
前記主面に直交する方向を向いて前記素体を透視した場合に、前記第1端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心と前記第2端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心とを結ぶ線分が、前記主面のいずれの辺に対しても平行でない
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、
前記主面に直交する方向から視たとき、
複数の前記外部電極の形状及び面積はいずれも同じである
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記素体の前記主面に直交する方向の最大寸法は、0.15mm以下である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記インダクタ配線は、前記主面に対して平行に延びる第1インダクタ配線と、前記第1インダクタ配線と同一平面上を延びる第2インダクタ配線と、を含み、
複数の前記柱状配線は、前記第1インダクタ配線の端に接続する複数の第1柱状配線と、前記第2インダクタ配線の端に接続する複数の第2柱状配線と、を含む、
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、
複数の前記外部電極は、複数の前記第1柱状配線に接続する複数の第1外部電極と、複数の前記第2柱状配線に接続する複数の第2外部電極と、を含み、
前記第1インダクタ配線は、前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、複数の前記第2外部電極から選ばれる1つ以上と重なる部分を有する
請求項10に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記各インダクタ配線は、配線本体と、前記配線本体の第1端に接続し、前記配線本体に対して配線幅が大きい第1端パッドと、前記配線本体の第2端に接続し、前記配線本体に対して配線幅が大きい第2端パッドと、を有し、
前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、前記第1インダクタ配線の前記第2端パッドにおける大きさ及び形状から選ばれる1つ以上は、前記第2インダクタ配線の前記第2端パッドにおける大きさ及び形状から選ばれる1つ以上とは異なっている
請求項10に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、
複数の前記外部電極は、複数の前記第1柱状配線に接続する複数の第1外部電極と、複数の前記第2柱状配線に接続する複数の第2外部電極と、を含み、
前記主面に直交する方向を向いて透視したとき、複数の前記第1柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第1柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に対してずれており、且つ、複数の前記第2柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第2柱状配線が接続している前記第2外部電極の幾何中心に対してずれており、
複数の前記第1柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第1柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第1ベクトル、複数の前記第2柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第2柱状配線が接続している前記第2外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第2ベクトルとしたとき、
第1ベクトルは、第2ベクトルと異なっている
請求項10に記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、
複数の前記外部電極は、複数の前記第1柱状配線に接続する複数の第1外部電極を含み、
複数の前記第1柱状配線のうち、前記第1インダクタ配線の第1端に接続する前記第1柱状配線を第1端柱状配線とし、前記第1インダクタ配線の第2端に接続する前記第1柱状配線を第2端柱状配線としたとき、
前記主面に直交する方向を向いて透視したとき、前記第1端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第1端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に対してずれており、且つ、前記第2端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第2端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に対してずれており、
前記第1端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第1端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第1ベクトル、前記第2端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第2端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第3ベクトルとしたとき、
第1ベクトルは、第3ベクトルと異なっている
請求項10に記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、
複数の前記インダクタ配線は、いずれも渦巻き状に延びており、且つ、全ての前記インダクタ配線のターン数は、1.5以上である
請求項10に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインダクタ部品は、素体と、3つのインダクタ配線と、6つの外部電極と、を備えている。素体は、主面を有する直方体状である。素体は、主面と隣接する4つの端面を有している。各インダクタ配線は、渦巻き状に延びている。各インダクタ配線は、一対の外部電極に接続している。1つのインダクタ配線に対し、2つの外部電極が設けられている。すなわち、インダクタは、3セットの外部電極を有している。各外部電極は、素体の端面においても露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインダクタ部品において、外部電極が端面においても露出している。このような外部電極の配置の場合、インダクタ部品を基板に搭載するときに素体の端面上にもはんだが存在する。そのため、同インダクタ部品を基板に搭載した際の設置スペースが大きくなる。一方で、例えば、各外部電極を、主面においてのみ露出するように配置することが考えられる。しかし、この場合、各インダクタ配線に電流を流した際に発生する磁束が、各外部電極及び基板上の端子を貫くことになるので、渦電流の発生による損失が大きくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、主面を有する素体と、前記素体内で前記主面に対して平行に延びるインダクタ配線と、前記インダクタ配線の端に接続し、前記主面に対して交差する方向に延びる複数の柱状配線と、を備え、複数の前記柱状配線は、前記主面において前記素体から露出しており、前記主面から前記インダクタ配線までの最短距離は、0.04mm以上であるインダクタ部品である。
【0006】
上記構成において、インダクタ配線に電流を流した際に発生する磁束が、外部電極及び基板上の端子を貫くことを抑制できる。したがって、この構成によれば、インダクタ配線に電流を流した際の渦電流損失を抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
インダクタ配線に電流を流した際の渦電流損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図4は、変更例のインダクタ部品の平面図である。
【
図5】
図5は、シミュレーションにおいて得られたQ値である。
【
図6】
図6は、シミュレーションにおいて得られたQ値の傾きである。
【
図7】
図7は、変更例のシミュレーションにおいて得られたQ値である。
【
図8】
図8は、変更例のシミュレーションにおいて得られたQ値の傾きである。
【
図9】
図9は、変更例のインダクタ部品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、インダクタ部品の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0010】
<全体構成について>
図1に示すように、インダクタ部品10は、素体20と、複数のインダクタ配線30と、複数の柱状配線40と、複数の外部電極60と、を備えている。また、
図3に示すように、インダクタ部品10は、複数のビア50を備えている。
【0011】
図1に示すように、素体20は、全体として直方体状である。すなわち、素体20は、6つの外面を有している。これら6つの外面のうち、最も大きな2つの外面のうちの1つを第1主面20Aとする。また、6つの外面のうち、第1主面20Aと平行な面を第2主面20Bとする。すなわち、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、第1主面20A及び第2主面20Bは、四角形状である。具体的には、第1主面20A及び第2主面20Bは、長方形状である。なお、第1主面20Aは、インダクタ部品10を基板に実装する際に、基板と向かい合う実装面である。また、
図1及び
図2において、素体20を二点鎖線で図示している。素体20の材質は、感光性の樹脂材料ポリイミド、セラミック、ガラス、Si等である。
【0012】
以下の説明では、第1主面20Aの長辺に平行な軸を第1軸Xとする。すなわち、第1軸Xは、第1主面20Aの縁に平行な軸である。また、第1主面20Aの短辺に平行な軸を第2軸Yとする。さらに、第1主面20Aと直交する軸を第3軸Zとする。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの特定の方向を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う方向のうちの特定の方向を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。さらに、第3軸Zに沿う方向のうちの第1主面20Aが向く方向を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。
【0013】
図3に示すように、素体20は、第1層L1と、第2層L2と、第3層L3と、を備えている。また、素体20の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、約0.13mmである。すなわち、第1層L1の厚み、第2層L2の厚み、及び第3層L3の厚みの合計値は、約0.13mmである。すなわち、素体20の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、0.15mm以下である。
【0014】
第1層L1は、第3軸Zに沿う方向で透視したときに、長方形状である。第1層L1は、素体20のうちの第3負方向Z2側の端に位置している。つまり、第1層L1の第3負方向Z2の端面は、第2主面20Bである。第1層L1は、第1素体層21からなる。
【0015】
第2層L2は、第3軸Zに沿う方向で透視したときに、第1層L1と同じ長方形状である。第2層L2は、第1層L1の第3正方向Z1側の面に積層されている。第2層L2は、第2素体層22と、3つのインダクタ配線30と、を有している。第2層L2において、3つのインダクタ配線30を除く部分は、第2素体層22となっている。各インダクタ配線30の形状及び配置等については後述する。
【0016】
第3層L3は、第3軸Zに沿う方向で透視したときに、第1層L1及び第2層L2と同じ長方形状である。第3層L3は、第2層L2の第3正方向Z1側の面に積層されている。第3層L3は、第3素体層23と、6つの柱状配線40と、6つのビア50と、を有している。第3層L3において、6つの柱状配線40及び6つのビア50を除く部分は、第3素体層23となっている。各柱状配線40及び各ビア50の形状及び配置等については後述する。
【0017】
なお、
図3において、第1層L1~第3層L3の境界を仮想的に一点鎖線で示している。その一方で、隣り合う第1素体層21、第2素体層22、及び第3素体層23が互いに一体化していることもある。すなわち、隣り合う第1素体層21、第2素体層22、及び第3素体層23の間に明確な境界はなくてもよい。
【0018】
<素体の各層の厚さについて>
図3に示すように、第1層L1の第3軸Zに沿う方向の寸法H1は、0.02mmである。第2層L2の第3軸Zに沿う方向の寸法H2は、0.04mmである。第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法H3は、0.07mmである。すなわち、第1主面20Aからインダクタ配線30までの最短距離は、0.04mm以上である。また、第1主面20Aからインダクタ配線30までの最短距離は、第2主面20Bからインダクタ配線30までの最短距離の2倍以上である。
【0019】
<インダクタ配線について>
各インダクタ配線30は、導電性材料で構成されている。インダクタ配線30は、例えば、Cu、Ag、Au、Ni及びAlの少なくとも1つを導電性材料として含んでいる。また例えば、インダクタ配線30は、Cu、Ag、Au、Ni及びAlの少なくとも2つを含有する合金を導電性材料として含んでいてもよい。
【0020】
図1に示すように、3つのインダクタ配線30は、第1インダクタ配線31、第2インダクタ配線32、及び第3インダクタ配線33である。
図3に示すように、第1インダクタ配線31は、素体20内で第1主面20Aに対して平行に延びている。具体的には、第1インダクタ配線31は、第1層L1における第3正方向Z1側の面上を延びている。また、第1インダクタ配線31は、配線本体31Aと、第1端パッド31Bと、第2端パッド31Cと、を有している。
【0021】
図2に示すように、第1インダクタ配線31の配線本体31Aは、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、渦巻き状に延びている。ここで、第1インダクタ配線31の配線本体31Aの端のうち、素体20の幾何中心に対し、第2正方向Y1側に位置する端を第1端とする。また、第1インダクタ配線31の配線本体31Aの端のうち、素体20の幾何中心に対し、第2負方向Y2側に位置する端を第2端とする。
【0022】
第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31の配線本体31Aは、第1端から第2端に向かうにつれて径が小さくなる渦巻き状である。
第1インダクタ配線31の配線本体31Aの配線幅MW1は、一定である。なお、配線幅MW1は、第1主面20Aに平行且つ第1インダクタ配線31の配線本体31Aの延び方向に直交する寸法である。
【0023】
第1インダクタ配線31の配線本体31A間の距離BW1は、第1インダクタ配線31の配線幅MW1に対して1/3以上である。すなわち、第1インダクタ配線31の配線間の最短距離は、第1インダクタ配線31の最小の配線幅に対して1/3以上である。配線本体31A間の距離BW1は、全域に亘って略一定である。なお、第1インダクタ配線31の配線本体31A間の距離BW1は、配線本体31Aの延伸方向に直交する方向における、配線本体31A間同士の距離である。
【0024】
第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bは、配線本体31Aの第1端に接続している。第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bは第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bの配線幅は、配線本体31Aの配線幅MW1に対して大きい。なお、当該第1端パッド31Bの配線幅は、第3軸Zに直交する方向を向いて視たとき、当該第1端パッド31Bと配線本体31Aとの接続箇所での配線本体31Aの延伸方向と直交する方向の第1端パッド31Bの寸法である。すなわち、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bの配線幅は、第2軸Yに沿う方向の寸法である。
図3に示すように、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bは、ビア50を介して柱状配線40に接続している。
【0025】
図2に示すように、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cは、配線本体31Aの第2端に接続している。第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cは第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの配線幅は、配線本体31Aの配線幅MW1に対して大きい。なお、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの配線幅は、第2軸Yに沿う方向の寸法である。
図3に示すように、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cは、ビア50を介して柱状配線40に接続している。
【0026】
第1インダクタ配線31のターン数は2.5である。なお、第1インダクタ配線31のターン数とは、第1端パッド31Bの外周縁から配線本体31Aの外周縁を経て第2端パッド31Cの外周縁に至るまでの全体のターン数である。
【0027】
ここで、各インダクタ配線30のターン数は、仮想ベクトルに基づいて定められる。仮想ベクトルの始点は、パッドを含むインダクタ配線30の配線幅のいずれかの縁を通ってインダクタ配線30の延伸方向に延びる仮想線上に配置されている。そして、仮想ベクトルは、第3軸Zに沿う方向を向いて視たときにインダクタ配線30の延伸方向に延びる仮想線に接している。
【0028】
仮想ベクトルの始点を仮想線の一方の端に配置した状態から、始点を仮想線の他方の端まで移動させたときに、仮想ベクトルの向きが回転した角度が「360°」のときに、ターン数は「1.0ターン」として定められている。したがって、仮想ベクトルの向きが例えば「180°」回転されると、ターン数は「0.5ターン」となる。
【0029】
図1に示すように、第2インダクタ配線32は、素体20内で第1主面20Aに対して平行に延びている。第2インダクタ配線32の構成は、第1インダクタ配線31の構成と同様である。具体的には、第2インダクタ配線32は、第1層L1における第3正方向Z1側の面上を延びている。すなわち、第2インダクタ配線32は、第1インダクタ配線31と同一平面上に延びている。第2インダクタ配線32は、第1インダクタ配線31を基準として、第1負方向X2側に位置している。また、第2インダクタ配線32は、配線本体32Aと、第1端パッド32Bと、第2端パッド32Cと、を有している。
【0030】
図2に示すように、第2インダクタ配線32の配線本体32Aは、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、渦巻き状に延びている。ここで、第2インダクタ配線32の配線本体32Aの端のうち、素体20の幾何中心に対し、第2正方向Y1側に位置する端を第1端とする。また、第2インダクタ配線32の配線本体32Aの端のうち、素体20の幾何中心に対し、第2負方向Y2側に位置する端を第2端とする。
【0031】
第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第2インダクタ配線32の配線本体32Aは、第1端から第2端に向かうにつれて径が小さくなる渦巻き状である。第2インダクタ配線32の配線本体32Aは、第1インダクタ配線31の配線本体31Aと同一方向の渦巻き状に延びている。
【0032】
第2インダクタ配線32の配線本体32Aの配線幅MW2は、一定である。なお、配線幅MW2は、第1主面20Aに平行且つ第2インダクタ配線32の配線本体32Aの延び方向に直交する寸法である。第2インダクタ配線32の配線本体32Aの配線幅MW2は、第1インダクタ配線31の配線本体31Aの配線幅MW1と同じである。
【0033】
第2インダクタ配線32の配線本体32A間の距離BW2は、第2インダクタ配線32の配線幅MW2に対して1/3以上である。すなわち、第2インダクタ配線32の配線間の最短距離は、第2インダクタ配線32の最小の配線幅に対して1/3以上である。配線本体32A間の距離BW2は、全域に亘って略一定である。なお、第2インダクタ配線32の配線本体32A間の距離BW2は、配線本体32Aの延伸方向に直交する方向における、配線本体32A間同士の距離である。
【0034】
第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bは、配線本体32Aの第1端に接続している。第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bは第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bの配線幅は、配線本体32Aの配線幅MW2に対して大きい。なお、当該第1端パッド32Bの配線幅は、第3軸Zに直交する方向を向いて視たとき、当該第1端パッド32Bと配線本体32Aとの接続箇所での配線本体32Aの延伸方向と直交する方向の第1端パッド32Bの寸法である。すなわち、第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bの配線幅は、第2軸Yに沿う方向の寸法である。第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bは、ビア50を介して柱状配線40に接続している。
【0035】
図2に示すように、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cは、配線本体32Aの第2端に接続している。第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cは第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの配線幅は、配線本体32Aの配線幅MW2に対して大きい。なお、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの配線幅は、第1軸Xに沿う方向の寸法である。第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cは、ビア50を介して柱状配線40に接続している。
【0036】
第2インダクタ配線32のターン数は2.5である。なお、第2インダクタ配線32のターン数とは、第1端パッド32Bの外周縁から配線本体32Aの外周縁を経て第2端パッド32Cの外周縁に至るまでの全体のターン数である。
【0037】
図1に示すように、第3インダクタ配線33は、素体20内で第1主面20Aに対して平行に延びている。第3インダクタ配線33の構成は、第1インダクタ配線31の構成と同様である。具体的には、第3インダクタ配線33は、第1層L1における第3正方向Z1側の面上を延びている。すなわち、第3インダクタ配線33は、第1インダクタ配線31と同一平面上に延びている。第3インダクタ配線33は、第2インダクタ配線32を基準として、第1インダクタ配線31とは反対側に位置している。また、第3インダクタ配線33は、配線本体33Aと、第1端パッド33Bと、第2端パッド33Cと、を有している。
【0038】
図2に示すように、第3インダクタ配線33の配線本体33Aは、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、渦巻き状に延びている。ここで、第3インダクタ配線33の配線本体33Aの端のうち、素体20の幾何中心に対し、第2正方向Y1側に位置する端を第1端とする。また、第3インダクタ配線33の配線本体33Aの端のうち、素体20の幾何中心に対し、第2負方向Y2側に位置する端を第2端とする。
【0039】
第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第3インダクタ配線33の配線本体33Aは、第1端から第2端に向かうにつれて径が小さくなる渦巻き状である。第3インダクタ配線33の配線本体33Aは、第1インダクタ配線31の配線本体31Aと同一方向の渦巻き状に延びている。
【0040】
第3インダクタ配線33の配線本体33Aの配線幅MW3は、一定である。なお、配線幅MW3は、第1主面20Aに平行且つ第3インダクタ配線33の配線本体33Aの延び方向に直交する寸法である。第3インダクタ配線33の配線本体33Aの配線幅MW3は、第1インダクタ配線31の配線本体31Aの配線幅MW1と同じである。
【0041】
第3インダクタ配線33の配線本体33A間の距離BW3は、第3インダクタ配線33の配線幅MW3に対して1/3以上である。すなわち、第3インダクタ配線33の配線間の最短距離は、第3インダクタ配線33の最小の配線幅に対して1/3以上である。配線本体33A間の距離BW3は、全域に亘って略一定である。なお、第3インダクタ配線33の配線本体33A間の距離BW3は、配線本体33Aの延伸方向に直交する方向における、配線本体33A間同士の距離である。
【0042】
第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bは、配線本体33Aの第1端に接続している。第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bは第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bの配線幅は、配線本体33Aの配線幅MW3に対して大きい。なお、当該第1端パッド33Bの配線幅は、第3軸Zに直交する方向を向いて視たとき、当該第1端パッド33Bと配線本体33Aとの接続箇所での配線本体33Aの延伸方向と直交する方向の第1端パッド33Bの寸法である。すなわち、第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bの配線幅は、第2軸Yに沿う方向の寸法である。第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bは、ビア50を介して柱状配線40に接続している。
【0043】
図2に示すように、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cは、配線本体33Aの第2端に接続している。第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cは第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cの配線幅は、配線本体33Aの配線幅MW3に対して大きい。なお、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cの配線幅は、第1軸Xに沿う方向の寸法である。第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cは、ビア50を介して柱状配線40に接続している。
【0044】
第3インダクタ配線33のターン数は1.5である。すなわち、第3インダクタ配線33のターン数は、第1インダクタ配線31のターン数及び第2インダクタ配線32のターン数と異なっている。なお、第3インダクタ配線33のターン数とは、第1端パッド33Bの外周縁から配線本体33Aの外周縁を経て第2端パッド33Cの外周縁に至るまでの全体のターン数である。
【0045】
ここで、渦巻き状に延びている3つのインダクタ配線30のうち、第1インダクタ配線31又は第2インダクタ配線32を特定インダクタ配線とする。この場合、特定インダクタ配線のターン数である2.5は、第3インダクタ配線33のターン数である1.5よりも大きい。
【0046】
図2に示すように、第1主面20Aに直交する方向に透視したときに、第1インダクタ配線31の最外周で囲まれた領域と、第2インダクタ配線32の最外周で囲まれた領域とは、互いに重ならない。また、第2インダクタ配線32の最外周で囲まれた領域と、第3インダクタ配線33の最外周で囲まれた領域とは、互いに重ならない。また、第1インダクタ配線31の最外周で囲まれた領域と、第3インダクタ配線33の最外周で囲まれた領域とは、互いに重ならない。なお、インダクタ配線30の最外周とは、渦巻き状に延びるインダクタ配線30において、当該渦の中心軸に直交する方向を向いて視たとき、インダクタ配線30の渦の最も外側に位置する周である。
【0047】
<ビア及び柱状配線について>
図3に示すように、6つのビア50は、素体20における第2層L2の第3正方向Z1側の面上に位置している。具体的には、6つのビア50のうちの2つは、第1インダクタ配線31の第1端パッド31B上、及び第1インダクタ配線31の第2端パッド31C上に位置している。また、6つのビア50のうちの他の2つは、第2インダクタ配線32の第1端パッド32B上、及び第2インダクタ配線32の第2端パッド32C上に位置している。そして、残りのビア50は、第3インダクタ配線33の第1端パッド33B上、及び第3インダクタ配線33の第2端パッド33C上に位置している。6つのビア50の材質は、各インダクタ配線30と同じである。なお、
図3では、第1インダクタ配線31の第1端パッド31B上、及び第1インダクタ配線31の第2端パッド31C上に位置しているビア50のみを図示している。
【0048】
図1に示すように、各柱状配線40は、略四角柱状である。各柱状配線40の材質は、各インダクタ配線30の材質と同じである。
図3に示すように、各柱状配線40は、第1主面20Aに対して直交する方向に延びている。具体的には、各柱状配線40は、ビア50上から第3層L3の第3正方向Z1側の面まで延びている。なお、
図3では、第1インダクタ配線31に接続している2つの柱状配線40のみを図示している。
【0049】
6つの柱状配線40は、2つの第1柱状配線41、2つの第2柱状配線42、及び2つの第3柱状配線43である。2つの第1柱状配線41は、さらに、第1端柱状配線41Aと、第2端柱状配線41Bと、に分けられる。
【0050】
図3に示すように、第1端柱状配線41Aは、ビア50を介して第1インダクタ配線31の第1端に接続している。具体的には、第1端柱状配線41Aは、ビア50を介して第1インダクタ配線31における第1端パッド31Bに接続している。また、第1端柱状配線41Aの第3正方向Z1側の端面は、素体20から露出している。
【0051】
図2に示すように、第1端柱状配線41Aは、第1主面20Aと直交する方向を向いて視たときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1端柱状配線41Aの第1軸Xに沿う方向の寸法及び第2軸Yに沿う方向の寸法は、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bの各寸法よりも小さい。したがって、第3正方向Z1を向いて透視して視たとき、第1端柱状配線41Aは、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bから飛び出していない。
【0052】
図3に示すように、第2端柱状配線41Bは、ビア50を介して第1インダクタ配線31の第2端に接続している。具体的には、第2端柱状配線41Bは、ビア50を介して第1インダクタ配線31における第2端パッド31Cに接続している。また、第2端柱状配線41Bの第3正方向Z1側の端面は、素体20から露出している。
【0053】
図2に示すように、第2端柱状配線41Bは、第1主面20Aと直交する方向を向いて視たときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第2端柱状配線41Bの第1軸Xに沿う方向の寸法及び第2軸Yに沿う方向の寸法は、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの各寸法よりも小さい。したがって、第3正方向Z1を向いて透視して視たとき、第2端柱状配線41Bは、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cから飛び出していない。
【0054】
図2に示すように、2つの第2柱状配線42は、さらに、第1端柱状配線42Aと、第2端柱状配線42Bと、に分けられる。
第2柱状配線42のうちの第1端柱状配線42Aは、ビア50を介して第2インダクタ配線32の第1端に接続している。具体的には、第1端柱状配線42Aは、ビア50を介して第2インダクタ配線32における第1端パッド32Bに接続している。また、第1端柱状配線42Aの第3正方向Z1側の端面は、素体20から露出している。
【0055】
第1端柱状配線42Aは、第1主面20Aと直交する方向を向いて視たときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1端柱状配線42Aの第1軸Xに沿う方向の寸法及び第2軸Yに沿う方向の寸法は、第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bの各寸法よりも小さい。したがって、第3正方向Z1を向いて透視して視たとき、第1端柱状配線42Aは、第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bから飛び出していない。
【0056】
第2端柱状配線42Bは、ビア50を介して第2インダクタ配線32の第2端に接続している。具体的には、第2端柱状配線42Bは、ビア50を介して第2インダクタ配線32における第2端パッド32Cに接続している。また、第2端柱状配線42Bの第3正方向Z1側の端面は、素体20から露出している。
【0057】
第2端柱状配線42Bは、第1主面20Aと直交する方向を向いて視たときに、第2軸Yに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第2端柱状配線42Bの第1軸Xに沿う方向の寸法及び第2軸Yに沿う方向の寸法は、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの各寸法よりも小さい。したがって、第3正方向Z1を向いて透視して視たとき、第2端柱状配線42Bは、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cから飛び出していない。
【0058】
2つの第3柱状配線43は、さらに、第1端柱状配線43Aと、第2端柱状配線43Bと、に分けられる。
図2に示すように、第3柱状配線43のうちの第1端柱状配線43Aは、ビア50を介して第3インダクタ配線33の第1端に接続している。具体的には、第1端柱状配線43Aは、ビア50を介して第3インダクタ配線33における第1端パッド33Bに接続している。また、第1端柱状配線43Aの第3正方向Z1側の端面は、素体20から露出している。
【0059】
第1端柱状配線43Aは、第1主面20Aと直交する方向を向いて視たときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第1端柱状配線43Aの第1軸Xに沿う方向の寸法及び第2軸Yに沿う方向の寸法は、第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bの各寸法よりも小さい。したがって、第3正方向Z1を向いて透視して視たとき、第1端柱状配線43Aは、第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bから飛び出していない。
【0060】
第2端柱状配線43Bは、ビア50を介して第3インダクタ配線33の第2端に接続している。具体的には、第2端柱状配線43Bは、ビア50を介して第3インダクタ配線33における第2端パッド33Cに接続している。また、第2端柱状配線43Bの第3正方向Z1側の端面は、素体20から露出している。
【0061】
第2端柱状配線43Bは、第1主面20Aと直交する方向を向いて視たときに、第1軸Xに沿う方向に長辺を有する略長方形状である。第2端柱状配線43Bの第1軸Xに沿う方向の寸法及び第2軸Yに沿う方向の寸法は、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cの各寸法よりも小さい。したがって、第3正方向Z1を向いて透視して視たとき、第2端柱状配線43Bは、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cから飛び出していない。
【0062】
<外部電極について>
図3に示すように、各外部電極60は、素体20の第1主面20Aに位置している。第1電極層60Aは、柱状配線40に接続している。すなわち、各外部電極60は、第1主面20Aから露出している。また、各外部電極60は、それぞれ対応する柱状配線40に接続している。
【0063】
各外部電極60は、第1電極層60A、第2電極層60B、及び第3電極層60Cを備えている。第1電極層60A、第2電極層60B、及び第3電極層60Cは、それぞれ異なる材質からなる。
【0064】
第1電極層60Aは、外部電極60において、最も素体20側に位置している。第1電極層60Aは、柱状配線40に接続している。第1電極層60Aの材質は、Cuである。第1電極層60Aの第3軸Zに沿う方向の寸法は、各インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の寸法に対して小さい。
【0065】
第2電極層60Bは、第1電極層60Aにおける第3正方向Z1側の面上に積層されている。第2電極層60Bの材質は、ニッケルである。第2電極層60Bの第3軸Zに沿う方向の寸法は、第1電極層60Aの第3軸Zに沿う方向の寸法と略同じである。
【0066】
第3電極層60Cは、第2電極層60Bにおける第3正方向Z1側の面上に積層されている。第3電極層60Cの材質は、Auである。第3電極層60Cは、外部電極60のうち、第1電極層60Aに対して最も離れている表面層である。第3電極層60Cの第3軸Zに沿う方向の寸法は、第1電極層60Aの第3軸Zに沿う方向の寸法に対して小さい。
【0067】
また、これら第1電極層60A、第2電極層60B、第3電極層60Cを含めた各外部電極60の第1主面20A上に形成された部分の第3軸Zに沿う方向の寸法は、各インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の寸法の1/2以下である。具体的には、各外部電極60の第3軸Zに沿う方向の寸法は、0.01mmである。なお、上述したとおり、第1層L1の厚み、第2層L2の厚み、及び第3層L3の厚みの合計値、すなわち、素体20の厚みは約0.13mmである。したがって、素体20及び外部電極60を含む、インダクタ部品10全体の第3軸Zに直交する方向の最大寸法は、0.2mm以下である。
【0068】
図1に示すように、複数の外部電極60は、2つの第1外部電極61と、2つの第2外部電極62と、2つの第3外部電極63と、を含んでいる。
第1外部電極61は、さらに、第1端電極61Aと第2端電極61Bと、に分けられる。第1端電極61Aと、第2端電極61Bとは、第2軸Yに沿う方向に対称的に配置されている。つまり、第1軸Xに沿う方向での第1端電極61Aの位置は、第1軸Xに沿う方向での第2端電極61Bの位置と一致している。
【0069】
図2に示すように、第1外部電極61のうちの第1端電極61Aは、素体20の第1正方向X1側、且つ第2正方向Y1側の角部に位置している。第1外部電極61のうちの第1端電極61Aは、第1柱状配線41のうちの第1端柱状配線41Aに接続している。
【0070】
第1外部電極61のうちの第2端電極61Bは、素体20の第1正方向X1側、且つ第2負方向Y2側の角部に位置している。第1外部電極61のうちの第2端電極61Bは、第1柱状配線41のうちの第2端柱状配線41Bに接続している。
【0071】
図1に示すように、第2外部電極62は、さらに、第1端電極62Aと第2端電極62Bと、に分けられる。第1端電極62Aと、第2端電極62Bとは、第2軸Yに沿う方向に対称的に配置されている。つまり、第1軸Xに沿う方向での第1端電極62Aの位置は、第1軸Xに沿う方向での第2端電極61Bの位置と一致している。
【0072】
図2に示すように、第2外部電極62のうちの第1端電極62Aは、第1外部電極61のうちの第1端電極62Aに対して第1負方向X2側に位置している。すなわち、第2外部電極62のうちの第1端電極62Aは、第1外部電極61のうちの第1端電極61Aと間隔を空けて第1軸Xに沿う方向に並んでいる。第2外部電極62のうちの第1端電極62Aは、第2柱状配線42のうちの第1端柱状配線42Aに接続している。
【0073】
第2外部電極62のうちの第2端電極62Bは、第1外部電極61のうちの第2端電極61Bに対して第1負方向X2側に位置している。すなわち、第2外部電極62のうちの第2端電極62Bは、第1外部電極61のうちの第2端電極61Bと間隔を空けて第1軸Xに沿う方向に並んでいる。第2外部電極62のうちの第2端電極62Bは、第2柱状配線42のうちの第2端柱状配線42Bに接続している。
【0074】
図1に示すように、第3外部電極63は、さらに、第1端電極63Aと第2端電極63Bと、に分けられる。第1端電極63Aと、第2端電極63Bとは、第2軸Yに沿う方向に対称的に配置されている。つまり、第1軸Xに沿う方向での第1端電極63Aの位置は、第1軸Xに沿う方向での第2端電極63Bの位置と一致している。
【0075】
図2に示すように、第3外部電極63のうちの第1端電極63Aは、第2外部電極62の第1端電極62Aに対して第1負方向X2側に位置している。すなわち、第3外部電極63のうちの第1端電極63Aは、第2外部電極62のうちの第1端電極62Aと間隔を空けて第1軸Xに沿う方向に並んでいる。第3外部電極63のうちの第1端電極63Aは、第3柱状配線43のうちの第1端柱状配線43Aに接続している。
【0076】
第3外部電極63のうちの第2端電極63Bは、第2外部電極62のうちの第2端電極62Bに対して第1負方向X2側に位置している。すなわち、第3外部電極63のうちの第2端電極63Bは、第2外部電極62のうちの第2端電極62Bと間隔を空けて第1軸Xに沿う方向に並んでいる。第3外部電極63のうちの第2端電極63Bは、第3柱状配線43のうちの第2端柱状配線42Bに接続している。
【0077】
<絶縁層について>
インダクタ部品10は、絶縁層70を備えている。絶縁層70は、素体20の第1主面20A上に位置している。また、絶縁層70は、各外部電極60の周囲に位置している。すなわち、絶縁層70は、各外部電極60を除く第1主面20Aを覆っている。本実施形態では、絶縁層70はソルダーレジストである。絶縁層70の第3軸Zに沿う方向の寸法は、外部電極60の第3軸Zに沿う方向の寸法と略同一になっている。
【0078】
<外部電極の形状及び配置について>
図2に示すように、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、外部電極60の形状はいずれも縦横比が同じ長方形状である。さらに、外部電極60の大きさはいずれも同じである。すなわち、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、外部電極60の面積はいずれも同じである。
【0079】
ここで、複数のインダクタ配線30の中で最も第1負方向X2側に位置するインダクタ配線30の端に柱状配線40を介して接続している外部電極60を特定外部電極SPとする。すなわち、本実施形態において、特定外部電極SPは、2つの第3外部電極63である。ここで、各第1外部電極61から第1外部電極61に対して第1正方向X1側に位置する第1主面20Aの縁までの最短距離SL1は、特定外部電極SPから特定外部電極SPに対して第1負方向X2側に位置する第1主面20Aの縁までの最短距離SL2に等しい。すなわち、第1外部電極61と第1軸Xに直交する第1主面20Aの短辺との最短距離SL1は、各特定外部電極SPと第1軸Xに直交する第1主面20Aの短辺との最短距離SL2に等しい。
【0080】
図2に示すように、第1インダクタ配線31に接続する第1端電極61A及び第2端電極61Bの最短距離SD1は、第2インダクタ配線32に接続する第1端電極62A及び第2端電極62Bの最短距離SD2と等しい。また、第3インダクタ配線33に接続する第1端電極63A及び第2端電極63Bの最短距離SD3は、上記の第1インダクタ配線31に接続する第1端電極61Aの最短距離SD1及び第2端電極61Bの最短距離SD2と等しい。
【0081】
各外部電極60は、第1軸Xに沿う方向において等間隔に並んでいる。具体的には、第3軸Zに沿う方向で視たときの各外部電極60の幾何中心を幾何中心OEとする。このとき、第1端電極61Aの幾何中心OE、第1端電極62Aの幾何中心OE、及び第1端電極63Aの幾何中心OEは、第1軸Xに平行に等ピッチで並んでいる。同様に、第2端電極61Bの幾何中心OE、第2端電極62Bの幾何中心OE、及び第2端電極63Bの幾何中心OEは、第1軸Xに平行に等ピッチで並んでいる。
【0082】
<柱状配線の形状について>
図3に示すように、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、柱状配線40及びビア50を足し合わせた第3軸Zに沿う方向の最大寸法と等しい。すなわち、柱状配線40及びビア50を足し合わせた第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、0.07mmである。また、各柱状配線40の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、0.06mmである。ビア50の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、0.01mmである。
【0083】
また、上述したように、第2層L2の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、0.04mmである。すなわち、インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、0.04mmである。つまり、柱状配線40の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の最大寸法に対して1.5倍以上である。
【0084】
<インダクタ配線の配置について>
本実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、各インダクタ配線30は、全体として長方形状の渦巻きである。3つのインダクタ配線30の中で、第1インダクタ配線31の配線長が、最も長くなっている。そして、第2インダクタ配線32の配線長、第3インダクタ配線33の配線長の順で、配線長が短くなっている。また、
図2に示すように、3つのインダクタ配線30の中で、第1インダクタ配線31の内径が、最も大きくなっている。つまり、第2インダクタ配線32の内径及び第3インダクタ配線33の内径は、第1インダクタ配線31の内径よりも小さくなっている。そして、第2インダクタ配線32の内径は、第3インダクタ配線33の内径よりも小さくなっている。なお、インダクタ配線30の内径は次のように定義する。
【0085】
渦巻き状に延びるインダクタ配線30において、当該渦の中心軸に直交する方向を向いて視たとき、インダクタ配線30の渦の最も内側の周における最大寸法を内径とする。本実施形態では、第1負方向X2側且つ第2負方向Y2側に位置するインダクタ配線30の内側の縁から第1正方向X1側且つ第2正方向Y1側に位置する当該インダクタ配線30の内側の縁に引くことができる対角線が内径である。
【0086】
第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したとき、第1インダクタ配線31は、第2外部電極62と重なる部分を有している。具体的には、第1インダクタ配線31は、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したとき、第2外部電極62のうちの第1端電極62Aに重なる部分と、第2外部電極62のうちの第2端電極62Bに重なる部分と、を有している。第1インダクタ配線31は、渦巻き状の最も外側の周において、第1端電極62A及び第2端電極62Bと重なっている。
【0087】
また、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したとき、第2インダクタ配線32は、第3外部電極63と重なる部分を有している。具体的には、第2インダクタ配線32は、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したとき、第3外部電極63のうちの第1端電極63Aに重なる部分と、第3外部電極63のうちの第2端電極63Bに重なる部分と、を有している。第2インダクタ配線32は、渦巻き状の最も外側の周において、第1端電極63A及び第2端電極63Bと重なっている。
【0088】
なお、第3インダクタ配線33は、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したとき、他のインダクタ配線30と接続している外部電極60と重なる部分を有していない。つまり、第3インダクタ配線33は、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したとき、第1端電極61A、62A、第2端電極61B、62Bと重複していない。
【0089】
<インダクタ配線のパッドの形状について>
図2に示すように、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bの大きさ及び形状は、第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bの大きさ及び形状と同じである。また、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bの大きさ及び形状は、第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bの大きさ及び形状と同一である。つまり、3つの第1端パッド31B、32B、33Bは、全て同じ大きさ及び形状である。
【0090】
第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの大きさ及び形状は、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの大きさ及び形状と異なっている。具体的には、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの第1軸Xに沿う方向の寸法は、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの第1軸Xに沿う方向の寸法に比べて小さくなっている。つまり、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cにおける大きさ及び形状から選ばれる1つ以上は、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cにおける大きさ及び形状から選ばれる1つ以上とは異なっている。本実施形態では、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの大きさは、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの大きさと異なっている。また、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの形状は、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの形状と異なっている。すなわち、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cにおける大きさ及び形状の両方が、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cにおける大きさ及び形状と異なっている。その一方で、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの大きさ及び形状は、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cの大きさ及び形状と同一である。このように、3つの第2端パッド31C、32C、33Cのうち、第2端パッド32Cのみが、他の第2端パッド31C、33Cに比較して大きくなっている。
【0091】
各インダクタ配線30のうちの1つ以上において、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、当該インダクタ配線30が有する2つのパッドの大きさ及び形状は同一である。具体的には、
図2に示すように、各インダクタ配線30のうち、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bの大きさ及び形状は、第2端パッド31Cの大きさ及び形状と同一である。また、第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bの大きさ及び形状も、及び第2端パッド33Cの大きさ及び形状と同一である。その一方で、第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bの大きさ及び形状は、第2端パッド32Cの大きさ及び形状と異なっている。つまり、6つのパッドのうち、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cのみが、他のパッドとは大きさ及び形状が異なっている。
【0092】
<インダクタ配線のパッドの配置について>
図2に示すように、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、各インダクタ配線30の第1端パッドの幾何中心は、第1軸Xに沿う方向に平行な同一直線上に位置している。すなわち、第1インダクタ配線31の第1端パッド31Bの幾何中心CR1と、第2インダクタ配線32の第1端パッド32Bの幾何中心CR2と、第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bの幾何中心CR3と、は第1軸Xに平行な同一直線上に位置している。
【0093】
また、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、各インダクタ配線30の第2端パッドの幾何中心は、第1軸Xに沿う方向に平行な同一直線上に位置していない。具体的には、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの幾何中心CL1及び第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの幾何中心CL2は、第1軸Xに平行な同一直線上に位置している。その一方で、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cの幾何中心CL3は、幾何中心CL1及び幾何中心CL2を通る直線上に位置していない。この実施形態では、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cの幾何中心CL3は、幾何中心CL1及び幾何中心CL2に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0094】
<柱状配線の配置について>
各柱状配線40は、対応する外部電極60に対して偏心した箇所に位置している。具体的には、第3軸Zに沿う方向で視たときの各柱状配線40における第1主面20Aから露出している面の幾何中心を、幾何中心OPとする。このとき、柱状配線40の幾何中心OPは、その柱状配線40に接続している外部電極60の幾何中心OEに対してずれている。換言すると、柱状配線40の幾何中心OPは、外部電極60の幾何中心OEと一致していない。
【0095】
ここで、第1柱状配線41のうちの第1端柱状配線41Aの幾何中心OPから、第1外部電極61のうちの第1端電極61Aの幾何中心OEへ向かうベクトルを第1ベクトルBC1とする。そして、第2柱状配線42のうちの第1端柱状配線42Aの幾何中心OPから、第2外部電極62のうちの第1端電極62Aの幾何中心OEへ向かうベクトルを第2ベクトルBC2とする。このとき、第1ベクトルBC1は、第2ベクトルBC2と異なっている。具体的には、第1ベクトルBC1の向きは第2ベクトルBC2の向きと異なっており、且つ第1ベクトルBC1の大きさは第2ベクトルBC2の大きさと異なっている。
【0096】
また、第3柱状配線43のうちの第1端柱状配線43Aの幾何中心OPから、第3外部電極63のうちの第1端電極63Aの幾何中心OEへ向かうベクトルを第5ベクトルとするBC5とする。第1ベクトルBC1は、第5ベクトルBC5と異なっている。また、第2ベクトルBC2は、第5ベクトルBC5と異なっている。
【0097】
また、第1柱状配線41のうちの第2端柱状配線41Bの幾何中心OPから、第1外部電極61のうちの第2端電極61Bの幾何中心OEへ向かうベクトルを第3ベクトルBC3とする。このとき、第1ベクトルBC1は、第3ベクトルBC3と異なっている。具体的には、第1ベクトルBC1の向きは第3ベクトルBC3の向きと異なっており、且つ第1ベクトルBC1の大きさは第3ベクトルBC3の大きさと異なっている。
【0098】
また、第2柱状配線42及び第3柱状配線43についても、上記の、第1柱状配線41における第1ベクトルBC1の向きに対する第3ベクトルBC3と同じような関係になっている。第2柱状配線42のうちの第2端柱状配線42Bの幾何中心OPから、第2外部電極62のうちの第2端電極62Bの幾何中心OEへ向かうベクトルを第4ベクトルBC4とする。第2ベクトルBC2は、第4ベクトルBC4と異なっている。同様に、第3柱状配線43のうちの第2端柱状配線43Bの幾何中心OPから、第3外部電極63のうちの第2端電極63Bの幾何中心OEへ向かうベクトルを第6ベクトルBC6とする。このとき、第5ベクトルBC5は、第6ベクトルBC6と異なっている。
【0099】
また、第1柱状配線41に関し、第1端柱状配線41Aの幾何中心OPと第2端柱状配線41Bの幾何中心OPとを結ぶ仮想の線分Lを引いたとする。このとき、線分Lは、第1軸X及び第2軸Yのいずれに対しても平行になっていない。すなわち、線分Lは、第1主面20Aのいずれの辺に対しても平行でない。図示は省略するが、第2柱状配線42に関し、第1端柱状配線42Aの幾何中心OPと第2端柱状配線42Bの幾何中心OPとを結ぶ仮想の線分を引いたとする。同様に、第3柱状配線43に関し、第1端柱状配線43Aの幾何中心OPと第2端柱状配線43Bの幾何中心OPとを結ぶ仮想の線分を引いたとする。これら2つの仮想の線分も、第1軸X及び第2軸Yに対して平行になっていない。
【0100】
第1軸Xに沿う方向において、第1端柱状配線41Aが存在する範囲の一部又は全部は、第2端柱状配線41Bが存在する範囲と重複している。つまり、素体20を第2軸Yに沿う方向で透視したとき、第1柱状配線41の第1端柱状配線41Aと第2端柱状配線41Bは、重複している。この点、第2柱状配線42及び第3柱状配線43についても同様である。すなわち、第2柱状配線42の第1端柱状配線42Aと第2端柱状配線42Bは、重複している。また、第3柱状配線43の第1端柱状配線43Aと第2端柱状配線43Bは、重複している。
【0101】
<素体の第3層の寸法を変更したシミュレーションについて>
素体20の第3層L3の長さを変更した場合に得られるインダクタ部品10のQ値についてシミュレーションを行った。
【0102】
シミュレーションでは、10μm毎に第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法を変更し、各寸法においてインダクタ部品10が取得するQ値を算出した。第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法は、10μm~90μmの範囲で変更した。また、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法を増加させるごとに、柱状配線40の第3軸Zに沿う方向の寸法も増加するようにシミュレーションした。
【0103】
Q値の算出は、第1インダクタ配線31、第2インダクタ配線32、第3インダクタ配線33のそれぞれにおいて行った。なお、Q値は、インダクタ部品10に電流を流した際に生じる渦電流損失が大きいほど低下する。
【0104】
図5に示すように、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法を増加させるにしたがって、各インダクタ配線30においてQ値が増加した。なお、
図5では、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法が10μmである場合のQ値を100%としている。
【0105】
図6に示すように、上記シミュレーションによって得られた、各インダクタ配線30におけるQ値の変化に関して、その変化の傾きを算出した。第3層L3の第3軸Zの沿う方向の寸法が20μm以上且つ40μmより小さい範囲では、第2インダクタ配線32のQ値の傾きと他のインダクタ配線30のQ値の傾きとの差が大きかった。一方で、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法が40μm以上の場合、Q値の傾きは、各インダクタ配線30において収束し、インダクタ配線30毎の差が小さくなった。そして、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法が50μm以上の場合、各インダクタ配線30におけるQ値の傾きはさらに収束し、0.02から0.04の範囲内で、ほぼ同様の値を示した。すなわち、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法が40μm以上の場合、その寸法の大小に拘わらず、インダクタ配線30毎のQ値の傾きの差は小さくなった。また、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の寸法が50μm以上の場合、その寸法の大小に拘わらず、インダクタ配線30毎のQ値の傾きはさらに小さくなり、ほぼ同様の値を示した。
【0106】
また、本実施形態とは異なり、第1主面に直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線が第2外部電極と重なる部分を有していないインダクタ部品をモデルとして同様のシミュレーションを行った。
【0107】
図7に示すように、上記モデルのインダクタ部品を対象として、各インダクタ配線におけるQ値を算出した。なお、このシミュレーションにおいても、第3層の第3軸Zに沿う方向の寸法が10μmの場合に取得されるQ値を100%として、各Q値を算出した。第3層の第3軸Zに沿う方向の寸法を増加させるにしたがって、各インダクタ配線においてQ値は上昇した。すなわち、当該モデルを対象としたシミュレーションにおいても、本実施形態のインダクタ部品10を対象としたシミュレーションと同様の結果が得られた。また、
図8に示すように、各インダクタ配線におけるQ値の変化に関して、その変化の傾きを算出した。そして、当該モデルを対象としたシミュレーションにおいても、第3層の第3軸Zに沿う方向の寸法が40μm以上の場合、その寸法の大小に拘わらず、インダクタ配線毎のQ値の傾きの差は小さくなった。そして、第3層の第3軸Zに沿う方向の寸法が50μm以上の場合、その寸法の大小に拘わらず、インダクタ配線毎のQ値の傾きの差はさらに小さくなり、ほぼ同様の値を示した。
【0108】
<本実施形態の効果について>
(1)仮に、インダクタ部品10に電流を流した場合、第1主面20Aと直交する方向に磁束が流れる。そして、発生した磁束は外部電極60を貫く。このように、外部電極60を貫く磁束が多いほど、インダクタ部品10における渦電流損失が増大する。すなわち、インダクタ部品10のQ値が低下する。
【0109】
上記実施形態において、第3層L3の最短距離、すなわち、外部電極60から各インダクタ配線30までの最短距離は0.04mm以上である。この寸法関係によれば、各インダクタ配線30に電流を流した際に発生する磁束が、外部電極60を貫くことを抑制できる。したがって、この構成によれば、各インダクタ配線30に電流を流した際の渦電流損失を抑制できる。
【0110】
また、上述したように、当該最短距離が0.04mm以上の場合であれば、インダクタ部品10に電流を流した際におけるインダクタ部品10のQ値の傾きは、各インダクタ配線30において近いの値となる。すなわち、外部電極60から各インダクタ配線30までの最短距離が0.04mm以上であれば、複数作製したインダクタ部品10において、製品毎に多少の寸法のばらつきが生じたとしても、各インダクタ部品10においてQ値に関して安定した特性が得られる。
【0111】
(2)上記実施形態において、第1主面20Aからインダクタ配線30までの最短距離は、第2主面20Bからインダクタ配線30までの最短距離の2倍以上である。この構成によれば、第1主面20Aからインダクタ配線30までの距離を十分に保ちつつ、第2主面20Bからインダクタ配線30までの距離を小さくできる。すなわち、素体20の第1主面20Aに直交する方向の寸法の拡大を抑制できる。
【0112】
(3)上記実施形態において、各インダクタ配線30は、渦巻き状に延びている。また、各インダクタ配線30は、同一方向の渦巻き状に延びている。この構成によれば、各インダクタ配線30において電流の向きを同一にでき、各インダクタ配線30間の結合係数の調節がしやすい。
【0113】
(4)上記実施形態において、外部電極60の第1主面20Aに直交する方向の最大寸法は、インダクタ配線30の第1主面20Aに直交する方向の最大寸法の1/2以下である。外部電極60の第1主面20Aに直交する方向の寸法が小さいと、インダクタ部品10の第3軸Zに沿う方向の寸法を小さくできる。
【0114】
(5)上記実施形態において、第1インダクタ配線31の配線本体31A間の距離BW1は、インダクタ配線30の最小の配線幅に対して1/3以上である。すなわち、第1インダクタ配線31の配線間の最短距離は、インダクタ配線30の最小の配線幅に対して1/3以上である。上記構成によれば、配線間の距離を確保できる。これにより、配線間の間で発生する浮遊容量を低減できる。
【0115】
(6)上記実施形態において、柱状配線40の第1主面20Aに直交する方向の最大寸法は、インダクタ配線30の第1主面20Aに直交する方向の最大寸法に対して1.5倍以上である。このように、インダクタ配線30の厚みに対して、柱状配線40の厚みを大きくすることで、外部電極60を貫く磁束を抑制できる。
【0116】
(7)上記実施形態において、第1インダクタ配線31に関して、第1端柱状配線41Aの幾何中心OPと第2端柱状配線41Bの幾何中心OPとを結ぶ線分Lが、第1軸X及び第2軸Yのいずれに対しても平行でない。つまり、第1柱状配線41の第1端柱状配線41A及び第2端柱状配線41Bの位置関係が特定の位置関係に制限されていない。したがって、所望のインダクタンス値を得るための各インダクタ配線の形状等に応じて、各柱状配線40の位置関係を設定できる。
【0117】
(8)上記実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、複数の外部電極60の形状及び面積はいずれも同じである。この構成によれば、インダクタ部品10を基板に実装する際に、各外部電極60上に塗布するはんだの量を同じにできる。これにより、各外部電極60に塗布したはんだの硬化スピードをほぼ同じにできる。すなわち、この構成によれば、はんだの硬化時間を管理しやすい。その結果、はんだが硬化する前にインダクタ部品10がずれてしまって、基板に対してインダクタ部品10が位置ずれしてしまうことを抑制できる。さらに、上記構成によれば各外部電極60にはんだを塗布する際に、外部電極60毎にはんだの塗布量を調整する手間が不要である。
【0118】
(9)上記実施形態において、素体20の第1主面20Aに直交する方向の最大寸法は、0.13mmである。このように、素体20の厚みが小さいと、パッケージ基板のランド側への実装が可能になる。このような観点からすると、素体20の第1主面20Aに直交する方向の最大寸法は、0.15mm以下であると好ましい。
【0119】
(10)上記実施形態によれば、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31は、第2インダクタ配線32に接続している第2外部電極62上にまで至っている。ここで、第1主面20Aに直交する方向を向いて素体20を透視して当該素体20を第1軸Xに沿う方向に三等分したとする。このとき、第1インダクタ配線31は、主として第2インダクタ配線32が配置されている中央の領域にまで至っている。そのため、第1インダクタ配線31を長くできる。その結果として、第1インダクタ配線31と、他のインダクタ配線30との配線長の違いを大きくできる。このように、配線長の違いを生じさせることにより、インダクタ配線30毎に好ましいインダクタンス値を取得できる。
【0120】
(11)上記実施形態において、各インダクタ配線30の第1端パッドの幾何中心は、第1軸Xに平行な同一直線上に位置している。一方で、第3インダクタ配線33の第2端パッド33Cは、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cと第1軸Xに平行な同一直線上に位置していない。この構成によれば、第2軸Yに沿う方向での第3インダクタ配線33の第1端パッド33Bと第2端パッド33Cとの間隔は、他のインダクタ配線30における第2軸Yに沿う方向での第1端パッドと第2端パッドとの間隔と異なる。このようにパッドの位置の違いにより、インダクタ配線30毎の配線本体の配線長を異なる配線長に設計しやすい。したがって、インダクタ配線30毎に異なるインダクタンス値を得ることが可能である。
【0121】
(12)上記実施形態によれば、第1インダクタ配線31の第2端パッド31Cの大きさ及び形状は、第2インダクタ配線32の第2端パッド32Cの大きさ及び形状とは異なっている。このように、各インダクタ配線30のパッドの形状を統一するのではなく、あえて形状を異ならしめることで、各インダクタ配線30の配線長及び形状に関して設計自由度が向上する。それにより、第1インダクタ配線31のインダクタンス値と第2インダクタ配線32のインダクタンス値との差を大きくしやすい。
【0122】
(13)上記実施形態において、第1インダクタ配線31の第1端柱状配線41Aの幾何中心OPは第1端電極61Aの幾何中心OEに対してずれている。また、第1インダクタ配線31の第2端柱状配線41Bの幾何中心OPは、第2端電極61Bの幾何中心OEに対してずれている。そして、第1端柱状配線41Aの幾何中心OPから第1端電極61Aの幾何中心OEに向かう第1ベクトルBC1と、第2端柱状配線41Bの幾何中心OPから第2端電極61Bの幾何中心OEに向かう第3ベクトルBC3は、異なっている。つまり、外部電極60に対する柱状配線40の位置を特定の位置に制限していない。このことにより、柱状配線40と外部電極60との接続位置等の設計における自由度を向上できる。それに伴い、各インダクタ配線30の設計自由度も高くなり、インダクタ配線30毎のインダクタンス値に違いを持たせやすい。
【0123】
(14)上記実施形態において、第1インダクタ配線31の第1端柱状配線41Aの幾何中心OPは第1端電極61Aの幾何中心OEに対してずれている。また、第2インダクタ配線32の第1端柱状配線42Aの幾何中心OPは、第1端電極62Aの幾何中心OEに対してずれている。そして、第1ベクトルBC1と、第2ベクトルBC2とは、異なっている。上記構成によれば、柱状配線40と外部電極60との接続位置等の設計における自由度を向上できる。それに伴い、各インダクタ配線30の設計自由度も高くなり、インダクタ配線30毎のインダクタンス値に違いを持たせやすい。
【0124】
(15)上記実施形態において、各インダクタ配線30ターン数は、1.5以上である。この構成によって、各インダクタ配線30から得られるインダクタンス値の最大値が向上する。
【0125】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0126】
・上記実施形態において、複数のインダクタ配線30から選ばれる1つ以上は、渦巻き状でなくてもよい。すなわち、複数のインダクタ配線30から選ばれる1つ以上は、ターン数が1以下であってもよい。例えば、
図4に示す例のように、第3インダクタ配線33は、ミアンダ形状であってもよい。また、インダクタ配線30は、第2軸Yと平行に延びるストレート形状であってもよいし、弓状に湾曲した形状でもよい。複数のインダクタ配線30から選ばれる1つ以上が上記インダクタ配線30の形状であったとしても(1)に記載の効果は得られる。また、すべてのインダクタ配線30において、ターン数が1以下であってもよい。
【0127】
・上記実施形態において、素体20及び外部電極60を含む第1主面20Aに直交する方向の最大寸法は、0.2mmより大きくてもよい。
・上記実施形態において、第3軸Zに沿う方向における素体20の第1層L1、第2層L2、及び第3層L3における各寸法は、上記実施形態に限定されない。また、第1層L1、第2層L2、及び第3層L3を含めた第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、0.13mmより大きくてもよい。
【0128】
・上記実施形態において、第3層L3の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、第1層L1の第3軸Zに沿う方向の最大寸法の2倍以上でなくてもよい。
・上記実施形態において、複数のインダクタ配線30から選ばれる1つ以上のインダクタ配線30は、他のインダクタ配線30と異なる方向の渦巻き状でもよい。例えば、
図9に示す例では、第3インダクタ配線33は、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第3インダクタ配線33の配線本体33Aは、第1端から第2端に向かうにつれて径が小さくなる渦巻き状である。
図9に示す例の第3インダクタ配線33の配線本体33Aは、第1インダクタ配線31の配線本体31Aと異なる方向の渦巻き状に延びている。このように、異なる方向の渦巻き状のインダクタ配線30を採用することによって、同一方向の渦巻き状では実現しにくいようなインダクタ配線30間の結合係数を得ることも可能である。
【0129】
・上記実施形態において、複数のインダクタ配線30のうちの1つのインダクタ配線30の配線幅が、他のインダクタ配線30の配線幅と異なっていてもよい。例えば、
図10に示す例のように、第3インダクタ配線33の配線幅MW3は、第1インダクタ配線31の配線幅MW1に比べて大きい。
図10に示す例の構成のように、インダクタ配線30において好ましい配線幅を採用することによって、インダクタ配線30毎に好適なインダクタンス値を取得できる。なお、
図10に示す例に限らず、第1インダクタ配線31の配線本体31Aの配線幅MW1、第2インダクタ配線32の配線幅MW2、及び第3インダクタ配線33の配線幅MW3がそれぞれ異なっていてもよい。
【0130】
・上記実施形態において、インダクタ部品10は、少なくとも1つのインダクタ配線30を有していればよい。
図11に示す例では、インダクタ部品10は、素体20と、第1インダクタ配線31と、2つの柱状配線40と、2つの外部電極60とを備えている。また、
図11に示す例では、インダクタ部品10は、2つのビア50と、絶縁層70とを備えている。すなわち、
図11に示す例におけるインダクタ部品10は、本実施形態のインダクタ部品10において第2インダクタ配線32及び第3インダクタ配線33と、これらの配線に接続する柱状配線40、ビア50、外部電極60、に関する構成を省略した構成である。したがって、
図11に示す例におけるインダクタ部品10は、第1主面20Aからインダクタ配線30までの最短距離は、0.04mm以上である。
図11に示す例におけるインダクタ部品10においても上記(1)に記載の効果が得られる。なお
図12に示す例のように、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したとき、インダクタ配線30は、外部電極60の第1軸Xに沿う方向の範囲内に収容されていてもよい。
【0131】
・上記実施形態において、インダクタ部品10は、外部電極60を省略可能である。外部電極60を省略する場合、柱状配線40において第1主面20Aから露出する面が、直接基板上の端子に接続されていればよい。
【0132】
・上記実施形態において、素体20の材質は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、素体20の材質は、磁性材を含んでいてもよい。例えば、素体20の材質は、Fe以外の金属磁性粉から構成されていてもよい。その例として、Ni、Cr、Cu、Al、並びにこれらの合金を挙げることができる。
【0133】
・上記実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31は、第2外部電極62と重なる部分を有していなくてもよい。
・上記実施形態において、インダクタ配線30は、第1インダクタ配線31及び第2インダクタ配線32のみで構成されていてもよい。また、インダクタ部品10は、4つ以上のインダクタ配線30を備えていてもよい。
【0134】
・上記実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、第1インダクタ配線31は、2つの第2外部電極62のそれぞれに対して重なる部分を有していなくてもよい。すなわち、第1インダクタ配線31は、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、少なくとも、第2外部電極62のうちの第1端電極62Aまたは第2外部電極62のうちの第2端電極62Bのうちのどちらか一方と重なっていればよい。さらに、第1インダクタ配線31は、2つの第2外部電極62のいずれに対しても重なっていなくてもよい。
【0135】
・上記実施形態において、第2インダクタ配線32は、第3外部電極63と重なる部分を有していなくてもよい。
・上記実施形態において、すべてのインダクタ配線30の内径が同じでもよい。
【0136】
・上記実施形態において、すべてのインダクタ配線30のターン数は、同じであってもよい。
・インダクタ配線30は、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタ法、エッチング法、印刷焼結法などの既知の方法で形成すればよい。この点、各柱状配線40及び各ビア50においても同様である。
【0137】
・上記実施形態において、第1インダクタ配線31の配線本体31Aは、当該配線本体31Aの第1端から第2端に向かうにつれて径が大きくなる渦巻き状であってもよい。この点、第2インダクタ配線32及び第3インダクタ配線33も同様である。
【0138】
・上記実施形態において、各インダクタ配線30の配線間の最短距離は、インダクタ配線30の最小の配線幅に対して1/3より小さくてもよい。
・上記実施形態において、各インダクタ配線30のターン数は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、各インダクタ配線30のターン数が1.5より小さくてもよい。
【0139】
・上記実施形態において、各インダクタ配線30は、パッドを有していなくてもよい。すなわち、各インダクタ配線30は、配線本体のみで構成されていてもよい。
・上記実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときの各パッドの形状は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、各パッドの形状は、円形、正方形などでもよい。なお、パッドが円形状等の場合、当該パッドの配線幅は、第3軸Zに直交する方向を向いて視たとき、当該パッドと当該パッドに接続する配線本体との接続箇所における配線本体の延伸方向と直交する方向での当該パッドの最大寸法である。
【0140】
・上記実施形態において、外部電極60の配置は上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1外部電極61と第1主面20Aの短辺との最短距離SL1と、第3外部電極63と第1主面20Aの短辺との最短距離SL2とが異なっていてもよい。また、第1外部電極61のうちの第1端電極61A及び第2端電極61Bの最短距離SD1と、第2外部電極62のうちの第1端電極62A及び第2端電極62Bの最短距離SD2と、が異なっていてもよい。
【0141】
・上記実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、各外部電極60の形状は、長方形状に限定されない。例えば、各外部電極60は、円形状、多角形状などでもよい。また、各外部電極60の形状は、それぞれ異なっていてもよい。
【0142】
・上記実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて視たとき、各外部電極60の面積は、それぞれ異なっていてもよい。
・上記実施形態において、各外部電極60の第3軸Zに沿う方向の寸法は、上記実施形態の例に限定されない。各外部電極60の第3軸Zに沿う方向の寸法は、各インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の寸法に対して大きくてもよいし、同じでもよい。また、各外部電極60の第1電極層60Aの第3軸Zに沿う方向の寸法が、各インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の寸法に対して大きくてもよい。また、各外部電極60の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の最大寸法の1/2より大きくてもよい。
【0143】
・上記実施形態において、各外部電極60は、複数の層を積層した構成でなくてもよい。例えば、上記実施形態において、各外部電極60は、1層の金属層で構成されていてもよい。
【0144】
・上記実施形態において、各外部電極60は、さらに異なる材質の層を有していてもよい。なお、各外部電極60が複数の層からなる場合、複数の層のうちいずれかの層が同じ材質からなっていてもよい。さらに、各外部電極60は、2つの金属層で構成されていてもよい。
【0145】
・上記実施形態において、第1電極層60A、第2電極層60B、及び第3電極層60Cの材質は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、第3電極層60Cの材質がSn、Au及びSnを含む合金等であってもよい。
【0146】
・上記実施形態において、各柱状配線40が第3軸Zと平行に延びていなくてもよい。各柱状配線40は、インダクタ配線30と外部電極60とを接続する構成であれば、第1主面20Aに交差していてもよい。
【0147】
・上記実施形態において、各柱状配線40の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、各インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の最大寸法に対して小さくてもよい。すなわち、各柱状配線40の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、各インダクタ配線30の第3軸Zに沿う方向の最大寸法の1.5倍よりも小さくてもよい。
【0148】
なお、各柱状配線40の第3軸Zに沿う方向の寸法が、当該柱状配線40の第1主面20Aに平行な方向の最大寸法に対して大きいと、インダクタ部品10に電流を流した際に発生する磁束が外部電極60を貫きにくくなる。そのため、各柱状配線40の第3軸Zに沿う方向の寸法が、当該柱状配線40の第1主面20Aに平行な方向の最大寸法の1.5倍以上であると好ましい。
【0149】
・上記実施形態において、第1ベクトルBC1と第3ベクトルBC3とが同一であってもよい。また、第1ベクトルBC1の大きさと、第3ベクトルBC3の大きさが等しく、且つ、第1ベクトルBC1の向きと、第3ベクトルBC3の向きが異なっていてもよい。また、第1ベクトルBC1の大きさと、第3ベクトルBC3の大きさが異なり、且つ、第1ベクトルBC1の向きと、第3ベクトルBC3の向きが等しくてもよい。さらに、第1柱状配線41の幾何中心OPと当該第1柱状配線41に接続する外部電極60の幾何中心OEとが一致していてもよい。この点、第2柱状配線42及び第3柱状配線43においても同様である。
【0150】
・上記実施形態において、第1柱状配線41に関して、第1ベクトルBC1と第2ベクトルBC2とが同一であってもよい。また、第1ベクトルBC1の大きさと、第2ベクトルBC2の大きさが等しく、且つ、第1ベクトルBC1の向きと、第2ベクトルBC2の向きが異なっていてもよい。また、第1ベクトルBC1の大きさと、第2ベクトルBC2の大きさが異なり、且つ、第1ベクトルBC1の向きと、第2ベクトルBC2の向きが等しくてもよい。この点、第1ベクトルBC1及び第5ベクトルBC5についても同様である。また、第3ベクトルBC3、第4ベクトルBC4、及び第6ベクトルBC6についても同様である。
【0151】
・上記実施形態において、第1端柱状配線41Aと第2端柱状配線42Bとが、第2軸Yに沿う方向において重複していなくてもよい。
・上記実施形態において、第1端柱状配線41Aの幾何中心OPと第2端柱状配線41Bの幾何中心OPとを結ぶ仮想の線分Lが、第1軸X又は第2軸Yと平行であってもよい。
【0152】
・上記実施形態において、3つの第2端パッド31C、32C、33Cのそれぞれの幾何中心CL1、CL2、CL3が同一直線上に位置していてもよい。
・上記実施形態において、3つの第1端電極61A、62A、63Aは、第1軸Xに平行に並んでいなくてもよい。また、3つの第1端電極61A、62A、63Aは、等ピッチで並んでいなくてもよい。
【0153】
・上記実施形態において、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、すべての柱状配線40において形状が同じであってもよい。また、第1主面20Aに直交する方向を向いて透視したときに、すべての柱状配線40において大きさが同じであってもよい。
【0154】
・上記実施形態において、インダクタ部品10は、ビア50を省略可能である。ビア50を省略する場合、柱状配線40とインダクタ配線30とが直接接続していればよい。
・上記実施形態において、インダクタ部品10は、絶縁層70を省略可能である。
【0155】
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]主面を有する素体と、前記素体内で前記主面に対して平行に延びるインダクタ配線と、前記インダクタ配線の端に接続し、前記主面に対して交差する方向に延びる複数の柱状配線と、を備え、複数の前記柱状配線は、前記主面において前記素体から露出しており、前記主面から前記インダクタ配線までの最短距離は、0.04mm以上であるインダクタ部品。
【0156】
[2]前記主面を第1主面とし、前記素体において前記第1主面とは反対側の面を第2主面としたとき、前記第1主面から前記インダクタ配線までの最短距離は、前記第2主面から前記インダクタ配線までの最短距離の2倍以上である[1]に記載のインダクタ部品。
【0157】
[3]前記主面と直交する方向から透視したときに、前記インダクタ配線は、前記主面と平行な同一平面上で、渦巻き状に延びている[1]または[2]に記載のインダクタ部品。
【0158】
[4]前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している外部電極を備え、
前記外部電極の前記主面上に形成された部分の前記主面に直交する方向の最大寸法は、前記インダクタ配線の前記主面に直交する方向の最大寸法の1/2以下である[1]~[3]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0159】
[5]前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、前記インダクタ配線は、渦巻き状に延びており、同一の前記インダクタ配線の配線間の最短距離は、前記インダクタ配線の最小の配線幅に対して1/3以上である[1]~[4]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0160】
[6]前記柱状配線の前記主面に直交する方向の最大寸法は、前記インダクタ配線の前記主面に直交する方向の最大寸法に対して1.5倍以上である[1]~[5]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0161】
[7]前記主面に直交する方向を向いて前記素体を透視した場合に、前記主面は四角形状であって、複数の前記柱状配線として、前記インダクタ配線の第1端に接続する第1端柱状配線と、前記インダクタ配線の第2端に接続する第2端柱状配線と、を備え、前記主面に直交する方向を向いて前記素体を透視した場合に、前記第1端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心と前記第2端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心とを結ぶ線分が、前記主面のいずれの辺に対しても平行でない[1]~[6]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0162】
[8]前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、前記主面に直交する方向から視たとき、複数の前記外部電極の形状及び面積はいずれも同じである[1]~[7]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0163】
[9]前記素体の前記主面に直交する方向の最大寸法は、0.15mm以下である[1]~[8]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
[10]前記インダクタ配線は、前記主面に対して平行に延びる第1インダクタ配線と、前記第1インダクタ配線と同一平面上を延びる第2インダクタ配線と、を含み、複数の前記柱状配線は、前記第1インダクタ配線の端に接続する複数の第1柱状配線と、前記第2インダクタ配線の端に接続する複数の第2柱状配線と、を含む、[1]~[9]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0164】
[11]前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、複数の前記外部電極は、複数の前記第1柱状配線に接続する複数の第1外部電極と、複数の前記第2柱状配線に接続する複数の第2外部電極と、を含み、前記第1インダクタ配線は、前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、複数の前記第2外部電極から選ばれる1つ以上と重なる部分を有する[10]に記載のインダクタ部品。
【0165】
[12]前記各インダクタ配線は、配線本体と、前記配線本体の第1端に接続し、前記配線本体に対して配線幅が大きい第1端パッドと、前記配線本体の第2端に接続し、前記配線本体に対して配線幅が大きい第2端パッドと、を有し、前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、前記第1インダクタ配線の前記第2端パッドにおける大きさ及び形状から選ばれる1つ以上は、前記第2インダクタ配線の前記第2端パッドにおける大きさ及び形状から選ばれる1つ以上とは異なっている[10]または[11]に記載のインダクタ部品。
【0166】
[13]前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、複数の前記外部電極は、複数の前記第1柱状配線に接続する複数の第1外部電極と、複数の前記第2柱状配線に接続する複数の第2外部電極と、を含み、前記主面に直交する方向を向いて透視したとき、複数の前記第1柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第1柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に対してずれており、且つ、複数の前記第2柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第2柱状配線が接続している前記第2外部電極の幾何中心に対してずれており、複数の前記第1柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第1柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第1ベクトル、複数の前記第2柱状配線から選ばれる1つ以上における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第2柱状配線が接続している前記第2外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第2ベクトルとしたとき、第1ベクトルは、第2ベクトルと異なっている[10]~[12]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0167】
[14]前記柱状配線に接続し、前記主面から露出している複数の外部電極を備え、複数の前記外部電極は、複数の前記第1柱状配線に接続する複数の第1外部電極を含み、複数の前記第1柱状配線のうち、前記第1インダクタ配線の第1端に接続する前記第1柱状配線を第1端柱状配線とし、前記第1インダクタ配線の第2端に接続する前記第1柱状配線を第2端柱状配線としたとき、前記主面に直交する方向を向いて透視したとき、前記第1端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第1端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に対してずれており、且つ、前記第2端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心は、当該第2端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に対してずれており、前記第1端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第1端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第1ベクトル、前記第2端柱状配線における前記主面から露出している面の幾何中心から、当該第2端柱状配線が接続している前記第1外部電極の幾何中心に向かうベクトルを第3ベクトルとしたとき、第1ベクトルは、第3ベクトルと異なっている[10]~[13]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0168】
[15]前記主面に直交する方向を向いて透視したときに、複数の前記インダクタ配線は、いずれも渦巻き状に延びており、且つ、全ての前記インダクタ配線のターン数は、1.5以上である[10]~[14]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0169】
10…インダクタ部品
20…素体
20A…第1主面
30…インダクタ配線
31…第1インダクタ配線
40…柱状配線