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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064736
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】物品昇降システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240507BHJP
   B65G 21/12 20060101ALN20240507BHJP
   B65G 43/00 20060101ALN20240507BHJP
【FI】
B65G1/00 511A
B65G21/12 B
B65G43/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173542
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 司郎
【テーマコード(参考)】
3F022
3F027
【Fターム(参考)】
3F022LL19
3F022MM52
3F027CA01
3F027DA21
3F027EA01
3F027FA02
(57)【要約】
【課題】例えば、所要の作業性を確保しながらより安全性を高めることが可能となるような、新規な改善された物品昇降システムを得る。
【解決手段】物品昇降システムは、例えば、搬送空間内で、物品を載せる載置部を、作業員が搬送空間の上側開口の内側と外側との間で物品の移動作業を行う第一位置と、当該第一位置より下方の第二位置と、の間で昇降する昇降装置と、作業員による物品の移動作業を許容する許容位置と、移動作業を禁止する禁止位置と、の間で移動可能な可動部材と、第一位置と第二位置との間の第三位置より上方に位置する載置部が、可動部材が許容位置にある状態では、当該第三位置より下方には下降しないよう、昇降装置を制御する昇降制御部と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送空間内で、物品を載せる載置部を、作業員が前記搬送空間の上側開口の内側と外側との間で前記物品の移動作業を行う第一位置と、当該第一位置より下方の第二位置と、の間で昇降する昇降装置と、
前記作業員による前記物品の移動作業を許容する許容位置と、前記移動作業を禁止する禁止位置と、の間で移動可能な可動部材と、
前記第一位置と前記第二位置との間の第三位置より上方に位置する前記載置部が、前記可動部材が前記許容位置にある状態では、当該第三位置より下方には下降しないよう、前記昇降装置を制御する昇降制御部と、
を備えた、物品昇降システム。
【請求項2】
前記可動部材を前記禁止位置でロックしたロック状態と前記禁止位置でのロックを解除したアンロック状態とを切り替えるロック機構と、
前記ロック機構の作動を制御するロック制御部と、
を備え、
前記ロック制御部は、前記載置部が前記第三位置より下方に位置する状態では、前記ロック状態となるよう、前記ロック機構を制御する、請求項1に記載の物品昇降システム。
【請求項3】
前記可動部材は、前記禁止位置では前記上側開口を閉じ、前記許容位置では前記上側開口を開く、請求項1に記載の物品昇降システム。
【請求項4】
前記第三位置は、前記載置部上に載置された載置物または前記載置部の上端部が前記禁止位置で前記上側開口を閉じる前記可動部材に対して隙間をあけて下方に離れた位置である、請求項3に記載の物品昇降システム。
【請求項5】
前記昇降制御部は、前記載置部が、前記第一位置からの下降または前記第二位置からの上昇において、前記第三位置で停止するよう、前記昇降装置を制御する、請求項1~4のうちいずれか一つに記載の物品昇降システム。
【請求項6】
音声出力または表示出力を行う出力部と、
前記出力部による出力を制御する出力制御部と、
を備え、
前記出力制御部は、前記載置部の前記第一位置からの下降または前記第二位置からの上昇において、前記載置部が前記第三位置で停止した場合に、所定の出力を行うよう前記出力部を制御する、請求項5に記載の物品昇降システム。
【請求項7】
前記作業員による操作部に対する所定の操作を検出する操作検出部を備え、
前記昇降制御部は、前記載置部が下降して前記第三位置で停止した場合において、前記可動部材が前記禁止位置にあり、かつ前記操作検出部が前記所定の操作を検出した場合に、前記載置部が前記第三位置から前記第二位置へ下降するよう、前記昇降装置を制御する、請求項5に記載の物品昇降システム。
【請求項8】
前記作業員による操作部に対する所定の操作を検出する操作検出部を備え、
前記昇降制御部は、前記載置部が上昇して前記第三位置で停止した場合において、前記可動部材が前記許容位置にあり、かつ前記操作検出部が前記所定の操作を検出した場合に、前記載置部が前記第三位置から前記第一位置へ上昇するよう、前記昇降装置を制御する、請求項5に記載の物品昇降システム。
【請求項9】
前記昇降制御部は、前記載置部上に次の前記物品を載せる作業によって当該載置部上に載置される載置物の予測高さが制限高さを超える場合に、前記第一位置と前記第二位置との間の第四位置で停止するよう、前記昇降装置を制御する、請求項1~4のうちいずれか一つに記載の物品昇降システム。
【請求項10】
音声出力または表示出力を行う出力部と、
前記出力部による出力を制御する出力制御部と、
を備え、
前記出力制御部は、前記載置部上に次の前記物品を載せる作業によって当該載置部上に載置される載置物の予測高さが制限高さを超える場合に、所定の出力を行うよう前記出力部を制御する、請求項9に記載の物品昇降システム。
【請求項11】
前記可動部材は、前記許容位置において、前記上側開口より下方で前記搬送空間の側方を覆うように位置する、請求項3または4に記載の物品昇降システム。
【請求項12】
搬送空間内で、物品を載せる載置部を、作業員が前記搬送空間の上側開口の内側と外側との間で前記物品の移動作業を行う第一位置と、当該第一位置より下方の第二位置と、の間で上下に動かす昇降装置と、
前記上側開口を閉じる閉位置と、前記上側開口を開く開位置と、の間で移動可能なシャッターと、
を備えた、物品昇降システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品昇降システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業員が物品を移動する作業を行う場所と隣接して設けられた物品の昇降装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。昇降装置は、搬送空間内で上下に昇降する物品の載置部を有している。作業員は、載置部が搬送空間の比較的上側に位置した状態で、当該搬送空間の上側開口の内側、すなわち載置部上と、上側開口の外側との間で、物品を移動する作業を行う。搬送空間と作業場所との間には壁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-197299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送空間と作業場所とを仕切る壁の高さが高いほど、作業員は、搬送空間内へ落下し難くなる。すなわち、当該壁の高さが高いほど、作業員の安全性は高くなる。
【0005】
他方、当該壁の高さが高いほど、作業員は、搬送空間の上側開口の内側と外側との間で物品を移動する作業を行い難くなる。すなわち、当該壁の高さが高いほど、作業性は低くなる。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、所要の作業性を確保しながらより安全性を高めることが可能となるような、新規な改善された物品昇降システムを得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品昇降システムは、例えば、搬送空間内で、物品を載せる載置部を、作業員が前記搬送空間の上側開口の内側と外側との間で前記物品の移動作業を行う第一位置と、当該第一位置より下方の第二位置と、の間で昇降する昇降装置と、前記作業員による前記物品の移動作業を許容する許容位置と、前記移動作業を禁止する禁止位置と、の間で移動可能な可動部材と、前記第一位置と前記第二位置との間の第三位置より上方に位置する前記載置部が、前記可動部材が前記許容位置にある状態では、当該第三位置より下方には下降しないよう、前記昇降装置を制御する昇降制御部と、を備える。
【0008】
また、本発明の物品昇降システムは、例えば、搬送空間内で、物品を載せる載置部を、作業員が前記搬送空間の上側開口の内側と外側との間で前記物品の移動作業を行う第一位置と、当該第一位置より下方の第二位置と、の間で上下に動かす昇降装置と、前記上側開口を閉じる閉位置と、前記上側開口を開く開位置と、の間で移動可能なシャッターと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の物品昇降システムの例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)であって、昇降装置による物品の昇降の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の物品昇降システムの例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)であって、搬送装置による物品の水平移動の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態の物品昇降システムの例示的なブロック図である。
図4図4は、実施形態の物品昇降システムにおいて載置部を第二位置から第一位置へ上昇する手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第一位置で載置部上から物品を移動する場合において載置部が第二位置から第一位置へ上昇する途中で第三位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図6図6は、第一位置で載置部上から物品を移動する場合において載置部が第二位置から第一位置へ上昇する途中の図5より後の状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図7図7は、第一位置で載置部上から物品を移動する場合において載置部が図6の状態の後に第一位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図8図8は、第一位置で載置部上から物品を移動する場合において載置部が図7よりも上方に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図9図9は、第一位置で載置部上から物品を移動する場合において載置部上の全ての物品が移動された状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図10図10は、実施形態の物品昇降システムにおいて載置部を第一位置から第二位置へ下降する手順の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、第一位置で載置部上から物品を移動した場合において載置部が第一位置から第二位置へ下降する途中で第三位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図12図12は、第一位置で載置部上から物品を移動した場合において載置部が第一位置から第二位置へ下降する途中の図11より後の状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図13図13は、第一位置で載置部上から物品を移動した場合において載置部が図12の状態の後に第二位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図14図14は、第一位置で載置部上へ物品を移動する場合において載置部が第二位置から第一位置へ上昇する途中で第三位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図15図15は、第一位置で載置部上へ物品を移動する場合において載置部が図14の状態の後に第一位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図16図16は、第一位置で載置部上へ物品を移動した場合において図15の状態の載置部上に物品が載せられた状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図17図17は、第一位置で載置部上へ物品を移動した場合において載置部が図16よりも下方に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図18図18は、第一位置で載置部上へ物品を移動した場合において載置部が第一位置から第二位置へ下降する途中で第三位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図19図19は、第一位置で載置部上へ物品を移動した場合において載置部が第一位置から第二位置へ下降する途中の図18より後の状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図20図20は、第一位置で載置部上へ物品を移動した場合において載置部が図18の状態の後に第二位置に位置した状態を示す第1実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図21図21は、第2実施形態の物品昇降システムにおいて物品の制限高さを超えた場合に載置部を下降する途中で当該載置部を一時停止する手順の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、第一位置で載置部上へ物品を移動した状態における第2実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図23図23は、第一位置で載置部上へ物品を移動した場合において載置部が第一位置から第二位置へ移動する途中で第四位置に位置した状態を示す第2実施形態の物品昇降システムの側面図である。
図24図24は、第一位置で載置部上へ物品を移動した場合において載置部が図23の状態の後に第三位置に位置した状態を示す第2実施形態の物品昇降システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成から得られる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、下記の構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0011】
以下に例示される複数の実施形態は、同様の構成を含んでおり、各実施形態によれば、それら同様の構成に基づく同様の効果が得られる。なお、以下では、同様の構成要素については、共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0012】
また、本明細書において、序数は、位置等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではないし、個数を限定するものでもない。
【0013】
また、各図中には、方向を示す矢印が描かれている。X方向およびY方向は、水平方向に略沿っている。また、Z方向は、上下方向に略沿うとともに、鉛直上方を向いている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交している。
【0014】
[第1実施形態]
[物品昇降システムの構成]
図1および図2は、第1実施形態の物品昇降システム1A(1)の側面図(一部断面図)である。図1に示されるように、物品昇降システム1は、垂直搬送路11と、水平搬送路12と、搬送装置13と、昇降装置100と、搬送装置12aと、を備えている。
【0015】
物品30は、搬送装置13、昇降装置100、および搬送装置12aによる搬送対象である。物品30は、パレット31上に載せられた状態で、搬送される。パレット31は、一つ以上の物品30を載置することができる。また、物品30は、例えば、箱形状を有しており、パレット31上には、複数の物品30が、積み重ねた状態で載置されうる。物品30は、例えば、箱形状を有した商品パッケージであるが、これには限定されない。なお、パレット31も、搬送装置13、昇降装置100、および搬送装置12aによる搬送対象である。パレット31および物品30は、載置部100a上に載せられる載置物の一例である。
【0016】
垂直搬送路11では、昇降装置100がパレット31および物品30を搬送する。昇降装置100は、パレット31および物品30を載せる載置部100aと、当該載置部100aを昇降する昇降機構100bと、昇降機構100bを動かす駆動機構101(図3参照)と、を有している。昇降機構100bは、垂直搬送路11において、載置部100aを、上側の第一位置P1と、当該第一位置P1より下方の第二位置P2との間で、昇降する。昇降機構100bは、例えば、下端部のZ方向における位置が固定されZ方向に伸縮するリンク機構として構成されており、その上端部に載置部100aが設けられている。ただし、載置部100aおよび昇降機構100bの構成は、これには限定されない。
【0017】
垂直搬送路11は、複数の側壁11aで囲まれたZ方向に延びる空間として構成されている。垂直搬送路11は、搬送空間の一例である。図1に示されるように、作業員Wは、載置部100aが第一位置P1に位置し、パレット31または物品30が、垂直搬送路11の上側開口11bから露出した状態、または上側開口11bの上縁11b1から上方に突出した状態で、当該上側開口11bの内側と外側との間で物品30の移動作業を行う。図1の例では、作業員Wは、X方向またはX方向の反対方向に物品30を移動する。作業員Wが上側開口11bの内側から外側へ物品30を移動する作業は、パレット31上または物品30上から物品30を下ろす作業(デパレタイズ)であり、作業員Wが上側開口11bの外側から内側へ物品30を移動する作業は、パレット31上または物品30上へ物品30を積む作業(パレタイズ)である。
【0018】
作業員Wは、垂直搬送路11と隣接した作業場所Pwの床Fの上に位置している。垂直搬送路11と作業場所Pwとの間には、側壁11aの一部が介在している。当該側壁11aの上縁11a1は、上側開口11bの上縁11b1の一部を構成している。
【0019】
図2に示されるように、搬送装置13は、パレット31および物品30を、垂直搬送路11内の位置Pa1と搬送装置12aから上方に離れた位置Pa21との間で、搬送することができる。また、搬送装置13は、部分的に昇降し、パレット31および物品30を、位置Pa21と搬送装置12aによって搬送可能な位置Pa22との間で、搬送することができる。すなわち、搬送装置13は、パレット31および物品30を、垂直搬送路11内の位置Pa1と水平搬送路12内の位置Pa22との間で、搬送することができる。
【0020】
水平搬送路12では、搬送装置12aがパレット31および物品30を搬送する。本実施形態では、搬送装置12aは、例えば、X方向またはX方向の反対方向にパレット31および物品30を搬送するが、搬送方向はこれには限定されない。また、搬送装置12aは、例えば、ローラコンベヤや、チェーンコンベヤのようなコンベヤであるが、これには限定されない。
【0021】
垂直搬送路11は、上述した上側開口11bによって、上方に開放されている。また、垂直搬送路11は、上側開口11bよりも下側で、側方開口11cによって側方にも開放されている。本実施形態では、一例として、側方開口11cは、垂直搬送路11をY方向の反対方向、すなわち、水平搬送路12側に、開放している。搬送装置13によって搬送されるパレット31および物品30は、側方開口11c内あるいは当該側方開口11cの下方を通って、垂直搬送路11と水平搬送路12との間を往来することができる。上側開口11bおよび側方開口11cは、貫通孔や切欠である。
【0022】
また、物品昇降システム1は、上側開口11bを開閉する可動式のシャッター130を備えている。シャッター130は、側壁11aに設けられたレール11dに沿って、上側開口11bを開く開位置Po(図1参照)と、上側開口11bを閉じる閉位置Pc(図2参照)との間で移動することができる。閉位置Pcに位置したシャッター130は、作業員Wの手指等が上側開口11bから垂直搬送路11内に進入するのを防止することができ、ひいては、手指等が載置部100aや載置物と側壁11aとの間に挟まれるのを防止することができる。
【0023】
シャッター130が開位置Poにある状態で、図1に示されるように、作業員Wによる物品30の移動作業は、シャッター130によっては制限されない、すなわち許容される。他方、シャッター130が閉位置Pcにある状態では、作業員Wによる物品30の移動作業は、当該シャッター130によって禁止される。シャッター130は、可動部材の一例である。また、開位置Poは、許容位置の一例であり、閉位置Pcは、禁止位置の一例である。なお、禁止位置は、移動作業を制限される制限位置とも称されうる。
【0024】
本実施形態では、一例として、シャッター130は、複数のスラット130aを有している。スラット130aは、それぞれX方向に延びた細長い板状の形状を有している。X方向に離れた二つのレール11dは、シャッター130の複数のスラット130aのX方向およびX方向の反対方向の端部をスライド可能に支持している。複数のスラット130aは、レール11dに沿って並んでいる。また、互いに隣接したスラット130a同士は、X方向に延びた軸回りに回動可能に接続されている。このような構成により、シャッター130は、湾曲したレール11dに沿ってスライドすることができる。また、各スラット130aは、鉄系材料やアルミニウム系材料のような、比較的硬質で剛性の高い材料で作られており、閉位置Pcに位置した状態で、作業員Wが誤って手をついてしまったような場合にも穴が開いたり変形したりすることなく、当該作業員Wが垂直搬送路11内へ落下するのを抑制することができるよう、構成されている。
【0025】
また、一部のスラット130aあるいはスラット130aの少なくとも一部は、透明部分を含んでもよいし、隙間をあけて並んだパイプやメッシュ等で構成されてもよい。これらの場合、作業員W等は、シャッター130が閉位置Pcにある状態で、当該シャッター130の外から、垂直搬送路11内の状態や、載置部100a上のパレット31および物品30の状態を、視認することができる。
【0026】
シャッター130は、作業員Wが手動で開閉する手動式のシャッターであってもよいし、操作部105の操作入力に応じて開閉する電動式のシャッターであってもよい。さらに、物品昇降システム1は、シャッター130の閉作動あるいは開作動を付勢する付勢部材を備えてもよい。この場合、付勢部材は、例えば、コイルスプリングや、おもり付きワイヤ、ゴムチューブ等であるが、これらには限定されない。
【0027】
また、図1に示されるように、シャッター130は、上側開口11bを開放する開位置Poにおいては、垂直搬送路11と水平搬送路12との間に位置し、側方開口11cの少なくとも一部を覆うように構成されている。これにより、万一、シャッター130が開位置Poに位置した状態で、物品30あるいは作業員Wが誤って垂直搬送路11内に落下した場合等にあっても、当該物品30や作業員Wがさらに水平搬送路12側へ移動するのを抑制することができる。
【0028】
[昇降装置]
図3は、昇降装置100のブロック図である。図3に示されるように、昇降装置100は、コンピュータを含んでおり、演算処理部110と、主記憶部121と、補助記憶部122と、を有している。
【0029】
演算処理部110は、例えば、プロセッサ(回路)である。主記憶部121は、例えば、RAM(random access memory)やROM(read only memory)であり、補助記憶部122は、例えば、HDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)である。演算処理部110は、主記憶部121のROMや補助記憶部122に記憶されたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。プロセッサは、プログラムにしたがって作動することにより、昇降制御部111、出力制御部112、昇降位置検出部113、開閉検出部114、操作検出部115、およびロック制御部116として作動する。この場合、プログラムは、これら昇降制御部111、出力制御部112、昇降位置検出部113、開閉検出部114、操作検出部115、およびロック制御部116のそれぞれに対応するプログラムモジュールを含む。
【0030】
プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。記録媒体は、プログラムプロダクトとも称されうる。また、プログラムは、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、ネットワーク経由でダウンロードされることによってコンピュータに導入されうる。また、プログラムは、ROM等に予め組み込まれてもよい。
【0031】
また、コンピュータの少なくとも一部がハードウエアによって構成される場合、当該コンピュータには、例えば、FPGA(field programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit)等が含まれてもよい。
【0032】
主記憶部121のROMまたは補助記憶部122には、昇降制御部111、出力制御部112、昇降位置検出部113、開閉検出部114、操作検出部115、およびロック制御部116による演算処理で用いられる情報が、記憶されている。また、当該演算処理で用いられる情報は、プログラム内で記述されてもよい。
【0033】
また、演算処理部110には、駆動機構101、出力部102、昇降位置センサ103、開閉センサ104、操作部105、およびロック機構106が、電気的に接続されている。
【0034】
昇降制御部111は、載置部100aが昇降し、かつ所定の位置で静止するよう、駆動機構101を制御する。駆動機構101は、例えば、モータや、減速機構、回転直動変換機構等を有する。
【0035】
出力制御部112は、所定の表示出力あるいは音声出力を実行するよう、出力部102を制御する。出力部102は、例えば、ディスプレイや、ランプ、スピーカ等である。
【0036】
昇降位置検出部113は、昇降位置センサ103の検出信号に基づいて、載置部100aのZ方向における位置を検出する。昇降位置センサ103は、例えば、図2に示されるような、光電センサアレイ103aである。光電センサアレイ103aは、例えば、透過型の複数の光電センサを有し、Z方向における同じ位置でY方向に所定間隔で並びX方向に進む複数の平行な検出光を出力する。光電センサアレイ103aは、Z方向における所定位置においてZ方向と交差した所定領域で物体を検出することができ、エリアセンサとも称される。この場合、昇降位置検出部113は、昇降位置センサ103による検出信号に基づいて、載置部100aや、物品30、パレット31等によって光が遮られた状態と遮られていない状態との変化を取得し、その変化に基づいて、当該載置部100aや、物品30、パレット31等のZ方向における位置を取得する。
【0037】
開閉検出部114は、開閉センサ104の検出信号に基づいて、シャッター130の開位置Poまたは閉位置Pcを検出する。昇降装置100は、開閉センサ104として、例えば、開位置Poを検出するセンサと、閉位置Pcを検出するセンサと、を備える。また、開閉センサ104は、例えば、シャッター130の位置に応じて通電状態が変化するスイッチである。この場合、開閉検出部114は、開閉センサ104による通電状態の変化、すなわち検出信号の変化に基づいて、シャッター130の開位置Poまたは閉位置Pcを検出する。
【0038】
操作検出部115は、操作部105に対する作業員Wによる操作入力を検出する。操作部105は、例えば、操作ボタンや、操作スイッチ、タッチパネル、キーボード等である。操作検出部115は、操作部105の操作に応じた電気信号や、当該電気信号の変化を検出する。
【0039】
ロック制御部116は、ロック機構106の作動を制御する。ロック機構106は、シャッター130を閉位置Pcでロックするロック状態と、閉位置Pcでのロックを解除するアンロック状態と、を切り替える。ロック機構106は、例えば、上側開口11bの縁に設けられ、モータや、減速機構、可動爪等を有し、可動爪とシャッター130に設けられた係合部とが係合した状態(ロック状態)と、当該係合が解除された状態(アンロック状態)と、が切り替わるよう構成されている。ロック制御部116は、載置部100aが、図5,12,14,19に示される第三位置P31~P34より下方に位置した状態では、シャッター130が閉じて閉位置Pcにロックされたロック状態となるよう、ロック機構106を制御する。なお、開閉検出部114は、ロック機構106のロック状態を閉位置Pcとして検出してもよい。
【0040】
[載置部を昇降する制御手順(1)デパレタイズ前の上昇]
図4は、載置部100aを第二位置P2(図5参照)から第一位置P11(図7参照)へ上昇する場合の制御手順を示すフローチャートである。また、図5~9は、図4中の各段階における物品昇降システム1A(1)の側面図である。
【0041】
まず、図4に示されるように、昇降制御部111は、操作部105における操作入力や上位装置や外部装置からの指令に応じて、載置部100aが第二位置P2(図5参照)から上昇するよう、駆動機構101を制御する(S11)。
【0042】
次に、図4に示されるように、昇降制御部111は、昇降位置検出部113の検出結果に基づいて、載置部100aが所定の第三位置P31(図5参照)に到達したか否かを判定する(S12)。載置部100aが第三位置P31に到達した場合(S12でYes)、昇降制御部111は、載置部100aが当該第三位置P31で停止するよう、駆動機構101を制御する(S13)。第三位置P31は、第一位置P11,P12(図7~9参照)と第二位置P2との間の位置、すなわち第二位置P2より上方、かつ第一位置P11,P12より下方の位置である。具体的に、第三位置P31は、載置物の上端部が閉位置Pcに位置するシャッター130に対して隙間をあけて下方となる位置である。この場合、隙間を可及的に小さく設定することにより、第三位置P31をより高い位置に設定することができ、これにより、物品30や作業員Wが垂直搬送路11内に万一落下した場合の損傷をより回避しやすくなる、あるいは損傷の程度をより小さくすることができるという効果が得られる。
【0043】
S12でNoの場合、S11に戻る。したがって、S11~S13により、載置部100aは、第二位置P2から、第三位置P31へ到達する。
【0044】
載置部100aの上昇時における第三位置P31は、載置部100aおよび当該載置部100a上に載置されたパレット31あるいは物品30の上端部が、光電センサアレイ103aの検出光の光路と略重なった位置である。上昇時には、図5に示されるように、当該上端部が光電センサアレイ103aの光路と略重なった時点で、光電センサアレイ103aの検出光が、全透過状態から部分的な遮蔽状態に変化する。昇降位置検出部113は、所定数の検出光が全透過状態から所定の遮蔽状態となったことにより、載置部100aが第三位置P31に到達したことを検出する。なお、図5,14に示されるように、上昇時の載置部100aの第三位置P31,P33は、当該載置部100a上の物品30の積載状態に応じて異なることになる。
【0045】
ここで、上述したように、載置部100aが第三位置P31より下方に位置する状態では、図5に示されるように、ロック機構106により、シャッター130は、閉位置Pcでロックされている、すなわちロック状態にある。仮に、載置部100aおよび当該載置部100a上のパレット31や物品30が、より低い位置にある状態で、シャッター130が開き、万一、垂直搬送路11内に物品30や作業員Wが落下すると、上側開口11bの上縁11b1からの落差がより大きくなるため、より損傷しやすくなる。この点、本実施形態では、載置部100aが第三位置P31より下方に位置する状態では、シャッター130は、閉位置Pcでロックされているため、例えば、物品30や作業員Wの落下が生じるのを回避することができるという効果が得られる。
【0046】
また、ロック制御部116は、載置部100aが第三位置P31に到達した時点で、ロック機構106によるロックを解除してもよいし、S15の作業員Wによる所定の操作入力に応じて当該ロックを解除してもよい。
【0047】
さらに、図4に示されるように、載置部100aが第三位置P31に到達した時点で、出力制御部112は、所定の出力を実行するよう、出力部102を制御する(S14)。図5の例では、出力部102は、ランプとして構成されており、載置部100aが第三位置P31に位置した状態で、ランプが点灯あるいは点滅する。また、出力制御部112は、所定の音声を出力するよう、出力部102として別途設けられたスピーカあるいはブザー等を制御してもよい。また、出力部102による出力内容は、表示あるいは音声によって、第三位置P31に、パレット31や物品30が待機していることを示すものであってもよい。出力部102の表示出力や音声出力により、作業員Wは、現在の状態や次に実行する操作や作業を把握しやすくなる。
【0048】
また、図4の例では、S14の表示出力あるいは音声出力が行われた場合、例えば、図5,6に示されるように、作業員Wが、シャッター130を手動あるいは操作部105の操作によって閉位置Pcから開位置Poに動かし、かつ作業員Wが操作部105に対して例えば押しボタンの押圧のような所定の操作入力を行うことが取り決められているものとする。その場合、図4に示されるように、操作検出部115によって操作部105における所定の操作入力が検出され(S15でYes)、かつ、開閉検出部114によってシャッター130が開位置Poに位置したことが検出された場合に(S16でYes)、出力制御部112は、S14の出力を停止するよう、出力部102を制御する(S17)。S15でNoの場合は、S15を再度実行し、S16でNoの場合は、S16を再度実行する。S15における作業員Wによる操作部105に対する所定の操作入力は、作業員Wの確認のための操作入力であってもよい。
【0049】
S17の後、昇降制御部111は、例えば、作業員Wによる操作部105の操作入力に応じて、載置部100aが第一位置P11(図7参照)へ上昇するよう、駆動機構101を制御する(S18)。
【0050】
第一位置P11,P12(図7~9参照)は、作業員Wが、上側開口11bの内側と外側との間で物品30の移動作業を行う状態における載置部100aの位置とする。図7に示される第一位置P11は、パレット31上の2段目の物品30を下ろす作業を行う場合の、載置部100aの位置である。また、図8,9に示される第一位置P12は、パレット31上の1段目の物品30を下ろす作業を行う場合の、載置部100aの位置である。図8は、2段目の物品30が下ろされた後、1断面の物品30が下ろされる前の状態を示し、図9は、1断面の物品30が下ろされた後の状態を示している。
【0051】
図4の手順によれば、昇降制御部111は、第二位置P2から第一位置P11,P12への載置部100aの上昇において、載置部100aが第三位置P31で一旦停止するよう、昇降装置100の駆動機構101を制御する。これにより、例えば、作業員Wが、安全であることを確認した上で、あるいは安全を確保しながら、具体的には、例えば、手指等が上側開口11bから垂直搬送路11内に進入していない状態で、載置部100aや、パレット31、物品30を上側開口11bから露出あるいは上方に突出した第一位置P11,P12へ上昇させることができる。よって、載置部100aや、パレット31、物品30が第三位置P31で停止することなく自動的に第一位置P11,P12へ上昇する場合に比べて、例えば、載置部100aや、パレット31、物品30と側壁11aとの間に手指等が挟まれるのをより確実に防止することができ、より安全性を高めることができるという効果が得られる。
【0052】
[載置部を昇降する制御手順(2)デパレタイズ後の下降]
図10は、載置部100aを第一位置P1から第二位置P2へ下降する場合の制御手順を示すフローチャートである。また、図9,11~13は、デパレタイズ後に下降する場合の図10中のいくつかの段階における、物品昇降システム1A(1)の側面図である。
【0053】
まず、図10に示されるように、昇降制御部111は、操作部105における操作入力や上位装置や外部装置からの指令に応じて、載置部100aが第一位置P12(図9参照)から下降するよう、駆動機構101を制御する(S21)。
【0054】
次に、図10に示されるように、昇降制御部111は、昇降位置検出部113の検出結果に基づいて、載置部100aが所定の第三位置P32(図11参照)に到達したか否かを判定する(S22)。載置部100aが第三位置P32に到達した場合(S22でYes)、昇降制御部111は、載置部100aが当該第三位置P32で停止するよう、駆動機構101を制御する(S23)。
【0055】
S22でNoの場合、S21に戻る。したがって、S21~S23により、載置部100aは、第一位置P12から、第三位置P32へ到達する。
【0056】
載置部100aの下降時における第三位置P32も、載置部100aおよび当該載置部100a上に載置されたパレット31あるいは物品30の上端部が、光電センサアレイ103aの検出光の光路と略重なった位置である。下降時には、図9,11に示されるように、当該上端部が光電センサアレイ103aの光路と略重なった時点で、光電センサアレイ103aの検出光が、部分的な遮蔽状態から全透過状態に変化する。昇降位置検出部113は、例えば、所定数の検出光が部分的な遮蔽状態から全透過状態となったことにより、載置部100aが第三位置P32に到達したことを検出する。なお、図11,18に示されるように、上昇時の載置部100aの第三位置P32,P34は、当該載置部100a上の物品30の積載状態に応じて異なることになる。
【0057】
そして、図10に示されるように、載置部100aが第三位置P32に到達した時点で、出力制御部112は、所定の出力を実行するよう、出力部102を制御する(S24)。この場合、載置部100aが第三位置P32に位置した状態で、ランプが点灯あるいは点滅する。また、出力制御部112は、所定の音声を出力するよう、出力部102として別途設けられたスピーカあるいはブザー等を制御してもよい。また、この場合の出力部102による出力内容は、表示あるいは音声によって、シャッター130の閉位置Pc(図12参照)に対して隙間をあけて下方となる第三位置P32に、パレット31や物品30が待機していることを示すものであってもよい。
【0058】
また、図10の例では、S24の表示出力あるいは音声出力が行われた場合、例えば、図11,12に示されるように、作業員Wが、シャッター130を手動あるいは操作部105の操作によって開位置Poから閉位置Pcに動かして当該閉位置Pcでロックし、かつ作業員Wが操作部105に対して例えば押しボタンの押圧のような所定の操作入力を行うことが取り決められているものとする。その場合、図10に示されるように、操作検出部115によって操作部105における所定の操作入力が検出され(S25でYes)、かつ、開閉検出部114によってシャッター130が閉位置Pcに位置しかつ当該閉位置Pcでロックされたことが検出された場合に(S26でYes)、出力制御部112は、S24の出力を停止するよう、出力部102を制御する(S27)。S25でNoの場合は、S25を再度実行し、S26でNoの場合は、S26を再度実行する。なお、S25における作業員Wによる操作部105に対する所定の操作入力は、作業員Wの確認のための操作入力であってもよい。また、ロック制御部116は、載置部100aが第三位置P32に到達した時点で、ロック機構106によるロックを可能な状態とし、さらに、S25の作業員Wによる所定の操作入力に応じてシャッター130を閉位置Pcでロックするよう、ロック機構106を制御してもよいし、開閉検出部114によってシャッター130が閉位置Pcに位置したことが検出された場合に、シャッター130を閉位置Pcでロックするよう、ロック機構106を制御してもよい。
【0059】
S27の後、昇降制御部111は、例えば、自動的に、あるいは作業員Wによる操作部105の操作入力に応じて、載置部100aが第二位置P2(図13参照)へ下降するよう、駆動機構101を制御する(S28)。載置部100aの第二位置P2への下降の途中で、パレット31は、搬送装置13上に載せられ、当該搬送装置13によって水平搬送路12に向けて搬送可能な状態となる。
【0060】
図10の手順によれば、昇降制御部111は、S26において、シャッター130(可動部材)が開位置Po(許容位置)にある状態では、第三位置P32より下方には移動しないよう、昇降装置100の駆動機構101を制御する。よって、例えば、万一、上側開口11bから水平搬送路12内へ物品30あるいは作業員Wが落下した場合にあっても、載置部100aがより下方の第二位置P2に位置する場合に比べて、載置部100a、パレット31、および物品30がより上方に位置しており、上側開口11bの上縁11b1からの落差を小さくすることができるため、当該落下した物品30あるいは作業員Wが損傷するのを抑制することができるという効果が得られる。
【0061】
また、図10の手順によれば、昇降制御部111は、第一位置P12から第二位置P2への載置部100aの下降において、載置部100aが第三位置P32で一旦停止するよう、昇降装置100の駆動機構101を制御する。これにより、例えば、作業員Wが安全であることを確認した上で、あるいは安全を確保しながら、具体的には、例えば、手指等が上側開口11bから垂直搬送路11内に進入していない状態で、載置部100aや、パレット31、物品30を上側開口11bから露出あるいは上方に突出した第一位置P11,P12から垂直搬送路11内へ下降させることができる。よって、載置部100aや、パレット31、物品30が第三位置P32で停止することなく自動的に第二位置P2へ下降するような場合に比べて、例えば、載置部100aや、パレット31、物品30と側壁11aとの間に手指等が挟まれるのをより確実に防止することができ、より安全性を高めることができるという効果が得られる。
【0062】
[載置部を昇降する制御手順(3)パレタイズにおける上昇および下降]
図14~20は、パレタイズの場合のいくつかの段階における物品昇降システム1A(1)の側面図である。
【0063】
図14,15は、パレタイズ前に載置部100aが図4の手順にしたがって上昇する場合の各段階を示す物品昇降システム1の側面図である。図14は、図4のS14の状態を示している。図14に示されるように、パレット31上に物品30が載置されてない場合、載置部100a上の載置物の上端部は、パレット31の上端部となる。また、図15は、図14の後おける、図4のS18の状態を示している。
【0064】
図15~17は、パレタイズにおいて載置部100aが第一位置P14,P15にある状態での、物品昇降システム1の側面図である。図15,16に示される第一位置P14は、パレット31上に1段目の物品30を積む作業を行う場合の、載置部100aの位置である。図15は、1段目の物品30を積む前の状態を示し、図16は、1段目の物品30を積んだ後の状態を示している。また、図17は、1段目の物品30上に、2段目の物品30を積んだ後の状態を示している。
【0065】
図18~20は、パレタイズ後に載置部100aが図10の手順にしたがって下降する場合の各段階を示す物品昇降システム1の側面図である。図18は、図10のS24の状態を示している。図19は、図18の後における、図10のS27の状態を示し、図20は、図19の後における、図10のS28の状態を示している。
【0066】
パレタイズの場合の載置部100aの上昇および下降においても、デパレタイズの場合と同様の制御により、同様の効果が得られる。
【0067】
[第2実施形態]
図21は、本実施形態の物品昇降システム1B(1)での載置部100aの下降において、載置部100aを第一位置P16(図22参照)から第二位置へ向けて下降する場合の制御手順を示すフローチャートである。また、図22~24は、図21中の各段階における物品昇降システム1B(1)の側面図である。
【0068】
まず、図21に示されるように、昇降制御部111は、操作部105における操作入力や上位装置や外部装置からの指令に応じて、載置部100aが第一位置P16(図22参照)から下降するよう、駆動機構101を制御する(S31)。これにより、載置部100aは、第一位置P16から下降する。
【0069】
次に、図21に示されるように、昇降制御部111は、載置部100aが第一位置P16に位置した状態での昇降位置検出部113の検出結果に基づいて、次の物品30を載せる作業(パレタイズ)によって載置部100a上に載置される載置物、すなわちパレット31および物品30の予測高さHpが、制限高さHthを超えるか否かを判定する(S32)。
【0070】
S32では、図22に示されるように、予測高さHpは、例えば、次の式(1)から求めることができる。
Hp=D1+Ha-Th-Dd ・・・(1)
ここに、D1:距離センサ103bから上側開口11bの上縁11b1までの距離、Ha:物品30を2段重ねた高さ、Th:載置部100aの厚さ、Dd:距離センサ103bから載置部100aまでの距離、である。物品30を2段重ねた高さとしたのは、図22の時点で物品30が上縁11b1から1段分だけ突出しており、次のパレタイズでさらに1段分だけ物品30が上乗せされることを想定しているからである。距離センサ103bは、昇降位置センサ103の一例であり、例えば、非接触レーザ変位計であるが、これには限定されない。
【0071】
図21に示されるように、S32において、算出した高さHpが所定の制限高さHthを超える場合(S32でYes)、昇降制御部111は、載置部100aが第四位置P4で一旦停止するよう、昇降装置100の駆動機構101を制御する(S33)。第四位置P4は、第一位置P16より下方の位置である。さらに、出力制御部112は、載置部100aが第四位置P4に到達した時点で、所定の出力を実行するよう、出力部102を制御してもよい(S34)。なお、S32でNoの場合には、S33,S34は行わない。また、S33における載置部100aの第四位置P4での一旦停止、およびS34における出力部102による所定出力の実行は、所定時間(例えば数秒)だけ行ってもよい。
【0072】
図21の手順によれば、例えば、載置部100aおよび載置物が一旦停止したり、出力部102が所定出力を実行したりすることで、作業員Wは、予測高さHpが制限高さHthを超える状態となることを認識し、載置物の高さが制限高さHthを超える状態となるのを未然に防止することができるという効果が得られる。制限高さHthは、例えば、側方開口11cの上縁またはシャッター130と干渉しない高さとすることができる。
【0073】
そして、昇降制御部111は、S34の後、あるいはS32でNoの場合には、図10のS22以降の処理を実行する。図24は、図10のS22において、載置部100aが、第三位置P35に位置した状態を示している。ここで、図23,24に示されるように、第四位置P4は、第一位置P16と第三位置P35との間の位置である。これにより、図10のS22以降の制御に特段支障を来すことなく、かつ、作業員Wがより視認しやすい比較的上方の位置で、図21の手順を実行することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0075】
例えば、可動部材は、シャッターには限定されず、可動式のバーや扉等であってもよい。また、可動部材は、作業員の作業領域への進入の可否を切り替えてもよい。この場合、可動部材は、作業員の作業領域への進入を許容する許容位置と、進入を禁止する禁止位置との間で移動可能に構成される。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B…物品昇降システム
11…垂直搬送路
11a…側壁
11a1…上縁
11b…上側開口
11b1…上縁
11c…側方開口
11d…レール
12…水平搬送路
12a…搬送装置
13…搬送装置
30…物品(載置物)
31…パレット(載置物)
100…昇降装置
100a…載置部
100b…昇降機構
101…駆動機構
102…出力部
103…昇降位置センサ
103a…光電センサアレイ
103b…距離センサ
104…開閉センサ
105…操作部
106…ロック機構
110…演算処理部
111…昇降制御部
112…出力制御部
113…昇降位置検出部
114…開閉検出部
115…操作検出部
116…ロック制御部
121…主記憶部
122…補助記憶部
130…シャッター(可動部材)
130a…スラット
D1…距離
Dd…距離
F…床
Ha…高さ
Hp…高さ
P1,P11~P16…第一位置
P2…第二位置
P31~P35…第三位置
P4…第四位置
Pa1,Pa21,Pa22…位置
Pc…閉位置(禁止位置)
Po…開位置(許容位置)
Pw…作業場所
Th…厚さ
W…作業員
X…方向
Y…方向
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24