(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064750
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】レールユニット
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240507BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 302A
H02J7/00 303C
B60R16/02 620Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173577
(22)【出願日】2022-10-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [展示会名] TOKYO AUTO SALON 2022 [展示場所] 幕張メッセ 国際展示場 ホール1~10 ・イベントホール・屋外展示場 [開催日] 令和 4年 1月14日 令和 4年 1月15日 令和 4年 1月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 博隆
(72)【発明者】
【氏名】溝邉 伸明
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BB01
5G503DA17
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】種々の電気機器に給電可能であり、車両を有効利用してオートキャンプや車中泊等をより快適に過ごすことができるレールユニットを提供する。
【解決手段】車両内に取り付けられて車両に搭載されたバッテリ60からの電力を供給可能な給電部13を有する給電レール10と、給電レール10の長手方向に沿って移動可能であるアダプタ20と、を有するレールユニット1であって、アダプタ20は、移動先で固定可能な固定部20dと、給電部13からの電力を受け取る受電部23と、受電部23にて受け取った電力を、給電を所望する電気機器に応じた電力に変換する電力変換装置25と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に取り付けられて車両に搭載されたバッテリからの電力を供給可能な給電部を有する給電レールと、
前記給電レールの長手方向に沿って移動可能であるアダプタと、
を有し、
前記アダプタは、移動先で固定可能な固定部と、前記給電部からの電力を受け取る受電部と、前記受電部にて受け取った電力を、給電を所望する電気機器に応じた電力に変換する電力変換装置と、を有する、
レールユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のレールユニットであって、
前記アダプタと前記電気機器は別体とされており、
前記アダプタは、前記電気機器の電源コードが接続される電源コネクタ部を有する、
レールユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のレールユニットであって、
前記アダプタは、前記電気機器を取り付けるまたは吊り下げるための機器取付部を有する、
レールユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のレールユニットであって、
前記アダプタは、前記電気機器と一体とされている、
レールユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のレールユニットであって、
前記給電レールの少なくとも一部は、前記車両に対して着脱可能な着脱ユニットとされており、
前記着脱ユニットの少なくとも一部は、前記バッテリからの電力を用いて充電される充電電池を内蔵している、
レールユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のレールユニットであって、
前記着脱ユニットの少なくとも一部は、前記充電電池からの電力を用いて動作する照明装置を備えている、
レールユニット。
【請求項7】
請求項1に記載のレールユニットであって、
前記給電レールには、前記車両の内壁から所定距離だけ離れた位置への取り付けを可能とする支持部材が取り付けられている、
レールユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のレールユニットであって、
前記給電部は、前記長手方向に沿って延びるとともに露出された、第1送電電極と第2送電電極とを有しており、
前記受電部は、前記給電レールに前記アダプタが嵌合された場合に前記第1送電電極に対向しかつ接触する第1受電電極と、前記給電レールに前記アダプタが嵌合された場合に前記第2送電電極に対向しかつ接触する第2受電電極と、を有している、
レールユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のレールユニットであって、
前記給電レールは、前記長手方向に沿って延びる長尺状の形状を有し、前記長手方向に沿って延びるそれぞれのレール縁部と、それぞれの前記レール縁部よりも内側となる位置から前記長手方向に直交する方向に突出しかつ前記長手方向に沿って延びるレール突出部と、を有することで前記長手方向に直交する断面の形状が、それぞれの前記レール縁部よりも内側の位置から前記レール突出部が突出した略凸状の形状であり、
前記第2送電電極は、前記レール縁部の近傍に設けられて前記バッテリの+端子からの配線が接続され、
前記第1送電電極は、前記レール突出部に設けられて前記バッテリの-端子からの配線が接続される、
レールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内に取り付けられて車両に搭載されたバッテリからの電力を、給電を所望する電気機器に供給可能なレールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オートキャンプや車中泊等の人気が高まっている。例えばオートキャンプや車中泊の場合、テント用品(車中泊用品も含む)、バーベキュー等の調理用品、食材など、多くの荷物を車両内に整然と積載できることが好ましい。またオートキャンプや車中泊で快適に過ごすためには、テント用品や調理用品等を適切に利用するだけでなく、車両に搭載されたバッテリを用いて種々の電気機器を容易にかつ適切に利用できることが好ましい。
【0003】
例えば特許文献1には、車両内の天井の左右両サイドに取り付けられて前後方向に延びる天井レールと、天井レールから吊り下げられる支柱と、支柱に架け渡されて左右に延びるキャリアバーと、を備えて車両内の空間に、より多くの荷物を整然と積載したり吊り下げたりすることができる、車内キャリアが開示されている。
【0004】
また特許文献2には、車両内の前部座席の天井から後部座席の天井へと延びるベースフレーム(レールに相当)と、当該ベースフレームに嵌合されて前部座席の天井と後部座席の天井との間でスライド移動可能なルームランプや画像モニタや小物入れなどを有する、車両のオーバーヘッドコンソール構造が開示されている。ベースフレームには、電源用の電力や、画像や音声等の情報信号を伝達可能な伝達基板(電極に相当)が、長手方向に沿って設けられており、ルームランプや画像モニタに設けられた伝達部材の接点が伝達基板に接触して電力や情報を受け取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-043755号公報
【特許文献2】特開2003-237477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の車内キャリアは給電機能を有していない。例えばオートキャンプや車中泊の場合にて、照明やタブレット端末等の電気機器を車内キャリアに吊り下げて車両を有効利用しようとしても、吊り下げた電気機器に接続する電源コードが非常に長くなってしまうので配線が煩雑になり、好ましくない。
【0007】
また特許文献2に記載のオーバーヘッドコンソール構造では、専用のルームランプや専用の画像モニタ以外の電気機器を吊り下げて利用することができない。例えばオートキャンプや車中泊の場合にて、照明やタブレット端末等のユーザが用意した電気機器を吊り下げて車両を有効利用することができない。また電気機器を吊り下げることができたとしても、専用の機器でなければベースフレームから給電できないので、電源コードが非常に長くなってしまい、配線が煩雑になるので好ましくない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、種々の電気機器に給電可能であり、車両を有効利用してオートキャンプや車中泊等をより快適に過ごすことができるレールユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の発明は、車両内に取り付けられて車両に搭載されたバッテリからの電力を供給可能な給電部を有する給電レールと、前記給電レールの長手方向に沿って移動可能であるアダプタと、を有するレールユニットである。そして前記アダプタは、移動先で固定可能な固定部と、前記給電部からの電力を受け取る受電部と、前記受電部にて受け取った電力を、給電を所望する電気機器に応じた電力に変換する電力変換装置と、を有する、レールユニットである。
【0010】
次に、第2の発明は、上記第1の発明に係るレールユニットであって、前記アダプタと前記電気機器は別体とされており、前記アダプタは、前記電気機器の電源コードが接続される電源コネクタ部を有する、レールユニットである。
【0011】
次に、第3の発明は、上記第2の発明に係るレールユニットであって、前記アダプタは、前記電気機器を取り付けるまたは吊り下げるための機器取付部を有する、レールユニットである。
【0012】
次に、第4の発明は、上記第1の発明に係るレールユニットであって、前記アダプタは、前記電気機器と一体とされている、レールユニットである。
【0013】
次に、第5の発明は、上記第1の発明に係るレールユニットであって、前記給電レールの少なくとも一部は、前記車両に対して着脱可能な着脱ユニットとされている。そして前記着脱ユニットの少なくとも一部は、前記バッテリからの電力を用いて充電される充電電池を内蔵している、レールユニットである。
【0014】
次に、第6の発明は、上記第5の発明に係るレールユニットであって、前記着脱ユニットの少なくとも一部は、前記充電電池からの電力を用いて動作する照明装置を備えている、レールユニットである。
【0015】
次に、第7の発明は、上記第1の発明に係るレールユニットであって、前記給電レールには、前記車両の内壁から所定距離だけ離れた位置への取り付けを可能とする支持部材が取り付けられている、レールユニットである。
【0016】
次に、第8の発明は、上記第1の発明~第7の発明のいずれか1つに係るレールユニットであって、前記給電部は、前記長手方向に沿って延びるとともに露出された、第1送電電極と第2送電電極とを有している。また前記受電部は、前記給電レールに前記アダプタが嵌合された場合に前記第1送電電極に対向しかつ接触する第1受電電極と、前記給電レールに前記アダプタが嵌合された場合に前記第2送電電極に対向しかつ接触する第2受電電極と、を有している、レールユニットである。
【0017】
次に、第9の発明は、上記第8の発明に係るレールユニットであって、前記給電レールは、前記長手方向に沿って延びる長尺状の形状を有し、前記長手方向に沿って延びるそれぞれのレール縁部と、それぞれの前記レール縁部よりも内側となる位置から前記長手方向に直交する方向に突出しかつ前記長手方向に沿って延びるレール突出部と、を有することで前記長手方向に直交する断面の形状が、それぞれの前記レール縁部よりも内側の位置から前記レール突出部が突出した略凸状の形状である。また前記第2送電電極は、前記レール縁部の近傍に設けられて前記バッテリの+端子からの配線が接続される。そして前記第1送電電極は、前記レール突出部に設けられて前記バッテリの-端子からの配線が接続される、レールユニットである。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、例えばユーザは、照明やタブレット端末等の給電を所望する電気機器を給電レールに吊り下げ等して、当該電気機器に応じた電力を出力する電力変換装置を備えたアダプタに電源コードを接続して給電すればよい。例えば給電レールを車両内の天井に取り付けた場合、電気機器を、オートキャンプや車中泊のために種々の荷物が載置されている床上に載置するのでなく給電レールに吊り下げ等することで、車両内の天井の周囲のデッドスペースを有効利用できる。また電気機器の電源コードを車両内で長く引き回すことがなくなるので、車両内が電源コードで煩雑になることを防止できる。このように車両内を有効利用しながら種々の電気機器を利用できるので、ユーザは、オートキャンプや車中泊等をより快適に過ごすことができる。
【0019】
第2の発明によれば、給電レールに吊り下げ等した電気機器に応じた電力変換装置を備えたアダプタの電源コネクタ部に、電気機器の電源コードを接続するだけで電気機器に給電できるので、より短い電源コードで済む。従って、車両内が電源コードで煩雑になることを防止できる。またユーザは、手持ちの種々の電気機器を使用できるので、便利である。
【0020】
第3の発明によれば、機器取付部を用いてアダプタに電気機器を取り付けるまたは吊り下げることができるので便利である。
【0021】
第4の発明によれば、アダプタと電気機器が一体とされているので、電気機器とアダプタに電源コードを接続する必要がなく、非常に便利である。
【0022】
第5の発明によれば、給電レールの少なくとも一部は着脱ユニットとされており、着脱ユニットの少なくとも一部には充電電池が内蔵されている。このため、着脱ユニットをモバイルバッテリとしてテント内等へ持ち込むことができるので、携帯端末の充電等に利用できて便利である。
【0023】
第6の発明によれば、着脱ユニットを懐中電灯やランタンの代用品として使用できるので、オートキャンプや車中泊等の場合に便利である。
【0024】
第7の発明によれば、給電レールが車両の内壁から所定距離だけ離れているので、電気機器に限らず種々の荷物をフック等にて吊り下げることができるので便利である。
【0025】
第8の発明によれば、給電レールの給電部と、アダプタの受電部を、シンプルかつ適切な構造にて実現することができる。
【0026】
第9の発明によれば、レール突出部の第1送電電極にバッテリの-端子からの配線が接続されてGND電位とされている。このため、ユーザがうっかりレール突出部に素手で触れてしまったり、テント用品等の金属パーツがうっかりレール突出部に触れてしまったりしても、感電やショート等の心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】レールユニットを構成する給電レール、アダプタ、ブラケット、カバー、キャップ等の概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す給電レールとアダプタを、別の方向から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示すレールユニットに対して、ブラケットとカバーの他の例を示す斜視図である。
【
図4】給電レールの給電部の第1送電電極と第2送電電極を説明する図である。
【
図5】アダプタの構造と第1受電電極と第2受電電極の例1を説明する図である。
【
図6】アダプタの構造と第1受電電極と第2受電電極の例2を説明する図である。
【
図7】
図6に示すアダプタに対して、アダプタの固定部をネジ式からカムレバー式に変更した例を説明する図である。
【
図8】車載バッテリから電気機器への給電の経路を説明する図である。
【
図9】車両のリアゲートの開口部上方にレールユニットを取り付けて利用する例を説明する図である。
【
図10】レールユニットの少なくとも一部を、充電電池や照明装置を備えて着脱可能な着脱ユニットとして、車両のリアゲートの開口部上方に着脱して使用する例を説明する図である。
【
図11】レールユニットの少なくとも一部を、充電電池や照明装置を備えて着脱可能な着脱ユニットとした例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のレールユニット1の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、Z軸方向は鉛直上方に向かう方向を示し、X軸方向は給電レール10の長手方向の水平方向を示し、Y軸方向はX軸とZ軸の双方に直交する給電レール10の幅方向の水平方向を示している。
【0029】
<レールユニットの全体構造(
図1~
図3)>
図1に示すように、レールユニット1は、給電レール10、アダプタ20、ブラケット30、カバー40、40a、キャップ50等を有している。
【0030】
給電レール10は、給電レール10の長手方向であるレール長手方向(X軸方向)に沿って延びる長尺状の形状を有している。給電レール10は、レール長手方向に沿って延びるそれぞれのレール縁部16と、それぞれのレール縁部16よりも内側となる位置からレール長手方向に直交する方向に突出しかつレール長手方向に延びるレール突出部15と、を有している。そして給電レール10は、それぞれのレール縁部16とレール突出部15とを有することで、レール長手方向に直交する断面の形状が、それぞれのレール縁部16よりも内側の位置からレール突出部15が突出した略凸状の形状を有している。
【0031】
またレール突出部15の突出先端部の幅である先端部幅W1は、レール突出部15の基部の幅である基部幅W2よりも広く設定されている。給電レール10の各寸法は、例えば、先端部幅W1は約20[mm]程度であり、基部幅W2は約15[mm]程度であり、レール長手方向の長さは約1000[mm]程度であるが、これらの値に限定されるものではない。
【0032】
図2に示すように、給電レール10のレール突出部15には、レール長手方向に沿って延びるとともに露出された第1送電電極11が設けられている。また給電レール10のレール縁部16の近傍には、レール長手方向に沿って延びるとともに露出された第2送電電極12a、12bが設けられている。そして第1送電電極11とレールコネクタ13aとが配線等にて接続され、第2送電電極12a、12bとレールコネクタ13aとが配線等にて接続されている。レールコネクタ13aは、車両の天井周辺等に設けられた車両コネクタ63(
図1参照)に接続される。なおバッテリ60(
図1参照)からの電力を供給可能な給電部13は、第1送電電極11と第2送電電極12a、12bを有している。
【0033】
車両コネクタ63の一方の配線は、
図1に示すように、例えば、アクセサリスイッチ62とヒューズ61とを介して車両に搭載されたバッテリ60の+端子に接続されている。またバッテリ60の-端子(GND電位)が車両コネクタ63の他方の配線に接続されている。なおアクセサリスイッチ62は、車両のエンジンキーを始動位置にする際に経由してONになるスイッチである。
【0034】
アダプタ20は、
図1に示すように、アダプタ本体部20a、係止部材20b、締結部材20c等を有している。アダプタ20は、給電レール10に嵌合されて(
図8参照)、給電レール10のレール長手方向に沿って移動可能であり、移動先でガタつきなく固定可能な固定部20dを有している。
図1の例では、固定部20dは、係止部材20bと締結部材20cを有している。
【0035】
またアダプタ20は、給電レール10の給電部13からの電力を受け取る受電部23と、受電部23にて受け取った電力を、給電を所望する電気機器に応じた電力に変換する電力変換装置25等を有している。
図1に示す例では、受電部23は、第1受電電極21aと第2受電電極22aを有している。また電力変換装置25は、例えばDC/DCコンバータや、DC/ACインバータであり、給電を所望する電気機器に応じたものとされる。
【0036】
ブラケット30は、支持部材に相当しており、
図1に示すように、ボルト等の締結部材にて給電レール10に取り付けられる。そしてブラケット30における給電レール10と反対の側は、ボルト等の締結部材にて車両の天井等に取り付けられる。そしてブラケット30は、給電レール10を、車両内の内壁(天井など)から所定距離D1(例えば数10[mm]程度)だけ離れた位置へ取り付けることを可能とする。
【0037】
またブラケット30には、見栄えをよくするための樹脂等のカバー40、40aが被せられる。またカバー40aには、車両コネクタ63及び配線を通すための挿通孔40b(切欠き部)が設けられている。車両コネクタ63及び配線は、ユーザから見えないようにカバー40aに覆われてレールコネクタ13aに接続される。
【0038】
なおブラケット30及びカバー40の形状は、
図1に示す形状に限定されるものではなく、
図3に示すブラケット31(支持部材に相当)の形状や、カバー41、41aの形状であってもよいし、
図11に示すブラケット32a、32b(支持部材に相当)の形状等であってもよい。
【0039】
キャップ50は、
図1に示すように、給電レール10のレール長手方向の一方端と他方端に取り付けられて、給電レール10の端面を覆って見栄えをよくする。またキャップ50は、給電レール10のレールコネクタ13aに接続された配線を覆って見栄えをよくする。
【0040】
<給電レール10の構造(
図4)>
次に
図4を用いて給電レール10の構造について説明する。給電レール10は、剛性が必要とされるので、例えばアルミ等にて形成されている。また給電レール10におけるレール長手方向に直交するレール断面形状10mは、例えばNATOレールと同等の断面形状及び寸法とされている。しかし、レール断面形状及び寸法は、本実施の形態にて示す形状及び寸法に限定されるものではない。
【0041】
第1送電電極11は、例えば板状であり、レール突出部15の先端部に、レール長手方向に沿って延びるように露出されて設けられた導電体である。また第1送電電極11とレール突出部15(給電レール10)との間には絶縁体14z(
図4及び
図8参照)が設けられている。
【0042】
第2送電電極12aは、例えば板状であり、レール縁部16の近傍に、レール長手方向に沿って延びるように露出されて設けられた導電体である。また第2送電電極12aとレール縁部16(給電レール10)との間には絶縁体14a(
図4及び
図8参照)が設けられている。同様に、第2送電電極12bは、例えば板状であり、レール縁部16の近傍に、レール長手方向に沿って延びるように露出されて設けられた導電体である。また第2送電電極12bとレール縁部16(給電レール10)との間には絶縁体14b(
図4及び
図8参照)が設けられている。
【0043】
そしてレールコネクタ13aの一方の配線は第1送電電極11に接続され、レールコネクタ13aの他方の配線は第2送電電極12a、12bに接続されている。
【0044】
<アダプタの構造(
図5~
図7)>
次に
図5~
図7を用いて、アダプタの構造について説明する。まず
図5を用いて第1の例のアダプタ20の構造について説明する。
図5に示すアダプタ20は、アダプタ本体部20a、係止部材20b、締結部材20c等にて構成されている。アダプタ本体部20a、係止部材20bは、剛性を必要とするので、例えばアルミ等にて形成されている。アダプタ本体部20aの嵌合部20kと、係止部材20bの嵌合部20kは、給電レール10(給電レール10のレール突出部15)に嵌合する形状とされている(
図8参照)。そして係止部材20bと締結部材20cは、アダプタ20を給電レール10に固定する固定部20d(
図8参照)を構成している。
【0045】
アダプタ本体部20aは、略円柱形状の第1受電電極21aと第2受電電極22aを有している。
図8に示すように、第1受電電極21aは、給電レール10にアダプタ20が嵌合された場合に第1送電電極11に対向し、かつ接触するように設けられた導電体である。また
図5及び
図8に示すように、第1受電電極21aとアダプタ本体部20aとの間には絶縁体21zが設けられている。そして
図5及び
図8に示すように第1受電電極21aは第1送電電極11に押し付けられるようにバネ等の弾性体にて付勢されている。同様に、第2受電電極22aは、給電レール10にアダプタ20が嵌合された場合に第2送電電極12a(または第2送電電極12b)に対向し、かつ接触するように設けられた導電体である。また
図5及び
図8に示すように、第2受電電極22aとアダプタ本体部20aとの間には絶縁体22zが設けられている。そして
図5及び
図8に示すように第2受電電極22aは第2送電電極12a(または第2送電電極12b)に押し付けられるようにバネ等の弾性体にて付勢されている。
【0046】
アダプタ本体部20aには、係止部材20bを固定するための締結部材20cを取り付ける孔部20hが形成されている(
図5及び
図8参照)。またアダプタ本体部20aには、電気機器を取り付けるまたは吊り下げるための機器取付部20tが設けられている。機器取付部20tは、例えば、
図8に示すようにボルトB1等を用いてアーム28を取り付けるための取付孔や、電気機器を吊り下げるためのフックやバーなど(図示省略)である。また
図5に示すアダプタ20は、USBtype-AとUSBtype-Cの形状の電源コネクタ部20uを有するコネクタユニット20vを有している例を示している。そして
図5に示すアダプタ20は、電力変換装置25として、例えば直流8~16[V]の電力を直流5[V]の電力に変換するDC/DCコンバータを有している例を示している。
【0047】
次に
図6を用いて第2の例のアダプタ20xの構造について説明する。
図6に示すアダプタ20xは、
図5に示すアダプタ20に対して、第1受電電極21aがバネ機能を有する第1受電電極21xに変更されて第1送電電極11に押し付けられ、第2受電電極22aがバネ機能を有する第2受電電極22xに変更されて第2送電電極12a(または第2送電電極12b)に押し付けられる。またアダプタ20xは、一般的な交流100[V]の家電を接続するコンセント形状の電源コネクタ部20wを有するコネクタユニット20sを有している例を示している。そして電力変換装置25xとして、例えば直流8~16[V]の電力を交流100[V]の電力に変換するDC/ACインバータを有している例を示している。その他は
図5に示すアダプタ20と同様であるので説明を省略する。
【0048】
次に
図7を用いて第3の例のアダプタ20yの構造について説明する。
図7に示すアダプタ20yは、
図6に示すアダプタ20xに対して、係止部材(20b)がアダプタ本体部20fと一体とされ、締結部材20cがレバー20gとカム20mに変更されている。ユーザは、レバー20gを操作することで回転軸線20jが偏心した位置とされたカム20mを回転させて、給電レール10に嵌合されたアダプタ20yを固定状態または固定解除状態にすることができる。その他は
図6に示すアダプタ20xと同様であるので説明を省略する。なお
図7における第1受電電極21xと第2受電電極22xを、
図5に示す第1受電電極21aと第2受電電極22aのタイプとしてもよい。
【0049】
<バッテリ60から電気機器Aへの給電の経路(
図8)>
次に
図8を用いて、車両に搭載されたバッテリ60からの電力を電気機器Aに給電する経路について説明する。
図8に示す例は、給電レール10にアダプタ20(
図5参照)が嵌合され、アダプタ20に電気機器Aが取り付けられて(吊り下げられて)、当該電気機器Aに給電されている様子を示している。例えば電気機器Aは、USBtype-Cからの直流5[V]を電源とする照明装置(LED照明装置など)である。
【0050】
バッテリ60の+端子は、ヒューズ61とアクセサリスイッチ62と車両コネクタ63とレールコネクタ13aを経由して第2送電電極12a、12bへ接続されている。またバッテリ60の-端子(GND電位)は、車両コネクタ63とレールコネクタ13aを経由して第1送電電極11に接続されている。
【0051】
第1送電電極11には第1受電電極21aが接触しており、第1受電電極21aは電力変換装置25に接続されている。また第2送電電極12aには第2受電電極22aが接触しており、第2受電電極22aは電力変換装置25に接続されている。この場合の電力変換装置25はDC/DCコンバータであり、例えば直流8~16[V]のバッテリ60からの電力を安定化した直流5[V]に変換して電源コネクタ部20uに出力する。
【0052】
電気機器Aは、アダプタ20の機器取付部20tに取り付けられたアーム28に取り付けられており、電源コネクタ部20uに一方端が接続された電源コードC1の他方端が接続されて給電される。
【0053】
<レールユニット1の使用例(
図9)>
図9は、ハッチバック式の車両の後部開口部の上方にレールユニット1を設けた例を示している。
図9に示す例では、給電レール10は、アダプタ20(
図5参照)を介して電気機器A1(
図9の例では扇風機)に給電し、アダプタ20z(電気機器と一体化されたアダプタ)を介して電気機器A2(
図9の例ではLED照明装置)に給電し、アダプタ20(
図5参照)を介して電気機器A3(
図9の例ではタブレット端末)に給電し、アダプタ20x(
図6参照)を介して電気機器A4(
図9の例ではパーソナルコンピュータ)に給電している例を示している。
【0054】
なお、アダプタ20と電気機器A1、アダプタ20と電気機器A3、アダプタ20xと電気機器A4は、アダプタと電気機器とが別体とされており、アダプタから電気機器へは電源コードC1が接続されている。ユーザは、家庭内で使用している種々の電気機器を持ち出して、電源コードC1をアダプタの電源コネクタ部に接続することで、種々の電気機器をオートキャンプや車中泊等で利用することができる。またアダプタ20zと電気機器A2は、アダプタと電気機器が一体とされている例を示している。この場合、電源コードが内蔵されているので電源コードを用意したり接続したりする必要がなく、便利である。
【0055】
そして
図9に示す例は、ユーザが、引き出したフロアパネルの上に調理用機器Kを載置して調理する例を示している。ユーザは、調理用機器Kを用いて調理する際、電気機器A1にて自身に涼風を送って涼み、電気機器A2にて照明を当てて明るくして、電気機器A3に調理のレシピ等を表示させながら、快適に調理等を行うことができる。
【0056】
<レールユニットに充電電池や照明装置を内蔵させた例(
図10~
図11)>
図10及び
図11に示す例では、レールユニット1aは、給電レール10a、アダプタ20(
図11参照)、ブラケット32a、32b(
図11参照)、キャップ50等(
図11参照)を有している。
図11に示すように、ブラケット32aは車両内の天井等に取り付けられており、ブラケット32bは、給電レール10aを構成しているレール18a、18b、18c、18dのそれぞれに取り付けられている。またブラケット32aとブラケット32bは、(例えばレバーを回すだけで)容易に着脱可能となる着脱機構を有しているが、当該着脱機構の詳細については図示及び説明を省略する。
【0057】
同様に、隣り合うレール18aとレール18b、レール18bとレール18c、レール18cとレール18dは、容易に着脱可能となる着脱機構を有しているが、当該着脱機構の詳細については図示及び説明を省略する。なおレール18a、18b、18c、18dを連結した場合、レール18a、18b、18c、18dのすべての第1送電電極11が連結され、レール18a、18b、18c、18dのすべての第2送電電極12aが連結され、レール18a、18b、18c、18dのすべての第2送電電極12bが連結される。従って、レール18a、18b、18c、18dを連結した給電レール10aのレールコネクタ13aに車両コネクタ63を接続した場合、すでに説明した給電レール10と同様、給電レール10aは、アダプタ20等を用いて種々の電気機器に給電することができる。
【0058】
給電レール10aの少なくとも一部は、車両に対して比較的容易に着脱可能な着脱ユニットとされている。
図10及び
図11に示す例では、給電レール10aの一部(レール18a及びレール18b)が着脱ユニット10xとされ、給電レール10aの一部(レール18c及びレール18d)が着脱ユニット10yとされている。
【0059】
また着脱ユニットの少なくとも一部は、バッテリ60(
図1参照)からの電力を用いて充電される充電電池を内蔵している。
図11に示す例では、着脱ユニット10xの一部であるレール18aが、充電電池18x(及び充電制御回路など)を内蔵しており、着脱ユニット10yの一部であるレール18dが、充電電池18x(及び充電制御回路など)を内蔵している。充電電池18xは、例えばリチウム電池やニッケル水素電池である。着脱ユニット10x、10yが給電レール10aとして車両に取り付けられてレールコネクタ13aに車両コネクタ63が接続されてアクセサリスイッチ62(
図1参照)がONにされると、充電電池18xはバッテリ60(
図1参照)からの電力を用いて充電される。
【0060】
また着脱ユニットの少なくとも一部は、充電電池からの電力を用いて動作する照明装置を備えている。
図11に示す例では、着脱ユニット10xの一部であるレール18bは、レール18aに内蔵された充電電池18xからの電力を用いて動作する照明装置18y(LED照明装置など)を備えている。なおレール18bの照明装置18yは、レール18bに設けられた照明スイッチ18zにてON/OFF制御される。同様に、着脱ユニット10yの一部であるレール18cは、レール18dに内蔵された充電電池18xからの電力を用いて動作する照明装置18y(LED照明装置など)を備えている。なおレール18cの照明装置18yは、レール18cに設けられた照明スイッチ18zにてON/OFF制御される。
【0061】
なおレール18b、18cの照明装置18yと照明スイッチ18zは、給電レール10aにアダプタ20を嵌合させた場合にアダプタ20と干渉しない面(
図11におけるレール18b、18cの側面や側面近傍であり、
図8に示した照明配置面10sや照明配置面10t)に設けられていると好ましい。
【0062】
<レールユニットの効果等>
以上、本実施の形態にて説明したレールユニット1、1aを用いることで、ユーザは、種々の電気機器を、多くの荷物が載置されている車両内の床上に配置することなく、荷物の無い天井等の周囲に吊り下げて使用できる。このため、車両内のデッドスペースを有効利用できるとともに、車両内の適切な位置で電気機器を使用することができる。また、電気機器の電源コードを車両内に長く引き回す必要がなくなるので、車両内の床上に電源コードの配線が煩雑になることがなく、車両内の床上を有効利用することができる。従って、ユーザは、オートキャンプや車中泊等にて、より快適に過ごすことができる。
【0063】
また、ブラケット30等を用いて給電レール10、10aを天井等の車両の内壁から浮かせて(所定距離D1(数10[mm]程度)だけ離して)、樹脂(絶縁体)のフック等を引っ掛けて種々の荷物や機器を吊り下げる、荷物用の汎用レールとしても使用できるので便利である。
【0064】
また
図8に示すように、レール突出部15の先端に設けられた第1送電電極11にバッテリ60の-端子からの配線が接続されてGND電位とされている。このため、ユーザがうっかりレール突出部15の第1送電電極11に素手で触れてしまったり、テント用品等の金属パーツがうっかりレール突出部15の第1送電電極11に触れてしまったりしても、感電やショート等の心配がない。
【0065】
また
図10及び
図11に示すように、ユーザは、着脱ユニット10xまたは着脱ユニット10yを車両から取り外して、懐中電灯やランタン等の照明装置として利用できるので、オートキャンプや車中泊等の場合に便利である。またユーザは、充電電池18xを内蔵しているレール18aまたはレール18dのみを着脱ユニットとして車両から取り外してアダプタ20等を嵌合させて、テント等に持ち込んで、携帯端末等の種々の電気機器を充電するモバイルバッテリとして利用できるので便利である。
【0066】
本発明のレールユニット1、1aは、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、外観等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えばキャップ50やカバー40、41等を省略してもよい。
【0067】
本実施の形態にて説明した給電レール10、10aは、直線状の形状に限定されず、車両内の天井の左右及び後端に沿ったL字型やU字型等であってもよい。また
図8に示すアーム28は、電気機器を吊り下げ等することが可能なフックやバーであってもよい。
【0068】
また
図11に示す例では、充電電池18xを内蔵するレール18a、18dと、照明装置18y及び照明スイッチ18zを内蔵するレール18b、18cと、を別々のレールとしたが、同一レールに充電電池18xと照明装置18yと照明スイッチ18zを内蔵してもよい。また照明装置以外の電気機器を内蔵するようにしてもよい。
【0069】
本実施の形態にて説明した給電レール10、10aは、ブラケット30、31、32a、32bを介して車両の内壁から所定距離D1だけ離れた位置へ取り付けられる例を説明したが、車両の内壁に接触するように給電レール10、10aを取り付けてもよい。またブラケットやカバーの形状や、固定部20d(係止部材20bと締結部材20cや、レバー20gとカム20m)の構造は、本実施の形態にて示した形状や構造に限定されるものではない。
【0070】
本実施の形態の説明では、レール突出部15の先端の位置に第1送電電極を設け、レール縁部16の近傍の位置に第2送電電極を設けた例を説明したが、第1送電電極を設ける位置及び第2送電電極を設ける位置は、これらの位置に限定されるものではない。また本実施の形態の説明において例えば
図8の例では、第2送電電極12aは使用されているが第2送電電極12bは使用されていないので、第2送電電極12bを省略してもよい。しかし、
図8の例において、アダプタ20を左右反対に取り付ける場合を考慮して第2送電電極12bを残しておいてもよい。
【0071】
導電体である第1送電電極11、第2送電電極12a、12b、第1受電電極21a、21x、第2受電電極22a、22xの材質は、例えば銅であるが、これに限定されるものではない。また絶縁体14a、14b、14z、21z、22zの材質は、例えばフッ素樹脂であるが、これに限定されるものではない。
【0072】
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
1、1a レールユニット
10、10a 給電レール
10m レール断面形状
10s、10t 照明配置面
10x、10y 着脱ユニット
11 第1送電電極
12a、12b 第2送電電極
13 給電部
13a レールコネクタ
14a、14b、14z 絶縁体
15 レール突出部
16 レール縁部
18a、18b、18c、18d レール
18x 充電電池
18y 照明装置
18z 照明スイッチ
20、20x、20y、20z アダプタ
20a、20e、20f アダプタ本体部
20b 係止部材
20c 締結部材
20d 固定部
20k 嵌合部
20t 機器取付部
20u、20w 電源コネクタ部
20v、20s コネクタユニット
21a、21x 第1受電電極
21z 絶縁体
22a、22x 第2受電電極
22z 絶縁体
23 受電部
25、25x 電力変換装置
28 アーム
30、31、32a、32b ブラケット(支持部材)
40、40a、41、41a カバー
50 キャップ
60 バッテリ
61 ヒューズ
62 アクセサリスイッチ
63 車両コネクタ
A、A1、A2、A3、A4 電気機器
C1 電源コード
D1 所定距離
W1 先端部幅
W2 基部幅