(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064761
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】検査装置、検査方法、検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240507BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G01R31/26 J
H01L21/66 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173594
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康祐
(72)【発明者】
【氏名】児山 浩一
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA06
2G003AB01
2G003AG03
2G003AG11
2G003AG12
2G003AH07
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA48
(57)【要約】
【課題】プローブ針と電極との良好な接触が可能な検査方法、検査装置、検査プログラムを提供する。
【解決手段】検査対象物の厚さを測定する、非接触型の測定部と、前記測定部によって測定された厚さに応じた距離を移動し、前記検査対象物の電極に接触するプローブ針と、を具備する検査装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の厚さを測定する、非接触型の測定部と、
前記測定部によって測定された厚さに応じた距離を移動し、前記検査対象物の電極に接触するプローブ針と、を具備する検査装置。
【請求項2】
前記検査対象物が配置されるステージと、
前記プローブ針を移動させる移動部と、を具備し、
前記移動部は、前記プローブ針を前記ステージの上であって前記ステージから離間して配置し、前記プローブ針に前記ステージから前記プローブ針までの高さと前記厚さとに応じた距離を移動させる請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記高さと前記厚さとの差に所定の値を加えることで前記距離を取得し、前記プローブ針を前記距離だけ移動させる請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査対象物は複数の前記電極を有し、
前記測定部は前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極にレーザ光を照射することで、前記厚さを測定する請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
複数の前記プローブ針を具備し、
前記複数のプローブ針は、前記厚さに応じた距離を移動し、前記複数の電極に接触する請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記測定部は、前記電極の中央部に前記レーザ光を照射することで、前記厚さを測定する請求項4に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査対象物は光変調器である請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項8】
検査対象物の厚さを非接触で測定する工程と、
プローブ針を前記測定された厚さに応じた距離を移動させ、前記検査対象物の電極に接触させる工程と、を有する検査方法。
【請求項9】
コンピュータを、
検査対象物の厚さを非接触で測定する測定制御部と、
プローブ針を前記測定された厚さに応じた距離を移動させ、前記検査対象物の電極に接触させる移動制御部として機能させるための検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は検査装置、検査方法、検査プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光変調素子などの装置には検査が行われる。検査においては、装置の電極にプローブ針を接触させる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プローブ針と電極とを接触させる際、プローブ針を電極に向けて降下させる。プローブ針が電極に接触した後、プローブ針をさらに降下させ、電極の表面上でスライドさせる。製造公差などに起因して、装置の厚さにはばらつきが発生する。装置が薄いと、プローブ針と電極との接触が不安定になる。装置が厚いと、プローブ針の電極に対する押し込み量が増加し、電極が破壊される恐れがある。そこで、プローブ針と電極との良好な接触が可能な検査方法、検査装置、検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る検査装置は、検査対象物の厚さを測定する、非接触型の測定部と、前記測定部によって測定された厚さに応じた距離を移動し、前記検査対象物の電極に接触するプローブ針と、を具備する。
【0006】
本開示に係る検査方法は、検査対象物の厚さを非接触で測定する工程と、プローブ針を前記測定された厚さに応じた距離を移動させ、前記検査対象物の電極に接触させる工程と、を有する。
【0007】
本開示に係る検査プログラムは、コンピュータを、検査対象物の厚さを非接触で測定する測定制御部と、プローブ針を前記測定された厚さに応じた距離を移動させ、前記検査対象物の電極に接触させる移動制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によればプローブ針と電極との良好な接触が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図2A】
図2Aは制御部の構成を例示する機能ブロック図である。
【
図2B】
図2Bは制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは光変調器の製造方法を例示する断面図である。
【
図3B】
図3Bは光変調器の製造方法を例示する断面図である。
【
図4】
図4は検査の工程を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は検査の工程を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
本開示の一形態は、(1)検査対象物の厚さを測定する、非接触型の測定部と、前記測定部によって測定された厚さに応じた距離を移動し、前記検査対象物の電極に接触するプローブ針と、を具備する検査装置である。プローブ針が、厚さに応じた距離を移動するため、プローブ針と電極との接触不良が抑制される。電極の破壊が抑制される。プローブ針と電極との良好な接触が可能である。
(2)前記検査対象物が配置されるステージと、前記プローブ針を移動させる移動部と、を具備し、前記移動部は、前記プローブ針を前記ステージの上であって前記ステージから離間して配置し、前記プローブ針に前記ステージから前記プローブ針までの高さと前記厚さとに応じた距離を移動させてもよい。プローブ針はステージの上から電極まで移動する。プローブ針と電極との良好な接触が可能である。
(3)前記移動部は、前記高さと前記厚さとの差に所定の値を加えることで前記距離を取得し、前記プローブ針を前記距離だけ移動させてもよい。プローブ針は電極の面をスライドする。プローブ針と電極との良好な接触が可能である。
(4)前記検査対象物は複数の前記電極を有し、前記測定部は前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極にレーザ光を照射することで、前記厚さを測定してもよい。プローブ針と電極との良好な接触が可能である。検査の時間が短縮される。
(5)複数の前記プローブ針を具備し、前記複数のプローブ針は、前記厚さに応じた距離を移動し、前記複数の電極に接触してもよい。複数のプローブ針と複数の電極との良好な接触が可能である。
(6)前記測定部は、前記電極の中央部に前記レーザ光を照射することで、前記厚さを測定してもよい。複数のプローブ針と複数の電極との良好な接触が可能である。
(7)前記検査対象物は光変調器でもよい。光変調器の検査が可能である。
(8)検査対象物の厚さを非接触で測定する工程と、プローブ針を前記測定された厚さに応じた距離を移動させ、前記検査対象物の電極に接触させる工程と、を有する検査プログラムである。プローブ針と電極との良好な接触が可能である。
(9)コンピュータを、検査対象物の厚さを非接触で測定する測定制御部と、プローブ針を前記測定された厚さに応じた距離を移動させ、前記検査対象物の電極に接触させる移動制御部として機能させるための検査プログラムである。プローブ針と電極との良好な接触が可能である。
【0012】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る検査装置、検査方法、検査プログラムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0013】
(検査装置)
図1は実施形態に係る検査装置100を例示する模式図である。検査装置100は、制御部10、トレイ12、光源14、光パワーメータ16、調芯用ステージ18、ステージ20、アーム30、カメラ31、カメラ32、カメラ33、温度コントローラ36、レーザ変位計38(測定部)、電源39、マルチコンタクトプローブ40、移動部42を備える。
【0014】
トレイ12には複数の光変調器11(検査対象物)が配置される。光変調器11は電極、および半導体層などを有している。半導体層はインジウムリン(InP)などの化合物半導体で形成されてもよい。電極は光変調器11の表面に設けられ、金(Au)などの金属で形成されている。
【0015】
アーム30は、トレイ12上の光変調器11のうち1つをステージ20に移動させる。ステージ20は複数のステージを有し、光変調器11の位置を調整することができる。ステージ20にはヒータが設けられてもよい。温度コントローラ36は電源を有し、ステージ20に設けられたヒータに入力する電力を制御する。ヒータへの電力がオンおよびオフされることで、光変調器11の温度を制御する。
【0016】
カメラ31、カメラ32、カメラ33は光変調器11の画像を撮像する。画像は光変調器11の位置認識および姿勢制御に用いられる。
【0017】
調芯用ステージ18には光ファイバアレイ19が配置される。光ファイバアレイ19は複数の光ファイバを有する。複数の光ファイバのうち一部の光ファイバは、光源14と光学的に接続されている。光源14は波長可変光源であり、半導体レーザ素子などである。複数の光ファイバのうち別の一部の光ファイバは、光パワーメータ16と光学的に接続されている。調芯用ステージ18は光ファイバアレイ19を移動させ、ステージ20上の光変調器11との位置合わせを行う。
【0018】
レーザ変位計38は物体にレーザ光を照射し、物体までの距離および物体の厚さなどを測定する。
【0019】
マルチコンタクトプローブ40は複数のプローブ針を有し、かつ移動部42に取り付けられている。移動部42は、例えば柱状の可動部品であり、マルチコンタクトプローブ40の移動および停止を行う。電源39は例えば直流電源であり、マルチコンタクトプローブ40に電気的に接続されている。
【0020】
制御部10はパーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータであり、検査装置100を制御する。制御部10は、光源14、光パワーメータ16、調芯用ステージ18、ステージ20、アーム30、カメラ31、カメラ32、カメラ33、温度コントローラ36、レーザ変位計38、電源39、および移動部42に電気的に接続されている。
【0021】
図2Aは制御部10の構成を例示する機能ブロック図である。制御部10は、アーム制御部51、姿勢制御部52、温度制御部53、測定制御部54、移動制御部55、光源制御部56、電源制御部57、調芯制御部58、および検査部59として機能する。
【0022】
アーム制御部51はアーム30を制御する。アーム制御部51は、アーム30を移動させ、アーム30による吸引のオン・オフなどを行う。姿勢制御部52はステージ20を動作させ、ステージ20上の光変調器11の姿勢を制御する。温度制御部53は温度コントローラ36を制御し、ステージ20の温度を調整する。
【0023】
測定制御部54は、レーザ変位計38からのレーザ光の出射および停止を行い、レーザ変位計38からデータを取得する。移動制御部55は、移動部42を制御し、マルチコンタクトプローブ40の位置を調整する。移動制御部55は、マルチコンタクトプローブ40の移動量を定めることができる。
【0024】
光源制御部56は、光源14からの光の出射および停止などを行い、かつ光の波長を制御する。電源制御部57は電源39からマルチコンタクトプローブ40への直流電圧の入力および停止を行い、電圧を変化させてもよい。調芯制御部58は調芯用ステージ18を動作させ、光ファイバアレイ19を光変調器11に対して調芯させる。検査部59は、光パワーメータ16の測定結果などに基づいて、光変調器11の検査を行う。
【0025】
図2Bは制御部10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2Bに示すように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)60、RAM(Random Access Memory)62、ROM(Read Only Memory)63、記憶装置64、インターフェース66を備える。CPU60、RMA62、ROM63,記憶装置64およびインターフェース66は互いにバスなどで接続されている。RAM62はプログラムおよびデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置64はフラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD:Solid State Drive)、ハードディスクドライブ(HHD:Hard Disc Drive)などである。記憶装置64はプログラムなどを記憶する。
【0026】
CPU60がRAM62に記憶されるプログラムを実行することにより、制御部10にアーム制御部51、姿勢制御部52、温度制御部53、測定制御部54、移動制御部55、光源制御部56、電源制御部57、調芯制御部58、および検査部59が実現される。制御部10の各部は、回路などのハードウェアでもよい。
【0027】
図3Aおよび
図3Bは光変調器11の製造方法を例示する断面図である。
図3Aおよび
図3Bでは、半導体層の成長および電極の形成などの表面加工が終了した後の状態を示している。
図3Aに示すように、光変調器11の基板70の上面に、真空蒸着などによって電極72形成される。基板70はInPなどの半導体で形成され、導波路などを含む。基板70の厚さT1は例えば350μmである。電極72は金(Au)などの金属で形成されている。電極72の厚さT2は例えば3.5μm以上、4.5μm以下である。
図3Bに示すように、基板70を下面から研削し、薄くする。研削後の基板70の厚さT3は160μm程度である。研削後、基板70の下面に電極74を形成する。電極74の厚さT4は例えば5.7μm以上、6.9μm以下である。
【0028】
電極72の厚さの公差は例えば1μmである。電極74の厚さの公差は例えば1.2μmである。基板70の厚さは、例えば160μmを中心に+10μm、-5μmの範囲内である。製造公差により光変調器11の厚さにばらつきが生じる。ウェハ間での厚さのばらつきは、例えば最大で21.4μm、最小で4.2μmである。
【0029】
図4および
図5は検査の工程を例示するフローチャートである。1つのウェハから複数の光変調器11が製造させる。複数のウェハ(第1ウェハおよび第2ウェハなど)のそれぞれから光変調器11が製造される。
図4に示すように、検査装置100は第1ウェハから製造される光変調器11の検査を行い(ステップS1)、第2ウェハから製造される光変調器11の検査を行う(ステップS2)。
図3では2つのウェハを例としているが、ウェハは3つ以上でもよい。光変調器11の厚さにばらつきが生じる。1つのウェハ内での厚さのばらつきに比べて、ウェハごとの厚さのばらつきが大きく、上記のように最大で21.4μm程度である。本実施形態によれば、厚さのばらついた光変調器11にも検査が可能である。
【0030】
図5は1つの光変調器11への検査の工程を例示するフローチャートである。
図4の各ステップにおいて、1つの光変調器11に対して
図5の工程が行われる。カメラ31はトレイ12の上から光変調器11の画像を撮像する。制御部10はカメラ31から画像を取得し、トレイ12内における光変調器11の位置を認識する(ステップS10)。制御部10のアーム制御部51は、アーム30を動作させ、トレイ12上の1つの光変調器11をステージ20に搬送する(ステップS12)。姿勢制御部52はステージ20上の光変調器11の姿勢を制御する(ステップS14)。
【0031】
制御部10の測定制御部54は、レーザ変位計38を用いて光変調器11の厚さを測定する(ステップS16)。後述するように、光変調器11は、ステージ20上の光変調器11の電極にレーザ光を照射することで、厚さを測定する。制御部10の移動制御部55は、光変調器11の厚さに基づいて、マルチコンタクトプローブ40の移動量を設定する(ステップS18)。移動制御部55は、移動部42を用いてマルチコンタクトプローブ40を移動させ、光変調器11の電極に接触させる(ステップS20)。
【0032】
制御部10の電源制御部57は、電源39の電圧をオンにして、マルチコンタクトプローブ40を通じて光変調器11に電圧を印加する。制御部10は、光変調器11の電圧電流特性(V-I特性)を検出することで、マルチコンタクトプローブ40と光変調器11とが電気的に導通されたか判定する(ステップS22)。否定判定(No)ならば処理は終了する。肯定判定(Yes)ならば、ステップS24が行われる。
【0033】
制御部10の調芯制御部58は、調芯用ステージ18を用いて光ファイバアレイ19を移動させ、光変調器11に対して調芯を行う(ステップS24)。具体的には、光ファイバアレイ19の入力用の光ファイバが、光変調器11の入射ポートに調芯される。光ファイバアレイ19の出力用の光ファイバが、光変調器11の出射ポートに調芯される。制御部10は光変調器11の電気的特性(DC特性)の検査を行う(ステップS26)。制御部10の光源制御部56は、光源14に光を出力させる。光は光ファイバアレイ19の入力用の光ファイバを伝搬し、光変調器11に入射する。制御部10の検査部59は、光パワーメータが計測するデータを取得し、特性の検査を行う。アーム制御部51は、アーム30を用いて、検査終了後の光変調器11をステージ20からトレイ12に搬送する(ステップS28)。以上で1つの光変調器11の検査の処理は終了する。複数の光変調器11に上記の検査が行われる。
【0034】
図6Aから
図12Bは検査の工程を例示する図である。
図6Aはトレイ12を例示する平面図である。
図6Aに示すように、トレイ12に、複数の光変調器11が2次元グリッド状に配置されている。
図6Bはトレイ12およびステージ20を例示する側面図である。
図6Bに示すように、カメラ31はトレイ12の上からトレイ12を撮像する。制御部10はトレイ12上の光変調器11の位置を検出する。アーム30は、複数の光変調器11のうち1つを先端に吸引し、ピックアップする。アーム30は1つの光変調器11をステージ20に搬送する。ステージ20は、ステージ22、24および26、試料台27を含む。ステージ22の上にステージ24が配置されている。ステージ24の上にステージ26が配置されている。ステージ26の上に試料台27が配置されている。アーム30は、光変調器11が試料台27と平行になるように、光変調器11を試料台27の上面に配置する(
図5のステップS10およびS12)。配置後、アーム30は光変調器11から離れる。
【0035】
ステージおよび試料台27が重なる方向をZ軸方向とする。ステージおよび試料台27の2つの辺はX軸方向に平行であり、別の2つの辺はY軸方向に平行である。X軸方向は
図6B中の左右方向である。Z軸方向は
図6Bの上下方向である。Y軸方向はX軸方向およびZ軸方向に直交する。ステージおよび試料台27の上面はXY平面に平行である。ステージ22は、ステージ24、ステージ26および試料台27をX軸方向に移動させる。ステージ24は、ステージ26および試料台27をY軸方向に移動させる。ステージ26はXY平面内における試料台27の角度を変化させる。ステージの動作により光変調器11の姿勢が制御される。
【0036】
図7Aおよび
図7Bは姿勢制御の工程を例示する図である(
図5のステップS14)。
図7Aはステージ20を例示する側面図である。
図7Aに示すように、ステージ22は、ステージ24、ステージ26および試料台27を移動させ、カメラ32の下に配置する。カメラ32の焦点距離は例えば110mmである。カメラ32は、試料台27の上に位置し、試料台27から焦点距離程度に離間する。カメラ32は光変調器11の画像を撮像する。
【0037】
図7Bは試料台27を例示する平面図である。点線は、光変調器11の基準となる位置を表す。実線は、光変調器11の実際の位置の例であり、点線の位置からずれている。制御部10は基準位置の画像を記憶しており、ステージ20を動作させて光変調器11の姿勢を基準の位置に制御する。基準の位置と実際の位置との差が例えば1μm以下であればよい。光変調器11のX軸方向の長さL1は例えば4.3mmである。Y軸方向の長さL2は例えば3mmである。
【0038】
図8Aおよび
図8Bは厚さ測定の工程を例示する図である(
図5のステップS16)。
図8Aはステージ20を例示する側面図である。
図8Aに示すように、ステージ22は、ステージ24、ステージ26および試料台27を移動させ、レーザ変位計38の下に配置する。レーザ変位計38から光変調器11の電極72までの距離は、レーザ変位計38の焦点距離と同程度であり、例えば10mmである。レーザ変位計38は光変調器11の電極72に白色レーザ光を照射し、試料台27の上面から電極72の上面までの厚さTを測定する。1回の厚さ測定にかかる時間は数ミリ秒である。制御部10は、厚さTを記憶装置64に記憶する。
【0039】
図8Bは光変調器11の電極72付近を拡大した平面図である。
図8Bに示すように、光変調器11の1つの辺に沿って、複数の電極72が並ぶ。電極72の平面形状は矩形である。電極72の1辺の長さL3およびL4は例えば100μmである。複数の電極72のうち1つにレーザ光が照射される。具体的には、複数の電極72のうち中央付近のもの(
図8Bでは12個中、上から6番目の電極72)にレーザ光が照射される。レーザ光は電極72の中央部に当たる。電極72の中央部における光変調器11の厚さが測定される。
図8B中の黒い円がレーザ光のスポットを表す。レーザ光のスポット径は電極72の長さより小さく、例えば18μmである。
【0040】
図9に示すように、厚さ測定後、ステージ22は、ステージ24などとともに光変調器11をカメラ33の下に移動させる。カメラ33は光変調器11の表面に記載された番号(製造番号など)を撮像する。制御部10は番号の画像を取得し、記憶装置64に記憶する。
【0041】
図10Aから
図12Bはマルチコンタクトプローブ40の移動および電極72との導通の工程を例示する図である(
図5のステップS18およびS20)。
図10Aに示すように、マルチコンタクトプローブ40は移動部42に取り付けられ、プローブ針41を有する。プローブ針41はタングステン(W)などの金属で形成される。ステージ20は光変調器11をマルチコンタクトプローブ40および移動部42の近傍まで移動させる。移動部42は、マルチコンタクトプローブ40を降下させて、プローブ針41を電極72の上面に接触させる。
【0042】
図10Bは光変調器11の電極72付近を拡大した平面図である。光変調器11は複数の電極72を有する。マルチコンタクトプローブ40は複数のプローブ針41を有する。複数の電極72のそれぞれに、プローブ針41が接触する。すなわち、電極72とプローブ針41とが一対一で接触する。プローブ針41の先端41aは曲面を含む形状を有する。先端41aの曲面の直径は例えば25μmであり、電極72の長さより小さい。X軸方向におけるプローブ針41の長さL5は、例えば3mmである。
図10Bにおいて電極72およびプローブ針41の個数は12個である。個数は12個以下でもよいし、12個以上でもよく、例えば18個でもよい。
【0043】
図11Aから
図11Cは、マルチコンタクトプローブ40の移動を例示する側面図である。
図12Aおよび
図12Bは、マルチコンタクトプローブ40の移動を例示する平面図であり、1つのプローブ針41を拡大している。
【0044】
図11Aに示すように、プローブ針41は途中で折れ曲がっており、Z軸方向およびX軸方向から傾斜する。Z軸を基準として、プローブ針41は同じ方向に二回傾斜する。Z軸からの傾斜角度はθ1およびθ2である。プローブ針41のうち先端41aに近い方の傾斜角度θ2は、遠い方の傾斜角度θ1より小さい。θ1およびθ2は90°以下である。
【0045】
例えば検査の開始前などに、移動部42はマルチコンタクトプローブ40の位置を合わせる。制御部10は、試料台27の上面からプローブ針41の先端41aまでの距離D1を、記憶装置64に記憶する。
【0046】
制御部10の移動制御部55は、マルチコンタクトプローブ40の移動量Pを定める(
図5のステップS18)。Pは次式で表される。
P=D1-T+D2 (1)
D1は検査前の先端41aと試料台27の上面との距離である。Tは試料台27の上面から電極72の面72aまでの厚さである。D2は所定の値であり、例えば50μmである。
【0047】
図11Bに示すように、検査において、マルチコンタクトプローブ40は光変調器11に向けて移動する。プローブ針41が停止位置からZ軸方向にD1-Tを移動することで、プローブ針41の先端41aは電極72の面72aに到達する。
図12Aに示すように、先端41aは、面72aのうち中央よりも右側に接触する。
【0048】
移動部42は、先端41aが電極72の面72aに接触した状態で、プローブ針41をさらにD2移動させる。
図11Cおよび
図12Bに示すように、先端41aは面72a内でスライドし、面72aの中央部まで移動する(オーバードライブ)。先端41aのスライド量(オーバードライブ量)はD2である。オーバードライブによって、プローブ針41から電極72にかかる圧力が大きくなり、先端41aと面72aとが安定して接触される。電極72とプローブ針41とが電気的に接続される。
【0049】
本実施形態によれば、検査装置100はレーザ変位計38を有する。レーザ変位計38は非接触型の装置であり、光変調器11の厚さを測定する。マルチコンタクトプローブ40のプローブ針41は、厚さに応じた距離を移動することで、光変調器11の電極72に接触する。プローブ針41の移動量が厚さに基づいて定められる。移動量は、小さすぎることも大きすぎることもない、適切な大きさとなる。プローブ針41と電極72との接触不良は抑制される。プローブ針41が電極72に押し込まれることによる電極72の破壊も抑制される。プローブ針41と電極72との良好な接触が可能である。
【0050】
図11Aに示すように、移動部42は、マルチコンタクトプローブ40をステージ20の試料台27の上に配置する。プローブ針41の先端41aから試料台27までの距離はD1である。プローブ針41の移動量Pは、距離D1および光変調器11の厚さTに応じて定められる。移動量Pが、厚さTに対応した大きさとなることで、プローブ針41と電極72との良好な接触が可能である。
【0051】
移動量Pは、距離D1、厚さT、所定の量D2を用いてP=D1-T+D2と表される。プローブ針41が電極72の面72aまで降下し、かつ面72a内でスライドする。プローブ針41と電極72との良好な接触が可能である。D2は電極72のサイズに応じて定めればよい。電極72の1辺の長さが100μmならば、D2は100μm以下であり、例えば50μmである。プローブ針41が電極72の外までスライドせず、電極72に接触する。
【0052】
光変調器11はウェハから製造される。ウェハ間において厚さTのばらつきが発生しやすい。
図4に示すように、検査装置100は、異なるウェハから製造される光変調器11に対して検査を行う。制御部10は、第1ウェハから製造される光変調器11の厚さを測定し、移動量Pを定める。制御部10は、第2ウェハから製造される光変調器11の厚さを測定し、移動量Pを定める。異なるウェハで製造される光変調器11の検査が可能である。
【0053】
1つのウェハから製造される複数の光変調器11のうち1つに厚さの測定を行ってもよい。つまり、第1ウェハから製造される1つの光変調器11に厚さの測定を行い、移動量を設定する(
図5のステップS16およびS18)。他の光変調器11においては厚さの測定および移動量の設定を行わない。移動量を、第1ウェハのすべての光変調器11に適用する。第2ウェハから製造される光変調器11に対しては、厚さの測定および移動量の設定を行う。工数が削減され、検査の時間が短縮される。すべての光変調器11に厚さの測定を行ってもよい
【0054】
光変調器11は複数の電極72を有する。レーザ変位計38は、複数の電極72のうち少なくとも1つにレーザ光を照射すればよい。レーザ変位計38は、2個以上の電極72にレーザ光を照射してもよいし、1つの電極72にレーザ光を照射してもよい。1つの電極72にレーザ光を照射し、厚さを測定することで、工程の時間を短縮することができる。
【0055】
マルチコンタクトプローブ40は複数のプローブ針41を有する。複数のプローブ針41が移動し、複数の電極72に接触する。光変調器11の検査が可能である。プローブ針41の個数は電極72の個数以上でもよい。マルチコンタクトプローブ40が光変調器11のすべての電極72に電気的に接続される。
【0056】
図8Bに示すように、レーザ変位計38は電極72の中央部にレーザ光を照射する。測定制御部54は、電極72の中央部における光変調器11の厚さを測定する。プローブ針41は厚さに応じた距離を移動し、
図12Bに示すように電極72の中央部まで移動し、電極72に接触する。安定した接触が可能である。レーザ光の照射位置、およびプローブ針41の停止位置は、電極72の中央部でもよいし、中央部から外れた位置、例えば端部付近でもよい。
【0057】
プローブ針41が電極72の面72aに接触した状態でプローブ針41を下方向に所定量D2移動させると、先端41aが面72a上で移動する。先端41aが面72aに押し付けられることで、プローブ針41と電極72とが接触される。プローブ針41がZ軸から傾斜しているため、プローブ針41がオーバードライブしやすい。プローブ針41からの圧力が適度な大きさとなることで、プローブ針41からの圧力による電極72の破壊が抑制される。先端41aは球面を含むため、電極72に傷がつきにくい。
【0058】
検査装置100は光変調器11の検査を行う。検査対象物は光変調器11以外の電子機器でもよい。電極が検査対象物の表面に設けられ、プローブ針41に接触可能であればよい。電極72の個数およびサイズに応じて、プローブ針41の個数およびサイズも定める。制御部10はコンピュータを備え、
図5の工程を自動的に行う。作業量が低減される。
【0059】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 制御部
11 光変調器
12 トレイ
14 光源
16 光パワーメータ
18 調芯用ステージ
19 光ファイバアレイ
20、22、24、26 ステージ
27 試料台
30 アーム
31、32、33 カメラ
36 温度コントローラ
38 レーザ変位計
39 電源
40 マルチコンタクトプローブ
41 プローブ針
41a 先端
42 移動部
51 アーム制御部
52 姿勢制御部
53 温度制御部
54 測定制御部
55 移動制御部
56 光源制御部
57 電源制御部
58 調芯制御部
59 検査部
60 CPU
62 RAM
63 ROM
64 記憶装置
66 インターフェース
70 基板
72 電極
72a 面
100 検査装置