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特開2024-64765通信装置、制御方法、および、プログラム
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  • 特開-通信装置、制御方法、および、プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064765
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/20 20180101AFI20240507BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20240507BHJP
【FI】
H04W76/20
H04W36/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173599
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】杉本 誠史
(72)【発明者】
【氏名】高田 和俊
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067DD52
5K067EE04
5K067EE10
5K067EE24
(57)【要約】
【課題】アクセスポイント(AP)を介して特定の情報端末と安定した通信を実現する。
【解決手段】通信装置10aは、AP30aに接続し、AP30aを介して情報端末40a~40dと無線通信を行う第一通信IF11と、情報端末40aが送信した、表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得する第一取得部131と、第一取得部131が当該指示を取得した場合に、第一通信IF11と情報端末40aとが異なるAPに接続しているか否かを判定する判定部133と、異なるAPに接続していると判定された場合、第一通信IF11にAP30aとの接続を切断させ、情報端末40aが接続しているAP30bに第一通信IF11を接続させる接続制御を行う接続制御部134と、上記接続制御が行われた場合に、AP30bを介して情報端末40aから画像データを取得する第二取得部132と、当該画像データを表示装置20aへ出力する出力部135と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントに接続し、前記アクセスポイントを介して情報端末と無線通信を行う無線通信インタフェースと、
特定の情報端末が送信した、表示部へ画像データの伝送を開始する指示を取得する第一取得部と、
前記第一取得部が前記指示を取得した場合に、前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する判定部と、
前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続していると前記判定部が判定した場合、前記無線通信インタフェースに前記アクセスポイントとの接続を切断させ、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントに前記無線通信インタフェースを接続させる接続制御を行う接続制御部と、
前記接続制御部により前記接続制御が行われた場合に、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントを介して前記特定の情報端末から前記画像データを取得する第二取得部と、
前記第二取得部により取得された前記画像データを前記表示部へ出力する出力部と、
を備える、
通信装置。
【請求項2】
前記第一取得部は、前記指示を取得すると、前記特定の情報端末から当該情報端末が接続しているアクセスポイントの機器識別情報を取得し、
前記判定部は、前記第一取得部により取得された前記機器識別情報に基づいて、前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第一取得部は、前記指示を取得すると、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントから当該アクセスポイントの機器識別情報を取得し、
前記判定部は、前記第一取得部により取得された前記機器識別情報に基づいて、前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記機器識別情報は、BSSID(Basic Service Set Identifier)である、
請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
通信装置の制御方法であって、
前記通信装置をアクセスポイントに接続し、前記アクセスポイントを介して情報端末と無線通信する無線通信ステップと、
特定の情報端末が送信した、表示部へ画像データの伝送を開始する指示を取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップで前記指示が取得された場合に、前記通信装置と前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する判定ステップと、
前記通信装置と前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続していると前記判定ステップで判定された場合、前記通信装置と前記アクセスポイントとの接続を切断し、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントに前記通信装置を接続させる接続制御を行う接続制御ステップと、
前記接続制御ステップで前記接続制御が行われた場合に、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントを介して前記特定の情報端末から前記画像データを取得する第二取得ステップと、
前記第二取得ステップで取得された前記画像データを前記表示部へ出力する出力ステップと、
を含む、
制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数のアクセスポイント(AP)のうち同一の無線LAN(Local Area Network)識別情報を有するAPが2つ以上発見され、その中の1つのAPに機器が接続しようとする場合、当該APが所定の条件(一例として「閾値より低い電波強度」が挙げられている)に合致すれば、機器が当該APに接続しないように通信制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4833779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、複数のアクセスポイントが同一の無線LAN識別情報を有する場合、上記複数のアクセスポイントのうち受信信号強度の強いアクセスポイントに機器および情報端末が接続してしまうことがある。これらのアクセスポイントが互いに有線ネットワークで接続されているため、機器および情報端末が接続するアクセスポイントによっては、機器と情報端末との間の通信経路が最適にならない場合がある。この場合、機器と情報端末との間の通信に無用な経路の通信帯域を消費してしまうことがあり、また、通信のエラー率を上昇させてしまうことがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、アクセスポイントを介して特定の情報端末と安定した通信を行うことができる通信装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置は、アクセスポイントに接続し、前記アクセスポイントを介して情報端末と無線通信を行う無線通信インタフェースと、特定の情報端末が送信した、表示部へ画像データの伝送を開始する指示を取得する第一取得部と、前記第一取得部が前記指示を取得した場合に、前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する判定部と、前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続していると前記判定部が判定した場合、前記無線通信インタフェースに前記アクセスポイントとの接続を切断させ、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントに前記無線通信インタフェースを接続させる接続制御を行う接続制御部と、前記接続制御部により前記接続制御が行われた場合に、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントを介して前記特定の情報端末から前記画像データを取得する第二取得部と、前記第二取得部により取得された前記画像データを前記表示部へ出力する出力部と、を備える通信装置である。
【0007】
これによれば、通信装置は、特定の情報端末(すなわち、ユーザの指示を受けて画像データの伝送を開始する指示を自機に送信した情報端末)が接続しているアクセスポイントと異なるアクセスポイントに接続している場合、自身が接続しているアクセスポイントを特定の情報端末が接続しているアクセスポイントに接続を切り替えて、特定の情報端末から画像データを取得することができる。そのため、通信装置および特定の情報端末がそれぞれ異なるアクセスポイントに接続している状態よりも通信装置と情報端末との間の通信経路が短くなる。これにより、通信装置は、アクセスポイントを介して特定の情報端末と安定した通信(特に、画像のデータ通信)を行うことができるため、表示部へ安定的に画像データを出力することができる。
【0008】
また、前記取得部は、前記指示を取得すると、前記特定の情報端末から当該情報端末が接続しているアクセスポイントの機器識別情報を取得し、前記判定部は、前記取得部により取得された前記機器識別情報に基づいて、前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定してもよい。
【0009】
これによれば、通信装置は、表示部へ画像データの伝送を開始する指示を特定の情報端末から取得したときに、特定の情報端末が接続しているアクセスポイントの機器識別情報も情報端末から取得できる。このように、通信装置は、特定の情報端末から上記指示と当該情報端末が接続しているアクセスポイントの機器識別情報とを取得できるため、自身が特定の情報端末と異なるアクセスポイントに接続しているか否かを効率よく判定することができる。
【0010】
また、前記取得部は、前記指示を取得すると、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントから当該アクセスポイントの機器識別情報を取得し、前記判定部は、前記取得部により取得された前記機器識別情報に基づいて、前記無線通信インタフェースと前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定してもよい。
【0011】
これによれば、通信装置は、表示部へ画像データの伝送を開始する指示を特定の情報端末から取得したときに、特定の情報端末が接続しているアクセスポイントから当該アクセスポイントの機器識別情報を取得することができる。このように、通信装置は、特定の情報端末から上記指示と当該情報端末が接続しているアクセスポイントの機器識別情報とを取得できるため、自身が特定の情報端末と異なるアクセスポイントに接続しているか否かを効率よく判定することができる。
【0012】
また、前記機器識別情報は、BSSID(Basic Service Set Identifier)であってもよい。
【0013】
これによれば、通信装置は、アクセスポイントの識別情報としてBSSIDを使用することで、複数のアクセスポイントが1つのネットワークに接続されている場合であっても、自身が接続しているアクセスポイントと特定の情報端末が接続しているアクセスポイントとを識別することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、通信装置の制御方法であって、前記通信装置をアクセスポイントに接続し、前記アクセスポイントを介して情報端末と無線通信する無線通信ステップと、特定の情報端末が送信した、表示部へ画像データの伝送を開始する指示を取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップで前記指示が取得された場合に、前記通信装置と前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する判定ステップと、前記通信装置と前記特定の情報端末とが異なるアクセスポイントに接続していると前記判定ステップで判定された場合、前記通信装置と前記アクセスポイントとの接続を切断し、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントに前記通信装置を接続させる接続制御を行う接続制御ステップと、前記接続制御ステップで前記接続制御が行われた場合に、前記特定の情報端末が接続しているアクセスポイントを介して前記特定の情報端末から前記画像データを取得する第二取得ステップと、記第二取得ステップで取得された前記画像データを前記表示部へ出力する出力ステップと、を含む制御方法である。
【0015】
これによれば、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0016】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0017】
これによれば、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0018】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、通信装置は、アクセスポイントを介して特定の情報端末と安定した通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施の形態に係る通信装置と特定の情報端末との間の画像データの送受信例を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る通信システムおよび通信装置の構成の一例を示す第1模式図である。
図3図3は、実施の形態に係る通信システムおよび通信装置の構成の一例を示す第2模式図である。
図4図4は、実施の形態に係る通信装置が実行する処理の一例を示すフロー図である。
図5図5は、実施の形態に係る通信システムが実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0023】
(実施の形態)
本実施の形態において、アクセスポイントを介して情報端末と安定した通信を実現することができる通信システムおよび通信装置などについて説明する。
【0024】
まず、本実施の形態に係る通信装置と特定の情報端末との間の画像データの送受信の具体的状況について図1を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る通信装置と特定の情報端末との間の画像データの送受信例を示す図である。
【0025】
本実施の形態では、空間50aおよび50bは、学校の教室であり、空間50a(ここでは、教室)で教師が情報端末40aを使用し、生徒たちが情報端末40b、40cおよび40dを使用して授業が行われている例を説明するが、この例に限られない。
【0026】
また、図1の例では、通信装置10aと表示装置20aとは有線で接続されており、通信装置10bと表示装置20bとは有線で接続されている。以下では、通信装置と表示装置とが別体である例を説明するが、通信装置と表示装置とは、一体であってもよい。この場合、表示装置は、通信装置が備える表示部として機能してもよい。
【0027】
また、アクセスポイント30aおよびアクセスポイント30bは、同じ無線LAN識別情報(SSID)を有しており、互いに有線ネットワークNで接続されている。ここで、学校内の異なる空間(教室)に亘って同一のSSIDを採用する理由は、生徒が一つの教室だけでなく、別の教室に移動して授業を受講することもあるし、教師が自身の担当科目の授業を行うために複数の教室に移動することがあるからである。その場合、複数台の情報端末のキッティングの際に教室毎にSSIDが異なるとすべての教室のSSIDを全ての情報端末で事前に設定しておく必要があり非常に煩雑だからでもある。
【0028】
図1では、通信装置10aは、アクセスポイント30aを介して、通信装置10aが設置された空間50aに存在する複数の情報端末40a~40dと無線通信を行っている(言い換えると、無線接続されている)。なお、通信装置10aが1つのアクセスポイント30aを介して複数の情報端末40a~40dと無線通信を行っているとは、通信装置10aが少なくとも自装置が接続している1つのアクセスポイント30aを介して複数の情報端末40a~40dのそれぞれと無線接続されていること言う。
【0029】
図1の(a)は、通信装置10aと、ユーザから表示装置20aへ画像データの伝送を開始する指示(以下、画像伝送開始指示ともいう)を受け付けた情報端末40b(いわゆる、特定の情報端末)とが同じアクセスポイント30aに接続している場合の画像データの送受信例を示す図である。情報端末40bは、ユーザから表示装置20aへの画像伝送開始指示を受け付けると、アクセスポイント30aを介して通信装置10aに画像伝送開始指示を送信する。通信装置10aは、情報端末40bから表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得した場合、自装置と情報端末40bとが互いに異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する。この例では、通信装置10aおよび情報端末40bは、ともに、アクセスポイント30aに接続しているため、通信装置10aは、アクセスポイント30aを介して情報端末40bから画像データを取得し、取得した画像データを表示装置20aへ出力する。
【0030】
図1の(b)では、ユーザから表示装置20aへの画像伝送開始指示を受け付けた特定の情報端末は情報端末40aであり、通信装置10aと、当該情報端末40aとは互いに異なるアクセスポイントに接続している場合の画像データの送受信例を示す図である。情報端末40aは、ユーザから表示装置20aへの画像伝送開始指示を受け付けると、アクセスポイント30bを介して通信装置10aに画像伝送開始指示を送信する。一般的に、空間50a内の複数の情報端末40a~40dは、それぞれ、空間50a内のアクセスポイント30a、および、空間50aに隣接する空間50b内のアクセスポイント30bが同一のSSIDを有していれば、そのうち受信信号強度の強いアクセスポイントに接続する。そのため、空間50a内の情報端末40a~40dの位置によっては、情報端末40aのように、空間50bに設置されたアクセスポイント30bに接続する情報端末が存在する場合がある。この例では、通信装置10aは、アクセスポイント30aに接続している。このような接続状況下で通信装置10aと情報端末40aとの間で画像データの送受信が行われると、通信装置10aは、情報端末40aから送信された画像データを、アクセスポイント30bと、有線ネットワークNと、アクセスポイント30aとを介して取得する。このように、通信装置10aは、情報端末40aとの画像データ通信に無用な経路の通信帯域を消費するため、通信のエラー率を上昇させてしまうことがある。
【0031】
そこで、本発明では、通信装置10aは、このような接続状況下で、情報端末40aから表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得した場合、自装置と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続していると判定して、自装置が接続するアクセスポイントを切り替える。言い換えると、画像伝送開始指示を発信した情報端末が接続するアクセスポイントと自装置が接続するアクセスポイントとが異なる場合、自装置が接続するアクセスポイントを切り替える。より具体的には、図1の(b)に示されるように、通信装置10aは、自装置とアクセスポイント30aとの接続を切断し、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bに接続する。その後、通信装置10aは、アクセスポイント30bを介して情報端末40aから画像データを取得し、取得した画像データを表示装置20aへ出力する。
【0032】
続いて、本実施の形態に係る通信システムおよび通信装置について図2および図3を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係る通信システムおよび通信装置の構成の一例を示す第1模式図である。図3は、本実施の形態に係る通信システムおよび通信装置の構成の一例を示す第2模式図である。なお、図2および図3における破線は、無線通信による接続経路を示している。
【0033】
本実施の形態では、通信システム100は、例えば、通信装置10aと、有線ネットワークNで互いに接続された2つ以上のアクセスポイント(例えば、アクセスポイント30aおよび30b)と、を備える。ここでは、通信システム100が通信装置10aと、アクセスポイント30aおよび30bと、を備える例について説明するが、この例に限られない。
【0034】
アクセスポイント30aおよび30bは同一の無線LAN識別情報(SSID)を有しており、それぞれ、異なる空間に設置されている。例えば、図2に示されるように、アクセスポイント30aは、空間50aに設置されており、アクセスポイント30bは、空間50bに設置されている。
【0035】
1つの空間には、1つの通信装置と、1つの表示装置と、1つのアクセスポイントとが設置されており、各空間に設置されたアクセスポイントは、互いに有線ネットワークNで接続されている。例えば、図2に示されるように、空間50aには、通信装置10aと、表示装置20aと、アクセスポイント30aと、が設置されており、複数のユーザがそれぞれ使用する複数の情報端末40a、40b、40cおよび40dが存在する。空間50bには、通信装置10bと、表示装置20bと、アクセスポイント30bとが設置されている。なお、通信装置と表示装置とが一体である場合、1つの空間には、表示部を備える1つの通信装置と、1つのアクセスポイントとが設置される。表示部は、例えば、表示パネルで実現されてもよい。表示パネルは、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)などである。
【0036】
空間50aおよび50bは、それぞれ、例えば、建物内で壁またはパーティションなどで区切られた空間である。空間50aおよび50bは、隣接する空間であってもよいし、通路などを挟んで向かい合う空間であってもよい。例えば、建物は、学校、オフィスビル、イベントホール、または、病院などであり、空間は、教室、セミナールーム、会議室、または、カンファレンスルームなどである。
【0037】
通信装置10aは、例えば、複数の情報端末40a~40dのいずれか1つの情報端末(いわゆる、特定の情報端末)から取得した画像データを表示装置20aに伝送する通信装置である。より具体的には、通信装置10aは、情報端末40a~40dのいずれか1つの情報端末から表示装置20aへの画像データの伝送開始の指示(いわゆる、画像伝送開始指示)を取得した場合に、当該情報端末が接続しているアクセスポイントと同じアクセスポイントに接続して、当該情報端末から画像データを取得し、表示装置20aへ画像データを出力する装置である。以下では、情報端末40aを特定の情報端末として本開示の実施の形態を説明する。例えば、通信装置10aは、情報端末40aから表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得すると、第一通信インタフェース11とアクセスポイント30aとの接続(図2参照)を切断して、第一通信インタフェース11をアクセスポイント30bに接続させる(図3参照)。画像データは、静止画像のデータであってもよいし、動画像(映像)のデータであってもよい。
【0038】
なお、本実施の形態では、通信装置と表示装置とが別体である例について説明するが、この例に限られず、通信装置と表示装置とは一体(一つの筐体)であってもよい。この場合、通信装置10aは、機能構成の1つとして表示部を備えるため、第二通信インタフェース12は必須でなくてよい。
【0039】
通信装置10aは、例えば、第一通信インタフェース11(図中の第一通信IF)と、第二通信インタフェース12(図中の第二通信IF)と、制御部13と、記憶部14とを備える。
【0040】
第一通信インタフェース11は、本開示の無線通信インタフェースの一例である。より具体的には、第一通信インタフェース11は、アクセスポイント30aに接続し、アクセスポイント30aを介して複数の情報端末40a~40dと無線通信を行う通信回路(または、通信モジュール)である。また、第一通信インタフェース11は、後述する判定部133により、第一通信インタフェース11と、表示装置20aへの画像伝送開始指示を受け付けた特定の情報端末(例えば、図2の情報端末40a)とが異なるアクセスポイントに接続していると判定された場合、アクセスポイント30aとの接続を切断し、情報端末40aが接続しているアクセスポイント(例えば、アクセスポイント30b)に接続する。第一通信インタフェース11は、アクセスポイント30aおよび30bと無線通信を行う。
【0041】
第二通信インタフェース12は、表示装置20aに接続する通信回路(または、通信モジュール)である。より具体的には、第二通信インタフェース12は、表示装置20aと有線ケーブルで接続するための接続端子である。例えば、第二通信インタフェース12は、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)接続端子、または、DVI(Digital Visual Interface)などの映像の入出力端子を備える。
【0042】
制御部13は、通信装置10aに関する各種情報処理を行う。制御部13は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。制御部13の機能は、制御部13を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが記憶部14に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0043】
制御部13は、機能的な構成要素として、第一取得部131と、第二取得部132と、判定部133と、接続制御部134と、出力部135とを備える。第一取得部131、第二取得部132、判定部133、接続制御部134、および、出力部135が行う具体的な処理については、後述する。
【0044】
記憶部14は、制御部13が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部14は、第一通信インタフェース11、第二通信インタフェース12、および制御部13で行われる情報処理により記憶する必要が生じた情報を一時的に記憶できる。記憶部14は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリによって実現されてもよい。
【0045】
なお、通信装置10bは、通信装置10bが設置された空間50b内の複数の情報端末(不図示)のうち1つの情報端末(いわゆる、特定の情報端末)から表示装置20bへの画像伝送開始指示を取得した場合に、当該情報端末が接続しているアクセスポイントに接続して、当該情報端末から画像データを取得し、表示装置20bへ画像データを出力する装置である。通信装置10bは、通信装置10aと同様の構成を備えるが、以下の点で通信装置10aと異なる。例えば、通信装置10bの第一通信インタフェース11は、アクセスポイント30bに接続し、アクセスポイント30bを介して情報端末(不図示)と無線通信を行う通信回路(または、通信モジュール)である。また、通信装置10bの第二通信インタフェース12は、表示装置20bに接続する通信回路(または、通信モジュール)である。また、通信装置10bの制御部13は、通信装置10bに関する各種情報処理を行う。
【0046】
表示装置20aは、通信装置10aから出力された画像データを取得し、取得された画像データに基づいて画像を表示する。表示装置20aは、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルを備える。表示装置20aは、モニターであってもよいし、テレビであってもよい。また、表示装置20bは表示装置20aと同様であるが、通信装置10bから出力された画像データを取得する点で、表示装置20aと異なる。
【0047】
アクセスポイント30aは、自機が設置された空間50a内の複数の情報端末40a~40dと通信装置10aとの間のデータ通信を中継する中継装置である。アクセスポイント30aは、有線ネットワークNで他のアクセスポイント(例えば、アクセスポイント30b)と接続している。
【0048】
なお、アクセスポイント30bは、基本的には、自機が設置された空間50b内の複数の情報端末と通信装置10bとの間のデータ通信を中継する中継装置であるが、例えば図1に示されるように、空間50bの周囲の空間(例えば、空間50a)内の情報端末と通信装置(例えば、通信装置10a)との間のデータ通信を中継する場合もある。
【0049】
複数の情報端末40a~40dは、例えば、1つの空間(ここでは、空間50a)において複数のユーザにより使用される。上述したように、空間50aが学校の教室である場合、例えば、情報端末40aは、教室で授業する教師が使用する端末であり、情報端末40b~40dは、生徒たちがそれぞれ使用する端末である。情報端末40a~40dは、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、または、スマートフォンなどである。なお、本実施の形態では図1に示される情報端末40a~40dで説明するが、情報端末の台数はこれに限らない。
【0050】
続いて、本実施の形態に係る通信装置10aが実行する処理の一例について図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係る通信装置10aが実行する処理の一例を示すフロー図である。なお、条件により分岐を生じる処理については、各処理の説明の中で詳細に述べる。
【0051】
図4に示されるように、通信装置10aの第一通信インタフェース11は、第一通信ステップS01において、アクセスポイント30aに接続し、アクセスポイント30aを介して複数の情報端末40a~40dと無線通信する(図2図3参照)。より具体的には、例えば、通信装置10aは、通信装置10aが設置された空間50aに滞在する複数のユーザ(例えば、教師および生徒たち)が使用する複数の情報端末40a~40dの所定のアプリケーションから通信装置10aとの接続命令を受信すると、自装置が接続しているアクセスポイント30aを介して、複数の情報端末40a~40dと無線通信する(不図示)。なお、通信装置10aと複数の情報端末40a~40dとの間の無線通信は、例えば、アクセスポイント30aを介して行われてもよいし、アクセスポイント30aを介さず直接行われていてもよい。
【0052】
次に、通信装置10aの第二通信インタフェース12は、第二通信ステップS02において、表示装置20aに接続する。これにより、例えば、ユーザ(例えば、教師)が操作する情報端末40aの所定のアプリケーションから表示装置20aとの接続命令を第一通信インタフェース11が受信すると、通信装置10aは、第一通信インタフェース11を介して情報端末40aに応答信号を送信し、第二通信インタフェース12を介して表示装置20aで表示する画像のデータを受信可能(取得可能)となる。なお、通信装置と表示装置とが一体である場合、表示装置は通信装置が備える表示部として機能するため、第二通信インタフェース12を備えなくてもよい。この場合、通信装置の制御部13は、通信線(制御線)を介して表示部と接続されている。なお、第二通信ステップS02は、第一通信ステップS01と並行して行われてもよいし、第一通信ステップS01よりも前に行われてもよい。
【0053】
次に、通信装置10aの第一取得部131は、第一取得ステップS03において、情報端末40aが送信した、表示装置20aへ画像データの伝送を開始する指示(いわゆる、画像伝送開始指示)を取得する。例えば、図1に示されるように、通信装置10aの第一取得部131は、アクセスポイント30bを介して、情報端末40aから表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得する。
【0054】
ここで、通信装置10aは、通信装置10aに画像伝送開始指示を送信した情報端末40aが接続するアクセスポイントの機器識別情報を取得する。当該機器識別情報は、無線LAN識別情報(SSID)とは違って、それぞれのアクセスポイントを個別に識別できる識別子の情報であり、例えばBSSIDである。例えば、情報端末40aは、自機が接続しているアクセスポイント30bの機器識別情報を表示装置20aへの画像伝送開始指示に含めて送信してもよいし、画像伝送開始指示と共にアクセスポイント30bの機器識別情報を送信してもよい。この場合、通信装置10aの第一取得部131は、表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得すると、情報端末40aから当該情報端末が接続しているアクセスポイント30bの機器識別情報を取得する。
【0055】
また、例えば、情報端末40aは、表示装置20aへの画像伝送開始指示のみをアクセスポイント30bを介して通信装置10aに送信してもよい。このとき、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bが、情報端末40aから通信装置10aへ画像伝送開始指示の送信を中継するときに、自機の識別情報を通信装置10aに送信してもよい。この場合、通信装置10aの第一取得部131は、表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得すると、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bから送信された当該アクセスポイントの機器識別情報を取得する。
【0056】
次に、通信装置10aの判定部133は、判定ステップS04において、第一取得ステップS03で表示装置20aへの画像伝送開始指示が取得された場合に、自装置と情報端末40aとが互いに異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する。より具体的には、通信装置10aの判定部133は、第一取得ステップS03で取得された機器識別情報に基づいて、自装置(第一通信インタフェース11)と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する。より具体的には、例えば、通信装置10aの判定部133は、情報端末40aから送信されるアクセスポイントの機器識別情報と自装置が接続しているアクセスポイント30aの機器識別情報とが異なるか否かを判定する。これにより、通信装置10aの判定部133は、自装置と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する。なお、通信装置10aの判定部133は、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bの機器識別情報が表示装置20aへの画像伝送開始指示に含まれる場合、画像伝送開始指示からアクセスポイント30bの機器識別情報を抽出することで、当該機器識別情報を取得してもよい。
【0057】
次に、通信装置10aの接続制御部134は、接続制御ステップS05において、判定ステップS04で判定された結果に応じて、自装置が接続すべきアクセスポイントを選択する。より具体的には、接続制御ステップS05では、通信装置10aの接続制御部134は、自装置(第一通信インタフェース11)と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続していると判定ステップS04で判定された場合、自装置(第一通信インタフェース11)とアクセスポイント30aとの接続を切断し、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bに自装置(第一通信インタフェース11)を接続させる制御を行う。この制御を接続制御ともいう。アクセスポイント30bは、2つ以上のアクセスポイントのうち通信装置10aが接続している1つのアクセスポイントと異なる他の1つのアクセスポイントであって、通信装置10aに画像伝送開始指示を送信した情報端末40aが接続しているアクセスポイントである。なお、接続制御部134は、自装置(第一通信インタフェース11)と情報端末40aとが同じアクセスポイントに接続していると判定ステップS04で判定された場合は、上記の制御は行わない。
【0058】
次に、通信装置10aの第二取得部132は、第二取得ステップS06において、アクセスポイント30bを介して情報端末40aから画像データを取得する。上述したように、画像データは、静止画像のデータであってもよいし、動画像のデータであってもよい。
【0059】
次に、通信装置10aの出力部135は、出力ステップS07において、第二取得ステップS06で取得された画像データを表示装置20aへ出力する。
【0060】
続いて、本実施の形態に係る通信システム100が実行する処理の一例について図5を参照しながら説明する。図5は、実施の形態に係る通信システム100が実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【0061】
図5に示されているように、情報端末40aは、ユーザにより入力された、表示装置20aへの画像データの伝送開始の指示(いわゆる、画像伝送開始指示)を受け付けると(ステップS11)、アクセスポイント(AP)を介して画像伝送開始指示を通信装置10aに送信する(ステップS12、S13)。
【0062】
まず、情報端末40aがアクセスポイント30bを介して表示装置20aへの画像伝送開始指示を通信装置10aに送信している場合について説明する。なお、通信装置10aは、画像伝送開始指示を受信したとき、アクセスポイント30aに接続しているものとする。
【0063】
情報端末40aは、自機が接続しているアクセスポイント30bの機器識別情報を画像伝送開始指示に含めてアクセスポイント30bに送信する(ステップS12)。アクセスポイント30bは、情報端末40aから取得した画像伝送開始指示を通信装置10aに送信する(ステップS13)。
【0064】
なお、情報端末40aは、表示装置20aへの画像伝送開始指示に自機が接続しているアクセスポイント30bの機器識別情報を含めずに、当該画像伝送開始指示のみをアクセスポイント30bに送信してもよい。この場合、アクセスポイント30bは、情報端末40aから表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得すると、当該画像伝送開始指示と共に自機の機器識別情報を通信装置10aに送信してもよい。
【0065】
通信装置10aの第一取得部131が表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得すると(ステップS14)、第一取得部131は、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bの機器識別情報を取得する(ステップS15)。ステップS14およびS15の処理については、図4の第一取得ステップS03で説明したため、ここでの説明を省略する。
【0066】
次に、通信装置10aの判定部133は、通信装置10a(第一通信インタフェース11)と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する(ステップS16)。より具体的には、例えば、判定部133は、ステップS15で第一取得部131により取得された、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bの機器識別情報と、通信装置10aが接続しているアクセスポイント30aの機器識別情報とが異なるか否かを判定する。この場合、2つのアクセスポイント30aおよび30bの機器識別情報が異なるので、判定部133は、通信装置10aと情報端末40aとは互いに異なるアクセスポイントに接続していると判定する(ステップS16でYes)。なお、ステップS16は、図4の判定ステップS04に対応する。
【0067】
次に、通信装置10aの接続制御部134は、通信装置10a(第一通信インタフェース11)と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続していると判定部133が判定した(ステップS16でYes)ことに基づいて、通信装置10aの第一通信インタフェース11にアクセスポイント30aとの接続を切断させ(ステップS17)、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bに第一通信インタフェース11を接続させる(ステップS18)制御を行う。これにより、通信装置10aは、自装置とアクセスポイント30aとの接続を切断し、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30bに接続する。なお、ステップS17およびS18は、図4の接続制御ステップS05に対応する。
【0068】
次に、通信装置10aの制御部13は、接続制御部134により上記の接続制御が行われた後、情報端末40aに画像データを要求する信号(以下、画像データの要求)を第一通信インタフェース11に送信させる(ステップS19)。アクセスポイント30bは、通信装置10aから画像データの要求を取得すると、情報端末40aに画像データの要求を送信する(ステップS20)。
【0069】
次に、情報端末40aは、アクセスポイント30bを介して、通信装置10aから画像データの要求を取得すると(ステップS21)、アクセスポイント30bを介して通信装置10aに画像データを送信する(ステップS22、S23)。
【0070】
通信装置10aの第二取得部132は、アクセスポイント30bを介して情報端末40aから画像データを取得する(ステップS24)。なお、ステップS24は、図4の第二取得ステップS06に対応する。
【0071】
通信装置10aの出力部135は、ステップS24で第二取得部132により取得された画像データを、第二通信インタフェース12を介して、表示装置20aへ出力する(ステップS25)。なお、ステップS25は、図4の出力ステップS07に対応する。
【0072】
表示装置20aは、ステップS25で通信装置10aの出力部135により出力された画像データを取得し、取得された画像データに基づいて画像を表示する(ステップS26)。
【0073】
続いて、情報端末40aがアクセスポイント30aを介して画像伝送開始指示を通信装置10aに送信している場合について説明する。なお、通信装置10aは、画像伝送開始指示を受信したとき、アクセスポイント30aに接続しているものとする。
【0074】
情報端末40aは、自機が接続しているアクセスポイント30aの機器識別情報を上記の画像伝送開始指示に含めてアクセスポイント30aに送信する(ステップS12)。アクセスポイント30aは、情報端末40aから取得した画像伝送開始指示を通信装置10aに送信する(ステップS13)。
【0075】
なお、情報端末40aは、画像伝送開始指示のみをアクセスポイント30aに送信してもよい。この場合、アクセスポイント30aは、情報端末40aから画像伝送開始指示を取得すると、当該指示と共に自機の機器識別情報を通信装置10aに送信してもよい。
【0076】
通信装置10aの第一取得部131が表示装置20aへの画像伝送開始指示を取得すると(ステップS14)、判定部133は、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30aの機器識別情報を取得する(ステップS15)。
【0077】
次に、通信装置10aの判定部133は、通信装置10a(第一通信インタフェース11)と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続しているか否かを判定する(ステップS16)。より具体的には、判定部133は、ステップS15で取得した、情報端末40aが接続しているアクセスポイント30aの機器識別情報と、通信装置10aが接続しているアクセスポイント30aの機器識別情報とが異なるか否かを判定する。この場合、判定部133は、これら2つのアクセスポイント30aの機器識別情報は同じであるので、通信装置10aと情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続していていない(言い換えると、同じアクセスポイントに接続している)と判定する(ステップS16でNo)。
【0078】
次に、通信装置10aの制御部13は、通信装置10a(第一通信インタフェース11)と情報端末40aとが異なるアクセスポイントに接続していない(つまり、同じアクセスポイントに接続している)と判定部133が判定した場合(ステップS16でNo)ことに基づいて、情報端末40aに画像データを要求する信号(いわゆる、画像データの要求)を第一通信インタフェース11に送信させる(ステップS19)。アクセスポイント30aは、通信装置10aから画像データの要求を取得すると、情報端末40aに画像データの要求を送信する(ステップS20)。
【0079】
次に、情報端末40aは、アクセスポイント30aを介して、通信装置10aから画像データの要求を取得すると(ステップS21)、アクセスポイント30aを介して通信装置10aに画像データを送信する(ステップS22、S23)。
【0080】
通信装置10aの第二取得部132は、アクセスポイント30aを介して情報端末40aから画像データを取得する(ステップS24)。
【0081】
通信装置10aの出力部135は、ステップS24で第二取得部132により取得された画像データを、第二通信インタフェース12を介して、表示装置20aへ出力する(ステップS25)。
【0082】
表示装置20aは、ステップS25で通信装置10aの出力部135により出力された画像データを取得し、取得された画像データに基づいて画像を表示する(ステップS26)。
【0083】
以上、本発明の実施の形態では、通信装置は、自装置が接続しているアクセスポイントと、通信装置に画像伝送開始指示を送信した通信端末が接続しているアクセスポイントとの異同を判定し、両者が異なると判定した場合は、自装置が接続するアクセスポイントを当該通信端末が接続しているアクセスポイントに切り替える。これにより、通信装置と、通信装置に画像伝送開始指示を送信した情報端末とが同一のアクセスポイントを介して接続されるため、異なるアクセスポイント間の無駄な通信を排除でき、また、通信経路が短くなる。その結果、通信装置は、アクセスポイントを介して情報端末と安定した通信(特に、画像のデータ通信)を行うことができるため、表示装置20aに安定的に画像データを出力することができる。
【0084】
本発明は、上述した実施の形態で例示したとおり、通信装置が、複数のアクセスポイントのいずれとも接続できる状態にあるシステムで発生する課題を解決する手段である。そのシステムの典型例が、複数のアクセスポイントの無線LAN識別情報(SSID)を同一に設定したシステムであるが、本発明はこれに限るものではない。複数のアクセスポイントの無線LAN識別情報(SSID)が異なる場合であっても、本発明は有用である。例えば、通信装置が複数のSSIDを記憶できれば、教室毎に自装置が記憶しているSSID(プロファイルの一部)を用いて、教室に設置されたアクセスポイントのSSIDをもとに無線接続を行うことができる。しかし、この場合であっても、情報端末は電波強度の強い(つまり、無線接続しやすい)アクセスポイントに接続してしまう傾向は変わらないため、情報端末は意図しない通信経路で(例えば、隣の教室のアクセスポイントを介して)通信装置と通信を行うことになり得る。
【0085】
なお、上記の実施の形態では、通信装置10aと表示装置20aとを別体の装置として説明したが、2つの装置は筐体を同一のものとしてもよく、さらに同一の基板上に配置されていてもよい。また、通信装置10aは、情報端末から取得した画像データを表示装置20aに伝送する通信装置であるが、この例に限らない。例えば、通信装置10aは、プリンタまたはスキャナなどのように、情報端末から取得した画像データを印刷物またはデータとして出力する装置であってもよい。また、通信装置10aは、書画カメラであってもよい。この場合、通信装置10aは、撮影した画像データを、アクセスポイントを介して情報端末に送信してもよい。このとき、情報端末は、通信装置10aから画像データの表示指示を取得すると、通信装置10aが接続しているアクセスポイントの識別情報を取得し、通信装置10aが接続しているアクセスポイントを優先接続するアクセスポイントとして選択し、当該アクセスポイントを介して画像データを取得してもよい。
【0086】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0087】
以上、本発明の通信装置、制御方法およびプログラムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、アクセスポイントを介して情報端末と安定した通信を実現する通信装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
10a、10b 通信装置
11 第一通信インタフェース
12 第二通信インタフェース
13 制御部
131 第一取得部
132 第二取得部
133 判定部
134 接続制御部
135 出力部
14 記憶部
20a、20b 表示装置
30a、30b アクセスポイント
40a、40b、40c、40d 情報端末
50a、50b 空間
100 通信システム
N 有線ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5