(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064770
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240507BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240507BHJP
G06Q 10/087 20230101ALI20240507BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G1/137 E
G06Q10/08 330
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173617
(22)【出願日】2022-10-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】愛須 英之
(72)【発明者】
【氏名】榊原 静
(72)【発明者】
【氏名】吉田 琢史
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522CC01
3F522GG18
3F522GG44
3F522GG45
3F522LL57
5L010AA16
5L049AA16
5L049BB63
(57)【要約】
【課題】ピッキング作業をより効率的に実行する。
【解決手段】情報処理装置は、処理部を備える。処理部は、複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数のオーダーデータそれぞれについて第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の棚と、を決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度を算出し、
前記優先度が大きい順に選択した前記棚に含まれる前記第1識別情報と一致する前記第2識別情報を含む前記オーダーデータに対して、選択した前記棚を、前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚として決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合に基づいて算出される、複数の前記棚それぞれに対するピッキング作業の回数と、前記ピッキング作業の時間と、のうち少なくとも一方を示す情報をさらに出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、複数の前記棚ごとに算出される優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、生成した前記インデクスを利用して前記処理順序を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出し、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記距離が小さい前記インデクスに対応する前記オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを実行し、親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定部を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて決定された1つ以上の前記棚と、を示す出力情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに移動可能である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、
複数の前記棚データに基づいて、複数の前記オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合を向上させるように、前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、
を含む情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
搬送装置と、情報処理装置と、作業ステーションと、を備える情報処理システムであって、
前記搬送装置は、商品を収容する複数の棚を前記作業ステーションに搬送し、
前記情報処理装置は、
複数の前記棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備える、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
AGV(Automated guided vehicle)または作業者により移動可能な棚(商品を収容する棚)を作業ステーション(ピッキングステーション)に移動し、作業ステーション内で商品のピッキング作業を行う、棚搬送型の倉庫を用いた物流システムが知られている。
【0003】
このような棚搬送型システムは、各オーダーがリアルタイムに逐次追加されることを前提としている場合が多い。すなわち、処理順序を変更可能である大量のオーダーが同じタイミングでシステムに与えられることを想定していない場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nils Boysen et al.、“Parts-to-picker based order processing in a rack-moving mobile robots environment”、European Journal of Operational Research、Research 262 (2017) 550-562
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ピッキング作業をより効率的に実行することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の情報処理装置は、処理部を備える。処理部は、複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数のオーダーデータそれぞれについて第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の棚と、を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の情報処理システムの構成の概要を示す図。
【
図2】実施形態にかかる情報処理装置のブロック図。
【
図5】処理順序で並び替えたオーダーの例を示す図。
【
図6】実施形態における順序決定処理のフローチャート。
【
図7】予め使用する棚を決定する処理の具体例を説明する図。
【
図8】予め使用する棚を決定しない比較例を説明する図。
【
図9】実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置の好適な実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、例えば棚搬送型の倉庫を用いた物流システムに対して適用することができる。
【0010】
上記のように、従来の棚搬送型システムは、発生した順序に従いオーダーがピッキングの対象として選択される。
【0011】
一方、例えば主にB2B(Business to Business)を対象とする物流システムなどでは、一定の期間内(例えば一日単位)で処理すべき全オーダーが事前に与えられる場合がある。このような場合、複数のオーダーは、発送の締め切り時刻前であれば処理順序を入れ替えることが可能である。例えば、オーダーの処理順序を事前に適正に並べ直し、かつ、各オーダーに引き当てる棚を事前に決定しておくことで、複数のオーダーに引き当てる商品を1つの棚からピッキングできる割合(同時ピッキング率)を向上させ、棚搬送作業およびピッキング作業を効率化することができる可能性がある。従来は、このようにシステム全体としての作業効率向上を目的として、事前に大量のオーダーの処理順序を並べ直し各オーダーで使用する棚を決定するような機能は考慮されていない。
【0012】
そこで本実施形態は、未処理のオーダーの情報である複数のオーダーデータが与えられたときに、1種類以上の商品をそれぞれ収容する複数の棚に関する複数の棚データを参照し、同時ピッキング率が向上するように複数のオーダーの処理順序と各オーダーで使用する棚を決定する。オーダーデータとオーダーとは1対1に対応するため、オーダーの処理順序を決定することはオーダーデータの処理順序を決定することに相当する。同様に、オーダーに対する処理は、オーダーデータに対する処理と言い換えることができる。
【0013】
棚データは、棚を識別する情報である棚IDと、各棚に現時点の在庫として収容される1種類以上の商品の識別情報(第1識別情報)と、を含むデータである。棚データは、例えば、棚に収容される商品の集合(商品集合)を構成する各商品の種類を表す識別情報を含む。
【0014】
オーダーデータは、オーダーを識別する情報であるオーダーIDと、複数の棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の識別情報(第2識別情報)と、を含むデータである。オーダーデータは、例えば、同じ宛先に対し同じ収容容器に梱包する各商品の出庫指示の単位を表す。
【0015】
図1は、本実施形態の情報処理システム10(棚搬送型システムの一例)の構成の概要を示す図である。
図1に示すように情報処理システム10は、情報処理装置100と、搬送装置200と、移動可能な棚30と、作業ステーション11と、複数の収容容器12と、作業用の棚13と、ディスプレイ14と、ネットワーク300と、を含む。
【0016】
作業ステーション11は、作業者21によるピッキングが行われる作業場所を表す。
図1では1つの作業ステーション11のみが示されているが、情報処理システム10は、複数の作業ステーション11を含んでもよい。
【0017】
棚13は、複数の収容容器12を配置することができる。複数の収容容器12は、例えば複数のオーダーそれぞれに対応する。棚13には、複数のオーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器12が配置される。ディスプレイ14は、例えば情報処理装置100から出力された作業指示などの情報を表示するための表示装置である。
【0018】
搬送装置200は、棚30を作業ステーション11に移動(搬送)するための装置であり、例えばAGVである。このように、棚30は、作業ステーション11に移動可能となっている。
図1では1つの棚30のみが示されているが、情報処理システム10では、複数の棚30が準備され、決定されたオーダー処理の順序に応じて選択された棚30が、作業ステーション11に移動される。作業者21により棚が移動される場合は、搬送装置200は備えられなくてもよい。棚30は、例えば複数のパーティションを有し、複数種類の商品を収容することができる。
【0019】
ネットワーク300は、情報処理装置100、搬送装置200、および、ディスプレイ14を接続するネットワークである。ネットワーク300は、インターネットおよびローカルエリアネットワーク(LAN)などの、どのような形態のネットワークであってもよい。ネットワーク300は、無線ネットワーク、有線ネットワーク、および、無線と有線とが混在したネットワークのいずれであってもよい。
【0020】
図1に示すように、複数のオーダーに対応する作業用の複数の収容容器12が棚13に置かれ、作業者21は、複数のオーダーについてのピッキングを並列に実行することができる。なお作業者21の代わりにピッキング用のロボット等によりピッキングが行われてもよい。各収容容器12は、梱包すべき各商品を入れ終わった時点でピッキング完了となる。完了したオーダー(収容容器)は完了扱いとなり、逐次作業ステーション11から除かれ、次のオーダーに対応する収容容器12が投入される。
【0021】
図2は、本実施形態にかかる情報処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理装置100は、受付部101と、優先度算出部102と、決定部103と、距離算出部104と、出力制御部105と、オーダーデータ記憶部121と、棚データ記憶部122と、クラスタデータ記憶部123と、を備えている。
【0022】
受付部101は、情報処理装置100で用いられる各種データの入力を受け付ける。例えば受付部101は、処理対象となる複数のオーダーデータ、および、複数の棚データを受け付ける。オーダーデータおよび棚データは、どのような方法で生成されてもよいが、例えば、オーダーを受信するシステムおよび商品の在庫を管理するシステムなどの外部システムにより生成されてもよい。また各データの入力方法はどのような方法であってもよいが、例えば、ネットワーク300を介して外部システムから受信する方法を用いることができる。
【0023】
オーダーデータは、オーダーIDと、当該オーダーに含まれる商品の識別情報と、を少なくとも含む。オーダーIDは、例えば、オーダーO1、オーダーO2、オーダーO3・・・のように表される。商品の識別情報は、例えば、商品A、商品B、商品C・・・のように表される。オーダーデータに含まれる情報はこれに限られない。例えばオーダーデータは、商品ごとの個数や量を含んでもよい。
【0024】
棚データは、棚IDと、当該棚に収容される商品の識別情報と、を少なくとも含む。棚IDは、例えば、棚R1、棚R2、棚R3・・・のように表される。棚データに含まれる情報はこれに限られない。例えば棚データは、商品ごとの個数や、棚のどの面のどのパーティションに収容されているかの商品の収容位置情報を含んでもよい。
【0025】
受付部101は、オーダーデータおよび棚データ以外のデータ、例えば、各商品の詳細情報(サイズ、荷姿など)を含む商品データを補足入力データとして受け付けてもよい。
【0026】
優先度算出部102は、複数の棚ごとの優先度を算出する。優先度は、決定部103が各オーダーに対して引き当てる棚を決定するときに使用される。優先度は、例えば、ピッキング作業をより効率的に実行できる棚ほど値が大きくなるように算出される。例えば、優先度算出部102は、以下の方法により優先度を算出する。
・棚データに含まれる商品の識別情報のうち、複数のオーダーデータのいずれかに含まれている、すなわち、オーダーで要求されているにもかかわらず引き当てられていない商品(未引当商品)のリスト(未引当商品リスト)を作成する。
・未引当商品について、商品ごとの優先度(商品優先度)を算出する。商品ごとの優先度は、例えば当該商品を含む、すなわち、当該商品を要求しているオーダーの個数(引き当てオーダー数)である。
・棚ごとに、未引当商品リストに含まれる商品優先度の合計値を、当該棚の優先度(棚優先度)として算出する。
【0027】
決定部103は、算出された各棚の優先度に基づいて、複数のオーダーデータごとに、オーダーデータに含まれる商品の識別情報と一致する識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を決定する。
【0028】
例えば決定部103は、すべてのオーダーが並列に処理可能である(すべてのオーダーに対応する収容容器12に対して並列にピッキングが可能である)と仮定し、最も同時ピッキング率が高い棚、すなわち、優先度算出部102で算出された優先度が最も高い棚を逐次的に選択することを反復することで、各オーダーで使用する(引き当てる)棚と、各オーダーについて棚の呼び出し順序を決定する。
【0029】
また、決定部103は、各オーダーデータに対して商品をピッキングする棚として決定した棚を示すインデクスを生成する。インデクスは、例えば、商品をピッキングする1以上の棚の棚IDを含む情報である。インデクスの生成方法の詳細は後述する。
【0030】
距離算出部104は、複数のオーダーデータそれぞれに対して生成された複数のインデクス間の距離を算出する。距離の算出方法の詳細は後述する。
【0031】
さらに決定部103は、棚データに基づいて、複数のオーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合(例えば、1つの棚から同時にピッキングする割合:同時ピッキング率)を向上させるように、複数のオーダーデータの処理順序を決定する。同時とは、時間的に厳密に一致する時刻を意味するものではなく、同じ1つの棚からピッキングできることを意味する。決定部103は、算出された距離が小さいほど順序が近くなるように、複数のオーダーデータの処理順序を決定する。決定部103は、例えば、距離が小さいインデクスに対応するオーダーをクラスタにマージする処理を繰り返して階層構造で表されるクラスタを生成する階層型(凝集型)クラスタリングを実行する。そして決定部103は、同じクラスタに含まれるオーダー同士が近い順序に配置されるように、オーダーの処理順序を決定する。
【0032】
階層型クラスタリングは、クラスタに付与されたインデクス間の距離が最小である2つのクラスタの組を発見し、1つのクラスタにマージする処理を、すべてのオーダーデータが1つのクラスタに統合されるまで反復する。これにより、対応するインデクス間の距離の近い複数のオーダーが同一のクラスタに含まれるように、複数のオーダーデータをクラスタリングすることができる。
【0033】
決定部103は、マージ前のクラスタ(またはオーダー)を子ノード(子クラスタ)とし、マージ後のクラスタを親ノード(親クラスタ)とする二分木を、クラスタリングの履歴としてクラスタデータ記憶部123に記憶する。また決定部103は、現時点のクラスタリングの結果を表す階層構造のクラスタをクラスタデータ記憶部123に記憶する。すべてのオーダーデータが1つのクラスタに統合されると、最終的な処理結果を示す階層構造のクラスタが、クラスタデータ記憶部123に記憶される。決定部103は、同じ親クラスタに属する子クラスタが隣接するように再帰的に上記の二分木を展開することで、同じ親クラスタに属する二分木の葉(オーダーデータに相当)が近い順番に配置されるようにオーダーの処理順序を決定する。
【0034】
出力制御部105は、情報処理装置100で処理される各種情報の出力を制御する。例えば出力制御部105は、決定されたオーダーの処理順序を示す情報(オーダー順序情報)、各オーダーで使用する(引き当てる)棚を示す情報、および、各オーダーについて当該棚の呼び出し順序を示す情報(棚順序情報)を含む出力情報を出力する。出力情報は、例えば、1以上の作業ステーション11にオーダーを割り当てるときに参照される。
【0035】
複数の作業ステーション11が備えられる場合、出力制御部105は、複数の作業ステーション11にそれぞれ割り当てるオーダーデータの集合、および、引き当てる棚の集合を出力してもよい。出力制御部105は、決定部103で決定された処理順序に並べた複数のオーダーのリストを、各ステーションの作業負荷の見積量が平準化されるように分割し、それぞれ出力する。例えば、オーダーの数が均等になるように分割する、オーダーの商品の総数が均等になるように分割する、使用する棚の数が均等になるように分割する、などの方法があり得る。
【0036】
上記各部(受付部101、優先度算出部102、決定部103、距離算出部104、および、出力制御部105)の少なくとも一部は、1つの処理部により実現されてもよい。上記各部は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0037】
オーダーデータ記憶部121は、受付部101により受け付けられたオーダーデータを記憶する。棚データ記憶部122は、受付部101により受け付けられた棚データを記憶する。クラスタデータ記憶部123は、決定部103による階層型クラスタリングで生成されるデータ(インデクス、履歴としての二分木、階層構造のクラスタなど)を記憶する。
【0038】
なお、各記憶部(オーダーデータ記憶部121、棚データ記憶部122、クラスタデータ記憶部123)は、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
【0039】
各記憶部は、物理的に異なる記憶媒体としてもよいし、物理的に同一の記憶媒体の異なる記憶領域として実現してもよい。さらに記憶部のそれぞれは、物理的に異なる複数の記憶媒体により実現してもよい。
【0040】
次に、インデクスの生成方法の詳細について説明する。決定部103は、各オーダーデータに対して商品をピッキングする棚として決定した棚を示すインデクスを生成する。
図3は、生成されるインデクスの例を示す図である。
図3では、各オーダーIDの横に、当該オーダーIDのオーダーに対して生成されるインデクスの例が示されている。インデクスは、棚の呼び出し順序を示す情報を含んでもよい。例えば、呼び出し順序に従って左から右に棚IDを並べるようにインデクスが生成されてもよい。棚IDと、呼び出し順序を示す情報とを対応づけたインデクスが生成されてもよい。
【0041】
次に、インデクスを用いた階層型クラスタリングの例について説明する。
図4は、階層型クラスタリングにより生成される階層型のクラスタの例を示す図である。
【0042】
まず、距離算出部104は、生成された複数のインデクス間の距離を算出する。距離算出部104は、例えば、2つのインデクスの間で一致しない棚(棚ID)の合計数を距離として算出する。距離はこれに限られず、例えば以下のような方法で算出されてもよく、計算方法は限定しない。
・一致している棚の合計数に負の係数を乗じた値を距離とする。
・一致しない棚の合計数と、一致している棚の合計数と、にそれぞれ係数をかけて和を取った値を距離とする。
・インデクスに棚ごとの重みが付与されている場合、一致している棚ごとに、重み(負の係数を乗じた重みでもよい)の総和を距離としてもよい。例えば、
図3のオーダーO1のインデクスに含まれる棚R5の重みが2であり、棚R2の重みが1である場合は、距離算出部104は、棚R5のみが一致した場合は距離を-2、棚R2のみが一致した場合は距離を-1、棚R5および棚R2の両方が一致した場合は距離を-3と算出する。
【0043】
次に決定部103は、距離が小さいインデクスのついたオーダー同士、クラスタ同士、または、オーダーとクラスタを、1つのクラスタにマージする処理を繰り返して階層構造のクラスタを生成する。
図3では、例えばオーダーO2およびオーダーO5のオーダーのインデクスは、R5のみを含む点で一致する。一致する棚IDのみを含むインデクスに対する値がより小さくなるような距離を用いる場合、決定部103は、オーダーO2およびオーダーO5のオーダーを1つのクラスタにマージする。
【0044】
図4のクラスタC1は、このようにしてマージされたクラスタを示す。なおC1~C9は、各クラスタを識別する情報を表す。決定部103は、マージ前の2つのインデクスを子ノードとし、マージ後のクラスタを親ノードとする二分木をクラスタデータ記憶部123に記憶する。同様にして、決定部103は、すべてのオーダーが1つのクラスタにマージされるまで処理を反復する。
【0045】
図4は、1つに統合されたクラスタの例を示す。
図4に示すように、マージ後のクラスタに対するインデクスとしては、例えば、クラスタに属する各オーダーに引き当てられた棚IDの和集合が用いられる。
【0046】
次に決定部103は、同じ親クラスタに属する子クラスタが隣接するように再帰的に二分木を展開することで、同じクラスタに属する葉ノードに対応する2つのオーダーが近い順序になるように、オーダーの処理順序を決定する。
【0047】
図5は、決定した処理順序で並び替えたオーダーの例を示す図である。
図5は、
図4に示すクラスタに基づき並び替えられたオーダーの例である。
図4に示すように、クラスタは、10個のオーダーに対応する10個の葉ノードを含む。決定部103は、例えば最後に発見されたクラスタC9から再帰的に二分木の親子関係を辿る(二分木を展開する)ことで、オーダーの処理順序を決定する。
図4の例では、決定部103は、以下のように親子関係を辿り、辿り着いた葉(オーダー)の順に並べることで、
図5の順番にオーダーを並び替える。
C9→C8→C3→C1→オーダーO2→C1→オーダーO5→C1→C3→C2→オーダーO9→C2→オーダーO6→C2→C3→C8→C7→C5→C4→オーダーO1→(省略)→C8→C9→オーダーO8
【0048】
上記のように、出力制御部105は、複数の作業ステーション11にそれぞれ割り当てるオーダーデータのデータ群を出力してもよい。例えばN個(Nは2以上の指数)の作業ステーション11が存在する場合、出力制御部105は、各作業ステーション11の作業負荷の見積量が平準化されるように、オーダーデータをN個のデータ群に分割する。出力制御部105は、以下のような分割方法を用いることができる。
・オーダーの個数が均等になるように分割する。
・オーダーに含まれる商品の総数が均等になるように分割する。
・オーダーで使用する棚の総数(インデクスに含まれる棚IDの和集合のサイズ)が均等になるように分割する。
【0049】
次に、本実施形態にかかる情報処理装置100による順序決定処理について説明する。
図6は、本実施形態における順序決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
受付部101は、複数のオーダーデータおよび複数の棚データの入力を受け付ける(ステップS101)。複数のオーダーデータは、入力されたオーダーリストのうち、未処理のオーダーデータを抽出することで取得されてもよい。
【0051】
決定部103は、受け付けられた棚データから、複数のオーダーデータのいずれかに含まれている、すなわち、オーダーで要求されているにもかかわらず引き当てられていない商品(未引当商品)のリスト(未引当商品リスト)を作成する(ステップS102)。
【0052】
次に、優先度算出部102は、未引当商品について、商品ごとの優先度(商品優先度)を算出する(ステップS103)。例えば優先度算出部102は、商品ごとの引き当てオーダー数(当該商品を要求しているオーダーの個数)をカウントした値を商品優先度として算出とする。
【0053】
ステップS104~S108は、未引当商品リストを更新しながらの反復計算となる。まず、決定部103は、棚ごとに、対応する棚データに含まれ、かつ、未引当商品リストに含まれる商品の商品優先度の合計値を算出し、当該棚の棚優先度とする(ステップS104)。
【0054】
決定部103は、優先度が最大の棚を選択する(ステップS105)。決定部103は、未処理のオーダーデータの中で、選択された棚から引き当て可能なオーダーすべてに対し、選択された棚の棚IDをインデクスに追加する(ステップS106)。決定部103は、例えば、追加した順序が呼び出し順序となるようにインデクスを生成する。
【0055】
決定部103は、引き当てた商品を未引当商品リストから削除する(ステップS107)。決定部103は、未引当商品リストが空になったか否かを判定する(ステップS108)。空になっていない場合(ステップS108:No)、ステップS104に戻り、更新後の未引当商品リストを用いて処理を繰り返す。
【0056】
未引当商品リストが空になった場合(ステップS108:Yes)、以降のステップS109~ステップS111で、階層型クラスタリングが実行される。
【0057】
決定部103は、距離が最小となるオーダーまたはクラスタの組を1つのクラスタにマージする(ステップS109)。なおインデクス間の距離は、距離算出部104により算出される。決定部103は、マージ前のオーダーまたはクラスタを子ノード、マージ後のクラスタを親ノードとする二分木を生成し、クラスタデータ記憶部123に記憶する(ステップS110)。
【0058】
決定部103は、すべてのオーダーが1つのクラスタにマージされたか否かを判定する(ステップS111)。すべてのオーダーが1つのクラスタにマージされていない場合(ステップS111:No)、ステップS109に戻り処理が繰り返される。
【0059】
すべてのオーダーが1つのクラスタにマージされた場合(ステップS111:Yes)、決定部103は、生成されたクラスタに基づき、オーダーデータの順序を決定する(ステップS112)。
【0060】
出力制御部105は、順序が決定されたオーダーデータ、および、各オーダーで使用する棚による作業指示を出力する(ステップS113)。複数の作業ステーションがある場合は、出力制御部105は、順序が決定された複数のオーダーデータのリスト、および、各オーダーで使用する棚と呼び出し順序の情報(インデクス)を複数のデータ群に分割し、複数のデータ群を、複数の作業ステーション11それぞれが処理するオーダーを示す情報として出力する。
【0061】
出力制御部105は、棚を決定する処理の過程で棚ごとに同時ピッキング率を算出していることを利用し、各棚で必要なピッキング作業回数、および、全体の作業時間予測値の少なくとも一方を算出し、オーダーデータに含まれる各商品をピッキングする棚の情報とともに出力してもよい。
【0062】
例えば、ある棚の同時ピッキング率は、当該棚から複数のオーダーに対して同時にピッキングできる商品の種類数である。この場合、ピッキング作業回数は、同時ピッキング率と同じ値として算出できる。ピッキング作業の時間は、例えば、ピッキング作業回数と単位時間との積により算出できる。単位時間は、1回のピッキング作業に対して予め定められた時間を表す。
【0063】
このように、本実施形態では、事前に得られる複数のオーダーデータおよび複数の棚データを用いて、ピッキング作業をより効率的に実行することができるように、複数のオーダーデータの処理順序および各オーダーで使用する棚、および呼び出し順序を決定することができる。
【0064】
また、本実施形態では、すべてのオーダーが並列に処理可能であると仮定し、最も同時ピッキング率が高い棚を逐次的に選択することを反復することで、各オーダーで使用する棚と、棚の呼び出し順序が決定される。従って、同時ピッキング率をより向上させることができる。
【0065】
図7は、本実施形態の方式により、予め使用する棚を決定する処理の具体例を説明する図である。
図8は、予め使用する棚を決定しない比較例を説明する図である。比較例は、例えば、オーダーデータの処理順序を決定するときには予め使用する棚を決定せず、ピッキング作業を実行するときに、最も同時ピッキング率が高い棚を逐次的に選択することを反復する方式(リアルタイム棚選択方式)である。
【0066】
図7および
図8は、オーダーの処理順序が、以下のように決定された例を示す。
1:(c,d)→2:(e,f)→3:(a,b)→4:(a,b)→5:(a,b)→6:(b,h)→7:(b,h)
【0067】
数値は処理順序を表し、アルファベットは、各オーダーに含まれる商品の識別情報を表す。例えば「1(c,d)」は、処理順序が1番目のオーダーに、識別情報がcおよびdの商品が含まれることを表す。
【0068】
また、
図7および
図8では、以下のような棚データが用いられる。アルファベットは、各棚に含まれる商品の識別情報を表す。
[a,b,g]、[c,g]、[d,g]、[e,g]、[f,g]、[b,h]
【0069】
また、
図7(本実施形態の方式)では、各オーダーに対して、以下のように棚および棚の呼び出し順序が決定されたものとする。このように、
図7(本実施形態の方式)では、オーダーごとに、使用する棚と使用順序が事前に決定される。
1:(c,d):[c,g]→[d,g]
2:(e,f):[e,g]→[f,g]
3:(a,b):[a,b,g]
4:(a,b):[a,b,g]
5:(a,b):[a,b,g]
6:(b,h):[b,h]
7:(b,h):[b,h]
【0070】
また、
図7および
図8は、ピッキング作業時に、3つのオーダーが並列に処理可能な例を示す。ピッキング作業時に、オーダー処理順序に従い棚を呼ぶように構成される場合、作業用の棚13には、3つのオーダーに対応する3つの収容容器12が設置される。
【0071】
図7(本実施形態の方式)では、まず、処理順序が1番目から3番目のオーダー1:(c,d)、2:(e,f)、3:(a,b)が処理対象となる。オーダー1(c,d)について、呼び出し順序が1番目である棚は[c,g]である。このため、棚[c,g]が選択され、この棚から商品cがピッキングされる。オーダー1(c,d)のうち商品dが残されているため、2番目の呼び出し順序の棚[d,g]が選択され、商品dがピッキングされる。このようにして、オーダー処理順序および呼び出し順序に従い、オーダーおよび棚が順次選択され、ピッキング作業が行われる。この例では、以下のように6回の棚の移動で、ピッキング作業が完了する。
[c,g]→[d,g]→[e,g]→[f,g]→[a,b,g]→[b,h]
【0072】
図8の比較例は、最初にオーダー1:(c,d)、2:(e,f)、3:(a,b)が処理対象となる点で、
図7と共通する。しかし、比較例は、最も同時ピッキング率が高い棚を選択する方式である。このため、同時ピッキング率が最も高い棚[a,b,g]が、最初に選択される。3:(a,b)に含まれる商品a,bを同時にピッキングできるためである。
【0073】
すべての商品がピッキングされたオーダー3:(a,b)に対応する収容容器12は、棚13から移動される。オーダー3:(a,b)に対するピッキングが終了した棚[a,b,g]は、作業ステーション11から他の場所に移動される。
【0074】
棚13には、次の処理順序のオーダー4:(a,b)が新たに設置される。この時点では、オーダー1:(c,d)、2:(e,f)、4:(a,b)が処理対象となる。これらの処理対象のうち、最も同時ピッキング率が高い棚は、オーダー4:(a,b)であるため、再度、棚[a,b,g]が選択される。
【0075】
このような処理を繰り返すことにより、
図8の比較例では、合計9回の棚の移動が発生する。
【0076】
クラスタリングによりオーダー処理順序を決定すると、同じような棚を使うオーダーが集団で固まるように処理順序が決定されうるため、クラスタの境界に属するオーダーの一部が並列に処理されている状態で同時ピッキング率が高くなる場合がある。従って、同時ピッキング率が高い棚を逐次的に選択する比較例のような方式では、繰り返し同じような棚が呼ばれ、上記のように棚の移動回数が増加する原因となり得る。
【0077】
これに対して、本実施形態では、オーダーごとの使用する棚が事前に決定されるため、棚の移動回数が増加することを抑制可能である。すなわち、ピッキング作業をより効率的に実行可能となる。
【0078】
次に、実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成について
図9を用いて説明する。
図9は、実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0079】
実施形態にかかる情報処理装置は、CPU51などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)52やRAM53などの記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F54と、各部を接続するバス61を備えている。
【0080】
実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
【0081】
実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるように構成してもよい。
【0082】
さらに、実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0083】
実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した情報処理装置の各部として機能させうる。このコンピュータは、CPU51がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0084】
実施形態の構成例について以下に記載する。
(構成例1)
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備える、
情報処理装置。
(構成例2)
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度を算出し、
前記優先度が大きい順に選択した前記棚に含まれる前記第1識別情報と一致する前記第2識別情報を含む前記オーダーデータに対して、選択した前記棚を、前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚として決定する、
構成例1に記載の情報処理装置。
(構成例3)
前記処理部は、前記オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合に基づいて算出される、複数の前記棚それぞれに対するピッキング作業の回数と、前記ピッキング作業の時間と、のうち少なくとも一方を示す情報をさらに出力する、
構成例1または2に記載の情報処理装置。
(構成例4)
前記処理部は、複数の前記棚ごとに算出される優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、生成した前記インデクスを利用して前記処理順序を決定する、
構成例1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成例5)
前記処理部は、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出し、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定する、
構成例4に記載の情報処理装置。
(構成例6)
前記処理部は、前記距離が小さい前記インデクスに対応する前記オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを実行し、親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定する、
構成例5に記載の情報処理装置。
(構成例7)
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定部を含む、
構成例1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成例8)
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて決定された1つ以上の前記棚と、を示す出力情報を出力する、
構成例1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成例9)
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに移動可能である、
構成例1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成例10)
前記処理部は、
複数の前記棚データに基づいて、複数の前記オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合を向上させるように、前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
構成例1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成例11)
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、
を含む情報処理方法。
(構成例12)
コンピュータに、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、
を実行させるためのプログラム。
(構成例13)
搬送装置と、情報処理装置と、作業ステーションと、を備える情報処理システムであって、
前記搬送装置は、商品を収容する複数の棚を前記作業ステーションに搬送し、
前記情報処理装置は、
複数の前記棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備える、
情報処理システム。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
10 情報処理システム
11 作業ステーション
12 収容容器
13 棚
14 ディスプレイ
30 棚
100 情報処理装置
101 受付部
102 優先度算出部
103 決定部
104 距離算出部
105 出力制御部
121 オーダーデータ記憶部
122 棚データ記憶部
123 クラスタデータ記憶部
200 搬送装置
300 ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備え、
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間で一致している前記棚の個数に基づく距離を算出し、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定し、
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに、搬送装置によって移動可能である、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに前記優先度を算出し、
前記優先度が大きい順に選択した前記棚に含まれる前記第1識別情報と一致する前記第2識別情報を含む前記オーダーデータに対して、選択した前記棚を、前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚として決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合に基づいて算出される、複数の前記棚それぞれに対するピッキング作業の回数と、前記ピッキング作業の時間と、のうち少なくとも一方を示す情報をさらに出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記距離が小さい前記インデクスに対応する前記オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを実行し、親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定部を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて決定された1つ以上の前記棚と、を示す出力情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
複数の前記棚データに基づいて、複数の前記オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合を向上させるように、前記処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、を含み、
前記決定ステップは、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成するステップと、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間で一致している前記棚の個数に基づく距離を算出するステップと、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定するステップと、
を含み、
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに、搬送装置によって移動可能である、
情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、を実行させ、
前記決定ステップは、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成するステップと、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間で一致している前記棚の個数に基づく距離を算出するステップと、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定するステップと、
を含み、
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに、搬送装置によって移動可能である、
プログラム。
【請求項10】
搬送装置と、情報処理装置と、作業ステーションと、を備える情報処理システムであって、
前記搬送装置は、商品を収容する複数の棚を前記作業ステーションに搬送し、
前記情報処理装置は、
複数の前記棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備え、
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間で一致している前記棚の個数に基づく距離を算出し、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定する、
情報処理システム。
【請求項11】
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備え、
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出し、
前記距離が小さい前記インデクスに対応する前記オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを実行し、親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定し、
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに、搬送装置によって移動可能である、
情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、を含み、
前記決定ステップは、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成するステップと、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出するステップと、
前記距離が小さい前記インデクスに対応する前記オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを実行し、親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定するステップと、
を含み、
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに、搬送装置によって移動可能である、
情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する決定ステップ、を実行させ、
前記決定ステップは、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成するステップと、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出するステップと、
前記距離が小さい前記インデクスに対応する前記オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを実行し、親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定するステップと、
を含み、
複数の前記棚は、複数の前記オーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された作業ステーションに、搬送装置によって移動可能である、
プログラム。
【請求項14】
搬送装置と、情報処理装置と、作業ステーションと、を備える情報処理システムであって、
前記搬送装置は、商品を収容する複数の棚を前記作業ステーションに搬送し、
前記情報処理装置は、
複数の前記棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数のオーダーデータの処理順序と、複数の前記オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
処理部を備え、
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに算出される、複数の前記オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度に基づいて、複数の前記オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、
複数の前記オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出し、
前記距離が小さい前記インデクスに対応する前記オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを実行し、親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定する、
情報処理システム。