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特開2024-64788基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法
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  • 特開-基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064788
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H01L21/304 645B
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648L
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
H01L21/304 645Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173653
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】澤村 雅視
(72)【発明者】
【氏名】新庄 淳一
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA17
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC26
5F157BB23
5F157BB24
5F157BB45
5F157BB66
5F157BC53
5F157BE12
5F157BE23
5F157BE33
5F157BE43
5F157BG23
5F157BG76
5F157BG85
5F157BG95
5F157CC11
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF60
5F157CF70
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB51
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】薬液雰囲気に起因する基板の汚染を低減させることができる基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、チャンバー201と、送風機構3と、基板保持部4と、基板回転部5と、第1混合液吐出部6と、第1過熱水蒸気吹出部31とを備える。チャンバー201において、基板処理が行われる。送風機構3は、チャンバー201内に空気を送風する。基板保持部4は、チャンバー201内において基板Wを保持する。基板回転部5は、基板保持部4に保持された基板Wを回転させる。第1混合液吐出部6は、基板回転部5によって回転される基板Wに向けて、硫酸と過酸化水素水とが混合された第1混合液(SPM)を吐出する。第1過熱水蒸気吹出部31は、送風機構3と基板保持部4に保持された基板Wとの間に位置する。第1過熱水蒸気吹出部31は、チャンバー201内に過熱水蒸気を吹き出す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理が行われるチャンバーと、
前記チャンバー内に空気を送風する送風機構と、
前記チャンバー内において基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板を回転させる基板回転部と、
前記チャンバー内に位置し、前記基板回転部によって回転される前記基板に向けて、硫酸と過酸化水素水とが混合された第1混合液を吐出する第1混合液吐出部と、
前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置し、前記チャンバー内に過熱水蒸気を吹き出す第1過熱水蒸気吹出部と
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1混合液吐出部からの前記第1混合液の吐出と、前記第1過熱水蒸気吹出部からの前記過熱水蒸気の吹き出しとを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記第1混合液の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板回転部によって回転される前記基板から排出される前記第1混合液を受け止める液受け部と、
前記液受け部に支持されて、前記基板保持部に保持された前記基板に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す第2過熱水蒸気吹出部と
を更に備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板回転部によって回転される前記基板から排出される前記第1混合液を受け止める液受け部と、
前記液受け部に支持されて、前記基板保持部に保持された前記基板に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す第2過熱水蒸気吹出部と
を更に備え、
前記制御部は、前記第2過熱水蒸気吹出部からの前記過熱水蒸気の吹き出しと、前記基板回転部による前記基板の回転とを更に制御し、
前記制御部は、前記第1混合液の吐出時に、前記基板の回転速度を制御して、前記基板の上面に前記第1混合液の液膜を形成させ、
前記制御部は、前記第1混合液の吐出を停止させ、かつ、前記基板の回転速度を制御して、前記液膜が前記基板の上面に支持されたパドル状態を形成し、
前記制御部は、前記パドル状態の形成時に、前記第1過熱水蒸気吹出部及び前記第2過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第2過熱水蒸気吹出部は、
前記基板保持部に保持された前記基板の上面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す上側過熱水蒸気吹出部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の下面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す下側過熱水蒸気吹出部と
を含む、請求項3又は請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1混合液吐出部は、前記第1混合液と過酸化水素水とを排他的に吐出し、
前記制御部は、前記第1混合液吐出部からの前記過酸化水素水の吐出を更に制御し、
前記制御部は、前記過酸化水素水の吐出時に、前記過熱水蒸気の吹き出しを停止させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1混合液吐出部は、前記第1混合液と過酸化水素水とを排他的に吐出し、
前記制御部は、前記第1混合液吐出部からの前記過酸化水素水の吐出を更に制御し、
前記制御部は、前記第1混合液の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を第1流量で吹き出させ、
前記制御部は、前記過酸化水素水の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を、前記第1流量より小さい第2流量で吹き出させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板回転部によって回転される前記基板に向けて、アンモニア水と、過酸化水素水と、純水とが混合された第2混合液を吐出する第2混合液吐出部を更に備え、
前記制御部は、前記第2混合液吐出部からの前記第2混合液の吐出を更に制御し、
前記制御部は、前記第2混合液の吐出時に、前記過熱水蒸気を吹き出させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板回転部によって回転される前記基板に向けてリンス液を吐出するリンス液吐出部と、
前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置し、前記チャンバー内に水蒸気を吹き出す水蒸気吹出部と
を更に備え、
前記制御部は、前記リンス液吐出部からの前記リンス液の吐出と、前記水蒸気吹出部からの前記水蒸気の吹き出しとを更に制御し、
前記制御部は、前記リンス液の吐出時に、前記水蒸気を吹き出させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記基板回転部による前記基板の回転を更に制御し、
前記制御部は、前記リンス液の吐出を停止させた後、前記基板の回転速度を制御して、前記基板の上面から前記リンス液を除去して前記基板の上面を乾燥させる乾燥処理を実行し、
前記制御部は、前記乾燥処理の実行時に、前記水蒸気の吹き出しを停止させる、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記チャンバーの内壁面に向けて過熱水蒸気を吹き出す第3過熱水蒸気吹出部と、
前記送風機構と前記基板保持部との間に位置し、前記チャンバー内に水蒸気を吹き出す水蒸気吹出部と
を更に備え、
前記制御部は、前記水蒸気吹出部からの前記水蒸気の吹き出しと、前記第3過熱水蒸気吹出部からの前記過熱水蒸気の吹き出しとを更に制御し、
前記制御部は、前記チャンバーの内部の洗浄時に、前記水蒸気吹出部から前記水蒸気を吹き出させ、かつ、前記第3過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項12】
基板保持部により、チャンバー内で基板を保持する保持工程と、
送風機構によって前記チャンバー内に空気が送風されている状態で、前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置する第1過熱水蒸気吹出部から、前記チャンバー内に過熱水蒸気を吹き出させる工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項13】
前記基板保持部に保持された前記基板を回転させ、回転中の前記基板に向けて、硫酸と過酸化水素水とが混合された第1混合液を吐出する第1混合液吐出工程を更に含み、
前記第1混合液の吐出時に前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記第1混合液の吐出を停止させ、かつ、前記基板の回転速度を制御して、前記第1混合液の液膜が前記基板の上面に支持されたパドル状態を形成するパドル工程を更に含み、
前記パドル状態の形成時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させるとともに、前記基板保持部に保持された前記基板に向けて第2過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させ、
前記第2過熱水蒸気吹出部は、回転する前記基板から排出される前記第1混合液を受け止める液受け部に支持される、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第2過熱水蒸気吹出部は、
前記基板保持部に保持された前記基板の上面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す上側過熱水蒸気吹出部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の下面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す下側過熱水蒸気吹出部と
を含む、請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
回転中の前記基板に向けて過酸化水素水を吐出して、前記基板の上面から前記第1混合液の液膜を排出させる押出工程を更に含み、
前記過酸化水素水の吐出時に、前記過熱水蒸気の吹き出しを停止させる、請求項14又は請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
回転中の前記基板に向けて過酸化水素水を吐出して、前記基板の上面から前記第1混合液の液膜を排出させる押出工程を更に含み、
前記第1混合液の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を第1流量で吹き出させ、
前記過酸化水素水の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を、前記第1流量より小さい第2流量で吹き出させる、請求項14又は請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記基板保持部に保持された前記基板を回転させた状態で、回転中の前記基板に向けて、アンモニア水と、過酸化水素水と、純水とが混合された第2混合液を吐出する第2混合液吐出工程を更に含み、
前記第2混合液の吐出時に前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記送風機構によって前記チャンバー内に空気が送風されている状態で、前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置する水蒸気吹出部から、前記チャンバー内に水蒸気を吹き出させる工程と、
前記基板保持部に保持された前記基板を回転させた状態で、回転中の前記基板に向けてリンス液を吐出する工程と
を更に含み、
前記リンス液の吐出時に前記水蒸気吹出部から前記水蒸気を吹き出させる、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記リンス液の吐出を停止させた後、前記基板の回転速度を制御して、前記基板の上面から前記リンス液を除去して前記基板の上面を乾燥させる乾燥工程を更に含み、
前記乾燥工程の際に、前記水蒸気の吹き出しを停止させる、請求項19に記載の基板処理方法。
【請求項21】
基板処理が行われるチャンバーの内部を洗浄する工程を含み、
前記チャンバーの内部を洗浄する際に、前記チャンバーの内壁面に向けて過熱水蒸気を吹き出させ、かつ、前記チャンバー内に空気を送風する送風機構と前記チャンバー内において基板を保持する基板保持部との間に位置する水蒸気吹出部から前記チャンバー内に水蒸気を吹き出させる、チャンバー洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから基板に向けて薬液を吐出して基板を処理する枚葉式の基板処理装置が知られている。ノズルから薬液が吐出されると、薬液成分を含む薬液雰囲気が基板の近くで発生する。チャックピンやカップに薬液が衝突したときにも、薬液雰囲気が基板の近くで発生する。特に、100℃以上のSPM(硫酸過酸化水素混合液)がノズルから吐出される場合には、SPMに含まれる水の蒸発により、SPMの液滴やミストがノズルから噴出する。SPMとレジストとの反応により基板からヒューム(煙のような気体)が発生する場合もある。
【0003】
殆どの薬液雰囲気は、チャンバー内に形成されたクリーンエアーのダウンフローや排気設備の吸引力によって、カップ内に送り込まれる。しかしながら、一部の薬液雰囲気が、カップの外の空間に拡散し、乾燥後の基板に付着する場合がある。また、一部の薬液雰囲気が、基板の上方に配置された部材やチャンバーの内壁面に付着する場合もある。この場合、基板が汚染されるおそれがある。
【0004】
特許文献1には、チャンバー内に水を噴霧してチャンバー内にミストを発生させ、ミストに含まれる水の粒子と、薬液雰囲気に含まれる薬液の粒子とを結合させる基板処理装置が開示されている。水の粒子と薬液の粒子とが結合することで、薬液の粒子が浮遊し難くなり、その結果、薬液雰囲気の拡散が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-12629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、チャンバー内にミストを発生させた場合、ミストに含まれる水分によって基板の温度が低下して、SPMによるレジスト剥離の効率が低下する可能性がある。したがって、薬液雰囲気に起因する基板の汚染を低減させる技術には、更なる改良の余地がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、薬液雰囲気に起因する基板の汚染を低減させることができる基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、チャンバーと、送風機構と、基板保持部と、基板回転部と、第1混合液吐出部と、第1過熱水蒸気吹出部とを備える。前記チャンバーにおいて、基板処理が行われる。前記送風機構は、前記チャンバー内に空気を送風する。前記基板保持部は、前記チャンバー内において基板を保持する。前記基板回転部は、前記基板保持部に保持された前記基板を回転させる。前記第1混合液吐出部は、前記チャンバー内に位置する。前記第1混合液吐出部は、前記基板回転部によって回転される前記基板に向けて、硫酸と過酸化水素水とが混合された第1混合液を吐出する。前記第1過熱水蒸気吹出部は、前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置する。前記第1過熱水蒸気吹出部は、前記チャンバー内に過熱水蒸気を吹き出す。
【0009】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、制御部を更に備える。前記制御部は、前記第1混合液吐出部からの前記第1混合液の吐出と、前記第1過熱水蒸気吹出部からの前記過熱水蒸気の吹き出しとを制御する。前記制御部は、前記第1混合液の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる。
【0010】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、液受け部と、第2過熱水蒸気吹出部とを更に備える。前記液受け部は、前記基板回転部によって回転される前記基板から排出される前記第1混合液を受け止める。前記第2過熱水蒸気吹出部は、前記液受け部に支持される。前記第2過熱水蒸気吹出部は、前記基板保持部に保持された前記基板に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す。
【0011】
ある実施形態において、前記制御部は、前記第2過熱水蒸気吹出部からの前記過熱水蒸気の吹き出しと、前記基板回転部による前記基板の回転とを更に制御する。前記制御部は、前記第1混合液の吐出時に、前記基板の回転速度を制御して、前記基板の上面に前記第1混合液の液膜を形成させる。前記制御部は、前記第1混合液の吐出を停止させ、かつ、前記基板の回転速度を制御して、前記液膜が前記基板の上面に支持されたパドル状態を形成する。前記制御部は、前記パドル状態の形成時に、前記第1過熱水蒸気吹出部及び前記第2過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる。
【0012】
ある実施形態において、前記第2過熱水蒸気吹出部は、上側過熱水蒸気吹出部と、下側過熱水蒸気吹出部とを含む。前記上側過熱水蒸気吹出部は、前記基板保持部に保持された前記基板の上面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す。前記下側過熱水蒸気吹出部は、前記基板保持部に保持された前記基板の下面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す。
【0013】
ある実施形態において、前記第1混合液吐出部は、前記第1混合液と過酸化水素水とを排他的に吐出する。前記制御部は、前記第1混合液吐出部からの前記過酸化水素水の吐出を更に制御する。前記制御部は、前記過酸化水素水の吐出時に、前記過熱水蒸気の吹き出しを停止させる。
【0014】
ある実施形態において、前記第1混合液吐出部は、前記第1混合液と過酸化水素水とを排他的に吐出する。前記制御部は、前記第1混合液吐出部からの前記過酸化水素水の吐出を更に制御する。前記制御部は、前記第1混合液の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を第1流量で吹き出させる。前記制御部は、前記過酸化水素水の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を、前記第1流量より小さい第2流量で吹き出させる。
【0015】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、第2混合液吐出部を更に備える。前記第2混合液吐出部は、前記基板回転部によって回転される前記基板に向けて、アンモニア水と、過酸化水素水と、純水とが混合された第2混合液を吐出する。前記制御部は、前記第2混合液吐出部からの前記第2混合液の吐出を更に制御する。前記制御部は、前記第2混合液の吐出時に、前記過熱水蒸気を吹き出させる。
【0016】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、リンス液吐出部と、水蒸気吹出部とを更に備える。前記リンス液吐出部は、前記基板回転部によって回転される前記基板に向けてリンス液を吐出する。前記水蒸気吹出部は、前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置する。前記水蒸気吹出部は、前記チャンバー内に水蒸気を吹き出す。前記制御部は、前記リンス液吐出部からの前記リンス液の吐出と、前記水蒸気吹出部からの前記水蒸気の吹き出しとを更に制御する。前記制御部は、前記リンス液の吐出時に、前記水蒸気を吹き出させる。
【0017】
ある実施形態において、前記制御部は、前記基板回転部による前記基板の回転を更に制御する。前記制御部は、前記リンス液の吐出を停止させた後、乾燥処理を実行する。前記乾燥処理は、前記基板の回転速度を制御して、前記基板の上面から前記リンス液を除去して前記基板の上面を乾燥させる処理を示す。前記制御部は、前記乾燥処理の実行時に、前記水蒸気の吹き出しを停止させる。
【0018】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、第3過熱水蒸気吹出部と、水蒸気吹出部とを更に備える。前記第3過熱水蒸気吹出部は、前記チャンバーの内壁面に向けて過熱水蒸気を吹き出す。前記水蒸気吹出部は、前記送風機構と前記基板保持部との間に位置する。前記水蒸気吹出部は、前記チャンバー内に水蒸気を吹き出す。前記制御部は、前記水蒸気吹出部からの前記水蒸気の吹き出しと、前記第3過熱水蒸気吹出部からの前記過熱水蒸気の吹き出しとを更に制御する。前記制御部は、前記チャンバーの内部の洗浄時に、前記水蒸気吹出部から前記水蒸気を吹き出させ、かつ、前記第3過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる。
【0019】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、基板保持部により、チャンバー内で基板を保持する保持工程と、送風機構によって前記チャンバー内に空気が送風されている状態で、前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置する第1過熱水蒸気吹出部から、前記チャンバー内に過熱水蒸気を吹き出させる工程とを含む。
【0020】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記基板保持部に保持された前記基板を回転させ、回転中の前記基板に向けて、硫酸と過酸化水素水とが混合された第1混合液を吐出する第1混合液吐出工程を更に含む。前記第1混合液の吐出時に前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる。
【0021】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記第1混合液の吐出を停止させ、かつ、前記基板の回転速度を制御して、前記第1混合液の液膜が前記基板の上面に支持されたパドル状態を形成するパドル工程を更に含む。前記パドル状態の形成時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させるとともに、前記基板保持部に保持された前記基板に向けて第2過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる。前記第2過熱水蒸気吹出部は、回転する前記基板から排出される前記第1混合液を受け止める液受け部に支持される。
【0022】
ある実施形態において、前記第2過熱水蒸気吹出部は、上側過熱水蒸気吹出部と、下側過熱水蒸気吹出部とを含む。前記上側過熱水蒸気吹出部は、前記基板保持部に保持された前記基板の上面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す。前記下側過熱水蒸気吹出部は、前記基板保持部に保持された前記基板の下面に向けて前記過熱水蒸気を吹き出す。
【0023】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、回転中の前記基板に向けて過酸化水素水を吐出して、前記基板の上面から前記第1混合液の液膜を排出させる押出工程を更に含む。前記過酸化水素水の吐出時に、前記過熱水蒸気の吹き出しを停止させる。
【0024】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、回転中の前記基板に向けて過酸化水素水を吐出して、前記基板の上面から前記第1混合液の液膜を排出させる押出工程を更に含む。前記第1混合液の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を第1流量で吹き出させる。前記過酸化水素水の吐出時に、前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を、前記第1流量より小さい第2流量で吹き出させる。
【0025】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記基板保持部に保持された前記基板を回転させた状態で、回転中の前記基板に向けて、アンモニア水と、過酸化水素水と、純水とが混合された第2混合液を吐出する第2混合液吐出工程を更に含む。前記第2混合液の吐出時に前記第1過熱水蒸気吹出部から前記過熱水蒸気を吹き出させる。
【0026】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記送風機構によって前記チャンバー内に空気が送風されている状態で、前記送風機構と前記基板保持部に保持された前記基板との間に位置する水蒸気吹出部から、前記チャンバー内に水蒸気を吹き出させる工程と、前記基板保持部に保持された前記基板を回転させた状態で、回転中の前記基板に向けてリンス液を吐出する工程とを更に含む。前記リンス液の吐出時に前記水蒸気吹出部から前記水蒸気を吹き出させる。
【0027】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記リンス液の吐出を停止させた後、前記基板の回転速度を制御して、前記基板の上面から前記リンス液を除去して前記基板の上面を乾燥させる乾燥工程を更に含む。前記乾燥工程の際に、前記水蒸気の吹き出しを停止させる。
【0028】
本発明の更に他の局面によれば、チャンバー洗浄方法は、基板処理が行われるチャンバーの内部を洗浄する工程を含む。前記チャンバーの内部を洗浄する際に、前記チャンバーの内壁面に向けて過熱水蒸気を吹き出させ、かつ、前記チャンバー内に空気を送風する送風機構と前記チャンバー内において基板を保持する基板保持部との間に位置する水蒸気吹出部から前記チャンバー内に水蒸気を吹き出させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法によれば、薬液雰囲気に起因する基板の汚染を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の模式的な平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す他の断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す他の断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る基板処理装置に含まれる第1薬液供給部の構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る基板処理方法に含まれる基板処理及び水蒸気処理を示すフローチャートである。
図9】事前加熱時の基板処理部を模式的に示す図である。
図10】SPM処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
図11】パドル処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
図12】過酸化水素水により基板を処理する際の基板処理部を模式的に示す図である。
図13】リンス処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
図14】SC1により基板を処理する際の基板処理部を模式的に示す図である。
図15】乾燥処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
図16】チャンバーの内部を洗浄する際の基板処理部を模式的に示す図である。
図17】本発明の実施形態に係る基板処理装置の変形例に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面(図1図17)を参照して本発明の基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法に係る実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0032】
本発明に係る基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法において、基板処理の対象となる「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種の基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを基板処理の対象とする場合を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法は、上記した半導体ウエハ以外の各種の基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置、基板処理方法、及び、チャンバー洗浄方法は、各種の形状の基板に対して適用可能である。
【0033】
まず、図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。詳しくは、図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、処理液により基板Wを処理する。より具体的には、基板処理装置100は、枚葉式の装置であり、1枚ずつ基板Wを処理する。
【0034】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の基板処理部2と、流体キャビネット10Aと、複数の流体ボックス10Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0035】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。本実施形態では、未処理の基板W(処理前の基板W)の各々に、不要になったレジストのマスク(レジスト膜)が付着している。
【0036】
インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理部2との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
【0037】
複数の基板処理部2は、複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。複数のタワーTWは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理部2(図1では3つの基板処理部2)を含む。
【0038】
流体キャビネット10Aは、流体を収容する。流体は処理液を含む。流体ボックス10Bはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット10A内の処理液は、いずれかの流体ボックス10Bを介して、流体ボックス10Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理部2に供給される。
【0039】
処理液は、硫酸(H2SO4)、過酸化水素水(H22)、アンモニア水(NH4OH)、及びリンス液を含む。本実施形態において、リンス液は、純水である。純水は、例えば、脱イオン水(DIW:Deionzied Water)である。なお、リンス液は、例えば、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、アンモニア水、又は希釈された塩酸水(例えば、濃度が10ppm~100ppm程度の塩酸水)であってもよい。リンス液が純水でない場合、流体キャビネット10A内の流体は、純水を更に含む。
【0040】
基板処理部2の各々は、処理液を基板Wの上面に供給する。具体的には、基板処理部2は、硫酸過酸化水素混合液(SPM:Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)、過酸化水素水、リンス液、及びSC1を、SPM、過酸化水素水、リンス液、SC1、リンス液の順に基板Wに供給する。硫酸過酸化水素混合液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された混合液である。SC1は、アンモニア水と、過酸化水素水と、純水とが混合された混合液である。
【0041】
基板Wの上面にSPMが供給されると、基板Wの上面からレジスト膜(有機物)が剥離されて、基板Wの上面からレジスト膜が除去される。基板Wの上面にSC1が供給されると、基板Wの上面に付着しているパーティクルが除去される。より具体的には、SC1に含まれる過酸化水素水により基板Wの本体表面のシリコンが酸化し、シリコン酸化物がアンモニアによりエッチングされて、リフトオフにより各種パーティクルが除去される。したがって、SC1により、レジスト膜の残渣物、及び非溶解性のパーティクルが剥離除去される。
【0042】
制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び基板処理部2を制御する。制御装置101は、制御部102と、記憶部103とを含む。
【0043】
制御部102は、記憶部103に記憶されている各種情報に基づいて基板処理装置100の各部の動作を制御する。制御部102は、例えば、プロセッサを有する。制御部102は、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有してもよい。あるいは、制御部102は、汎用演算機又は専用演算器を有してもよい。
【0044】
記憶部103は、基板処理装置100の動作を制御するための各種情報を記憶する。例えば、記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、種々のレシピデータを含む。レシピデータは、例えば、プロセスレシピを含む。プロセスレシピは、基板処理の手順を規定するデータである。具体的には、プロセスレシピは、基板処理に含まる一連の処理の実行順序、各処理の内容、及び各処理の条件(パラメータの設定値)を規定する。
【0045】
記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部103はリムーバブルメディアを含んでもよい。
【0046】
続いて、図1図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図2は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。図3は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す他の断面図である。詳しくは、図3は、上側から視た基板処理部2の内部を示す。
【0047】
図2に示すように、基板処理部2は、送風機構3と、チャンバー201と、整流板204と、スピンチャック4と、スピンモータ部5と、第1ノズル6と、第1ノズル移動機構61と、第2ノズル7と、第2ノズル移動機構71と、第3ノズル8と、液受け部9と、基板加熱部20と、排気ダクト206とを備える。また、基板処理装置100は、第1薬液供給部62と、第2薬液供給部72と、リンス液供給部82とを備える。
【0048】
制御装置101(制御部102)は、送風機構3、スピンチャック4、スピンモータ部5、第1ノズル移動機構61、第2ノズル移動機構71、液受け部9、基板加熱部20、第1薬液供給部62、第2薬液供給部72、及びリンス液供給部82を制御する。
【0049】
チャンバー201は、略箱形状を有する。より具体的には、チャンバー201は、上壁202と、側壁203と、下壁205とを有する。チャンバー201は、基板W、整流板204、スピンチャック4、スピンモータ部5、第1ノズル6、第1ノズル移動機構61、第2ノズル7、第2ノズル移動機構71、第3ノズル8、液受け部9、基板加熱部20の一部、排気ダクト206の一部、第1薬液供給部62の一部、第2薬液供給部72の一部、及びリンス液供給部82の一部を収容する。基板Wは、チャンバー201内に搬入されて、チャンバー201内で処理される。つまり、チャンバー201内で基板処理が行われる。
【0050】
送風機構3は、チャンバー201の外部に配置される。より具体的には、送風機構3は、チャンバー201(上壁202)の上方に配置されて、上壁202の外壁面に対向する。送風機構3は、上壁202の外壁面に設置されてもよい。詳しくは、チャンバー201は、上壁202を鉛直方向に貫通する送風口202aを有し、送風機構3は、送風口202aの上方に配置される。送風口202aは、例えば、平面視で基板Wに重なる位置に形成される。
【0051】
送風機構3はチャンバー201内に空気を送風する。より具体的には、送風機構3は、基板処理装置100が設置されるクリーンルーム内の空気を吸い込み、送風口202aを介してチャンバー201内に送風する。詳しくは、送風機構3は、羽根と、電動モータと、フィルタとを有する。羽根は、回転することにより、クリーンルーム内の空気を吸い込み、送風口202aに向けて送風する。電動モータは、羽根を回転させる。フィルタは、回転する羽根によって送られた空気をろ過する。この結果、フィルタによって清浄化された空気がチャンバー201内に送風される。送風機構3は、例えば、ファン・フィルタ・ユニット(FFU)である。
【0052】
整流板204は、チャンバー201内に配置される。より具体的には、整流板204は、水平な姿勢で保持される。したがって、整流板204は、水平面に沿って拡がる。例えば、整流板204は、側壁203に支持される。整流板204は、チャンバー201の内部空間を下方空間2aと上方空間2bとに区画する。上方空間2bは、下方空間2aよりも上方の空間である。
【0053】
詳しくは、整流板204は、チャンバー201内の上部に配置されて、上壁202の内壁面に対向する。具体的には、整流板204は、チャンバー201内において基板処理に用いられる部材よりも上方に配置される。したがって、基板処理は、下方空間2aにおいて行われる。つまり、下方空間2aは、処理空間である。基板処理に用いられる部材には、スピンチャック4と、スピンモータ部5と、第1ノズル6と、第1ノズル移動機構61と、第2ノズル7と、第2ノズル移動機構71と、第3ノズル8と、液受け部9と、基板加熱部20とが含まれる。
【0054】
整流板204は、送風機構3からチャンバー201内に送風された空気を整流する。より具体的には、整流板204は、送風機構3から上方空間2bに送られた空気を整流して、下方空間2a(処理空間)にダウンフローを発生させる。
【0055】
詳しくは、整流板204は、多数の貫通孔204aを有する。貫通孔204aはそれぞれ、整流板204の厚み方向に整流板204を貫通する。例えば、貫通孔204aはそれぞれ、鉛直方向に延びる。多数の貫通孔204aは、整流板204の全域に形成される。上壁202の送風口202aは、チャンバー201の外部と上方空間2bとを連通する。送風機構3から送風された空気は、上方空間2b内で拡散し、上方空間2bに充満する。上方空間2bに充満した空気は、多数の貫通孔204aを通過して、整流板204の全域から下方空間2aに流入する。この結果、整流板204の全域から下方向に流れる下降気流(ダウンフロー)が下方空間2aに発生する。
【0056】
送風機構3の電動モータは、制御装置101(制御部102)により制御される。制御装置101(制御部102)は、例えば、送風機構3の電動モータを制御して、下方空間2a(処理空間)内にダウンフローを常に発生させてもよい。
【0057】
スピンチャック4は、チャンバー201の下方空間2aにおいて基板Wを保持する。スピンチャック4は、基板保持部の一例である。より具体的には、スピンチャック4は、基板Wを水平な姿勢で保持する。図2に示すように、スピンチャック4は、スピンベース41と、複数のチャック部材42とを有してもよい。
【0058】
スピンベース41は、略円盤状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材42を支持する。複数のチャック部材42は、スピンベース41の周縁部に配置される。複数のチャック部材42は、基板Wの周縁部を挟持する。複数のチャック部材42により、基板Wが水平な姿勢で保持される。複数のチャック部材42の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0059】
スピンモータ部5は、スピンチャック4に保持された基板Wを回転させる。スピンモータ部5は、基板回転部の一例である。より具体的には、スピンモータ部5は、鉛直方向に延びる第1回転軸線AX1を中心として、基板Wとスピンチャック4とを一体に回転させる。制御装置101(制御部102)は、スピンモータ部5による基板Wの回転を制御する。
【0060】
詳しくは、第1回転軸線AX1は、スピンベース41の中心を通る。複数のチャック部材42は、基板Wの中心がスピンベース41の中心と一致するように配置されている。したがって、基板Wは、基板Wの中心を回転中心として回転する。
【0061】
図2に示すように、スピンモータ部5は、シャフト51と、モータ本体52とを有してもよい。シャフト51はスピンベース41に結合される。モータ本体52は、シャフト51を回転させる。その結果、スピンベース41が回転する。モータ本体52の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0062】
第1ノズル6は、チャンバー201の下方空間2aに位置し、スピンモータ部5によって回転される基板Wに向けて、SPMと過酸化水素水とを排他的に吐出する。第1ノズル6は、第1混合液吐出部の一例である。回転中の基板Wの上面にSPMが吐出されることにより、基板Wの上面にSPMの液膜が形成される。同様に、回転中の基板Wの上面に過酸化水素水が吐出されることにより、基板Wの上面に過酸化水素水の液膜が形成される。
【0063】
第1ノズル6からのSPMの吐出と、第1ノズル6からの過酸化水素水の吐出とは、制御装置101(制御部102)によって制御される。具体的には、制御装置101(制御部102)は、第1薬液供給部62を制御することにより、第1ノズル6からのSPMの吐出と、第1ノズル6からの過酸化水素水の吐出とを制御する。
【0064】
第1薬液供給部62は、第1ノズル6にSPMと過酸化水素水とを排他的に供給する。図2に示すように、第1薬液供給部62は、第1薬液供給配管621と、第1成分開閉バルブ631と、第2成分開閉バルブ632とを有してもよい。第1薬液供給配管621の一部は、チャンバー201内に収容される。第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632は、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容される。
【0065】
第1薬液供給配管621は、第1ノズル6にSPMと過酸化水素水とを排他的に供給する。具体的には、第1薬液供給配管621は、管状の部材であり、SPM及び過酸化水素水を第1ノズル6まで流通させる。
【0066】
詳しくは、第1薬液供給配管621は、第1配管621aと、第2配管621bとを含む。第1配管621aの一端は、第1ノズル6に接続する。第2配管621bは、第1配管621aに接続する。第1配管621aには、硫酸が流入する。第2配管621bには過酸化水素水が流入する。
【0067】
第1成分開閉バルブ631は、第1配管621aに介装される。具体的には、第1成分開閉バルブ631は、第1配管621aと第2配管621bとの接続箇所CPよりも上流側に配置される。第2成分開閉バルブ632は、第2配管621bに介装される。
【0068】
第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部102)は、第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632の開閉動作を制御する。第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632のアクチュエータは、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。
【0069】
制御装置101(制御部102)は、基板WにSPMを供給する際に、第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632を開状態にする。第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632を開状態にすると、硫酸が第1ノズル6に向かって第1配管621aを流通し、過酸化水素水が接続箇所CPに向かって第2配管621bを流通する。この結果、接続箇所CPにおいて硫酸と過酸化水素水とが混合して、SPMが生成される。SPMは、第1ノズル6に向かって第1配管621aを流通し、第1ノズル6から基板Wに向けてSPMが吐出される。
【0070】
制御装置101(制御部102)は、基板Wに過酸化水素水を供給する際に、第1成分開閉バルブ631を閉状態にし、第2成分開閉バルブ632を開状態にする。第1成分開閉バルブ631を閉状態にし、第2成分開閉バルブ632を開状態にすると、第1配管621aを介した硫酸の流通が停止し、過酸化水素水が接続箇所CPに向かって第2配管621bを流通する。この結果、第1配管621aに流入した過酸化水素水が、第1ノズル6に向かって第1配管621aを流通し、第1ノズル6から基板Wに向けて過酸化水素水が吐出される。
【0071】
制御装置101(制御部102)は、第1ノズル6からのSPM及び過酸化水素水の吐出を停止させる際に、第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632を閉状態にする。第1成分開閉バルブ631及び第2成分開閉バルブ632を閉状態にすると、第1配管621aを介した硫酸の流通が停止し、第2配管621bを介した過酸化水素水の流通が停止する。
【0072】
第2ノズル7は、チャンバー201の下方空間2aに位置し、スピンモータ部5によって回転される基板Wに向けて、SC1を吐出する。第2ノズル7は、第2混合液吐出部の一例である。第2ノズル7からのSC1の吐出は、制御装置101(制御部102)によって制御される。具体的には、制御装置101(制御部102)は、第2薬液供給部72を制御することにより、第2ノズル7からのSC1の吐出を制御する。
【0073】
第2薬液供給部72は、第2ノズル7にSC1を供給する。図2に示すように、第2薬液供給部72は、第2薬液供給配管721と、薬液開閉バルブ731とを有してもよい。第2薬液供給配管721の一部は、チャンバー201内に収容される。薬液開閉バルブ731は、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容される。
【0074】
第2薬液供給配管721は、第2ノズル7にSC1を供給する。具体的には、第2薬液供給配管721は、管状の部材であり、SC1を第2ノズル7まで流通させる。
【0075】
薬液開閉バルブ731は、第2薬液供給配管721に介装される。薬液開閉バルブ731は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部102)は、薬液開閉バルブ731の開閉動作を制御する。薬液開閉バルブ731は、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。
【0076】
制御装置101(制御部102)は、基板WにSC1を供給する際に、薬液開閉バルブ731を開状態にする。薬液開閉バルブ731を開状態にすると、SC1が第2ノズル7に向かって第2薬液供給配管721を流通する。この結果、第2ノズル7から基板Wに向けてSC1が吐出される。
【0077】
制御装置101(制御部102)は、第2ノズル7からのSC1の吐出を停止させる際に、薬液開閉バルブ731を閉状態にする。薬液開閉バルブ731を閉状態にすると、第2薬液供給配管721を介したSC1の流通が停止する。
【0078】
第3ノズル8は、チャンバー201の下方空間2aに位置し、スピンモータ部5によって回転される基板Wに向けて、リンス液を吐出する。第3ノズル8は、リンス液吐出部の一例である。第3ノズル8からのリンス液の吐出は、制御装置101(制御部102)によって制御される。具体的には、制御装置101(制御部102)は、リンス液供給部82を制御することにより、第3ノズル8からのリンス液の吐出を制御する。
【0079】
リンス液供給部82は、第3ノズル8にリンス液を供給する。図2に示すように、リンス液供給部82は、リンス液供給配管821と、リンス液開閉バルブ831とを有してもよい。リンス液供給配管821の一部は、チャンバー201内に収容される。リンス液開閉バルブ831は、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容される。
【0080】
リンス液供給配管821は、第3ノズル8にリンス液を供給する。具体的には、リンス液供給配管821は、管状の部材であり、リンス液を第3ノズル8まで流通させる。
【0081】
リンス液開閉バルブ831は、リンス液供給配管821に介装される。リンス液開閉バルブ831は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部102)は、リンス液開閉バルブ831の開閉動作を制御する。リンス液開閉バルブ831は、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。
【0082】
制御装置101(制御部102)は、基板Wにリンス液を供給する際に、リンス液開閉バルブ831を開状態にする。リンス液開閉バルブ831を開状態にすると、リンス液が第3ノズル8に向かってリンス液供給配管821を流通する。この結果、第3ノズル8から基板Wに向けてリンス液が吐出される。
【0083】
制御装置101(制御部102)は、第3ノズル8からのリンス液の吐出を停止させる際に、リンス液開閉バルブ831を閉状態にする。リンス液開閉バルブ831を閉状態にすると、リンス液供給配管821を介したリンス液の流通が停止する。
【0084】
第1ノズル移動機構61は、第1ノズル6を水平面に沿って移動させる。第1ノズル移動機構61の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。より詳しくは、第1ノズル移動機構61は、第1退避領域と処理位置との間で第1ノズル6を移動させる。第1退避領域は、スピンチャック4の外側の領域である。例えば、第1退避領域は、液受け部9の外側の領域であってもよい。図3には、第1退避領域に移動した第1ノズル6を示している。
【0085】
本実施形態において、第1ノズル6の処理位置は基板Wの中心に対向する位置である。第1ノズル6は、処理位置から基板Wに向けてSPM及び過酸化水素水を排他的に吐出する。図3に示すように、第1ノズル移動機構61は、基板Wの中心を通る円弧状の軌跡に沿って第1ノズル6を水平に移動させる。
【0086】
具体的には、図2に示すように、第1ノズル移動機構61は、第1ノズルアーム611と、第1ノズル基台612と、第1ノズル移動部613とを有してもよい。第1ノズル基台612は鉛直方向に延びる。第1ノズルアーム611の基端部は第1ノズル基台612に結合している。第1ノズルアーム611は、第1ノズル基台612から水平方向に延びる。
【0087】
第1ノズルアーム611は、第1ノズル6を支持する。第1ノズル6は、第1ノズルアーム611から鉛直下方に向けて突出する。第1ノズル6は、第1ノズルアーム611の先端部に配置されてもよい。
【0088】
第1ノズル移動部613は、鉛直方向に延びる第2回転軸線AX2を中心として第1ノズル基台612を回転させる。この結果、第1ノズル6が第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って第1ノズル基台612の周りを移動する。第1ノズル移動部613は、制御装置101(制御部102)によって制御される。第1ノズル移動部613は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備えてもよい。
【0089】
第2ノズル移動機構71は、第2ノズル7を水平面に沿って移動させる。第2ノズル移動機構71の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。より詳しくは、第2ノズル移動機構71は、基板Wの中心に対向する位置と第2退避領域との間で第2ノズル7を移動させる。第2退避領域は、スピンチャック4の外側の領域である。例えば、第2退避領域は、液受け部9の外側の領域であってもよい。図3には、第2退避領域に移動した第2ノズル7を示している。
【0090】
本実施形態において、第2ノズル7は、基板Wの中心に対向する位置と基板Wの周縁部に対向する位置との間で移動しながら、基板Wに向けてSC1を吐出する。第2ノズル7は、所謂スキャンノズルである。図3に示すように、第2ノズル移動機構71は、基板Wの中心を通る円弧状の軌跡に沿って第2ノズル7を水平に移動させる。
【0091】
図2に示すように、第2ノズル移動機構71は、第2ノズルアーム711と、第2ノズル基台712と、第2ノズル移動部713とを有してもよい。第2ノズル移動機構71の構成は、第1ノズル移動機構61と略同様であるため、その説明は割愛する。
【0092】
液受け部9は、スピンモータ部5によって回転される基板Wから排出される処理液(SPM、過酸化水素水、リンス液、及びSC1)を受け止める。図2に示すように、液受け部9は、ガード91と、ガード昇降部94とを有してもよい。
【0093】
ガード91は、略円筒状であり、スピンチャック4に保持されている基板Wの周囲を取り囲む。ガード91は、基板Wから排出された処理液を受け止める。より具体的には、ガード91は、回転する基板Wから飛散する処理液を受け止める。
【0094】
図2に示すように、ガード91は、筒状の案内部92と、筒状の傾斜部93とを含んでもよい。傾斜部93は、第1回転軸線AX1に向かって斜め上に延びる。案内部92は、傾斜部93の下端部から下方に延びる。傾斜部93は、円環状の上端9aを含む。上端9aは、基板W及びスピンベース41よりも大きい内径を有する。傾斜部93の上端9aは、ガード91の上端に相当する。以下、傾斜部93の上端9aを、ガード91の上端9aと記載する場合がある。図3に示すように、上端9aは、平面視で基板W及びスピンベース41を取り囲んでいる。
【0095】
ガード昇降部94は、図2において二点鎖線で示す第1下位置と、図2において実線で示す第1上位置との間でガード91を昇降させる。ここで、第1下位置は、ガード91の上端9aが基板Wよりも下方に配置される位置を示す。第1上位置は、ガード91の上端9aが基板Wよりも上方に配置される位置を示す。ガード昇降部94は、制御装置101(制御部102)によって制御される。ガード昇降部94は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備えてもよい。
【0096】
例えば、制御装置101(制御部102)は、基板Wがスピンチャック4によって保持された後に、ガード91を第1下位置から第1上位置へ移動させる。ガード91が第1上位置に配置されることで、基板Wから飛散する処理液をガード91によって受け止めることができる。また、制御装置101(制御部102)は、基板Wがチャンバー201から搬出される際に、ガード91を第1上位置から第1下位置へ移動させる。ガード91が第1下位置に配置されることで、図1を参照して説明したセンターロボットCRとスピンチャック4との間での基板Wの受け渡しが可能となる。
【0097】
排気ダクト206は、チャンバー201内の気体をチャンバー201の外に排出する。具体的には、排気ダクト206内の気体は、基板処理装置100が設置される工場に設けられた排気設備(図示せず)によって常時吸引される。排気ダクト206の上流端は、スピンベース41よりも下方に配置されている。ガード91の内側の気体は、排気ダクト206を通じて伝達される排気設備の吸引力によって、排気ダクト206の上流端に吸い寄せられる。ガード91よりも上方の空間を漂う気体は、排気ダクト206からガード91の内側に伝達される吸引力によって、ガード91の上端9aの内側に吸い寄せられる。その結果、チャンバー201内の気体は、ガード91の内側を通じてチャンバー201の外に排出される。その際に、チャンバー201内の気体は、スピンチャック4に保持された基板Wの周縁部付近を通過する。
【0098】
基板加熱部20は、スピンチャック4に保持された基板Wを加熱する。例えば、図2に示すように、基板加熱部20は、加熱部材21と、昇降軸22と、給電部23と、ヒータ昇降部24とを有してもよい。
【0099】
加熱部材21は、略円盤状であり、チャック部材42に保持された基板Wとスピンベース41との間に位置する。加熱部材21には、ヒータが埋め込まれている。ヒータは、例えば、抵抗体を含む。給電部23は、加熱部材21に埋め込まれたヒータに通電して、加熱部材21を加熱させる。給電部23は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0100】
昇降軸22は略棒状の部材であり、略鉛直方向に延びる。昇降軸22は、加熱部材21に結合する。ヒータ昇降部24は、昇降軸22を昇降させることにより、加熱部材21を昇降させる。具体的には、ヒータ昇降部24は、チャック部材42に保持された基板Wの下面とスピンベース41の上面との間で加熱部材21を昇降させる。ヒータ昇降部24は、制御装置101(制御部102)によって制御される。ヒータ昇降部24は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備えてもよい。
【0101】
続いて、図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図3に示すように、チャンバー201は、シャッター207を更に有する。また、チャンバー201の側壁203には、搬入搬出口203aが形成されている。シャッター207は、搬入搬出口203aを開く位置と、搬入搬出口203aを閉じる位置との間で移動可能である。シャッター207の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0102】
搬入搬出口203aは、チャンバー201の内部と外部とを連通する開口である。図1を参照して説明したセンターロボットCRは、シャッター207が搬入搬出口203aを開いている際に、搬入搬出口203aを介してチャンバー201の下方空間2aに基板Wを搬入する。また、図1を参照して説明したセンターロボットCRは、シャッター207が搬入搬出口203aを開いている際に、搬入搬出口203aを介してチャンバー201の内部から外部へ基板Wを搬出する。例えば、制御装置101(制御部102)は、センターロボットCRからスピンチャック4に基板Wが受け渡され、センターロボットCRのハンドがチャンバー201の外部へ退避した後に、シャッター207を閉じる。
【0103】
続いて、図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を更に説明する。図2に示すように、基板処理部2は、第1吹出部31と、第2吹出部32と、第3吹出部33と、第4吹出部34とを更に有する。
【0104】
第1吹出部31は、送風機構3とスピンチャック4に保持された基板Wとの間に位置し、チャンバー201の下方空間2aに過熱水蒸気を吹き出す。第1吹出部31は、第1過熱水蒸気吹出部の一例である。第1吹出部31からの過熱水蒸気の吹き出しは、制御装置101(制御部102)によって制御される。なお、過熱水蒸気は、水蒸気を加熱することにより生成される。したがって、過熱水蒸気は、水蒸気の温度より高温である。具体的には、水蒸気の発生時の温度は100℃であり、過熱水蒸気の生成時の温度は100℃より高温である。
【0105】
第1吹出部31から吹き出された過熱水蒸気は、ダウンフローと、排気ダクト206からの吸引力とによって、チャンバー201内の空気と共に流れる。したがって、過熱水蒸気は、ガード91の上端9aの内側に吸い寄せられる。その際に、過熱水蒸気は、スピンチャック4に保持された基板Wの周縁部付近を通過する。その結果、過熱水蒸気により、基板Wの周縁分の温度の低下が抑制される。
【0106】
本実施形態では、第1吹出部31は、第1ノズル6よりも上方に配置されている。例えば、図2に示すように、第1吹出部31は、整流板204に支持されてもよい。例えば、第1吹出部31は、ブラケットを介して整流板204に固定される。また、平面視において、第1吹出部31は、スピンチャック4に保持された基板Wの外側に位置する。したがって、第1吹出部31から水滴のぼた落ちが発生しても、その水滴は基板Wに落下し難い。例えば、第1吹出部31は、平面視において液受け部9と重なる位置に配置されてもよい。
【0107】
第1吹出部31は、例えば、基板WがSPMによって処理されている際に過熱水蒸気を吹き出す。つまり、制御装置101(制御部102)は、第1ノズル6からSPMが吐出されている際に、第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させる。以下、SPMによる基板処理を、「SPM処理」と記載する場合がある。
【0108】
既に説明したように、SPMは第1ノズル6から基板Wの中心に向けて吐出される。したがって、基板Wの中心から遠い基板Wの周縁部は、基板Wの中心と比べて温度が低下し易い。そのため、基板Wの周縁部に付着しているレジスト膜の剥離は容易ではなく、SPM処理の時間を比較的長い時間に設定する必要がある。これに対し、本実施形態によれば、過熱水蒸気によって基板Wの周縁部の温度の低下を抑制することができるため、基板Wの周縁部に付着しているレジスト膜の剥離が容易となる。よって、SPM処理の時間を比較的短い時間に設定することができ、SPMによるレジスト剥離の効率を向上させることができる。その結果、基板処理に用いるSPMの量を減らすことができる。
【0109】
また、SPM処理の際には、第1ノズル6や基板W等から薬液雰囲気が発生する。これに対し、本実施形態によれば、過熱水蒸気により、薬液雰囲気の拡散を抑制することができる。したがって、薬液雰囲気に起因する基板Wの汚染を低減させることができる。具体的には、ダウンフローによって、過熱水蒸気に含まれる液滴がチャンバー201の下方空間2aを漂う薬液成分に衝突して、薬液成分に下方向へ向かう加速度が与えられる。その結果、薬液成分は、排気ダクト206からガード91の内側に伝達される吸引力によって、ガード91の上端9aの内側に吸い寄せられて、チャンバー201内の気体と共に、ガード91の内側を通じてチャンバー201の外に排出される。
【0110】
特に、本実施形態では、第1吹出部31が第1ノズル6の上方に配置される。よって、第1吹出部31が第1ノズル6の下方に配置される構成と比べて、第1ノズル6から発生する薬液雰囲気の拡散を効率よく抑制することができる。
【0111】
更に、本実施形態によれば、過熱水蒸気により、液受け部9、スピンチャック4、及びスピンモータ部5等の基板Wの周辺の部材に熱を与えて、基板Wの周辺の部材の温度を高くすることができる。その結果、基板Wの温度がより低下し難くなる。よって、SPMによるレジスト剥離の効率を更に向上させることができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、第1ノズル6から比較的遠い位置に第1吹出部31が配置される。したがって、第1ノズル6から吐出されるSPMに過熱水蒸気が引き寄せられ難い。よって、過熱水蒸気が下方空間2a内で偏在し難くなるため、過熱水蒸気によって、チャンバー201の下方空間2aに配置されている部材を効率よく昇温させることができる。
【0113】
また、過熱水蒸気には若干の水分が含まれる。したがって、過熱水蒸気に含まれる水分がSPMに接触して、SPMと水分とが反応する際に発生する熱により、基板Wの温度低下を抑制することができる。
【0114】
また、過熱水蒸気を供給することにより、チャンバー201の下方空間2aの湿度が高くなる。その結果、基板Wの上面においてSPMが拡がり易くなり、基板Wを効率よく処理することが可能となる。
【0115】
第2吹出部32は、液受け部9に支持されて、スピンチャック4に保持された基板Wに向けて過熱水蒸気を吹き出す。第2吹出部32は、第2過熱水蒸気吹出部の一例である。具体的には、第2吹出部32は、ガード91に支持される。例えば、第2吹出部32は、ブラケットを介してガード91に固定される。第2吹出部32からの過熱水蒸気の吹き出しは、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0116】
本実施形態によれば、基板Wに対して比較的近い位置から基板Wに向けて過熱水蒸気を供給することができる。したがって、基板Wの温度がより低下し難くなるため、SPMによるレジスト剥離の効率を更に向上させることができる。また、基板Wから発生する薬液雰囲気の拡散を効率よく抑制することができる。
【0117】
本実施形態では、図2に示すように、第2吹出部32は、上側吹出部32aと、下側吹出部32bとを含む。上側吹出部32aは、スピンチャック4に保持された基板Wの上面に向けて過熱水蒸気を吹き出す。下側吹出部32bは、スピンチャック4に保持された基板Wの下面に向けて過熱水蒸気を吹き出す。上側吹出部32aは、上側過熱水蒸気吹出部の一例である。下側吹出部32bは、下側過熱水蒸気吹出部の一例である。
【0118】
具体的には、上側吹出部32aは、傾斜部93の外周面の頂部に固定される。つまり、上側吹出部32aは、ガード91の上端9a付近で支持される。また、下側吹出部32bは、ガード91の内周面に固定される。例えば、下側吹出部32bは、案内部92の内周面に固定されてもよい。
【0119】
本実施形態によれば、基板Wの上面及び下面の両面に向けて過熱水蒸気を供給することができる。したがって、基板Wの温度がより低下し難くなるため、SPMによるレジスト剥離の効率を更に向上させることができる。また、基板Wに対して比較的近い位置から基板Wの上面に向けて過熱水蒸気を供給することができる。したがって、基板Wから発生する薬液雰囲気の拡散を効率よく抑制することができる。
【0120】
更に、本実施形態によれば、傾斜部93の外周面の頂部に上側吹出部32aが配置されるため、上側吹出部32aによって阻害されることなく、ガード91よりも上方の空間からガード91の上端9aの内側へ気体(過熱水蒸気を含む)が吸い寄せられる。
【0121】
第3吹出部33は、チャンバー201の内壁面に向けて過熱水蒸気を吹き出す。第3吹出部33は、第3過熱水蒸気吹出部の一例である。本実施形態において、第3吹出部33は、側壁203の内壁面に向けて過熱水蒸気を吹き出す。第3吹出部33からの過熱水蒸気の吹き出しは、制御装置101(制御部102)によって制御される。制御装置101(制御部102)は、チャンバー201の内部を洗浄する際に第3吹出部33から過熱水蒸気を吹き出させる。
【0122】
チャンバー201の内部の洗浄後、チャンバー201の内部を乾燥させる処理が行われる。例えば、チャンバー201の内部に、窒素ガスのような不活性ガスを供給して、チャンバー201の内部を乾燥させる。洗浄後のチャンバー201は、チャンバー201の内部が乾燥した後に基板処理に使用される。
【0123】
しかしながら、チャンバー201の内部を洗浄する際には、大量の純水が使用される。そのため、洗浄後のチャンバー201の内部は乾燥し難い状態となる。これに対し、本実施形態によれば、チャンバー201の内部を洗浄する際に第3吹出部33からチャンバー201の内壁面に向けて過熱水蒸気が供給されるため、チャンバー201の内壁面が乾きやすくなる。したがって、チャンバー201の内部を効率よく乾燥させることができる。
【0124】
なお、チャンバー201の内部の洗浄は、例えば、基板処理部2が予め定められた枚数(例えば、24枚)の基板Wを処理する度に実行されてもよい。あるいは、チャンバー201の内部の洗浄は、予め定められた時間が経過する度に実行されてもよい。
【0125】
第4吹出部34は、送風機構3とスピンチャック4に保持された基板Wとの間に位置し、チャンバー201の下方空間2aに水蒸気を吹き出す。第4吹出部34は、水蒸気吹出部の一例である。第4吹出部34からの水蒸気の吹き出しは、制御装置101(制御部102)によって制御される。なお、既に説明したように、水蒸気は過熱水蒸気よりも低温である。また、水蒸気は、過熱水蒸気と比べて水分量が多く、液滴も大きい。第4吹出部34から供給される水蒸気は、ミストであってもよい。
【0126】
本実施形態では、第4吹出部34は、第1ノズル6よりも上方に配置されている。例えば、図2に示すように、第4吹出部34は、整流板204に支持されてもよい。例えば、第4吹出部34は、ブラケットを介して整流板204に固定される。また、平面視において、第4吹出部34は、スピンチャック4に保持された基板Wの外側に位置する。したがって、第4吹出部34から水滴のぼた落ちが発生しても、その水滴は基板Wに落下し難い。例えば、第4吹出部34は、平面視において液受け部9と重なる位置に配置されてもよい。
【0127】
第4吹出部34は、例えば、基板Wがリンス液によって処理されている際に水蒸気を吹き出す。つまり、制御装置101(制御部102)は、第3ノズル8からリンス液が吐出されている際に、第4吹出部34から水蒸気を吹き出させる。以下、リンス液による基板処理を、「リンス処理」と記載する場合がある。
【0128】
本実施形態によれば、水蒸気により、薬液雰囲気の拡散をより抑制することができる。具体的には、既に説明したように、水蒸気の液滴は、過熱水蒸気の液滴よりも大きい。よって、水蒸気の液滴は、過熱水蒸気と比べて薬液成分に衝突し易い。したがって、排気ダクト206からガード91の内側に伝達される吸引力により、薬液成分を効率よくチャンバー201の外に排出させることができる。また、水蒸気の液滴に衝突された薬液成分の一部は、基板Wの上面に形成されているリンス液の液膜に付着して、リンス液と共に基板Wから排出される。その結果、薬液成分は、リンス液と共にチャンバー201の外部に排出される。特に、リンス処理の際は、薬液雰囲気が比較的発生し難い状態となる。つまり、リンス処理の際は、薬液雰囲気が増加し難い。よって、リンス処理の際にチャンバー201の下方空間2aに水蒸気を供給することにより、薬液雰囲気の拡散をより効率よく抑制することができる。
【0129】
続いて、図3を参照して、上側吹出部32aを説明する。図3に示すように、上側吹出部32aは円環状であり、ガード91の上端9aに沿って延びる。上側吹出部32aは、管状の部材であり、過熱水蒸気は上側吹出部32aの内部を流通する。上側吹出部32aの内周側には、少なくとも1つの吹出口(図示せず)が形成されている。吹出口は開口であり、上側吹出部32aを流通する過熱水蒸気は、上側吹出部32aの吹出口から基板Wの上面に向けて吹き出す。
【0130】
なお、下側吹出部32bの構成も上側吹出部32aと同様である。具体的には、下側吹出部32bは円環状であり、ガード91の内周面に沿って延びる。下側吹出部32bは、管状の部材であり、過熱水蒸気は下側吹出部32bの内部を流通する。下側吹出部32bの内周側には、少なくとも1つの吹出口(図示せず)が形成されている。吹出口は開口であり、下側吹出部32bを流通する過熱水蒸気は、下側吹出部32bの吹出口から基板Wの下面に向けて吹き出す。
【0131】
本実施形態によれば、上側吹出部32aが円環状であるため、上側吹出部32aに複数の吹出口を形成することにより、基板Wの上面に対して複数の方向から過熱水蒸気を供給することができる。したがって、基板Wの温度低下を効率的に抑制することができる。但し、上側吹出部32aの吹出口の数は1つであってもよい。
【0132】
同様に、下側吹出部32bが円環状であるため、下側吹出部32bに複数の吹出口を形成することにより、基板Wの下面に対して複数の方向から過熱水蒸気を供給することができる。したがって、基板Wの温度低下を効率的に抑制することができる。但し、下側吹出部32bの吹出口の数は1つであってもよい。
【0133】
また、本実施形態によれば、例えば、円周に沿って配列された複数のノズルにより上側吹出部32aを構成する場合と比べて、基板処理装置100の構成が簡易な構成となり、基板処理装置100の製造が容易になる。同様に、円周に沿って配列された複数のノズルにより下側吹出部32bを構成する場合と比べて、基板処理装置100の構成が簡易な構成となり、基板処理装置100の製造が容易になる。但し、上側吹出部32aは、少なくとも1つのノズルによって構成されてもよい。同様に、下側吹出部32bは、少なくとも1つのノズルによって構成されてもよい。
【0134】
続いて、図4を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図4は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す他の断面図である。詳しくは、図4は、下側から視た基板処理部2の内部を示す。
【0135】
図4に示すように、第1吹出部31は円環状である。第1吹出部31は、管状の部材であり、過熱水蒸気は第1吹出部31の内部を流通する。第1吹出部31の下面側には、少なくとも1つの吹出口(図示せず)が形成されている。吹出口は開口であり、第1吹出部31を流通する過熱水蒸気は、第1吹出部31の吹出口から下方向に吹き出す。
【0136】
第4吹出部34の構成も第1吹出部31と同様である。具体的には、第4吹出部34は円環状である。第4吹出部34は、管状の部材であり、水蒸気は第4吹出部34の内部を流通する。第4吹出部34の下面側には、少なくとも1つの吹出口(図示せず)が形成されている。吹出口は開口であり、第4吹出部34を流通する水蒸気は、第4吹出部34の吹出口から下方向に向けて吹き出す。
【0137】
本実施形態によれば、第1吹出部31が円環状であるため、第1吹出部31に複数の吹出口を形成することにより、チャンバー201の下方空間2aに偏りなく過熱水蒸気を供給することができる。但し、第1吹出部31の吹出口の数は1つであってもよい。
【0138】
同様に、第4吹出部34が円環状であるため、第4吹出部34に複数の吹出口を形成することにより、チャンバー201の下方空間2aに偏りなく水蒸気を供給することができる。但し、第4吹出部34の吹出口の数は1つであってもよい。
【0139】
また、本実施形態によれば、例えば、複数のノズルにより第1吹出部31を構成する場合と比べて、基板処理装置100の構成が簡易な構成となり、基板処理装置100の製造が容易になる。同様に、複数のノズルにより第4吹出部34を構成する場合と比べて、基板処理装置100の構成が簡易な構成となり、基板処理装置100の製造が容易になる。但し、第1吹出部31は、少なくとも1つのノズルによって構成されてもよい。同様に、第4吹出部34は、少なくとも1つのノズルによって構成されてもよい。
【0140】
なお、本実施形態では、第1吹出部31の内側に第4吹出部34が配置されているが、第4吹出部34は第1吹出部31の外側に配置されてもよい。また、第1吹出部31及び第4吹出部34をそれぞれ複数のノズルによって構成する場合、例えば、第1吹出部31のノズルと第4吹出部34のノズルとは円周に沿って交互に並んで配置されてもよい。
【0141】
図4に示すように、第3吹出部33は、チャンバー201の側壁203に沿って延びる。第3吹出部33は、管状の部材であり、過熱水蒸気は第3吹出部33の内部を流通する。第3吹出部33には、少なくとも1つの吹出口(図示せず)が形成されている。吹出口は開口である。具体的には、第3吹出部33の吹出口は、側壁203の内面に向かって開口している。第3吹出部33を流通する過熱水蒸気は、第3吹出部33の吹出口からチャンバー201の側壁203に向かって吹き出す。
【0142】
本実施形態によれば、第3吹出部33がチャンバー201の側壁203に沿って延びるため、第3吹出部33に複数の吹出口を形成することにより、側壁203の内周面に偏りなく過熱水蒸気を供給することができる。但し、第3吹出部33の吹出口の数は1つであってもよい。
【0143】
また、本実施形態によれば、例えば、チャンバー201の側壁203に沿って配列された複数のノズルにより第3吹出部33を構成する場合と比べて、基板処理装置100の構成が簡易な構成となり、基板処理装置100の製造が容易になる。但し、第3吹出部33は、少なくとも1つのノズルによって構成されてもよい。
【0144】
続いて、図4及び図5を参照して、本実施形態の基板処理装置100を更に説明する。図5は、本実施形態の基板処理装置100の構成を示す図である。図4に示すように、基板処理装置100は、水蒸気供給部300を更に備える。水蒸気供給部300は、第1吹出部31と、第3吹出部33とに過熱水蒸気を供給する。また、水蒸気供給部300は、第4吹出部34に水蒸気を供給する。更に、図5に示すように、水蒸気供給部300は、第2吹出部32(上側吹出部32a及び下側吹出部32b)に過熱水蒸気を供給する。
【0145】
図4に示すように、水蒸気供給部300は、水蒸気発生部300Aと、第1水蒸気配管311と、第1過熱水蒸気バルブ312と、第1流量制御バルブ313と、過熱水蒸気生成ヒータ303とを有する。図5に示すように、水蒸気供給部300は、第2水蒸気配管321と、第2過熱水蒸気バルブ322とを更に有する。図4に示すように、水蒸気供給部300は、第3水蒸気配管331と、第3過熱水蒸気バルブ332と、第4水蒸気配管341と、水蒸気バルブ342と、第2流量制御バルブ343とを更に有する。
【0146】
水蒸気発生部300Aは、図1を参照して説明した流体キャビネット10Aに収容される。第1過熱水蒸気バルブ312、第1流量制御バルブ313、過熱水蒸気生成ヒータ303、第2過熱水蒸気バルブ322、第3過熱水蒸気バルブ332、水蒸気バルブ342、及び第2流量制御バルブ343は、図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容される。第1水蒸気配管311、第2水蒸気配管321、第3水蒸気配管331、及び第4水蒸気配管341の一部は、チャンバー201内に収容される。
【0147】
水蒸気発生部300Aは、水蒸気を発生させる。図4に示すように、水蒸気発生部300Aから発生した水蒸気は、第1水蒸気配管311と、第4水蒸気配管341とに流入する。具体的には、水蒸気発生部300Aは、貯留部301と、水蒸気生成ヒータ302とを有する。貯留部301は、純水を貯留する。水蒸気生成ヒータ302は、貯留部301に貯留されている純水を加熱して、水蒸気を発生させる。貯留部301には第1水蒸気配管311の一端と第4水蒸気配管341の一端とが接続されている。水蒸気生成ヒータ302の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0148】
第1水蒸気配管311の他端は、第1吹出部31に接続している。第1水蒸気配管311には、第1過熱水蒸気バルブ312と、第1流量制御バルブ313と、過熱水蒸気生成ヒータ303とが介装されている。
【0149】
第1水蒸気配管311は、水蒸気及び過熱水蒸気が流通する管状の部材である。過熱水蒸気生成ヒータ303は、貯留部301から第1水蒸気配管311に流入した水蒸気を加熱して、過熱水蒸気を生成する。過熱水蒸気は、第1水蒸気配管311を流通して、第1吹出部31に流入する。
【0150】
第1過熱水蒸気バルブ312は開閉バルブであり、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部102)は、第1過熱水蒸気バルブ312の開閉動作を制御する。第1過熱水蒸気バルブ312のアクチュエータは、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。第1過熱水蒸気バルブ312が開くことにより、過熱水蒸気が第1水蒸気配管311を介して第1吹出部31まで流通して、第1吹出部31に過熱水蒸気が供給される。第1過熱水蒸気バルブ312が閉じることにより、第1吹出部31への過熱水蒸気の供給が停止する。
【0151】
第1流量制御バルブ313は、第1水蒸気配管311を流通する過熱水蒸気の流量を制御する。具体的には、第1流量制御バルブ313は、開度の制御が可能であり、第1水蒸気配管311を流通する過熱水蒸気の流量は、第1流量制御バルブ313の開度に応じた大きさになる。第1流量制御バルブ313のアクチュエータは、例えば、電動アクチュエータである。第1流量制御バルブ313は、例えば、モーターニードルバルブであってもよい。第1流量制御バルブ313の開度は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0152】
図5に示すように、第2水蒸気配管321の一端は、過熱水蒸気生成ヒータ303よりも下流側において第1水蒸気配管311に接続する。第2水蒸気配管321の他端は、第2吹出部32に接続する。第2水蒸気配管321は、管状の部材であり、第1水蒸気配管311から第2水蒸気配管321に過熱水蒸気が流入する。過熱水蒸気は、第2水蒸気配管321を流通して、第2吹出部32に流入する。
【0153】
第2過熱水蒸気バルブ322は、第2水蒸気配管321に介装されている。第2過熱水蒸気バルブ322は開閉バルブであり、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部102)は、第2過熱水蒸気バルブ322の開閉動作を制御する。第2過熱水蒸気バルブ322のアクチュエータは、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。第2過熱水蒸気バルブ322が開くことにより、過熱水蒸気が第2水蒸気配管321を介して第2吹出部32まで流通して、第2吹出部32に過熱水蒸気が供給される。第2過熱水蒸気バルブ322が閉じることにより、第2吹出部32への過熱水蒸気の供給が停止する。
【0154】
本実施形態において、第2水蒸気配管321は、第1配管321aと、第2配管321bとを含む。第2過熱水蒸気バルブ322は、第1バルブ322aと、第2バルブ322bとを含む。
【0155】
第2水蒸気配管321の第1配管321aの一端は、過熱水蒸気生成ヒータ303よりも下流側において第1水蒸気配管311に接続する。第2水蒸気配管321の第1配管321aの他端は、上側吹出部32aに接続する。第1水蒸気配管311から第2水蒸気配管321の第1配管321aに流入した過熱水蒸気は、第2水蒸気配管321の第1配管321aを流通して、上側吹出部32aに流入する。
【0156】
第1バルブ322aは、第2水蒸気配管321の第1配管321aに介装されている。第1バルブ322aが開くことにより、過熱水蒸気が第2水蒸気配管321の第1配管321aを介して上側吹出部32aまで流通して、上側吹出部32aに過熱水蒸気が供給される。第1バルブ322aが閉じることにより、上側吹出部32aへの過熱水蒸気の供給が停止する。
【0157】
第2水蒸気配管321の第2配管321bの一端は、第1バルブ322aよりも上流側において、第2水蒸気配管321の第1配管321aに接続する。第2水蒸気配管321の第2配管321bの他端は、下側吹出部32bに接続する。第2水蒸気配管321の第1配管321aから第2水蒸気配管321の第2配管321bに流入した過熱水蒸気は、第2水蒸気配管321の第2配管321bを流通して、下側吹出部32bに流入する。
【0158】
第2バルブ322bは、第2水蒸気配管321の第2配管321bに介装されている。第2バルブ322bが開くことにより、過熱水蒸気が第2水蒸気配管321の第2配管321bを介して下側吹出部32bまで流通して、下側吹出部32bに過熱水蒸気が供給される。第2バルブ322bが閉じることにより、下側吹出部32bへの過熱水蒸気の供給が停止する。
【0159】
図4に示すように、第3水蒸気配管331の一端は、過熱水蒸気生成ヒータ303よりも下流側において第1水蒸気配管311に接続する。第3水蒸気配管331の他端は、第3吹出部33に接続する。第3水蒸気配管331は、管状の部材であり、第1水蒸気配管311から第3水蒸気配管331に過熱水蒸気が流入する。過熱水蒸気は、第3水蒸気配管331を流通して、第3吹出部33に流入する。
【0160】
第3過熱水蒸気バルブ332は、第3水蒸気配管331に介装されている。第3過熱水蒸気バルブ332は開閉バルブであり、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部102)は、第3過熱水蒸気バルブ332の開閉動作を制御する。第3過熱水蒸気バルブ332のアクチュエータは、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。第3過熱水蒸気バルブ332が開くことにより、過熱水蒸気が第3水蒸気配管331を介して第3吹出部33まで流通して、第3吹出部33に過熱水蒸気が供給される。第3過熱水蒸気バルブ332が閉じることにより、第3吹出部33への過熱水蒸気の供給が停止する。
【0161】
第4水蒸気配管341の他端は、第4吹出部34に接続している。第4水蒸気配管341には、水蒸気バルブ342と、第2流量制御バルブ343とが介装されている。
【0162】
第4水蒸気配管341は、水蒸気が流通する管状の部材である。貯留部301から第4水蒸気配管341に流入した水蒸気は、第4水蒸気配管341を流通して、第4吹出部34に流入する。
【0163】
水蒸気バルブ342は開閉バルブであり、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部102)は、水蒸気バルブ342の開閉動作を制御する。水蒸気バルブ342のアクチュエータは、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。水蒸気バルブ342が開くことにより、水蒸気が第4水蒸気配管341を介して第4吹出部34まで流通して、第4吹出部34に水蒸気が供給される。水蒸気バルブ342が閉じることにより、第4吹出部34への水蒸気の供給が停止する。
【0164】
第2流量制御バルブ343は、第4水蒸気配管341を流通する水蒸気の流量を制御する。具体的には、第2流量制御バルブ343は、開度の制御が可能であり、第4水蒸気配管341を流通する水蒸気の流量は、第2流量制御バルブ343の開度に応じた大きさになる。第2流量制御バルブ343のアクチュエータは、例えば、電動アクチュエータである。第2流量制御バルブ343は、例えば、モーターニードルバルブであってもよい。第2流量制御バルブ343の開度は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0165】
続いて、図6を参照して、第1薬液供給部62を説明する。図6は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる第1薬液供給部62の構成を示す図である。図6に示すように、第1薬液供給部62は、図2を参照して説明した第1薬液供給配管621、第1成分開閉バルブ631、及び第2成分開閉バルブ632に加えて、ヒータ643を更に有してもよい。ヒータ643は、第1薬液供給配管621の第1配管621aに介装される。例えば、ヒータ643は、第1成分開閉バルブ631よりも下流側において、第1薬液供給配管621の第1配管621aに介装される。ヒータ643は、第1薬液供給配管621の第1配管621aを流通する硫酸を加熱する。
【0166】
続いて、図1図7を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。本実施形態の基板処理方法は、例えば、図1図6を参照して説明した基板処理装置100により実行される。図7は、本実施形態の基板処理方法を示すフローチャートである。詳しくは、図7は、制御装置101(制御部102)による処理の流れを示す。
【0167】
図7に示すように、本実施形態の基板処理方法は、ステップS1~ステップS6を含む。なお、図2を参照して説明したように、図7に示す処理が実行されている間、制御装置101(制御部102)は、送風機構3を制御して、チャンバー201内に空気を送風させている。したがって、チャンバー201の下方空間2aにはダウンフローが発生している。
【0168】
図7に示す処理を開始すると、制御装置101(制御部102)は、まず、センターロボットCRを制御して、チャンバー201の下方空間2aに基板Wを搬入させる(ステップS1)。制御装置101(制御部102)は、スピンチャック4を制御して、センターロボットCRが搬入した基板Wを保持させる(ステップS2)。この結果、スピンチャック4により、チャンバー201内で基板Wが保持される。
【0169】
制御装置101(制御部102)は、スピンチャック4が基板Wを保持すると、基板処理部2を制御して、基板処理を実行させる(ステップS3)。具体的には、制御装置101(制御部102)は、基板処理部2を制御して、SPM、過酸化水素水、リンス液、及びSC1を、SPM、過酸化水素水、リンス液、SC1、リンス液の順に基板Wに供給させる。
【0170】
更に、制御装置101(制御部102)は、基板処理と並行して、基板処理部2に水蒸気処理を実行させる(ステップS4)。例えば、制御装置101(制御部102)は、送風機構3によってチャンバー201内に空気が送風されている状態で、第1吹出部31からチャンバー201の下方空間2aに過熱水蒸気を吹き出させる。具体的には、制御装置101(制御部102)は、SPM処理の際に、第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させる。
【0171】
制御装置101(制御部102)は、基板処理が終了すると、スピンチャック4を制御して、基板Wの保持を解除させる(ステップS5)。スピンチャック4による基板Wの保持が解除されると、制御装置101(制御部102)は、センターロボットCRを制御して、基板Wをチャンバー201から搬出させる(ステップS6)。この結果、図7に示す処理が終了する。
【0172】
続いて、図1図15を参照して、図7に示す基板処理(ステップS3)及び水蒸気処理(ステップS4)を説明する。図8は、本実施形態の基板処理方法に含まれる基板処理(ステップS3)及び水蒸気処理(ステップS4)を示すフローチャートである。図9は、事前加熱時の基板処理部2を模式的に示す図である。図10は、SPM処理時の基板処理部2を模式的に示す図である。図11は、パドル処理時の基板処理部2を模式的に示す図である。図12は、過酸化水素水により基板Wを処理する際の基板処理部2を模式的に示す図である。図13は、リンス処理時の基板処理部2を模式的に示す図である。図14は、SC1により基板Wを処理する際の基板処理部2を模式的に示す図である。図15は、乾燥処理時の基板処理部2を模式的に示す図である。
【0173】
図8に示すように、基板処理を開始すると、制御装置101(制御部102)は、まず、基板加熱部20を制御して、基板Wを加熱させる(ステップS31)。つまり、SPM処理の実行前に基板Wを昇温させる。事前に基板Wを昇温させることにより、SPMによるレジスト膜の剥離の効率が向上する。
【0174】
詳しくは、図9に示すように、制御装置101(制御部102)は、給電部23を制御して、加熱部材21に埋め込まれたヒータに通電させる。この結果、加熱部材21が加熱される。また、制御装置101(制御部102)は、ヒータ昇降部24を制御して、加熱部材21を第2下位置から第2上位置まで上昇させる。
【0175】
ここで、第2下位置は、スピンベース41の上面に加熱部材21が近接する位置である。第2下位置は、スピンベース41の上面に加熱部材21が接触する位置であってもよい。第2上位置は、基板Wの下面に加熱部材21が近接する位置である。加熱部材21を第2上位置に配置すると、加熱部材21からの輻射熱によって基板Wが加熱される。なお、事前加熱時に過熱水蒸気及び水蒸気はチャンバー201の下方空間2aに供給されない。
【0176】
制御装置101(制御部102)は、予め定められた時間、基板Wを事前加熱した後、スピンモータ部5を制御して、スピンチャック4に保持させた基板Wの回転を開始させる(図10参照)。また、制御装置101(制御部102)は、第1ノズル移動機構61を制御して、第1ノズル6を処理位置まで移動させる。詳しくは、第1ノズル6は、基板Wの中心に対向する位置まで移動する(図10参照)。
【0177】
制御装置101(制御部102)は、基板Wの回転速度が予め定められた回転速度に達すると、第1薬液供給部62を制御して、回転中の基板Wに向けて第1ノズル6からSPMを吐出させる(ステップS32)。この結果、図10に示すように、回転中の基板Wの上面にSPMが供給されて、基板Wの上面にSPMの液膜が形成される。つまり、制御装置101(制御部102)は、SPMの吐出時に、基板Wの回転速度を制御して、基板Wの上面にSPMの液膜を形成させる。
【0178】
更に、制御装置101(制御部102)は、SPMの吐出時に、第1過熱水蒸気処理を行う(ステップS41)。具体的には、図10に示すように、制御装置101(制御部102)は、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させる。これにより、既に説明したように、SPMによるレジスト剥離の効率を向上させることができる。また、過熱水蒸気により、薬液雰囲気の拡散を抑制することができる。
【0179】
第1吹出部31からの過熱水蒸気の吹き出しを開始するタイミングは、SPMの吐出開始前であってもよいし、SPMの吐出開始タイミングと同じタイミングであってもよい。あるいは、第1吹出部31からの過熱水蒸気の吹き出しを開始するタイミングは、SPMの吐出開始後であってもよい。制御装置101(制御部102)は、第1吹出部31から過熱水蒸気を連続して吹き出させてもよいし、間欠的に吹き出させてもよい。
【0180】
制御装置101(制御部102)は、SPMの吐出開始前にのみ第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させてもよいし、SPMの吐出開始時にのみ第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させてもよい。あるいは、制御装置101(制御部102)は、SPMの吐出開始から吐出終了までの間に、SPMの吐出開始から吐出終了までの期間よりも短い期間、第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させてもよい。
【0181】
なお、図10に示すように、制御装置101(制御部102)は、SPMの吐出開始前に、ヒータ昇降部24を制御して、加熱部材21を第2上位置から第2下位置まで下降させてもよい。
【0182】
制御装置101(制御部102)は、SPMの吐出を開始してから予め定められた時間が経過した後、第1薬液供給部62を制御して、SPMの吐出を停止させる。そして、制御装置101(制御部102)は、スピンモータ部5により基板Wの回転速度を制御して、SPMの液膜が基板Wの上面に支持されたパドル状態を形成する(ステップS33)。例えば、制御装置101(制御部102)は、基板Wの回転を停止させて、パドル状態を形成してもよい(図11参照)。あるいは、制御装置101(制御部102)は、基板Wを低速回転させて、パドル状態を形成してもよい。パドル状態を形成することにより、SPMによるレジスト剥離の効率を向上させることができる。
【0183】
制御装置101(制御部102)は、パドル状態の形成時(パドル処理時)に、第2過熱水蒸気処理を行う(ステップS42)。具体的には、図11に示すように、制御装置101(制御部102)は、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させるとともに、第2吹出部32(上側吹出部32a及び下側吹出部32b)から過熱水蒸気を吹き出させる。つまり、第1吹出部31からの過熱水蒸気の供給を継続させながら、スピンチャック4に保持された基板Wに向けて第2吹出部32から過熱水蒸気を吹き出させる。これにより、既に説明したように、SPMによるレジスト剥離の効率を向上させることができる。更に、過熱水蒸気により、薬液雰囲気の拡散を抑制することができる。
【0184】
また、基板Wの上面にはSPMの液膜が形成されているため、基板Wの上面側からは、基板Wを直接昇温させることができない。これに対し、本実施形態では、パドル処理時に、下側吹出部32bから基板Wの下面に向けて過熱水蒸気が供給される。したがって、過熱水蒸気により基板Wを直接昇温させることができる。よって、レジスト膜をより効率的に剥離することができる。
【0185】
なお、図11に示すように、制御装置101(制御部102)は、パドル状態の形成時に、ヒータ昇降部24を制御して、加熱部材21を第2下位置から第2上位置まで上昇させて、加熱部材21により基板Wを加熱させてもよい。
【0186】
制御装置101(制御部102)は、パドル状態の形成を開始してから予め定められた時間が経過すると、スピンモータ部5を制御して、スピンチャック4に保持させた基板Wの回転を開始させる(図12参照)。あるいは、制御装置101(制御部102)は、パドル状態の形成を開始してから予め定められた時間が経過すると、スピンモータ部5を制御して、基板Wの回転速度を増加させる。
【0187】
制御装置101(制御部102)は、基板Wの回転速度が予め定められた回転速度に達すると、第1薬液供給部62を制御して、回転中の基板Wに向けて第1ノズル6から過酸化水素水を吐出させる(ステップS34)。この結果、図12に示すように、回転中の基板Wの上面に過酸化水素水が供給されて、基板Wの上面に過酸化水素水の液膜が形成される。つまり、制御装置101(制御部102)は、過酸化水素水の吐出時に、基板Wの回転速度を制御して、基板Wの上面に過酸化水素水の液膜を形成させる。詳しくは、過酸化水素水によって、SPMが基板Wの上面から排出されて、SPMの液膜が過酸化水素水の液膜に置換される。
【0188】
制御装置101(制御部102)は、過酸化水素水の吐出時に、第3過熱水蒸気処理を行う(ステップS43)。具体的には、図12に示すように、制御装置101(制御部102)は、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第2吹出部32(上側吹出部32a及び下側吹出部32b)からの過熱水蒸気の供給を停止させるとともに、第1吹出部31から吹き出させる過熱水蒸気の流量を減少させる。
【0189】
具体的には、制御装置101(制御部102)は、SPM処理時及びパドル処理時に、第1吹出部31から過熱水蒸気を第1流量で吹き出させ、過酸化水素水の吐出時に、第1吹出部31から過熱水蒸気を、第1流量より小さい第2流量で吹き出させる。制御装置101(制御部102)は、図4に示す第1流量制御バルブ313を制御することにより過熱水蒸気の流量を調整する。
【0190】
なお、図12に示すように、制御装置101(制御部102)は、過酸化水素水の吐出時に、加熱部材21により基板Wを加熱させてもよい。
【0191】
過酸化水素水は、基板Wを酸化させる可能性がある。特に、過酸化水素水の温度が高いほど、基板Wは酸化され易い。また、基板Wの温度が高いほど、基板Wは酸化され易い。これに対し、本実施形態によれば、過酸化水素水の吐出時にチャンバー201の下方空間2aに供給される過熱水蒸気の量を減少させることができる。この結果、過熱水蒸気による過酸化水素水の温度の上昇が抑制されるとともに、基板Wの温度が低下し易くなるため、過酸化水素水による基板Wの酸化を抑制することができる。
【0192】
また、過酸化水素水の吐出時には、基板Wから大量のヒュームが発生する。更に、過酸化水素水の吐出時には、第1ノズル6の吐出口からヒュームが発生し易い。本実施形態によれば、過酸化水素水の吐出時に過熱水蒸気を供給することにより、ヒュームの拡散を抑制することができる。
【0193】
また、過酸化水素水の吐出時には、高温のSPMの液膜が形成されている基板Wに向けて、常温の過酸化水素水が吐出される。この結果、基板Wの面内に温度勾配が発生して、基板Wが振動する。これに対し、本実施形態によれば、過酸化水素水の吐出時に過熱水蒸気を供給することにより、温度勾配を抑制することができる。したがって、基板Wの振動を抑制することができる。
【0194】
制御装置101(制御部102)は、過酸化水素水の吐出を開始してから予め定められた時間が経過した後、第1薬液供給部62を制御して、過酸化水素水の吐出を停止させる。また、制御装置101(制御部102)は、第1ノズル移動機構61を制御して、第1ノズル6を第1退避領域へ退避させる。
【0195】
制御装置101(制御部102)は、第1ノズル6を第1退避領域へ退避させた後、スピンチャック4に保持された基板Wを回転させた状態で、リンス液供給部82を制御して、回転中の基板Wに向けて第3ノズル8からリンス液を吐出させる(ステップS35)。この結果、図13に示すように、回転中の基板Wの上面にリンス液が供給されて、基板Wの上面にリンス液の液膜が形成される。つまり、制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出時に、基板Wの回転速度を制御して、基板Wの上面にリンス液の液膜を形成させる。詳しくは、リンス液によって、過酸化水素水が基板Wの上面から排出されて、過酸化水素水の液膜がリンス液の液膜に置換される。
【0196】
制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出時に、送風機構3によってチャンバー201の下方空間2aに空気が送風されている状態で、チャンバー201の下方空間2aに水蒸気を供給させる(ステップS44)。具体的には、図13に示すように、制御装置101(制御部102)は、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第4吹出部34から水蒸気を吹き出させる。なお、過酸化水素水の吐出時(ステップS34)に第1吹出部31から過熱水蒸気を供給させる場合、制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出時に、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第1吹出部31からの過熱水蒸気の供給を停止させる。
【0197】
本実施形態によれば、既に説明したように、リンス処理の際にチャンバー201の下方空間2aに水蒸気を供給することにより、薬液雰囲気の拡散をより効率よく抑制することができる。なお、図13に示すように、制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出開始前に、ヒータ昇降部24を制御して、加熱部材21を第2上位置から第2下位置まで下降させてもよい。これにより、基板Wの上面からリンス液が蒸発し難くなる。
【0198】
制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出を開始してから予め定められた時間が経過した後、リンス液供給部82を制御して、リンス液の吐出を停止させる。制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出を停止させた後、第2ノズル移動機構71を制御して、第2ノズル7を第2退避領域から基板Wの中心に対向する位置へ移動させる。
【0199】
制御装置101(制御部102)は、第2ノズル7が基板Wの中心に対向する位置へ移動すると、スピンチャック4に保持された基板Wを回転させた状態で、第2薬液供給部72及び第2ノズル移動機構71を制御して、ハーフスキャン処理を実行する。具体的には、第2ノズル7を基板Wの中心に対向する位置から基板Wの周縁部に対向する位置まで移動させながら、回転中の基板Wに向けて第2ノズル7からSC1を吐出させる(ステップS36)。この結果、SC1によりリンス液が基板Wの上面から排出されて、SC1によって基板Wが処理される。
【0200】
制御装置101(制御部102)は、SC1の吐出時に、第4過熱水蒸気処理を行う(ステップS45)。具体的には、図14に示すように、制御装置101(制御部102)は、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第1吹出部31から過熱水蒸気を吹き出させる。
【0201】
SC1は、ハーフスキャン処理によって基板Wに供給されるため、第2ノズル7が基板Wの中心に対向する位置から基板Wの周縁部に対向する位置へ向かって移動している間に、基板Wの中央領域が乾燥し易い状態となる。同様に、第2ノズル7が基板Wの周縁部に対向する位置から基板Wの中心に対向する位置へ向かって移動している間に、基板Wの周縁部が乾燥し易い状態となる。これに対し、本実施形態によれば、SC1の吐出時に過熱水蒸気が供給されるため、下方空間2aの湿度を高く保つことができる。したがって、SC1の吐出時に基板Wが乾燥し難くなる。なお、図14に示すように、SC1の吐出時に、加熱部材21は第2下位置に配置される。したがって、基板Wの乾燥を更に抑制することができる。
【0202】
また、本実施形態によれば、SC1の吐出時に過熱水蒸気が供給されるため、基板Wの上面に供給されたSC1を昇温させることができる。この結果、基板Wの本体表面がSC1によって酸化され易い状態となる。
【0203】
なお、SC1の吐出時は基板Wが乾燥し易い状態となるため、制御装置101(制御部102)は、送風機構3を制御して、ダウンフローの風速を弱めてもよい。ダウンフローの風速を弱めることで、基板Wが乾燥し難くなる。
【0204】
制御装置101(制御部102)は、SC1の吐出を開始してから予め定められた時間が経過した後、第2薬液供給部72を制御して、SC1の吐出を停止させる。また、制御装置101(制御部102)は、第2ノズル移動機構71を制御して、第2ノズル7を第2退避領域へ退避させる。
【0205】
制御装置101(制御部102)は、第2ノズル7を第2退避領域へ退避させた後、ステップS36と同様に、回転中の基板Wに向けて第3ノズル8からリンス液を吐出させる(ステップS37)。この結果、リンス液によってSC1が基板Wの上面から排出されて、基板Wの上面にリンス液の液膜が形成される。
【0206】
制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出時に、ステップS44と同様に、チャンバー201の下方空間2aに水蒸気を供給させる(ステップS46)。また、制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出時に、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第1吹出部31からの過熱水蒸気の供給を停止させる。
【0207】
本実施形態によれば、既に説明したように、リンス液の吐出時に水蒸気を供給することにより、薬液雰囲気を減少させることができる。更に、水蒸気により、リンス液を昇温させることができる。
【0208】
なお、SC1の吐出時にダウンフローの風速を弱めた場合、制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出時に、送風機構3を制御して、ダウンフローの風速を元に戻す。
【0209】
制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出を開始してから予め定められた時間が経過した後、リンス液供給部82を制御して、リンス液の吐出を停止させる。制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出を停止させた後、スピンモータ部5により基板Wの回転速度を制御して、基板Wの上面からリンス液を除去して基板Wの上面を乾燥させる乾燥処理を実行する(ステップS38)。この結果、図8に示す処理が終了する。
【0210】
具体的には、制御装置101(制御部102)は、スピンモータ部5を制御して、基板Wを高速回転させる。基板Wを高速回転させることにより、基板Wに付着しているリンス液が振り切られて基板Wが乾燥される。また、図15に示すように、乾燥処理の際に、制御装置101(制御部102)は、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第4吹出部34から水蒸気の吹き出しを停止させる。
【0211】
本実施形態によれば、乾燥処理の際に水蒸気及び過熱水蒸気がチャンバー201の下方空間2aに供給されないため、水蒸気又は過熱水蒸気が供給される場合と比べて、チャンバー201の湿度を低下させることができる。よって、基板Wを効率よく乾燥させることができる。
【0212】
更に、本実施形態によれば、リンス液の吐出時(ステップS37)に、水蒸気を供給して、リンス液を昇温させる。その結果、乾燥処理の際に、リンス液が蒸発し易くなり、基板Wを効率よく乾燥させることができる。
【0213】
続いて、図16を参照して、本実施形態のチャンバー洗浄方法を説明する。図16は、チャンバー201の内部を洗浄する際の基板処理部2を模式的に示す図である。
【0214】
本実施形態のチャンバー洗浄方法は、チャンバー201の内部を洗浄する工程を含む。図16に示すように、制御装置101(制御部102)は、図4及び図5を参照して説明した水蒸気供給部300を制御して、第4吹出部34からチャンバー201の下方空間2aに水蒸気の吹き出させるとともに、第3吹出部33から側壁203の内壁面に向けて過熱水蒸気を吹き出させる。
【0215】
本実施形態によれば、チャンバー201の内部を洗浄する際に、チャンバー201の下方空間2aに水蒸気が供給されるため、チャンバー201の下方空間2aに浮遊する薬液成分を効率よくチャンバー201の外部に排出させることができる。また、既に説明したように、チャンバー201の内部を洗浄する際に第3吹出部33からチャンバー201の内壁面に向けて過熱水蒸気が供給されるため、チャンバー201の内壁面が乾きやすくなる。したがって、チャンバー201の内部を効率よく乾燥させることができる。
【0216】
チャンバー201の内部を洗浄する際に第4吹出部34から供給する水蒸気の流量は、リンス処理(ステップS35及びステップS36)の際に第4吹出部34から供給する水蒸気の流量より大きくてもよい。水蒸気の流量を大きくすることにより、薬液成分をより効率よくチャンバー201の外部に排出させることができる。なお、制御装置101(制御部102)は、図4に示す第2流量制御バルブ343を制御することにより水蒸気の流量を調整する。
【0217】
続いて、図17を参照して、本実施形態の基板処理装置100の変形例を説明する。図17は、本実施形態の基板処理装置100の変形例に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。
【0218】
図17に示すように、基板処理装置100は、遮断部400を備えてもよい。遮断部400は、円盤状の遮断板401と、支持軸402と、支持アーム403と、昇降部404とを有してもよい。
【0219】
遮断板401は、整流板204とスピンチャック4との間に配置される。したがって、遮断板401は、スピンチャック4に保持された基板Wの上方に配置されて、スピンチャック4に保持された基板Wに対向する。遮断板401の直径は、基板Wの直径よりも大きい。
【0220】
遮断板401は、支持軸402により、水平な姿勢で支持される。支持軸402は、例えば、略鉛直方向に沿って延びてもよい。支持軸402は、支持アーム403に支持される。
【0221】
支持アーム403は、遮断板401の上方で水平に延びる。遮断部400の昇降部404は、支持アーム403を鉛直方向に移動させる。つまり、遮断部400の昇降部404は、支持アーム403を昇降させる。支持アーム403が昇降することにより、遮断板401が昇降する。遮断部400の昇降部404は、制御装置101(制御部102)によって制御される。昇降部404は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備えてもよい。具体的には、遮断部400の昇降部404は、遮断板401を第3上位置と第3下位置との間で昇降させる。
【0222】
遮断板401が第3下位置に配置されると、スピンチャック4に保持されている基板Wと遮断板401との間の隙間が、スピンチャック4に保持されている基板Wと遮断板401との間に第1ノズル6及び第2ノズル7が進入できない大きさになる。制御装置101(制御部102)は、例えば、基板Wの乾燥処理時(図8のステップS38)に、遮断板401を第3下位置に配置させてもよい。
【0223】
遮断板401が第3上位置に配置されると、スピンチャック4に保持されている基板Wと遮断板401との間の隙間が、スピンチャック4に保持されている基板Wと遮断板401との間に第1ノズル6及び第2ノズル7が進入できる大きさになる。制御装置101(制御部102)は、例えば、SPM処理(図8のステップS32)から、乾燥処理(図8のステップS38)の前のリンス処理(図8のステップS37)にわたって、遮断板401を第3上位置に配置させてもよい。
【0224】
なお、基板処理装置100が遮断部400を備える場合、第1吹出部31及び第4吹出部34の直径は、遮断板401の直径より大きいことが好ましい。
【0225】
以上、図面(図1図17)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0226】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0227】
例えば、図1図17を参照して説明した実施形態において、スピンチャック4は、複数のチャック部材42を基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックであったが、基板Wを保持する方式は、基板Wを水平に保持できる限り、特に限定されない。例えば、スピンチャック4は、バキューム式のチャックであってもよいし、ベルヌーイ式のチャックであってもよい。
【0228】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、過酸化水素水の吐出時に、制御装置101(制御部102)は、第1吹出部31から吹き出させる過熱水蒸気の流量を減少させたが、過酸化水素水の吐出時に、制御装置101(制御部102)は、第1吹出部31からの過熱水蒸気の吹き出しを停止させてもよい。
【0229】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、基板加熱部20はヒータにより基板Wを加熱したが、基板加熱部20が基板Wの加熱に用いる部材は、基板Wを加熱できる部材である限り、特に限定されない。例えば、基板加熱部20は、レーザ照射又は光照射により基板Wを加熱してもよい。
【0230】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、基板処理装置100に基板加熱部20が設けられたが、基板加熱部20は省略されてもよい。この場合、第2吹出部32から過熱水蒸気を吹き出させて事前加熱を行ってもよい。
【0231】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、リンス液の吐出時に水蒸気が供給されたが、リンス液の吐出時における水蒸気の供給は省略されてもよい。
【0232】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、第1吹出部31が円環状であったが、第1吹出部31の形状は特に限定されない。例えば、第1吹出部31は矩形の環状であってもよいし、蛇行する形状であってもよい。複数のノズルによって第1吹出部31が構成される場合も同様に、複数のノズルの配列の形状は特に限定されない。
【0233】
同様に、図1図17を参照して説明した実施形態では、第4吹出部34が円環状であったが、第4吹出部34の形状は特に限定されない。複数のノズルによって第4吹出部34が構成される場合も同様に、複数のノズルの配列の形状は特に限定されない。
【0234】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、パドル処理が行われたが、パドル処理は省略されてもよい。
【0235】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、第2吹出部32は上側吹出部32aと下側吹出部32bとを含むが、第2吹出部32は、上側吹出部32aと下側吹出部32bとのうちの一方のみを含んでもよい。
【0236】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、基板処理装置100が第4吹出部34を備えたが、第4吹出部34は省略されてもよい。この場合、過熱水蒸気生成ヒータ303を制御して、第1吹出部31から過熱水蒸気と水蒸気とを排他的に供給してもよい。
【0237】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、第1吹出部31が整流板204の下方に配置されたが、第1吹出部31は、整流板204の上方に配置されてもよい。すなわち、第1吹出部31は、上方空間2bに配置されてもよい。この場合、第1吹出部31は、整流板204の貫通孔204aを介して下方空間2aに過熱水蒸気を吹き出すことが可能な位置に配置される。第3吹出部33及び第4吹出部34も同様に、整流板204の上方に配置され得る。
【0238】
また、図1図17を参照して説明した実施形態では、チャンバー201の内部を洗浄する際に水蒸気が供給されたが、チャンバー201の内部を洗浄する際に過熱水蒸気が供給されてもよい。過熱水蒸気によってチャンバー201の内部に配置されている部材を昇温させることで、チャンバー201の内部に配置されている部材を洗浄し易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0239】
本発明は、基板を処理する装置に有用であり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0240】
2 :基板処理部
3 :送風機構
4 :スピンチャック
5 :スピンモータ部
6 :第1ノズル
7 :第2ノズル
8 :第3ノズル
9 :液受け部
31 :第1吹出部
32 :第2吹出部
32a :上側吹出部
32b :下側吹出部
33 :第3吹出部
34 :第4吹出部
62 :第1薬液供給部
72 :第2薬液供給部
82 :リンス液供給部
100 :基板処理装置
101 :制御装置
102 :制御部
103 :記憶部
201 :チャンバー
203 :側壁
300 :水蒸気供給部
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17