特開 2024-64805 吐出容器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024064805

(43)【公開日】2024-05-14

(54)【発明の名称】吐出容器

(51)【国際特許分類】

   B65D 55/08 20060101AFI20240507BHJP

   B65D 1/02 20060101ALI20240507BHJP

   B65D 23/08 20060101ALI20240507BHJP

【ＦＩ】

B65D55/08 110

B65D1/02 111

B65D23/08 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022173681

(22)【出願日】2022-10-28

(71)【出願人】

【識別番号】000006909

【氏名又は名称】株式会社吉野工業所

(74)【代理人】

【識別番号】100147485

【弁理士】

【氏名又は名称】杉村 憲司

(74)【代理人】

【識別番号】230118913

【弁護士】

【氏名又は名称】杉村 光嗣

(74)【代理人】

【識別番号】100154003

【弁理士】

【氏名又は名称】片岡 憲一郎

(72)【発明者】

【氏名】坂本 智

(72)【発明者】

【氏名】當麻 徹

【テーマコード（参考）】

3E033

3E062

3E084

【Ｆターム（参考）】

3E033AA02

3E033BA15

3E033BA16

3E033BA18

3E033BB08

3E033CA20

3E033DA03

3E033DE05

3E033FA03

3E033GA02

3E062AA09

3E062AB01

3E062AC08

3E062JA03

3E062JA08

3E062JB05

3E062JC02

3E084AA04

3E084AA12

3E084AA24

3E084AA37

3E084AB01

3E084BA03

3E084CA01

3E084CB02

3E084DA01

3E084DB12

3E084FA03

3E084FB01

3E084FD09

3E084GA01

3E084GB01

3E084GB06

3E084KA01

3E084KA14

3E084LD01

(57)【要約】

【課題】吐出具の回転による誤開封を抑制し易い吐出容器を提供する。
【解決手段】吐出容器１は、口部２ａを有する容器本体２と、口部２ａの外周面に螺合した状態から螺脱可能な螺合部４と口部２ａの外周面に少なくとも周方向の一方側である螺脱側への回転を規制されるように係合する係合部５とを内周面に有する外周壁３ａを有する吐出具３と、少なくとも外周壁３ａに全周に亘って装着されるシュリンクフィルム６とを有する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

口部を有する容器本体と、
前記口部の外周面に螺合した状態から螺脱可能な螺合部と前記口部の前記外周面に少なくとも周方向の一方側である螺脱側への回転を規制されるように係合する係合部とを内周面に有する外周壁を有する吐出具と、
少なくとも前記外周壁に全周に亘って装着されるシュリンクフィルムとを有する、吐出容器。

【請求項2】

前記係合部が、前記螺合部よりも、前記口部の軸方向の一方側としての前記口部から前記容器本体の内部に向かう側に設けられ、
前記外周壁の外面が、前記螺合部と前記係合部の間で周方向に延びる周方向溝と、前記周方向溝と前記外周壁における前記軸方向の前記一方側の端部との間で前記軸方向に延びる軸方向溝とを有し、
前記シュリンクフィルムが、少なくとも前記係合部を前記軸方向に跨ぐ範囲に亘って装着される、請求項１に記載の吐出容器。

【請求項3】

前記シュリンクフィルムが、前記外周壁の端部から、前記口部の軸方向における前記容器本体の側に向けて縮径する、請求項１に記載の吐出容器。

【請求項4】

前記容器本体が、外層体と、内層体と、前記外層体と前記内層体の間に外気を導入する外気導入口とを有する、請求項１に記載の吐出容器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は吐出容器に関する。

【背景技術】

【0002】

口部を有する容器本体と、口部の外周面に螺合した状態から螺脱可能な吐出具とを有する吐出容器が知られている（例えば特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２２－１１０１４２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記のような吐出容器は、外気との接触による内容物の酸化の抑制や、内容物への異物混入の抑制などの観点から、吐出具の回転による誤開封を抑制できることが望ましい。

【0005】

そこで本発明の目的は、吐出具の回転による誤開封を抑制し易い吐出容器を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一態様は以下のとおりである。

【0007】

［１］
口部を有する容器本体と、
前記口部の外周面に螺合した状態から螺脱可能な螺合部と前記口部の前記外周面に少なくとも周方向の一方側である螺脱側への回転を規制されるように係合する係合部とを内周面に有する外周壁を有する吐出具と、
少なくとも前記外周壁に全周に亘って装着されるシュリンクフィルムとを有する、吐出容器。

【0008】

［２］
前記係合部が、前記螺合部よりも、前記口部の軸方向の一方側としての前記口部から前記容器本体の内部に向かう側に設けられ、
前記外周壁の外面が、前記螺合部と前記係合部の間で周方向に延びる周方向溝と、前記周方向溝と前記外周壁における前記軸方向の前記一方側の端部との間で前記軸方向に延びる軸方向溝とを有し、
前記シュリンクフィルムが、少なくとも前記係合部を前記軸方向に跨ぐ範囲に亘って装着される、［１］に記載の吐出容器。

【0009】

［３］
前記シュリンクフィルムが、前記外周壁の端部から、前記口部の軸方向における前記容器本体の側に向けて縮径する、［１］又は［２］に記載の吐出容器。

【0010】

［４］
前記容器本体が、外層体と、内層体と、前記外層体と前記内層体の間に外気を導入する外気導入口とを有する、［１］～［３］の何れか１つに記載の吐出容器。

【発明の効果】

【0011】

本発明によれば、吐出具の回転による誤開封を抑制し易い吐出容器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明の一実施形態の吐出容器を示す外観図である。

【図2】図１のＡ－Ａ断面図である。

【図3】図１に示す吐出容器のシュリンクフィルムの装着要領を説明するための一部断面外観図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。

【0014】

図１～図３に示すように、本発明の一実施形態において吐出容器１は、口部２ａ、胴部２ｂ及び底部を有する容器本体２と、口部２ａの外周面に螺合した状態から螺脱可能な螺合部４と口部２ａの外周面に少なくとも周方向の一方側である螺脱側への回転を規制されるように係合する係合部５とを内周面に有する外周壁３ａを有する吐出具３と、少なくとも外周壁３ａに全周に亘って装着されるシュリンクフィルム６とを有する。

【0015】

なお本実施形態において、口部２ａの中心軸線Ｏに沿う方向を軸方向といい、軸方向の一方側としての口部２ａから容器本体２の内部に向かう側を下方といい、その反対側を上方といい、中心軸線Ｏに直交する方向を径方向といい、中心軸線Ｏを周回する方向を周方向という。

【0016】

係合部５は、口部２ａの外周面に周方向の両側への回転を規制されるように係合する。しかし、係合部５の構成はこれに限らず、口部２ａの外周面に周方向の螺脱側への回転を規制され、その反対側への回転を許容されるように係合する構成としてもよい。

【0017】

係合部５は凹部と凸部が全周に亘って交互に連なる形状をなし、口部２ａの外周面は係合部５の凹部に嵌る複数の凸部を周方向の全周に亘らない範囲に有する。しかし、係合部５と口部２ａの外周面との構成はこれに限らず、例えば、口部２ａの外周面は凹部と凸部が全周に亘って交互に連なる形状をなし、係合部５は口部２ａの外周面の凹部に嵌る複数の凸部を周方向の全周に亘らない範囲に有する構成としてもよい。

【0018】

上述した構成の吐出容器１によれば、例えば図３に示すように、シュリンクフィルム６を熱収縮により容器本体２の底部から吐出具３の上端部までの範囲に亘って装着する際に、シュリンクフィルム６の収縮力によって係合部５を径方向の外側から締め付け、口部２ａの外周面に強固に係合させることができる。また、このように装着されたシュリンクフィルム６の一部を、吐出容器１の使用開始時に、図１に示すように、少なくとも外周壁３ａに全周に亘って装着される部分は残しつつ、容器本体２に収容された内容物を吐出具３を通して吐出するのに必要な範囲で除去することができる。なお、このよう除去を容易にするための目印としての標識や、破断予定部としてのミシン目などを設けてもよい。

【0019】

このようなシュリンクフィルム６の除去操作によれば、残されたシュリンクフィルム６によって吐出具３の回転による誤開封を抑制できる。すなわち、開封を意図せずに吐出具３を容器本体２に対して周方向の螺脱側に捻じる力を加えた場合でも、外周壁３ａが径方向の外側に弾性変形することがシュリンクフィルム６によって規制されるので、外周壁３ａの係合部５と口部２ａの外周面との係合が外れることが規制される。したがって、外気との接触による容器本体２の内部の内容物の酸化を抑制し、内容物の品質の良好な維持を実現し易くできる。また、誤開封による容器本体２の内部の内容物への異物混入も抑制し易くできる。なお、シュリンクフィルム６を最初から上記のような除去を必要としない範囲に装着するようにしてもよい。

【0020】

内容物を使い切り、吐出容器１を廃棄する際は、例えば軸方向に延びるミシン目を破断させて、シュリンクフィルム６を除去することで、シュリンクフィルム６による係合部５への締め付け力がなくなって、係合部５が径方向の外側に容易に弾性変形できるようになるので、螺合部４を介した螺脱によって吐出具３を容器本体２から容易に除去し、分別廃棄等を行うことができる。

【0021】

吐出具３の回転による誤開封を抑制し易くする観点から、シュリンクフィルム６は、図１に示すように、少なくとも係合部５を軸方向に跨ぐ範囲に亘って装着される。このような構成によれば、係合部５での外周壁３ａの径方向の外側への弾性変形をシュリンクフィルム６の加熱による収縮力によって効率的に規制できるので、吐出具３が口部２ａに対して螺脱側に回転することをより強く規制することができる。しかし、シュリンクフィルム６の構成はこれに限らない。

【0022】

係合部５は、螺合部４よりも下方に設けられ、外周壁３ａの外面は、螺合部４と係合部５の間で周方向に延びる周方向溝７と、周方向溝７と外周壁３ａの下端部との間で軸方向に延びる軸方向溝８とを有する。このような構成によれば、廃棄時の螺脱による吐出具３の除去を容易化できる。すなわち、シュリンクフィルム６がない時の係合部５での外周壁３ａの径方向の外側への弾性変形を周方向溝７と軸方向溝８によって生じ易くすることができる。

【0023】

周方向溝７は全周に亘って設けられ、軸方向溝８は周方向溝７から外周壁３ａの下端部までに亘って設けられる。しかし、周方向溝７と軸方向溝８の構成はこれに限らない。

【0024】

吐出具３の回転による誤開封を抑制し易くする観点から、シュリンクフィルム６は、外周壁３ａにおける下端部から軸方向における容器本体２の側（下方）に向けて縮径する。このような構成によれば、係合部５での外周壁３ａの径方向の外側への弾性変形をシュリンクフィルム６によってより強く規制できるので、吐出具３が口部２ａに対して螺脱側に回転することをより強く規制することができる。しかし、シュリンクフィルム６の構成はこれに限らない。

【0025】

容器本体２は、外層体９と、内層体１０と、内層体１０に収容された内容物の吐出に伴う内層体１０の収縮によって外層体９と内層体１０の間に外気を導入する外気導入口１１とを有する。このような構成によれば、吐出に伴って内容物の代わりに容器本体２の内部に導入される外気への容器本体２の内部の内容物の接触を抑制できるので、内容物の酸化を抑制することができる。しかし、容器本体２はこのような二重容器に限らない。

【0026】

外気導入口１１は口部２ａに設けられるが、これに限らず、例えば胴部２ｂ又は底部に設けてもよい。外層体９と内層体１０はそれぞれポリエチレンテレフタレート樹脂製であり、二重構造をなすように組み付けた有底筒状のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで形成される。しかし外層体９と内層体１０はポリエチレンテレフタレートに限らず、例えば、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステルや、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンや、その他の樹脂によって形成してもよい。二重容器としての容器本体２の製法は二軸延伸ブロー成形に限らず、例えば押し出しブロー成形を用いてもよい。

【0027】

螺合部４は、外周壁３ａの内周面に周方向に並べて設けられ、それぞれ軸方向に延びる複数のリブに、打栓による吐出具３の取り付け後に、口部２ａの外周面に設けられるネジ山が押し付けられることでネジ山形状が転写されることによって形成される。しかし、吐出具３の構成はこれに限らない。

【0028】

吐出具３は、容器本体２に対する押圧操作によって内容物を吐出する吐出キャップとして構成される。しかし、吐出具３の構成はこれに限らず、例えば、押し下げヘッド式又はトリガー式のポンプ装置として構成してもよい。

【0029】

本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。

【0030】

したがって、前述した実施形態の吐出容器１は、口部２ａを有する容器本体２と、口部２ａの外周面に螺合した状態から螺脱可能な螺合部４と口部２ａの外周面に少なくとも周方向の一方側である螺脱側への回転を規制されるように係合する係合部５とを内周面に有する外周壁３ａを有する吐出具３と、少なくとも外周壁３ａに全周に亘って装着されるシュリンクフィルム６とを有する限り変更可能である。

【符号の説明】

【0031】

１ 吐出容器
２ 容器本体
２ａ 口部
２ｂ 胴部
３ 吐出具
３ａ 外周壁
４ 螺合部
５ 係合部
６ シュリンクフィルム
７ 周方向溝
８ 軸方向溝
９ 外層体
１０ 内層体
１１ 外気導入口
Ｏ 中心軸線

【図1】

【図2】

【図3】