(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064808
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】対象物移動装置およびウインドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
E05F 11/48 20060101AFI20240507BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E05F11/48 E
E05F11/48 D
B60J1/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173692
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛史
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127AA19
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF04
3D127DF10
3D127DF15
3D127DF26
3D127EE20
(57)【要約】
【課題】ケーブルの張力がガイドレールに作用した場合におけるガイドレールの傾倒を抑制することができ、容易に組立可能である対象物移動装置を提供すること。
【解決手段】対象物移動装置では、ガイドレール2は、窓ガラスWの移動方向に延伸し、長手方向における端部2bと、端部2bとは長手方向において反対側に位置する端部2aを有し、キャリアプレート3と摺動自在に係合する。ドラムハウジング13は、レール挿入部52と、傾倒防止部54と、を有する。レール挿入部52は、ガイドレール2の端部2bが挿入される。傾倒防止部54は、レール挿入部52から端部2aに向かって延伸し、ガイドレール2の傾倒を防止する。傾倒防止部54は、レール挿入部52の深さ方向と直交する幅方向において、ケーブル6のうちガイドレール2の外側であってケーブルガイド4からドラム13の間に配置されたケーブル部分6a側とガイドレール2との間に配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動対象物が取り付けられる移動部材と、
前記移動対象物の移動方向に延伸し、長手方向における第1端部と、前記第1端部とは長手方向において反対側に位置する第2端部を有し、前記移動部材と摺動自在に係合するガイドレールと、
前記移動部材に接続されるケーブルと、
前記移動部材を前記ガイドレールに沿って移動させるように、前記ケーブルを巻き取りまたは繰り出すドラムと、
前記ドラムを収納するドラムハウジングと、
前記ケーブルの配索方向を変える方向転換部材と、を備え、
前記ドラムハウジングは、
前記ガイドレールの前記第1端部が挿入される挿入部と、
前記挿入部から前記第2端部に向かって延伸し、前記ガイドレールの傾倒を防止する傾倒防止部と、を有し、
前記傾倒防止部は、前記挿入部の深さ方向と直交する幅方向において、前記ケーブルのうち前記ガイドレールの外側であって前記方向転換部材から前記ドラムの間に配置されたケーブル部分側と前記ガイドレールとの間に配置されている、
対象物移動装置。
【請求項2】
前記移動部材の一部が前記傾倒防止部と対向する位置まで、前記移動部材は前記ガイドレールに沿って移動可能である、
請求項1に記載の対象物移動装置。
【請求項3】
前記ガイドレールは、
前記移動部材に対向する基体部と、
前記基体部において、前記傾倒防止部側とは反対側の端から、前記基体部に対して垂直に配置された第1立壁部と、
前記第1立壁部の前記基体部が位置する位置とは反対側の端から前記基体部に対して略平行に延びた延出部と、
前記基体部において、前記第1立壁部とは反対側の端から前記基体部に対して垂直に配置され、前記傾倒防止部と対向する第2立壁部と、を有し、
前記挿入部は、
前記基体部が挿入される第1挿入部と、
前記第1立壁部が挿入される第2挿入部と、
前記延出部が挿入される第3挿入部と、
前記第2立壁部が挿入される第4挿入部と、を有する、
請求項1または2に記載の対象物移動装置。
【請求項4】
前記傾倒防止部は、前記第4挿入部の前記ケーブル部分側の内壁部と繋がっている、
請求項3に記載の対象物移動装置。
【請求項5】
駆動部と、
窓ガラスを保持するキャリアプレートと、
前記キャリアプレートの移動方向に延伸し、長手方向における第1端部と、前記第1端部とは長手方向において反対側に位置する第2端部を有し、前記キャリアプレートと摺動自在に係合するガイドするガイドレールと、
前記キャリアプレートに接続されるケーブルと、
前記駆動部が駆動することで、前記キャリアプレートを前記ガイドレールに沿って移動させるように、前記ケーブルを巻き取りまたは繰り出すドラムと、
前記ドラムを収納するドラムハウジングと、
前記ケーブルの配索方向を変える方向転換部材と、を備え、
前記ドラムハウジングは、
前記ガイドレールの前記第1端部が挿入される挿入部と、
前記挿入部から前記第2端部に向かって延伸し、前記ガイドレールの傾倒を防止する傾倒防止部と、を有し、
前記傾倒防止部は、前記挿入部の前記延伸方向と直交する幅方向において、前記ケーブルのうち前記ガイドレールの外側であって前記方向転換部材から前記ドラムの間に配置されたケーブル部分側と前記ガイドレールとの間に配置されている、
ウインドレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物移動装置およびウインドレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の窓ガラスを昇降する装置としてウインドレギュレータが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に示すウインドレギュレータは、窓ガラスを保持するキャリアプレートと、キャリアプレートを案内するガイドレールと、キャリアプレートに一端が接続されたケーブルと、ケーブルの方向を変えるケーブルガイド等の方向転換部材と、ケーブルの他端が接続されたドラムと、ドラムを回転駆動する駆動モータと、を備える。駆動モータがドラムを回転駆動することによって、ケーブルを巻き取りまたは繰り出し、それにより、キャリアプレートを上昇または下降させることで窓ガラスを昇降させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャリアプレートが移動する際、または移動端で拘束状態となった際等、ケーブルの張力がガイドレールに作用したとき、ドラムハウジングとガイドレールとの間のガタによって、ガイドレールがドラムハウジングに対して傾倒する場合があった。また、組立時に、長尺部材であるガイドレールの端をドラムハウジングに挿入し難いという課題もあった。
【0005】
本発明は、ケーブルの張力がガイドレールに作用した場合におけるガイドレールの傾倒を抑制することができ、容易に組立可能な対象物移動装置およびウインドレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の対象物移動装置は、移動部材と、ガイドレールと、ケーブルと、ドラムと、ドラムハウジングと、方向転換部材と、を備える。移動部材は、移動対象物が取り付けられる。ガイドレールは、移動対象物の移動方向に延伸し、長手方向における第1端部と、第1端部とは長手方向において反対側に位置する第2端部を有し、移動部材と摺動自在に係合する。ケーブルは、移動部材に接続される。ドラムは、移動部材をガイドレールに沿って移動させるように、ケーブルを巻き取りまたは繰り出す。ドラムハウジングは、ドラムを収納する。方向転換部材は、ケーブルの配索方向を変える。ドラムハウジングは、挿入部と、傾倒防止部と、を有する。挿入部は、ガイドレールの第1端部が挿入される。傾倒防止部は、挿入部から第2端部に向かって延伸し、ガイドレールの傾倒を防止する。傾倒防止部は、挿入部の深さ方向と直交する幅方向において、ケーブルのうちガイドレールの外側であって方向転換部材からドラムの間に配置されたケーブル部分側とガイドレールとの間に配置されている。
【0007】
本発明のウインドレギュレータは、駆動部と、キャリアプレートと、ガイドレールと、ケーブルと、ドラムと、ドラムハウジングと、方向転換部材と、を備える。キャリアプレートは、窓ガラスを保持する。ガイドレールは、キャリアプレートの移動方向に延伸し、長手方向における第1端部と、第1端部とは長手方向において反対側に位置する第2端部を有し、キャリアプレートと摺動自在に係合するガイドする。ケーブルは、キャリアプレートが接続される。ドラムは、駆動部が駆動することで、キャリアプレートをガイドレールに沿って移動させるように、ケーブルを巻き取りまたは繰り出す。ドラムハウジングは、ドラムを収納する。方向転換部材は、ケーブルの配索方向を変える。ドラムハウジングは、挿入部と、傾倒防止部と、を有する。挿入部は、ガイドレールの第1端部が挿入される。傾倒防止部は、挿入部から第2端部に向かって延伸し、ガイドレールの傾倒を防止する。傾倒防止部は、挿入部の延伸方向と直交する幅方向において、ケーブルのうちガイドレールの外側であって方向転換部材からドラムの間に配置されたケーブル部分側と前記ガイドレールとの間に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャリアプレートが移動または移動端で拘束された際におけるガイドレールの傾倒を抑制でき、容易に組立可能な対象物移動装置およびウインドレギュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明にかかる実施形態のウインドレギュレータを車両に取り付けた状態で車外側から視た図である。
【
図2】本発明にかかる実施形態のウインドレギュレータを車両に取り付けた状態で車内側から視た図である。
【
図3】(a)、ガイドレールを示す斜視図、(b)
図3(a)のEE間の断面図である。
【
図4】
図2のキャリアプレート近傍の拡大図である。
【
図6】
図1の巻き取り・繰り出し機構部の近傍を示す拡大図である。
【
図7】
図6の巻き取り・繰り出し機構部からモータハウジングを取り除き、ドラムハウジングとガイドレールを示した図である。
【
図8】
図7のガイドレールとドラムハウジングの分解図である。
【
図9】(a)
図7のGG間の断面図、(b)
図9(a)からガイドレールを取り除いた図である。
【
図10】
図8のドラムハウジングの内側突出部および傾倒防止部の近傍を上方から視た斜視図である。
【
図11】
図2においてキャリアプレートが最も下方に位置する状態を示す図である。
【
図12】
図11のキャリアプレートとガイドレールとドラムハウジングを示すJJ間の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる対象物移動装置の一例としてウインドレギュレータについて図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、対象物移動装置およびウインドレギュレータは以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
(ウインドレギュレータ1の概要)
ウインドレギュレータ1は、車両用ドアのドアパネルに配設される。ウインドレギュレータ1は、車両の窓ガラスW(移動対象物の一例)を昇降移動する機構である。
図1は、ウインドレギュレータ1を車両に取り付けた状態において車外側から視た図である。
図2は、ウインドレギュレータ1を車両に取り付けた状態において車内側から視た図である。
図1および
図2では、上下方向がAで示されている。上下方向Aのうち、上方向が矢印A1で示され、下方向が矢印A2で示されている。また、前後方向Bのうち前方向が矢印B1で示され、前後方向Bのうち後方向が矢印B2で示されている。
【0012】
図1および
図2に示すように、ウインドレギュレータ1は、ガイドレール2と、キャリアプレート3(移動部材の一例)と、ケーブルガイド4(方向転換部材の一例)と、巻取り・繰り出し機構部5と、ケーブル6、7と、を備える。
【0013】
ガイドレール2は、窓ガラスW(点線で一部のみ示す)の昇降方向に沿って配置されている。ガイドレール2は、キャリアプレート3を窓ガラスWの昇降方向に案内する部材である。
【0014】
キャリアプレート3は、窓ガラスWの下端部を保持する。キャリアプレート3は、ガイドレール2に係合して、窓ガラスWの昇降方向に摺動案内される部材である。キャリアプレート3は、ガイドレール2に沿って昇降する。
【0015】
ケーブルガイド4は、ケーブル6の配索方向を転換する。ケーブルガイド4は、ガイドレール2の上端に取り付けられている。本実施形態においては、方向転換部材をケーブルガイド4としたが、プーリ等であってもよい。
【0016】
巻取り・繰り出し機構部5は、ケーブル6、7の巻き取りおよび繰り出しを行う。巻取り・繰り出し機構部5は、ガイドレール2の下端に配置されている。巻取り・繰り出し機構部5には、ドラム11が設けられており、ケーブル6、7の端が接続されている。
【0017】
ケーブル6は、キャリアプレート3を上昇させるための上昇用ケーブルである。ケーブル6の一端は、キャリアプレート3に連結されている。ケーブル6は、キャリアプレート3から上方に向かって延びて、ケーブルガイド4に巻き掛けられ、ケーブルガイド4から下方に向かって延びている。ケーブル6の他端は、ドラム11に連結されている。ケーブル6のうち、ドラム11からケーブルガイド4までの部分がケーブル部分6aとして示されている。ケーブル6のうち、ケーブルガイド4からキャリアプレート3までの部分がケーブル部分6bとして示されている。
【0018】
ケーブル7は、キャリアプレート3を下降させるための下降用ケーブルである。ケーブル7の一端はキャリアプレート3に連結されている。ケーブル7は、キャリアプレート3から下方に延びている。ケーブル7の他端は、ドラム11に連結されている。
【0019】
ケーブル6、7として、複数の金属素線または樹脂繊維素線を寄り合わせた公知のものを用いることができる。
【0020】
巻取り・繰り出し機構部5は、ドラム11と、モータ12(駆動部の一例)と、ドラムハウジング13と、モータハウジング14と、を有する。ドラム11には、ケーブル6、7の端が連結されている。ドラム11は、ケーブル6、7の巻き取りおよび繰り出しを行う。モータ12は、ドラム11を回転させる。モータ12は、正逆回転可能に構成され、ドラムを正逆回転する。これにより、ドラム11に連結されたケーブル6、7がドラム11に巻き取られ、またはドラム11から繰り出される。
図1および
図2に示すように、モータ12は、モータハウジング14と一体に設けられている。モータ12の出力軸(図示せず)は、モータハウジング14に配置された減速機構(図示せず)を介して、ドラム11に接続され、ドラム11を回転する。ドラムハウジング13は、ドラムを収納する。ドラムハウジング13とモータハウジング14は、ボルト等の締結部材によって締結されている。
【0021】
(ガイドレール2)
ガイドレール2は、キャリアプレート3を昇降可能に支持する。
図3(a)は、ガイドレール2を示す斜視図である。
図3(b)は、
図3(a)のEE間の断面図である。
図3(a)および
図3(b)には、上下方向Aおよび前後方向Bに対して垂直な車両の幅方向がCで示されている。車両幅方向Cのうち、ウインドレギュレータ1を車両に取り付けた状態における内方向が矢印C1で示され、外方向が矢印C2で示されている。
【0022】
図1および
図2に示すように、ガイドレール2は、概ね上下方向Aに延びているが、車両の取り付けられた状態において、ガイドレール2の延伸方向は、上下方向Aに対して傾斜している。ガイドレール2は、
図3(a)に示す上側の端部2a(第2端部の一例)が下側の端部2b(第1端部の一例)よりも後方向B2側に位置するように車両に取り付けられる。ガイドレール2の延伸方向がDで示され、延伸方向Dのうち延伸上方向が矢印D1で示され、延伸下方向が矢印D2で示されている。
【0023】
図3(a)および
図3(b)に示すように、ガイドレール2は、レール本体部20(基体部の一例)と、第1立壁部22と、延出部23と、第2立壁部21と、を有する。
【0024】
レール本体部20は、前後方向Bと平行に配置された板状の部分である。レール本体部20は、延伸方向Dに延びている。レール本体部20は、外方向C2に向かって膨らむように湾曲している。レール本体部20は、前後方向Bにおける前方向B1側の端20aと、後方向B2側の端20bと、を有する。レール本体部20の外方向C2側の表面が20cで示され、内方向C1側の表面が20dで示されている。
【0025】
第2立壁部21は、レール本体部20の前後方向B(幅方向の一例)における端20aに配置されている。第2立壁部21は、レール本体部20の端20aから外方向C2側に延びている。第2立壁部21は、レール本体部20に対して垂直に配置されている。
【0026】
第1立壁部22は、端20bに配置されている。第1立壁部22は、端20bから外方向C2側に延びている。第1立壁部22は、レール本体部20に対して垂直に配置されている。第1立壁部22は、第2立壁部21と、前後方向Bにおいて対向して配置されている。
【0027】
延出部23は、第1立壁部22から前後方向Bにおいてレール本体部20とは反対側に延びる。延出部23は、第1立壁部22の外方向C2側の端から前方向B1に向かって延びている。延出部23は、レール本体部20と平行に形成されている。
【0028】
第1立壁部22とレール本体部20と第2立壁部21によって凹部24が形成されている。凹部24には、後述するキャリアプレート3の嵌合部31が嵌まり込む。
【0029】
(キャリアプレート3)
図4は、
図2のキャリアプレート3近傍の拡大図である。
図5は、
図4のFF間の断面図である。
【0030】
キャリアプレート3は、窓ガラスWが取り付けられ、ガイドレール2に沿って移動する。キャリアプレート3は、
図5に示すように、嵌合部31と、側壁部32と、を有する。
【0031】
嵌合部31は、ガイドレール2のレール本体部20と第1立壁部22と第2立壁部21によって形成される凹部24に嵌る。側壁部32は、嵌合部31の前方向B1側に配置されている。側壁部32は、嵌合部31との間に、嵌合溝部33を形成する。嵌合溝部33には、ガイドレール2の第1立壁部22と延出部23が嵌合される。
【0032】
嵌合溝部33は、第1溝部331と第2溝部332と、を含む。第1溝部331は、車両幅方向Cに沿って形成されている。第1溝部331は、内方向C1に開口を有する。第1溝部331には、ガイドレール2の第1立壁部22が配置される。第2溝部332は、第1溝部331の外方向C2側の端から前方向B1に向かって形成されている。第2溝部332には、ガイドレール2の延出部23が配置される。
【0033】
なお、嵌合部31の内方向C1側にはレール本体部20が配置される。レール本体部20は、内方向C1側に露出している。嵌合部31の後方向B2側に、ガイドレール2の第2立壁部21が配置される。第2立壁部21は後方向B2側に露出している。
【0034】
(ドラムハウジング13)
図6は、
図1の巻き取り・繰り出し機構部5近傍を示す拡大図である。
図7は、
図6の巻き取り・繰り出し機構部5からモータハウジング14を取り除き、ドラムハウジング13とガイドレール2を示した図である。
図8は、ガイドレール2とドラムハウジング13の分解図である。
図9(a)は、
図7のGG間の断面図である。
図9(b)は、
図9(a)からガイドレールを取り除いた図である。
【0035】
図7および
図8に示すように、ドラムハウジング13は、ハウジング本体51と、レール挿入部52(
図8参照)と、内側突出部53と、傾倒防止部54と、を有する。
【0036】
ハウジング本体51は、
図7に示すように、円柱形状の空間であるドラム収納部511と、複数の締結部512と、上面部513と、を有する。ドラム収納部511には、ドラム11が収納される。複数の締結部512の各々には、貫通孔が形成されている。
図6に示すように、各々の締結部512に対応するモータハウジング14の位置にも貫通孔が形成された締結部141が設けられ、締結部512と締結部141にボルトが挿入されることによって、モータハウジング14とドラムハウジング13が組み合わされている。
図7に示すように、上面部513は、ドラム収納部511の上側に配置されている。
図8に示すように、上面部513からレール挿入部52が形成されている。
【0037】
レール挿入部52は、ガイドレール2の端部2bが挿入される挿入孔である。レール挿入部52は、
図8に示すように、ハウジング本体51の上面部513から延伸下方向D2に向かって形成されている。レール挿入部52の延伸下方向D2の端には、延伸方向Dに対して垂直に下端面525が配置されている。ドラムハウジング13をガイドレール2に取り付ける際には、
図8の矢印Kに示すように、ガイドレール2の端部2bは、レール挿入部52に挿入され、ドラムハウジング13に対して相対的に延伸下方向D2に移動される。
図7に示すように、ガイドレール2の端部2bが下端面525で規制されるまで、ガイドレール2はレール挿入部52に挿入される。
【0038】
レール挿入部52は、
図9(a)および
図9(b)に示すように、第1挿入部521、第2挿入部523、第3挿入部524および第4挿入部522と、を有する。第1挿入部521は、前後方向Bに沿って形成されている。第1挿入部521には、ガイドレール2のレール本体部20が挿入される。
【0039】
第2挿入部523は、第1挿入部521の前方向B1側の端から外方向C2に向かって形成されている。第2挿入部523には、ガイドレール2の第1立壁部22が挿入される。第3挿入部524は、第2挿入部523の外方向C2側の端から前方向B1に向かって形成されている。第3挿入部524には、ガイドレール2の延出部23が挿入される。第4挿入部522は、第1挿入部521の後方向B2側の端から外方向C2に向かって形成されている。第4挿入部522には、ガイドレール2の第2立壁部21が挿入される。
【0040】
内側突出部53は、
図8に示すように、上面部513から延伸上方向D1に延びている。内側突出部53は、レール挿入部52にガイドレール2を挿入する際に、ガイドレール2をレール挿入部52に案内する。内側突出部53は、上面部513においてレール挿入部52の内方向C1側の縁に配置されている。内側突出部53は、
図9(a)および
図9(b)に示すように前後方向Bに沿って配置されている。
【0041】
図10は、ドラムハウジング13の内側突出部53および傾倒防止部54近傍を上方から視た斜視図である。
図10に示すように、第1挿入部521の内方向C1側には、第1挿入部521を形成するハウジング本体51の内壁515が配置されている。内壁515は、内側突出部53と繋がっている。内側突出部53は、内壁515が延伸上方向D1に延びるように形成されている。内壁515と内側突出部53の第1挿入部521側の面を516とすると、面516には2つの突起517が設けられている。突起517は、
図9(a)に示すように、レール本体部20の内方向C1側への移動を規制する。
【0042】
傾倒防止部54は、
図8に示すように、上面部513から延伸上方向D1に延びている。傾倒防止部54は、ガイドレール2が傾倒(
図6の矢印H方向)することを防止する。傾倒防止部54は、ガイドレール2にドラムハウジング13が取り付けられた状態において、
図6および
図7に示すように、第2立壁部21に対向する。傾倒防止部54は、
図6に示すように、延伸下方向D2(挿入部の深さ方向の一例)と直交する幅方向において、ケーブル6のうちガイドレール2の外側であってケーブルガイド4からドラム11の間に配置されたケーブル部分6a側とガイドレール2の間に配置されている。この幅方向は、ガイドレール2およびレール挿入部52の幅方向を示し、延伸方向Dおよび車両幅方向Cの双方に垂直な方向である。
【0043】
傾倒防止部54は、レール挿入部52にガイドレール2を挿入する際に、ガイドレール2をレール挿入部52に案内する。
図10に示すように、傾倒防止部54は、上面部513においてレール挿入部52の後方向B2側の縁に配置されている。
図9(a)および
図9(b)に示すように、傾倒防止部54は、車両幅方向Cに沿って配置されている。傾倒防止部54の内方向C1側の端は、内側突出部53の後方向B2側の端に繋がっている。内側突出部53と傾倒防止部54は、延伸方向Dに沿って視た平面視において略L字形状に形成されている。
【0044】
図10に示すように、第4挿入部522の後方向B2側には、第4挿入部522を形成するハウジング本体51の内壁518が配置されている。内壁518は、傾倒防止部54と繋がっている。傾倒防止部54は、内壁518が延伸上方向D1に延びて形成されている。傾倒防止部54は、第2挿入部523を形成し、第2挿入部523の前方向B1側に配置されている内壁553よりも延伸上方向D1に延びている。内壁518と傾倒防止部54の第4挿入部522側の面を519とすると、面519には突起520が設けられている。
図10に示すように、突起520は、
図9(a)に示すように、第2立壁部21の後方向B2側への移動を規制する。なお、
図9(a)に示すように、第4挿入部522の前方向B1側には、第4挿入部522を形成するハウジング本体51の内壁551が配置されている。内壁551には、突起552が設けられており、突起552は、突起520と対向する。突起552は、第4挿入部522の前方向B1側への移動を規制する。
【0045】
(キャリアプレート3とドラムハウジング13の位置関係)
図11は、キャリアプレート3が最も下方に位置する状態を示す図である。
図11に示すように、キャリアプレート3の一部は、車両幅方向Cにおいてドラムハウジング13と重なっている。
図12は、
図11においてキャリアプレート3とガイドレール2とドラムハウジング13を示すJJ間の断面図である。
【0046】
図12に示すように、キャリアプレート3の嵌合溝部33を形成する側壁部32は、ガイドレール2の前方向B1側に配置されている。傾倒防止部54は、ガイドレール2の後方向B2側に配置されている。
図8に示すように、レール挿入部52を挟んで傾倒防止部54と反対側には、内側突出部53と上面部513で切り欠き状の空間Sが形成されている。
図11に示すように、キャリアプレート3が下方に位置するとき、側壁部32は、空間Sに入り込む。
【0047】
このため、キャリアプレート3は車両幅方向Cにおいて内側突出部53および傾倒防止部54と重なる位置まで下降することができる。
【0048】
(特徴等)
本実施形態のウインドレギュレータ1では、レール挿入部52から端部2aに向かって延伸し、ガイドレール2の傾倒を防止する傾倒防止部54を有し、傾倒防止部54は、延伸下方向D2(挿入部の深さ方向の一例)と直交する幅方向において、ケーブル6のうちガイドレール2の外側であってケーブルガイド4からドラム11の間に配置されたケーブル部分6a側とガイドレール2の間に配置されている。
【0049】
これによって、ケーブル6の張力によってガイドレール2がドラムハウジング13に対して傾くことを防止することができる。また、組み立て時にドラムハウジング13にガイドレール2を取り付ける際に、傾倒防止部54によってガイドレール2をドラムハウジング13のレール挿入部52に案内できるため、組立が行い易くなる。
【0050】
本実施形態のウインドレギュレータ1では、キャリアプレート3の一部が傾倒防止部54と対向する位置まで、キャリアプレート3はガイドレール2に沿って移動可能である。
【0051】
これによって、キャリアプレート3の可動範囲を狭くすることなく、傾倒防止部54を設けることができる。
【0052】
本実施形態のウインドレギュレータ1では、ガイドレール2をドラムハウジング13のレール挿入部52に挿入することによって、ガイドレール2をドラムハウジング13に容易に取り付けることができる。
【0053】
本実施形態のウインドレギュレータ1では、傾倒防止部54は、第4挿入部522のケーブル部分6a側の内壁518と繋がっている。
【0054】
これにより、ドラムハウジング13に挿入されたガイドレール2の傾倒を防止することができる。
【0055】
本実施形態のウインドレギュレータ1では、傾倒防止部54は、内壁518が延伸上方向D1に延びるように形成されている。このように、傾倒防止部54が、前後方向Bにおいてレール挿入部52を挟んだ反対側の第2挿入部523の内壁553よりもガイドレール2の長手方向に延びているため、レール挿入部52をガイドレール2に挿入し易く組立性を向上できる。
【0056】
(他の実施の形態)
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0057】
(A)
上記実施形態では、傾倒防止部54と内側突出部53が繋がっているが、繋がっていなくてもよい。また、内側突出部53が設けられていなくてもよく、少なくともケーブル部分6a側(
図6の矢印H方向)への傾倒を防止することができる。
【0058】
(B)
上記実施形態では、ガイドレール2において延出部23は、第1立壁部22からレール本体部20とは反対側に延びているが、レール本体部20側に延びてもよい。この場合、キャリアプレート3の第2溝部332も上記実施形態とは反対側に形成される。すなわち、第2溝部332は、第1溝部331の外方向C2側の端から後方向B2に向かって形成される。
【0059】
(C)
上記実施形態では、傾倒防止部54には突起520が設けられているが、突起520が設けられていなくてもよい。
【0060】
(D)
上記実施形態では、対象物移動装置の一例として、対象物として窓ガラスを移動させるウインドレギュレータ1を例に挙げて説明したが、これに限らなくてもよく、ドラムによってケーブルを巻き取り、送り出すことによって対象物を駆動する装置であれば、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の対象物移動装置は、容易に組立可能であり、組立時におけるガイドレールの傾倒を抑制することができる効果を有し、ウインドレギュレータ等に有用である。
【符号の説明】
【0062】
1:ウインドレギュレータ、2:ガイドレール、2a:端部、2b:端部、3:キャリアプレート、4:ケーブルガイド、5:繰り出し機構、6:ケーブル、6a:ケーブル部分、6b:ケーブル部分、7:ケーブル、11:ドラム、12:モータ、13:ドラムハウジング、14:モータハウジング、20:レール本体部、20a:端、20b:端、21:第2立壁部、22:第1立壁部、23:延出部、24:凹部、31:嵌合部、32:側壁部、33:嵌合溝部、51:ハウジング本体、52:レール挿入部、53:内側突出部、54:傾倒防止部、141:締結部、331:第1溝部、332:第2溝部、11:ドラム収納部、512:締結部、513:上面部515:内壁、516:面、517:突起、518:内壁、519:面、520:突起、521:第1挿入部、522:第4挿入部、523:第2挿入部、524:第3挿入部、551:内壁、552:突起