(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064810
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】金属ペーストの製造方法、及び接合用ペーストの製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 9/00 20060101AFI20240507BHJP
B22F 1/107 20220101ALI20240507BHJP
B22F 1/052 20220101ALI20240507BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20240507BHJP
B22F 1/054 20220101ALI20240507BHJP
B22F 1/0545 20220101ALI20240507BHJP
B22F 1/102 20220101ALI20240507BHJP
B22F 9/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B22F9/00 B
B22F1/107
B22F1/052
B22F1/14 500
B22F1/054
B22F1/0545
B22F1/102
B22F9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173694
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000162434
【氏名又は名称】協立化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】川名 泰仁
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA02
4K017AA08
4K017BA01
4K017BA02
4K017BA03
4K017BA04
4K017BA05
4K017BA06
4K017CA01
4K017CA07
4K017CA08
4K017DA07
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA09
4K018BA10
4K018BA13
4K018BA20
4K018BB03
4K018BB04
4K018BB05
4K018BC12
4K018BC29
4K018BD04
4K018JA36
(57)【要約】
【課題】接合強度がより向上する金属ペーストの製造方法、及び接合用ペーストの製造方法を提供する。
【解決手段】粒径が120nm~10,000nmの金属粉と、溶媒とを含有する金属ペーストの製造方法であって、前記金属粉と、粒径が0.1mm~10mmのビーズと、第1の溶媒と、を含む混合物を準備する工程と、前記混合物を、撹拌機により撹拌する工程と、前記ビーズを除去する工程と、を有する、金属ペーストの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が120nm~10,000nmの金属粉と、溶媒とを含有する金属ペーストの製造方法であって、
前記金属粉と、粒径が0.1mm~10mmのビーズと、第1の溶媒と、を含む混合物を準備する工程と、
前記混合物を、撹拌機により撹拌する工程と、
前記ビーズを除去する工程と、を有する、
金属ペーストの製造方法。
【請求項2】
前記撹拌機が、自転公転撹拌機、又は振動撹拌機である、請求項1に記載の金属ペーストの製造方法。
【請求項3】
前記ビーズの材質が、前記金属粉と同種の金属であるか、又はジルコニアである、請求項1に記載の金属ペーストの製造方法。
【請求項4】
前記第1の溶媒が、流動パラフィンを含む、請求項1に記載の金属ペーストの製造方法。
【請求項5】
前記第1の溶媒が、アルデヒド系溶媒、及び/又は、エステル系溶媒を含む、請求項1に記載の金属ペーストの製造方法。
【請求項6】
接合用ペーストの製造方法であって、
請求項1~5のいずれか一項に記載の金属ペーストの製造方法により製造された金属ペーストに、粒径が5~100nmの金属ナノ粒子を添加する工程と、
金属ナノ粒子添加後のペーストを、撹拌機により撹拌する工程と、を有する、
接合用ペーストの製造方法。
【請求項7】
前記金属ナノ粒子の添加が、当該金属ナノ粒子と第2の溶媒とを含有する金属ナノ粒子分散液の添加により実施される、請求項6に記載の接合用ペーストの製造方法。
【請求項8】
前記金属ナノ粒子が、脂肪族カルボン酸、及び/又は、脂肪族アルデヒドを含む被覆層により被覆されている、請求項6に記載の接合用ペーストの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ペーストの製造方法、及び接合用ペーストの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子と基板との接合剤として、金属粒子を含むペーストを用いることが検討されている。例えば当該金属ペーストを基板上に塗布して塗膜とし、当該塗膜上に半導体素子を配置した後に金属ペーストを焼結することで、基板と半導体素子を接合できる。焼結後の金属ペーストは、耐熱性、熱伝導性(放熱性)、導電性などに優れている等のメリットがある。
【0003】
特許文献1には、金属粉と、特定の被覆金属粒子と、特定の溶媒とを含有する接合用組成物が開示されている。
当該特許文献2では、溶媒に金属粉と、被覆金属粒子を順次配合して撹拌することで組成物を調製している。
【0004】
特許文献2には、導電性ペーストに用いる銅粉を高エネルギーボールミルにより塑性変形してフレーク状銅粉とする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-87766号公報
【特許文献2】特開2004-169155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
接合用ペーストは、接合強度の更なる向上が求められている。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、接合強度がより向上する金属ペーストの製造方法、及び接合用ペーストの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、下記[1]~[8]の構成を有する金属ペーストの製造方法、及び接合用ペーストの製造方法を提供する。
[1] 粒径が120nm~10,000nmの金属粉と、溶媒とを含有する金属ペーストの製造方法であって、
前記金属粉と、粒径が0.1mm~10mmのビーズと、第1の溶媒と、を含む混合物を準備する工程と、
前記混合物を、撹拌機により撹拌する工程と、
前記ビーズを除去する工程と、を有する、
金属ペーストの製造方法。
[2] 前記撹拌機が、自転公転撹拌機、又は振動撹拌機である、[1]の金属ペーストの製造方法。
[3] 前記ビーズの材質が、前記金属粉と同種の金属であるか、又はジルコニアである、[1]又は[2]の金属ペーストの製造方法。
[4] 前記第1の溶媒が、流動パラフィンを含む、[1]~[3]のいずれかの金属ペーストの製造方法。
[5] 前記第1の溶媒が、アルデヒド、及び/又は、ラクトンを含む、[1]~[4]のいずれかの金属ペーストの製造方法。
[6] 接合用ペーストの製造方法であって、
[1]~[5]のいずれかの金属ペーストの製造方法により製造された金属ペーストに、粒径が5~100nmの金属ナノ粒子を添加する工程と、
金属ナノ粒子添加後のペーストを、撹拌機により撹拌する工程と、を有する、
接合用ペーストの製造方法。
[7] 前記金属ナノ粒子の添加が、当該金属ナノ粒子と第2の溶媒とを含有する金属ナノ粒子分散液の添加により実施される、[6]に記載の接合用ペーストの製造方法。
[8] 前記金属ナノ粒子が、脂肪族カルボン酸、及び/又は、脂肪族アルデヒドを含む被覆層により被覆されている、[6]又は[7]の接合用ペーストの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接合強度がより向上する金属ペーストの製造方法、及び接合用ペーストの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
なお、本開示において「金属ペースト」とは、少なくとも粒径が120nm~10,000nm(10μm)の金属粉と、溶媒とを含有する金属粉の分散液であり、「接合用ペースト」の製造に好適に用いられる予備調製物(中間品)である。「金属ペースト」は金属ナノ粒子を含有してもよいが、金属ナノ粒子の割合は金属粉と金属ナノ粒子の合計質量に対して、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
本開示において「接合用ペースト」とは、少なくとも、粒径が120nm~10,000nmの金属粉と、粒径が5~100nmの金属ナノ粒子と、溶媒とを含有する金属粉及び金属ナノ粒子の分散液である。「接合用ペースト」は2つの被接合部材を接合する用途に好適に用いられるものであるが、例えば印刷により基板上に導電パターンを形成するために用いられる導電性組成物などとして用いてもよい。
本開示において数値範囲を示す「~」は、特に断りが無い限りその前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0010】
[金属ペーストの製造方法]
本開示の金属ペーストの製造方法は、粒径が120nm~10,000nm(10μm)の金属粉と、溶媒とを含有する金属ペーストの製造方法であって、
前記金属粉と、粒径が0.1mm~10mmのビーズと、第1の溶媒と、を含む混合物を準備する工程と、
前記混合物を、撹拌機により撹拌する工程と、
前記ビーズを除去する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
後述する接合用ペーストは、金属粉と金属ナノ粒子を含有し、塗膜を形成した際に、金属粉間の隙間に金属ナノ粒子が配置され、焼結時に溶融した金属ナノ粒子が金属粉同士の結着に寄与することで高い接合強度を得ることができる。
ところで、撹拌機を用いて粒径が120nm~10,000nmの金属粉を溶媒中で分散した場合、得られた金属ペーストの液面にざらつきが残る場合があった。当該ざらつきは金属粉の凝集体が残っていることに起因すると推察された。
本発明者は、粒径が0.1mm~10mmのビーズを添加して撹拌機で分散することで、液面のざらつきが抑えられ、光沢が出ることを見出した。この変化は金属粉の凝集体が減少するためと推定され、ビーズを添加して分散した金属ペーストは、例えばJIS K5600-2-5に記載の粒ゲージ法により測定される粒度の低下が確認された。
このように製造された金属ペーストを用いた接合用ペーストは、より均一性が向上し、金属粉間に金属ナノ粒子が配置されやすくなる。その結果、得られる焼結体(接合層)の接合強度がより向上し、焼結体内のクラックの発生も抑制される。
【0012】
<金属粉>
本実施形態において金属粉は、粒径が120nm~10,000nmのものであればよい。金属粉は、接合用ペーストに含まれ、加熱後に後述する金属ナノ粒子とともに接合層を形成する成分である。金属粉の材質は、得られる接合体の用途等に応じて適宜選択すればよい。材質の具体例として、金、銀、銅、白金、アルミニウム、鉄、クロム、スズ、ニッケル、亜鉛、鉛、インジウム、ビスマス、ゲルマニウム、アンチモン、コバルト、パラジウム、ロジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ヒ素、ホウ素、ケイ素、及び、これらの合金などが挙げられる。例えば接合層に導電性が求められる場合、接合強度及び導電性の点から、中でも、金、銀、又は銅が好ましく、銀、又は銅がより好ましい。金属粉は1種単独で用いても、2種以上を混合してもよい。
【0013】
金属粉の粒径は一次粒径であり、120nm~10,000nmのものであればよい。粒径が10μm以下の金属粉を用いることで、塗膜内で金属粉が密に充填され、得られる接合層のボイドが抑制される。金属粉の粒径は、中でも、0.3μm~10μmが好ましく、0.4μm~5μmがより好ましく、0.5μm~1.0μmが更に好ましい。また粒径の異なる2種以上の金属粉を組み合わせてもよい。
なお、金属粉は単分散に近いものが入手可能であり、金属粉のメディアン径D50は、120nm~10,000nmが好ましく、0.3μm~10μmが好ましく、0.4μm~5μmがより好ましく、0.5μm~1.0μmが更に好ましい。
【0014】
金属粉の形状は、球状、板状、棒状などが挙げられるが、球状が好ましい。球状の金属粉を用いることで、塗膜形成時に間隙が形成されにくく、接合強度がより向上する。なお本開示において球状とは、金属粉の長軸aと短軸bとの比(a/b)で表されるアスペクト比が1~2のものを表し、当該アスペクト比は1~1.5が好ましい。
金属粉の粒径及び形状は、電子顕微鏡により得られた像から測定できる。
また、メディアン径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置やレーザ回折式粒度分布測定装置等を用いて測定できる。
金属粉は、所望の材質、粒径を有する市販品を用いることができる。
【0015】
<ビーズ>
本実施形態においてビーズは0.1mm~10mmのものであればよい。ビーズは、金属ペースト及び接合用ペーストには残留しない成分である。ビーズの材質は特に限定されず、例えば、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、ケイ酸ジルコニウムなどのセラミックビーズ;石英などのガラスビーズ;ステンレス、銅、銀などの金属ビーズなどが挙げられる。ビーズの強度や耐摩耗性の点からは、ジルコニアビーズが好ましい。一方、ビーズの擦り減りなどによるわずかなコンタミを考慮すると、金属ビーズが好ましく、前記金属粉と同種(同一材質)の金属ビーズがより好ましい。なお、金属粉が合金又は2種以上の材質の金属粉の組み合わせである場合、金属ビーズは金属粉を構成する金属のうちの少なくとも1種と同一材質であればよい。例えば金属粉が銅と銀とを含む場合、ビーズは銅ビーズ及び/又は銀ビーズが好ましい。
【0016】
ビーズの粒径は一次粒径である。ビーズの粒径が0.1mm以上であるため、金属ペーストからの除去が容易である。金属粉の凝集体を減少させる点から、ビーズの粒径は10mm以下であればよく、0.15mm~8mmが好ましく、0.2mm~5mmがより好ましい。またビーズの形状は球状が好ましい。
【0017】
本製造方法においてビーズの配合割合は、金属粉の凝集体を減少させる点から、金属粉の質量100質量部に対して、10~200質量部が好ましく、20~150質量部がより好ましい。
本製造方法においてビーズの配合割合は、金属粉の凝集体を減少させる点から、金属粉とビーズとの体積比で、2:8~8:2が好ましく、3:7~7:3がより好ましい。
【0018】
<第1の溶媒>
第1の溶媒は、金属粉とビーズとを撹拌する際の分散媒として用いるものであり、本製造方法により得られる金属ペーストの溶媒と同一組成であってもよく、撹拌後に溶媒を添加することを考慮して、金属ペーストの溶媒の一部であってもよい。
【0019】
第1の溶媒は、金属粉の分散性や、接合用ペーストの塗膜の形成方法(印刷方法)などに応じて適宜選択できる。第1の溶媒は1種単独であっても2種以上を組み合わせた混合溶媒であってもよい。なお本開示において溶媒は、少なくとも常温(25℃)で液状のものをいう。
第1の溶媒は、例えば、アミン系溶媒、アルコール系溶媒、アミノアルコール系溶媒、カルボン酸系溶媒、アルデヒド系溶媒、テルピンアセテート系溶媒、アルカン系溶媒、カルビトール系溶媒、エステル系溶媒などが挙げられる。
【0020】
第1の溶媒は、金属粉の分散性、金属ナノ粒子の分散性や、金属ナノ粒子が有してもよい被覆層との相溶性などの点から、下記の溶媒を含むことが好ましい。
アミン系溶媒としては、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン等の脂肪族アミン系溶媒などが挙げられる。
アルコール系溶媒としては、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オレイルアルコール等の脂肪族アルコールや、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。
アミノアルコール系溶媒としては、エタノールアミン、プロパノールアミン、オクタノールアミン、デカノールアミン、ドデカノールアミン、オレイルアルコールアミン等の脂肪族アミノアルコール系溶媒などが挙げられる。
カルボン酸系溶媒としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸等の脂肪族カルボン酸系溶媒などが挙げられる。
アルデヒド系溶媒としては、オクタナール、デカナール、ドデカナール、トリデカナール等の脂肪族アルデヒド系溶媒などが挙げられる。
テルピンアセテート系溶媒としては、1,8-テルピン-1-アセテート、1,8-テルピン-8-アセテート、1,8-テルピン-1,8-ジアセテートなどが挙げられる。
アルカン系溶媒としては、オクタン、デカン、ドデカン、流動パラフィン等のアルカン系溶媒などが挙げられる。
カルビトール系溶媒としては、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール、デシルカルビトールなどが挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどの脂肪族エステル系溶媒や、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカノラクトン、δ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、δ-ウンデカラクトン、ω-ウンデカラクトン、ω-ペンタデカラクトンなどの環状エステル系溶媒が挙げられる。
【0021】
金属粉の分散性や、得られる接合用ペーストの接着強度の向上の点から、第1の溶媒は、流動パラフィンを含むことが好ましい。流動パラフィンは、炭素数の異なる脂肪族炭化水素の混合物であって、気化する温度に幅がある。そのため、流動パラフィンは焼成時に徐々に揮発して、塗膜内に滞留しにくく、溶媒の気化時に形成され得る粗大なボイドが抑制され、接合強度に優れた接合体が得られる。
流動パラフィンの市販品としては、例えば、カネダ株式会社製、ハイコールKシリーズの流動パラフィン、三光化学工業株式会社製、流動パラフィン(Sタイプ)などが挙げられる。
【0022】
また、第1の溶媒は、アルデヒド系溶媒、及び/又は、エステル系溶媒を含むことが好ましい。第1の溶媒として、アルデヒド系溶媒、又はエステル系溶媒を含むことで攪拌時の金属粉の表面酸化が抑制され接合強度がより向上する。
アルデヒド系溶媒としては、中でも上記脂肪族アルデヒド系溶媒が好ましい。またエステル系溶媒としては、中でも上記環状エステル系溶媒が好ましい。
【0023】
第1の溶媒として流動パラフィンを用いる場合、その割合は、第1の溶媒の全質量に対して、10~100質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、25~85質量%がさらに好ましい。
第1の溶媒として、アルデヒド系溶媒又はエステル系溶媒を用いる場合は、その合計の含有割合が、第1の溶媒の全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~10質量%が更に好ましい。
【0024】
金属粉と、ビーズと、第1の溶媒とを含む混合物において、第1の溶媒の割合は、金属粉と第1の溶媒の合計質量(ビーズを除く)に対し、1~40質量%とすることができ、5~20質量%が好ましい。
【0025】
上記混合物は、本発明の効果を奏する範囲で更に他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、酸化防止剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤等が挙げられる。
【0026】
<撹拌>
上記各成分を含む混合物を、撹拌機により撹拌する。ビーズを含む混合物を撹拌機で撹拌することで、金属粉の変形を抑えながら、金属粉の凝集体を減少できる。撹拌機は、金属粉の変形を抑えながら、金属粉の凝集体を減少できる点から、自転公転撹拌機(遊星式撹拌機)又は振動撹拌機が好ましい。
自転公転撹拌機の場合、装置条件は、例えば、公転速度500rpm以上で、公転速度V1と自転速度V2の比(V1/V2)を10/8~10/3とすることで、金属粉の変形を抑えながら、金属粉の凝集体を減少できる。
また振動撹拌機の場合、例えば、混合物を収容した容器を500~2000往復/minで振動させることで金属粉の変形を抑えながら金属粉の凝集体を減少できる。
【0027】
次いで撹拌後の混合物からビーズを除去する。ビーズの除去方法は特に限定されないが、例えば、金属粉とビーズの粒径の差を利用してメッシュフィルターなどを用いて濾別すればよい。
【0028】
金属ペーストの用途などに応じて、ビーズを除去した後の混合物に、各種成分を添加してもよい。当該成分としては、接合用ペーストに用いられ得る公知の成分が挙げられ、例えば、酸化防止剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、樹脂成分(バインダー樹脂など)、溶媒などが挙げられる。増粘剤や樹脂成分などはこのタイミングで添加することで分散工程の効率がよくなることがある。溶媒は、単独で、または他の添加成分を添加する際に、当該添加成分と混合して用いることができ、前記第1の溶媒と同様の溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
【0029】
以上により、金属粉の凝集体が減少した金属ペーストを得ることができる。本製造方法により得られる金属ペーストは、液面のざらつきが少なく、光沢が確認できる。また、本製造方法により得られる金属ペーストは、JIS K5600-2-5に記載の粒ゲージ法により測定した粒度を80μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下とすることがでる。
本製造方法により得られる金属ペーストは、特に金属ナノ粒子と組み合わせて用いる接合用ペーストの予備調製物として好適に用いることができる。
【0030】
[接合用ペーストの製造方法]
本開示の接合用ペーストの製造方法は、
上記の金属ペーストの製造方法により製造された金属ペーストに、粒径が5~100nmの金属ナノ粒子を添加する工程と、
金属ナノ粒子添加後のペーストを、撹拌機により撹拌する工程と、を有する事を特徴とする。
【0031】
<金属ナノ粒子>
本実施形態において金属ナノ粒子は、粒径が5nm~100nmの金属ナノ粒子のものであればよい。当該金属ナノ粒子を用いることで、接合用ペーストに低温焼結性を付与することができる。金属ナノ粒子の材質は、得られる接合体の用途等に応じて適宜選択すればよい。材質の具体例として、金、銀、銅、白金、アルミニウム、鉄、クロム、スズ、ニッケル、亜鉛、鉛、インジウム、ビスマス、ゲルマニウム、アンチモン、コバルト、パラジウム、ロジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ヒ素、ホウ素、ケイ素、及び、これらの合金などが挙げられる。例えば接合層に導電性が求められる場合、接合強度及び導電性の点から、中でも、金、銀、又は銅が好ましく、銀、又は銅がより好ましい。また金属ナノ粒子は前記金属粉と同種(同一材質)の金属ナノ粒子がより好ましい。なお、前記金属粉が合金又は2種以上の材質の金属粉の組み合わせである場合、金属ナノ粒子は金属粉を構成する金属のうちの少なくとも1種と同一材質であればよい。例えば金属粉が銅と銀とを含む場合、金属ナノ粒子は銅ナノ粒子及び/又は銀ナノ粒子が好ましい。金属ナノ粒子は1種単独で用いても、2種以上を混合してもよい。
【0032】
金属ナノ粒子の粒径は一次粒径であり、5nm~100nmのものであればよい。金属ナノ粒子の粒径は、低温焼結性や接合強度の点から、中でも、8nm~95nmが好ましく、10nm~90nmがより好ましい。また粒径の異なる2種以上の金属ナノ粒子を組み合わせてもよい。
なお、後述の方法によれば、金属ナノ粒子は単分散に近いものが製造可能であり、金属ナノ粒子の平均粒径は、5nm~100nmが好ましく、8nm~95nmがより好ましく、10nm~90nmが更に好ましい。
金属ナノ粒子の粒径、平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により得られた像から測定できる。
金属ナノ粒子の形状は、球状、板状、棒状などいずれの形状であってもよいが、球状が好ましい。
【0033】
金属ナノ粒子の表面は、被覆層により被覆されていてもよい。被覆層を有することで、金属ナノ粒子の表面の酸化が抑制され、接合強度や導電性に優れた接合層が得られる。なお、金属ナノ粒子の粒径には被覆層は含めないものとする。
【0034】
被覆層を構成する被覆化合物としては、100~300℃の加熱により分解又は揮発しやすいものを選択して用いることが好ましい。当該被覆化合物は、加熱時の脱離性の点から物理吸着又はイオン吸着していることが好ましく、極性基を有する有機化合物が好ましい。極性基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、アルデヒド基、アミド基等が挙げられる。また金属ナノ粒子の分散性などの点から直鎖の炭化水素基を有することが好ましい。更に起因族ナノ粒子の表面酸化の抑制、金属ナノ粒子の凝集の抑制などの点から、脂肪族アミン、脂肪族アルコール、アミノアルコール、脂肪酸(脂肪族カルボン酸)、脂肪族アルデヒド、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミノアルキルエステルが好ましく、中でも、脂肪族カルボン酸、又は、脂肪族アルデヒドがより好ましい。被覆化合物は1種類を単独で又は2種類以上を組合せて用いることができる。
【0035】
上記被覆化合物の具体例としては、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン等の脂肪族アミン;
ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オレイルアルコール等の脂肪族アルコール;
エタノールアミン、プロパノールアミン、オクタノールアミン、デカノールアミン、ドデカノールアミン、オレイルアルコールアミン等のアミノアルコール;
酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸;
ブタナール、ヘキサナール、オクチナール、ノナナール、デカナール、ウンデシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、ヘキサデセニルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;
カプロン酸エタノールアミド、カプリル酸プロパノールアミド、ラウリン酸エタノールアミド、トリデシル酸プロパノールアミド、パルミチン酸プロパノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド;
カプロン酸アミノエチルエステル、カプリル酸アミノプロピルエステル、ラウリン酸アミノエチルエステル、ラウリン酸アミノプロピルエステル、パルミチン酸アミノプロピルエステル等の脂肪酸アミノアルキルエステルなどが挙げられる。
【0036】
上記被覆化合物を構成する直鎖の炭化水素基の炭素数は、酸化抑制や溶媒への分散性の点から、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が更に好ましい。また、加熱時の脱離性の点から、当該脂肪族基の炭素数は24以下が好ましく、16以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
【0037】
被覆化合物は、金属ナノ粒子の表面酸化抑制や加熱時の脱離性の点から、金属粒子側に極性基が配置された単分子膜を形成していることが好ましい。また、被覆化合物が単分子膜を形成している場合において、金属ナノ粒子表面の被覆密度は、2.5~5.2分子/nm2であることが好ましい。
【0038】
更に、後述の方法により金属ナノ粒子の粒径の分布を抑え、比較的粒径が均一な金属ナノ粒子を得やすい点から、被覆化合物は脂肪族カルボン酸又は脂肪族アルデヒドが好ましい。また金属粉が酸化皮膜を有する場合、脂肪族カルボン酸又は脂肪族アルデヒドが、焼結時において当該酸化皮膜を除去する効果も有し、接合強度及び導電性の向上に寄与する。
【0039】
金属ナノ粒子は、実質的に金属からなる粒子であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、金属酸化物、金属水酸化物など不可避的に含まれる他の元素を含有してもよい。他の元素の含有割合は、接合強度の点から、金属ナノ粒子全量に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
【0040】
脂肪族カルボン酸又は脂肪族アルデヒドが被覆した被覆金属ナノ粒子は、例えば、特開2015-227476号公報、特開2017-179403号公報などを参考に製造できる。当該公報の方法によれば平均粒径が10~80nmで、粒径分布が平均粒径±10nm程度の球状の金属ナノ粒子の表面に、脂肪酸又は脂肪族アルデヒドが配置され、単分子膜の被覆層が形成される。当該被覆層の被覆密度は2.5~5.2分子/nm2となり、表面酸化の抑制及び分散性に優れた金属ナノ粒子が得られる。なお、被覆密度は、特開2017-179403号公報の方法を用いて算出できる。
また、金属ナノ粒子に所望の被覆化合物が被覆した市販品を用いてもよい。
【0041】
金属粉(B)に対する金属ナノ粒子(A)の割合は、質量比(A/B)で、0.1~1.5が好ましく、0.2~1.2であることがより好ましい。A/Bを上記範囲とすることで、焼結体に粗大な孔の発生することを抑制し、接合強度に優れた接合体を得ることができる。
【0042】
接合用ペーストに金属ナノ粒子を添加する方法は特に限定されないが、分散性の点から、金属ナノ粒子分散液の形態で添加することが好ましい。金属ナノ粒子分散液は少なくとも、上記金属ナノ粒子と第2の溶媒とを含有するものである。
【0043】
<第2の溶媒>
第2の溶媒は、金属ナノ粒子の分散性や、接合用ペーストの塗膜の形成方法(印刷方法)などに応じて適宜選択できる。第2の溶媒の具体例としては、前記第1の溶媒と同様のものが挙げられ、金属ナノ粒子の分散性及び分散安定性の点から、中でもアルコール系溶媒を含むことが好ましい。
金属ナノ粒子分散液中の第2の溶媒の割合は、金属ナノ粒子分散液の全質量に対し、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0044】
また、金属ナノ粒子分散液は、本発明の効果を奏する範囲で更に他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、酸化防止剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤等が挙げられる。
【0045】
前記金属ペーストに、前記金属ナノ粒子添加した後、得られたペーストを、撹拌機により撹拌する。撹拌機は、公知のものの中から適宜選択することができ、自転公転撹拌機、振動撹拌機などが挙げられる。
【0046】
得られる接合用ペースト中の溶媒の割合は、被接合部材への塗工方法などに応じて適宜調整すればよい。例えば、溶媒を含む接合用ペーストの全質量中、溶媒は1~40質量%とすることができ、5~20質量%が好ましい。
また、本接合用ペースト中の、金属ナノ粒子と金属粉の合計の含有割合は、本接合用ペーストの全質量中、60~99質量%とすることができ、80~95質量%が好ましい。
【0047】
本製造方法により得られる接合用ペーストは、例えば、2つの被接合部材を接合する用途に好適に用いることができる。具体的には、例えば、第1の被接合部材の接合面に、本接合用ペーストの塗膜を形成し、当該塗膜上に前記第2被接合部材を配置し、前記塗膜を焼結することで、2つの被接合部材を接合することができる。本製造方法により得られる接合用ペーストによれば接合強度の優れた焼結体を有する接合体が得られる。
【実施例0048】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
(製造例1:被覆銅ナノ粒子分散液の製造)
特開2015-227476号公報を参考に、銅ナノ粒子の表面にラウリン酸が被覆した被覆銅ナノ粒子を製造した。
当該被覆銅ナノ粒子を2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(溶媒、KHネオケム株式会社製、キョーワノールM)中に分散させて分散液とした(被覆銅ナノ粒子90質量%、溶媒10質量%)。
【0050】
[比較例1]
第1の溶媒として、流動パラフィン40-S(三光化学社製)1質量部、流動パラフィン100-S(三光化学社製)5質量部、キョーワノールMの0.98質量部、1-デカナールの0.6質量部、γ-デカノラクトンの0.05質量部を配合し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して混合溶媒を調製した。
金属粉として、D50が0.8μmの銅紛(三井金属社製、1050Y)の40質量部と、D50が0.3μmの銅紛(三井金属社製、1020Y)の20質量部との混合物を準備した。
前記第1の溶媒に、前記金属粉を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで60秒間撹拌して停止し、これを6回繰り返し、金属ペーストを得た。
上記金属ペーストに、前記被覆銅ナノ粒子分散液の40質量部を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して停止し、これを3回繰り返した後、25μmメッシュでろ過を行い、接合用ペーストを得た。
【0051】
[実施例1]
前記比較例1と同様の第1の溶媒と金属粉を準備した。ビーズとして、3mmの銅ビーズを準備した。
前記第1の溶媒に、前記金属粉と、当該金属粉と同体積の銅ビーズを添加して混合物とした。当該混合物を振動撹拌機により10分間撹拌して停止し、これを3回繰り返した後、25μmメッシュでろ過して銅ビーズを濾別し、金属ペーストを得た。
上記金属ペーストに、前記被覆銅ナノ粒子分散液の40質量部を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して停止し、これを3回繰り返した後、25μmメッシュでろ過を行い、接合用ペーストを得た。
【0052】
[実施例2]
前記比較例1と同様の第1の溶媒と金属粉を準備した。前記実施例1と同様の銅ビーズを準備した。
前記第1の溶媒に、前記金属粉と、当該金属粉と同体積の銅ビーズを添加して混合物とした。当該混合物を自転公転撹拌機により公転速度1000rpmで60秒間撹拌して停止し、これを4回繰り返し、金属ペーストを得た。
上記金属ペーストに、前記被覆銅ナノ粒子分散液の40質量部を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して停止し、これを3回繰り返した後、25μmメッシュでろ過を行い、接合用ペーストを得た。
【0053】
[実施例3]
前記比較例1と同様の第1の溶媒と金属粉を準備した。ビーズとして、3mmのジルコニアビーズを準備した。
実施例2において銅ビーズをジルコニアビーズに変更した以外は、実施例2と同様にして、金属ペースト及び接合用ペーストを得た。
【0054】
[比較例2]
第1の溶媒として、流動パラフィン40-S(三光化学社製)1.2質量部、流動パラフィン100-S(三光化学社製)5質量部、キョーワノールMの0.26質量部、1-デカナールの0.6質量部、γ-デカノラクトンの0.05質量部を配合し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して混合溶媒を調製した。
金属粉として、D50が0.8μmの銅紛(三井金属社製、1050Y)の45質量部を準備した。
前記第1の溶媒に、前記金属粉を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して停止し、これを3回繰り返し、金属ペーストを得た。
上記金属ペーストに、前記被覆銅ナノ粒子分散液の61.1質量部を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して停止し、これを4回繰り返した後、15μmメッシュでろ過を行い、接合用ペーストを得た。
【0055】
[実施例4]
前記比較例2と同様の第1の溶媒及び金属粉を準備した。ビーズとして、3mmの銅ビーズを準備した。
前記第1の溶媒に、前記金属粉を添加し、当該金属粉と同質量の銅ビーズを添加して混合物とした。当該混合物を自転公転撹拌機により公転速度1000rpmで180秒間撹拌して停止し、これを2回繰り返した後、15μmメッシュでろ過して銅ビーズを濾別し、金属ペーストを得た。
上記金属ペーストに、前記被覆銅ナノ粒子分散液の61.1質量部を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して停止し、これを4回繰り返した後、15μmメッシュでろ過を行い、接合用ペーストを得た。
【0056】
[実施例5]
前記比較例2と同様の第1の溶媒及び金属粉を準備した。ビーズとして、3mmの銅ビーズを準備した。
前記第1の溶媒に、前記金属粉を添加し、当該金属粉の半分の質量の銅ビーズを添加して混合物とした。当該混合物を自転公転撹拌機により公転速度1000rpmで180秒間撹拌して停止し、これを2回繰り返した後、15μmメッシュでろ過して銅ビーズを濾別し、金属ペーストを得た。
上記金属ペーストに、前記被覆銅ナノ粒子分散液の61.1質量部を添加し、自転公転撹拌機により公転速度2000rpmで30秒間撹拌して停止し、これを4回繰り返した後、15μmメッシュでろ過を行い、接合用ペーストを得た。
【0057】
[評価]
<金属ペースト>
上記実施例及び比較例で得られた金属ペーストについて、液面を目視で観察した。結果を表1に示す。
(液面評価基準)
〇:液面のざらつきが観察されず、光沢が観察された。
×:液面のざらつきが観察された。
【0058】
<粒度>
上記実施例及び比較例で得られた金属ペーストについて、JIS K5600-2-5に記載の粒ゲージ法により粒度を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
<接合強度>
上記実施例および比較例で得られた接合用ペーストを用いて、以下の方法で接合体を製造した。
5mm角のシリコン基板上に接合用ペーストを塗布し塗膜を形成した。次いで、当該塗膜上に、3mm角のシリコンチップを配置し、焼成前の膜厚が約50μmとなるように加圧して、積層体とした。
当該積層体を、窒素置換した雰囲気下で、5L/minの窒素フローを続けながら、昇温レート3℃/分で350℃まで昇温し、60分間焼成し接合体を得た。
【0060】
得られた接合体について、それぞれボンドテスター(Condor Sigma:オランダXYZTEC社製)を用いてダイシェアテストを行い、シェア強度[kgf]を求めた。結果を表1に示す。
【0061】
【0062】
[結果のまとめ]
各成分の比率を同様に調整した比較例1と実施例1~3との対比、及び比較例2と実施例4~5との対比により示される通り、ビーズを添加して金属粉の撹拌することで、粒度を小さくすることができ、接合強度が向上することが示された。
このように、本実施形態の金属ペーストの製造方法によれば、金属粉の凝集体が減少して粒度が低下した金属ペーストを製造することができることが示された。また、当該金属ペーストを用いて得られた接合用ペーストから形成された接合強度に優れていることが示された。