(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064811
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】チラーシステム及びチラーシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 39/04 20060101AFI20240507BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240507BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
F25B39/04 N
F25B1/00 381G
F28F9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173696
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】馬越 清輝
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065FA19
(57)【要約】
【課題】各チラーユニットへの散水を効率化するとともに、散水の要否に対応して開閉が切替わる開閉弁の劣化を抑制するチラーシステム及びチラーシステムの制御方法を提供する。
【解決手段】チラーシステムは、一方向に間隔を空けて並設される複数のチラーユニット10と、各チラーユニット10に対応して設けられ、該チラーユニット10に対して散水する散水装置30と、チラーユニット10の負荷に基づいて、該散水装置30の運転及び停止を制御する制御部100とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に間隔を空けて並設される複数のチラーユニットと、
各前記チラーユニットに対応して設けられ、該チラーユニットに対して散水する散水装置と、
前記チラーユニットの負荷に基づいて、該散水装置の運転及び停止を制御する制御部と
を備えるチラーシステム。
【請求項2】
前記制御部は、各前記散水装置の運転又は停止の状態が、隣接する前記散水装置と互いに異なるように各前記散水装置の運転又は停止を制御する請求項1に記載のチラーシステム。
【請求項3】
前記制御部は、各散水装置の運転又は停止の状態を所定の時間毎に切替えるよう制御する請求項1に記載のチラーシステム。
【請求項4】
前記散水装置は、外部の給水源から供給する散水用の水の供給を切替える開閉弁を備え、
前記制御部は、前記開閉弁の開閉状態を切替える開閉弁切替部を備え、
前記開閉弁切替部は、前記散水装置の運転又は停止に対応して前記開閉弁の開閉状態を切替える請求項1に記載のチラーシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記負荷が予め設定された所定の値以上である場合に、全ての前記散水装置の運転を開始するよう制御する請求項1に記載のチラーシステム。
【請求項6】
前記制御部は、各前記散水装置の運転時間を計時する計時部を備え、
前記制御部は、全ての前記チラーユニットの運転を開始した後、前記負荷が所定の値以下である場合に、前記計時部によって計時された前記運転時間に基づいて、各前記散水装置の運転又は停止を制御する請求項5に記載のチラーシステム。
【請求項7】
一方向に間隔を空けて並設される複数のチラーユニットと、
各前記チラーユニットに対応して設けられ、該チラーユニットに対して散水する散水装置と
を備えるチラーシステムにおいて、
前記散水装置によって該チラーユニットに対して散水する工程と、
前記チラーユニットの負荷に基づいて、該散水装置の運転及び停止を制御する工程と
を有するチラーシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チラーシステム及びチラーシステムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のチラーユニットが並列されたチラー群において、各チラーユニットに対する散水量の制御は、チラーユニット毎にチラーユニット単体の運転状況に基づいて制御されていた。
【0003】
特許文献1には、冷凍機(チラーユニット)の冷凍能力が不足していないかを判定し、冷凍機の冷凍能力が不足していると判定された場合に、散水機が熱交換器(凝縮器)に対して散水を行うことが開示されている。冷凍機の冷凍能力の判定方法については、例として、(1)ショーケースの電磁開閉弁の運転率を用いる方法、(2)ショーケースの電磁開閉弁のオン・オフ周期を用いる方法、(3)吹出空気温度の平均的降下速度を用いる方法等が開示されている。また、冷凍機の冷凍能力が不足している場合においても、外気温度が低い場合等、散水の効果が得られない場合には散水を行わないように制御することが開示されている。
【0004】
また、冷凍機の運転状況に基づいて、凝縮器への散水量を制御する技術が提案されている。例えば、特許文献2には、冷凍サイクルの冷却負荷が増加したと判定されたときに、例えば圧縮機の運転台数が増加したとき等に凝縮器への散水量を増加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-190188号公報
【特許文献2】特開2010-276269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、特許文献2に記載されているような圧縮機の運転台数に応じて散水量を適切化したとしても、散水による冷却が不要なチラーユニットにまで同時に散水を行ってしまい、水の消費効率を低下させていた。また、散水を行うための給水圧が低下してしまい、散水が必要なチラーユニットに対して十分な冷却が行えず、チラーユニットの性能低下を招いてしまう虞があった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、散水装置の電力消費及び散水に使用される水量を抑制し、チラーシステムの運転効率を改善するチラーシステム及びチラーシステムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様に係るチラーシステムは、一方向に間隔を空けて並設される複数のチラーユニットと、各前記チラーユニットに対応して設けられ、該チラーユニットに対して散水する散水装置と、前記チラーユニット散水装置の負荷に基づいて、該散水装置の運転及び停止を制御する制御部とを備える。
【0009】
本開示の第2態様に係るチラーシステムの制御方法は、一方向に間隔を空けて並設される複数のチラーユニットと、各前記チラーユニットに対応して設けられ、該チラーユニットに対して散水する散水装置とを備えるチラーシステムにおいて、前記散水装置によって該チラーユニットに対して散水する工程と、前記チラーユニットの負荷に基づいて、該散水装置の運転及び停止を制御する工程とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、散水装置の電力消費及び散水に使用される水量を抑制し、チラーシステムの運転効率を改善することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る互いに隣り合う複数のチラーユニットを示す断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るチラーシステムを示す平面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係るチラーシステムにおける冷媒回路の例示する図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るチラーシステムの上位制御部及びチラーユニット制御装置の関係を示した概念図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る上位制御部及びチラーユニット制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る上位制御部が備える機能の一例を示したブロック図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係るチラーシステムにおける、チラーユニットの負荷に対する各散水装置の制御の一例を示したタイミングチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態に係るチラーシステムにおける、各散水装置の運転制御の一例を示したフローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態に係るチラーシステムにおける、各散水装置の運転制御の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態に係るチラーシステム及びチラーシステムの制御方法について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係る互いに隣り合う複数のチラーユニット10(10-1~10-8)を示す断面図である。なお、チラーユニット10の各構成要素の符号については、チラーユニット10-1にのみ記載しているが、チラーユニット10-2~10-8についても同様の構成を備える。
チラーシステム1は、複数のチラーユニット10と、各チラーユニット10の側面11aに沿って設けられた散水装置30(30-1~30-8)と、を備えている。チラーユニット10は、大規模建築物や倉庫等の建物に設置される空気調和機の室外ユニットとして用いられる。チラーユニット10は、建物内に設置された室内ユニット(不図示)との間で、水等の冷媒を循環させる。チラーユニット10は、冷媒を冷却し、冷却された冷媒は、室内ユニットの熱交換器へ供給され、室内の空気と熱交換を行う。
【0014】
複数のチラーユニット10は、水平方向に間隔を空けて一列に並設されている。以下では、チラーユニット10が並設されている方向(
図1の紙面左右方向)を並設方向H1と称する。各チラーユニット10は、並設方向H1に直交する水平方向(
図1の紙面奥行方向及び
図2の紙面上下方向)を奥行方向H2として延びている。これら複数のチラーユニット10が並設されることによって、チラー群が構成されている。
【0015】
(チラーユニット)
チラーユニット10は、ケーシング11と、側部開口(不図示)と、上部開口(不図示)と、熱交換器52と、ファン53と、基部25と、を備えている。
【0016】
(基部)
基部25は、チラーユニット10が設置される建物の屋上や、建物の外部の地面等の設置面上に設けられている。基部25は、設置面から水平方向に対して垂直である上下方向の上方に向かって延びている。
基部25は、内部に圧縮機(不図示)やチラーユニット制御装置200(200-1~200-8)等を有している。チラーユニット制御装置200は、圧縮機の動作や、ファン53の回転、熱交換器52内部での冷媒の流通等を含めたチラーユニット10を制御する機能を有している。
【0017】
(ケーシング)
ケーシング11は、熱交換器52と、ファン53と、を内部に収容している。本実施形態では、ケーシング11が、基部25上に設けられている。さらに、ケーシング11は、上下方向に延びる筒状をなしている。複数台のチラーユニット10が隣り合う水平方向におけるケーシング11の幅寸法は、下端から上端に向かって漸次拡大している。
【0018】
すなわち、本実施形態で例示するケーシング11は、奥行方向H2及び並設方向H1から見た時に、下端から上端に向かって漸次拡大する台形状をなしている。
【0019】
これにより、並設方向H1に互いに隣り合うチラーユニット10において、一方のチラーユニット10のケーシング11と、他方のチラーユニット10のケーシング11との空間Sは、上下方向の下方から上方に向かって漸次狭くなっている。
【0020】
ケーシング11は、並設方向H1の両側側面11aに、側部開口(不図示)を有している。側部開口は、ケーシング11において並設方向H1を向く側面11aに該側面11aを貫通するように形成されている。即ち、側部開口を介して、ケーシング11の内外は、連通している。そして、並設方向H1に互いに隣り合うチラーユニット10のケーシング11に設けられた側部開口同士は互いに対向している。ケーシング11の下端は、基部25によって閉塞されている。ケーシング11は、上下方向の上方側の上端に、上部開口を有している。上部開口は、上下方向の上方に向かって開口している。
【0021】
(熱交換器)
熱交換器52は、ケーシング11内に設けられている。本実施形態の熱交換器52は、一つのケーシング11に対して二つずつ設けられている。さらに、本実施形態における熱交換器52は、一つのケーシング11内において、並設方向H1における両側側面11a付近に一つずつ設けられている。また、熱交換器52は、それぞれケーシング11の側面11aに沿って側部開口に対向するように設けられている。
【0022】
(ファン)
ファン53は、ケーシング11内に設けられている。本実施形態におけるファン53は、ケーシング11内で、上部開口付近に配置されている。ファン53は、
図1の奥行方向H2に、複数個が並べて設けられている。本実施形態においては、ケーシング11内にファン53は複数個設けられている。
【0023】
ファン53は、上下方向に延びる各チラーユニット10の中心軸周りに回転するいわゆる軸流ファンであり、中心軸を中心とした周方向に並んで配置された複数枚の羽根を備えている。ファン53は、モータ(不図示)により、中心軸周りに回転駆動される。ファン53は、中心軸周りに回転することによって、
図1に示すように、空気の流れFを生じさせる。より具体的には、ファン53は、中心軸周りに回転駆動することにより下方から上方へ向かう空気の流れFを生じさせる。言い換えれば、ファン53は、側部開口からケーシング11内に空気を導入し、熱交換器52を介して上部開口から導入した空気を排出する。
【0024】
(散水装置)
図2は、本開示の一実施形態に係るチラーシステム1を示す平面図である。
散水装置30は、散水管33と、複数のノズル34と、開閉弁35(35-1~35-8)とを有している。また、各散水装置30には給水管31の一端が接続され、給水管31を介して給水タンク(給水源)37から冷却水を供給する。また、散水管33は、第一分岐管33aと第二分岐管33bに分岐する形状を有している。また、第一分岐管33aと第二分岐管33bには複数のノズル34が設けられている。散水装置30は、各チラーユニット10を冷却するために、隣り合うチラーユニット10同士の間の空間S及びチラーユニット10の側面11aに冷却水を供給する。
【0025】
(給水管)
給水管31は、金属製の管であり、複数の散水管33に接続されている。また、給水管31は、第一分岐管33a内及び第二分岐管33b内へ冷却水を供給するために散水管33へ冷却水を供給する管である。給水管31は、チラー群とは別途存在しているポンプ等を有する給水タンク37に一端が接続されており、給水管31の内部には接続された一端を介して、所定の圧力で給水タンク37から冷却水が供給される。
【0026】
(散水管)
散水管33は、第一分岐管33aと、第二分岐管33bと、複数のノズル34と、を有している。
【0027】
本実施形態では、1台のチラーユニット10に対して、第一分岐管33a及び第二分岐管33bが設けられている。
第一分岐管33aは、金属製の管であり、チラーユニット10のケーシング11の一方側の側面11aに沿って、
図2における奥行方向H2左側の端部から奥行方向H2右側の端部まで延びるように設けられている。
第二分岐管33bは、金属製の管であり、チラーユニット10のケーシング11の他方側の側面11aに沿って、
図2における奥行方向H2左側の端部から奥行方向H2右側の端部まで延びるように設けられている。
【0028】
なお、第一分岐管33aの奥行方向H2の奥側を向く端部は、内部を流通する冷却水が漏出しないように閉塞されている。第二分岐管33bも同様である。
【0029】
散水管33は、第一分岐管33a及び第二分岐管33b内に冷却水を供給するために給水管31に接続されている。また、散水管33には、冷却水の供給を切替える後述の開閉弁35が設けられている。
また、第一分岐管33a及び第二分岐管33bには、所定の間隔を空けて複数のノズル34が上下方向の下方側に向かって散水可能に設けられている。
【0030】
これにより、第一分岐管33aの内部を冷却水が流通可能となり、第一分岐管33aは、ノズル34を用いて並設方向H1の一方側の端部に配置されたチラーユニット10の一方側の側面11a及び該側面11a付近の空間に冷却水を散布できる。
【0031】
また、第一分岐管33aと同様に第二分岐管33bは、ノズル34を用いて並設方向H1の他方側の端部に配置されたチラーユニット10の他方側の側面11a及び該側面11a付近の空間に冷却水を散布できる。
【0032】
(ノズル)
ノズル34は、ノズル34の散水位置からある程度の厚みをもたせて扇形状に広がって冷却水を散布する金属製のいわゆる扇形ノズルである。ノズル34の噴出口(不図示)は、並設方向H1から見た際に奥行方向H2の散水範囲である扇形の中心角が80°~100°、好ましくは90°となるよう噴出口近辺の部材が切り欠き溝状に形成されている。
【0033】
ノズル34は、第一分岐管33a及び第二分岐管33bの所定の位置に間隔を空けて複数(本実施形態では、第一分岐管33a及び第二分岐管33bのそれぞれに8個)設けられている。なお、各ノズル34の配置については、散水装置30の利用環境に対応して適宜変更されてもよい。
並設方向H1の一方側の端部のチラーユニット10の第一分岐管33aに設けられたノズル34は、各チラーユニット10の一方側の側面11a及び該側面11a付近の空間に対して冷却水を散布する。また、並設方向H1の他方側の端部のチラーユニット10の第二分岐管33bに設けられたノズル34は、チラーユニット10の他方側の側面11a及び該側面11a付近の空間に対して冷却水を散布する。
【0034】
第一分岐管33a又は第二分岐管33bに設けられたノズル34は、並設方向H1で互いに対向するチラーユニット10の側面同士の間に区画される空間S、及び互いに対向するチラーユニット10の両側面11aに対して冷却水を散布する。
【0035】
第一分岐管33a又は第二分岐管33bに設けられたノズル34により、散水が行われるチラーユニット10に隣接する他のチラーユニット10周辺における散水されていない領域に対しても散水することができる。
【0036】
(開閉弁)
開閉弁35は、各散水装置30に設けられ、給水タンク37から散水装置30への給水有無を切替えるための弁である。開閉弁35は、後述の上位制御部(制御部)100によって各散水装置30の運転又は停止が切り替えられることに対応して、開閉状態が切り替わるように制御される。
【0037】
(水圧検知部)
水圧検知部32は、給水管31に設けられ、給水タンク37から各散水装置30に搬送される水の給水圧力を計測する。また、水圧検知部32は、後述の上位制御部100と通信媒体を介して接続されており、双方向の通信が可能な構成とされている。なお、水圧検知部32は、給水タンク37から散水装置30まで冷却水を搬送する搬送経路の上流側に設けられることが好ましい。
【0038】
(温度計測部)
温度計測部36は、チラーユニット群が設置されている環境下の外気温を計測する。温度計測部36としては、例えば熱電対などが用いられる。温度計測部36は、後述の上位制御部100と通信媒体を介して接続されており、双方向の通信が可能な構成とされている。
【0039】
(チラーユニットの冷媒回路)
図3は、本開示の実施形態に係るチラーユニット10の概略構成を示す冷媒回路の例図である。
このチラーユニット10は、2つの冷凍サイクル系統、すなわち、第1冷凍サイクル系統R1,第2冷凍サイクル系統R2と、水系統部43とがチラーユニット10の筐体内部に収容された構成となっている。また、第1冷凍サイクル系統R1と第2冷凍サイクル系統R2は、水配管58において直列に配置される。
【0040】
チラーユニット10が備える冷凍サイクル系統の数や、冷凍サイクル系統の水配管58に対する配置関係は、本実施形態で説明した例に限定されない。例えば、冷凍サイクル系統は単数でも複数でもよく、本実施形態では4つの冷凍サイクル系統を備える。また、複数の冷凍サイクル系統は、水配管58において並列に配置されてもよく、直列配置と並列配置が組み合わされてもよい。
【0041】
第1冷凍サイクル系統R1,第2冷凍サイクル系統R2は、それぞれ、圧縮機45と、オイルセパレータ46と、逆止弁47と、四方弁48と、水熱交換器59(第1水熱交換器59A,第2水熱交換器59B)と、レシーバ50と、電子膨張弁51と、熱交換器52と、気液分離器54とを備えている。熱交換器52にはファン53が設けられている。
【0042】
圧縮機45は、ガス冷媒を吸入し、吸入したガス冷媒を圧縮して吐出する。オイルセパレータ46は、圧縮機45から吐出された圧縮冷媒中のオイルを分離して圧縮機45に還流させる。逆止弁47は、圧縮冷媒の逆流を防止する。
【0043】
四方弁48は、圧縮機45から吐出された圧縮冷媒を水熱交換器59に送る暖房運転モードと、熱交換器52に送る冷房運転モードとの2つのポジションが選択される弁である。
【0044】
水熱交換器59は、暖房運転モードにおいて圧縮冷媒を凝縮させて凝縮器として機能し、冷房運転モードにおいて凝縮冷媒を気化させる蒸発器として機能する熱交換器である。そして、その凝縮熱又は気化熱により、水系統部43を流れる水を加熱又は冷却して暖房用の温水、給湯用の温水若しくは熱水、又は冷房用の冷水を生成する。
【0045】
第1冷凍サイクル系統R1は、第1水熱交換器59Aを有し、第2冷凍サイクル系統R2は、第2水熱交換器59Bを有する。
【0046】
レシーバ50は、凝縮した液冷媒を所定量貯留するタンクである。電子膨張弁51は、凝縮冷媒の圧力を低下させて気化を促進させる。熱交換器52は、ファン53によって外気が供給される。熱交換器52は、暖房運転モードにおいて凝縮冷媒を気化させる蒸発器として機能し、冷房運転モードにおいて圧縮冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する熱交換器である。気液分離器54は、圧縮機45に吸入される前の冷媒を気液分離してガス冷媒のみを圧縮機45に吸入させる。
【0047】
水系統部43は、水入口部55と、水ポンプ56と、水出口部57と、水配管58とを具備して構成されている。水入口部55から延びる水配管58には、水ポンプ56が設置される。
【0048】
さらに、チラーユニット10は、冷媒温度検知部61と、冷媒圧力検知部62とを備えている。
【0049】
冷媒温度検知部61は、第1冷凍サイクル系統R1,第2冷凍サイクル系統R2において、第1水熱交換器59A,第2水熱交換器59Bの接続口よりも上流側及び/又は下流側に設置され、第1冷凍サイクル系統R1,第2冷凍サイクル系統R2を流れる冷媒の温度を検知する。
【0050】
冷媒圧力検知部62は、第1冷凍サイクル系統R1,第2冷凍サイクル系統R2において、圧縮機45の吸い込み側及び吐き出し側にそれぞれ設置され、第1冷凍サイクル系統R1,第2冷凍サイクル系統R2を流れる冷媒の圧力を検知する。
【0051】
(上位制御部及びチラーユニット制御装置)
図4は、本開示の一実施形態に係るチラーシステム1の上位制御部100及びチラーユニット制御装置200(200-1~200-8)の関係を示した概念図である。
図4に示すように、上位制御部(制御部)100は、各チラーユニット10の制御装置であるチラーユニット制御装置200と通信媒体を介して接続されており、双方向の通信が可能な構成とされている。上位制御部100は、例えば、チラーシステム1全体を制御する制御部であり、後述するように各チラーユニット10の運転状況に基づいて運転する散水装置30を決定する機能を有する他、散水が行われるチラーユニット10の台数制御等を行う。チラーユニット制御装置200は、各チラーユニット10に備えられており、上位制御部100から与えられる制御指令に基づいて、各チラーユニット10の制御を行う。
【0052】
図5は、本開示の一実施形態に係る上位制御部100及びチラーユニット制御装置200のハードウェア構成の一例を示した図である。
上位制御部100、各チラーユニット10が備えるチラーユニット制御装置200は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU81と、CPU81が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)82と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)83と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)84と、ネットワーク等に接続するための通信部85とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)等の他の記憶装置を用いることとしてもよい。これら各部は、バス88を介して接続されている。
【0053】
また、上位制御部100、各チラーユニット10が備えるチラーユニット制御装置200は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
【0054】
図6は、上位制御部100が備える各種制御機能のうち、チラーユニット10への散水制御に関係する機能の一例を示した機能ブロック図である。
図6に示されるように、上位制御部100は、情報取得部101、記憶部102、判断部103、開閉弁切替部104、計時部105を備えている。
【0055】
(情報取得部)
情報取得部101は、チラーユニット制御装置200から各チラーユニット10の負荷を取得する。チラーユニット10の負荷とは、例として、チラーユニット10内を循環する冷媒の圧力、チラーユニット10が設置される環境下の外気温度、チラーユニット10に対応する散水装置30の運転時間等である。また、情報取得部101は、水圧検知部32の検知量や温度計測部36の計測量を取得することとしてもよい。
【0056】
(記憶部)
記憶部102は、各チラーユニット10への散水を適切に行うためにチラーユニット10の負荷の基準値(後述の「上限値」及び「下限値」)を記憶している。負荷の基準値は、チラーユニット10の現在の負荷に対する散水装置30の運転台数又は運転条件が適切か否かを判断するために用いられる基準値である。基準値は、ユーザによって予め設定された所定値であってもよい。また、記憶部102は、各チラーユニット10及び散水装置30の過去の運転履歴を記憶しており、過去の運転履歴に基づいて基準値が設定されてもよい。
【0057】
(判断部)
判断部103は、情報取得部101によって取得された各チラーユニット10の負荷に基づいて、いずれの散水装置30を運転するべきかを判断する。具体例として、判断部103は、情報取得部101によって取得された各チラーユニット10の冷媒圧力のうち、最も高い冷媒圧力が検知されたチラーユニット10に対して散水を行う必要があると判断する。
【0058】
(開閉弁切替部)
開閉弁切替部104は、判断部103の判断結果に基づいて、各散水装置30の運転又は停止に対応して各開閉弁35の開閉状態を切替える。散水を行う散水装置30に対応する開閉弁35のみを開とすることにより、散水を行う散水装置30にのみ水が供給される。
【0059】
(計時部)
計時部105は、各チラーユニット10に対応する各散水装置30の運転時間を計時する。散水装置30の運転時間は、例として、継続運転時間や累積運転時間等である。また、判断部103は、計時部105によって計時された各散水装置30の運転時間に基づいて、各散水装置30の運転又は停止を判断しても良い。
【0060】
(各散水装置の運転制御に関するタイミングチャート)
図7は、本実施形態に係るチラーシステム1における、チラーユニット10の負荷に対する各散水装置の制御の一例を示したタイミングチャートである。
図7では、例として、散水装置30-1~30-5までの運転状態を示しているが、散水装置30の台数はこの例に限定されない。また、チラーユニット10の負荷は、チラーユニット10内を循環する冷媒の圧力の各検知量の最大値や外気温度を例としている。
【0061】
まず、各チラーユニット10が備える各冷媒圧力検知部62又は各冷媒温度検知部61によって検知される検知量が予め設定された上限値未満である場合、上位制御部100は、奇数No.のチラーユニット10-1,10-3,10-5に対応する散水装置30-1,30-3,30-5を運転するよう制御し、運転する散水装置30-1,30-3,30-5に対応する各開閉弁35-1,35-3,35-5を開状態に切替える(
図7のt1~t2)。
【0062】
次に、各チラーユニット10が備える各冷媒圧力検知部62又は各冷媒温度検知部61によって検知される検知量が予め設定された上限値以上であることが検知された場合、上位制御部100は、偶数No.のチラーユニット10に対応する散水装置30-2,30-4も運転するよう制御し、全ての散水装置30に対応する各開閉弁35を開状態に切替える。すなわち、上位制御部100は、全てのチラーユニット10へ散水による冷却を行うために、全ての散水装置30を運転するよう制御する(
図7のt2~t3)。
【0063】
全ての散水装置30を運転した後、各チラーユニット10が備える各冷媒圧力検知部62又は各冷媒温度検知部61によって検知される検知量が予め設定された下限値以下である場合、上位制御部100は、奇数No.のチラーユニット10-1,10-3,10-5に対応する散水装置30-1,30-3,30-5のみを停止し、散水装置30-1,30-3,30-5に対応する各開閉弁35-1,35-3,35-5を閉状態に切替える。そして、偶数No.のチラーユニット10-2,10-4に対応する散水装置30-2,30-4の運転を継続する(
図7のt3~t4)。なお、上位制御部100は、奇数No.のチラーユニット10-1,10-3,10-5に対応する散水装置30-1,30-3,30-5と、偶数No.のチラーユニット10-2,10-4に対応する散水装置30-2,30-4の各散水装置30の運転時間を計時部105によって計時し、判断部103によって計時部105の計時結果に基づいて運転を停止する散水装置30を判断してもよい。
【0064】
次に、チラーユニット10の負荷が予め設定された上限値以上であることが再び検知された場合、上位制御部100は、奇数No.のチラーユニット10-1,10-3,10-5に対応する散水装置30-1,30-3,30-5も運転するよう制御し、運転する散水装置30に対応する各開閉弁35を開状態に切替える(
図7のt4~t5)。
【0065】
全ての散水装置30を運転した後、チラーユニット10の負荷が予め設定された下限値以下となった場合、上位制御部100は、偶数No.のチラーユニット10-2,10-4に対応する散水装置30-2,30-4を停止するよう制御し、運転する散水装置に対応する各開閉弁を閉状態に切替える(
図7のt4~t5)。
【0066】
以上のように、各散水装置30は、上位制御部100より運転終了の制御指令が与えられる時点(
図7のt6)まで、奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5と偶数No.の散水装置30-2,30-4の運転及び停止の順が交互に切替わるように上位制御部100によって制御される。また、チラーユニット10の負荷の検知量が予め設定された上限値以上とならない場合においても、特定の散水装置30に運転による負担が集中しないように、所定時間毎に運転する散水装置30を切替えることとしても良い。
【0067】
(各散水装置の運転制御に関するフローチャート)
図8及び
図9は、本実施形態に係るチラーシステム1における各散水装置30の運転制御の一例を示したフローチャートである。
以下の各散水装置30の運転制御処理は、例えば、チラーシステム1の起動時に合わせて開始される。
【0068】
まず、チラーシステム1が起動すると(S101)、奇数No.のチラーユニット10-1,10-3,10-5,10-7に対応する各散水装置30-1,30-3,30-5,30-7の運転を開始する(S102)。
【0069】
次に、チラーユニット10の負荷が予め設定された上限値以上であるか否かを判定する(S103)。そして、チラーユニット10の負荷が予め設定された上限値以上である場合には(S103:YES)、全ての散水装置30の運転を開始する(S106)。
【0070】
なお、チラーユニット10の負荷が予め設定された上限値以上でない場合には(S103:NO)、現在運転している散水装置30の運転開始時から所定時間を経過したか否かを判定する(S104)。所定時間を経過していないと判定された場合には(S104:NO)、既に運転している奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5,30-7の運転を継続し、その後S103に戻り、後続の処理を繰り返し行う。所定時間を経過したと判定された場合には(S104:YES)、奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5,30-7を停止し、偶数No.の散水装置30-2,30-4,30-6,30-8の運転を開始し(S105)、その後S103に戻り、後続の処理を繰り返し行う。
【0071】
次に、全ての散水装置30を運転し、チラーユニット10の負荷が予め設定された下限値以下であるか否かを判定する(S107)。チラーユニット10の負荷が予め設定された下限値以下でないと判定された場合には(S107:NO)、S107の処理を繰り返し行う。チラーユニット10の負荷が予め設定された下限値以下であると判定された場合には(S107:YES)、後続の処理を行う。
【0072】
全ての散水装置30を運転している状態でチラーユニット10の負荷が予め設定された下限値以下であると判定された場合には(S107:YES)、上位制御部100は、計時部105によって計時された奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5,30-7の運転時間と偶数No.の散水装置30-2,30-4,30-6,30-8の運転時間とを比較する(S108)。ここで、S108の判定処理に用いられる散水装置30の運転時間は、継続運転時間や累積運転時間等ユーザが適宜設定できるものある。
【0073】
S108の処理において、奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5,30-7の運転時間が偶数No.の散水装置30-2,30-4,30-6,30-8の運転時間よりも短い場合には(S108:YES)、奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5,30-7の運転を継続するとともに偶数No.の散水装置30-2,30-4の運転を停止し(S109a)、後続の処理を行う。また、奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5,30-7の運転時間が偶数No.の散水装置30-2,30-4,30-6,30-8の運転時間よりも長い場合には(S108:NO)、偶数No.の散水装置30-2,30-4,30-6,30-8の運転を継続するとともに奇数No.の散水装置30-1,30-3,30-5,30-7の運転を停止し(S109b)、後続の処理を行う。
【0074】
次に、チラーシステム1の運転を継続するか否かを判定する(S110)。チラーシステム1の運転を継続すると判定された場合には(S110:YES)、S103に戻り、後続の処理を繰り返し行う。チラーシステム1の運転を継続すると判定された場合には(S110:NO)、チラーシステム1を停止する(S111)。
【0075】
図8及び
図9に示した各散水装置の運転制御の手順は一例であり、例えば、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0076】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した各処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0077】
本開示の第1態様に係るチラーシステムは(1)、一方向に間隔を空けて並設される複数のチラーユニット(10)と、各前記チラーユニットに対応して設けられ、該チラーユニットに対して散水する散水装置(30)と、前記チラーユニットの負荷に基づいて、該散水装置の運転及び停止を制御する制御部(100)とを備える。
【0078】
本開示に係るチラーシステムによれば、制御部は、各チラーユニットの負荷に基づいて、該散水装置の運転及び停止を制御する。ここで、チラーユニットの負荷としては、例えば、チラーユニットの冷媒圧力又は外気温が用いられる。また、制御部は、例えば、チラーユニットの負荷が予め設定された所定の値よりも低い場合に所定の散水装置のみを運転し、その他の散水装置を停止するよう制御する。これにより、チラーユニットの負荷が所定の値よりも低い場合には、チラーユニットの性能を維持するための十分な冷却が行われるとともに、運転する散水装置の台数を制限することできる。したがって、散水装置の電力消費及び散水に使用される水量を抑制し、チラーシステムのエネルギー効率を改善することができる。
【0079】
本開示の第2態様に係るチラーシステムは、前記第1態様において、前記制御部は、各前記散水装置の運転又は停止の状態が、隣接する前記散水装置と互いに異なるように各前記散水装置の運転又は停止を制御する。
【0080】
本開示に係るチラーシステムによれば、前記制御部は、各散水装置の運転又は停止の状態が、隣接する散水装置と互いに異なるように各散水装置の運転又は停止を制御する。このような制御により、対応する散水装置が停止しているチラーユニットについても、隣接するチラーユニットに対応する散水装置が散水を行っているため、冷却効果を得ることができる。これにより、散水に使用される水量を抑制できるとともに、全てのチラーユニットが散水による冷却効果を得ることができため、チラーユニットの性能低下を抑制できる。
【0081】
本開示の第3態様に係るチラーシステムは、前記第1態様又は前記第2態様において、前記制御部は、各散水装置の運転又は停止の状態を所定の時間毎に切替えるよう制御する。
【0082】
本開示に係るチラーシステムによれば、前記制御部は、各散水装置の運転又は停止の状態を所定の時間毎に切替えるよう制御する。これにより、特定の散水装置のみが長時間散水することを防止することができる。したがって、特定の散水装置及び該散水装置に対応する配管の劣化を抑制することができる。
【0083】
本開示の第4態様に係るチラーシステムは、前記第1態様から前記第3態様のいずれかにおいて、前記散水装置は、外部の給水源(37)から供給する散水用の水の供給を切替える開閉弁(35)を備え、前記制御部は、前記開閉弁の開閉状態を切替える開閉弁切替部(104)を備え、前記開閉弁切替部は、前記散水装置の運転又は停止に対応して前記開閉弁の開閉状態を切替える。
【0084】
本開示に係るチラーシステムによれば、前記散水装置は、外部の給水源から供給する散水用の水の供給を切替える開閉弁を備え、前記制御部は、前記開閉弁の開閉状態を切替える開閉弁切替部を備え、前記開閉弁切替部は、前記散水装置の運転又は停止に対応して前記開閉弁の開閉状態を切替える。これにより、散水装置の運転又は停止の状態に対応して開閉弁の開閉状態の切替えが行われるため、開閉弁の開閉状態の切替え回数を低減し開閉弁の耐久性を向上することができる。
【0085】
本開示の第5態様に係るチラーシステムは、前記第1態様から前記第4態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記負荷が予め設定された所定の値以上である場合に、全ての前記散水装置の運転を開始するよう制御する。
【0086】
本開示に係るチラーシステムによれば、前記制御部は、各チラーユニットの負荷が予め設定された所定の値以上である場合に、全ての散水装置の運転を開始するよう制御する。これにより、各チラーユニットの冷却能力を高めることができ、各チラーユニットの長寿命化やチラーユニットを利用する空調システムの動作不良を抑制することができる。
【0087】
本開示の第6態様に係るチラーシステムは、前記第5態様において、前記制御部は、各前記散水装置の運転時間を計時する計時部(105)を備え、前記制御部は、全ての前記チラーユニットの運転を開始した後、前記負荷が所定の値以下である場合に、前記計時部によって計時された前記運転継続時間又は前記運転累積時間に基づいて、各前記散水装置の運転又は停止を制御する。
【0088】
本開示に係るチラーシステムによれば、前記制御部は、全ての前記チラーユニットの運転を開始した後、前記負荷が所定の値以下である場合に、前記計時部によって計時された前記運転時間に基づいて、各前記散水装置の運転又は停止を制御する。例えば、運転時間が長いチラーユニットを優先的に停止する。これにより、特定の散水装置が連続して運転することより負荷が集中することを抑制し、散水装置の性能低下を抑制するとともにチラーユニットへの冷却性能の劣化を抑制することができる。
【0089】
本開示の第7態様に係るチラーシステムの制御方法は、一方向に間隔を空けて並設される複数のチラーユニットと、各前記チラーユニットに対応して設けられ、該チラーユニットに対して散水する散水装置とを備えるチラーシステムにおいて、前記散水装置によって該チラーユニットに対して散水する工程と、前記チラーユニットの負荷に基づいて、該散水装置の運転及び停止を制御する工程とを有する。
【符号の説明】
【0090】
1 チラーシステム
10(10-1~10-8) チラーユニット
11 ケーシング
11a 側面
25 基部
30(30-1~30-8) 散水装置
31 給水管
32 水圧検知部
33 散水管
33a 第一分岐管
33b 第二分岐管
34 ノズル
35(35-1~35-8) 開閉弁
36 温度計測部
37 給水タンク
43 水系統部
45 圧縮機
46 オイルセパレータ
47 逆止弁
48 四方弁
50 レシーバ
51 電子膨張弁
52 熱交換器
53 ファン
54 気液分離器
55 水入口部
56 水ポンプ
57 水出口部
58 水配管
59 水熱交換器
59A 第1水熱交換器
59B 第2水熱交換器
61 冷媒温度検知部
62 冷媒圧力検知部
81 CPU
82 ROM
83 RAM
84 HDD
85 通信部
88 バス
100 上位制御部
101 情報取得部
102 記憶部
103 判断部
104 開閉弁切替部
105 計時部
200 チラーユニット制御装置
F 空気の流れ
H1 並設方向
H2 奥行方向
R1 第1冷凍サイクル系統
R2 第2冷凍サイクル系統
S 空間