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  • 特開-炭素繊維の調整方法 図1
  • 特開-炭素繊維の調整方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064820
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】炭素繊維の調整方法
(51)【国際特許分類】
   D06H 7/00 20060101AFI20240507BHJP
   D06C 7/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
D06H7/00
D06C7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173715
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】593065785
【氏名又は名称】増岡窯業原料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】永島 義治
(72)【発明者】
【氏名】増岡 順
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AA14
3B154AB09
3B154BB12
3B154BB54
3B154BC31
3B154DA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炭素繊維製品(熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、セメント、コンクリート、黒鉛、コールタール、金属、ゴム等の母材に添加)として使用し易い様に炭素繊維トウ(長繊維)等の炭素繊維原料を前処理する調整方法を提供すること。
【解決手段】炭素繊維原料10に対し、最終製品に用いるために種々の工程を経て、所望のミルドファイバー等を得ることを目的とする炭素繊維の調整方法であって、トレー20内に炭素繊維原料10を充填する原料充填工程と、炭素繊維原料10を熱処理炉30にてヒートクリーニングする原料熱処理工程と、原料熱処理工程済みの炭素繊維原料10を振動フィーダーにて切断機に送る原料供給工程と、原料供給工程済みの炭素繊維原料10を粉砕する原料粉砕工程と、原料粉砕工程済みの炭素繊維原料10を篩分けする原料選別工程を備えることを特徴とする炭素繊維の調整方法とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維原料に対し、最終製品に用いるために種々の工程を経て、所望のミルドファイバー等を得ることを目的とする炭素繊維の調整方法であって、
トレー内に炭素繊維原料を充填する原料充填工程と、
前記炭素繊維原料を熱処理炉にてヒートクリーニングする原料熱処理工程と、
前記原料熱処理工程済みの前記炭素繊維原料を振動フィーダーにて切断機に送る原料供給工程と、
前記原料供給工程済みの炭素繊維原料を粉砕する原料粉砕工程と、
前記原料粉砕工程済みの炭素繊維原料を篩分けする原料選別工程を備えることを特徴とする炭素繊維の調整方法。
【請求項2】
前記原料充填工程は、炭素繊維原料をトレーに充填する際、トレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅を凹ませて高さが低くなるように充填することを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維の調整方法。
【請求項3】
前記原料熱処理工程における炭素繊維原料が充填されたトレーの積載方法は、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の炭素繊維原料が充填されたトレーを積載するのであるが、真ん中の列に積載されたトレーの数は隣接する外側の列に積載されたトレーの数よりも少なくなるように積載することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭素繊維の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維製品(熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、セメント、コンクリート、黒鉛、コールタール、金属、ゴム等の母材に添加)として使用し易い様に炭素繊維トウ(長繊維)等の炭素繊維原料を(中間材料であるミルドファイバー等とするために)処理する炭素繊維の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は有機繊維(ポリアクリロニトリル(PAN)、又は石炭ピッチ(Pitch)の2種類の原料)を高温で焼成することにより製造される。PAN系炭素繊維は、合成繊維であるアクリル長繊維(ポリアクリルニトリル繊維)を原料とし、空気中で200~300℃の温度域で熱処理され耐炎化繊維にした後、無酸素状態で1000℃以上の温度で焼成することにより製造される。一方、ピッチ系炭素繊維は、石炭タールや石油ピッチ(コールタールピッチを原料に高温で炭化して作った繊維)から製造される。
【0003】
炭素繊維は(細長い)繊維形状なので、そのままの形状で最終製品に使用されることは殆ど無い。通常は炭素繊維トウ(長繊維)等に対し、何らかの加工(熱処理、切断等)を施して中間材料を作り、それを最終製品に用いるという加工プロセスを経由することが一般的である。中間材料には種々の形態が見られるが、例えば、チョップドファイバー、ミルドファイバーが挙げられる。チョップドファイバーとは、炭素繊維トウ(長繊維)をカット(チョップ)した状態であり、ミルドファイバーとは、チョップドファイバーを粉砕機で粉砕し、粉(ミルド)状にした状態である。チョップドファイバーは、通常3mm~12mmの長さの短繊維のことを言い、ミルドファイバーは通常200μm以下の長さの短繊維のことを言う。ミルドファイバー、及びチョップドファイバー等を各種熱可塑・熱硬化樹脂、セメント・コンクリート、黒鉛、コールタール、金属、ゴム等の母材(マトリックス)に添加し製品化する。
【0004】
特許文献1には、「粉末化処理を効率良く行え、燃焼排ガスによる公害問題も発生せず、且つ、ガラス繊維の紡糸時の糸切れ原因となる不純物汚染が起こらない様にした、ガラス繊維屑の粉砕装置を提供する(特許文献1:要約の目的)」ことを目的として、「ガラス繊維屑を加熱して、付着している有機質の集束剤等を焼却除去すると共に粉砕し易い様に脆化させる加熱装置と、脆化したガラス繊維屑を粉砕する粉砕装置とを備えており、加熱装置として連続炉を用い、その内部に設置するコンベアは、ニッケルを含有しない金属製のワイヤメッシュベルトを用いる構成とした(特許文献1:要約の構成より抜粋」ガラス繊維屑の粉砕装置(特許文献1:発明の名称)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-285385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係るガラス繊維屑の粉砕装置は、ガラスのニッケル汚染を完全に無くすことが出来て、加熱装置の加熱効率が顕著に向上し、集束剤等の焼却効率が顕著に向上する等の様々の優れた効果を奏すので、ガラス繊維の製造コストの大幅低減に寄与出来るものである。しかしながら、ガラス繊維と炭素繊維では材質の違い等によるプロセスの違いがあり、特許文献1に係るガラス繊維屑の粉砕装置による方法をそのまま応用できるものでは無い。炭素繊維とガラス繊維とは異なるプロセスを必要とするものであるからである。
【0007】
本発明の目的は、炭素繊維製品(熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、セメント、コンクリート、黒鉛、コールタール、金属、ゴム等の母材に添加)として使用し易い様に炭素繊維トウ(長繊維)等の炭素繊維原料を(中間材料であるミルドファイバーとするために)処理する炭素繊維の調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、炭素繊維原料に対し、最終製品に用いるために種々の工程を経て、所望のミルドファイバー等を得ることを目的とする炭素繊維の調整方法であって、トレー内に炭素繊維原料を充填する原料充填工程と、前記炭素繊維原料を熱処理炉にてヒートクリーニングする原料熱処理工程と、前記原料熱処理工程済みの前記炭素繊維原料を振動フィーダーにて切断機に送る原料供給工程と、前記原料供給工程済みの炭素繊維原料を粉砕する原料粉砕工程と、前記原料粉砕工程済みの炭素繊維原料を篩分けする原料選別工程を備える炭素繊維の調整方法であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記原料充填工程は、炭素繊維原料をトレーに充填する際、トレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅を凹ませて高さが低くなるように充填する炭素繊維の調整方法であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2において、前記原料熱処理工程における炭素繊維原料が充填されたトレーの積載方法は、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の炭素繊維原料が充填されたトレーを積載するのであるが、真ん中の列に積載されたトレーの数は隣接する外側の列に積載されたトレーの数よりも少なくなるように積載する炭素繊維の調整方法であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、炭素繊維原料に対し、最終製品に用いるために種々の工程を経て、所望のミルドファイバー等を得ることを目的とする炭素繊維の調整方法である。トレー内に炭素繊維原料を充填する原料充填工程と、炭素繊維原料を熱処理炉にてヒートクリーニングする原料熱処理工程と、原料熱処理工程済みの炭素繊維原料を振動フィーダーにて切断機に送る原料供給工程と、原料供給工程済みの炭素繊維原料を粉砕する原料粉砕工程と、原料粉砕工程済みの炭素繊維原料を篩分けする原料選別工程を備えている。
【0012】
原料充填工程では、炭素繊維原料をトレーに充填する際、トレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅を凹ませて高さが低くなるように充填することにより、熱処理(ヒートクリーニング)時に、充填された炭素繊維原料の充填された(トレー内での)場所の違いに拠る品質バラツキが出ることなく、均一な状態で集束剤の除去ができるようになったし、部分的に過剰な熱が篭ることに拠る(後の工程である原料粉砕工程に必要な劣化以上の)炭素繊維原料の劣化状態のバラツキを防ぐことができるようになった。
【0013】
さらに、原料熱処理工程では、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の炭素繊維原料が充填されたトレーを積載するのであるが、真ん中の列の(複数の)トレーの数は、隣接する外側の列の(複数の)トレーの数よりも少なくなるように積載する。積載するトレーの数を少なくすることで、熱処理(ヒートクリーニング)時に、炭素繊維原料が充填されたトレーを積載しない空間を(真ん中の列のトレーの方が、隣接する外側の列のトレーよりも)多く形成することで、熱が篭ることが無くなり、炭素繊維原料に品質バラツキが出ることなく均一に集束剤を除去することができるようになったし、(後の工程である原料粉砕工程に必要な劣化以上の)炭素繊維原料の劣化状態のバラツキを防ぐことができるようになった。即ち、熱処理(ヒートクリーニング)後の炭素繊維原料の状態が均一であることで、後工程をスムーズに進め、良質の炭素繊維製品を得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】原料充填工程におけるトレー内に充填された炭素繊維原料の充填状態を説明するための図である。
図2】原料熱処理工程における炭素繊維原料が充填された熱処理炉入口側から見たトレーの積載状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る炭素繊維の調整方法の一実施形態について、図1図2に基づいて詳細に説明する。炭素繊維自体は繊維という名が示す通り、1本数ミクロンの細い繊維から形成されている。単体では切れ易いため、細い繊維を数千?数万本束ねた「トウ」と呼ばれる太い糸にする必要がある。1本数ミクロンの細い繊維から形成されている炭素繊維を繋ぐ役割を果たすのが集束剤である。炭素繊維用の集束剤としては、種々のものが開発されているが、澱粉系の糊剤、合成樹脂系エマルジョン等の有機質が一般的に使用されている。
【0016】
本発明に係る炭素繊維の調整方法は、集束剤を熱処理(ヒートクリーニング)により除去すること、出発品である炭素繊維原料の細部に亘って均一に集束剤を除去できるように工夫がなされている。一方で、過剰な熱処理(ヒートクリーニング)は、炭素繊維原料にとっては宜しく無く、熱処理(ヒートクリーニング)時に過剰な熱による(後の工程である原料粉砕工程に必要な劣化以上の)炭素繊維原料の劣化を防ぐことも肝要である。
【0017】
即ち、熱処理(ヒートクリーニング)後の炭素繊維原料の状態が、品質的に(できるだけ良い状態で)バラツキが無く均一であることが、後工程をスムーズに進め、良質の最終品を得ることができるためのポイントであるからである。最終製品の品質向上に最も貢献するポイントは、上流の工程をキチンと管理制御し(上流時点での品質を)安定させることである。
【0018】
<原料充填工程、及び原料熱処理工程>
図1は、(本発明に係る炭素繊維の調整方法における)原料充填工程におけるトレー内に充填された炭素繊維原料の充填状態を説明するための図である。図1に記載したように、炭素繊維原料をトレー(1000mm×625mm×110mm)に充填する時に(炭素繊維原料のトレーの底からの高さが)どの地点でも同じ高さになるように均一に充填せずに、トレー内に充填された炭素繊維原料のトレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅(トレーの長手方向と垂直な方向の長さを三等分した時の3分の1の範囲、及びトレーの長手方向における両端部)の高さを低くしている(凹ませている)。熱処理(ヒートクリーニング)後に炭素繊維原料のトレーの中での置かれた位置の違いによるバラツキ(集束剤の残留量の差、炭素繊維原料の劣化状態の差等)が出るのを回避するためである。
【0019】
炭素繊維原料をトレーに充填する時に均一に同じ高さになるように充填すると、熱処理(ヒートクリーニング)時に、トレーの長手方向中心線上部側に充填された炭素繊維原料が、過剰に熱処理されて品質にバラツキが出ることが経験上解っている。炭素繊維原料の色は黒色なので熱(赤外線)を吸収し易い材料である。炭素繊維原料は特に赤外線領域の波長の光を吸収してしまうため、(黒色の炭素繊維原料は)温度が上昇し易く結果として熱が籠り易い材料であると考えられる。
【0020】
炭素繊維原料をトレーに充填する時に(炭素繊維原料のトレーの底からの高さが)どの地点でも同じ高さになるように充填せずに、トレー内に充填された炭素繊維原料のトレーの長手方向の中心線に沿った所定の幅(トレーの長手方向と垂直な方向の長さを三等分した時の3分の1の範囲、及びトレーの長手方向における両端部)を凹ませることで、できるだけ炭素繊維原料が大気に触れる面積を増やせば、炭素繊維原料に熱が篭り難くなるので、熱処理(ヒートクリーニング)後に、炭素繊維原料のトレーの中での置かれた位置の違いによる品質バラツキ(集束剤の残留量の差、炭素繊維原料の劣化状態の差等)を少なくすることができる。尚、炭素繊維原料に熱が篭り難くするためには(炭素繊維原料の充填量をトレーの高さの3分の1程度にする等)1バッチ処理量を減らせば良いのであるが、それでは生産コスト面で問題がある。本発明においては、1バッチの処理量を出来るだけ減らすことなく、一定の品質を確保するための工夫をしている。
【0021】
図2は、原料熱処理工程における炭素繊維原料が充填された熱処理炉入口側から見たトレーの積載状態を説明するための図である。原料熱処理工程では、熱処理炉の入口側から見て3列になるように複数の炭素繊維原料が充填されたトレーを垂直方向に積載する(図2参照)。真ん中の列のトレーは、7段積載されており、隣接する外側の列のトレーは、9段積載されている(図2参照)。
【0022】
熱処理炉内におけるトレーの積載方法は、熱処理炉の熱処理空間におけるトレーの配置で表現すれば、真ん中の列の炭素繊維原料が充填されたトレーを積載しない空間を、隣接する外側の列のトレーを積載しない空間よりも大きくなるようにすることで、即ち、真ん中の列のトレーの垂直方向における隙間の方が、隣接する外側の列のトレーの垂直方向における隙間よりも大きくなるようにすることで、熱が篭らないように工夫している。さらに、真ん中の列のトレーと隣接する外側の列のトレーの水平方向における隙間(トレーの長手方向と垂直な方向の長さの6分の1~4分の1の長さの隙間)を形成しても良い(図2参照)。
【0023】
熱処理炉の熱処理空間におけるトレーの配置で表現すれば、真ん中の列の上部側に空間を(生産効率が下がるのにも拘わらず)敢えて作ることで、或いは、(真ん中の列の)炭素繊維原料が充填されたトレーと上下方向に位置するトレーの隙間量を増やす(隙間量を隣接する外側の列のトレーの二倍(1.8倍~2.2倍)にすることで、熱が篭ることが無くなり、炭素繊維原料が均一に熱処理(ヒートクリーニング)されるように工夫されている。
【0024】
図2のように、熱処理炉に炭素繊維原料が充填されたトレーを積載した状態で、所定の温度、所定の温度に到達する時間、所定の保持時間、及び所定の保持時間から常温への下降時間にて熱処理(ヒートクリーニング)を行う。
【0025】
<原料供給工程、原料粉砕工程、及び原料選別工程>
熱処理(ヒートクリーニング)された炭素繊維原料は、原料供給工程、原料粉砕工程、及び原料選別工程を経て、最終的に出荷検査された後、出荷される。
【0026】
原料供給工程では、振動フィーダーを使用して、熱処理(ヒートクリーニング)された炭素繊維原料を、原料粉砕工程に使用する粉砕機にエアーにて供給する。原料供給工程では、安定した品質を得るために一定の時間に一定の量の炭素繊維原料を粉砕機に送ることが望ましい。
【0027】
原料粉砕工程では、粉砕機を使用して、振動フィーダーを使用してエアーにて供給された炭素繊維原料を粉砕する。粉砕機は、固定刃、回転刃を備えており、回転数はインバーター制御されている。クリアランス調整(固定刃、回転刃の間隔の調整)をしないと粉砕後の繊維長にバラツキが出て、粒度調整が難しくなるので、クリアランス調整は品質管理上重要である。
【0028】
原料選別工程は分級機を使用して、粉砕機で粉砕された炭素繊維原料を篩分けする。分級機は、遠心力を利用した粉塵の分離装置である。原料選別工程の後、出荷前の工程検査を行う。工程検査は、嵩密度測定により評価(合格品・不合格品を判断する)を行っている。炭素繊維原料から原料充填工程、原料熱処理工程、原料供給工程、原料粉砕工程、及び原料選別工程を経て製造されたミルドファイバー品を、一定容積の容器に一定の方法で充填し、嵩密度を測定する。嵩密度測定値が規格値内であれば、合格品とし出荷する。
【0029】
<炭素繊維の調整方法の効果>
本発明に係る炭素繊維の調整方法により、炭素繊維原料に部分的な品質バラツキが出ることなく均一に集束剤を除去することができるようになったし、過剰な熱処理(ヒートクリーニング)時に過剰な熱による(後の工程である原料粉砕工程に必要な劣化以上の)炭素繊維原料の劣化を防ぐことができるようになった。即ち、熱処理(ヒートクリーニング)後の炭素繊維原料の状態を均一に制御することができるようになったので、熱処理(ヒートクリーニング)後の後工程をスムーズに進め、良質の最終品(ミルドファイバー)を得ることができるようになった。
【0030】
<炭素繊維の調整方法の変更例>
本発明に係る炭素繊維の調整方法は、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、原料充填工程、原料熱処理工程、原料供給工程、原料粉砕工程、原料選別工程等の工程を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る炭素繊維の調整方法は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、
炭素繊維製品(熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、セメント、コンクリート、黒鉛、コールタール、金属、ゴム等の母材に添加)として使用し易い様に炭素繊維トウ(長繊維)等の炭素繊維原料を(中間材料であるミルドファイバーとするために)処理する炭素繊維の調整方法として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
10・・炭素繊維原料
20・・トレー
30・・熱処理炉(入口側)
図1
図2