(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064826
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/40 20220101AFI20240507BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20240507BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20240507BHJP
F23G 5/027 20060101ALI20240507BHJP
F23G 7/06 20060101ALI20240507BHJP
F23G 7/12 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B09B3/40 ZAB
B09B3/70
B09B5/00 M
F23G5/027 A
F23G7/06 103
F23G7/06 104
F23G7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173727
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
3K078
3K161
4D004
【Fターム(参考)】
3K078AA04
3K078BA03
3K078BA06
3K078EA04
3K078EA06
3K161AA04
3K161AA13
3K161DB32
3K161DB33
3K161EA35
3K161EA36
3K161EA45
3K161GA13
3K161GA21
3K161GA22
4D004AC05
4D004BA03
4D004CA28
4D004CA44
4D004CB34
(57)【要約】
【課題】排出される二酸化炭素を有効利用することができる廃棄物処理方法を提供しようとするもの。
【解決手段】廃棄物を熱処理する熱処理工程H1と、前記熱処理工程H1で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程とを有し、生成したメタンガスを前記熱処理工程H1の熱源として利用するようにした。前記熱処理工程で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程として、熱処理工程H1で排出される二酸化炭素を水と電気分解により反応させて一酸化炭素と水素を生成させる工程を有し、前記電気分解の電極としてセラミックス電極を使用するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を熱処理する熱処理工程(H1)と、前記熱処理工程(H1)で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程とを有し、生成したメタンガスを前記熱処理工程(H1)の熱源として利用するようにしたことを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項2】
前記熱処理工程(H1)で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程として、熱処理工程(H1)で排出される二酸化炭素を水と電気分解により反応させて一酸化炭素と水素を生成させる工程を有し、前記電気分解の電極としてセラミックス電極を使用するようにした請求項1記載の廃棄物処理方法。
【請求項3】
前記熱処理工程(H1)で排ガスをバーニングして二酸化炭素化する際、複数個の鋼鉄球を貯留したバーニング槽を誘導加熱により昇温し、前記バーニング槽に空気を補充しつつ排ガスを供給するようにした請求項1又は2記載の廃棄物処理方法。
【請求項4】
前記熱処理工程(H1)で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程で、複数個の鋼鉄球を貯留した反応槽を誘導加熱により昇温し、前記反応槽でメタンガス生成反応を進行させるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排出される二酸化炭素を有効利用することができる廃棄物処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム等の廃棄物を燃焼し熱を回収するリサイクルシステムに関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、タイヤを含めたゴム製品等の廃棄に大きな問題となっていた。タイヤを含む自動車部品の処分は環境汚染などの観点により、粗大ごみで捨てることができず、廃棄物処理法で適正処理困難物に指定されており、適切な方法で処分する必要があった。
この従来提案は、ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、を備えたこととし、廃棄物を燃焼させ、廃棄物の燃焼から生成した熱をゴムの成形品を成形する際に利用することによって、熱を有効に活用することが可能である、というものである。
これに対し、排出される二酸化炭素を有効利用することができる廃棄物処理方法に対する要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、排出される二酸化炭素を有効利用することができる廃棄物処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の廃棄物処理方法は、廃棄物を熱処理する熱処理工程と、前記熱処理工程で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程とを有し、生成したメタンガスを前記熱処理工程の熱源として利用するようにしたことを特徴とする。
前記廃棄物として、(工場その他の各種)排水、(高濃度)廃液、廃プラスチック、(排水、廃液の処理その他の)排ガスなどを例示することができる。
【0006】
この廃棄物処理方法は、廃棄物を熱処理する熱処理工程を有するので、廃棄物を熱処理して蒸発(排水、廃液の場合)させたり、熱分解(例えば約650-900℃に昇温。排水、廃液の含有成分、廃プラスチック、排ガスの場合)させたり、減容化(排水、廃液、廃プラスチックの場合)したり、炭化(有機物の場合)したりすることができる。
次に、熱処理工程で排出される二酸化炭素(CO2)からメタンガス(CH4)を生成させる工程として、熱処理工程で排出される二酸化炭素(CO2)を水(H2O)と反応させて一酸化炭素(CO)と水素(H2)を生成させる工程と、前記一酸化炭素(CO)と水素(H2)からメタンガス(CH4)を生成させる工程を例示することができる。
【0007】
熱処理工程で二酸化炭素(CO2)が排出される態様として、熱処理の熱源としてのLNGの燃焼ガスや、廃棄物(排ガス)を熱処理(バーニングによるCO2化)した際に排出される場合などを例示できる。
そして、生成したメタンガス(CH4)を前記熱処理工程の熱源として利用するようにしたので、廃棄物の熱処理工程で排出される二酸化炭素(CO2)をメタンガス(CH4)に変換して熱処理工程で燃料利用することができる。
【0008】
ここで、廃棄物が排水、廃液の場合、熱処理工程の排ガスを電解スクラバー槽に供給し、排ガス中の含有成分を電解水で浄化することができる。前記電解水の態様として、食塩(NaCl)の存在下で電気分解して次亜塩素酸(HOCl)を生成させることや、オゾン(O3)の共存下で電気分解して酸素ラジカル(・O)を生成させることを例示することができる。
【0009】
(2)前記熱処理工程で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程として、熱処理工程で排出される二酸化炭素を水と電気分解により反応させて一酸化炭素と水素を生成させる工程を有し、前記電気分解の電極としてセラミックス電極を使用するようにしてもよい。
【0010】
このようにすると、熱処理工程で排出される二酸化炭素(CO2)と水(H2O)をセラミックス電極により電気分解して一酸化炭素(CO)と水素(H2)を生成させる過程で、高温雰囲気(例えば約700-900℃)となって該電極がある程度 昇温しても、白金電極を用いた場合のような電極板と白金メッキ層との間の層間剥離(膨張率の差による)を引き起こすことなく円滑に処理を行うことができる。
【0011】
(3)前記熱処理工程で排ガスをバーニングして二酸化炭素化する際、複数個の鋼鉄球を貯留したバーニング槽を誘導加熱により昇温し、前記バーニング槽に空気を補充しつつ排ガスを供給するようにしてもよい。
前記排ガスとして、排水、廃液、廃プラスチックを熱処理した際の排ガス等(スクラバー前と後の場合あり)を例示することができる。前記排ガス中に、蒸発した有機成分や有機物の熱分解成分(メタン、エタンなどの炭化水素)が含有されている。
【0012】
このようにすると、複数個(例えば500個×3段積みの1,500個)の鋼鉄球(例えばφ11mm)を貯留したバーニング槽を誘導加熱(IH)により昇温(約900℃程度)して、このバーニング槽に排ガス(炭化水素など)を通して空気を補充しつつ高温でCO2化することができる。
そして、この二酸化炭素(CO2)から次工程でメタンガス(CH4)を生成させることができる。
【0013】
(4)前記熱処理工程で排出される二酸化炭素からメタンガスを生成させる工程で、複数個の鋼鉄球を貯留した反応槽を誘導加熱により昇温し、前記反応槽でメタンガス生成反応を進行させるようにしてもよい。
【0014】
このようにすると、二酸化炭素(CO2)からメタンガス(CH4)を生成させる工程において、複数個(例えば500個×3段積みの1,500個)の鋼鉄球(例えばφ11mm)を貯留した反応槽を誘導加熱(IH)により昇温(例えば約700-900℃)して、この反応槽でメタンガス生成反応を進行させることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
廃棄物の熱処理工程で排出される二酸化炭素をメタンガスに変換して前記熱処理工程で燃料利用することができるので、排出される二酸化炭素を有効利用することができる廃棄物処理方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の廃棄物処理方法の実施形態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、この実施形態の廃棄物処理方法は、廃棄物(高濃度有機廃液X)を熱処理する熱処理工程(熱処理機構H1)と、この熱処理工程の熱源たるLNGバーナーBの燃焼により排出される二酸化炭素(CO2)からメタンガス(CH4)を生成させる工程とを有し、生成したメタンガスを前記熱処理工程(熱処理機構H1)の熱源の助燃剤として補助利用(利用)するようにした。
【0018】
具体的には、熱処理工程(熱処理機構H1)のLNGバーナーBの燃焼ガスの二酸化炭素(CO2)からメタンガスを生成させる工程として、前記二酸化炭素(CO2)を水道水(H2O)と反応させて一酸化炭素(CO)と水素(H2)を生成させる工程(電解機構E2)と、前記一酸化炭素(CO)と水素(H2)からメタンガス(CH4)を生成させる工程(熱処理機構H2)を有するようにした。
【0019】
先ず、廃棄物(高濃度有機廃液X)を、電解機構E1の電解水で浄化した。前記電解水は、オゾナイザーOからオゾン(O3)を電解機構E1に供給し、オゾン(O3)の共存下で電気分解して酸素ラジカル(・O)を生成させるようにした。この酸素ラジカル(・O)により、高濃度有機廃液Xの浄化性が高いものとなった。
【0020】
次いで、電解機構E1後の廃棄物(高濃度有機廃液Xの電解処理水)を熱処理機構H1(約660℃に昇温)に供給し熱処理して熱分解させた。熱処理機構H1(複数個の鋼鉄球(φ11mm)を貯留)はLNGバーナーBにより加熱した。
熱処理機構H1の排ガスは電解スクラバー(図示せず)に供給し、排ガス中の含有成分を電解水で浄化した。前記電解水として、オゾン(O3)の共存下で電気分解して酸素ラジカル(・O)を生成させたものを用いた。
【0021】
熱処理工程(熱処理機構H1)のLNGバーナーBで排出される二酸化炭素(CO2)からメタンガスを生成させる工程として、熱処理工程(熱処理機構H1)で排出される二酸化炭素(CO2)を、水道水(H2O)との電気分解(電解機構E2)により反応させて一酸化炭素(CO)と水素(H2)を生成させる工程を有するが、電解機構E2の電極としてセラミックス電極を使用した。
【0022】
電解機構E2にはオゾナイザーOからオゾン(O3)を供給し、オゾン(O3)の共存下で電気分解して酸素ラジカル(・O)を生成させるようにした。この酸素ラジカル(・O)により、二酸化炭素(CO2)を水(H2O)の反応性が高いものとなった。
そして、熱処理工程(熱処理機構H1)で排出される二酸化炭素(CO2)と水道水(H2O)をセラミックス電極(電解機構E2)により電気分解して一酸化炭素(CO)と水素(H2)を生成させる過程で、隣接する熱処理機構が高温雰囲気となって電極が昇温しても、白金電極を用いた場合のような電極板と白金メッキ層との間の層間剥離を引き起こすことなく円滑に処理を行うことができた。
【0023】
上記熱処理工程(熱処理機構H1)のLNGバーナーで排出される二酸化炭素(CO2)からメタンガス(CH4)を生成させる工程(熱処理機構H2)では、複数個の鋼鉄球(φ11mm)を貯留した反応槽(熱処理機構H2)を誘導加熱(IH)により昇温し(約900℃程度)、前記反応槽でメタンガス生成反応を進行させた。
ここで、熱処理機構H1と熱処理機構H2は、バッチ式として交互運転を行った。
【0024】
次に、この実施形態の廃棄物処理方法の使用状態を説明する。
メタンガスを生成させる工程で生成したメタンガス(CH4)を熱処理工程(熱処理機構H1)の熱源(LNGバーナー)として利用するようにしたので、廃棄物の熱処理工程のLNGバーナーで排出される二酸化炭素(CO2)をメタンガス(CH4)に変換して助燃剤として燃料利用することができ、排出される二酸化炭素(CO2)を有効利用することができた。
【産業上の利用可能性】
【0025】
排出される二酸化炭素を有効利用することができることによって、種々の廃棄物処理方法の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
H1 (熱処理機構)