(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064831
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】安全タイヤ及び隔膜
(51)【国際特許分類】
B60C 17/01 20060101AFI20240507BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60C17/01
B60C19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173734
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】河野 好秀
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA51
3D131BB10
3D131BC01
3D131BC05
3D131BC25
3D131BC32
3D131BC40
3D131BC47
3D131BC49
3D131JA01
3D131LA02
3D131LA05
3D131LA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全タイヤの有用性を向上させることができる、安全タイヤ及び隔膜を提供することにある。
【解決手段】本開示に係る安全タイヤは、一対のビード部3と、トレッド部5と、前記ビード部と前記トレッド部との間に延在する一対のサイドウォール部4とを有する安全タイヤ1であって、前記安全タイヤをリム7に装着させた装着姿勢にて、前記ビード部と前記リムとの間に挟持され、前記安全タイヤと前記リムとの間に画定される空間をタイヤ径方向において内側室8及び外側室9に分画する、膨張可能な環状の隔膜部6Aを有する隔膜6を備え、前記隔膜は、前記隔膜部に、前記内側室と前記外側室とを連通するように構成された、少なくとも1つの連通部13を備えるとともに、前記隔膜部のタイヤ幅方向外端部10に、前記リムのフランジ端部15に係合するように構成された係合部6Bを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部と、トレッド部と、前記ビード部と前記トレッド部との間に延在する一対のサイドウォール部とを有する安全タイヤであって、
前記安全タイヤをリムに装着させた装着姿勢にて、前記ビード部と前記リムとの間に挟持され、前記安全タイヤと前記リムとの間に画定される空間をタイヤ径方向において内側室及び外側室に分画する、膨張可能な環状の隔膜部を有する隔膜を備え、
前記隔膜は、前記隔膜部に、前記内側室と前記外側室とを連通するように構成された、少なくとも1つの連通部を備えるとともに、前記隔膜部のタイヤ幅方向外端部に、前記リムのフランジ端部に係合するように構成された係合部を備えることを特徴とする、安全タイヤ。
【請求項2】
前記装着姿勢にて、前記隔膜部は、前記ビード部よりもタイヤ幅方向外側において前記ビード部の外面に沿って延在する、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項3】
前記装着姿勢にて、前記隔膜部は、前記ビード部よりもタイヤ幅方向外側において前記リムの表面に沿って延在する、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項4】
前記装着姿勢にて、前記係合部は、前記フランジ端部をタイヤ幅方向外側から覆う、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項5】
前記係合部は、タイヤ周方向において環状である、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項6】
前記係合部は、前記隔膜部と同一又はそれ以上の弾性率を有する材料で形成されている、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項7】
前記隔膜の延在方向に対して垂直方向における、前記係合部の厚さは、前記隔膜部の厚さよりも厚い、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項8】
前記隔膜部と前記係合部とは、一体成型されている、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項9】
前記連通部は、前記内側室から前記外側室への通気のみを許容するように構成された逆止弁を備える、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項10】
前記隔膜部の膨張を検知する検知部を更に備える、請求項1に記載の安全タイヤ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の安全タイヤに用いられる、隔膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット走行状態においても安全な停止が可能で、ある程度の距離の走行が可能である安全タイヤと、当該安全タイヤに用いられる隔膜とに関する。
【背景技術】
【0002】
安全タイヤとしては、空気のう、発泡体、弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支持させるタイヤ、或いは、シーラント剤を塗布又は充填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞いで内圧低下を防止したタイヤ等が知られている。しかし、これら従来の安全タイヤは、構造が複雑なため、不良率が高くなったり、製造効率が低下したりする場合が多かった。また、空気のうに空気を充填するためのバルブ、或いは、中子を取り付けるための構造を具えた専用のリムを準備しなければならない場合もあった。
【0003】
比較的単純な構造の安全タイヤとして、例えば特許文献1には、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間をタイヤ径方向における内側室及び外側室に分画する、膨張可能な隔膜を配設し、これら内側室と外側室を、隔膜に設けられた通気量を規制する手段を介して連通した安全タイヤが開示されている。かかるタイヤによれば、内側室及び外側室に空気を充填した状態で通常の走行を行い、パンク等により外側室の空気が抜け、内圧が低下した場合において、内側室内の内圧が荷重を支持することで、ランフラット走行が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、上述した安全タイヤの有用性の更なる向上が求められている。例えば、安全タイヤのリム組み性及びリム組み後の隔膜の固定の確実性の更なる向上が求められている。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、安全タイヤの有用性を向上させることができる、安全タイヤ及び隔膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、一対のビード部と、トレッド部と、前記ビード部と前記トレッド部との間に延在する一対のサイドウォール部とを有する安全タイヤであって、前記安全タイヤをリムに装着させた装着姿勢にて、前記ビード部と前記リムとの間に挟持され、前記安全タイヤと前記リムとの間に画定される空間をタイヤ径方向において内側室及び外側室に分画する、膨張可能な環状の隔膜部を有する隔膜を備え、前記隔膜は、前記隔膜部に、前記内側室と前記外側室とを連通するように構成された、少なくとも1つの連通部を備えるとともに、前記隔膜部のタイヤ幅方向外端部に、前記リムのフランジ端部に係合するように構成された係合部を備えることを特徴とする。
本開示の一実施形態に係る安全タイヤによれば、安全タイヤのリム組み時又はリム組み後に、隔膜が位置ずれしにくくなり、安全タイヤのリム組み性及びリム組み後の隔膜の固定の確実性を向上させることができる。したがって、安全タイヤの有用性が向上する。
【0008】
〔2〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕に記載の安全タイヤであって、前記装着姿勢にて、前記隔膜部は、前記ビード部よりもタイヤ幅方向外側において前記ビード部の外面に沿って延在することが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、安全タイヤのリム組み性が更に向上する。
【0009】
〔3〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕に記載の安全タイヤであって、前記装着姿勢にて、前記隔膜部は、前記ビード部よりもタイヤ幅方向外側において前記リムの表面に沿って延在することが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、隔膜による放熱性が向上する。
【0010】
〔4〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の安全タイヤであって、前記装着姿勢にて、前記係合部は、前記フランジ端部をタイヤ幅方向外側から覆うことが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、リムに縁石等の接触等による傷が付きにくくなる。
【0011】
〔5〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の安全タイヤであって、前記係合部は、タイヤ周方向において環状であることが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、リム組み後の隔膜の固定の確実性が更に向上する。
【0012】
〔6〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の安全タイヤであって、前記係合部は、前記隔膜部と同一又はそれ以上の弾性率を有する材料で形成されていることが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、リム組み後の隔膜の固定の確実性が更に向上する。
【0013】
〔7〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の安全タイヤであって、前記隔膜の延在方向に対して垂直方向における、前記係合部の厚さは、前記隔膜部の厚さよりも厚いことが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、リム組み後の隔膜の固定の確実性が更に向上する。
【0014】
〔8〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の安全タイヤであって、前記隔膜部と前記係合部とは、一体成型されていることが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、安全タイヤのリム組み性及びリム組み後の隔膜の固定の確実性が更に向上する。
【0015】
〔9〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の安全タイヤであって、前記連通部は、前記内側室から前記外側室への通気のみを許容するように構成された逆止弁を備えることが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、安全タイヤのランフラット機能が発揮しやすくなる。
【0016】
〔10〕本開示の一実施形態に係る安全タイヤは、上記〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の安全タイヤであって、前記隔膜部の膨張を検知する検知部を更に備えることが好ましい。かかる構成を有する安全タイヤによれば、安全タイヤがランフラット走行状態であることを検知しやすくなる。
【0017】
〔11〕上記〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の安全タイヤに用いられる、隔膜。かかる構成を有する隔膜によれば、安全タイヤのリム組み時又はリム組み後に、隔膜が位置ずれしにくくなり、安全タイヤのリム組み性及びリム組み後の隔膜の固定の確実性を向上させることができる。したがって、安全タイヤの有用性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、安全タイヤの有用性を向上させることができる、安全タイヤ及び隔膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る安全タイヤをホイールのリムに装着して構成したタイヤ・ホイール組立体のタイヤ幅方向における断面図である。
【
図2】
図1に示されるタイヤ・ホイール組立体の、タイヤの内圧が低下したランフラット走行状態における、タイヤ幅方向における断面図である。
【
図3】
図1に示すタイヤの隔膜の部分断面斜視図である。
【
図4】第2の実施形態に係る安全タイヤをホイールのリムに装着して構成したタイヤ・ホイール組立体のタイヤ幅方向における断面図である。
【
図5】第3の実施形態に係る安全タイヤをホイールのリムに装着して構成したタイヤ・ホイール組立体のタイヤ幅方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一実施形態に係る安全タイヤ(以下「タイヤ」ともいう。)について、図面を参照して説明する。各図において共通する部材及び部位には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。
【0021】
本開示において、「タイヤ幅方向」とは、タイヤの回転軸と平行な方向をいう。「タイヤ径方向」とは、タイヤの回転軸と直交する方向をいう。「タイヤ周方向」とは、タイヤの回転軸を中心にタイヤが回転する方向をいう。
【0022】
また、本開示において、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」と称し、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」と称する。一方、タイヤ幅方向に沿ってタイヤの赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」と称し、タイヤ幅方向に沿ってタイヤの赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と称する。
【0023】
本開示において、特に断りのない限り、タイヤの各要素の位置関係等は、基準状態で測定されるものとする。「基準状態」とは、タイヤを適用リムであるホイールのリムに組み付け、規定内圧を充填し、無負荷とした状態である。以下において、タイヤは、内腔に空気が充填され、車両に装着されるものとして説明する。ただし、タイヤの内腔には空気以外の流体が充填されていてもよい。なお、本開示において、基準状態において、安全タイヤをリムに装着させた姿勢を安全タイヤの「装着姿勢」ともいう。
【0024】
本開示において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organization)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されている、或いは、将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられる。
【0025】
本開示において、「規定内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。さらに、本開示において、「規定荷重」とは、上記産業規格に記載されている適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する荷重をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合には、「規定荷重」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
【0026】
はじめに、
図1~
図3を参照して、本開示の第1の実施形態に係る安全タイヤ1の概略構成を説明する。
図1は、本開示の第1の実施形態に係る安全タイヤ1をホイールのリム7に装着して構成したタイヤ・ホイール組立体16のタイヤ幅方向における断面図である。なお、ホイールのリム以外の部分は記載を省略する。
図1において、タイヤ1は、タイヤ1を適用リムであるホイールのリム7に組み付け、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で示されている。
図2は、
図1に示されるタイヤ・ホイール組立体16の、タイヤ1の内圧が低下したランフラット走行状態における、タイヤ幅方向における断面図を示している。また、
図3は、
図1に示されるタイヤ1の隔膜6の部分断面斜視図である。
【0027】
図1に示されるように、タイヤ1は、ビードコア2を埋設した一対のビード部3と、一対のサイドウォール部4と、トレッド部5とを有している。サイドウォール部4は、ビード部3とトレッド部5との間に延在している。なお、図示は省略したが、タイヤ1は、慣例に従い、カーカス、ベルト層等の他のタイヤ構成部材も備えている。
【0028】
また、タイヤ1の内腔には、一対のビード部3の間に延びる膨張可能な環状の隔膜6がタイヤ1の全周にわたって配設されている。隔膜6は、タイヤ1をリム7に装着させた装着姿勢にて、ビード部3とリム7との間に狭持され、タイヤ1とリム7との間に画定される空間を、タイヤ径方向において内側に位置し、リム7に隣接する内側室8と、タイヤ径方向において外側に位置し、タイヤ1の内面に隣接する外側室9との2室に分画する、環状の隔膜部6Aを有している。
図1において、隔膜部6Aは、ビード部3のビードトウ11よりもタイヤ径方向内側を通り、少なくともビードヒール12よりもタイヤ幅方向外側まで延在している。これにより、タイヤ1とリム7との間に挟み込むことのできる隔膜6の面積を充分に確保することができる。かかる構成を有することにより、タイヤ1とリム7との間に隔膜6を挟み込みやすくなり、リム組み性が向上する。更に、かかる構成を有することにより、リム組み後の隔膜6の固定の確実性も向上する。
【0029】
また、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、隔膜部6Aのタイヤ幅方向外端部10は、ビードヒール12よりもタイヤ幅方向外側まで延在していることで、隔膜部6Aのタイヤ幅方向外端部10が外気により冷却される。したがって、タイヤ1の内部の熱がタイヤ1内にある隔膜部6Aから、タイヤ1の外側にある隔膜部6Aのタイヤ幅方向外端部10へと伝わって、放熱されるので、タイヤ1の内腔が冷却され、タイヤ1内の温度が高温になりにくい。
【0030】
隔膜部6Aは、例えばゴム、ゴムと不織布との複合体、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)等の熱可塑性エストラマー(TPE)等の空気不透過性かつ伸張性の材料で構成されていてもよい。特に、隔膜部6Aは、外側室9の内圧が低下した際の隔膜6の伸張(破断伸び)及び軽量化、通常走行時の隔膜6の形状保持、並びに、遠心力によるクリープの抑制を考慮すると、TPEで構成されていることが好ましい。また、隔膜部6Aの厚さは、0.3~5.0mmの範囲内にあることが好ましい。厚さを0.3mm以上とすることで、隔膜部6Aがタイヤ内面と接触した際に異物との干渉により、隔膜部6Aが損傷しても、外側室9の内圧が低下して隔膜部6Aが拡張した際に、隔膜部6Aが破損しにくくなる。一方で、厚さが5.0mmを以下とすることで、タイヤ1の質量が増加することを抑制し、遠心力によるクリープの発生、燃費性等のタイヤ性能が損なわれにくくなる。
【0031】
隔膜6は、隔膜部6Aに、内側室8と外側室9とを、空気の流通を制限しつつ連通するように構成された、少なくとも1つの連通部13を備えている。
【0032】
図1に示されるように、連通部13は、例えば、隔膜部6Aに設けられた、隔膜部6Aを貫通する小孔であってもよい。これによれば、付加的な部材を必要としないことから、構造が簡単で一層の軽量化が図れる上、小孔を設けた部分と設けていない部分との質量の差が少なく、タイヤ1のユニフォミティを損なうおそれも低い。さらに、連通部13を小孔とすることで、内側室8と外側室9との円滑な空気の流通を損なわずに、パンク等により外側室9の内圧が低下した際に内側室8と外側室9との間に差圧を生じさせることができる。この差圧は、小孔の直径を適宜に選択することによって調節することができる。例えば、小孔の直径は、0.5~5mmの範囲内であることが好ましい。直径が0.5mm以上であることにより、内圧充填時に内側室8の圧力が上がり過ぎることによる隔膜6の拡張が生じにくくなる。また、直径が5mm以下であることにより、パンク等により外側室9の内圧が低下した際に、外側室9内の空気とともに内側室8内の空気もタイヤ外に流出しにくくなる。これによって、隔膜6が外側室9と内側室8の差圧を確保することで、安全タイヤ1にランフラット機能を発揮させることができる。
【0033】
タイヤ1では、リム7に設けられた空気充填用バルブ14を介して内側室8に空気を供給すると、供給された空気の一部が連通部13を介して外側室9に供給される。そして、内側室8の内圧が所定の値に到達した時点で空気の供給を停止すると連通部13により内側室8と外側室9との差圧が調整される。
図1に示されるように、内側室8及び外側室9の内圧が正常な状態では、隔膜6の隔膜部6Aは、トレッド部5の内面及びリム7の表面とは非接触な状態に維持されるため、擦れ等により損傷することがない。
【0034】
パンク等によりタイヤ1に破損が生じ、外側室9の空気が流出して内圧が低下した場合には、隔膜6の隔膜部6Aが、内側室8と外側室9との差圧により膨張することで、
図2に示されるように、隔膜6がタイヤ内面に接触した状態となる。連通部13が空気の流通を制限可能であることから、外側室9の内圧の急激に低下に対して、内側室8の内圧の低下には時間がかかる。このため、外側室9からの空気の流出に際し、外側室9と内側室8の差圧が増加することにより、隔膜6が膨張することができる。これにより、内側室8内の空気が、タイヤ1に加わる荷重を支持することで、少なくとも車両が完全に停止するまでの間、安全にランフラット走行を行うことができる。
【0035】
また、隔膜6が隔膜部6Aに連通部13を備えることで、安全タイヤ1は、外側室9に空気を充填するための充填バルブを必要としないので、従来のリム7が使用可能であり、更には、一般的な構造の空気入りタイヤに、比較的構造が単純で軽量な隔膜6を追加しただけで安全タイヤ1を構成することがでる。そのため、金属性の中子をタイヤ内に配置したり、タイヤの内部空間にシーラント剤を充填したりしていた従来の安全タイヤに比べて大幅な軽量化を図ることができる。
【0036】
再び
図1を参照すると、隔膜6は、隔膜部6Aのタイヤ幅方向外端部10に、リム7のフランジ端部15に係合するように構成された係合部6Bを備えている。これにより、安全タイヤ1のリム7へのリム組み時又はリム組み後において、隔膜6が位置ずれしにくくなり、安全タイヤ1のリム組み性及びリム組み後の隔膜の固定の確実性を向上させることができる。したがって、安全タイヤ1の有用性が向上する。図示例では、タイヤ幅方向における断面において、係合部6Bは、隔膜部6Aのタイヤ径方向内側の表面上に設けられている。ただし、係合部6Bは、任意の手法により、隔膜部6Aのタイヤ幅方向外端部10に設けられていてもよい。例えば、係合部6Bは、隔膜部6Aのタイヤ径方向外側の表面上に設けられてもよく、或いは、隔膜部6Aのタイヤ幅方向外端部10を覆うように設けられていてもよい。
【0037】
係合部6Bは、例えばTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)等の熱可塑性エストラマー(TPE)等の空気不透過性かつ伸張性の材料で構成されていてもよい。係合部6Bは、隔膜部6Aと同一の材料で構成されていてもよく、或いは、異なる材料で構成されていてもよい。ただし、係合部6Bは、隔膜部6Aと同一又はそれ以上の弾性率を有する材料で形成されていることが好ましい。これにより、リム組み後の隔膜6の固定の確実性が更に向上する。係合部6Bを構成する材料の弾性率は、隔膜部6Aを構成する材料の弾性率の1~50倍の範囲とすることがより好ましい。隔膜部6Aに対する係合部6Bの弾性率が1倍以上であることにより、タイヤ1のリム組み時に、係合部6Bがリム7との接触により壊れにくくなり、また、タイヤ1のリム組み後に、タイヤ1内の内圧により、隔膜6がタイヤ1内に引き込まれにくくなる。また、隔膜部6Aに対する係合部6Bの弾性率が50倍以下であることにより、タイヤ1のリム組み時に、係合部6Bがタイヤ1又はリム7を傷つけにくくなる。隔膜部6A及び係合部6Bの弾性率は、例えば、隔膜6から、隔膜部6A及び係合部6Bのカットサンプルを切り出し、切り出したカットサンプルの引張試験を行うことで測定される。
【0038】
図1に示されるように、タイヤ幅方向における断面において、隔膜6の延在方向に対して垂直方向における、係合部6Bの厚さは、隔膜部6Aの厚さよりも厚いことが好ましい。これにより、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、係合部6Bがリム7のフランジ端部15に確実に係合することができ、リム組み後の隔膜6の固定の確実性が更に向上する。
【0039】
また、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、隔膜6の係合部6Bは、リム7のフランジ端部15をタイヤ幅方向外側から覆うように構成されていることが好ましい。より好ましくは、隔膜6の係合部6Bは、リム7のフランジ端部15をタイヤ幅方向外側から完全に覆うように構成されている。これにより、係合部6Bがカバーとなって、縁石等との接触等による傷がリム7に付きにくくなる。特に、
図1に示されるように、タイヤ幅方向における断面において、フランジ端部15の延在方向における、フランジ端部15を覆う部分の係合部6Bの厚さは、フランジ端部15の延在方向に対して垂直方向におけるフランジ端部15の厚さと同一又はそれ以上であることが好ましい。これにより、係合部6Bがフランジ端部15に確実に係合するとともに、フランジ端部15を保護することができる。
【0040】
図3を参照すると、係合部6Bは、隔膜部6Aと同様に、タイヤ周方向において環状であることが好ましい。これにより、係合部6Bがフランジ端部15に係合する面積を充分に確保することができ、リム組み後の隔膜6の固定の確実性が更に向上する。ただし、係合部6Bは、タイヤ周方向において部分的に或いは間欠的に配置されていてもよい。これにより、より少ない力で安全タイヤ1のリム組み時に係合部6Bをフランジ端部15に係合させやすくなる。
【0041】
隔膜6を構成する隔膜部6Aと係合部6Bとは、一体成型されていることが好ましい。これにより、隔膜6が破損しにくくなり、安全タイヤのリム組み性及びリム組み後の隔膜の固定の確実性が更に向上する。隔膜部6A及び係合部6Bの成型には、3Dプリンターによる成型、或いは、射出成型等の、任意の手法が用いられていてもよい。射出成型型の場合には、一例として、予め成型された係合部6Bを、隔膜6の半割品の金型に配置し、隔膜部6Aの材料で係合部6Bを覆って、隔膜部6Aと係合部6Bとを一体成型することができる。その後、隔膜6の半割品を熱風溶着等により合体させることで、隔膜6を成型することができる。なお、隔膜6は、
図3に示されるようなタイヤ1の輪郭に対応する形状に予め成型しておくことで、リム組み性を向上させることができるが、この限りではない。
【0042】
再び
図1を参照すると、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、隔膜6の隔膜部6Aは、ビード部3のタイヤ幅方向外側においてビード部3の外面に沿って延在している。これにより、隔膜部6Aがビード部3に固定されることにより、隔膜部6Aがビード部3の外面から離間している場合よりも、安全タイヤ1のリム組み性が更に向上する。また、隔膜部6Aが、ビード部3の外面に沿って延在していることで、隔膜部6Aとビード部3との間に異物が混入しにくくなるとともに、製品タイヤとしての外観の美しさが向上する。
【0043】
次に、
図4を参照して、本開示の第2の実施形態に係る安全タイヤ1の概略構成を説明する。
図4は、本開示の第2の実施形態に係る安全タイヤ1をホイールのリム7に装着して構成したタイヤ・ホイール組立体16のタイヤ幅方向における断面図である。
図4において、タイヤ1は、タイヤ1を適用リムであるホイールのリム7に組み付け、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で示されている。
【0044】
第2の実施形態では、隔膜6のタイヤ幅方向外端部10の形状及び連通部13の構成が、第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と対応する構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0045】
第2の実施形態では、
図4に示されるように、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、隔膜6の隔膜部6Aは、ビード部3のタイヤ幅方向外側において、ビード部3の外面及びリム7の表面と少なくとも部分的に離間するように延在している。このように、隔膜部6Aがビード部3及びリム7と離間していても、係合部6Bがリム7のフランジ端部15に係合していることで、隔膜6が位置ずれしにくくなり、安全タイヤ1のリム組み性及びリム組み後の隔膜6の固定の確実性を向上させることができる。また、隔膜部6Aがビード部3及びリム7と離間していることで、隔膜部6Aがビード部3の外面に沿って延在している場合よりも、外気に接して冷却される隔膜6の表面積が増加するので、放熱効果が向上する。
【0046】
第2の実施形態では、連通部13は、隔膜6の隔膜部6Aを貫通する小孔を覆う、多数の細孔を有するフィルタ部材を備える。当該構成によれば、比較的軽量なフィルタ部材を用いていることから、構造が比較的簡単でかつ比較的軽量である上、フィルタ部材を設けた部分と設けていない部分との質量の差が比較的少なく、タイヤ1のユニフォミティを損ないにくくなる。図示例では、フィルタ部材は、小孔をタイヤ径方向外側から覆うように、隔膜部6Aに設けられているが、この限りではない。例えば、フィルタ部材は、小孔をタイヤ径方向内側から覆うように、隔膜部6Aに設けられていてもよい。
【0047】
例えば、好適なフィルタ部材は不織布である。不織布は繊維を3次元構造に重ねあわせ結合した多孔質のシートであるため、内側室8と外側室9との間の円滑な空気の流通を妨げることはないが、圧力損失に起因した差圧を内側室8と外側室9の間に生じさせることができる。不織布として、圧力損失に起因した差圧を内側室8と外側室9の間に生じさせることができるものであれば特に限定されず、例えば天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等を、スパンボンド、サーマルボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ、ステッチボンド等により結合させたものが使用可能である。特に好適な不織布は、PET繊維をゴム系ボンドにより結合させたものである。
【0048】
また、不織布の目付を適宜に選択することによって、内側室8と外側室9との間に生じる差圧を調節することができる。不織布の目付は、1000g/m2以下とすることが好ましい。これにより、不織布を通過できる空気の流量を確保して、空気充填用バルブ14を介して空気を供給した際に、一時的に内側室8と外側室9との間の差圧が大きくなり、隔膜6が降伏点を越えて変形しにくくなる。一方で、不織布の目付は、5g/m2以上とすることが好ましい。これにより、不織布の強度を確保することができ、隔膜6全体としての強度を確保することができる。
【0049】
最後に、
図5を参照して、本開示の第3の実施形態に係る安全タイヤ1の概略構成を説明する。
図5は、本開示の第3の実施形態に係る安全タイヤ1をホイールのリム7に装着して構成したタイヤ・ホイール組立体16のタイヤ幅方向における断面図である。
図5において、タイヤ1は、タイヤ1を適用リムであるホイールのリム7に組み付け、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で示されている。
【0050】
第3の実施形態では、隔膜6のタイヤ幅方向外端部10の形状及び連通部13の構成が、第1及び第2の実施形態と異なっている。以下に、第1及び第2の実施形態と異なる点を中心に第3の実施形態について説明する。なお、第1及び第2の実施形態と対応する構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0051】
第3の実施形態では、
図5に示されるように、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、隔膜6の隔膜部6Aは、ビード部3のタイヤ幅方向外側において、リム7の表面に沿って延在している。これにより、隔膜部6Aがリム7に固定されることにより、隔膜部6Aがリム7の表面から離間している場合よりも、リム組み後の隔膜6の固定の確実性を向上させることができる。また、隔膜部6Aがビード部3と離間していることで、隔膜部6Aがビード部3の外面に沿って延在している場合よりも、外気に接して冷却される隔膜6の表面積が増加するので、放熱効果が向上する。
【0052】
第3の実施形態では、連通部13は、隔膜6の隔膜部6Aを貫通する小孔に配設された、弁部材を備えてもよい。当該構成によれば、一層確実に内側室8と外側室9の差圧を制御することができる。これにより、安全タイヤ1のランフラット機能が発揮しやすくなる。弁部材は、チェック弁又はリリーフ弁等、内側室8から外側室9への通気のみを許容するように構成された逆止弁であることが好ましい。ただし、弁部材は、内側室8と外側室9の差圧に応じて開閉するものであれば、特に限定されない。
【0053】
なお、
図1、
図4及び
図5では、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、タイヤ1の赤道面CL上に連通部13が位置するように隔膜部6Aに配設されているが、この限りではない。例えば、連通部13は、隔膜部6Aの、サイドウォール部4に対向する位置に配設されていてもよい。また、連通部13の大きさ及び個数は、タイヤサイズ、使用時の内圧、不織布の強度等に応じて適宜に増減することができる。
【0054】
また、安全タイヤ1は、隔膜部6Aの膨張を検知する検知部を更に備えることが好ましい。検知部は、1つ以上のセンサを備える。センサは、例えば、気圧センサ、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)等のセンサであってもよい。かかる場合、検知部は、タイヤ1の内側室8又は外側室9の少なくとも一方の内圧を計測することで、内圧の変化に基づき隔膜部6Aの膨張を検知する。例えば、検知部は、空気充填用バルブ14に配設されていてもよい。これにより、安全タイヤ1がランフラット走行状態であることを検知しやすくなり、タイヤ1を装着した車両の運転手が、安全タイヤ1がランフラット走行状態であることに気づかず、車両の運転を継続してしまうことを未然に防ぐことができる。ただし、検知部のセンサは、圧力センサ又は接触センサ等であってもよい。かかる場合、検知部をタイヤ1の内面等に配設することで、隔膜部6Aが膨張して検知部に接触するような場合に、隔膜部6Aの膨張を検知することができる。
【0055】
また、急激に内圧が低下した際にも安全に走行を続けるためには、タイヤ1が迅速にランフラット走行状態に移行できることが好ましい。したがって、タイヤ1において、隔膜6が内圧低下時に直ちに拡張することが好ましい。この観点からは、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、連通部13は、内側室8の内圧を外側室9の内圧と同じかそれ以上とするように構成されていることが好ましい。これにより、外側室9の内圧低下の開始と同時に内側室8内の空気が膨張するからである。一方で、タイヤ1のリム7への装着姿勢にて、連通部13は、内側室8の内圧を外側室9の内圧の110%以下とするように構成されていることが好ましい。これにより、隔膜6に定常的に大きな張力が加わらないため、長期間使用した場合でも、隔膜6がクリープ変形してタイヤ内面に接触して破損しにくくなる。
【0056】
また、隔膜6の隔膜部6Aが、内圧低下時に、迅速にタイヤ内面まで膨張する物性を有することが好ましい。具体的には、隔膜部6Aの破断伸びが50%以上であることが好ましい。
【0057】
更に、タイヤ1をリム組みする前に、隔膜6を、タイヤ1の全周にわたってビード部3に対し固定すること、又は、タイヤ1の全周にわたってビード部3に対し部分的に仮固定することが好ましい。なぜなら、タイヤ1をリム7に装着する前に隔膜6をビード部3に予め固定又は仮固定することにより、リム組み作業中に隔膜6がビード部3からずれることが少なくなるので、リム組み性がより向上するからである。なお、仮固定する手段としては、例えば、糸、針、リベット、釘、ネジ等の、ミシン縫い又は打設可能な係止素子、スチレン-ブタジエンゴム系のラテックス接着剤、水性高分子-イソシアネート系の接着剤、アクリル系、合成樹脂系の粘着テープなどがある。
【0058】
以上述べたように、本実施形態において、安全タイヤ1は、一対のビード部3と、トレッド部5と、ビード部3とトレッド部5との間に延在する一対のサイドウォール部4とを有する安全タイヤ1であって、安全タイヤ1をリム7に装着させた装着姿勢にて、ビード部3とリム7との間に挟持され、安全タイヤ1とリム7との間に画定される空間をタイヤ径方向において内側室8及び外側室9に分画する、膨張可能な環状の隔膜部6Aを有する隔膜6を備え、隔膜6は、隔膜部6Aに、内側室8と外側室9とを連通するように構成された、少なくとも1つの連通部13を備えるとともに、隔膜部6Aのタイヤ幅方向外端部10に、リム7のフランジ端部15に係合するように構成された係合部6Bを備えることを特徴とする。
【0059】
かかる構成によれば、安全タイヤ1のリム組み時又はリム組み後に、隔膜6が位置ずれしにくくなり、安全タイヤ1のリム組み性及びリム組み後の隔膜6の固定の確実性を向上させることができる。したがって、本実施形態によれば、安全タイヤ1の有用性が向上する。
【0060】
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0061】
例えば、上述した第1~第3の実施形態のそれぞれにおいて説明した連通部13は、他の実施形態に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示によれば、安全タイヤの有用性を向上させることができる、安全タイヤ及び隔膜を提供することができる。
【0063】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.12_つくる責任、つかう責任」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0064】
1:タイヤ、 2:ビードコア、 3:ビード部、 4:サイドウォール部、 5:トレッド部、 6:隔膜、 6A:隔膜部、 6B:係合部、 7:リム、 8:内側室、 9:外側室、 10:隔膜部(隔膜)のタイヤ幅方向外端部、 11:ビードトウ、 12:ビードヒール、 13:連通部、 14:空気充填用バルブ、 15:リムのフランジ端部、 16:タイヤ・ホイール組立体、 CL:赤道面