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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064834
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】検体測定装置および検体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G01N35/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173739
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(72)【発明者】
【氏名】多田 雅志
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】勝見 宏則
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA07
2G058CB08
2G058CB15
2G058CB20
2G058CF06
2G058CF22
2G058GA01
2G058GC02
2G058GC05
2G058GC06
(57)【要約】
【課題】装置の設置面積を縮小し、検体ラックの取扱いに関するユーザの作業負荷を軽減させた検体測定装置を提供する。
【解決手段】この検体測定装置300は、検体容器1から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う測定部10と、測定部10に検体容器1を搬送する検体搬送部20と、を備える。検体搬送部20は、検体容器1を保持した複数の検体ラック2を第1載置面21b上で搬送するように構成された第1搬送部21と、第1搬送部21の上方に配置され、複数の検体ラック2を第2載置面22b上で搬送するように構成された第2搬送部22と、を含む。第1搬送部21および第2搬送部22のうち少なくとも一方は、第1載置面21bおよび第2載置面22bが検体ラック2の搬送のための所定位置に配置された状態で、ユーザによる検体ラック2の出し入れが可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う測定部と、
前記測定部に前記検体容器を搬送する検体搬送部と、を備え、
前記検体搬送部は、検体ラックが載置可能な第1載置面を含み、前記検体容器を保持した複数の前記検体ラックを前記第1載置面上で搬送するように構成された第1搬送部と、前記第1搬送部の上方に配置され、前記検体ラックが載置可能な第2載置面を含み、複数の前記検体ラックを前記第2載置面上で搬送するように構成された第2搬送部と、を含み、
前記第1搬送部および前記第2搬送部のうち少なくとも一方は、前記第1載置面および前記第2載置面が前記検体ラックの搬送のための所定位置に配置された状態で、ユーザによる前記検体ラックの出し入れが可能に構成されている、検体測定装置。
【請求項2】
前記第1搬送部および前記第2搬送部の各々は、前記検体ラックを前記検体ラックの短手方向に搬送するように構成されており、
前記第1搬送部および前記第2搬送部のうち少なくとも前記第1搬送部は、前記第1載置面および前記第2載置面が前記所定位置に配置された状態で、前記ユーザが前記検体ラックを前記検体ラックの長手方向から出し入れすることが可能に構成されている、請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項3】
前記第1搬送部および前記第2搬送部の各々は、前記第1載置面および前記第2載置面が前記所定位置に配置された状態で、前記ユーザが前記検体ラックを前記検体ラックの長手方向から出し入れすることが可能に構成されている、請求項2に記載の検体測定装置。
【請求項4】
前記第1搬送部および前記第2搬送部の各々は、前記短手方向に沿った一対の側面を有し、
前記検体搬送部は、前記第1搬送部の前記一対の側面の少なくとも一方のうち、前記第1載置面上のラック貯留領域に対応する範囲の少なくとも一部を外部に開放させつつ、前記検体搬送部を覆うカバー部を備える、請求項2または3に記載の検体測定装置。
【請求項5】
前記ラック貯留領域は、複数個の前記検体ラックを前記短手方向に並べて設置可能なように前記短手方向に沿って延びており、
前記カバー部は、前記第1搬送部の前記ラック貯留領域を、前記短手方向における前記ラック貯留領域の全長に亘って開放するように設けられている、請求項4に記載の検体測定装置。
【請求項6】
前記測定部は、前面および背面と、一対の側面とを有し、
前記第1搬送部および前記第2搬送部は、前記測定部の前記一対の側面のいずれかと並んで、前記短手方向である前記測定部の前後方向に沿って設けられ、
前記カバー部は、前記第1搬送部の前記ラック貯留領域において、前記測定部側の一方側面を覆うとともに、前記測定部とは反対側の他方側面の少なくとも一部を開放するように設けられている、請求項4に記載の検体測定装置。
【請求項7】
前記カバー部は、前記第1搬送部および前記第2搬送部の各々の前記ラック貯留領域の前端部をさらに開放するように設けられている、請求項6に記載の検体測定装置。
【請求項8】
前記第2搬送部の前端部は、前記第1搬送部の前端部よりも後側に配置され、
前記カバー部は、前後方向における前記第1搬送部の前記前端部と前記第2搬送部の前記前端部との間の範囲において、前記第1搬送部の上方を覆わずに開放するように設けられている、請求項6に記載の検体測定装置。
【請求項9】
前記検体搬送部は、前記第2搬送部の上方に配置された第3搬送部をさらに含み、
前記第3搬送部の前端部は、前記第2搬送部の前記前端部よりも後側に配置され、
前記カバー部は、前後方向における前記第2搬送部の前記前端部と前記第3搬送部の前記前端部との間の範囲において、前記第2搬送部の上方を覆わずに開放するように設けられている、請求項8に記載の検体測定装置。
【請求項10】
前記第1搬送部は、前記測定部による検体吸引済みの前記検体容器を保持した前記検体ラックを回収するラック回収部であり、
前記第2搬送部は、前記測定部による検体吸引前の前記検体ラックを設置するラック設置部であり、
前記第3搬送部は、前記検体ラックを設置可能であり、設置された前記検体ラックを前記ラック設置部よりも優先して前記測定部に向けて搬送する割込検体設置部である、請求項9に記載の検体測定装置。
【請求項11】
前記検体搬送部は、前記第1搬送部および前記第2搬送部の間で上下方向に移動して、前記検体ラックを受け取る第1昇降部をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項12】
前記検体搬送部は、前記第1昇降部から前記検体ラックを受け取って検体吸引位置へ搬送するとともに、検体吸引後の前記検体ラックを前記第1昇降部に搬送する搬送機構をさらに含み、
前記搬送機構は、前記第1昇降部の移動領域に隣接した第1搬送路と、前記第1搬送路の下方に配置されるとともに前記第1昇降部の移動領域と隣接した第2搬送路と、前記第1搬送路と前記第2搬送路との間で前記検体ラックを受け渡す第2昇降部と、を含む、請求項11に記載の検体測定装置。
【請求項13】
前記第1搬送部および前記第2搬送部の各々は、前記第1搬送路および前記第2搬送路の各々とは異なる高さ位置に配置されている、請求項12に記載の検体測定装置。
【請求項14】
前記第1搬送部および前記第2搬送部の一方は、前記測定部による検体吸引前の前記検体ラックを設置するラック設置部であり、
前記第1搬送部および前記第2搬送部の他方は、前記測定部による検体吸引済みの前記検体容器を保持した前記検体ラックを回収するラック回収部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項15】
前記第1搬送部は、前記ラック回収部であり、
前記第2搬送部は、前記ラック設置部である、請求項14に記載の検体測定装置。
【請求項16】
前記第1搬送部および前記第2搬送部は、共に、前記測定部による検体吸引前の前記検体ラックを設置するラック設置部、および、前記測定部による検体吸引済みの前記検体容器を保持した前記検体ラックを回収するラック回収部のうちいずれか一方である、請求項1~3のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項17】
前記第1搬送部および前記第2搬送部の各々は、前記検体ラックを搬送するための単一の搬送レーンを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項18】
検体容器から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う測定装置に、前記検体容器を搬送する検体搬送装置であって、
検体ラックが載置可能な第1載置面を含み、前記検体容器を保持した複数の前記検体ラックを前記第1載置面上で搬送するように構成された第1搬送部と、
前記第1搬送部の上方に配置され、前記検体ラックが載置可能な第2載置面を含み、複数の前記検体ラックを前記第2載置面上で搬送するように構成された第2搬送部と、を備え、
前記第1搬送部および前記第2搬送部のうち少なくとも一方は、前記第1載置面および前記第2載置面が前記検体ラックの搬送のための所定位置に配置された状態で、ユーザによる前記検体ラックの出し入れが可能に構成されている、検体搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体の測定を行う測定部に対して検体ラックを搬送したり、測定装置から検体ラックを回収したりする検体搬送部を備えた検体測定装置および検体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検体設置ユニットと、検体測定ユニットと、検体設置ユニットから検体測定ユニットに検体ラックを搬送する検体搬送路と、検体搬送路とは高さ方向の異なる位置に設けられ、検体ラックを検体測定ユニットから検体設置ユニットに回収する検体回収路と、検体ラックを検体搬送路から検体回収路に移送する移送機構と、を備える検体測定システムが開示されている。検体設置ユニットは、検体ラックを保持するカートを備えており、カートは検体設置ユニットの内部に収納されている。カートの上段は測定前の検体容器を保持した検体ラックが設置される検体設置部であり、下段は測定後の検体容器を保持した検体ラックが回収されるラック回収部である。検体測定システムを使用する検査技師などは、カートを検体設置ユニットから引き出して検体ラックをカートの上段に載置したり、測定が済んでいる検体を収容している検体容器をカートの下段から取り出したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-174397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、検体設置ユニットに検体ラックを設置したり、検体設置ユニットから検体ラックを取り出したりするために、検体設置ユニットからカートを引き出す必要があり、煩雑である。そのため、検体ラックの設置および回収に関するユーザの作業負荷を軽減させることが望まれている。
【0005】
この発明は、検体ラックの取扱いに関するユーザの作業負荷を軽減させた検体測定装置および検体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による検体測定装置(300)は、図1および図2に示すように、検体容器(1)から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う測定部(10)と、測定部(10)に検体容器(1)を搬送する検体搬送部(20)と、を備え、検体搬送部(20)は、検体ラック(2)が載置可能な第1載置面(21b)を含み、検体容器(1)を保持した複数の検体ラック(2)を第1載置面(21b)上で搬送するように構成された第1搬送部(21)と、第1搬送部(21)の上方に配置され、検体ラック(2)が載置可能な第2載置面(22b)を含み、複数の検体ラック(2)を第2載置面(22b)上で搬送するように構成された第2搬送部(22)と、を含み、第1搬送部(21)および第2搬送部(22)のうち少なくとも一方は、第1載置面(21b)および第2載置面(22b)が検体ラック(2)の搬送のための所定位置に配置された状態で、ユーザによる検体ラック(2)の出し入れが可能に構成されている。
【0007】
本発明による検体測定装置(300)では、検体搬送部(20)は、検体ラック(2)が載置可能な第1載置面(21b)を含み、検体容器(1)を保持した複数の検体ラック(2)を第1載置面(21b)上で搬送するように構成された第1搬送部(21)と、第1搬送部(21)の上方に配置され、検体ラック(2)が載置可能な第2載置面(22b)を含み、複数の検体ラック(2)を第2載置面(22b)上で搬送するように構成された第2搬送部(22)と、を含み、第1搬送部(21)および第2搬送部(22)のうち少なくとも一方が、第1載置面(21b)および第2載置面(22b)が検体ラック(2)の搬送のための所定位置に配置された状態で、ユーザによる検体ラック(2)の出し入れが可能に構成されるので、第1載置面(21b)および第2載置面(22b)を移動させることなく、検体ラック(2)の設置または回収作業を容易に行える。従って、検体ラックの取扱いに関するユーザの作業負荷を軽減させることができる。
【0008】
本発明による検体搬送装置(20)は、図1図3に示すように、検体容器(1)から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う測定装置(10)に、検体容器(1)を搬送する検体搬送装置であって、検体ラック(2)が載置可能な第1載置面(21b)を含み、検体容器(1)を保持した複数の検体ラック(2)を第1載置面(21b)上で搬送するように構成された第1搬送部(21)と、第1搬送部(21)の上方に配置され、検体ラック(2)が載置可能な第2載置面(22b)を含み、複数の検体ラック(2)を第2載置面(22b)上で搬送するように構成された第2搬送部(22)と、を含み、第1搬送部(21)および第2搬送部(22)のうち少なくとも一方は、第1載置面(21b)および第2載置面(22b)が検体ラック(2)の搬送のための所定位置に配置された状態で、ユーザによる検体ラック(2)の出し入れが可能に構成されている。
【0009】
本発明による検体搬送装置(20)では、検体搬送部(20)は、検体ラック(2)が載置可能な第1載置面(21b)を含み、検体容器(1)を保持した複数の検体ラック(2)を第1載置面(21b)上で搬送するように構成された第1搬送部(21)と、第1搬送部(21)の上方に配置され、検体ラック(2)が載置可能な第2載置面(22b)を含み、複数の検体ラック(2)を第2載置面(22b)上で搬送するように構成された第2搬送部(22)と、を含み、第1搬送部(21)および第2搬送部(22)のうち少なくとも一方が、第1載置面(21b)および第2載置面(22b)が検体ラック(2)の搬送のための所定位置に配置された状態で、ユーザによる検体ラック(2)の出し入れが可能に構成されるので、第1載置面(21b)および第2載置面(22b)を移動させることなく、検体ラック(2)の設置または回収作業を容易に行える。従って、検体ラックの取扱いに関するユーザの作業負荷を軽減させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検体ラックの取扱いに関するユーザの作業負荷を軽減させた検体測定装置および検体搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の検体測定装置の模式的な斜視図である。
図2】検体ラックを示した模式的な斜視図である。
図3】検体搬送部を部分的に示す模式的な斜視図である。
図4】検体搬送部の上部を拡大して示した模式的な側面図である。
図5図4に示した位置Qa、QbおよびQcにおける検体搬送部の端面形状を対比した模式図である。
図6】検体搬送部の内部構造を説明するための斜視説明図である。
図7】第2搬送部の斜視説明図である。
図8】第1搬送部の斜視説明図である。
図9】送り出し機構の斜視説明図である。
図10】第3搬送部の斜視説明図である。
図11】テーブル部の斜視説明図である。
図12】アーム部の斜視説明図である。
図13】載置台が原点位置にある状態を示した側面説明図である。
図14】載置台が係合切替位置にある状態を示した側面説明図である。
図15】載置台が受渡位置にある状態を示した側面説明図である。
図16】係合部材と第1ローラとが係合した状態を示した模式図である。
図17】第2ローラが傾斜面上にある状態を示した側面説明図である。
図18】係合部材と第1ローラとが係合解除した状態を示した模式図である。
図19】第1昇降部の斜視説明図である。
図20】昇降載置部の斜視説明図である。
図21】検体搬送部の第1の動作説明図である。
図22】検体搬送部の第2の動作説明図である。
図23】検体搬送部の第3の動作説明図である。
図24】検体搬送部の第4の動作説明図である。
図25】検体搬送部の第5の動作説明図である。
図26】検体搬送部の第6の動作説明図である。
図27】検体搬送部の第7の動作説明図である。
図28】検体搬送部の第8の動作説明図である。
図29】検体搬送部の第9の動作説明図である。
図30】検体搬送部の第3搬送部からのラック搬送を説明する第1の説明図である。
図31】検体搬送部の第3搬送部からのラック搬送を説明する第2の説明図である。
図32】測定部の構成を説明するための平面説明図である。
図33】測定部の構成を説明するための模式的な断面説明図である。
図34】検体測定装置の制御に関わる構成を示したブロック図である。
図35】検体測定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図36】緊急検体ラック送出処理を説明するためのフローチャートである。
図37】一般検体ラック送出処理を説明するためのフローチャートである。
図38】ラック回収処理を説明するためのフローチャートである。
図39】検体測定処理を説明するためのフローチャートである。
図40】検体測定の流れを説明するための図である。
図41】第1変形例を説明するための模式図である。
図42】第2変形例を説明するための模式図である。
図43】検体ラックの搬送先の選択を説明するための模式図である。
図44】検体ラックの搬送経路を説明するための模式図である。
図45】第3変形例を説明するための模式図である。
図46】第4変形例を説明するための模式図である。
図47】第5変形例を説明するための模式図である。
図48】第6変形例を説明するための模式図である。
図49】第7変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示すように、検体測定装置300は、測定部10と、検体搬送部20と、分析部400と、を備える。
【0014】
測定部10は、検体容器1から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行うように構成されている。具体的には、測定部10は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を検出する免疫測定装置である。検体は、血清または血漿である。
【0015】
測定部10は、前面10aおよび背面10bと、一対の側面10c、10dとを有する。測定部10は、箱状の筐体に、検体測定を行うための各種の機構が収容された構造を有し、前面10aおよび背面10bと、一対の側面10c、10dとは、筐体の外表面である。
【0016】
以下、水平面内で、測定部10の前面10aに沿った横方向をX方向とし、X方向の一方側および他方側をそれぞれX1方向、X2方向とする。水平面内で、測定部10の側面10c、10dに沿った前後方向をY方向とし、Y方向の奥側(背面10b側)をY1方向、Y方向の手前側(前面10a側)をY2方向とする。X方向およびY方向と直交する上下方向をZ方向とし、Z方向のうち上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。
【0017】
検体搬送部20は、測定部10に検体容器1を搬送するように構成されている。すなわち、検体搬送部20は、検体容器1から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う測定装置(測定部10)に、検体容器1を搬送する検体搬送装置である。
【0018】
検体搬送部20は、検体容器1を保持した検体ラック2を設置可能である。検体搬送部20には、ユーザによって、測定部10において検体が吸引される前の検体容器1を保持した検体ラック2が設置される。検体搬送部20は、設置された検体ラック2を測定部10に向けて搬送するように構成されている。検体搬送部20は、測定部10において検体が吸引された検体容器1を保持した検体ラック2(以下、検体吸引済みの検体ラック2という)を、回収して、貯留するように構成されている。検体吸引済みの検体ラック2は、ユーザによって、検体搬送部20から取り出される。
【0019】
検体搬送部20は、測定部10の一方(X1側)の側面10cと隣り合うように、測定部10のX1側に配置されている。検体搬送部20は、測定部10のX1側の側面10cに沿って前後方向(Y方向)に延びる。検体搬送部20は、前面20aおよび背面20bと、一対の側面20c、20dとを有する。前面20aおよび背面20bは、検体搬送部20の長手方向(Y方向)の各端面である。一対の側面20c、20dは、検体搬送部20の短手方向(X方向)の各面である。
【0020】
図2に示すように、検体ラック2は、一対の長辺側側面2aと、一対の短辺側側面2bとを含む直方体形状を有している。長辺側側面2aが延びる方向が、検体ラック2の長手方向Aであり、短辺側側面2bが延びる方向が、検体ラック2の短手方向Bである。検体ラック2は、上面から下方に延びる保持孔2cを複数有する。1つの保持孔2cに対して、1本の検体容器1が挿入されることにより、検体容器1が保持される。複数の保持孔2cは、検体ラック2の長手方向Aに沿って、間隔を隔てて直線状に設けられている。一方の長辺側側面2aには、検体ラック2を識別するための識別情報を示すバーコードラベル2dが貼付されている。検体ラック2の底部には、後述する横送り機構36の係合片36a(図6参照)と係合する係合溝2eが形成されている。
【0021】
検体容器1は、円筒形状を有し、上端が開口するとともに底部が閉じた円筒状容器である。検体容器1の内部には被検者から採取された検体が収容される。検体容器1の側面には、検体容器1を識別するための識別情報を示すバーコードラベル1bが貼付されている。各保持孔2cは、一方の長辺側側面2aに繋がった切り欠き状に形成されていて、保持孔2c内に挿入された検体容器1の側面が一方の長辺側側面2aから部分的に露出する。ユーザは、検体容器1のバーコードラベル1bが長辺側側面2aの切り欠き部分から露出するように検体容器1の向きを合わせて、保持孔2cに検体容器1を挿入する。
【0022】
(検体搬送部の構成)
図1に示すように、検体搬送部20は、第1搬送部21と、第1搬送部21の上方に配置された第2搬送部22と、第2搬送部22の上方に配置された第3搬送部23と、第1昇降部27と、搬送機構29と、を含む。図3は、検体搬送部20を部分的に示す模式的な斜視図である。図3に示すように、検体搬送部20は、さらに、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23、および後述するカバー部24を含む。カバー部24は、検体搬送部20の外装部材である。
【0023】
第1搬送部21と、第2搬送部22と、第3搬送部23とは、上下方向に配置されている。つまり、検体搬送部20が、3階層の階層構造を備えている。
【0024】
第1搬送部21は、検体容器1を保持した複数の検体ラック2を、載置面上で検体ラック2の短手方向Bに搬送するように構成されている。第2搬送部22は、複数の検体ラック2を、載置面上で検体ラック2の短手方向Bに搬送するように構成されている。第3搬送部23は、載置面上で検体ラック2を、検体ラック2の短手方向Bに搬送するように構成されている。
【0025】
本実施形態では、第1搬送部21は、測定部10による検体吸引済みの検体容器1を保持した検体ラック2を回収するラック回収部である。第1搬送部21は、複数の検体ラック2を保持可能であり、ユーザによって検体ラック2が取り出されるまで検体ラック2を貯留するように構成されている。第2搬送部22は、測定部10による検体吸引前の検体ラック2が設置され、設置された検体ラック2を測定部10に向けて搬送するラック設置部である。
【0026】
これにより、ラック回収部(第1搬送部21)とラック設置部(第2搬送部22)とが、上面視で重なる位置に配置される。そのため、個々の搬送部が全て異なる位置に平面的に配置される場合と比べて、装置の設置面積を縮小できるとともに、検体ラック2の設置および回収のためのユーザによる作業位置を同一箇所に集約できる。ユーザが複数の作業位置に移動せずに済むので、ユーザの作業効率を改善するとともに作業負荷を低減できる。
【0027】
また、第1搬送部21および第2搬送部22のうち、上側の第2搬送部22をラック設置部とすることによって、測定対象の検体容器1を保持した検体ラック2を設置する作業を、よりユーザの目線に近い高い位置で行える。そのため、検体ラック2の設置時に、誤った検体容器1が検体ラック2にセットされていないかなどの確認作業を容易に行える。
【0028】
第3搬送部23は、検体ラック2を設置可能である。第3搬送部23は、割込検体設置部である。第3搬送部23には、第2搬送部22に設置されている検体ラック2に保持された検体容器1よりも優先して測定部10による検体吸引が行われる検体容器1を保持した検体ラック2が設置される。第3搬送部23は、設置された検体ラック2を、第2搬送部22に設置されている検体ラック2よりも優先して測定部10に向けて搬送するように構成されている。第3搬送部23に設置される検体ラック2には、割込検体が収容された検体容器1が保持されている。割込検体としては、例えば、被検者の検体である緊急検体、所定の成分を所定量含有し、測定部10の精度管理に用いられるコントロール検体、測定部10から出力される検出信号を所定成分の濃度に換算するための検量線の作成に用いられるキャリブレータが挙げられる。
【0029】
すなわち、測定部10による測定の対象となる検体には、一般検体と、割込検体との2種類がある。以下、割込検体が緊急検体である場合について説明する。ユーザは、通常、一般検体を収容した検体容器1を保持した検体ラック2を第2搬送部22(ラック設置部)に設置する。第2搬送部22には、複数の検体ラック2が設置可能である。第2搬送部22は、設置された検体ラック2を順番に測定部10へ向けて送り出す。
【0030】
第2搬送部22に設置された検体ラック2よりも先に測定したい緊急検体が発生した場合、ユーザは、緊急検体を収容した検体容器1を保持した検体ラック2を第3搬送部23(割込検体設置部)に設置する。第3搬送部23に検体ラック2が設置されると、第2搬送部22による検体ラック2の送り出しが一旦停止され、第3搬送部23が、設置された検体ラック2を優先して(すなわち、割り込み処理として)測定部10へ向けて送り出す。
【0031】
ラック設置部である第2搬送部22と、割込検体設置部である第3搬送部23とが上下に配置されるので、ユーザは、一般検体を保持した検体ラック2を第2搬送部22に設置する場合と同じ立ち位置から、緊急検体を保持した検体ラック2を第3搬送部23に設置できる。その結果、緊急検体を保持した検体ラック2の設置が容易になる。
【0032】
第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、測定部10の一対の側面10c、10dのうち、X1側の側面10cと並んで、短手方向Bである測定部10の前後方向に沿って設けられている。
【0033】
第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、検体ラック2の長手方向AをX方向に向け、短手方向BをY方向に向けた姿勢で検体ラック2を設置可能である。第2搬送部22および第1搬送部21において、複数の検体ラック2が、Y方向に沿って並ぶように設置される。第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、それぞれ、検体容器1を保持した検体ラック2を、検体ラック2の短手方向B(つまり、Y方向)に搬送するように構成されている。言い換えると、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、各々の幅方向(X方向)に検体ラック2の長手方向Aを向け、各々の搬送方向(Y方向)に検体ラック2の短手方向(B方向)を向けた姿勢で検体ラック2を保持および搬送するように構成されている。
【0034】
第3搬送部23は、優先的に処理したい検体がなければ使用されないため、第2搬送部22と比較して使用頻度が低い。第3搬送部23に設置可能なラック数は、第2搬送部22に設置可能なラック数よりも少ない。一例として、第2搬送部22に設置可能なラック数は25個であり、第3搬送部23に設置可能なラック数は1個である。第1搬送部21が貯留可能なラック数は、第2搬送部22に設置可能なラック数以上であり、一例として、30個である。
【0035】
また、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、共に、検体ラック2を搬送するための単一の搬送レーンCLを有する。第2搬送部22および第1搬送部21において、検体ラック2は、Y方向に沿って一直線上に配列される。これにより、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23が水平面内に複数レーンを備える場合と比べて、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の水平面内の専有面積を小さくできる。その結果、検体搬送部20の設置面積を効果的に縮小できる。
【0036】
ここで、複数の搬送部が上下に配置された構成において、下側の第1搬送部21に対する検体ラック2の設置または回収作業では、上側の第2搬送部22が邪魔になる可能性がある。
【0037】
そこで、本実施形態では、第1搬送部21および第2搬送部22のうち少なくとも第1搬送部21は、第1搬送部21および第2搬送部22の各々の載置面(21b、22b)が、図1に示す搬送のための所定位置に配置された状態で、検体ラック2の長手方向A(X方向)から検体ラック2の出し入れが可能に構成されている。搬送のための所定位置に配置された状態とは、載置面(21b、22b)が、上流又は下流の搬送装置の搬送面との間で検体ラック2を受け渡し可能な位置に配置された状態である。また、第1搬送部21および第2搬送部22のうち少なくとも第1搬送部21は、検体搬送部20の稼働中に、検体ラック2の長手方向A(X方向)から検体ラック2の出し入れが可能に構成されている。検体搬送部20の稼働中とは、検体吸引前の検体容器1を保持した検体ラック2を、測定部10の検体吸引位置に搬送し、検体吸引済みの検体容器1を保持した検体ラック2を、測定部10の検体吸引位置から回収する動作を実行している間を意味する。つまり、第2搬送部22または第3搬送部23に設置された検体ラック2が搬出されて第1搬送部21に回収されるまでの間に、回収済みの先行の検体ラック2を第1搬送部21から取り出すことができる。
【0038】
これにより、第1搬送部21および第2搬送部22の各々の載置面(21b、22b)を移動させることなく、第1搬送部21からの検体ラック2の回収作業を容易に行える。また、検体搬送部20の稼働中でも、第1搬送部21からの検体ラック2の回収作業を容易に行える。上記の構成により、本実施形態の検体測定装置300では、装置の設置面積を縮小し、検体ラックの設置および回収に関するユーザの作業負荷を軽減させることができる。
【0039】
本実施形態では、第1搬送部21および第2搬送部22の両方が、第1搬送部21および第2搬送部22の各々の載置面(21b、22b)が、図1に示す搬送のための所定位置に配置された状態で、検体ラック2の出し入れが可能に構成されている。そのために、検体搬送部20のカバー部24は、第1搬送部21のラック貯留領域21aおよび第2搬送部22のラック貯留領域22aの少なくとも一部を、覆うことなく外部に開放するように設けられている。ラック貯留領域は、各搬送部において複数の検体ラック2を貯留しておくことが可能な空間である。
【0040】
第1搬送部21および第2搬送部22の各々は、短手方向Bに沿った一対の側面を有するとともに、複数の検体ラック2が載置可能な載置面(21b、22b)を含む。すなわち、第1搬送部21は、Y方向に延びる第1載置面21bと、図5に示すX1側の側面21cおよびX2側の側面21dを有する。第2搬送部22は、Y方向に延びる第2載置面22bと、図5に示すX1側の側面22cおよびX2側の側面22dを有する。X2側の側面21dおよび22dは、測定部10と対向する側の側面である。
【0041】
図4に示すように、第1搬送部21における検体ラック2の第1載置面21bが高さH1に位置する。第2搬送部22の第2載置面22bが高さH2に位置する。第3搬送部23の第3載置面23aが高さH3に位置する。なお、高さH1~H3は、いずれも、検体搬送部20が設置される床面からの高さを意味する。それぞれの載置面の高さの関係は、高さH1<高さH2<高さH3である。一例として、高さH1は約65cmであり、高さH3は約105cmである。なお、高さH1~H3は限定されないが、検体ラック2の設置および取出しを容易にする観点から、高さH1は、好ましくは35cm以上95cm以下、より好ましくは45cm以上85cm以下であってもよい。同様の観点から、高さH3は、好ましくは75cm以上135cm以下、より好ましくは85cm以上125cm以下であってもよい。
【0042】
第1搬送部21の第1載置面21bと、第2搬送部22の下面との間の高さ範囲が、第1載置面21b上の検体ラック2が貯留されるラック貯留領域21aである。第2搬送部22の第2載置面22bと、第3搬送部23の下面との間の高さ範囲が、第2載置面22b上の検体ラック2が貯留されるラック貯留領域22aである。それぞれのラック貯留領域21a、22aは、複数個の検体ラック2を短手方向Bに並べて設置可能なように短手方向B(Y方向)に沿って延びている。
【0043】
〈側面側からの検体ラックの出し入れ構造〉
図3図5に示すように、カバー部24は、第1搬送部21のX1側の側面21cのうち、第1載置面21b上のラック貯留領域21aの全長に対応する範囲を外部に開放させつつ、検体搬送部20を覆うように設けられている。すなわち、カバー部24は、ユーザが、ラック貯留領域21aのX1側から検体ラック2を取り出し可能となるように、ラック貯留領域21aのX1側が開放された開放部24aが形成される形状を有する。開放部24aは、ラック貯留領域21aに含まれる空間である。
【0044】
これにより、第1搬送部21の上方に第2搬送部22が配置される構成でも、検体搬送部20の稼働中に、第1搬送部21に対して、側面21c側から検体ラック2の出し入れを行うことができる。
【0045】
本実施形態では、第2搬送部22のX1側の側面22cのうち、ラック貯留領域22aの一部に対応する範囲が、カバー部24に覆われずに開放されている。カバー部24は、ユーザが、ラック貯留領域22aのX1側から検体ラック2を設置可能となるように、ラック貯留領域22aのX1側の一部が開放された開放部24bが形成される形状を有する。開放部24bは、ラック貯留領域22aに含まれる空間である。本実施形態では、ラック貯留領域22aには、25個の検体ラック2が載置可能であり、Y2側の23個の検体ラック2に対応する範囲が、カバー部24に覆われずに開放されている。なお、カバー部24に覆われずに開放されている領域の大きさは限定されず、検体ラック2が1個以上載置可能な大きさの領域であればよい。領域の大きさは、例えば、ラック貯留領域22aに載置可能な検体ラック2の最大数(本実施形態では、25)の1/10以上の大きさであってもよいし、1/5以上の大きさであってもよし、1/4以上の大きさであってもよいし、1/3以上の大きさであってもよいし、1/2以上の大きさであってもよいし、2/3以上の大きさであってもよい。
【0046】
これにより、本実施形態では、第2搬送部22の上方に第3搬送部23が配置される構成でも、第1搬送部21および第2搬送部22の各々の載置面(21b、22b)が、図1に示す搬送のための所定位置に配置された状態で、第2搬送部22に対して、側面22c側から検体ラック2の出し入れを行うことができる。
【0047】
本実施形態のカバー部24は、図4に示したように、第1搬送部21のラック貯留領域21aを、短手方向B(Y方向)におけるラック貯留領域21aの全長に亘って開放するように設けられている。これにより、ユーザは、第1搬送部21に貯留された検体ラック2を、第1搬送部21のラック貯留領域21aのどの位置でも、長手方向A(X方向)側から視認でき、かつ取り出すことができる。
【0048】
カバー部24は、第2搬送部22のラック貯留領域22aを、短手方向B(Y方向)におけるラック貯留領域22aの一部を開放するように設けられている。これにより、ユーザは、第2搬送部22に対して、第2搬送部22のラック貯留領域22aのうちカバー部24に覆われずに開放されている領域のどの位置にでも、X1側から検体ラック2を設置でき、かつ設置した検体ラック2を視認できる。一度設置した検体ラック2を、搬送される前に取り出すことも容易である。
【0049】
なお、カバー部24は、第1搬送部21のラック貯留領域21aのうち、短手方向B(Y方向)におけるラック貯留領域21aの一部を開放するように設けられてもよい。同様に、カバー部24は、第2搬送部22のラック貯留領域22aを全長に亘って開放するように設けられてもよい。
【0050】
〈前面側および上方からの検体ラックの出し入れ構造〉
また、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、共に、測定部10の前後方向(Y方向)に沿って延びるとともに、前端部(Y2側端部)において検体ラック2の設置または取り出しが可能に構成されている。
【0051】
すなわち、カバー部24は、第2搬送部22および第1搬送部21の各々のラック貯留領域21a、22aの前端部(Y2方向側端部)をさらに開放するように設けられている。つまり、ラック貯留領域21a、22aの各々のY2方向側が、カバー部24によって覆われることなく開放されている。これにより、ユーザは、第1搬送部21の前端部に配置された検体ラック2を、Y2方向側へ取り出すことができる。ユーザは、第2搬送部22の前端部に対して、検体ラック2をY2方向側から設置することができる。
【0052】
さらに、図4に示すように、第2搬送部22の前端部が、第1搬送部21の前端部よりも後側(Y1方向)に配置されている。第2搬送部22の前端部は、第1搬送部21の前端部から距離D2だけ後側にずれた位置に配置されている。第2搬送部22の前端部は、第1搬送部21のラック貯留領域21aのY2側端部よりも、4つの検体ラック2の分だけY1方向にずれている。カバー部24は、前後方向(Y方向)における第1搬送部21の前端部と第2搬送部22の前端部との間の範囲(距離D2の範囲)において、第1搬送部21の上方を覆わずに開放するように設けられている。
【0053】
これにより、第1搬送部21の前端部の上方に、第2搬送部22およびカバー部24によって覆われない空間を確保できる。そのため、第1搬送部21の上方に第2搬送部22を設けた場合でも、第1搬送部21の前端部では、検体ラック2を上方に向けて取り出せるので、検体ラック2の回収時の作業性を向上させることができる。また、第1搬送部21の前端部において検体ラック2の上方が覆われずに露出するので、ユーザが検体ラック2を確認する際の視認性が向上する。
【0054】
本実施形態では、第3搬送部23の前端部が、第2搬送部22の前端部よりも後側(Y1方向)に配置されている。第3搬送部23の前端部は、第2搬送部22の前端部から距離D1だけ後側にずれた位置に配置されている。第3搬送部23の前端部は、第2搬送部22のラック貯留領域22aのY2側端部よりも、5つの検体ラック2の分だけY1方向にずれている。カバー部24は、前後方向(Y方向)における第2搬送部22の前端部と第3搬送部23の前端部との間の範囲(距離D1の範囲)において、第2搬送部22の上方を覆わずに開放するように設けられている。
【0055】
これにより、第2搬送部22の前端部の上方に、第3搬送部23によって覆われない空間を確保できる。そのため、第2搬送部22の上方に第3搬送部23を設けた場合でも、第2搬送部22の前端部では、上方から検体ラック2を設置できるので、検体ラック2の設置時の作業性を向上させることができる。また、第2搬送部22の前端部において検体ラック2の上方が覆われずに露出するので、ユーザが検体ラック2を確認する際の視認性が向上する。
【0056】
検体搬送部20は、第1搬送部21を下方から支持する基部25をさらに含む。第1搬送部21は、基部25上に設けられている。そして、第1搬送部21の前端部は、基部25に対して前後方向の前側(Y2側)に突出している。これにより、第1搬送部21の前端部に対してユーザの手が届きやすくなるので、第1搬送部21の前端部からの検体ラック2の回収作業を容易に行える。
【0057】
図5は、図4に示したY方向の各位置Qa、Qb、Qcにおける、検体搬送部20のX-Z端面形状を模式的に示した対比図である。位置Qaは、第1搬送部21の前端部と第2搬送部22の前端部との間の位置である。位置Qbは、第2搬送部22の前端部と第3搬送部23の前端部との間の位置である。位置Qcは、第3搬送部23の前端部と後端部との間の位置である。
【0058】
第1搬送部21のラック貯留領域21aは、位置Qaでは、X2側、X1側およびZ1側の各方向がカバー部24に覆われずに外部に開放されている。第1搬送部21と第2搬送部22との前端部のY方向位置が互いにずれているためである。このため、ユーザは、第1搬送部21の前端部の5ラック分の範囲に配置された検体ラック2を、容易に視認でき、かつ、任意の方向から取り出すことができる。
【0059】
位置Qbおよび位置Qcにおいては、カバー部24は、第1搬送部21のラック貯留領域21aにおいて、測定部10側の一方側面(X2側の側面21d)を覆うとともに、測定部10とは反対側の他方側面(X1側の側面21c)を開放するように設けられている。これにより、ユーザは、第1搬送部21に貯留された検体ラック2を、X1側から視認でき、かつ取り出すことができる。一方、ラック貯留領域21aのX2側には測定部10が隣接するように配置されているため、ラック貯留領域21aのX2側から検体ラック2を出し入れすることはない。そのため、ラック貯留領域21aへの検体ラック2の出し入れを片側(X1側)に限定し、敢えて測定部10側(X2側)の側面21dをカバー部24で覆うことにより、側面21d側のカバー部24内には、上方の第2搬送部22を支持するための構造を設けることができる。
【0060】
第2搬送部22のラック貯留領域22aは、位置Qbでは、X2側、X1側およびZ1側の各方向がカバー部24に覆われずに外部に開放されている。第2搬送部22と第3搬送部23との前端部のY方向位置が互いにずれているためである。これにより、ユーザは、第2搬送部22の前端部の5ラック分の範囲に配置された検体ラック2を、容易に視認でき、かつ、任意の方向から取り出すことができる。
【0061】
位置Qcにおいては、カバー部24は、第2搬送部22のラック貯留領域22aにおいて、測定部10側の一方側面(X2側の側面22d)を覆うとともに、測定部10とは反対側の他方側面(X1側の側面22c)を開放するように設けられている。これにより、ユーザは、第2搬送部22に対して、X1側から検体ラック2を出し入れすることができる。一方、ラック貯留領域22aのX2側には測定部10が隣接するように配置されているため、ラック貯留領域22aのX2側から検体ラック2を出し入れすることはない。そのため、ラック貯留領域22aへの検体ラック2の出し入れを片側(X1側)に限定し、敢えて測定部10側(X2側)の側面22dをカバー部24で覆うことにより、側面22d側のカバー部24内には、上方の第3搬送部23を支持するための構造を設けることができる。
【0062】
以上のように、第1搬送部21のラック貯留領域21aおよび第2搬送部22のラック貯留領域22aの各々は、Y方向の略全長にわたって、少なくともX1側の側面21c、22cが開放されている。そのため、第1搬送部21および第2搬送部22の各々は、第1搬送部21および第2搬送部22の各々の載置面(21b、22b)が、図1に示す搬送のための所定位置に配置された状態で、検体ラック2の長手方向A(図2参照)から検体ラック2の出し入れが可能である。これにより、載置面(21b、22b)を移動させることなく、検体吸引前の検体ラック2を追加設置したり、検体吸引済みの検体ラック2を回収したりできる。また、第1搬送部21および第2搬送部22の各々は、検体搬送部20の稼働中でも、非稼働中でも、検体ラック2の長手方向Aから検体ラック2の出し入れが可能である。これにより、検体搬送部20による測定部10への検体ラック2の搬送および測定部10による検体測定の動作を継続的に実行しながら、検体吸引前の検体ラック2を追加設置したり、検体吸引済みの検体ラック2を回収したりできる。
【0063】
たとえば検体搬送部20の稼働中に検体ラック2の出し入れができない場合には、第2搬送部22に測定対象の検体ラック2を設置して測定を実行し、全ての検体ラック2が第1搬送部21に回収された後、検体測定装置300による測定を中断して、第1搬送部21からの検体ラック2の取出作業と、第2搬送部22への次の検体ラック2の設置作業とを行い、各作業終了後に、測定を再開する必要が生じる。これに対して、本実施形態では、検体搬送部20の稼働中に検体ラック2の追加設置および取り出しができるので、第2搬送部22に設置可能な最大数の検体ラック2よりも多い検体ラック2を、検体測定装置300による測定を中断することなく、連続的に測定処理に供することができる。
【0064】
なお、後述するように、第3搬送部23は、検体ラック2を設置可能な載置台23bをX2側から片持ち支持する構成を採用しているため、第2搬送部22のラック貯留領域22aの上方は、載置台23bが配置されている位置以外は、第3搬送部23によって覆われることがない(図3参照)。これにより、ユーザは、第2搬送部22の前端部の5ラック分よりも後方側(Y1側)に配置された検体ラック2についても、容易に視認でき、かつ、任意の方向から取り出すことができる。なお、ユーザが検体ラック2を第3搬送部23に設置する際に、誤って検体ラック2を落下させてしまうことを防止するため、第3搬送部23と第2搬送部22との間に、水平方向に延びる仕切板を設けてもよい。
【0065】
(検体搬送部の内部構造)
図6は、検体搬送部20のカバー部24を取り除いた内部構造を模式的に示している。第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、それぞれ、シャーシ26に組み付けられている。基部25は、シャーシ26の下部に相当する。
【0066】
第1搬送部21(ラック回収部)は、複数の検体ラック2が載置可能な第1載置面21bと、第1載置面21bの下面側に収容され、第1載置面21b上の検体ラック2を移動させる移動機構21eと、を含む。ユーザは、第1載置面21bの任意の位置に検体ラック2を設置することができる。同様に、第2搬送部22(ラック設置部)は、複数の検体ラック2が載置可能な第2載置面22bと、第2載置面22bの下面側に収容され、第2載置面22b上の検体ラック2を移動させる移動機構22eと、を含む。ユーザは、第2載置面22bの任意の位置から検体ラック2を取り出すことができる。第3搬送部23(割込検体設置部)は、検体ラック2が載置可能な載置台23bと、載置台23bを側方から片持ち支持するとともに移動させる載置台移動機構23cと、を含む。これらの構成により、検体ラック2の設置および回収に関わる3つの作業位置(緊急検体の設置位置、一般検体の設置位置、測定後の検体ラックの取出位置)を同一箇所に集約できるので、検体ラック2の設置および回収に関するユーザの作業負荷を効果的に軽減させることができる。
【0067】
また、検体搬送部20は、第1昇降部27と、読取部28と、搬送機構29と、をさらに備えている。
【0068】
第1昇降部27は、シャーシ26の後端部(Y1方向端部)に設けられている。第1昇降部27は、第1搬送部21、第2搬送部22、第3搬送部23、および搬送機構29の後述する第1搬送路31および第2搬送路32の間で上下方向に移動して、検体ラック2の受け渡しを行うように構成されている。すなわち、第1昇降部27は、第2搬送部22および第3搬送部23から検体ラック2を受け取り、受け取った検体ラック2を搬送機構29に受け渡す。第1昇降部27は、搬送機構29から検体吸引済みの検体ラック2を受け取り、受け取った検体ラック2を第1搬送部21に受け渡す。
【0069】
これにより、異なる高さ位置に配置された第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の各々に対して、第1昇降部27を上下移動させることによって検体ラック2の受け渡しを行うことができる。
【0070】
検体搬送部20は、1つの第1昇降部27を含む。1つの第1昇降部27が、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の各々の受渡位置と、読取部28の読取位置と、搬送機構29の後述する第1搬送路31および第2搬送路32の各受渡位置とに、移動可能に構成されている。
【0071】
読取部28は、検体ラック2および各検体容器1の識別情報を読み取るように構成されている。読取部28は、検体ラック2のバーコードラベル2dおよび検体容器1のバーコードラベル1b(図2参照)からそれぞれ識別情報を読み取る光学式リーダである。
【0072】
読取部28は、第1昇降部27の移動領域に対してY1方向側に隣接する位置に設けられている。第1昇降部27は、第2搬送部22または第3搬送部23から検体ラック2を受け取ると、Z方向に移動して、受け取った検体ラック2を読取部28の読取位置に位置付ける。これにより、読取部28が検体ラック2および各検体容器1の識別情報をそれぞれ読み取る。
【0073】
搬送機構29は、第1昇降部27から検体ラック2を受け取って検体吸引位置P1へ搬送するとともに、検体吸引後の検体ラック2を第1昇降部27に搬送するように構成されている。搬送機構29は、第1昇降部27の移動領域に対して、X2側に隣接し、X2方向に延びている。すなわち、搬送機構29は、測定部10の背面10b(図1参照)に隣接し、背面10bに沿ってX方向に延びるように設けられている。
【0074】
搬送機構29は、第1昇降部27の移動領域と隣接した第1搬送路31を含む。搬送機構29は、第1搬送路31の下方に配置されるとともに第1昇降部27の移動領域と隣接した第2搬送路32を含む。搬送機構29は、上下方向に移動して第1搬送路31と第2搬送路32との間で検体ラック2を受け渡す第2昇降部33を含む。
【0075】
本実施形態では、第1搬送路31および第2搬送路32は、それぞれX方向に延びている。第1搬送路31および第2搬送路32は、それぞれ、駆動部34と、駆動部34によって循環移動される搬送ベルト35を備えている。駆動部34は、たとえばステッピングモータである。第1搬送路31および第2搬送路32は、それぞれ、搬送ベルト35の上面に配置された検体ラック2を、搬送ベルト35の循環移動によってX方向に搬送するように構成されている。第1搬送路31および第2搬送路32は、共に、X1側端部において第1昇降部27との間で検体ラック2の受け渡しが可能であり、X2側端部において第2昇降部33との間で検体ラック2の受け渡しが可能である。第2昇降部33は、第1昇降部27と同等の構成を備えていて、第1搬送路31および第2搬送路32の各々との間で検体ラック2を受け渡し可能である。
【0076】
これにより、第1昇降部27と搬送機構29とによって、第2搬送部22および第3搬送部23からの検体吸引位置P1への検体ラック2の搬送および検体吸引済みの検体ラック2の第1搬送部21への搬送を、行うことができる。そのため、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の各々に対して搬送機構29を別々に設ける必要がないため、装置構成の簡素化および装置の小型化ができる。
【0077】
測定部10による検体吸引位置P1が、第1搬送路31上に設定されている。このため、搬送機構29は、第1昇降部27から第1搬送路31に受け渡された検体ラック2を、第1搬送路31上の検体吸引位置P1に搬送する。
【0078】
搬送機構29は、第1搬送路31上の検体吸引位置P1に搬送された検体ラック2に係合し、係合した検体ラック2をX方向に移動させる横送り機構36を含む。横送り機構36は、検体ラック2と係合する係合片36aを、第1搬送路31上の検体ラック2と係合する位置および係合解除する位置へ進退させる係合切替部36bと、係合切替部36bをX方向に移動させる直動機構36cと、直動機構36cを駆動する駆動部36dと、を有する。駆動部36dは、たとえばステッピングモータである。横送り機構36は、第1搬送路31上の検体ラック2の係合溝2eと係合片36aとを係合させ、検体ラック2の複数の保持孔2c(図2参照)を1箇所ずつ検体吸引位置P1に位置付けるように、検体ラック2を移動させる。これにより、横送り機構36は、検体ラック2のそれぞれの保持孔2cに保持された複数の検体容器1を、1本ずつ、検体吸引位置P1に順番に移動させ、測定部10による検体吸引に供する。
【0079】
横送り機構36と係合している間、その検体ラック2は、第1搬送路31の搬送ベルト35によっては移動されない。そのため、第1搬送路31は、横送り機構36が1つ目の検体ラック2を検体吸引位置P1に保持している間に、2つ目以降の検体ラック2を第1昇降部27から受け入れて、検体吸引位置P1の手前(X1側)まで搬送しておくことができる。
【0080】
全ての検体容器1から検体吸引が行われると、横送り機構36は、係合片36aと検体ラック2との係合を解除させる。搬送機構29は、検体吸引済みの検体ラック2を、第1搬送路31から第2昇降部33に受け渡し、第2昇降部33から第2搬送路32に受け渡し、第2搬送路32から第1昇降部27に受け渡す。
【0081】
(検体搬送部の各部の詳細構成)
次に、検体搬送部20の各部の構成について詳細に説明する。
【0082】
〈第2搬送部(ラック設置部)〉
図7に示すように、第2搬送部22は、上記の通り、第2載置面22bと、第2載置面22bの下面側に収容された移動機構22eとを含む。第2載置面22bは、Y方向に延びる平板部材により構成されている。図7は、第2載置面22bを二点鎖線で示すことにより、第2載置面22bの下面側の移動機構22eの構造を示している。
【0083】
移動機構22eは、一方爪部41と他方爪部42とを有し、一方爪部41と他方爪部42とを検体ラック2に接触させてY方向に移動させることにより、第2載置面22b上の検体ラック2をY1方向へ移動させるように構成されている。一方爪部41と他方爪部42とは、第2載置面22bの上方においてX1側とX2側とに配置されている。
【0084】
一方爪部41は、第2載置面22bのX1側から上下に延びる回動軸41aに取り付けられている。回動軸41aは、第2載置面22bよりも下方に設けられたスライダ41bに保持されている。
【0085】
移動機構22eは、一方爪部41を駆動する機構として、ガイドシャフト43a、第1ベルト43b、2つの従動プーリ43c、伝達軸部43d、駆動プーリ43e、第2ベルト43f、および爪部駆動部43gを備える。
【0086】
スライダ41bは、ガイドシャフト43aに移動可能に取り付けられ、かつ、第1ベルト43bの所定位置に固定されている。ガイドシャフト43aは、第2搬送部22のY2側の前端部からY1側の後端部までY方向に延びている。第1ベルト43bは、2つの従動プーリ43cと、伝達軸部43dの一端部のプーリとに掛け渡されている。
【0087】
駆動プーリ43eと、伝達軸部43dの他端部のプーリとに、第2ベルト43fが掛け渡されている。爪部駆動部43gは、出力軸に連結された駆動プーリ43eを回転させる。爪部駆動部43gは、たとえばステッピングモータである。駆動プーリ43eの回転により、第2ベルト43fを介して伝達軸部43dが回転される。伝達軸部43dの回転により、第1ベルト43bが循環回転する。第1ベルト43bの循環回転により、一方爪部41が設けられたスライダ41bがガイドシャフト43aに沿ってY1方向およびY2方向に移動する。
【0088】
したがって、爪部駆動部43gによって第1ベルト43bを循環回転させることにより、一方爪部41をガイドシャフト43aに沿ってY1方向およびY2方向に移動させることが可能である。
【0089】
他方爪部42の構成は、上記一方爪部41と同様である。すなわち、他方爪部42は、第2載置面22bのX2側から上下に延びる回動軸42aに取り付けられている。回動軸42aは、第2載置面22bよりも下方に設けられたスライダ42bに保持されている。
【0090】
他方爪部42を駆動する機構の構成は、上記一方爪部41を駆動する機構と同様である。移動機構22eは、他方爪部42を駆動する機構として、ガイドシャフト44a、第1ベルト44b、2つの従動プーリ44c、伝達軸部44d、駆動プーリ44e、第2ベルト44f、および爪部駆動部44gを備える。
【0091】
一方爪部41と同様に、爪部駆動部44gによって第1ベルト44bを循環回転させることにより、他方爪部42をガイドシャフト44aに沿ってY1方向およびY2方向に移動させることが可能である。
【0092】
一方爪部41および他方爪部42がY2側の前端部からY1方向に移動すると、一方爪部41および他方爪部42は、検体ラック2のX1側とX2側とにそれぞれ係合して、検体ラック2をY1方向に移動させる。
【0093】
一方爪部41および他方爪部42がY1側の後端部からY2方向に移動する場合、一方爪部41および他方爪部42は、検体ラック2に接触すると、検体ラック2からの反力によって検体ラック2とは係合しない角度位置まで回動することにより、検体ラック2を動かすことなくY2方向へ移動する。
【0094】
これにより、移動機構22eは、第2搬送部22の第2載置面22b上に設置された検体ラック2を、Y1方向側の後端部に向けて移動させ、第2搬送部22のY1方向側に隣接する第1昇降部27に検体ラック2を受け渡すことができる。移動機構22eは、一方爪部41および他方爪部42の各々の原点位置を検知する原点センサ48a、48bを備える。原点位置は、第2搬送部22のY2方向の端部に設定されている。
【0095】
第2搬送部22には、第2載置面22b上に設置された検体ラック2の有無を検知するためのラック有無センサ45a、45b、45c、45dと、検体ラック2の受渡位置の直前(後端部)における検体ラック2の有無を検知するための後端部センサ46とが設けられている。ラック有無センサ45aと45bとは、透過型の光学センサの出光部と受光部とであり、第2載置面22bのY2側半分の上方を斜めに横切るように検知光を送受光する。同様に、ラック有無センサ45cと45dとは、透過型の光学センサの出光部と受光部とであり、第2載置面22bのY1側半分の上方を斜めに横切るように検知光を送受光する。ラック有無センサ45a、45b、45c、45dによって、第2載置面22bのどの位置に検体ラック2が設置されても、検体ラック2の有無が検知される。後端部センサ46は、反射型の光学センサであり、第2載置面22bの後端部(Y1側端部)に配置されている。
【0096】
第2搬送部22は、後述する制御部211の制御の下、ラック有無センサ45a~45dにより検体ラック2が検知されると、移動機構22eによって検体ラック2を、第2搬送部22との受渡位置にある第1昇降部27へ向けてY1方向に移動させる。
【0097】
第2搬送部22の後端部には、ラックバック機構47が設けられている。ラックバック機構47は、第1昇降部27に受け渡されずに第2搬送部22に残留した検体ラック2を、第2搬送部22の後端部から所定の安全距離だけY2方向に戻す機能を有する。
【0098】
ラックバック機構47は、検体ラック2に係合して検体ラック2を移動させる一対の爪部47aを備える。ラックバック機構47は、移動機構22eが検体ラック2を第1昇降部27に送り出す際、一対の爪部47aを第2載置面22bの下方に退避させる。ラックバック機構47は、移動機構22eから第1昇降部27への検体ラック2の受け渡し後に、第2搬送部22の後端部にある検体ラック2を、Y2方向に戻す後退動作を行う。具体的には、ラックバック機構47は、第2載置面22bの後端部に形成された切り欠き22b1を介して、一対の爪部47aを第2載置面22bの下方から第2載置面22bの上方へ突出させつつ、一対の爪部47aをY2方向側へ移動させることにより、第2搬送部22の後端部にある検体ラック2をY2方向に戻す。これにより、第2搬送部22に残留した検体ラック2が、後端部センサ46に検知される位置までY2側に後退し、検体ラック2が後端部から落下することを防止できる。
【0099】
〈第1搬送部(ラック回収部)〉
図8に示すように、第1搬送部21は、上記の通り、第1載置面21bと、第1載置面21bの下面側に収容された移動機構21eとを含む。第1載置面21bは、Y方向に延びる平板部材により構成されている。図8は、第1載置面21bを二点鎖線で示すことにより、第1載置面21bの下面側の移動機構21eの構造を示している。
【0100】
移動機構21eは、一方爪部51と他方爪部52とを有し、一方爪部51と他方爪部52とを検体ラック2に係合させてY方向に移動させることにより、第1載置面21b上の検体ラック2をY2方向へ移動させるように構成されている。一方爪部51と他方爪部52とは、第1載置面21bの上方においてX1側とX2側とに配置されている。
【0101】
一方爪部51は、第1載置面21bのX1側から上下に延びる回動軸51aに取り付けられている。回動軸51aは、第1載置面21bよりも下方に設けられたスライダ51bに保持されている。
【0102】
移動機構21eは、一方爪部51を駆動する機構として、ガイドシャフト53a、第1ベルト53b、2つの従動プーリ53c、伝達軸部53d、駆動プーリ53e、第2ベルト53f、および爪部駆動部53gを備える。
【0103】
スライダ51bは、ガイドシャフト53aに移動可能に取り付けられ、かつ、第1ベルト53bの所定位置に固定されている。ガイドシャフト53aは、第1搬送部21のY2側の前端部からY1側の後端部までY方向に延びている。第1ベルト53bは、2つの従動プーリ53cと、伝達軸部53dの一端部のプーリとに掛け渡されている。
【0104】
駆動プーリ53eと、伝達軸部53dの他端部のプーリとに、第2ベルト53fが掛け渡されている。爪部駆動部53gは、出力軸に連結された駆動プーリ53eを回転させる。爪部駆動部53gは、たとえばステッピングモータである。駆動プーリ53eの回転により、第2ベルト53fを介して伝達軸部53dが回転される。伝達軸部53dの回転により、第1ベルト53bが循環回転する。第1ベルト53bの循環回転により、一方爪部51が設けられたスライダ51bがガイドシャフト53aに沿ってY1方向およびY2方向に移動する。
【0105】
したがって、爪部駆動部53gによって第1ベルト53bを循環回転させることにより、一方爪部51をガイドシャフト53aに沿ってY1方向およびY2方向に移動させることが可能である。
【0106】
他方爪部52の構成は、上記一方爪部51と同様である。すなわち、他方爪部52は、第1載置面21bのX2側から上下に延びる回動軸52aに取り付けられている。回動軸52aは、第1載置面21bよりも下方に設けられたスライダ52bに保持されている。
【0107】
他方爪部52を駆動する機構の構成は、上記一方爪部51を駆動する機構と同様である。移動機構21eは、他方爪部52を駆動する機構として、ガイドシャフト54a、第1ベルト54b、2つの従動プーリ54c、伝達軸部54d、駆動プーリ54e、第2ベルト54f、および爪部駆動部54gを備える。
【0108】
一方爪部51と同様に、爪部駆動部54gによって第1ベルト54bを循環回転させることにより、他方爪部52をガイドシャフト54aに沿ってY1方向およびY2方向に移動させることが可能である。
【0109】
一方爪部51および他方爪部52がY1側の後端部からY2方向に移動する場合、一方爪部51および他方爪部52は、検体ラック2のX1側とX2側とにそれぞれ係合して、検体ラック2をY2方向に移動させる。
【0110】
一方爪部51および他方爪部52がY2側の前端部からY1方向に移動する場合、一方爪部51および他方爪部52は、検体ラック2に接触すると、検体ラック2からの反力によって検体ラック2とは係合しない角度位置まで回動することにより、検体ラック2を動かすことなくY1方向へ移動する。
【0111】
これにより、移動機構21eは、第1搬送部21の第1載置面21b上に設置された検体ラック2を、Y2方向側の前端部に向けて移動させることができる。第1搬送部21の後端部には、検体ラック2をY2方向側の前端部に向けて移動させる際の一方爪部51および他方爪部52の原点位置を検知する原点センサ57a、57bが設けられている。
【0112】
第1搬送部21には、第1載置面21b上に設置された検体ラック2が第1載置面21bの前端部に到達したことを検知するための到達検知部55が設けられている。到達検知部55は、第1載置面21bの前端部に到達した検体ラック2と当接する当接部材55aと、当接部材55aの移動を検知する当接センサ55bとを有する。当接部材55aは、第1載置面21bの前端部に対して前面側(Y2側)に隣接し、第1載置面21bよりも上側に突出している。移動機構21eによりY2方向に移動された検体ラック2が第1載置面21bの前端部に到達すると、検体ラック2により当接部材55aがY2方向に押される。当接部材55aがY2方向に押されたことが、当接センサ55bによって検知される。
【0113】
第1搬送部21には、第1昇降部27上の検体ラック2を、第1搬送部21に送り込む送り込み機構56が設けられている。図9に示すように、送り込み機構56は、スライダ56bに取り付けられた作動板56aと、スライダ56bをY方向に移動可能に支持するガイドレール56cと、スライダ56bをY方向に移動させる回収駆動部56dと、伝達機構とを備える。作動板56aは、第1昇降部27の移動領域を避けて移動領域の後方(Y1側)に回り込むようにL字状に設けられている。作動板56aの先端側の係合部56eが、第1昇降部27に設置された検体ラック2と当接してY2方向に押し出すことができる。
【0114】
伝達機構は、Y方向に配置されたプーリ56f、56gと、プーリ56fおよび56gに掛け渡された駆動ベルト56hとを有する。回収駆動部56dは、プーリ56fを回転させることにより、駆動ベルト56hを循環回転させる。スライダ56bは、駆動ベルト56hの一部に連結されており、駆動ベルト56hの循環回転に伴って、ガイドレール56cに沿ってY方向に移動する。これにより、送り込み機構56は、第1昇降部27が第1搬送部21との受渡位置に配置された状態で、回収駆動部56dによって作動板56aをY2方向に移動させることにより、第1昇降部27に保持された検体ラック2を作動板56aによってY2方向に押し出して、第1搬送部21の第1載置面21b上へ移動させる。
【0115】
第1搬送部21は、後述する制御部211(図34参照)の制御の下、検体ラック2を保持した第1昇降部27が第1搬送部21との受渡位置に配置されると、送り込み機構56による検体ラック2の送り込み動作を実行し、送り込み動作の実行後に、移動機構21eによって検体ラック2を前端部へ向けてY2方向に移動させる移動動作を行う。
【0116】
移動動作は、ラック貯留領域21aの前端部への検体ラック2の到達を到達検知部55が検知するまで実行される。第1載置面21b上に複数の検体ラック2が存在する場合、第1載置面21b上の全ての検体ラック2がまとめて移動され、Y2側の先頭に位置する検体ラック2が当接部材55aと当接することで移動動作が終了する。このため、一方爪部51および他方爪部52の原点位置から移動動作の終了位置までのY2方向の移動距離が、第1載置面21b上に存在する検体ラック2の個数に応じて変化する。第1載置面21b上に存在する検体ラック2の個数が少ないほど、一方爪部51および他方爪部52の移動距離が長くなり、第1載置面21b上に存在する検体ラック2の個数が多いほど、一方爪部51および他方爪部52の移動距離が短くなる。
【0117】
そのため、制御部211は、移動動作における一方爪部51および他方爪部52の移動距離、すなわち爪部駆動部53gおよび爪部駆動部54gの駆動量に基づいて、第1搬送部21に貯留されている検体ラック2の個数を取得することができる。
【0118】
〈第3搬送部(割込検体設置部)〉
図10に示すように、第3搬送部23は、上記の通り、検体ラック2が載置可能な載置台23bと、載置台23bを側方から片持ち支持するとともに移動させる載置台移動機構23cと、を含む。
【0119】
載置台移動機構23cは、ガイドレール61aと、載置台駆動部61bと、伝達部とを含む。ガイドレール61aと、載置台駆動部61bと、伝達部とは、シャーシ26(図6参照)のうち、X2側の側面部材26aに取り付けられている。ガイドレール61aは、Y方向に沿って延びている。載置台駆動部61bは、たとえばステッピングモータである。伝達部は、ベルト61cおよびプーリ61d、61eから構成されたベルト-プーリ機構である。載置台駆動部61bは、プーリ61dを回転駆動することにより、ベルト61cを循環移動させる。
【0120】
載置台23bは、それぞれY方向に移動可能に構成されたテーブル部62とアーム部63とを別個に含む。テーブル部62は、ガイドレール61aに移動可能に係合したスライダ62a(図11参照)を有する。アーム部63は、ガイドレール61aに移動可能に係合したスライダ65a(図12参照)を有する。このため、載置台23b(テーブル部62およびアーム部63)は、ガイドレール61aを介して、側面部材26aによりX2側から片持ち支持されている。載置台23bのX1側にはシャーシ26が設けられておらず、載置台23bのX1側は自由端となっている。
【0121】
テーブル部62およびアーム部63のうち、アーム部63がベルト61cの所定箇所に接続されており、載置台駆動部61bによってY方向に移動される。テーブル部62は、ベルト61cには接続されておらず、アーム部63と係合することによって、アーム部63と一体的に移動可能である。
【0122】
図11に示すように、テーブル部62は、X方向に延びる直方体形状を有し、係合部材62bと、係合ローラ62cとを有する。テーブル部62のX2側端部にスライダ62aが設けられている。
【0123】
テーブル部62の上面が、第3搬送部23の第3載置面23aを構成する。テーブル部62は、検体ラック2の下面を下方から支持する。テーブル部62は、検体ラック2の幅寸法に対応したY方向幅を有し、1個の検体ラック2を設置可能である。
【0124】
係合部材62bは、テーブル部62のX2側端部において、テーブル部62の上面から上方に向けて立ち上がる壁状形状を有する。係合部材62bに、アーム部63の後述する第1ローラ64bが係合する。係合ローラ62cは、テーブル部62のX2側端部において、ブラケットを介してテーブル部62の下面側に設けられている。
【0125】
図12に示すように、アーム部63は、第1部材64と、第2部材65とを含む。第1部材64は、アーム64a、第1ローラ64bおよび第2ローラ64cを有する。第2部材65は、スライダ65a、ベルト接続部65bおよび付勢部材65cを有する。この第1部材64と、第2部材65とは、第1部材64に設けられたガイド63aと、第2部材65に設けられたスライダ63bとの係合によって、上下(Z方向)に相対移動可能に接続されている。
【0126】
アーム64aは、テーブル部62の上方、つまり第3搬送部23の第3載置面23aの上方に配置されている。アーム64aは、第3載置面23a上に配置された検体ラック2の周囲を取り囲むように形成された板状部材からなる。すなわち、アーム64aは、X方向に延びる前面部64a1と、前面部64a1のX1側端部およびX2側端部からそれぞれY1側に延びる側面部64a2および側面部64a3とを一体的に有する。また、側面部64a2および側面部64a3のY1側先端部は、それぞれ、互いに対向する方向に向けて屈曲した屈曲部64a4、64a5を有する。アーム64aは、X2側端部が第1部材64に取り付けられている。
【0127】
第3搬送部23に検体ラック2が設置される際、検体ラック2は、アーム64aの上方から、アーム64aの内周側を通ってテーブル部62の第3載置面23a上に載置される。これにより、アーム64aの前面部64a1が、検体ラック2のY2側側面と対向し、アーム64aの屈曲部64a4、64a5が、検体ラック2のY1側側面と対向する。
【0128】
第1ローラ64bと第2ローラ64cとは、Y方向に間隔を隔てて配置されている。この第1ローラ64bのY1側(第1ローラ64bと第2ローラ64cとの間)の位置に、テーブル部62の係合部材62bが配置されることにより、第1ローラ64bはテーブル部62の係合部材62bと係合可能に構成されている。第2ローラ64cは、後述する係合切替機構66(図10参照)により、第1ローラ64bと係合部材62bとを係合させたり係合解除させたりする機能を有する。
【0129】
第2部材65は、X2側にスライダ65aを有する。ベルト接続部65bは、載置台移動機構23cのベルト61c(図10参照)に固定されている。これにより、ベルト61cの移動に伴って、アーム部63(第2部材65および第1部材64)の全体が、Y方向に移動する。付勢部材65cは、一端が第1部材64に取り付けられ、他端が第2部材65に取り付けられている。付勢部材65cは、第1部材64を、下方(Z2方向)に付勢している。
【0130】
図10に戻り、第3搬送部23は、テーブル部62とアーム部63との係合状態を切り替える係合切替機構66を備えている。係合切替機構66は、第3搬送部23との受渡位置にある第1昇降部27と隣接してY1方向端部に設けられている。係合切替機構66は、第2ローラ64c(図12参照)を動作させる傾斜ブロック66aと、係合ローラ62c(図11参照)と係合する位置決め部材66bとを備える。
【0131】
傾斜ブロック66aは、Y2側端部からY1方向に向かって高くなるように傾斜した傾斜面66a1と、傾斜面66a1のY1側端部からY1方向に延びる水平面66a2とを有する。位置決め部材66bは、係合凹部66b1を有し、回動軸66b2を中心に回動可能に設けられている。
【0132】
係合部材62bと第1ローラ64bとが係合した係合状態(図16参照)では、アーム部63がY1方向に移動すると、係合部材62bが第1ローラ64bにY1方向へ押されることにより、テーブル部62とアーム部63とがY1方向へ一体的に移動する。一方、係合部材62bと第1ローラ64bとが係合していない係合解除状態(図18参照)では、アーム部63がY1方向に移動することにより、テーブル部62を残してアーム部63がY1方向へ移動する。係合解除状態では、載置台駆動部61bによりアーム部63のみがY1方向へ移動し、テーブル部62は移動しない。傾斜ブロック66aは、係合部材62bと第1ローラ64bとの係合状態を切り替える。
【0133】
テーブル部62のスライダ62aは、アーム部63のスライダ65aに対してY2側に配置されている。このため、アーム部63がY2方向に移動する際には、係合状態と係合解除状態とに関わらず、テーブル部62がアーム部63に押されることでアーム部63とテーブル部62とが一体でY2方向へ移動する。載置台23b(テーブル部62およびアーム部63)の移動範囲のY2方向端部に、原点位置に配置された載置台23bを検出する原点センサ68(図10参照)が設けられている。
【0134】
図13に示すように、テーブル部62およびアーム部63がY2側の原点位置にある状態で、第3載置面23a上に検体ラック2が設置される。検体ラック2が設置されると、アーム部63が載置台駆動部61bによってY1方向に駆動される。原点位置ではテーブル部62とアーム部63とが係合状態にあり、テーブル部62とアーム部63とが一体的に移動する。
【0135】
図14に示すように、テーブル部62およびアーム部63がY1方向端部の受渡位置の直前まで到達すると、アーム部63の第2ローラ64cが傾斜ブロック66aの傾斜面66a1に乗り上がる。第2ローラ64cがZ1方向に持ち上げられることにより、アーム部63の第1部材64の全体が、第2部材65に対して上方(Z1方向)へ移動する。この第1部材64のZ1方向移動により、図16図18に示すように、アーム部63の第1ローラ64bが、テーブル部62の係合部材62bの上端部よりも上側位置へ移動する。その結果、第1ローラ64bと係合部材62bとの係合が解除される。第2ローラ64cが傾斜ブロック66aの水平面66a2に到達するとき、アーム部63は係合解除状態となっている。係合状態と係合解除状態が切り替わる位置を、係合切替位置と呼ぶ。この係合切替位置よりもY1方向側へ移動する場合には、アーム部63のみがY1方向移動することになる。
【0136】
また、アーム部63が係合切替位置に到達するとき、図16図18に示すように、テーブル部62の下面側の係合ローラ62cが、位置決め部材66bと当接し、位置決め部材66bを原点位置から押し退けるように反時計方向に回動させる。係合ローラ62cが位置決め部材66bの係合凹部66b1の位置に到達すると、位置決め部材66bを原点位置に向けて付勢する付勢部材66b3の付勢力によって、位置決め部材66bが時計方向に回動され、係合ローラ62cが係合凹部66b1の内部に収まる。これにより、アーム部63との係合が解除されたテーブル部62が、位置決め部材66bと係合する。テーブル部62は、アーム部63との係合が解除された状態では、Y方向に自由に移動可能になるが、位置決め部材66bと係合することによって、Y方向位置が固定される。テーブル部62と位置決め部材66bとが係合する位置は、図14に示すように、テーブル部62と受渡位置に配置された第1昇降部27との間で、検体ラック2の受け渡しが可能となるように設定されている。
【0137】
図15に示すように、係合解除後、アーム部63が載置台駆動部61bによってさらにY1方向に駆動される。これにより、アーム部63のアーム64aが、テーブル部62の上方位置から、第1昇降部27の上方位置までY1方向に移動する。このアーム64aによって、テーブル部62に設置されていた検体ラック2が、アーム64aに押されてY1方向へ移動し、第1昇降部27の上面上に移動される。このようにして、第3搬送部23に設置された検体ラック2が、受渡位置に配置された第1昇降部27に受け渡される。
【0138】
受渡位置において、アーム64aは第1昇降部27の上方に位置する。この状態で第1昇降部27がZ2方向に下方移動することで、検体ラック2がアーム64aの内側を通り抜けてZ2方向へ搬送される。検体ラック2がアーム64aを通過した後で、アーム部63が載置台駆動部61bによってY2方向に駆動されることにより、アーム部63およびテーブル部62が原点位置へ戻される。受渡位置からY2方向に移動する際には、第2ローラ64cが傾斜ブロック66aの傾斜面66a1を下り降りることにより、アーム部63の第1部材64の全体が、第2部材65に対して下方(Z2方向)へ移動する。この第1部材64のZ2方向への移動により、アーム部63の第1ローラ64bが、テーブル部62の係合部材62bの上端部よりも下側位置へ移動し、第1ローラ64bと係合部材62bとが再び係合する。第1部材64は、付勢部材65cの付勢力によって、第1ローラ64bと係合部材62bとが係合する位置まで確実に復帰する。
【0139】
テーブル部62とアーム部63とが再び係合した後は、アーム部63が載置台駆動部61bによってY2方向に駆動されることにより、アーム部63がテーブル部62を押してY2方向に一体的に移動させる。この際、テーブル部62の係合ローラ62cは、位置決め部材66bを反時計方向に回動させて係合凹部66b1の内側から離脱して、テーブル部62と位置決め部材66bとの係合が解除される。
【0140】
以上のような構成により、第3搬送部23と第1昇降部27との間での検体ラック2の受け渡しが行われる。なお、図10に示すように、第3搬送部23には、原点位置において第3載置面23a上に設置された検体ラック2を検知する光学式のラックセンサ67aと、受渡位置の手前(係合切替位置)において第3載置面23a上に設置された検体ラック2を検知する光学式のラックセンサ67bと、が設けられている。
【0141】
このように、第3搬送部23は、第2載置面22bの下面側に移動機構22eを設置した構造の第2搬送部22とは異なり、シャーシ26のうち、X2側の側面部材26aに片持ち支持された載置台23bを、側面部材26aに設けられた載置台移動機構23cによって移動させる構造となっている。載置台移動機構23cを片持ち支持構造にすることによって、第3搬送部23の上下方向の厚みを効果的に小さくできる。このため、図4に示したように、第3搬送部23の上下方向の厚みは、載置台23bの上下方向寸法に相当し、第3搬送部23の上下方向の厚みが、第2搬送部22の上下方向の厚みよりも小さい。検体搬送部20のうち、上側に配置される第3搬送部23の厚みが小さくなるので、検体搬送部20の高さ寸法が大きくなることを抑制できる。また、ユーザが検体搬送部20に設置された検体ラック2を確認する場合などに、検体ラック2の視認性を向上させることができる。
【0142】
また、図3に示したように、第3搬送部23では、載置台23bがX2側から片持ち支持された構造のため、カバー部24が、第3搬送部23のX2側の側面を覆うのみで、第3搬送部23のX1側の側面が、第1昇降部27との受渡位置を除く載置台23bの移動範囲の略全体に亘って覆われずに開放されている。これにより、第3搬送部23の下側に位置する第2搬送部22に設置された検体ラック2をX1側から容易に視認できる。
【0143】
〈第1昇降部〉
図19に示すように、第1昇降部27は、上下移動可能な昇降載置部71と、ガイドレール72と、昇降駆動部73と、伝達部74とを有する。ガイドレール72と、昇降駆動部73と、伝達部74とは、シャーシ26(図6参照)の一部である背面部材26bに取り付けられている。ガイドレール72は、Z方向に沿って延びており、ガイドレール72には、昇降載置部71に設けられたスライダ71aが移動可能に係合している。昇降駆動部73は、たとえばステッピングモータである。伝達部74は、ベルト74a、プーリ74bおよび74cから構成されたベルト-プーリ機構である。昇降駆動部73は、プーリ74bを回転駆動することにより、Z方向の上下に設けられたプーリ74bおよび74cに掛け渡されたベルト74aを循環移動させる。昇降載置部71は、ベルト74aの一部に固定されており、ベルト74aの循環移動に伴ってガイドレール72に沿ってZ方向に移動する。これにより、昇降駆動部73によって、昇降載置部71が上下方向(Z方向)に移動する。
【0144】
昇降載置部71には、検体ラック2が載置される。図20に示すように、昇降載置部71は、ストッパ71bと、ラックセンサ71cと、横送り部75と、を有する。
【0145】
ストッパ71bは、昇降載置部71の上面のY1側端部から上方に立ち上がるように設けられている。ストッパ71bは、第2搬送部22または第3搬送部23から昇降載置部71上へY1方向に送り出された検体ラック2と当接して、検体ラック2を停止させる。ラックセンサ71cは、透過型の光センサである。ラックセンサ71cは、昇降載置部71上に検体ラック2が配置されたことを検知する。
【0146】
横送り部75は、X方向に循環駆動される搬送ベルト75aと、ベルト駆動部75bと、伝達部75cとを有する。ベルト駆動部75bは、たとえば、ステッピングモータである。伝達部75cは、ベルト駆動部75bの出力軸に取り付けられたプーリ75c1と、搬送ベルト75aの駆動軸に取り付けられたプーリ75c2と、プーリ75c1、75c2に掛け渡された伝達ベルト75c3とを有する。ベルト駆動部75bは、伝達部75cを介して、搬送ベルト75aの駆動軸を回転させる。搬送ベルト75aは、昇降載置部71の上面上に露出している。ベルト駆動部75bにより搬送ベルト75aがX1方向またはX2方向に循環駆動されることにより、昇降載置部71上に載置された検体ラック2をX方向に移動させる。
【0147】
なお、図6に示した第2昇降部33も、第1昇降部27の昇降載置部71と同様の昇降載置部を備えている。昇降載置部の横送り部によって、第1搬送路31および第2搬送路32と第2昇降部33との間で検体ラック2が受け渡される。
【0148】
(検体ラックの搬送動作)
次に、検体搬送部20による検体ラック2の搬送動作の流れを説明する。
【0149】
図21に示すように、検体ラック2が、ユーザにより第2搬送部22(ラック設置部)に設置される。測定部10への検体ラック2の供給を開始する場合、図22に示すように、第1昇降部27の昇降載置部71が第2搬送部22の受渡位置P11に移動する。第2搬送部22は、移動機構22eにより検体ラック2をY1方向に移動させ、第2搬送部22に設置された検体ラック2を第1昇降部27に受け渡す。
【0150】
図23に示すように、検体ラック2を受け取った第1昇降部27は、昇降載置部71を読取部28の読取位置P12に移動する。この読取位置P12は、第1昇降部27と第1搬送路31との間の検体ラック2の受渡位置でもある。読取部28は、昇降載置部71上の検体ラック2および検体ラック2に保持された各検体容器1のそれぞれの識別情報を読み取る。
【0151】
図24に示すように、識別情報の読み取り後、第1昇降部27は、横送り部75により検体ラック2をX2方向へ移動させ、第1搬送路31上へ送り出す。図25に示すように、第1搬送路31は、第1昇降部27から受け取った検体ラック2を、検体吸引位置P1までX2方向へ移動させる。横送り機構36により、検体ラック2に保持された検体容器1が1本ずつ、順次検体吸引位置P1に位置付けられる。検体吸引位置P1において、測定部10により、検体ラック2に保持された各検体容器1中の検体が順次吸引される。
【0152】
検体吸引後、第1搬送路31は、図26に示すように、検体吸引済みの検体ラック2をX2方向へ移動させ、受渡位置P21に移動した第2昇降部33上へ受け渡す。図27に示すように、検体ラック2を受け取った第2昇降部33は、第2搬送路32の受渡位置P22に移動する。第2昇降部33は、検体ラック2をX1方向へ移動させ、第2搬送路32上へ送り出す。
【0153】
図28に示すように、第2搬送路32は、第2昇降部33から受け取った検体ラック2を、X1方向へ移動させる。第1昇降部27は、昇降載置部71を第2搬送路32との受渡位置P13に移動させる。第2搬送路32は、検体ラック2をX1方向へ移動させ、受渡位置P13に移動した第1昇降部27上へ受け渡す。
【0154】
図29に示すように、検体ラック2を受け取った第1昇降部27は、昇降載置部71を第1搬送部21との受渡位置P14に移動する。第1搬送部21は、送り込み機構56により、昇降載置部71上の検体ラック2を第1載置面21b上までY2方向に移動させ、第1昇降部27から検体ラック2を受け取る。
【0155】
このようにして、第2搬送部22に設置された検体ラック2が第1搬送部21に回収されるまでの検体ラック2の搬送が行われる。
【0156】
図30に示すように、第3搬送部23に検体ラック2が設置された場合は、第1昇降部27の昇降載置部71が、図22に示した第2搬送部22の受渡位置P11ではなく、図31に示す第3搬送部23の受渡位置P15に移動する。第3搬送部23は、載置台移動機構23cにより載置台23bをY1方向に移動させ、載置台23bに設置された検体ラック2を第1昇降部27に受け渡す。
【0157】
検体ラック2が第1昇降部27に受け渡された後の動作は、図23図29に示した動作と同様であるので、説明を省略する。
【0158】
(測定部)
次に、図32を参照して、測定部10の構成について詳細に説明する。
【0159】
測定部10は、検体の測定を行う測定機構110を備える。測定機構110は、検体分注部111と、容器移送部112と、容器供給部113と、試薬分注部(114a~114e)と、試薬保冷庫115と、反応部116と、BF分離部117と、検出部118と、を含む。測定機構110は、筐体120内の第1収容部121(図33参照)に収容されている。筐体120は、これらの測定部10の各部を内部に収容可能な箱状形状を有する。
【0160】
検体分注部111は、検体搬送部20により検体吸引位置P1に搬送された検体を吸引し、吸引した検体を容器3に分注する。検体分注部111は、筐体120内のY1側(背面側)端部で、かつ、X2側の隅部付近に設けられている。検体分注部111は、吸引および吐出を行うためのピペット111aと、ピペット111aを移動させるピペット移動機構111bとを含む。ピペット移動機構111bは、ピペット111aを回転軸111c周りに回動させる動作と、ピペット111aを上下方向に沿って移動させる動作とが可能に構成されている。検体分注部111は、回転軸111c周りの回動により、ピペット111aを第1搬送路31上の検体吸引位置P1と、検体分注位置P31とに移動させることが可能である。検体分注部111は、ピペット111aを上下方向に移動させることにより、ピペット111aの先端部を検体容器1内に進入させたり、検体容器1内から退避させたりする。
【0161】
検体分注部111は、分注チップをピペット111aの先端に装着して、検体吸引位置P1に搬送された検体容器1中の検体を分注チップ内に所定量吸引する。検体分注部111は、吸引した検体を検体分注位置P31に配置された容器3に分注する。分注後、検体分注部111は、分注チップをピペット111aの先端から取り外して廃棄する。
【0162】
容器移送部112は、容器3を移送する。容器移送部112は、容器供給部113から空の容器3を取得し、検体分注部111、試薬分注部114、反応部116、BF分離部117、検出部118などの各々の処理位置に容器3を移送する。容器移送部112は、容器3を把持するキャッチャ112aと、キャッチャ112aを移動させる移動機構とにより構成される。移動機構は、上下方向および水平2方向の直交3軸方向に移動可能な直交ロボットである。移動機構は、回転軸回りに水平回転するアーム機構や、多関節ロボット機構を含んでいてもよい。
【0163】
容器供給部113は、未使用の容器3を複数貯留できる。容器供給部113は、所定の容器供給位置において、容器移送部112に未使用の空の容器3を供給する。
【0164】
試薬分注部は、試薬容器内の試薬を吸引し、吸引した試薬を容器3に分注する。試薬分注部は、試薬容器131中のR1試薬を分注するための第1試薬分注部114aと、試薬容器132中のR2試薬を分注するための第2試薬分注部114bと、試薬容器133中のR3試薬を分注するための第3試薬分注部114cと、を含む。また、試薬分注部114は、R4試薬を分注するための第4試薬分注部114dおよびR5試薬を分注するための第5試薬分注部114eを含む。試薬容器131、132、133は、試薬保冷庫115に収容されている。
【0165】
第1試薬分注部114aは、R1試薬を吸引するための吸引位置P32aと、R1試薬分注位置P33aとの間でピペット114fを移動できる。第2試薬分注部114bは、R2試薬を吸引するための吸引位置P32bと、R2試薬分注位置P33bとの間でピペット114fを移動できる。第3試薬分注部114cは、R3試薬を吸引するための吸引位置P32cと、R3試薬分注位置P33cとの間でピペット114fを移動できる。
【0166】
第4試薬分注部114dおよび第5試薬分注部114eは、試薬保冷庫115からは離れた位置に設けられている。第4試薬分注部114dおよび第5試薬分注部114eは、それぞれR4試薬およびR5試薬を収容した試薬容器と送液チューブを介して接続されており、容器移送部112によって移送された容器3中に試薬を吐出できる。
【0167】
試薬保冷庫115は、断熱構造のケース115a内に容器保持部115bを有する。容器保持部115bは試薬容器を保持する。ケース115aは、冷却器により試薬容器内の試薬を保管に適した一定温度に保冷する。ケース115aの上面には、吸引位置P32a、吸引位置P32bおよび吸引位置P32cにおいてケース115aの内部にピペット114fが進入できるように、開閉可能な孔部が設けられている。
【0168】
容器保持部115bは、複数の試薬容器を円周方向に並べて保持するように形成されている。容器保持部115bは、同心円状の複数の試薬容器の列を、独立して周方向に回転できる。これにより、容器保持部115bは、吸引位置P32a~P32cの各々の直下の位置に、保持する試薬容器の列のうちから選択された所望の試薬容器を配置できる。容器保持部115bには、R1試薬、R2試薬、R3試薬をそれぞれ収容する試薬容器131、132、133がセットされる。
【0169】
反応部116は、ヒーターおよび温度センサを備え、容器3を保持して、容器3内に収容された試料を加温して反応させる。加温により、容器3内に収容された検体および試薬が反応する。
【0170】
BF分離部117は、容器3から、液相と固相とを分離するBF分離処理を実行する機能を有する。BF分離部117は、後述する免疫複合体が形成された磁性粒子を磁力により集めた状態で、吸引管により容器3内の液体成分を吸引し、吐出管により洗浄液を供給する。これにより、BF分離部117は、容器3内の液体成分に含まれる不要物質を、免疫複合体が形成された磁性粒子から分離して除去するように構成されている。
【0171】
検出部118は、検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光検出器で検出し、検出した光の量に応じた検出信号を出力する。光検出器は、たとえば光電子増倍管を含む。
【0172】
図33に示すように、測定部10は、筐体120内に、第1収容部121と、第1収容部121の下方に配置された第2収容部122と、第2収容部122の下方に配置された第3収容部123と、を備えている。
【0173】
第1収容部121は、検体の測定を行う測定機構110(図32参照)を収容する収容空間である。図33では、検体分注部111のみを図示しているが、図32に示した測定機構110の各部は、第1収容部121および第2収容部122内に配置されている。第2収容部122は、さらに、測定機構110を動作させるための流体回路部141の一部を収容する収容空間である。流体回路部141は、第1収容部121に配置された検体分注部111、第1試薬分注部114a、第2試薬分注部114b、第3試薬分注部114c、第4試薬分注部114d、第5試薬分注部114e、およびBF分離部117とそれぞれ流体的に接続されている。流体回路部141は、各分注部(111、114a~114e)およびBF分離部117おける液体の吸引および吐出を行うために、圧力を供給するポンプ、および流路を切り替えるバルブを含む。第3収容部は、流体回路部141を収容する収容空間である。
【0174】
ここで、検体搬送部20の第1搬送路31は、第2収容部122よりも上方の高さ位置に配置され、第2搬送路32は、第2収容部122の中央よりも下方、かつ、第3収容部123より上方の高さ位置に配置されている。これにより、上下方向(Z方向)において、第1搬送路31と第2搬送路32との間に第2収容部122の半分以上の領域が配置される。また、第2搬送路32の下方に第3収容部123の全領域が配置される。そのため、たとえば第2収容部122に収容された流体回路部141のメンテナンスを行う場合に、第1搬送路31と第2搬送路32との間から第2収容部122の内部に容易にアクセスできる。また、第3収容部123に収容された流体回路部141のメンテナンスを行う場合に、第1搬送路31と第2搬送路32が邪魔にならない。そのため、測定部10のメンテナンスを行う際に搬送機構29を分解および再組立する必要がなく、効率的にメンテナンス作業を行える。
【0175】
また、本実施形態では、第1搬送部21および第2搬送部22の各々は、第1搬送路31および第2搬送路32の各々とは異なる高さ位置に配置されている。同様に、第3搬送部23は、第1搬送路31および第2搬送路32の各々とは異なる高さ位置に配置されている。
【0176】
ここで、検体搬送部20の各搬送部(第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23)の高さ位置は、ユーザにとって作業しやすい高さ位置に設定することが望まれる。一方、第1搬送路31および第2搬送路32は、測定部10に対する検体ラック2の搬送経路となるため、検体吸引を行う測定部10の装置構成に適合した高さ位置に配置することが要請される。そこで、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23と、第1搬送路31および第2搬送路32との間に、上下移動可能な第1昇降部27を設けた本実施形態の構成では、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の高さ位置を、第1搬送路31および第2搬送路32の高さ位置(すなわち、測定部10の装置構成に適合した高さ位置)とは無関係に設定できる。そのため、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の高さ位置を、それぞれ第1搬送路31および第2搬送路32の各々とは異なった、ユーザにとって作業しやすい高さ位置に設定できる。
【0177】
具体的には、第2搬送部22および第3搬送部23は、第1搬送路31よりも上方の高さ位置に配置され、第1搬送部21は、第2搬送路32よりも上方の高さ位置に配置されている。このように、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の高さ位置を、ユーザが立って作業するのに適した高めの位置に設定することによって、検体ラック2の設置/回収作業の作業性を向上させることができる。
【0178】
(検体測定装置の制御に関わる構成)
次に、検体測定装置300の制御に関わる構成について説明する。
【0179】
図34に示すように、検体測定装置300は、測定部10に設けられた主制御基板210および測定制御基板230と、検体搬送部20に設けられた搬送制御基板220と、を備える。
【0180】
主制御基板210は、制御部211と、通信部212と、記憶部213とを備える。制御部211は、CPUまたはFPGAから構成されたプロセッサとメモリとを含んで構成され、記憶部213に記憶された制御プログラムを実行することにより、測定部10および検体搬送部20の各部を制御する。記憶部213は、半導体記憶素子からなり、制御部211が実行するプログラム、識別情報および測定オーダーのデータ、検出部118により取得された検出信号のデータを記憶する。通信部212は、検体搬送部20および分析部400と通信を行うためのI/Oインターフェースおよび通信インターフェースを含む。
【0181】
搬送制御基板220は、検体搬送部20の各部に設けられたセンサからの信号を取得するI/O回路、検体搬送部20の各部に設けられたモータの駆動回路、および、主制御基板210との通信回路を含む。主制御基板210の制御部211は、搬送制御基板220を介して、第1搬送部21、第2搬送部22、第3搬送部23、第1昇降部27、読取部28、送り込み機構56、第1搬送路31、第2搬送路32、第2昇降部33の動作を制御する。制御部211は、読取部28から取得された検体ラック2および検体容器1の各識別情報を、搬送制御基板220を介して取得する。
【0182】
測定制御基板230は、測定機構110の動作を制御するためのセンサのI/O回路、モータおよびバルブの駆動回路、および、主制御基板210との通信回路を含む。主制御基板210の制御部211は、測定制御基板230を介して、測定機構110の動作を制御する。制御部211は、検体測定処理によって検出部118により取得された検出信号のデータを、測定制御基板230を介して取得する。
【0183】
分析部400は、パーソナルコンピュータ(PC)からなり、CPU、ROM、RAM、ソリッドステートドライブ(SSD)などからなる本体と、液晶ディスプレイからなる表示部と、キーボードおよびマウスからなる入力デバイスとから主として構成されている。
【0184】
分析部400は、主制御基板の通信部212およびホストコンピュータ500と通信可能に接続されている。分析部400は、検体搬送部20の読取部28で読み取られた識別情報を、主制御基板210を介して取得する。分析部400は、識別情報をホストコンピュータ500に照合することにより、検体ラック2に保持されたそれぞれの検体容器1中の検体の測定オーダーを取得するように構成されている。
【0185】
分析部400は、取得した測定オーダーを主制御基板210の通信部212を介して制御部211に送信する。送信された測定オーダーに応じて、制御部211が、検体搬送部20および測定部10の各部を制御する。
【0186】
制御部211は、測定部10により検体容器1中の検体を測定して得られた検出部118の検出信号を、通信部212を介して分析部400に送信する。分析部400は、取得した検出信号に基づいて、検体中の被検物質の含有量などを分析するように構成されている。また、分析部400は、分析結果を、表示画面に表示したりホストコンピュータ500に送信したりする。
【0187】
(検体測定装置の測定動作)
次に、検体測定装置300の測定動作を、図35を用いて説明する。検体搬送部20および測定部10の動作は、制御部211により制御される。
【0188】
〈検体搬送部〉
ステップS1において、制御部211は、第3搬送部23に検体ラック2が設置されたか否かを判断する。制御部211は、ラックセンサ67aにより第3搬送部23の載置台23b上に設置された検体ラック2が検知された場合、ステップS2に処理を進める。
【0189】
ステップS2において、制御部211は、緊急検体ラック送出処理を実行する。緊急検体ラック送出処理は、第3搬送部23から検体ラック2を第1昇降部27へ送り出し、読取部28により検体ラック2および検体容器1の識別情報を読み取り、検体ラック2を第1搬送路31へ受け渡す処理である。なお、ステップS2の処理は割り込み処理であるため、以下のステップS3~S8の実行中にもステップS1の判断処理は、継続的に実行される。ステップS3~S8の実行中に、ステップS1において第3搬送部23(割込検体設置部)に検体ラック2が設置されたと判断されると、ステップS3~S8の実行対象である検体ラック2に対するステップS3~S8が継続されるとともに、並行して、第3搬送部23(割込検体設置部)に設置された検体ラック2に対して、ステップS2、S5~S8の処理が実行される。
【0190】
一方、ステップS1において、第3搬送部23に検体ラック2が設置されていない場合、すなわち、ラックセンサ67aにより第3搬送部23の載置台23b上に検体ラック2が検知されていない場合、制御部211は、ステップS3に処理を進める。
【0191】
ステップS3において、制御部211は、第2搬送部22に検体ラック2が設置されているか否かを判断する。制御部211は、ラック有無センサ45a~45dにより第2搬送部22の第2載置面22b上に設置された検体ラック2が検知された場合、ステップS4に処理を進める。
【0192】
ステップS4において、制御部211は、一般検体ラック送出処理を実行する。一般検体ラック送出処理は、第2搬送部22から1つの検体ラック2を第1昇降部27へ送り出し、読取部28により検体ラック2および検体容器1の識別情報を読み取り、検体ラック2を第1搬送路31へ受け渡す処理である。
【0193】
一方、ステップS3において、第2搬送部22に検体ラック2が設置されていない場合、すなわち、ラック有無センサ45a~45dにより第2搬送部22の第2載置面22b上に検体ラック2が検知されていない場合、制御部211は、処理を終了する。
【0194】
このため、ステップS1~S4により、第2搬送部22および第3搬送部23のいずれかに検体ラック2が設置されたことが検知されると、その検体ラック2を測定部10の検体吸引位置P1へ向けて送り出す処理が行われる。緊急検体ラック送出処理または一般検体ラック送出処理が実行されると、送り出された検体ラック2および検体容器1の各識別情報が読取部28で読み取られ、分析部400に送信される。
【0195】
制御部211は、ステップS2の緊急検体ラック送出処理またはステップS4の一般検体ラック送出処理の後、ステップS5に処理を進める。ステップS5において、制御部211は、第1搬送路31を制御して、第1搬送路31上に受け渡された検体ラック2を、検体吸引位置P1へ搬送させる。制御部211は、横送り機構36により、検体吸引位置P1に配置された検体容器1から検体が吸引される度に、次の未吸引の検体容器1を検体吸引位置P1に配置させる。検体ラック2に保持された全ての検体容器1を検体吸引位置P1に配置させると、制御部211は、ステップS6に処理を進める。
【0196】
ステップS6において、制御部211は、検体吸引済みの検体ラック2を、第1搬送路31から第2昇降部33に受け渡す制御を行う。制御部211は、第2昇降部33を制御して、第1搬送路31と第2昇降部33との受渡位置P21に第2昇降部33を移動させる。そして、制御部211は、第1搬送路31を制御して、検体ラック2を第2昇降部33上まで搬送させる。
【0197】
ステップS7において、制御部211は、第2昇降部33に受け渡された検体ラック2を、第2昇降部33から第2搬送路32に受け渡す制御を行う。制御部211は、第2昇降部33を制御して、第2搬送路32と第2昇降部33との受渡位置P22に第2昇降部33を移動させる。そして、制御部211は、第2昇降部33を制御して、検体ラック2を第2搬送路32上まで横送りさせる。
【0198】
ステップS8において、制御部211は、第2搬送路32へ受け渡された検体ラック2のラック回収処理を実行する。ラック回収処理は、検体ラック2を第2搬送路32から第1昇降部27を介して第1搬送部21へ送り込む処理である。ステップS8により検体ラック2が第1搬送部21に回収されることにより、1つの検体ラック2に対する搬送処理が完了する。
【0199】
〈測定部〉
測定部10では、ステップS11において、制御部211は、読取部28で読み取られた識別情報に基づいて、分析部400から測定オーダーを取得する。
【0200】
ステップS12において、制御部211は、ステップS5で検体吸引位置P1に搬送された検体容器1中の検体を、検体分注部111により吸引する制御を行う。
【0201】
ステップS13において、制御部211は、吸引した検体について、測定機構110による検体測定処理を実行する。検体測定処理の結果、検出部118の検出信号のデータが得られる。
【0202】
ステップS14において、制御部211は、得られた検出信号のデータを、通信部212により分析部400に出力する制御を行う。分析部400は、測定部10から取得した検出信号に基づいて、検体中の被検物質の含有量などを分析し、分析結果を表示部に表示させる。
【0203】
以上により、検体測定装置300の動作処理が行われる。
【0204】
制御部211は、次の検体ラック2の搬送処理を実行するため、ステップS1から処理を再度実行する。そのため、ユーザが第2搬送部22に複数の検体ラック2をまとめて設置すると、第2搬送部22の先頭(Y1方向側)の1つの検体ラック2に対して、ステップS4~S8までの処理が実行される。制御部211は、第2搬送部22に設置された検体ラック2がなくなるまで、ステップS1~S8の処理を実行する。
【0205】
制御部211は、検体ラック2に保持された複数の検体容器1について、ステップS11~S14の処理をそれぞれ行い、検出信号のデータをそれぞれ取得する。制御部211は、次の検体ラック2が検体搬送部20において送り出されると、新たな検体ラック2に保持された各検体容器1に対してステップS11~S14の処理を実行する。
【0206】
なお、ここでは1つの検体ラック2に対する搬送処理を説明するため、検体ラック2の送出から回収までを一連のフローとして図示しているが、実際には、複数の検体ラック2の搬送処理が、タイミングをずらしつつ並行して実行される。たとえばある検体ラック2について、ステップS5で検体吸引が実行されている間に、次の検体ラック2のラック送出処理(ステップS2またはS4)、または、前の検体ラック2に対するラック回収処理(ステップS8)が実行されうる。
【0207】
(緊急検体ラック送出処理)
次に、図36を参照して、図35のステップS2の緊急検体ラック送出処理について説明する。緊急検体ラック送出処理は、制御部211により実行される。検体搬送部20の動作は、図21図31を参照するものとする。
【0208】
ステップS21において、制御部211は、昇降駆動部73を制御して、第1昇降部27を第3搬送部23の受渡位置P15まで移動させる。
【0209】
ステップS22において、制御部211は、載置台駆動部61bを制御して、第3搬送部23の載置台23bを原点位置から受渡位置P15までY1方向に移動させる。制御部211は、昇降載置部71のラックセンサ71cにより検体ラック2が検知されると、載置台駆動部61bの駆動を停止させる。これにより、検体ラック2が、第3搬送部23から第1昇降部27に受け渡される。なお、受け渡し動作を行っても第1昇降部27のラックセンサ71cにより検体ラック2が検知されない場合、制御部211は所定のエラー処理を実行する。
【0210】
ステップS23において、制御部211は、昇降駆動部73を制御して、第1昇降部27を読取部28の読取位置P12まで移動させる。ステップS24において、制御部211は、読取部28により、読取位置P12に配置された第1昇降部27上の検体ラック2の識別情報と、検体ラック2に保持された検体容器1の識別情報とを読み取る制御を行う。制御部211は、読取部28から識別情報を取得すると、取得した識別情報を、通信部212により分析部400へ送信する。
【0211】
ステップS25において、制御部211は、ベルト駆動部75bを制御して、第1昇降部27上の検体ラック2を、横送り部75により第1搬送路31上へ移動させる。これにより、第1昇降部27上の検体ラック2が第1搬送路31へ受け渡される。
【0212】
以上により、緊急検体ラック送出処理が完了し、ステップS5以降の処理へ戻る。
【0213】
(一般検体ラック送出処理)
次に、図37を参照して、図35のステップS4の一般検体ラック送出処理について説明する。一般検体ラック送出処理は、制御部211により実行される。
【0214】
ステップS31において、制御部211は、昇降駆動部73を制御して、第1昇降部27を第2搬送部22の受渡位置P11まで移動させる。
【0215】
ステップS32において、制御部211は、第2搬送部22の爪部駆動部43gおよび爪部駆動部44gを制御して、一方爪部41および他方爪部42をY2側の前端部からY1方向に移動させる。制御部211は、昇降載置部71のラックセンサ71cにより検体ラック2が検知されると、爪部駆動部53gおよび爪部駆動部54gの駆動を停止させる。これにより、検体ラック2が、第2搬送部22から第1昇降部27に受け渡される。なお、受け渡し動作を行ってもラックセンサ71cにより検体ラック2が検知されない場合、制御部211は所定のエラー処理を実行する。
【0216】
ステップS33において、制御部211は、ラックバック機構47を作動させる。これにより、第2搬送部22に複数の検体ラック2が設置されている場合、第1昇降部27に受け渡された先頭の検体ラック2以外の、2番目以降の検体ラック2が、ラックバック機構47の一対の爪部47aによって所定の安全距離だけY2方向に戻される。なお、ラックバック機構47を作動させても後端部センサ46により2番目の検体ラック2が検知されない場合、制御部211は所定のエラー処理を実行する。
【0217】
ステップS34~ステップS36の処理は、緊急検体ラック送出処理のステップS23~ステップS25の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0218】
以上により、一般検体ラック送出処理が完了し、ステップS5以降の処理へ戻る。
【0219】
(ラック回収処理)
次に、図38を参照して、図35のステップS8のラック回収処理について説明する。ラック回収処理は、制御部211により実行される。
【0220】
ステップS41において、制御部211は、昇降駆動部73を制御して、第1昇降部27を第2搬送路32の受渡位置P13まで移動させる。
【0221】
ステップS42において、制御部211は、第2搬送路32を制御して、第2搬送路32上の検体ラック2を第1昇降部27上までX1方向に搬送する。制御部211は、昇降載置部71のラックセンサ71cにより検体ラック2が検知されると、第2搬送路32の動作を停止させる。これにより、検体ラック2が、第2搬送路32から第1昇降部27に受け渡される。なお、受け渡し動作を行ってもラックセンサ71cにより検体ラック2が検知されない場合、制御部211は所定のエラー処理を実行する。
【0222】
ステップS43において、制御部211は、昇降駆動部73を制御して、第1昇降部27を第1搬送部21の受渡位置P14まで移動させる。
【0223】
ステップS44において、制御部211は、送り込み機構56の回収駆動部56dを制御して、検体ラック2を第1昇降部27から第1搬送部21へ移動させる。これにより、検体ラック2が、第1昇降部27から第1搬送部21に受け渡される。なお、送り込み機構56を動作させてもラックセンサ71cにより検体ラック2が検知されたままである場合、制御部211は所定のエラー処理を実行する。
【0224】
ステップS45において、制御部211は、第1搬送部21の爪部駆動部53gおよび爪部駆動部54gを制御して、一方爪部51および他方爪部52をY1側の原点位置からY2方向に移動させる。これにより、検体ラック2が、送り込み機構56によって送り込まれた位置から、第1搬送部21の前端部へ向けて搬送される。
【0225】
第1搬送部21は、今回送り込まれた検体ラック2をY2方向に搬送する。検体ラック2が当接部材55aを押圧し、当接部材55aの移動が到達検知部55に検知されると、制御部211は、爪部駆動部53gおよび爪部駆動部54gの駆動を停止する。なお、爪部駆動部53gおよび爪部駆動部54gを駆動させても当接部材55aの移動が到達検知部55により検知されない場合、制御部211は所定のエラー処理を実行する。
【0226】
制御部211は、原点位置から到達検知部55に検知された位置までの爪部駆動部53gおよび爪部駆動部54gの駆動量を取得し、取得した駆動量に基づいて、第1搬送部21に貯留されている検体ラック2の個数を取得する。
【0227】
ステップS46において、制御部211は、取得した検体ラック2の個数が予め設定された上限値に一致したか否かを判断する。第1搬送部21に貯留されている検体ラック2の個数が上限値に達していない場合、ラック回収処理が終了し、今回の検体ラック2の搬送処理が終了する。
【0228】
第1搬送部21に貯留されている検体ラック2の個数が上限値に達した場合、制御部211は、ステップS47に処理を進める。ステップS47において、制御部211は、通信部212により、分析部400に対して、第1搬送部21に貯留されている検体ラック2の個数が上限値に達したことを報知した後、ラック回収処理を終了する。
【0229】
なお、検体ラック2の個数が上限値に達したことが報知された場合、分析部400では、たとえば第1搬送部21からの検体ラック2の取り出し作業の実行を促す案内情報を表示部へ表示する。これにより、ユーザが、第1搬送部21から検体ラック2を取り出す必要があることを分析部400の表示画面から把握できる。
【0230】
(検体測定処理)
次に、図39および図40を参照して、図35のステップS13の検体測定処理について説明する。検体測定処理は、制御部211により実行される。免疫測定の一例として、検体に含まれる被検物質151がB型肝炎表面抗原(HBsAg)である例について説明する。
【0231】
ステップS51において、制御部211は、容器3にR1試薬を分注する制御を行う。制御部211は、容器移送部112に容器3をR1試薬分注位置P33aに移送させ、第1試薬分注部114aにより容器3にR1試薬を分注させる制御を行う。
【0232】
ステップS52において、制御部211は、容器3に検体を吐出する制御を行う。制御部211は、容器移送部112に容器3を検体分注位置P31に移送させる。制御部211は、ステップS12において検体を吸引した検体分注部111を検体分注位置P31まで回動させ、吸引した検体を検体分注位置P31の容器3に吐出させる。図40に示すように、R1試薬は、捕捉物質を含有し、検体中の被検物質151と反応して結合する。たとえば、捕捉物質は、ビオチンで修飾された抗体(biotin抗体)である。
【0233】
ステップS53において、制御部211は、容器移送部112により容器3をR2試薬分注位置P33bに移送させ、第2試薬分注部114bにより容器3にR2試薬を分注させる制御を行う。R2試薬の分注後、制御部211は、容器移送部112により、反応部116に容器3を移送させる。制御部211は、反応部116において、容器3を所定時間の間加温させる。図40に示すように、R2試薬は、捕捉物質と結合する磁性粒子152を含有する。磁性粒子152は、たとえばビオチンと結合するストレプトアビジンを固定した磁性粒子(StAvi結合磁性粒子)である。加温の結果、被検物質151と捕捉物質とが、磁性粒子152と結合する。
【0234】
ステップS54において、制御部211は、BF分離部117に1次BF分離処理を実行させる制御を行う。まず、制御部211は、容器移送部112により容器3をBF分離部117に移送させる。BF分離部117は、容器3中の試料に対して1次BF分離処理を行うように制御される。図40に示すように、1次BF分離処理によって、未反応の捕捉物質などの不要成分が、容器3中から除去される。
【0235】
ステップS55において、制御部211は、容器移送部112により容器3をR3試薬分注位置P33cに移送し、第3試薬分注部114cにより容器3にR3試薬を分注させる制御を行う。R3試薬の分注後、制御部211は、容器移送部112により、反応部116に容器3を移送させる。制御部211は、反応部116において、容器3を所定時間の間加温させる。図40に示すように、R3試薬は、標識物質153を含有し、被検物質151と反応して結合する。標識物質153は、たとえばALP(アルカリホスファターゼ)標識抗体である。加温の結果、磁性粒子152上に、被検物質151と、標識物質153と、捕捉物質とを含む免疫複合体154が形成される。
【0236】
ステップS56において、制御部211は、BF分離部117に2次BF分離処理を実行させる制御を行う。まず、制御部211は、容器移送部112により容器3をBF分離部117に移送させる。BF分離部117は、容器3中の試料に対して2次BF分離処理を行うように制御される。図40に示すように、2次BF分離処理によって、未反応の標識物質153などの不要成分が、容器3中から除去される。
【0237】
ステップS57において、制御部211は、容器3にR4試薬を分注する制御を行う。制御部211は、容器移送部112により容器3を第4試薬分注部114dに移送させ、第4試薬分注部114dにより容器3にR4試薬を分注させる。R4試薬は、緩衝液を含有する。容器3中の磁性粒子152と結合した免疫複合体154が緩衝液中に分散される。
【0238】
ステップS58において、制御部211は、容器3にR5試薬を分注する制御を行う。制御部211は、容器移送部112により容器3を第5試薬分注部114eに移送させ、第5試薬分注部114eにより容器3にR5試薬を分注させる。R5試薬の分注後、制御部211は、容器移送部112により、反応部116に容器3を移送させる。制御部211は、反応部116において、容器3を所定時間の間加温させる。図40に示すように、R5試薬は、化学発光基質を含有する。R4試薬に含有される緩衝液は、免疫複合体154に含まれる標識物質153の標識(酵素)と基質との反応を促進する組成を有する。加温により、標識に対して基質を反応させることによって光が発生する。
【0239】
ステップS59において、制御部211は、免疫複合体154の検出処理の制御を行う。制御部211は、容器移送部112により容器3を検出部118に移送させる。制御部211は、検出部118に、標識に対して基質を反応させることによって生じる光の強度を測定させる。検出部118の検出信号は、制御部211に出力される。制御部211は、通信部212を介して、分析部400に、検出部118の検出信号のデータを送信する。
【0240】
検出終了後は、ステップS60において、容器移送部112が、測定処理済みの容器3を検出部118から取り出して、廃棄口に廃棄するように制御される。
【0241】
以上により、測定部10による検体測定処理が行われる。
【0242】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0243】
(第1変形例)
たとえば、上記第1実施形態では、第3搬送部23(割込検体設置部)に設置された検体ラック2と、第2搬送部22(ラック設置部)に設置された検体ラック2との両方が、検体吸引後に、第1搬送部21(ラック回収部)に搬送される例を示したが、第1変形例では、第3搬送部23に設置された検体ラック2が、検体吸引後に、第3搬送部23に戻されてもよい。
【0244】
図41に示すように、検体吸引済みの緊急検体を保持した検体ラック2が、第2搬送路32から第1昇降部27に受け渡された後、第1変形例では、第1昇降部27が、第3搬送部23との受渡位置P15に移動する。
【0245】
このとき、図15に示したように、第3搬送部23では、載置台駆動部61bにより、アーム部63が、第1昇降部27の受渡位置P15に予め配置されている。このため、第1昇降部27が受渡位置P15に到達する際、第1昇降部27上の検体ラック2が、下方からアーム部63のアーム64aの内部に挿通される。
【0246】
その後、第3搬送部23が、載置台駆動部61bにより、アーム部63をY2方向に移動させると、アーム64aの屈曲部64a4、64a5(図12参照)によって検体ラック2が押されて、検体ラック2が第1昇降部27からテーブル部62に受け渡される。その後、第3搬送部23は、載置台駆動部61bにより、図13に示した前端部の原点位置までアーム部63をY2方向に移動させる。
【0247】
このように、第1変形例では、第1昇降部27は、第3搬送部23から受け入れた検体ラック2を第1搬送路31に移載するために第1搬送路31との受渡位置(読取位置P12(図24参照))に移動し、第2搬送路32から受け入れた検体ラック2を第3搬送部23に移載するために第3搬送部23との受渡位置P15に移動する。これにより、緊急検体を保持する検体ラック2を、第1搬送部21ではなく、第3搬送部23に戻すことができる。そのため、ユーザは、第1搬送部21に設置された一般検体の検体ラック2と、緊急検体の検体ラック2とを、容易に区別して検体搬送部20から回収できる。
【0248】
(第2変形例)
図42に示す第2変形例では、測定部10は、検体容器1から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う第1測定部11と、検体容器1から検体を吸引して、吸引した検体の測定を行う第2測定部12と、を含む。つまり、検体測定装置300が、2台の測定装置を備えている。
【0249】
一例では、第1測定部11と第2測定部12とは、同一の測定装置である。別の例では、第1測定部11と第2測定部12とは、異なる測定装置であって、第1測定部11による測定項目と第2測定部12による測定項目とが、一部または全部が異なっている。
【0250】
搬送機構29は、第1測定部11の検体吸引位置P1aに対して、第1搬送路31、第2搬送路32および第2昇降部33により、検体ラック2を搬送可能である。
【0251】
第2変形例では、搬送機構29は、さらに、第2昇降部33の移動領域と隣接した第3搬送路91と、第3搬送路91の下方に配置されるとともに第2昇降部33の移動領域と隣接した第4搬送路92と、上下方向に移動して第3搬送路91と第4搬送路92との間で検体ラック2を受け渡す第3昇降部93と、を含む。第3搬送路91上に、第2測定部12の検体吸引位置P1bが設定されている。第3搬送路91、第4搬送路92、および第3昇降部93の構成は、それぞれ、第1搬送路31、第2搬送路32、および第2昇降部33の構成と実質的に同じである。
【0252】
第1測定部11は、第1搬送路31上の検体ラック2に保持された検体容器1から検体を吸引するように構成され、第2測定部12は、第3搬送路91上の検体ラック2に保持された検体容器1から検体を吸引するように構成されている。
【0253】
これにより、第2昇降部33を介して、第1搬送路31または第2搬送路32と、第3搬送路91または第4搬送路92との間で検体ラック2を受け渡すことができる。そのため、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23を、第1測定部11と第2測定部12とにそれぞれ別々に設ける必要がないので、複数の測定部10を設ける場合でも、設置面積の増大を抑制できる。
【0254】
図43に示すように、第2変形例では、制御部211は、読取部28により読み取られた識別情報に基づいて、第1測定部11および第2測定部12のうちから検体ラック2の供給先を選択する制御を行う。すなわち、第2搬送部22または第3搬送部23から検体ラック2が第1昇降部27に受け渡された後、読取位置P12で読取部28によって検体ラック2および各検体容器1の識別情報が読み取られると、制御部211は、読み取られた識別情報を分析部400に送信する。分析部400は、識別情報をホストコンピュータ500に照合し、識別情報に対応する測定オーダーを取得し、取得した測定オーダーを制御部211に送信する。制御部211は、取得した測定オーダーに基づいて、第1昇降部27上の検体ラック2を、第1測定部11の検体吸引位置P1aに搬送するか、第2測定部12の検体吸引位置P1bに搬送するかを、選択する。制御部211は、選択した搬送先へ検体ラック2を搬送する制御を行う。
【0255】
これにより、識別情報に基づいて、第2搬送部22または第3搬送部23に設置された検体ラック2を、第1測定部11および第2測定部12のうちの適切な供給先に搬送することができる。
【0256】
第2変形例では、図44に示すように、第1搬送路31上の検体ラック2に保持された検体容器1について、第1測定部11による検体吸引が実行されている間に、他の検体ラック2が、第2搬送路32および第2昇降部33を経由して、第3搬送路91へ搬送される。これにより、他の検体ラック2に保持された検体容器1について、第2測定部12による検体吸引が行われる。図43に示したように、第1搬送路31上で第1測定部11による検体吸引が実行されていない場合には、第1搬送路31および第2昇降部33を経由して、第3搬送路91へ検体ラック2を搬送することができる。
【0257】
なお、図42の第2変形例では、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、X方向に並ぶ第1測定部11および第2測定部12のうち、X1側の第1測定部11のX1側の側面と隣接するように設けられている。第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の位置は、図42の例には限られない。
【0258】
(第3変形例)
図45に示す第3変形例では、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23は、X方向に並ぶ第1測定部11および第2測定部12のうち、X2側の第1測定部11のX2側の側面と隣接するように設けられている。
【0259】
(第4変形例)
図46に示す第4変形例では、検体搬送部20は、2つの第1搬送部321a、321bを含んでいる。同様に、検体搬送部20は、2つの第2搬送部322a、322bを含んでいる。
【0260】
第1測定部11のX1側には、第3搬送部23と、第1搬送部321aおよび第2搬送部322aとが、上下方向に配置されている。第2測定部12のX2側には、第1搬送部321bと第2搬送部322bとが上下方向に配置されている。
【0261】
第4変形例では、X1側の第1搬送部321aおよび第2搬送部322aは、共に、検体ラック2を設置可能であり、設置された検体ラック2を測定部10に向けて搬送するラック設置部である。X2側の第1搬送部321bおよび第2搬送部322bは、共に、測定部10による検体吸引済みの検体容器1を保持した検体ラック2を回収するラック回収部である。なお、第3搬送部23は、割込検体設置部である。
【0262】
このように、上下方向に配置された第1搬送部と第2搬送部とが、共に、ラック設置部またはラック回収部のうちいずれか一方として構成され、同一の機能を果たしてもよい。この場合、複数のラック設置部または複数のラック回収部が上下方向に配置されるので、装置の設置面積を増大させることなく、検体搬送部20に設置可能な検体ラック2の数を増大させることができる。第4変形例では、2つのラック設置部(第1搬送部321aおよび第2搬送部322a)と、2つのラック回収部(第1搬送部321bおよび第2搬送部322b)とにより、検体ラック2の設置可能数と、検体吸引済みの検体ラック2の貯留可能数とを、それぞれ増大させているので、より多くの検体をバッチ処理で測定できる。つまり、検体ラック2の追加設置作業や回収作業の頻度を低減できる。
【0263】
第4変形例では、第3搬送部23と、2つのラック設置部(第1搬送部321aおよび第2搬送部322a)とのいずれかから第1昇降部27に受け渡された検体ラック2が、第1搬送路31上の第1測定部11の検体吸引位置か、第3搬送路91上の第2測定部12の検体吸引位置か、のいずれかに搬送されて、検体吸引に供される。検体吸引後の検体ラック2は、第3昇降部93に受け渡されて、2つのラック回収部(第1搬送部321bおよび第2搬送部322b)のいずれかへ回収される。
【0264】
このように、第4変形例では、ユーザが検体ラック2の設置作業を行う場所が、第1測定部11のX1側に上下に配置された3つの搬送部(第3搬送部23、第1搬送部321aおよび第2搬送部322a)に集約されていて、ユーザが検体ラック2の回収作業を行う場所が、第2測定部12のX2側に上下に配置された2つの搬送部(第1搬送部321bおよび第2搬送部322b)に集約されている。これにより、検体ラック2の設置作業の作業性を向上させることができる。
【0265】
(第5変形例)
図47に示す第5変形例では、ラック設置部の位置とラック回収部の位置とが、上記第4変形例とは異なっている。
【0266】
第1測定部11のX1側には、第3搬送部23と、2つのラック回収部(第1搬送部321bおよび第2搬送部322b)とが上下方向に配置されている。第2測定部12のX2側には、2つのラック設置部(第1搬送部321aおよび第2搬送部322a)が、上下方向に配置されている。
【0267】
(第6変形例)
また、上記実施形態では、第1搬送部21、第2搬送部22および第3搬送部23の3つが上下に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0268】
図48に示す第6変形例では、検体搬送部20は、2つの第1搬送部321aおよび321bと、2つの第2搬送部322aおよび322bとを備えている。一方、第6変形例では、3階層目に相当する第3搬送部23が設けられていない。
【0269】
第1搬送部321aと第2搬送部322aとが、共に第1測定部11のX2側の側面に隣接するように上下方向に配置されている。これにより、第1搬送部321aの上方に第2搬送部322aが配置された2階層の階層構造の第1ユニットが構成されている。第6変形例では、第1搬送部321aがラック設置部であり、第2搬送部322aが割込検体設置部である。
【0270】
そして、第1搬送部321bと第2搬送部322bとが、共に第2測定部12のX1側の側面に隣接するように上下方向に配置されている。これにより、第1搬送部321bの上方に第2搬送部322bが配置された2階層の階層構造の第2ユニットが構成されている。第6変形例では、第1搬送部321bおよび第2搬送部322bは、共に、ラック回収部である。
【0271】
第1搬送部321aおよび第2搬送部322aのY1方向端部に、ラック昇降部327aが設けられている。第1搬送部321bおよび第2搬送部322bのY1方向端部に、ラック昇降部327bが設けられている。また、ラック昇降部327aからX1方向に延びて第1測定部11および第2測定部12の各検体吸引位置P1a、P1bを通過して、ラック昇降部327bまで延びるように、直線状のラック搬送路329が設けられている。
【0272】
ラック昇降部327aは、第1搬送部321aおよび第2搬送部322aの各高さ位置へ上下方向に移動して、検体ラック2を受け取るとともに、ラック搬送路329の高さ位置へ上下方向に移動して、検体ラック2をラック搬送路329上へ送り出すように構成されている。
【0273】
ラック昇降部327bは、ラック搬送路329の高さ位置へ上下方向に移動して、検体ラック2をラック搬送路329から受け取るとともに、第1搬送部321bおよび第2搬送部322bの各高さ位置へ上下方向に移動して、第1搬送部321bおよび第2搬送部322bのいずれかに検体ラック2を受け渡すように構成されている。
【0274】
なお、第1ユニットの第1搬送部321aと第2搬送部322aとを、ラック回収部と割込検体設置部として構成し、第2ユニットの第1搬送部321bと第2搬送部322bを、ラック回収部とラック設置部として構成してもよい。
【0275】
(第7変形例)
上記実施形態および各変形例では、第1昇降部27、第2昇降部33、第3昇降部93、ラック昇降部327aおよびラック昇降部327bなどの、検体ラック2を上下方向に移動させる昇降部を設けた例を示したが、図49に示す第7変形例のように、昇降部を設けなくてもよい。
【0276】
図49に示す第7変形例では、第1測定部11および第2測定部12に対してX2側に、第1搬送部321aと第2搬送部322aとが配置されている。第1測定部11および第2測定部12に対してX1側に、第1搬送部321bと第2搬送部322bとが配置されている。第1搬送部321aと第2搬送部322aは、それぞれ、ラック設置部と割込検体設置部とである。第1搬送部321bと第2搬送部322bとは、共に、ラック回収部である。
【0277】
上段の第2搬送部322aと第2搬送部322bとに跨がるように、上段の上側搬送路329aが設けられている。上側搬送路329aの下方において、下段の第1搬送部321aと第1搬送部321bとに跨がるように、下段の下側搬送路329bが設けられている。
【0278】
上側搬送路329aは、第2搬送部322aのY1側端部からX1方向に延びて、第1測定部11および第2測定部12の各上側吸引位置P2a、P2bを通過して、第2搬送部322bのY1側端部まで延びている。
【0279】
下側搬送路329bは、第1搬送部321aのY1側端部からX1方向に延びて、第1測定部11および第2測定部12の各下側吸引位置P3a、P3bを通過して、第1搬送部321bのY1側端部まで延びている。
【0280】
第1測定部11は、検体分注部111を上下方向に移動させることにより、上側吸引位置P2aと下側吸引位置P3aとで、それぞれ検体容器1から検体を吸引することが可能である。第2測定部12は、検体分注部111を上下方向に移動させることにより、上側吸引位置P2bと下側吸引位置P3bとで、それぞれ検体容器1から検体を吸引することが可能である。
【0281】
これにより、第2搬送部322aに設置された検体ラック2は、上段の上側搬送路329aによって、上側吸引位置P2aまたはP2bで検体吸引に供され、第2搬送部322bに搬送される。第1搬送部321aに設置された検体ラック2は、下段の下側搬送路329bによって、下側吸引位置P3aまたはP3bで検体吸引に供され、第1搬送部321bに搬送される。
【0282】
なお、上記実施形態及び変形例では、第1搬送部と第2搬送部とが上下方向に配置されている2階層、又は第1搬送部、第2搬送部および第3搬送部が上下方向に配置された3階層の階層構造を示したが、4階層以上の階層構造としてもよい。
【0283】
上記実施形態では、第1搬送部21および第2搬送部22は、検体ラック2を検体ラック2の短手方向に搬送し、ユーザが検体ラック2を検体ラック2の長手方向から出し入れすることが可能に構成されていたが、第1搬送部21および第2搬送部22は、検体ラック2を検体ラック2の長手方向に搬送し、ユーザが検体ラック2を検体ラック2の短手方向から出し入れすることが可能に構成されていてもよい。
【0284】
また上記実施形態では、第1搬送部21および第2搬送部22は、検体ラック2を検体ラック2の短手方向に搬送し、ユーザが検体ラック2を検体ラック2の長手方向から出し入れすることが可能に構成されていたが、第1搬送部21および第2搬送部22のX1側の側面をY方向全長に亘ってカバー部で覆ってもよい。この場合であっても、ユーザは、第1搬送部21および第2搬送部22の前端部(Y2側端部)において検体ラック2を出し入れすることができる。
【0285】
また上記実施形態では、下から第1搬送部21、第2搬送部22、第3搬送部23の順に配置されていたが、配置順は限定されない。また第1搬送部21、第2搬送部22、および第3搬送部23は、第1搬送部21の前端部が最もY2側であり、第3搬送部23の前端部が最もY1側であり、第2搬送部22がそれらの間にあったが、それらの配置関係は限定されず、第1搬送部21の前端部、第2搬送部22の前端部、および第3搬送部23の前端部のうち少なくとも2つが前後方向にずれて配置されていればよい。
【0286】
上記実施形態及び変形例では、測定部10が、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を検出する免疫測定装置である例を示したが、測定部10は、生化学測定装置、血液凝固測定装置、尿分析装置、又は血球計数装置等の他の種類の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0287】
1:検体容器、2:検体ラック、10:測定部(測定装置)、10a:前面、10b:背面、10c:側面、10d:側面、20:検体搬送部(検体搬送装置)、21、321a、321b:第1搬送部、21a:ラック貯留領域、21b:第1載置面、21c:側面、21d:側面、22、322a、322b:第2搬送部、22a:ラック貯留領域、22b:第2載置面、22c:側面、22d:側面、23:第3搬送部、23a:第3載置面、24:カバー部、27:第1昇降部、29:搬送機構、31:第1搬送路、32:第2搬送路、33:第2昇降部、300:検体測定装置、A:長手方向、B:短手方向、CL:搬送レーン、P1、P1a、P1b:検体吸引位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
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図22
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