(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064841
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240507BHJP
F21V 9/08 20180101ALI20240507BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20240507BHJP
F21V 13/02 20060101ALI20240507BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240507BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240507BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240507BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20240507BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240507BHJP
【FI】
F21S2/00 390
F21V9/08 400
F21V14/00
F21V13/02 400
F21V17/00 451
F21V9/40 200
G01N21/84 E
F21Y113:13
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173750
(22)【出願日】2022-10-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】504174434
【氏名又は名称】レボックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100173680
【弁理士】
【氏名又は名称】納口 慶太
(72)【発明者】
【氏名】三留 正浩
(72)【発明者】
【氏名】羽田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】幅崎 智靖
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
【テーマコード(参考)】
2G051
3K011
【Fターム(参考)】
2G051AB02
2G051BA08
2G051BB07
2G051BB11
2G051BB15
2G051BB17
2G051BC01
3K011HA03
3K011JA01
(57)【要約】
【課題】照度の低減と調節が容易な光源装置を提供する。
【解決手段】検査用光を出力可能なLEDと、検査用光の照度を減じる減光フィルター90と、減光フィルター90を検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能なフィルターチェンジャー80と、を備えた。減光フィルター90は、少なくとも、検査用光を通過させる孔を有する孔透過フィルター96を備えた。減光フィルター90が、孔透過フィルター96と、検査用光を拡散させる拡散フィルター94と、を含み、孔透過フィルター96と拡散フィルター94が、検査用光の経路中に並べて配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用光を出力可能な光源部と、
前記検査用光の照度を減じる減光部と、
前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能な配置部と、を備えた光源装置。
【請求項2】
前記減光部は、少なくとも、前記検査用光を通過させる孔を有する第1減光素子を備えた、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記減光部が、複数の減光素子を組み合わせて構成されている、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記減光部が、前記第1減光素子と、前記検査用光を拡散させる第2減光素子と、を含み、
前記第1減光素子と前記第2減光素子が、前記検査用光の経路中に並べて配置される、請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記配置部は、
回転可能に設けられ、正逆方向に回転して前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記配置部が、
前記減光部を保持する保持部を有し、
前記保持部が扇状に形成されている、請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
導光部を装着可能な装着部を備え、
前記装着部が、前記導光部を、前記減光部との距離を異ならせた状態で位置決めできる、請求項1~4のいずれか一項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品検査等に用いることが可能な光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後掲の特許文献1には、フィルターチェンジャー(60)を備えた光源装置が開示されている。特許文献1のフィルターチェンジャー(60)は、円板状に形成されており、等間隔で配置された5個のフィルター(61~65)を備えている。フィルターチェンジャー(60)は、回転し、光の通過位置にいずれかのフィルター(61~65)を配置する。
【0003】
フィルター(61~65)は、異なる色のカラーフィルターである。フィルター(61~65)は、色の種類に応じて、透過する光の波長を制限する。フィルター(61~65)の色の種類には、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリーン、レッド等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、製品検査等に用いられる産業用の光源装置には、用途に応じた範囲内で適切に、光の明るさ(照度)を調整できることが必要である。また、光照射の対象となる物品の形状や構造等によっては、光の反射を抑えたり、検査に不要な部分の映像が見えないようにしたりするために、照度を弱めたい場合がある。また、照度を弱める場合、弱い照度の範囲内において、可能な限り柔軟に光の特性(照度や配光など)を調整できることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、照度の低減や、検査用光の特性の調節が可能な光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による光源装置の特徴は、
検査用光を出力可能な光源部と、
前記検査用光の照度を減じる減光部と、
前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能な配置部と、を備えたことである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、照度の低減や、検査用光の特性の調節が可能な光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】発明の実施形態に係る光源装置の斜視図である。
【
図3】光源装置の内部構成を概略的に示す平面図である。
【
図4】制御回路の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】光源装置の内部構成を概略的に示す正面図である。
【
図6】フィルターチェンジャーを変位させた状態を概略的に示す正面図である。
【
図7】フィルターチェンジャーをさらに変位させた状態を概略的に示す正面図である。
【
図8】減光フィルターが光の経路上に配置された状態を概略的に示す側面図である。
【
図9】(a)は孔透過フィルターの一例の正面図、(b)は(a)の孔透過フィルターの側面図である。
【
図10】孔透過フィルターの変形例を示す正面図である。
【
図11】孔透過フィルターの他の変形例を示す側面図である。
【
図12】(a)は孔透過フィルターを使用していない場合の照度の一例を示すグラフ、(b)は孔透過フィルターを使用した場合の照度の一例を示すグラフ、(c)及び(d)は孔透過フィルターのパラメータを変更した場合の照度の一例を示すグラフである。
【
図13】ライトガイドの一部を引き抜いた状態を示す説明図である。
【
図14】(a)は引き抜き量を変化させた場合の照度の一例を相対表示により示すグラフ、(b)は絶対表示により示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の態様>
第1の実施の態様の光源装置は、
検査用光(光46R、46G、46Bなど)を出力可能な光源部(R-LED34、G-LED36、B-LED38など)と、
前記検査用光の照度を減じる減光部(減光フィルター90など)と、
前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能な配置部(フィルターチェンジャー80など)と、を備えた光源装置である。
【0011】
<第2の実施の態様>
第2の実施の態様の光源装置は、第1の実施の態様において、
前記減光部は、少なくとも、前記検査用光を通過させる孔(孔98a~98f(又は孔98a~98g)など)を有する第1減光素子(孔透過フィルター96、96A、96Bなど)を備えた、光源装置である。
【0012】
<第3の実施の態様>
第3の実施の態様の光源装置は、第2の実施の態様において、
前記減光部が、複数の減光素子(拡散フィルター94、孔透過フィルター96、96A、96Bなど)を組み合わせて構成されている、光源装置である。
【0013】
<第4の実施の態様>
第4の実施の態様の光源装置は、第3の実施の態様において、
前記減光部が、前記第1減光素子と、前記検査用光を拡散させる第2減光素子(拡散フィルター94など)と、を含み、
前記第1減光素子と前記第2減光素子が、前記検査用光の経路中に並べて配置される、光源装置である。
<第5の実施の態様>
第5の実施の態様の光源装置は、第1~第4の実施の態様のいずれか一つにおいて、
前記配置部は、
回転可能に設けられ、正逆方向に回転して前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置する、光源装置である。
<第6の実施の態様>
第6の実施の態様の光源装置は、第5の実施の態様において、
前記配置部が、
前記減光部を保持する保持部(フィルターマウント81など)を有し、
前記保持部が扇状に形成されている、光源装置である。
<第7の実施の態様>
第7の実施の態様の光源装置は、第1~第4の実施の態様のいずれか一つにおいて、
導光部(ライトガイド21など)を装着可能な装着部(ライトガイド装着用アダプター14など)を備え、
前記装着部が、前記導光部を、前記減光部との距離を異ならせた状態で位置決めできる、光源装置である。
【0014】
<<<<本実施の形態>>>>
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造又は機能を有するものとする。
【0015】
<<<光源装置100の概要>>>
光源装置100は、例えば、製品検査等のように産業用の用途で使用することが可能である。光源装置100は、検査用光を出射し、検査用光は、例えば、光ファイバーを利用したライトガイドを介して、検査対象物に照射される。光源装置100は、検査対象物を照明し、検査対象物における傷等の欠陥を画像処理や目視により確認できるようにする。
【0016】
<<<光源装置100の全体構成>>>
図1~
図4を参照しながら光源装置100の全体構成を説明する。
図1は、光源装置100を斜め前方から見た状態を示しており、
図2は、光源装置100を背面から見た状態を示している。
図1におけるXYZ軸は直交しており、X軸の方向は、光源装置100の幅方向に一致している。Y軸の方向は、光源装置100の高さ方向に一致しており、Z軸の方向は、光源装置100の奥行方向に一致している。
【0017】
光源装置100は、アルミ合金製の筐体10を備えている。筐体10は、正面部、背面部、天面部、底面部、左側面部、右側面部とからなる箱状の形状となっている。筐体10は、複数の板金部品を組み合わせて構成されており、光源装置100の各種部品を収納している。筐体10は、一部を取り外して、光源装置100の内部を露出させることが可能な構造を有している。
【0018】
<<筐体10の正面構成>>
筐体10の正面部11には、表示部12、コントラスト調整ねじ13、ライトガイド装着用アダプター14、パワーランプ15、エラーランプ16、操作つまみ17、ON/OFFボタン18、MENUボタン(以下では「メニューボタン」と称する)19、及び、電源スイッチ20が設けられている。
【0019】
表示部12は、液晶等による表示画面を備え、光源装置100の状態や設定画面、エラーの表示画面等を表示する。コントラスト調整ねじ13は、表示部12の画面の見え具合を調整するために用いられる。ライトガイド装着用アダプター14は、検査で使用されるライトガイド21の装着に用いられる。
【0020】
パワーランプ15は、光源装置100の電源がONの状態にあるときに点灯する。エラーランプ16は、光源装置100のエラー発生時に点灯や点滅を行う。操作つまみ17は、ユーザーによる回転や押下の操作を検出可能である。ON/OFFボタン18は、手動制御のときに有効となるボタンであり、検査用光の点灯、消灯の切り替えに用いられる。
【0021】
メニューボタン19は、メニュー画面を表示部12に表示させる際に用いられるボタンである。ユーザーがメニューボタン19を所定時間(例えば約4秒)以上にわたり長押しすることにより、メニュー画面が表示される。メニューボタン19の操作が所定時間に満たない状況では、表示部12に運用画面が表示される。
【0022】
<<筐体10の背面構成>>
筐体10の背面部22には、4つの一般用冷却ファン排気孔23、モニター端子台24、ACインレット25、インシュレーター26、トリガー入力コネクタ27、及び、LANコネクタ28、及び、電源用冷却ファン排気孔29が設けられている。
【0023】
一般用冷却ファン排気孔23は、筐体10の内部の熱を排出するファンの排気に用いられる。モニター端子台24は、外部モニター装置の接続に用いられる。ACインレット25は、電力供給のための交流電源との接続に用いられる。インシュレーター26は、光源装置100の、接地面との電気的絶縁や滑り止めなどを行う。電源用冷却ファン排気孔29は、筐体10の内部の、特に電源の熱を排出するファンの排気に用いられる。
【0024】
トリガー入力コネクタ27は、所定の通信ケーブル(ここではRS-232C)の接続に用いられる。LANコネクタ28は、イーサネットケーブルの接続に用いられる。
【0025】
<<筐体10の内部構成>>
筐体10の内部には、
図3に概略的に示すように、3つの光源ユニット30R、30G、30Bや、2つのダイクロイックミラー(第1ダイクロイックミラー32、及び、第2ダイクロイックミラー33)等が設けられている。
【0026】
光源ユニット30Rは、赤色発光用のLEDモジュール(以下では「R-LED」と称する)34を備えている。光源ユニット30Gは、緑色発光用のLEDモジュール(以下では「G-LED」と称する)36を備えており、光源ユニット30Bは、青色発光用のLEDモジュール(以下では「B-LED」と称する)38を備えている。
【0027】
光源ユニット30R、30G、30Bは、レンズ部40R、40G、40Bや、光センサ42R、42G、42B等を有している。光源ユニット30R、30G、30Bには、ヒートシンク(ヒートパイプであってもよい)44R、44G、44Bなどの放熱器が装着されている。
【0028】
光源ユニット30Rは、赤色の光46Rを出射する。光源ユニット30Gは緑色の光46Gを出射する。光源ユニット30Bは青色の光46Bを出射する。光源ユニット30R、30G、30Bは、互いに異なる向きに、それぞれの光46R、46G、46Bを出射する。
【0029】
光源ユニット30R、30G、30Bの光46R、46G、46Bは、第1ダイクロイックミラー32、及び、第2ダイクロイックミラー33により、同じ方向に導かれて重なり合い、3色が混色される。混色される前の光、及び、混色された後の光のいずれについても、「LED光」や「光源光」などと称することが可能である。混色される前の光46R、46G、46Bも、混色された後の光も、いずれも「検査用光」である。いずれか1色のみの光や、2色を混色して形成された光が、検査用の照明光として用いられる場合もある。
【0030】
第1ダイクロイックミラー32は、赤色の光46Rを反射し、緑色の光46Gと青色の光46Bを透過させる。第2ダイクロイックミラー33は、青色の光46Bを反射し、緑色の光46Gを透過させる。混色された光は、出射レンズ系47、及び、出射部48を通る。
【0031】
出射部48は、ライトガイド装着用アダプター14により囲われた空間部分である。出射部48を通る光は、ライトガイド装着用アダプター14に装着されたライトガイド21を介して、筐体10の外部に導かれる。
【0032】
光源装置100は、筐体10内に、冷却ファン49(
図2)や、フィルターチェンジャー80等も備えている。フィルターチェンジャー80には、光学フィルターや減光フィルター90を装着可能である。フィルターチェンジャー80は、回転して、光学フィルターや減光フィルター90を、混色された光の経路中に配置することや、経路外に配置することができる。フィルターチェンジャー80や、光学フィルター、及び、減光フィルター90については後述する。
【0033】
<<制御回路の基本構成>>
図4は、光源装置100に備えられた制御回路の構成を概略的に示している。光源装置100には、前述したように、赤色用のR-LED34、緑色用のG-LED36、青色用のB-LED38が備えられている。これらのR-LED34、G-LED36、B-LED38は、電気的に並列に接続されている。
【0034】
R-LED34、G-LED36、及び、B-LED38には、CPU50の制御により、電源52から電力の供給が行われる。各色のLED34、36、38には、定電流回路54R、54G、54Bが接続されている。
【0035】
各定電流回路54R、54G、54Bには、DAコンバータ(デジタル-アナログコンバータ)56R、56G、56B、オペアンプ58R、58G、58B、トランジスタ60R、60G、60B、抵抗62R、62G、62B、及び、ADコンバータ(アナログ-デジタルコンバータ)64R、64G、64B等がそれぞれ備えられている。本実施形態では、トランジスタ60R、60G、60Bとして、FET(電界効果トランジスタ)が用いられている。
【0036】
CPU50と、各定電流回路54R、54G、54Bの間には、FPGA(Field-Programmable Gate Array)66が設けられている。本実施形態において、FPGA66は、CPU50の信号を、各定電流回路54R、54G、54Bに対して中継する機能を果たしている。また、図示は省略するが、制御回路には、RAMやROM等の各種の記憶手段や、信号の入出力に用いられるインターフェース回路なども備えられている。
【0037】
CPU50から、各定電流回路54R、54G、54BのDAコンバータ56R、56G、56Bに対しては、FPGA66を経由して、デジタル値(DAC値)を示す信号が入力される。このデジタル値(DAC値)は、各色のLED34、36、38に流れる電流を制御するのに用いられる。なお、FPGA66を省略し、CPU50からDAコンバータ56R、56G、56BへFPGA66を介さずに、デジタル値(DAC値)を示す信号を入力してもよい。
【0038】
DAコンバータ56R、56G、56Bは、CPU50から入力されたデジタル値(DAC値)の信号を、アナログ信号に変換する。DAコンバータ56R、56G、56Bの出力信号は、オペアンプ58R、58G、58Bの正帰還端子(図示略)に入力される。図示は省略するが、抵抗62R、62G、62Bの一方の端子は、トランジスタ60R、60G、60Bの端子(例えばソース端子)、及び、オペアンプ58R、58G、58Bの負帰還端子に接続されている。
【0039】
トランジスタ60R、60G、60Bは、オペアンプ58R、58G、58Bから入力される信号に基づいてスイッチング動作を行う。トランジスタ60R、60G、60Bのスイッチング動作に伴い、各LED34、36、38に電流が流れる。
【0040】
LED34、36、38に流れる電流の値は、DAコンバータ56R、56G、56Bからの出力信号の電圧値と、抵抗62R、62G、62Bの抵抗値との比率に応じた値になる。LED34、36、38に電流が流れることにより、LED34、36、38が発光する。LED34、36、38に供給された電流の値は、ADコンバータ64R、64G、64Bを介して、CPU50に入力される。
【0041】
LED34、36、38から出射された光の照度は、光センサ42R、42G、42Bにより検出される。光センサ42R、42G、42Bは、主に、近接して配置されたLED(対応するLED)34、36、38の光を検出する。光センサ42R、42G、42Bの検出結果は、CPU50に入力される。
【0042】
<<調光機能>>
本実施形態の光源装置100は、調光機能を備えている。調光機能は、ユーザーが、表示部12を確認しながら、或いは、コンピュータ機器等の外部接続機器(図示略)を介して、各色の光の明るさを設定できるようにした機能である。
【0043】
CPU50から各定電流回路54R、54G、54Bへ出力されるデジタル値(DAC値)は、ユーザーにより事前に設定された調光値(LS)や目標の照度等に応じ、色毎に異なり得る。調光は、色(各波長)毎に行われる。調光が可能な範囲(調光範囲)は、色毎に、0~1023の1024段階である。
【0044】
調光の状況は、調光値(0~1023の整数)により表される。調光値は、表示部12に表示することが可能である。調光値の表示は、色毎に行われる。調光値の表示態様には、0~1023の数値で表示される態様と、割合(パーセンテージ)により表示される態様とがある。
【0045】
割合による調光値の表示が行われる場合には、調光値により調光可能な範囲である1023を分母とし、ユーザーにより設定された調光値を分子とした演算が行われる。調光の割合は、例えば、1%刻みの数値に変換されて、表示部12に表示される。
【0046】
なお、本実施形態の光源装置100においては、1024段階の調光(10ビットの調光)のほかに、256(0~255)段階の調光(8ビットの調光)が可能である。これらの1024段階の調光と、256段階の調光とのうち、いずれの調光を可能とするかは、ユーザーの設定により切り換えることができる。
【0047】
<<<フィルターチェンジャー80>>>
図5は、筐体10を分解し、筐体10の一部を取り外した状態を正面側から示している。
図5に示すように、フィルターチェンジャー80は、板状のフィルターマウント81やモータ83を備えている。
【0048】
モータ83の回転軸(出力軸)84は、フィルターマウント81を厚さ方向に貫通している。フィルターマウント81は、扇状に形成されており、扇の中心(扇の要)に該当する部位に、突出した回転中心部85を有している。回転中心部85は、ねじ(ナットでもよい)等の固定具を介して、モータ83の回転軸84に結合されている。
【0049】
本実施形態では、フィルターマウント81に、2つの装着孔(上段の装着孔88、及び、下段の装着孔89)が設けられている。各装着孔88、89には、最大で2つのフィルター素子を装着することが可能である。このため、フィルターマウント81には、最大で4つのフィルター素子を装着することが可能である。
【0050】
図5の例では、上段の装着孔88には減光フィルター90が装着されており、下段の装着孔89にはフィルター素子は何ら装着されていない。減光フィルター90は、光源装置100から出射される光の照度を低下させるためのものである。
【0051】
減光フィルター90を用いることにより、例えば、減光フィルター90を用いない場合に比べて、照明光の照度を1/1,000~1/10,000とする、といったことが可能となる。また、光源装置100における他の調整機能(調光機能等)には変更を加えずに、多様な減光を行うことが可能である。この減光フィルター90の特徴については後述する。
【0052】
両装着孔88、89の周囲には、フィルター押さえ金具(図示略)が設けられている。減光フィルター90は、フィルター押さえ金具により、フィルターマウント81に装着されている。
【0053】
下段の装着孔89には、必要に応じて、各種のフィルター素子を装着することが可能である。各種のフィルター素子としては、透過する光を波長や偏光で制限するカラーフィルターなどを例示できる。カラーフィルターには、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリーン、レッド等の各色のものがある。また、下段の装着孔89に減光フィルター90を装着したり、両方の装着孔88、89に、例えば、特性の異なる減光フィルター90をそれぞれ装着したりすることも可能である。
【0054】
フィルターマウント81の外周縁部における一端側(上部側)の部位には、切欠状の位置検出用スリット91が設けられている。また、
図5では図示を省略しているが、フィルターマウント81においては、肉抜き用の孔が複数設けられており、フィルターマウント81の軽量化が図られている。
【0055】
モータ83には、ステッピングモータが採用されている。モータ83は、前述のCPU50(
図4)や、モータドライバ(図示略)により制御(例えばPWM制御)される。モータ83は、フィルターマウント81を、回転中心部85を中心として、正逆方向(
図5における時計回りの方向(CW)と反時計回りの方向(CCW))に回転変位させることが可能である。
【0056】
フィルターマウント81の近傍には、2つの近接センサ(第1近接センサ92A、及び、第2近接センサ92B)が設けられている。両近接センサ92A、92Bは、上下方向に離れた位置に配置されている。第1近接センサ92Aは上方に配置されており、第2近接センサ92Bは下方に配置されている。
【0057】
本実施形態においては、第1近接センサ92A及び第2近接センサ92Bとして、透過型の光センサが用いられている。第1近接センサ92A及び第2近接センサ92Bは、門型の部位の一方(投光部)から投光し、他方(受光部)で受光する。第1近接センサ92A及び第2近接センサ92Bは、フィルターマウント81を跨ぐように設置され、投光部と受光部の間に、フィルターマウント81が部分的に進入している。
【0058】
投光部から投光された検出用光(透過光)が位置検出用スリット91を通った場合には、検出用光(透過光)が受光部に入射して検出される。このため、第1近接センサ92Aは、位置検出用スリット91の有無を検出できる。
【0059】
第2近接センサ92Bにおいては、検出用光(透過光)がフィルターマウント81により遮られることで、フィルターマウント81が存在することが検出される。
【0060】
両近接センサの92A、92Bの出力信号は、デジタル信号に変換されて、CPU50に入力される。フィルターマウント81の回転角度は、両近接センサ92A、92Bの検出結果を利用して、CPU50により制御される。
【0061】
例えば、第1近接センサ92Aが位置検出用スリット91を検出し、第2近接センサ92Bが、フィルターマウント81を検出している場合には、CPU50は、フィルターマウント81が、上限の位置(原点位置)にあることを判定できる。このように、両近接センサ92A、92Bの検出結果を利用して、フィルターマウント81の原点サーチが行われる。
【0062】
フィルターマウント81が原点位置にある状態では、上段の装着孔88、及び、下段の装着孔89のいずれも、出射部48に対向する位置に到達していない。この状態から、
図6に示すように、フィルターマウント81を下方(時計回り方向)に変位させると、下段の装着孔89が出射部48に対向する。
図6は、下段の装着孔89が、出射部48に対向した状態を概略的に示している。
【0063】
図7は、フィルターマウント81を、さらに下方に変位させた状態を示している。
図7においては、上段の装着孔88が、出射部48に対向する位置に到達している。上段の装着孔88には減光フィルター90が装着されていることから、
図7に示す状態では、減光フィルター90が、出射部48に同軸的に対向している。
【0064】
フィルターマウント81が原点位置から変位した場合、CPU50は、モータドライバ(図示略)によるモータ83の回転量(駆動量)に基づいて、フィルターマウント81の変位角度を判定する。
図6及び
図7に示す状態では、第1近接センサ92Aが位置検出用スリット91を検出しておらず、第2近接センサ92Bがフィルターマウント81を検出している。
【0065】
このようなフィルターチェンジャー80の回転位置の設定は、ユーザーが、表示部12(
図1)にフィルターチェンジャー80用の設定メニューを表示して、操作つまみ17等を操作しながら、或いは、コンピュータ機器等の外部接続機器(図示略)を介して行われる。
【0066】
なお、本実施形態においては、両近接センサ92A、92Bとして、非接触式のものが採用されている。しかし、これに限らず、接触式のものを用いてもよい。また、両近接センサ92A、92Bとしては、光学式に限らず、例えば、磁気式や機械式等のように一般的な種々のものを採用できる。
【0067】
また、フィルターマウント81は、扇形のものに限らず、例えば、円形であってもよい。ただし、本実施形態のように、フィルターマウント81を扇形とすることで、フィルターマウント81、及び、光源装置100を小型化できる。さらに、フィルターマウント81を、限られたスペース内で、周辺の機器(例えば、ヒートシンク44R、44G、44Bなど)と干渉せずに回転変位させることが可能となる。さらに、フィルターマウント81を正逆回転させることによっても、フィルターマウント81が周辺の機器に干渉するのを防止できる。
【0068】
フィルターチェンジャー80のタイプは、回転式のものに限定されず、例えば、直線移動するようなタイプであってもよい。
【0069】
<<<減光フィルター90>>>
減光フィルター90(
図5等)は、複数のフィルター素子を組み合わせて構成されている。本実施形態では、減光フィルター90は、
図8に示すように、拡散フィルター94と、孔透過フィルター96の2つの光学フィルター素子を重ね合わせて構成されている。
【0070】
減光フィルター90のフィルターマウント81への装着は、拡散フィルター94と、孔透過フィルター96とを重ねて、フィルター押さえ金具(図示略)により押さえ付けることにより行われている。減光フィルター90が光の経路中に配置された場合に、孔透過フィルター96が後方(光の経路の光源側)に位置し、拡散フィルター94が前方(光の経路の出射側)に位置する。光の経路の出射側は、ライトガイド装着用アダプター14の側である。
【0071】
<<拡散フィルター94>>
拡散フィルター94としては、拡散による減光が可能なものであれば、種々のものを採用することが可能である。拡散フィルター94は、必要となる減光特性を得ると同時に、必要となる配光特性も得ることができればよい。
【0072】
減光のためには、拡散フィルター94に代えて、一般的なNDフィルターを用いることも可能である。一般的なNDフィルターとしては、グレーや黒の光透過板を有するものなどが知られている。
【0073】
しかし、一般的なNDフィルターを用いた場合、透過する光の特性や経時変化を原因として、変色や性能変化を生じる場合がある。長期にわたり安定した光の出射を行うためには、一般的なNDフィルターよりも、拡散フィルター94を用いることが望ましい。このため、本実施形態では、減光フィルター90に拡散フィルター94が用いられている。
【0074】
拡散フィルター94としては、拡散板(ディフューザー)、すりガラス、及び、拡散ガラス等を例示できる。必要となる減光特性と配光特性が得られれば、いずれのタイプのものも採用が可能である。しかし、拡散板(ディフューザー)は、使用条件によっては、熱により温度上昇して溶融し、性能変化を生じたり、変形したりする場合がある。
【0075】
また、すりガラスは、一般に、例えばサンドブラスト等の方法により形成された凹凸のある表面(砂面)を有している。このようなすりガラスにおいては、特性(配光特性、透過率など)が適したものを選択することにより、過度な性能変化を生じることなく、拡散フィルター94として適用することが可能である。
【0076】
このようなすりガラスに対し、前述の拡散ガラスは、一般に、拡散性が高く、優れたランバート光(あらゆる方向に拡散する光)を生成できる。本実施形態では、このような拡散ガラスの特性を踏まえ、拡散フィルター94として拡散ガラスが用いられている。より具体的には、拡散ガラスとして、白色拡散ガラスが用いられている。
【0077】
白色拡散ガラスは、半不透明(半透明)な白色ガラスである。白色拡散ガラスの採用により、均一照明を実現できる。本実施形態で用いられた白色拡散ガラスは、円板形の形状を有しており、両板面に拡散性を有している。白色拡散ガラスとして、例えば、エドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社が販売するホワイト拡散ガラスの使用が可能である。
【0078】
<<孔透過フィルター96>>
孔透過フィルター96は、
図9(a)、(b)に示すように、円板状の本体部97に複数(ここでは6個)の孔98a~98fを開けて形成されている。本体部97は、光透過性のない金属製の円板である。本実施形態において、本体部97の厚さTは、全体にわたり一定である。
図9(b)は、
図9(a)に示す孔透過フィルター96を側方から見た状態を示している。
【0079】
図9(a)、(b)の例において、孔98a~98fは、本体部97における円の中心の周りに正六角形状に配置されている。孔98a~98fは、正六角形の頂点に位置するように配置されている。
【0080】
孔98a~98fの開口形状は真円状であり、孔98a~98fの直径は、全長にわたり一定である。孔98a~98fは、
図9(b)に示すように、本体部97を厚さ方向に延び、本体部97を貫通している。
図9(a)、(b)の例において、孔98a~98fは、互いに平行に延びている。
【0081】
図9(b)の右側が光源側であり、左側が出射側である。
図9(b)には、孔98a~98fのうち、孔98a~98cが破線(隠れ線)により示されている。
図9(b)において、他の孔98d~98fは、孔98a~98cの陰に隠れている。
【0082】
図9(a)、(b)の例において、孔98a~98fの直径dは1mm程度である。隣り合った孔98a~98fの間隔Aは3.5mm程度である。隣り合った孔間の中心角Bは、60度である。本体部97の厚さTは1~3mm程度である。孔透過フィルター96の外径Dは25~40mm程度である。
【0083】
孔透過フィルター96は、孔98a~98fを介して光を透過させる。光は、孔98a~98fの一端側(光源側)から入射し、他端側(出射側)から出射する。孔透過フィルター96の、少なくとも孔98a~98fの内周面には、光の反射特性を調整するための表面処理が施されている。表面処理としては、例えば、白アルマイト処理や黒アルマイト処理などを採用することが可能である。
【0084】
孔透過フィルター96に達した光の大部分は、本体部97により遮られ、光の一部は、孔98a~98fを通って、孔透過フィルター96を透過する。孔透過フィルター96を透過する光の一部は、孔98a~98fに、角度をもって入射する。さらに、そのうちの一部の光は、孔98a~98fの内周面で反射あるいは吸収して、孔透過フィルター96から出射される。内周面の表面処理が白アルマイトの場合は反射される成分が多く、黒アルマイトの場合は吸収される成分が多い。反射については、拡散反射により、出射される成分が多いが、アルマイト処理では戻る成分もある。
【0085】
なお、孔98a~98fの延びる方向(孔の角度、向きなどともいう)は、本体部97の厚さ方向に一致する方向に限定されるわけではない。また、複数の孔98a~98fの延びる方向は、一律である必要はなく、異なっていてもよい。
【0086】
このような孔98a~98fの配置や数、及び、直径などは、必要となる減光特性に応じて変更することが可能である。例えば、
図10に示す孔透過フィルター96Aのように、本体部97の中央に孔98gを追加してもよい。また、
図9(a)、(b)や
図10の例以外にも、種々の態様で孔98a~98f(又は孔98a~98g)を配置することが可能である。
【0087】
図11は、孔98a~98fの延びる方向に係る変形例を示している。
図11には、変形例に係る孔透過フィルター96Bの側面が示されている。いずれの孔98a~98fも、本体部97Bの厚さ方向(中心軸Cの方向)に対して所定の角度θ(ここでは±15度)で傾斜している。
【0088】
図9~
図11に示す各種の孔透過フィルター96、96A、96B(以下では「孔透過フィルター96等」と称する)を透過した光の照度や配光は、孔98a~98f(又は孔98a~98g)に係る大きさ(直径d)、配置(間隔Aを含む)、数、本体部97の厚さT、及び、孔98a~98f(又は孔98a~98g)の延びる方向等の事項をパラメータとして定まる。孔98a~98f(又は孔98a~98g)の延びる方向には、延びる方向の組み合わせなどの条件も含む。
【0089】
また、孔透過フィルター96等に入射する光の配光特性によっても、孔透過フィルター96等から出射される光の照度や配光は変化する。さらに、ライトガイド21を介して出射された光の照度や配光は、ライトガイド21と孔透過フィルター96等との距離によっても変化する。
【0090】
つまり、減光フィルター90においては、孔透過フィルター96等の各種のパラメータを変更することで、光源装置100の用途に最適な照度や配光特性を得ることができる。また、減光フィルター90は、孔透過フィルター96等に拡散フィルター94を組み合わせて構成されていることから、孔透過フィルター96等のみ、又は、拡散フィルター94のみを用いた場合に比べて、より一層の減光が可能であると同時に、配光特性を調整することが可能である。
【0091】
なお、少なくとも一部のパラメータの値が異なる複数枚の孔透過フィルター96等を重ねて、減光フィルター90を構成することも可能である。さらに、拡散フィルター94を後方(光の経路の光源側)に配置し、孔透過フィルター96等を前方(光の経路の出射側)に配置してもよい。
【0092】
また、本実施形態の光源装置100によれば、減光に際し、光源(ここでは各色のLED34、36、38)の出力を変えることなく、減光フィルター90によって減光することが可能である。したがって、減光フィルター90により減光された光に対して、多段階(例えば1024段階)で調光の設定を行うことが可能である。
【0093】
<<孔透過フィルターに係るパラメータの調整>>
例えば、ある光に対して、孔透過フィルター96を使用しない場合には、
図12(a)に示すように、正規分布に近い波形の配光特性が得られるものとする。また、このときの照度のピーク値は、2.8(単位は任意)であったとする。
【0094】
このような光に対して、孔透過フィルター96を使用して実験を行ったところ、例えば、
図12(b)に示すように、
図12(a)の波形と比較して、相対的に半値幅が狭まった尖鋭な波形が得られた。
図12(b)に示す波形における照度のピークは約0.17(
図12(a)と同じ単位)であった。また、この実験では、波形のピーク付近に、僅かな窪み(窪み量Eb)が現れた。
【0095】
続いて、
図12(b)の実験で使用した孔透過フィルター96に対し、間隔Aを拡大した場合、
図12(c)に示すように、ピーク値が約0.08(
図12(a)と同じ単位)で、相対的に半値幅が拡がった波形が得られた。この波形においては、窪み(窪み量Ec)の割合(ピーク値に対する割合)が大きくなった。
【0096】
続いて、
図10の変形例のように中央に孔98gを有する孔透過フィルター96Bを用い、同じ光を用いて実験を行ったところ、
図12(d)に示すように、相対的にさらに深い窪み(窪み量Ed)が現れた。このときの波形における照度のピーク値は約0.8(
図12(a)と同じ単位)であった。
【0097】
以上の実験結果のように、孔透過フィルター96等の各パラメータの値を変更することにより、様々な態様で減光することができた。なお、ここで説明した実験はあくまでも一例であり、説明した以外にも、ピーク照度、窪みの深さ、半値幅、及び、配光等において、種々の異なる特性が得られている。
【0098】
そして、光源装置100の用途によって、例えば、ピーク照度は低いが窪みが浅くなる孔透過フィルター96等を用いるといった決定や、窪みは深いがピーク照度は高くなる孔透過フィルター96等を用いるといった決定を行うことが可能となる。ピーク照度が高く、半値幅が広くなる(又は狭くなる)孔透過フィルター96等を用いるといった決定や、ピーク照度は低いが、半値幅が広くなる(又は狭くなる)孔透過フィルター96等を用いるなどといった決定を行うことも可能である。
【0099】
<<孔透過フィルターとライトガイドとの距離の調整>>
本実施形態の光源装置100は、孔透過フィルター96等や、孔透過フィルター96等と拡散フィルター94との組み合わせのバリエーション、などとは異なる要素によっても、光の特性を変更することが可能である。
【0100】
例えば、孔透過フィルター96等(及び減光フィルター90)と、ライトガイド21との距離を変更することにより、異なる配光特性の光を得ることが可能である。両者の距離を変更するために、例えば、
図13に示すように、ライトガイド21を、ライトガイド装着用アダプター14に対して抜き差しすることが可能である。
【0101】
前述したように、本実施形態では、ライトガイド装着用アダプター14にライトガイド21が装着される。ライトガイド装着用アダプター14は、ライトガイド21を、減光フィルター90との距離を異ならせた状態で位置決めできる。減光フィルター90が、光の経路中に配置された場合、減光フィルター90の位置は一定である。ライトガイド21の固定は、ライトガイド装着用アダプター14のライトガイド固定ねじ14Aを、ユーザーが操作することにより行われる。
【0102】
図13は、
図3に示すように、ライトガイド21を最奥部まで差し込んだ状態に対して、ライトガイド21を筐体10の正面側に引き出して固定した状態を概略的に示している。本実施形態において、ライトガイド21の引き抜き量Fは、例えば、ライトガイド装着用アダプター14の先端面14Bと、ライトガイド21に装着された円筒状のカラー21Aの端面(基端側の端面)21Bとの距離によって規定される。ライトガイド21は、引き抜き量(「抜き差し量」ともいう)Fがゼロmmの状態から、例えば20mm程度までの間の任意の位置で固定される。
【0103】
図14(a)は、ライトガイド21を抜き差しした場合における角度特性の測定結果を概略的に示している。
図14(a)に示す波形G1~G5は順に、引き抜き量Fを、0mm、5mm、10mm、15mm、20mmとした場合の測定結果を示している。
図14(a)は、測定結果を相対表示している。
図14(a)においては、各波形G1~G5は、いずれもピーク値を「1.0」として、同じ座標上で重ねられている。
【0104】
図14(a)のグラフの横軸は配光を示す角度(度)であり、縦軸は検出された光の照度である。
図14(a)に示すように、全体的な傾向として、引き抜き量Fが大きくなると、配光上の角度は小さくなる。また、
図14(b)は、各波形G1~G5を絶対表示したものである。
図14(b)に示すように、引き抜き量Fが大きくなるほど照度(単位:lx(ルクス))は低下する。
【0105】
ここで、ライトガイド21を引き抜いた状態で固定するために、
図13に二点鎖線で示すように、追加カラー21Cを用いることが可能である。追加カラー21Cは、中央に貫通孔を有する円筒状又は円板状に形成されている。追加カラー21Cは、その厚さ(軸方向の長さ)により、筒状になる場合や、板状になる場合がある。
【0106】
追加カラー21Cは、カラー21Aと同軸に並べられている。追加カラー21Cは、ライトガイド装着用アダプター14と、カラー21Aとの間に介在し、引き抜き量Fを確保する。引き抜き量Fを変更する場合は、厚さ(軸方向の長さ)が異なる追加カラー21Cに取り換える。
【0107】
追加カラー21Cの全体又は一部が、ライトガイド装着用アダプター14の内側に入り込んでいてもよい。
図13の例では、追加カラー21Cは、ライトガイド装着用アダプター14の先端面14Bに突き当てられている。また、図示は省略するが、追加カラー21Cは、所謂イモネジを用いて、ライトガイド21に固定されている。
【0108】
<<<本実施形態に係る発明のメリット>>>
以上説明したように、孔透過フィルター96等に係るパラメータを変更することで、多様な減光特性を得ることができる。このため、孔透過フィルター96等に係る各種のパラメータを変更して、要求される減光特性との調整(所謂摺り合わせ)を行うことにより最適な特性の光を照射する光源装置100を提供できる。
【0109】
孔透過フィルター96等は、拡散フィルター94と組み合わされて減光フィルター90を構成する。したがって、より多様に特性を変化させ得る光源装置100を提供できる。さらに、光源装置100は、減光フィルター90とライトガイド21との位置関係を変更することによっても、光の特性を変化させる。したがって、このことによっても、より多様に、光の特性を変化させ得る。
【0110】
なお、本実施形態では、拡散フィルター94や孔透過フィルター96の形状を真円状としているが、これに限定されず、例えば、楕円状や矩形状、多角形状などとすることも可能である。
【0111】
<<<本実施の形態の詳細>>>
上述したように、本発明は、本実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきでない。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0112】
10 :筐体
21 :ライトガイド
21A :カラー
30R :赤色用の光源ユニット
30G :緑色用の光源ユニット
30B :青色用の光源ユニット
32 :第1ダイクロイックミラー
33 :第2ダイクロイックミラー
34 :R-LED
36 :G-LED
38 :B-LED
46R :赤色の光
46G :緑色の光
46B :青色の光
47 :出射レンズ系
48 :出射部
80 :フィルターチェンジャー
81 :フィルターマウント
83 :モータ
84 :回転軸
85 :回転中心部
88 :装着孔
89 :装着孔
90 :減光フィルター
91 :位置検出用スリット
92A :第1近接センサ
92B :第2近接センサ
94 :拡散フィルター
96、96A、96B :孔透過フィルター
97、97A、97B :本体部
98a~98g :孔
100 :光源装置
【手続補正書】
【提出日】2023-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用光を出力可能な光源部と、
前記検査用光の照度を減じる減光部と、
前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能な配置部と、を備え、
前記配置部が、
前記減光部を保持する保持部を有し、
前記減光部が、
前記保持部に対して着脱が可能な減光フィルターであり、
前記検査用光を通過させる孔を複数有する第1減光素子を備えている、光源装置。
【請求項2】
前記減光部が、複数の減光素子を組み合わせて構成されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記減光部が、前記第1減光素子と、前記検査用光を拡散させる第2減光素子と、を含み、
前記第1減光素子と前記第2減光素子が、前記検査用光の経路中に並べて配置される、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記保持部は、
回転可能に設けられ、正逆方向に回転して前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記保持部が扇状に形成されている、請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
導光部を装着可能な装着部を備え、
前記装着部が、前記導光部を、前記減光部との距離を異ならせた状態で位置決めできる、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明による光源装置の特徴は、
検査用光を出力可能な光源部と、
前記検査用光の照度を減じる減光部と、
前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能な配置部と、を備え、
前記配置部が、
前記減光部を保持する保持部を有し、
前記減光部が、
前記保持部に対して着脱が可能な減光フィルターであり、
前記検査用光を通過させる孔を複数有する第1減光素子を備えている、ことである。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用光を出力可能な光源部と、
前記検査用光の照度を減じる減光部と、
前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能な配置部と、を備え、
前記配置部が、
前記減光部を保持する保持部を有し、
前記保持部には前記減光部を装着可能な装着孔が形成され、
前記減光部が、
前記保持部に対して着脱が可能な減光フィルターであり、
前記検査用光を通過させる孔を複数有する第1減光素子と、前記検査用光を拡散させる第2減光素子と、を組み合わせて構成され、
前記第1減光素子は、板状の本体を前記孔が貫通した孔透過フィルターであり、
前記第2減光素子は、拡散フィルターであり、
前記第1減光素子と前記第2減光素子が、一つの前記装着孔に装着されて前記検査用光の経路中に並べて配置される、光源装置。
【請求項2】
前記保持部は、
回転可能に設けられ、正逆方向に回転して前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記保持部が扇状に形成されている、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
導光部を装着可能な装着部を備え、
前記装着部が、前記導光部を、前記減光部との距離を異ならせた状態で位置決めできる、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明による光源装置の特徴は、
検査用光を出力可能な光源部と、
前記検査用光の照度を減じる減光部と、
前記減光部を前記検査用光の経路中又は経路外に配置することが可能な配置部と、を備え、
前記配置部が、
前記減光部を保持する保持部を有し、
前記保持部には前記減光部を装着可能な装着孔が形成され、
前記減光部が、
前記保持部に対して着脱が可能な減光フィルターであり、
前記検査用光を通過させる孔を複数有する第1減光素子と、前記検査用光を拡散させる第2減光素子と、を組み合わせて構成され、
前記第1減光素子は、板状の本体を前記孔が貫通した孔透過フィルターであり、
前記第2減光素子は、拡散フィルターであり、
前記第1減光素子と前記第2減光素子が、一つの前記装着孔に装着されて前記検査用光の経路中に並べて配置されることである。