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  • 特開-ガス透過度の測定装置及び測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064845
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ガス透過度の測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/08 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G01N15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173757
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390000686
【氏名又は名称】株式会社住化分析センター
(71)【出願人】
【識別番号】595115754
【氏名又は名称】株式会社日本エイピーアイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】野中 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】行嶋 史郎
(72)【発明者】
【氏名】高萩 寿
(72)【発明者】
【氏名】溝上 員章
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭好
(57)【要約】
【課題】先に検出器に供給される気体によって、後に検出器に供給される気体が汚染されることを防ぐ。
【解決手段】検出ガスを排出する複数のセル(110,120,130)のそれぞれを合流させる結合部(250)と、標的成分を含んでいない第1キャリアガスの供給ライン(210)と、結合部(250)を経由して送られた、検出ガスを検出する検出器と、を備え、セル(110,120,130)と結合部(250)との間のそれぞれに、検出ガスの流路を切り替えるバルブ(421,422,423)が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を透過した標的成分を含む気体を排出する複数のセルと、
複数のセルのそれぞれに連通する複数の配管と、
前記複数の配管を合流させる結合部と、
前記結合部に前記標的成分を含んでいない気体を供給するガス供給部と、
前記セルから前記結合部を経由して送られた、前記標的成分を含む気体を検出する検出器と、を備え、
前記セルのそれぞれと前記結合部との間には、前記配管のそれぞれの流路を切り替えるバルブが設けられている、ガス透過度測定装置。
【請求項2】
前記ガス供給部が、前記結合部に前記標的成分を含んでいない気体を供給し続ける、請求項1に記載のガス透過度測定装置。
【請求項3】
前記結合部と、前記バルブのそれぞれとの間の距離は0.5~30.0cmの範囲内である、請求項1に記載のガス透過度測定装置。
【請求項4】
前記結合部に対する流路を閉鎖した前記バルブの前記結合部への開放を、1つずつ順次切り替えて行うことにより、前記複数のセルから供給される複数の気体を1つずつ検出する、請求項2に記載のガス透過度測定装置。
【請求項5】
前記バルブの全てが前記結合部への流路を閉鎖した状態で、前記ガス供給部が、前記標的成分を含んでいない気体を供給し続ける、請求項2に記載のガス透過度測定装置。
【請求項6】
前記バルブと、前記バルブと前記結合部との間の配管との何れか一方、又は両方の全てに加熱部が設けられている、請求項1に記載のガス透過度測定装置。
【請求項7】
前記ガス供給部が供給する前記標的成分を含んでいない気体の流量が、10~2000ml/分の範囲内である、請求項5に記載のガス透過度測定装置。
【請求項8】
前記バルブは、二連三方型バルブである、請求項1~7の何れか一項に記載のガス透過度測定装置。
【請求項9】
試料を透過した標的成分を含む、複数の気体を計測することでガス透過度を測定するガス透過度測定工程を含み、
前記ガス透過度測定工程は、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して供給された、前記複数の気体のうちの1つの気体に含まれる標的成分を検出器にて検出する検出段階と、
前記検出段階後、前記1つの気体の前記結合部への供給を停止する停止段階とを繰り返すことで、前記複数の気体のそれぞれに含まれる標的成分を検出し、
前記ガス透過度測定工程は、前記検出段階前から、前記検出段階と前記停止段階とを繰り返している間、前記標的成分を含んでいない気体を、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して、前記検出器に供給し続ける、ガス透過度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス透過度の測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品及び薬品等の容器及び包装材等、フレキシブル有機ELデバイスを始めとするディスプレイ、並びに、リチウムイオン電池セル及び太陽電池等の精密機械の部品として、高いガスバリア性をもった薄膜材料を用いることが知られている。そして、薄膜材料のガスバリア性を評価する方法として、薄膜材料の水蒸気、酸素等のガスの透過度(以下、ガス透過度と記載)を測定することが知られている。ガス透過度は、密閉された空間の中で、測定の対象となるガス(対象ガス)に薄膜材料の一方の面を暴露し、他方の面側において検出される対象ガスの量を測定することによって測定される。
【0003】
例えば、特許文献1には、対象物を透過する気体を排出する複数のセルと、気体中の標的成分を検出する1つの検出器と、検出器への気体の流路を開閉する第1のバルブ、排気口、及び該排気口を開閉する第2のバルブが各セルに対応して設けられたガス透過度の測定装置が記載されている。特許文献1には、当該測定装置が、複数のセルと検出器との間に配された管と、第1のバルブ及び第2のバルブを制御して、排気口が開である状態において或る1つのセルに対応する流路を閉から開に切り替えた後に、該或る1つのセルに対応する排気口を閉として、該或る1つのセルの気体を検出器に導入させることが記載されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、対象分析物センサーと、試験室を、対象分析物を含む駆動気体が供給される駆動室と、不活性気体が供給される検知室に密閉分離するように試験室内に試験フィルムを保持するようになっている少なくとも1つの試験セルとを有する透過試験器が記載されている。特許文献2には、当該透過試験器が、次の(i)~(iv)の構成を備えていることが記載されている。(i)1本の共通導管が共用の対象分析物センサーと連通している。(ii)複数の個別の専用導管がそれぞれ共通導管と連通しかつ透過試験器により様々な対象分析物にさらされた流体を送ることができるようになっており、個別の専用導管のうち少なくとも1本が少なくとも1つの試験セルの検知室と連通している。(iii)専用弁が専用導管と接続されて試験セル側から送られる流体を排気する排気状態と通気状態の間で操作可能である。(iv)共通弁が共通導管に接続されて試験セル側から送られる流体を排気する排気状態と通気状態の間で操作可能である。
【0005】
これら特許文献1及び2に記載のガス透過度測定装置は、複数のセルによって連続的に複数の試料のガス透過度を測定することで、当該ガス透過度の測定時間を短縮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6492304号明細書
【特許文献2】特許第6559147号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載のガス透過度測定装置は、共通の流路を通過するようにして、複数のセルから1つの検出器に標的成分を含む気体が順次供給され、複数の気体に含まれる標的成分が順次検出される。このため、先に検出器に供給される気体において標的成分が多量に検出される場合等に、先に供給される気体に含まれる標的成分が共通の流路(配管)に残留し、後に供給される気体の測定に影響するという問題がある。
【0008】
すなわち、本願の発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は複数のセルを備えるガス透過度測定装置において、先のセルから供給される標的成分を含む気体によって、後のセルから供給される標的成分を含む気体が汚染されることを防ぐことができる、新規なガス透過度測定装置及びその関連技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るガス透過度測定装置は、試料を透過した標的成分を含む気体を排出する複数のセルと、複数のセルのそれぞれに連通する複数の配管と、前記複数の配管を合流させる結合部と、前記結合部に前記標的成分を含んでいない気体を供給するガス供給部と、前記セルから前記結合部を経由して送られた、前記標的成分を含む気体を検出する検出器と、を備え、前記セルのそれぞれと前記結合部との間には、前記配管のそれぞれの流路を切り替えるバルブが設けられている。
【0010】
また、本発明の一態様に係るガス透過度測定方法は、試料を透過した標的成分を含む、複数の気体を計測することでガス透過度を測定するガス透過度測定工程を含み、前記ガス透過度測定工程は、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して供給された、前記複数の気体のうちの1つの気体に含まれる標的成分を検出器にて検出する検出段階と、前記検出段階後、前記1つの気体の前記結合部への供給を停止する停止段階とを繰り返すことで、前記複数の気体のそれぞれに含まれる標的成分を検出し、前記ガス透過度測定工程は、前記検出段階前から、前記検出段階と前記停止段階とを繰り返している間、前記標的成分を含んでいない気体を、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して、前記検出器に供給し続ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、複数のセルを備えるガス透過度測定装置において、先のセルから供給される標的成分を含む気体によって、後のセルから供給される標的成分を含む気体が汚染されることを防ぐことができる、新規なガス透過度測定装置及びその関連技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一態様に係るガス透過度測定装置1000の概略を説明する図である。
図2】本開示の一態様に係るガス透過度測定装置1000が備える、セル110の概略を説明する図である。
図3】本発明の一態様に係るガス透過度測定方法における一連の工程の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中、数値範囲が「~」を用いて記載されている場合、当該「~」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含むことが意図されている。
【0014】
<ガス透過度測定装置100>
以下、本開示の一態様に係るガス透過度測定装置について詳細に説明する。図1は、本開示の一態様に係るガス透過度測定装置1000の概略を説明する図である。図2は、本開示の一態様に係るガス透過度測定装置1000が備える、セル110の概略を説明する図である。
【0015】
図1に示すように、ガス透過度測定装置1000は、試料11、12、又は13を固定するためのセル110、120、及び130を備えている。
【0016】
ガス透過度測定装置1000は、第1キャリアガス供給部(ガス供給部)200から、結合部250及び検出器500に、キャリアガスを供給する第1キャリアガス供給ライン210備えている。
【0017】
ガス透過度測定装置1000は、複数の第2キャリアガス供給ライン220、230、240を備えている。第2キャリアガス供給ライン220はセル110を経由して、結合部250及び検出器500に第2キャリアガスを供給し、第2キャリアガス供給ライン230は、セル120を経由して、結合部250及び検出器500に第2キャリアガスを供給する。第2キャリアガス供給ライン240はセル130を経由して、結合部250及び検出器500に第2キャリアガスを供給する。
【0018】
ガス透過度測定装置1000は、試験ガス供給部300から供給される試験ガスを各セルに送るための試験ガス供給ライン310、320、330を備えている。試験ガス供給ライン310は、セル110に試験ガスを供給し、試験ガス供給ライン320は、セル120に試験ガスを供給し、試験ガス供給ライン330はセル130に試験ガスを供給する。
【0019】
ガス透過度測定装置1000は、試料11のガス透過度を測定するときにおいて、1つ目のバルブ(第1バルブ)421によって流路が結合部250に対して開放され、バルブ422及び423によって結合部250に対して流路が閉鎖されていればよい。これにより、試料11を透過した標的成分を含む気体を、結合部250を介して検出器500に供給することができる。同様に、試料12のガス透過度を測定するときにおいて、2つ目のバルブ(第2バルブ)422によって結合部250に対して流路が開放され、バルブ421及び423は結合部250への流路が閉鎖されていればよい。また、試料13のガス透過度を測定するときにおいて、3つ目のバルブ(第3バルブ)423によって結合部250に対して流路が開放され、バルブ421及び422は結合部250に対して流路が閉鎖されていればよい。すなわち、結合部250に対する流路を閉鎖し、複数のバルブ421、422及び423の結合部250への開放を、1つずつ順次切り替えることにより、複数のセル110、120、及び130のそれぞれから、標的成分を含む複数のキャリアガスが別個に順次供給される。これによって、試料11、12及び13のガス透過度を、それぞれ独立して連続的に1つの検出器500で測定することができる。また、複数のバルブ421、422及び423の全てが結合部250への流路を閉鎖した状態で、第1キャリアガス供給部200が標的成分を含んでいない気体を供給し続けることで、結合部250に標的成分が残ることを防ぐことができる。ここで、複数のバルブ421、422及び423のうちの1つのバルブの結合部250への開放と、複数のバルブ421、422及び423の全てのバルブの結合部250への閉鎖とを交互に行うとよい。これにより、複数のセル110、120、及び130に固定した試料11、12、13のそれぞれのガス透過度を測定した後毎に、第1キャリアガス供給ライン210から供給される第1キャリアガスによって結合部250に標的成分が残ることを防ぐことができる。
【0020】
〔セル(ガス透過度測定用セル)〕
図1に示すセル(第1セル)110は、ガス透過度測定用のセルである。図2を参照して説明すれば、セル110は、上部チャンバ111と下部チャンバ112とを備えており、上部チャンバ111及び下部チャンバ112は、それぞれが備える凹部の開口側にて、フィルム状の試料11を狭持し、これにより試料11を固定している。
【0021】
上部チャンバ111には、配管221から標的成分Tを含んでいない気体(キャリアガスともいう)が供給される。このとき試料11を透過して上部チャンバ111に移動してきた標的成分Tがキャリアガスに取り込まれる。これにより標的成分Tを含んだ気体(検出ガスとも称する)が、配管222を経て後述する検出器500に送られる。これにより、ガス透過度測定装置1000は、セル110に固定した試料11における標的成分Tの透過度を測定することができる。
【0022】
このとき、下部チャンバ112には、標的成分Tを含む気体(試験ガスともいう)が配管311から供給され、当該気体は配管312からガス透過度測定装置1000の外に排出される。下部チャンバ112に供給された気体に含まれる標的成分Tは、試料11を透過して上部チャンバ111に移動する。
【0023】
なお、セル110は温度制御室170内に収納されていてもよい。これにより、セル110にて評価する試料11の温度を一定に維持したり、温度条件を変化させて試料11のガス透過度を評価したりすることができる。
【0024】
図1に示す、セル(第2セル)120及びセル130(第3セル)は、それぞれ、試料11に代え、試料12又は試料13のガス透過度を測定すること以外は、セル110と同じ構成を有しており、その説明を省略する。すなわち、セル120の上部チャンバ121及び下部チャンバ122と、セル130の上部チャンバ131及び下部チャンバ132とは、セル110の上部チャンバ111及び下部チャンバ112に同じ構成を有しており、その説明を省略する。なお、図示していないが、セル120及びセル130も、図2に示すセル110と同様に、温度制御室を備えていてもよい。
【0025】
ガス透過度測定に供される試料は、薄膜材料であり得、限定されるべきではないが、例えば、厚さ20~1000μmの無孔質樹脂基板上に、厚さ10nm~2000nm程度の薄膜がコーティングされたフィルムであり得る。
【0026】
〔第1キャリアガス供給ライン〕
ガス透過度測定装置1000は、第1キャリアガス供給ライン210として、配管211、配管212を備えている。第1キャリアガス供給ライン210は、第1キャリアガス供給部(ガス供給部)200に貯留された標的成分を含んでいない気体(第1キャリアガス)を配管211から結合部250を通過するようにして検出器500に供給する。結合部250を通過した第1キャリアガスは、配管212を通過して検出器500に送られ、検出器500が備える配管213から排出される。第1キャリアガス供給ライン210は、後述する第2キャリアガス供給ライン220、230、及び240を経由せずに、結合部250に連通している。
【0027】
第1キャリアガスの流量は、マスフローコントローラ(ガス流量調整部)410によって制御されている。第1キャリアガス供給ライン210は、すくなくとも、検出器500が一連の試料11、12、及び13のガス透過度を測定している間、結合部250及び検出器500に第1キャリアガス供給部200からの第1キャリアガスを継続的に供給し続ける。
【0028】
これにより、ガス透過度測定装置1000は、第2キャリアガス供給ライン220、230、240から順次結合部250に供給される標的成分を含んだ第2キャリアガス(検出ガス)とともに、第1キャリアガスを検出器500に送り出すことができる。また、第2キャリアガスが供給されていないときにおいて、第1キャリアガスを継続的に供給し続けることで、第2キャリアガスに含まれる標的成分が、結合部250に残留することを回避し、速やかに検出器500を経由して、ガス透過度測定装置1000の外に除去することができる。
【0029】
より具体的には、例えば、複数の試料11、12、及び13のそれぞれにおけるガス透過度が大きく異なり、先にガス透過度を測定したセルから送り出される標的成分の量が、後にガス透過度を測定したセル送り出される標的成分の量より過剰であることがある。このようなとき、先に送り出された標的成分を含む気体が、後に送り出された標的成分を含む気体の測定精度を低下させるという問題がある。ガス透過度測定装置1000は、第1キャリアガスを継続的に供給し続けることで、先に送り出された標的成分を結合部250、及び検出器500から除去することができる。よって、後に送り出された標的成分を含む気体の測定精度が低下することを防ぐことができる。また、例えば、試料11、12及び13において評価する試験ガスの種類が異なる場合、互い異なる標的成分がコンタミネーションとなり、後の後に送り出された標的成分を含む気体を汚染することを防ぐことができる。このような観点から、第1キャリアガスのことを洗浄ガスと称することがある。
【0030】
第1キャリアガスは、標的成分を取り込み、検出器500に送ることができるキャリアガスであれば、限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウム、ネオン、及びキセノン等の不活性ガス、並びに、乾燥空気等が挙げられる。
【0031】
〔第2キャリアガス供給ライン〕
第2キャリアガス供給ライン220は、第2キャリアガスを貯留する第2キャリアガス供給部201から供給される標的成分を含んでいない気体(第2キャリアガス)をセル110に供給する。セル110に供給された第2キャリアガスは、上述したように標的成分を取り込み、上部チャンバ111から配管222に送られ、バルブ421により、配管223への流路が開放されたときに、結合部250に標的成分を取り込んだ第2キャリアガス(検出ガス)を送り出す。第2キャリアガス供給ライン220は、バルブ421により、配管223への流路を閉鎖し、配管(排出管)224への流路が開放されたときに、検出ガス又は第2キャリアガスをガス透過度測定装置1000の外に排出する。
【0032】
第2キャリアガス供給ライン220は、配管221に設けられたマスフローコントローラ411によって、セル110に供給する第2キャリアガスの流量が調整されている。
【0033】
第2キャリアガス供給ライン230の配管231、232、及び233、並びに第2キャリアガス供給ライン240の配管241、242、及び243は、第2キャリアガス供給ライン220の配管221、223、及び223に同じ構成を有しており、その説明を省略する。
【0034】
また、配管(排出管)234、及び244は、配管224に同じ構成を有しており、検出ガス又は第2キャリアガスをガス透過度測定装置1000の測定系の外に排出することができる。同様に、バルブ422、及びバルブ423は、バルブ421と同じ構成を有しており、バルブ422は、配管233と配管234との流路を切り替え、バルブ423は、配管243と配管244との流路を切り替える。
【0035】
また、配管231に設けられたマスフローコントローラ413によって、セル120に供給する第2キャリアガスの流量が調整されており、配管241に設けられたマスフローコントローラ415によって、セル130に供給する第2キャリアガスの流量が調整されている。
【0036】
配管224、234、及び244のそれぞれは、図示しない自動圧力制御機器を備えていてもよい。これにより、バルブ421、422、及びバルブ423の切り替えに起因して、セル110、120及び130それぞれの内部に生じる急激な圧力の変動を緩和することができる。
【0037】
また、第2キャリアガス供給ライン220、230、及び240のそれぞれは、共通する第2キャリアガス供給部201を第2キャリアガスの供給源にすることができる。または、第2キャリアガス供給ライン220、230、及び240における第2キャリアガスは、それぞれ独立して、第2キャリアガス供給部201以外のキャリアガス供給部からガスが供給されてもよい。
【0038】
第2キャリアガスは、標的成分を取り込み、検出器500に送ることができるキャリアガスであればよく、第1キャリアガスと同様のキャリアガスを用いることができる。
【0039】
(試験ガス供給ライン)
試験ガス供給ライン310は、配管311及び312を備えている。試験ガス供給ライン310は、試験ガスを貯留する試験ガス供給部300から配管311を介して供給される試験ガスをセル110に供給する。試験ガスの流量は、マスフローコントローラ412によって制御されている。セル110に供給された試験ガスは下部チャンバ112から配管312に送られ、ガス透過度測定装置1000の外に排出される。
【0040】
試験ガス供給ライン320の配管321、及び322、並びに試験ガス供給ライン330の配管331、及び332は、それぞれ配管311及び312と同じ構成を有しており、その説明を省略する。試験ガス供給ライン320では、マスフローコントローラ414、試験ガス供給ライン320ではマスフローコントローラ416によって、各セルに供給する試験ガスの流量が制御されている。
【0041】
試験ガス供給ライン310、320、及び330のそれぞれは、共通する試験ガス供給部300から、セル110、120及び130に試験ガスを供給することができる。または、試験ガス供給ライン310、320、及び330は、それぞれ独立して、試験ガス供給部300以外の図示しない試験ガス供給部から試験ガスが供給されてもよい。
【0042】
試験ガス供給ライン310、320、及び330が供給する試験ガスは、それぞれ、同じ種類の標的成分を含んでいてもよく、互いに異なる種類の標的成分を含んでいてもよい。試験ガスは、例えば、水素、水、窒素、酸素、炭酸ガス、メタン等を標的成分といて含むガスであり得る。
【0043】
〔結合部、バルブ及び加熱部〕
結合部250は、第1キャリアガス供給ライン210の配管211、並びに複数の第2キャリアガス供給ライン220、230及び240の配管223、233、及び243が結合する部位である。配管211、配管223、及び配管233のそれぞれは、複数のバルブ421、422、及び423と、結合部250とを繋ぐ配管である。また、結合部250と検出器500との間、つまり、結合部250の下流には、結合部250にて合流した第1キャリアと標的成分を含んだ第2キャリアガスとを含む検出ガスを検出器500に送るための配管212が設けられている。
【0044】
ここで、バルブ421、422、及び423のそれぞれと結合部250との間の距離は、それぞれ独立して、0.5~30.0cmの範囲内であることが好ましく、0.5~5.0cmの範囲内であることがより好ましい。これにより、結合部250に標的成分が残留することを防ぐことができる。なお、バルブ421、422、及び423のそれぞれと結合部250との距離は、配管223、233、及び243の長さでもあり得る。
【0045】
配管223、配管233、配管243のそれぞれには、これら配管を加熱するヒータ(加熱部)270が設けられていることが好ましい。これにより、配管223、配管233、及び配管243のそれぞれと結合部250との間において、標的成分の温度が低下し、当該標的成分がこれら配管内に残留することを防止することができる。
【0046】
結合部250と検出器500との間には、配管212を加熱するヒータ(加熱部)270が設けられていることが好ましい。これにより、結合部250を経由した標的成分の温度が配管212内にて低下し、当該配管212内に残留することを防止できる。
【0047】
ガス透過度測定装置1000において、バルブ421、422、及び423のそれぞれは、二連三方型バルブであることが好ましい。これにより、各流路の切り替えを速やかに行うことができる。また、ガス透過度測定装置において、各配管に設けられるバルブは、二連三方型バルブに限定されるものでない。例えば、各第2キャリアガス供給ラインに設けられた結合部に繋がる配管と排出管との分岐点の下流のそれぞれに、二方型バルブを設けることで達成してもよい。
【0048】
バルブ421、422、及び423のそれぞれは、これらバルブ自身を加熱するヒータ(加熱部)が設けられていることがより好ましい。これにより、バルブ421、422、及び423を通過する第2キャリアガス及び標的成分の温度が低下し、バルブ421、422、及び423のそれぞれに標的成分が残留することを防止することができる。なお、ガス透過度測定装置は、二連三方型バルブに代えて、二方型バルブを採用する場合においても、二方型バルブは加熱部を備えていてもよい。
【0049】
また、第2キャリアガス供給ライン220、230、及び240には、それぞれ、各セル110、120、及び130の下流であり、各バルブ421、422、及び423の上流に位置する配管222、232、及び242に、ヒータ(加熱部)271が設けられていることが好ましい。配管222、232、及び242のそれぞれが、ヒータ271を備えていることにより、各セル110、120、及び130のそれぞれから排出された第2キャリアガスに含まれる標的成分がこれら配管222、232、及び242内に残留することを防ぐことができる。
【0050】
ヒータ270及び271のそれぞれの温度と、バルブ421、422、及び423が備えるヒータのそれぞれの温度とは、例えば、温度制御室内にて温度制御された各セル110、120、及び130のそれぞれから排出された標的成分が、検出器500に至るまでの流路内にて凝集又は析出しない温度に調整されていることが好ましい。このような観点から、ヒータ270及び271のそれぞれとバルブ421、422、及び423のそれぞれとの加熱温度は、標的成分の種類に応じて設計され限定されるべきではないが、例えば、50~120℃の範囲内の加熱温度であることが好ましい。
【0051】
一例として、標的成分が水蒸気である場合、(i)配管212、配管223、233、及び243に設けられた配管加熱用のヒータ270の全てと、(ii)バルブ421、422、及び423が備えるバルブ加熱用のヒータの全てとの何れか一方、又は両方を、上述の加熱温度の範囲内で加熱しつつ、バルブ421、422、及び423のそれぞれの結合部250への流路を閉鎖するとよい。ここで、第1キャリアガス供給ライン210から高純度の第1キャリアガスを供給することで、配管223、233、及び243、並びに結合部250、及び配管212に残留する水蒸気を好適に検出器500から、配管213を経て測定系外に排出することができる。よって、ガス透過度測定装置1000によって、測定精度よく水蒸気透過性試験を行うことができる。
【0052】
〔検出器〕
検出器500は、標的成分を検出でき、第1キャリアガスを継続的に排出することができれば、限定されるべきでなく、公知の検出器を用いることができる。
【0053】
〔制御部〕
制御部600は、バルブ421、422、及び423の流路の切り替え、及びマスフローコントローラ410~416における各気体の流量の計測、監視及び制御を行う。また、制御部600は検出器500を監視及び制御してもよい。
【0054】
制御部600は、マスフローコントローラ410が結合部250に供給する第1キャリアガスの流量と、マスフローコントローラ411、413、又は415の何れかが結合部250に供給する第2キャリアガスの流量との合計が一定になるように、マスフローコントローラ410と、マスフローコントローラ411、413、及び415とを制御するとよい。また、制御部600は、試料11、12、及び13の種類、及び各セル110、120、130に供給する試験ガスの種類等の試験条件等に応じ、それぞれ独立した試験条件にて、第1キャリアガスの流量及び第2キャリアガスの流量を調整するように、マスフローコントローラ410、411、413、及び415を制御してもよい。
【0055】
同様に、制御部600は、試料11、12、及び13の種類、及び試験ガスの種類等の試験条件に応じ、それぞれ独立した試験条件にて、試験ガスの流量を調整するように、マスフローコントローラ412、414、及び416を制御してもよい。
【0056】
同様に、制御部600は、ガス透過度測定装置1000が備える複数のヒータ270、及び271、並びに、複数のバルブ421、422及び423の温度、さらには、温度制御室の温度を制御してもよい。
【0057】
<ガス透過度測定方法>
本開示の一態様に係るガス透過度測定方法は、試料を透過した標的成分を含む、複数の気体を計測することでガス透過度を測定するガス透過度測定工程を含み、前記ガス透過度測定工程は、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して供給された、前記複数の気体のうちの1つの気体に含まれる標的成分を検出器にて検出する検出段階と、前記検出段階後、前記1つの気体の前記結合部への供給を停止する停止段階とを繰り返することで、前記複数の気体のそれぞれに含まれる標的成分を検出し、前記ガス透過度測定工程は、前記検出段階前から、前記検出段階と前記停止段階とを繰り返している間、前記標的成分を含んでいない気体を、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して、前記検出器に供給し続ける。
【0058】
一態様に係るガス透過度測定方法は、典型的には、本開示の一態様に係るガス透過度測装置によって行うことができる。
【0059】
図3は、制御部600により制御された、バルブの切り替え工程のフローチャートを示している。
【0060】
制御部600は、ガス透過度測定方法において、バルブ421、422、及びバルブ423、並びにマスフローコントローラ410、411、413、415を操作し、以下の関係式(1)に例示されるようにガスの流量(flow rate)を制御するとよい。
250=F210+X ・・・(1)
Xは、F220、F230、又はF240であり、
220=F230=F240 であってよく、F220≠F230≠F240 であってよい。
また、F220=F230=F240=0 のときにおいて、
210は、
10~2000ml/分の範囲内であってよく、
50~1000ml/分の範囲内であることが好ましく、
100~500ml/分であることがより好ましい。
210は、10~2000ml/分の範囲内であればよいが、50~1000ml/分の範囲内であることにより、先のガス透過度測定時に送り出された過剰な標的成分を結合部250及び検出器500から速やかに除去することができることからより好ましい。
220≠F230≠F240 である場合、F250が所定の値になるように、F210を制御すればよい。F220、F230、F240のそれぞれは、試料の種類、検出器されるべき標的成分の種類、及び濃度等に応じて設定すればよい。
210:第1キャリアガス供給ライン210から結合部250に送られる第1キャリアガスの流量
220:第2キャリアガス供給ライン220から結合部250に送られる検出ガスの流量
230:第2キャリアガス供給ライン230から結合部250に送られる検出ガスの流量
240:第2キャリアガス供給ライン240から結合部250に送られる検出ガスの流量
250:結合部250を経由して検出器500に向かうガスの流量
【0061】
ステップS1を開始する時点では、制御部600がマスフローコントローラ410を制御し、第1キャリアガス供給ライン210から結合部250に供給する第1キャリアガスの流量を所定の流量(F210=F250)に制御する。このとき、制御部600は、バルブ421、422、及びバルブ423のそれぞれにおける結合部250への流路を閉鎖(OFF)し、これにより、配管224、234、及び244からガス透過度測定装置1000における測定系の外に各検出ガスを排出している。ここで、制御部600は、マスフローコントローラ411、413、及び415を制御し、各第2キャリアガス供給ライン220、230、及び240における検出ガスの流量をそれぞれ所定の流量に調整している。以下では、一例として、各第2キャリアガス供給ラインにおける検出ガスの流量が、F220=F230=F240=Xであり、F250が一定であるときのフローを説明している。
【0062】
ステップS2では、ステップS1後に、制御部600が、マスフローコントローラ410を制御し、第1キャリアガス供給ライン210における第1キャリアガスの流量を所定の流量(F210=F250-X)に制御する。続いて、制御部600が、1つ目のバルブ421を結合部250に対して開放(ON)し、これにより第2キャリアガス供給ライン220は、結合部250に向かって所定の流量(F220=X)にて1つ目の検出ガス(第1検出ガス)を供給する。これにより、第1キャリアガス及び第1検出ガスが結合部250にて合流し、合計流量(F250)にて検出器500に送られる。これにより、検出器500が第1検出ガスに含まれる標的成分を検出する(第1検出段階)。
【0063】
ステップS3では、ステップS2後に、制御部600が、バルブ421を閉鎖(OFF)し、マスフローコントローラ410により、第1キャリアガス供給ライン210における第1キャリアガスの流量を所定の流量(F210=F250)に制御する(第1停止段階)。これにより、第1キャリアガスが結合部250を経由し、所定の流量(F210=F250)にて検出器500に送られ、配管213からガス透過度測定装置1000の測定系の外に排出される。これにより、第1キャリアガスが、第1検出ガスとともに標的成分を取り込み、速やかに測定系の外に排出される。
【0064】
ステップS4では、ステップS3後に、制御部600が、マスフローコントローラ410を制御し、第1キャリアガス供給ライン210における第1キャリアガスの流量を所定の流量(F210=F250-X)に制御する。続いて、制御部600が、2つ目のバルブ422を結合部250に対して開放(ON)し、これにより第2キャリアガス供給ライン230は、結合部250に向かって所定の流量(F230=X)にて2つ目の検出ガス(第2検出ガス)を供給する。これにより、第1キャリアガス及び第2検出ガスが結合部250にて合流し、合計流量(F250)にて検出器500に送られる。これにより、検出器500が第2検出ガスに含まれる標的成分を検出する(第2検出段階)。
【0065】
ステップS5では、ステップS4後に、制御部600が、バルブ422を閉鎖(OFF)し、マスフローコントローラ410により、第1キャリアガス供給ライン210における第1キャリアガスの流量を所定の流量(F210=F250)に制御する(第2停止段階)。これにより、第1キャリアガスが、第2検出ガスとともに標的成分を取り込み、結合部250、検出器500を経由して、配管213から速やかに測定系の外に排出される。
【0066】
ステップS6では、ステップS5後に、制御部600が、マスフローコントローラ410を制御し、第1キャリアガス供給ライン210における第1キャリアガスの流量を所定の流量(F210=F250-X)に制御する。続いて、制御部600が、3つ目のバルブ423を結合部250に対して開放(ON)し、これにより第2キャリアガス供給ライン240は、結合部250に向かって所定の流量(F240=X)にて3つ目の検出ガス(第3検出ガス)を供給する。これにより、第1キャリアガス及び第3検出ガスが結合部250にて合流し、合計流量(F250)にて検出器500に送られる。これにより、検出器500が第3検出ガスに含まれる標的成分を検出する(第3検出段階)。
【0067】
ステップS7では、ステップS6後に、制御部600が、バルブ423を閉鎖(OFF)し、マスフローコントローラ410により、第1キャリアガス供給ライン210における第1キャリアガスの流量を所定の流量(F210=F250)に制御する(第3停止段階)。これにより、第1キャリアガスが、第3検出ガスとともに標的成分を取り込み、結合部250、検出器500を経由して、配管213から速やかに測定系の外に排出される。
【0068】
以上に説明したように、ステップS3、ステップS5、及びステップS7にて行われる、第1~第3停止段階で、第1キャリアガスにより、結合部250、及び検出器500から標的成分が排出される。このことから、ガス透過度測定工程に包含される停止段階のそれぞれを洗浄段階と称することもある。
【0069】
ガス透過度測定装置において評価する試料の数に応じて、上記の検出段階、及び停止段階を繰り返せばよい。よって、1つの試料のみを評価する場合、1回の検出段階及び、1回の停止段階を行えばよい。
【0070】
また、ガス透過度測定装置は、第1キャリアガスを結合部に供給することができれば、当該結合部に連通するセルの数は限定されず、言い換えれば、当該結合部に連通する第2キャリアガス供給ラインの数は限定されない。
【0071】
また、制御部は、ガス透過度測定時において結合部に供給される第1キャリアガスの流量及び標的成分を含んでいる第2キャリアガス(検出ガス)の流量の合計と、結合部の洗浄時における当該結合部へ第1キャリアガスの流量とが、必ずしも一致していなくてよく、結合部及び検出部に残る標的成分の量に応じて、結合部の洗浄のために供給する第1キャリアガスの流量及びその供給時間を調整してもよい。
【0072】
〔まとめ〕
以上の説明したように、本発明の態様1に係るガス透過度測定装置は、試料を透過した標的成分を含む気体を排出する複数のセルと、複数のセルのそれぞれに連通する複数の配管と、前記複数の配管を合流させる結合部と、前記結合部に前記標的成分を含んでいない気体を供給するガス供給部と、前記セルから前記結合部を経由して送られた、前記標的成分を含む気体を検出する検出器と、を備え、前記セルのそれぞれと前記結合部との間には、前記配管のそれぞれの流路を切り替えるバルブが設けられている。
【0073】
本発明の態様2に係るガス透過度測定装置は、上記態様1において、前記ガス供給部が、前記結合部に前記標的成分を含んでいない気体を供給し続けることが好ましい。
【0074】
また、本発明の態様3に係るガス透過度測定装置は、上記態様1又は2において、前記結合部と、前記バルブのそれぞれとの間の距離は、0.5~30.0cmの範囲内であることが好ましい。
【0075】
また、本発明の態様4に係るガス透過度測定装置は、上記態様1~3の何れかにおいて、前記結合部に対する流路を閉鎖した前記バルブの前記結合部への開放を、1つずつ順次切り替えて行うことにより、前記複数のセルから供給される複数の気体を1つずつ検出するとよい。
【0076】
また、本発明の態様5に係るガス透過度測定装置は、上記態様1~4の何れかにおいて、前記バルブの全てが前記結合部への流路を閉鎖した状態で、前記ガス供給部が、前記標的成分を含んでいない気体を供給し続けるとよい。
【0077】
また、本発明の態様6に係るガス透過度測定装置は、上記態様1~5の何れかにおいて、前記バルブと、前記バルブと前記結合部との間の配管との何れか一方、又は両方の全てに加熱部が設けられているとよい。
【0078】
また、本発明の態様7に係るガス透過度測定装置は、上記態様5において、前記ガス供給部が供給する前記標的成分を含んでいない気体の流量が、100~500ml/minの範囲内であることが好ましい。
【0079】
本発明の態様8に係るガス透過度測定装置は、上記態様1~7の何れかにおいて、前記バルブは、二連三方型バルブであることが好ましい。
【0080】
本発明の態様9に係るガス透過度測定方法は、試料を透過した標的成分を含む、複数の気体を計測することでガス透過度を測定するガス透過度測定工程を含み、前記ガス透過度測定工程は、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して供給された、前記複数の気体のうちの1つの気体に含まれる標的成分を検出器にて検出する検出段階と、前記検出段階後、前記1つの気体の前記結合部への供給を停止する停止段階とを繰り返することで、前記複数の気体のそれぞれに含まれる標的成分を検出し、前記ガス透過度測定工程は、前記検出段階前から、前記検出段階と前記停止段階とを繰り返している間、前記標的成分を含んでいない気体を、前記複数の気体が合流する配管の結合部を経由して、前記検出器に供給し続ける。
【0081】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、種々の薄膜材料のガス透過度測定に利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
試料 11、12、13
セル 110、120、130
上部チャンバ(セル) 111、121、131
下部チャンバ(セル) 112、122、132
ガス透過度測定装置 1000
ガス供給部(第1ガス供給部) 200
第1キャリアガス供給ライン 210
配管(流路) 211、212、213
第2キャリアガス供給ライン 220、230、240
配管(流路) 221、222、223
配管(流路) 231、232、233
配管(流路) 241、242、243
ヒータ(加熱部) 270、271
バルブ(加熱部あり) 421、422、423
マスフローコントローラ(ガス流量調整部) 410、411、412、413、414、415、416
検出器 500
制御部 600
図1
図2
図3