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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064850
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/80 20180101AFI20240507BHJP
   B60N 2/809 20180101ALI20240507BHJP
   B60N 2/891 20180101ALI20240507BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20240507BHJP
   B60N 2/838 20180101ALI20240507BHJP
【FI】
B60N2/80
B60N2/809
B60N2/891
A47C7/38
B60N2/838
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173768
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 東鉉
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
(72)【発明者】
【氏名】今成 勝利
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084DB01
3B084DB09
3B084DC01
3B087DC06
3B087DC08
(57)【要約】
【課題】ヘッドレストケースの上面側及び上部後側がヘッドレストパッドで覆われない構成であっても、ヘッドレスト表皮のずれを抑えることができるヘッドレストを得る。
【解決手段】ヘッドレストパッド30は、上方側及び上部30Uの後方側が開放された状態でヘッドレストケース20に被せられており、ヘッドレストパッド30と、ヘッドレストパッド30からのヘッドレストケース20の露出部分と、を覆うようにヘッドレスト表皮としてのトリムカバーが被せられている。ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との互いの隣接部には、規制部42、44が設けられ、規制部42、44は、凹凸嵌合することによって、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との相対変位を規制する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの上端部に連結されるヘッドレストステーと、
前記ヘッドレストステーの上端部においてヘッドレスト幅方向の軸回りに回動可能に設けられたヘッドレストケースと、
上方側及び上部の後方側が開放された状態で前記ヘッドレストケースに被せられたヘッドレストパッドと、
前記ヘッドレストパッドと、前記ヘッドレストパッドからの前記ヘッドレストケースの露出部分と、を覆うように被せられたヘッドレスト表皮と、
前記ヘッドレストケースと前記ヘッドレストパッドとの互いの隣接部に設けられ、凹凸嵌合することによって前記ヘッドレストケースと前記ヘッドレストパッドとの相対変位を規制する規制部と、
を備えるヘッドレスト。
【請求項2】
前記規制部は、前記ヘッドレストケースと前記ヘッドレストパッドとの互いの隣接部の上部におけるヘッドレスト幅方向の両側において上側と下側にそれぞれ設けられている、請求項1に記載のヘッドレスト。
【請求項3】
前記ヘッドレストケースは、ケース上部を構成するアッパケースとケース下部を構成するロアケースとがネジで締結されることにより構成されると共に、前記ネジの頭部が収容される凹部を有し、
前記凹部は、前記規制部の構成部として兼用されている、請求項1に記載のヘッドレスト。
【請求項4】
前記ヘッドレストケースは、ヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出された一対の下方延出部を有し、前記一対の下方延出部は、側面視で下方側へ向けて先細り状に形成されており、
前記ヘッドレストパッドは、ヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出されて前記一対の下方延出部に被せられた鞘状の下部被覆部を有する、請求項1に記載のヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ヘッドレスト本体がステー(ヘッドレストステー)の上部に取り付けられたヘッドレストに関する技術が開示されている。この先行技術では、ヘッドレスト本体は、パッドカバー(ヘッドレスト表皮)で覆われたパッド部材(ヘッドレストパッド)を備えており、パッド部材の内部には、ステー上端部の水平横方向の軸部回りに回動可能な内ケース(ヘッドレストケース)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-162256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記先行技術では、内ケースの上面側がパッド部材で覆われているが、近年においては内ケースの上面側及び上部後側がパッド部材で覆われない場合がある。このような場合、内ケースとパッド部材との相対位置が安定しないため、パッドカバーがずれることが懸念され、この点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ヘッドレストケースの上面側及び上部後側がヘッドレストパッドで覆われない構成であっても、ヘッドレスト表皮のずれを抑えることができるヘッドレストを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明のヘッドレストは、シートバックの上端部に連結されるヘッドレストステーと、前記ヘッドレストステーの上端部においてヘッドレスト幅方向の軸回りに回動可能に設けられたヘッドレストケースと、上方側及び上部の後方側が開放された状態で前記ヘッドレストケースに被せられたヘッドレストパッドと、前記ヘッドレストパッドと、前記ヘッドレストパッドからの前記ヘッドレストケースの露出部分と、を覆うように被せられたヘッドレスト表皮と、前記ヘッドレストケースと前記ヘッドレストパッドとの互いの隣接部に設けられ、凹凸嵌合することによって前記ヘッドレストケースと前記ヘッドレストパッドとの相対変位を規制する規制部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、シートバックの上端部にヘッドレストステーが連結され、ヘッドレストステーの上端部に設けられたヘッドレストケースがヘッドレスト幅方向の軸回りに回動可能になっている。また、ヘッドレストパッドは、上方側及び上部の後方側が開放された状態でヘッドレストケースに被せられており、ヘッドレストパッドと、ヘッドレストパッドからのヘッドレストケースの露出部分と、を覆うようにヘッドレスト表皮が被せられている。ここで、ヘッドレストケースとヘッドレストパッドとの互いの隣接部には、規制部が設けられており、規制部は、凹凸嵌合することによってヘッドレストケースとヘッドレストパッドとの相対変位を規制する。このため、ヘッドレストケースとヘッドレストパッドとの相対変位に起因したヘッドレスト表皮のずれを抑えることができる。
【0008】
請求項2に記載する本発明のヘッドレストは、請求項1に記載の構成において、前記規制部は、前記ヘッドレストケースと前記ヘッドレストパッドとの互いの隣接部の上部におけるヘッドレスト幅方向の両側において上側と下側にそれぞれ設けられている。
【0009】
上記構成によれば、規制部が左右に設けられることによってヘッドレストケースとヘッドレストパッドとの前後方向の相対変位を効果的に抑制することができる。また、規制部が上下に設けられることによってヘッドレストケースとヘッドレストパッドとの上下方向の相対変位を効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3に記載する本発明のヘッドレストは、請求項1に記載の構成において、前記ヘッドレストケースは、ケース上部を構成するアッパケースとケース下部を構成するロアケースとがネジで締結されることにより構成されると共に、前記ネジの頭部が収容される凹部を有し、前記凹部は、前記規制部の構成部として兼用されている。
【0011】
上記構成によれば、ネジの頭部が収容される凹部を規制部の構成部として有効に利用することができる。
【0012】
請求項4に記載する本発明のヘッドレストは、請求項1に記載の構成において、前記ヘッドレストケースは、ヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出された一対の下方延出部を有し、前記一対の下方延出部は、側面視で下方側へ向けて先細り状に形成されており、前記ヘッドレストパッドは、ヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出されて前記一対の下方延出部に被せられた鞘状の下部被覆部を有する。
【0013】
上記構成によれば、ヘッドレストケースの一対の下方延出部とヘッドレストパッドの鞘状の下部被覆部との相対変位が抑えられると共に、下方延出部が下部被覆部によって補強されることによって着座乗員の後頭骨を左右から良好に支持することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明のヘッドレストによれば、ヘッドレストケースの上面側及び上部後側がヘッドレストパッドで覆われない構成であっても、ヘッドレスト表皮のずれを抑えることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドレストを示す斜視図である。図1(A)はチルト動作させる前の状態を示す。図1(B)はチルト動作させた後の状態を示す。
図2】トリムカバー装着前の状態のヘッドレストを示す斜視図である。
図3】ヘッドレストステーにヘッドレストケースが取り付けられた構造体とヘッドレストパッドとを分解して示す分解斜視図である。
図4】ヘッドレストステーにヘッドレストケースが取り付けられた構造体とヘッドレストパッドとを分解して側面視で示す分解側面図である。
図5図2と同様の状態を側面視で簡略化して示す側面図である。
図6図5の6-6線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図7図7(A)はヘッドレストパッド等にトリムカバーを装着する過程の状態を示す背面図である。図7(B)はヘッドレストパッド等にトリムカバーを装着した状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図7を用いて本発明の一実施形態に係るヘッドレスト10について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRはヘッドレスト10の前方側を示しており、矢印UPはヘッドレスト10の上方側を示しており、矢印Wはヘッドレスト10の幅方向を示している。以下、単に前後上下左右の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、ヘッドレスト10に対する方向を示すものとする。また、各図においては、図面を見易くする関係から、一部の符号を省略している場合がある。
【0017】
(実施形態の構成)
図1(A)及び図1(B)には、本実施形態に係るヘッドレスト10が斜視図で示されている。図1(A)及び図1(B)に示されるように、ヘッドレスト10は、シートバック50の上端部に連結されるヘッドレストステー12を備えると共に、ヘッドレストステー12の上端部に取り付けられてチルト動作が可能なヘッドレスト本体14を備える。ヘッドレストステー12は、ヘッドレスト本体14から下方側に突出された左右一対の脚部12Aを有する。ヘッドレスト本体14は、着座乗員の頭部の支持用とされる。ヘッドレスト本体14の表面は、ヘッドレスト表皮としてのトリムカバー32で構成されている。
【0018】
図2には、トリムカバー32(図1参照)の装着前の状態のヘッドレスト10が斜視図で示されている。図2に示されるヘッドレスト本体14は、ヘッドレストステー12の上端部においてヘッドレスト幅方向(矢印W参照)の軸回りに回動可能に設けられたヘッドレストケース20と、ヘッドレストケース20に被せられたヘッドレストパッド30と、を備えている。ヘッドレストパッド30は、上方側及び上部30Uの後方側が開放された状態でヘッドレストケース20に被せられている。図中では、ヘッドレストパッド30において、開放部分のヘッドレスト幅方向両側の端縁に符号30Sを付し、上方側開放部分の前端縁に符号30Fを付し、上部30Uの後方側開放部分の下端縁に符号30Lを付す。前述したトリムカバー32(図1参照)は、ヘッドレストパッド30と、ヘッドレストパッド30からのヘッドレストケース20の露出部分と、を覆うように被せられる。
【0019】
図3及び図4には、ヘッドレストステー12にヘッドレストケース20が取り付けられた構造体18とヘッドレストパッド30とを分解した状態が示されている。また、図5には、図2と同様の状態を簡略化した側面図が示され、図6には、図5の6-6線に沿って切断した状態の断面図が示されている。なお、ヘッドレストケース20及びヘッドレストパッド30は、一例として左右対称に形成されている。
【0020】
図3図4及び図6に示されるヘッドレストケース20は、樹脂製とされ、ケース上部を構成するアッパケース22と、ケース下部を構成するロアケース24と、を有する。図6に示されるように、ヘッドレストケース20は、アッパケース22とロアケース24とがネジ26で締結されることにより構成されている。ヘッドレストケース20の内部には、ヘッドレスト本体14のチルト動作を可能にするための機構が設けられるが、ここでは説明を省略する。
【0021】
図3図4及び図6に示されるように、ロアケース24の上部におけるヘッドレスト幅方向の両側には、下向き及びヘッドレスト幅方向外側に開口した凹部としての下側凹部24Aが形成されている。下側凹部24Aは、側面視で三角状に形成され(図4参照)、左右一対で設けられている。下側凹部24Aには、ネジ26の頭部26A(いずれも図6参照)が収容される。図3及び図4に示されるように、アッパケース22の上部におけるヘッドレスト幅方向の両側には、上向き及びヘッドレスト幅方向外側に開口した凹部としての上側凹部22Aが形成されている。上側凹部22Aは、側面視で平行四辺形状に形成され(図4参照)、左右一対で設けられている。上側凹部22Aには、アッパケース22とロアケース24との締結用のネジ(図示省略、図6のネジ26と同様の部材)の頭部が収容される。
【0022】
なお、前述した下側凹部24Aが形成されることによって、図6に示されるネジ26の軸方向の長さを短くすることができ、ネジ26による締結強度を高めることが可能となる。図4等に示される上側凹部22Aについても同様のことがいえる。また、下側凹部24A及び上側凹部22Aは、型抜きを考慮した形状となっており、側面視で上下方向に対して傾斜した形状になっている。
【0023】
図3に示されるように、ヘッドレストケース20は、ヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出された一対の下方延出部24Bを有する。一対の下方延出部24Bは、ロアケース24の一部であり、図4に示される側面視で下方側へ向けて先細り状に形成されている。
【0024】
一方、図3に示されるように、ヘッドレストパッド30は、その上部30Uにおいてヘッドレスト前後方向前側に配置される前壁部30Xと、前壁部30Xのヘッドレスト幅方向の両側の端部から後方側に延出された側壁部30Yと、を有する。また、図2に示されるように、ヘッドレストパッド30は、その下部においてヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出されてヘッドレストケース20の一対の下方延出部24B(図3参照)に被せられた鞘状の下部被覆部30Aを有する。また、ヘッドレストパッド30の後部側において一対の下部被覆部30Aの上部側同士は、ヘッドレスト幅方向に繋がれている。なお、ヘッドレストパッド30の一対の下部被覆部30Aは、ヘッドレストケース20の一対の下方延出部24B(図3参照)に対して下方側から履かせるようにして装着される。
【0025】
図2及び図3に示されるように、ヘッドレストパッド30の上部30Uの左右一対の側壁部30Yにおいて内面部側(ヘッドレストケース20との隣接部側)には、その上端部からヘッドレスト幅方向内側に突出した上側凸部30B(突起部として把握できる要素)が形成されると共に、上側凸部30Bよりも下方側の部位からヘッドレスト幅方向内側に突出した下側凸部30C(突起部として把握できる要素)が形成されている。上側凸部30Bは、左右一対の側壁部30Yの後部寄りに設けられ、下側凸部30Cは、左右一対の側壁部30Yの後端部に設けられている。
【0026】
図2に示されるように、ヘッドレストパッド30の上側凸部30Bは、ヘッドレストケース20の上側凹部22Aに凹凸嵌合し、ヘッドレストケース20の上側凹部22Aと共に規制部42を構成する。また、ヘッドレストパッド30の下側凸部30Cは、ヘッドレストケース20の下側凹部24Aに凹凸嵌合し、下側凹部24Aと共に規制部44を構成する。規制部42、44は、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との互いの隣接部に設けられ、凹凸嵌合することによってヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との相対変位を規制するように構成されている。
【0027】
次に、図7を参照しながら、トリムカバー32の装着について概説する。図7(A)にはトリムカバー32の装着過程の状態が背面図で示されている。図7(A)に示されるように、トリムカバー32は、背面側に開口32Xを有する袋状に形成されており、このトリムカバー32には、ヘッドレストケース20及びヘッドレストパッド30(図2参照)が一体化されたユニット40が挿し込まれる。なお、トリムカバー32の下部の背面側の両サイド32Sの一部は、ユニット40が挿し込まれた後に内側に折り畳まれている。トリムカバー32の開口32Xの下縁側には、Jフック34が取り付けられている。Jフック34は、ヘッドレスト幅方向に沿って延在されている。
【0028】
トリムカバー32の上部には、背面下方側に垂れ下げ可能な第一片部32A、第二片部32B、及び第三片部32Cが形成されている。図7(B)に示されるように、第一片部32Aは、一対の脚部12Aよりも左側に配置される部分であり、第二片部32Bは、一対の脚部12A同士の間に配置される部分であり、第三片部32Cは、一対の脚部12Aよりも右側に配置される部分である。
【0029】
図7(A)に示されるように、第一片部32Aの先端部には、爪部36Aが取り付けられている。同様に、第二片部32Bの先端部には、爪部36Bが取り付けられ、第三片部32Cの先端部には、爪部36Cが取り付けられている。爪部36A、36B、36Cは、Jフック34に係止されるようになっている。爪部36A、36B、36CがJフック34に係止されることによって、図7(B)に示されるようにトリムカバー32が装着された状態となる。
【0030】
(実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0031】
本実施形態では、図1(A)及び図1(B)に示されるように、シートバック50の上端部にヘッドレストステー12が連結され、図2に示されるように、ヘッドレストステー12の上端部に設けられたヘッドレストケース20がヘッドレスト幅方向の軸回りに回動可能になっている。また、ヘッドレストパッド30は、上方側及び上部30Uの後方側が開放された状態でヘッドレストケース20に被せられており、ヘッドレストパッド30と、ヘッドレストパッド30からのヘッドレストケース20の露出部分と、を覆うようにトリムカバー32(図1参照)が被せられている。ここで、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との互いの隣接部には、規制部42、44が設けられており、規制部42、44は、凹凸嵌合することによって、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との相対変位を規制する。このため、ヘッドレストケース20に対するヘッドレストパッド30の位置が安定し、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との相対変位に起因したトリムカバー32(図1参照)のずれを抑えることができる。
【0032】
また、本実施形態では、規制部42、44は、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との互いの隣接部の上部におけるヘッドレスト幅方向の両側において上側と下側に設けられている。規制部42、44が左右に設けられることによって、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との前後方向の相対変位を効果的に抑制することができる。また、規制部42、44が上下に設けられることによって、ヘッドレストケース20とヘッドレストパッド30との上下方向の相対変位を効果的に抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、図6に示されるように、ヘッドレストケース20は、アッパケース22とロアケース24とがネジ26で締結されることにより構成されると共に、ネジ26の頭部26Aが収容される上側凹部22A及び下側凹部24Aを有する。言い換えると、ネジ26の頭部26Aが収容される上側凹部22A及び下側凹部24Aを、規制部42、44の構成部として有効に利用することができる。
【0034】
また、本実施形態では、図3に示されるように、ヘッドレストケース20は、ヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出された一対の下方延出部24Bを有し、一対の下方延出部24Bは、側面視で下方側へ向けて先細り状に形成されている。また、ヘッドレストパッド30は、ヘッドレスト幅方向の両側部分から下方側に延出されて一対の下方延出部24Bに被せられた鞘状の下部被覆部30Aを有する。これらの構成によって、ヘッドレストケース20の一対の下方延出部24Bとヘッドレストパッド30の鞘状の下部被覆部30Aとの相対変位が抑えられると共に、下方延出部24Bが下部被覆部30Aによって補強されることによって着座乗員の後頭骨を左右から良好に支持することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のヘッドレスト10によれば、ヘッドレストケース20の上面側及び上部後側がヘッドレストパッド30で覆われない構成であっても、トリムカバー32(図1参照)のずれを抑えることができる。また、図1に示されるトリムカバー32のずれを抑えるために部品点数を増やす必要がない。トリムカバー32がずれにくいので、見栄えが良く、ヘッドレスト10の高さを調整するための操作も安定的に行うことができる。
【0036】
(実施形態の補足説明)
なお、ヘッドレストケースとヘッドレストパッドとの互いの隣接部に設けられて凹凸嵌合することによってヘッドレストケースとヘッドレストパッドとの相対変位を規制する規制部は、その設定箇所が上記実施形態の例とは異なる箇所であってもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、図2図4及び図6に示されるヘッドレストケース20においては、ネジ26の頭部26Aが収容される下側凹部24A及び上側凹部22Aが規制部42、44の構成部として兼用されているが、変形例として、ヘッドレストケースにおいては、ネジの頭部が収容される凹部とは別の部分に規制部の構成部が形成されてもよい。
【0038】
また、上記実施形態の変形例として、例えば、ヘッドレストケースが、側面視で下方側へ向けて先細り状に形成されるが一対の下方延出部は有さない、というようなものとされ、ヘッドレストパッドの下部形状が当該ヘッドレストケースの下部形状に応じた形状に形成されている、という構成でもよい。
【0039】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0040】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
10 ヘッドレスト
12 ヘッドレストステー
20 ヘッドレストケース
22 アッパケース
22A 上側凹部(凹部、規制部の構成部)
24 ロアケース
24A 下側凹部(凹部、規制部の構成部)
24B 下方延出部
26 ネジ
26A 頭部
30 ヘッドレストパッド
30A 下部被覆部
30U ヘッドレストパッドの上部
32 トリムカバー(ヘッドレスト表皮)
42 規制部
44 規制部
50 シートバック
W ヘッドレストの幅方向(ヘッドレスト幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7