(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064864
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】展示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20240507BHJP
A47G 1/14 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G09F13/18 Z
A47G1/14 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173798
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】森 正徳
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
【テーマコード(参考)】
3B111
5C096
【Fターム(参考)】
3B111BB01
3B111BC02
3B111BD03
3B111BE02
3B111CA02
3B111CB01
3B111CC01
3B111CD04
3B111CE01
5C096AA11
5C096BA02
5C096CD02
5C096CD33
5C096CG11
5C096FA05
(57)【要約】
【課題】展示対象物をより効果的に展示することができる展示装置を実現する。
【解決手段】導光板(2)と、ミラー(3)と、展示対象物(20)が互いの間に保持された状態の導光板(2)とミラー(3)とを立位させて保持するホルダ(6)と、光源(5)と備え、導光板(2)は、表面(2a)に所定のパターンに沿って配列され、光源か(5)ら発せられ入射面(2d)より導光板(2)内に入射した光を裏面(2b)側へ向けて反射する複数のプリズムを有し、複数のプリズムは、展示対象物(20)が保持される保持領域(R1)に少なくとも形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光体からなる第1板体と、
前記第1板体の裏面側に重ね合される第2板体と、
シート状の展示対象物が互いの間に保持された状態の前記第1板体と前記第2板体とを立位させて保持する保持部と、
前記第1板体の入射面に配置された光源と、
を備え、
前記第1板体は、前記裏面とは反対側の表面に、所定のパターンに沿って配列され、前記光源から発せられ前記入射面より当該第1板体内に入射した光を前記裏面側へ向けて反射する複数のプリズムを有し、
前記複数のプリズムは、前記展示対象物が保持される保持領域に少なくとも形成されている展示装置。
【請求項2】
前記第1板体および前記第2板体は、前記保持領域の外周側に外周領域を有し、
前記複数のプリズムは、前記外周領域にも形成され、
前記第2板体は、少なくとも前記外周領域が反射体にて形成されている請求項1に記載の展示装置。
【請求項3】
前記光源は、第1光源および第2光源を有し、
前記複数のプリズムは、
第1パターンに沿って配列され、前記第1光源から発せられ前記入射面から前記第1板体内に入射した光を反射する複数の第1プリズムと、
第1パターンと異なる第2パターンに沿って配列され、前記第2光源から発せられ前記入射面から前記第1板体内に入射した光を反射する複数の第2プリズムと、を含む請求項1又は2に記載の展示装置。
【請求項4】
前記複数のプリズムは、
前記入射面より前記第1板体内に入射した光を前記裏面側へ向けて反射する反射面を有し、
前記反射面が前記光源と正対する方向を含む所定の角度範囲内で異なる方向を向くように配置されている複数の第3プリズムを含む請求項1又は2に記載の展示装置。
【請求項5】
前記第1板体の前記裏面に、前記第1板体と前記第2板体又は前記展示対象物との密着を防止するためのドット状の突起が形成されている請求項1又は2に記載の展示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
写真などのシート状の展示対象物を展示するフォトフレーム等の展示装置が知られている。例えば、特許文献1には、写真等を展示するためのフォトフレームの例が記載されている。また、トレーディングカードを展示するための専用フレームも発売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような展示装置においては、効果的な展示を行うことが望まれている。しかしながら、従来のフォトフレームやトレーディングカードの専用フレームの場合、フレームの装飾にて人の目を引く仕様であり、展示対象物の意匠性を高める工夫はなされていない。また、暗い環境下では展示対象物を鑑賞できないといった問題もある。
【0005】
本発明の一態様は、展示対象物をより効果的に展示することができる展示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る展示装置は、導光体からなる第1板体と、前記第1板体の裏面側に重ね合される第2板体と、シート状の展示対象物が互いの間に保持された状態の前記第1板体と前記第2板体とを立位させて保持する保持部と、前記第1板体の入射面に配置された光源と、を備え、前記第1板体は、前記裏面とは反対側の表面に、所定のパターンに沿って配列され、前記光源から発せられ前記入射面より当該第1板体内に入射した光を前記裏面側へ向けて反射する複数のプリズムを有し、前記複数のプリズムは、前記展示対象物が保持される保持領域に少なくとも形成されている。
【0007】
上記構成によれば、光源を点灯させると、複数のプリズムにて導光板内の光が反射され、複数のプリズムにて構成されるパターンが照光する。照光したパターンの光は第1導光板の裏面側から出射され、裏面側に保持された展示対象物に照射される。導光板から出射される光源からの光は、室内照明からの光に比べて輝度が高いため、室内照明の光で鑑賞する場合よりも展示対象物の意匠性を高めることができる。また、暗い室内であっても展示対象物の鑑賞が可能になる。
【0008】
本発明の一態様に係る展示装置は、さらに、前記第1板体および前記第2板体は、前記保持領域の外周側に外周領域を有し、前記複数のプリズムは、前記外周領域にも形成され、前記第2板体は、少なくとも前記外周領域が反射体にて形成されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、外周領域においても照光し、照光した光のパターンは第2板体の反射体にて反射されて視認される。これにより、展示対象物に光を照射するだけの展示よりも、外周領域も含めて光らせるより効果的な展示を行うことができる。
【0010】
本発明の一態様に係る展示装置は、さらに、前記光源は、第1光源および第2光源を有し、前記複数のプリズムは、第1パターンに沿って配列され、前記第1光源から発せられ前記入射面から前記第1板体内に入射した光を反射する複数の第1プリズムと、第1パターンと異なる第2パターンに沿って配列され、前記第2光源から発せられ前記入射面から前記第1板体内に入射した光を反射する複数の第2プリズムと、を含んでいてもよい。
【0011】
上記構成によれば、照光する光のパターンを第1パターンと第2パターンとの間で切り換えることができる。これにより、展示対象物、あるいは展示対象物と反射体に照射される光のパターンが切り換わる、動きのある効果的な展示を行うことができる。
【0012】
本発明の一態様に係る展示装置は、さらに、前記複数のプリズムは、前記入射面より前記第1板体内に入射した光を前記裏面側へ向けて反射する反射面を有し、前記反射面が前記光源と正対する方向を含む所定の角度範囲内で異なる方向を向くように配置されている複数の第3プリズムを含んでいてもよい。
【0013】
上記構成によれば、パターンをきらきらと煌めくように照光させて、煌めくような光を展示対象物、あるいは展示対象物と反射体に照射することができる。これにより、展示対象物の金色やラメを用いた輝きのある印刷部分の輝きを高めて展示対象物の意匠性を高めることができ、より一層効果的な展示を行うことができる。
【0014】
本発明の一態様に係る展示装置は、さらに、前記第1板体の前記裏面に、前記第1板体と前記第2板体又は前記展示対象物との密着を防止するためのドット状の突起が形成されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1板体と第2板体又は展示対象物との密着を防止して、干渉縞の発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、展示対象物をより効果的に展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る展示装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】上記展示装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】上記展示装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】上記展示装置における、導光板の複数のプリズムが形成されている部分の拡大図である。
【
図5】上記展示装置における、光の導光を示す断面図である。
【
図6】複数のプリズムにて形成されたパターンの例を示す図である。
【
図7】光源からの入射光で、パターン全面が光るように設計された複数のプリズムの配置を示す図である。
【
図8】表示するパターンを切り換え可能とする複数のプリズムの配置を示す図である。
【
図9】
図8における第1パターンおよび第2パターンを形成する、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムの配置を拡大して示す図である。
【
図10】パターンを煌めくように光らせる複数のプリズムの配置を示す、導光板の概略正面図である。
【
図12】複数のプリズムの配置を示す、
図10のパターンの一部の拡大平面図である。
【
図13】上記展示装置における導光板のパターンによる演出の一例を示す図である。
【
図14】上記展示装置における導光板のパターンによる演出の別の例を示す図である。
【
図15】パターンを煌めくように光らせるプリズム配置を、展示対象物の特徴に合わせて配置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0019】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0020】
§1 適用例
図1、
図2に示すように、本実施形態に係る展示装置1は、シート状の展示対象物20を、導光板2とミラー3との間に挟み込むようにして展示する。導光板2およびミラー3は、展示対象物20を間に挟んだ状態でホルダ6にて立位で保持される。ホルダ6には、光源5が設置されており、光源5から発せられた光が、導光板2の入射面2dから導光板2内に入射する。
【0021】
図4に示すように、導光板2の表面2aには、導光板2内に入射した光源光を反射する複数のプリズム10が形成されている。展示対象物20およびミラー3が位置する導光板2の裏面2bが、複数のプリズム10で反射された光の出射面となっている。
【0022】
このような複数のプリズム10は、少なくとも、導光板2における展示対象物20が保持される保持領域R1に形成されており、光源5を点灯させることで、複数のプリズム10の反射光にて展示対象物20を照らすことができる。これにより、展示対象物20の意匠性を高めると共に、暗い環境下であっても展示対象物20を鑑賞が可能になる。よって、展示対象物20をより効果的に展示することができる。
【0023】
複数のプリズム10は、所定のパターンを形作るように配置されている。パターンは、
図6に示すパターンP1のような展示対象物20の形状に合わせた矩形形状であってもよいし、
図10に示すパターンP3のような文字や図柄を表す形状などであってもよい。パターンP1では、展示対象物20全体に光を照射することができる。また、パターンP3では、展示対象物20に対して文字や図柄を形作った光を照射することができる。
【0024】
また、導光板2およびミラー3を展示対象物20の外形よりも大きく形成して、展示対象物20の周囲となる外周領域R2にも複数のプリズム10からなるパターンを形成してもよい。外周領域R2に形成されたパターンの形状を形作った光は、ミラー3の外周領域R3に照射されて反射され、視認されることとなる。
【0025】
なお、本開示では、シート状の展示対象物20としてトレーディングカードを例示するが、展示対象物20はこれに限るものではなく、写真や絵ハガキ、メニュー表など、シート状の媒体に印刷された印刷物全般の展示に用いることができる。
【0026】
§2 構成例0
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0027】
(1.展示装置の概略)
図1は、実施形態1に係る展示装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、展示装置1の構成を示す分解斜視図である。
図3は、実施形態1に係る展示装置1の構成を示すブロック図である。
【0028】
図1~
図3に示すように、展示装置1は、導光板(第1板体)2、ミラー(第2板体)3、保護カバー4、光源5、ホルダ(保持部)6および制御部7を備える。
【0029】
導光板2およびミラー3は、何れも板状の部材である。導光板2における展示装置1の正面を向く面を表面2aとすると、ミラー3は導光板2の裏面2b側に重ね合されるように配置される。導光板2およびミラー3は、互いの間にシート状の展示対象物20を挟み込んで保持する。導光板2およびミラー3は、展示対象物20の外形よりも大きく、展示対象物20を保持する保持領域R1の外周側に外周領域R2,R3を有している。
【0030】
導光板2は、導光体からなり、光源5から発する光(可視光)に対して透明な板状に形成された部材である。導光板2は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーといった透明な樹脂を成型することで形成される。
【0031】
導光板2の側面であって、光源5に対向して配置される側面は入射面2dとなっており、入射面2dより光源5の光が入射される。導光板2の表面2aには、導光板2内に入射した光源5の光を裏面2b側へ向けて反射する複数のプリズム10(
図4参照)が形成さている。複数のプリズム10は、所定のパターンを形作っている。複数のプリズム10は、展示対象物20が保持される保持領域R1に少なくとも形成されている。
【0032】
導光板2の裏面2bには、導光板2(裏面2b)とミラー3および展示対象物20との密着を防ぐための微細な凸部(図示せず)がドット状に形成されている。なお、密着を防ぐための構成は、上記構成に限るものではなく、ミラー3側に展示対象物20の四隅を囲うように突起を設けてもよい。要は、導光板2とミラー3および展示対象物20との密着を防止できればよい。
【0033】
保護カバー4は、導光板2の表面2aの正面側に配置される透明板である。保護カバー4は、導光板2の表面2aを覆って、表面2aに形成されている複数のプリズム10を保護する。
【0034】
導光板2、ミラー3および保護カバー4それぞれの上部の両角部には、固定ネジ8aを通すネジ穴(不図示)が形成されている。導光板2、ミラー3および保護カバー4は、展示対象物20を挟んだ状態で固定部材である固定ネジ8aおよび固定ナット8bで固定される。固定ネジ8aを締め付けて導光板2とミラー3との間を狭めることで、導光板2とミラー3との間に展示対象物20が保持される。
【0035】
なお、固定部材は上記構成に限るものではなく、導光板2、ミラー3および保護カバー4挟み込むクリップ部材などであってもよい。要は、導光板2、ミラー3および保護カバー4を一体に固定できればよい。また、ホルダ6が、導光板2、ミラー3および保護カバー4を一体に固定させた状態で保持できる場合は、固定部材は不要とできる。
【0036】
また、導光板2とミラー3との間に展示対象物20を保持する構成も、上記構成に限るものではなく、例えば、ミラー3における展示対象物20を保持領域R1に浅い窪みが形成されており、該窪みに展示対象物20を配置する構成であってもよい。
【0037】
ホルダ6は、展示対象物20が互いの間に保持された状態の導光板2、ミラー3および保護カバー4を立位させて保持する。本実施形態では、ホルダ6は、導光板2、ミラー3および保護カバー4の下端部を保持する溝6aを有している。導光板2、ミラー3および保護カバー4は、溝6aに下端部が差し込まれることでホルダ6にて保持されて立位をとる。
【0038】
なお、導光板2およびミラー3を立位させるために保持する位置は、下端部に限るものではなく、導光板2およびミラー3の側方の端部や上端部であってもよい。また、光源5をホルダ6とは別に配置する必要はあるが、ミラー3の裏面側に、導光板2およびミラー3を、斜め上を向けた状態で支持する脚部を設けてもよい。
【0039】
光源5は、導光板2の入射面2dに配置され、入射面2dより導光板2内に光を供給する。光源5は、例えばフルカラーのLEDから構成される。なお、
図1,
図2の例では、光源5を1つ配置している構成を示しているが、複数配置されていてもよい。
【0040】
制御部7は、光源5の駆動を制御する。制御部7は、予め設定されている駆動パターンに応じて1つまたは複数の光源5を駆動する。例えば、所定のパターンで発光色を変化させ、所定のパターンで発光タイミングを変化させる。
【0041】
本実施形態では、光源5および制御部7は、ホルダ6に設けられている。
図1、
図2に示す例では、溝6aの底面に光源5が配置されている。光源5は溝6aの底面に埋め込まれるように配置されている。
【0042】
(2.導光板および光の導光)
図4は、展示装置1における、導光板2の複数のプリズム10が形成されている部分の拡大図である。
図5は、展示装置1における、光の導光を示す断面図である。
図6は、複数のプリズム10にて形成されたパターンの例を示す図である。
【0043】
図4に示すように、導光板2の表面2aには、複数のプリズム10が形成されている。複数のプリズム10の各プリズム10は、個々に反射面101を有している。複数のプリズム10は、導光板2の裏面2bが光の出射面となるように形成されている。
【0044】
図4、
図5に示すように、光源5から発せられ、入射面2aより導光板2内に入射した入射光L1は、導光板2の表面2aと裏面2bとの間を全反射しながら導光板2内を進む。導光板2内を進む入射光L1は、表面2aに形成された各プリズム10の反射面101に入射すると反射されて裏面2bへ向かう出射光L2となって裏面2bから出射する。
【0045】
図5に示すように、導光板2の裏面2b側には、展示対象物20およびミラー3が配置されているため、裏面2bから出射した出射光L2は、展示対象物20又はミラー3に照射される。照射された出射光L2は、展示対象物20又はミラー3にて反射されて反射光L3となる。反射光L3は、導光板2内に再入射して表面2aに向かい、表面2aから出射されて鑑賞者に視認される。
【0046】
このような複数のプリズム10は、所定のパターンに沿って配列され、所定のパターンを形作るように設けられている。
【0047】
図6に示すパターンP1は、展示対象物20が保持される保持領域R1に位置し、展示対象物20の外形に合わせた矩形形状のパターンである。このようなパターンP1に、例えばパターン全面が光るように設計された複数のプリズム10を配置することで、展示対象物20全体に光を照射することができる。また、保持領域R1に、文字や図柄を示す形状のパターンを配置してもよい。その場合は、展示対象物20に文字や図柄を形作った光を照射することができる。
【0048】
図6に示すパターンP2は、保持領域R1の外周側の外周領域R2に、展示対象物20を取り囲む爆発シーンの演出パターンである。パターンP2に沿って、複数のプリズム10を配置することで、爆発シーンのような演出パターンの光の象をミラー3に向かって照射することができる。なお、本実施形態では、第2板体として1枚構成のミラー3を用いているが、導光板2の外周領域R2に対応する外周領域R3が反射体にて形成されていればよい。
【0049】
(3.パターン全面を光らせるプリズム配置)
図7は、光源5からの入射光で、パターン全面が光るように設計された複数のプリズム10の配置を示す図である。
図7に示すように、プリズム10は、放射状に広がる入射光L1の進行方向に対応して配置される。
図7の例では、プリズム10は、入射光L1の3方向の進行方向に対応して、反射面101が3方向の進行する入射光L1に対して正対するように配置されている。このような配置とすることで、パターン全面を光らせることができる。なお、
図7~
図11において、図の見易さの向上のために、プリズム10のサイズは誇張されて示されている。
【0050】
(4.表示するパターンを切り替え可能とするプリズム配置)
図8は、表示するパターンを切り換え可能とする複数のプリズム10の配置を示す図である。
図8に示すように、入射面2dに第1光源5Aおよび第2光源5Bが間隔を開けて配置され、導光板2の表面2aには、第1パターンPAおよび第2パターンPBを表示する複数のプリズム10が配置される。なお、ここでは、第1パターンPAおよび第2パターンPBの2つのパターンを示すが、光源5を3つ以上配置して、3つ以上のパターンを切り換えて表示する(照光する、光らせる)ことも可能である。
【0051】
図9は、
図8における第1パターンPAおよび第2パターンPBを形成する、複数の第1プリズム10Aおよび複数の第2プリズム10Bの配置を拡大して示す図である。
図9の符号901は、複数の第1プリズム10Aの配置を示し、符号902は、複数の第2プリズム10Bの配置を示す。符号903は、第1パターンPAと第2パターンPBとが重畳する、複数の第1プリズム10Aと複数の第2プリズム10Bとが混在する配置を示す。
【0052】
図8に示すように、第1光源5Aからの光は入射面2dから導光板2内に入射する。導光板2内を伝搬した光(
図5のL1参照)は、導光板2内の表面2aに形成された複数の第1プリズム10Aの何れかにて全反射されて導光板2の裏面2bに向かい(
図5のL2参照)、裏面2bから出射され、展示対象物20又はミラー3にて反射され、反射光(
図5のL3参照)となって導光板2の表面2aから出射する。
【0053】
複数の第1プリズム10Aは、第1パターンPAを形成するように、第1パターンPAに沿って配列される。したがって、鑑賞者は、第1光源5Aが点灯している間、導光板2の表面2a側から、第1パターンPAから照射されて展示対象物20又はミラー3にて反射された反射光を視認できる。
【0054】
同様に、第2光源5Bからの光は入射面2dから導光板2内に入射する。導光板2内を伝搬した光(
図5のL1参照)は、導光板2内の表面2aに形成された複数の第2プリズム10Bの何れかにて全反射されて導光板2の裏面2bに向かい(
図5のL2参照)、裏面2bから出射され、展示対象物20又はミラー3にて反射され、反射光(
図5のL3参照)となって導光板2の表面2aから出射する。
【0055】
複数の第2プリズム10Bは、第2パターンPBを形成するように、第2パターンPBに沿って配列される。したがって、鑑賞者は、第2光源5Bが点灯している間、導光板2の表面2a側から、第2パターンPBから照射されて展示対象物20又はミラー3にて反射された反射光を視認できる。
【0056】
複数の第1プリズム10Aのそれぞれは、例えば、表面2aにおいて所定の長さを持つ略三角形状の溝として形成される。そして複数の第1プリズム10Aのそれぞれは、表面2aに対して所定の角度をなす反射面101Aを有する。同様に、複数の第2プリズム10Bのそれぞれは、例えば、表面2aにおいて所定の長さを持つ略三角形状の溝として形成される。複数の第2プリズム10Bのそれぞれは、表面2aに対して所定の角度をなす反射面101Bを有する。なお、所定の角度は、導光板2へ入射した第1光源5Aまたは第2光源5Bからの光を全反射させて、裏面2bへ向ける角度、例えば、表面2aに対して40°~50°をなすように設定される。また所定の長さは、第1パターンPAおよび第2パターンPB内に複数のプリズムが配置できる程度の長さ、例えば、100μm~数mm程度に設定される。
【0057】
符号901に示すように、複数の第1プリズム10Aは、第1パターンPA内において千鳥足状に配置されている。すなわち、複数の第1プリズム10Aは、第1パターンPA内において、導光板2の入射面2dと平行な方向(便宜上、X1方向と呼ぶ)に沿って等間隔で配置された、その入射面2dと直交する方向(便宜上、Y1方向と呼ぶ)のライン上に所定のピッチで配置される。さらに隣接するライン間では、隣接する2つの第1プリズム10AのY1方向の位置が、ピッチの半分だけずれている。さらに、複数の第1プリズム10Aのそれぞれは、表面2aと平行な面において、反射面101Aが第1光源5Aと正対するように配置されている。すなわち、本例では、第1光源5Aから所定の距離だけ離れた位置にある第1プリズム10Aの反射面101Aは、第1光源5Aを中心とし、かつ、その所定の距離を半径とする円周と略平行となるように向けられる。
【0058】
このように複数の第1プリズム10Aのそれぞれが配置されることで、各第1プリズム10Aは、入射面2dから入射した光のうち、第1光源5Aからの光を裏面2bに対して略垂直となるように反射させることができる。一方、入射面2dから入射した光のうち、第1光源5A以外からの光、例えば、第2光源5Bからの光あるいは迷光は、仮に第1プリズム10Aで反射されたとしても、裏面2bに対して比較的大きな角度をなして出射面から出射する。そのため、このような出射光が展示対象物20又はミラー3にて反射された反射光は、導光板2の正面に位置する鑑賞者には視認され難い。
【0059】
符号902に示すように、第1プリズム10Aと同様に、複数の第2プリズム10Bは、第2パターンPB内において千鳥足状に配置されている。さらに、複数の第2プリズム10Bのそれぞれは、表面2aと平行な面において、反射面101Bが第2光源5Bと正対するように配置されている。したがって、本例では、第2光源5Bから所定の距離だけ離れた位置にある第2プリズム10Bの反射面101Bは、第2光源5Bを中心とし、かつ、その所定の距離を半径とする円周と略平行となるように向けられる。
【0060】
符号903に示すように、本例では、第1プリズム10Aと第2プリズム10Bとは、何れも千鳥足状に配置されている。そのため、第1パターンPAと第2パターンPBとが重なっている領域では、第1プリズム10Aと第2プリズム10Bとが交互に配置される。したがって、第1パターンPAと第2パターンPBとが重なっている領域でも、第1光源5Aが点灯することで第1プリズム10Aが第1光源5Aからの光を裏面2b側へ導く。また、第2光源5Bが点灯することで第2プリズム10Bが第2光源5Bからの光を裏面2b側へ導く。よって、点灯する光源に対応するパターンから光が展示対象物20又はミラー3に照射され、その反射光を鑑賞者は視認できる。
【0061】
また、上記のように第1プリズム10Aと第2プリズム10Bとが配列されることで、第1パターンPA、第2パターンPBを任意の形状とすることが容易となる。さらに、上記のように第1プリズム10Aと第2プリズム10Bとが配列されることで、各パターンとその他の領域との境界が直線上に形成される場合に、その境界の見栄えをよくすることができる。
【0062】
なお、第1プリズム10A及び第2プリズム10Bは、それぞれ、格子状に配列されてもよい。また、第1パターンPAと第2パターンPBとが重なる領域では、第1プリズム10Aが配置されるY1方向のラインと第2プリズム10Bが配置されるY1方向のラインとが交互になるように各プリズムが配置されてもよい。
【0063】
(5.パターンを煌めくように光らせるプリズム配置)
図10は、パターンを煌めくように光らせる複数のプリズム(第3プリズム)10の配置を示す、導光板2の概略正面図である。
図11は、
図10のA-A線矢印概略断面図である。
図12は、複数のプリズム10の配置を示す、パターンP3の一部の拡大平面図である。
【0064】
図10、
図11に示すように、入射面2dから入射した光源5(
図10~
図12では図示せず)からの入射光L1(
図5のL1参照)は、導光板2内を、表面2aと出射面である裏面2bとの間で全反射されながら、あるいは直進しつつ伝搬した光は、導光板2の表面2aに形成された複数のプリズム10の何れかにて全反射されて導光板2の裏面2bに向かい(
図5のL2参照)、裏面2bから出射され、展示対象物20又はミラー3にて反射され、反射光(
図5のL3参照)となって導光板2の表面2aから出射する。複数のプリズム10は、パターンP3を形成するようにパターンP3に沿って配列される。
【0065】
鑑賞者は、光源5が点灯している間、導光板2の表面2a側から、パターンP3から照射されて展示対象物20又はミラー3にて反射された反射光を視認できる。
【0066】
複数のプリズム10のそれぞれは、例えば、表面2aにおいて所定の長さを持つ略三角形状の溝として形成される。そして複数のプリズム10のそれぞれは、表面2aに対して所定の角度をなす反射面101を有する。なお、所定の角度は、導光板2へ入射した光源5からの光を全反射させて、裏面2bへ向ける角度、例えば、表面2aに対して40°~50°をなすように設定される。また所定の長さは、鑑賞者の眼で、各プリズム10を視認することができない程度の長さ、例えば、数μm~数10μm程度に設定される。
【0067】
図12に示すように、各プリズム10は、反射面101が様々な方向を向くように配置されている。本実施形態では、互いに隣接する二つのプリズム10が所定のピッチよりも狭い間隔となるように各プリズム10は配置される。そして所定のピッチだけ離れた二つのプリズム10の反射面101が同一方向を向き、その所定のピッチよりも近接した二つのプリズム10の反射面101が、特定の方向を中心とする、表面2aに平行な面に沿って所定の角度範囲内で異なる方向を向くように、各プリズム10は配置される。特定の方向は、例えば、光源5に対して反射面101が正対する方向であり、所定の角度範囲は、光源5からの光が反射面101で反射されて裏面2bから出射することが可能な角度範囲、例えば、±10°とすることができる。そして例えば、互いに隣接する二つのプリズム10間の反射面101の角度差は、例えば、4°~6°となるように、各プリズムは配置される。
【0068】
また、反射面101の向きが同一となる二つのプリズム(
図12では、プリズム10-1とプリズム10-2)間のピッチが、鑑賞者の眼で識別できる長さの最小値未満となることが好ましい。
【0069】
例えば、鑑賞者が識別できる視角の最小値を、視力1.0相当の人の視角の最小値である1分とし、鑑賞者と導光板2の想定される間隔を60cmとすると、反射面101が同じ向きとなる二つのプリズム10間のピッチは0.17mm以下であることが好ましい。ただし、本実施形態では、光源5が点灯している間、鑑賞者からは各プリズム10が発光して見えるので、鑑賞者が識別できる視角の最小値に相当する長さよりも反射面101の向きが同一となる二つのプリズム10間の実際のピッチがもう少し広くても、各プリズム10は識別され難い。そこで、反射面101の向きが同一となる二つのプリズム10間のピッチが、例えば、鑑賞者の視点からの角度が0.1°に相当する長さとなるように、各プリズム10は配置されてもよい。この場合、例えば、鑑賞者と導光板2の想定される間隔を60cmとすると、ピッチは1mm以下となる。
【0070】
このように複数のプリズム10のそれぞれが配置されることで、プリズム10によって光源5からの光が反射される方向が異なることになる。これにより、パターンP3を煌めくような光の象として鑑賞者に見せることができる。
【0071】
(6.展示装置による演出の例)
図13は、展示装置1における導光板2のパターンPによる演出の一例を示す図である。矩形のパターンP1を光らせることで、展示対象物20に光を照射して展示対象物20を鑑賞できる。展示装置1が設置されている空間の光、例えば室内照明の光とは異なり、光源5から発せられた輝度の高い光を展示対象物20に照射することができる。室内照明からの光に比べて輝度が高い光を照射できるので、室内照明の光で鑑賞する場合よりも展示対象物20の意匠性を高めることができる。また、暗い室内であっても展示対象物20の鑑賞が可能になる。
【0072】
次に、矩形のパターンP1に加えて、爆発シーンのパターンP2を光らせることで、展示対象物20とパターンP2による光の演出との融合にて、展示対象物20の意匠性をより一層高めることができる。
【0073】
さらに、爆発シーンのパターンP2による光の演出と稲光のパターンP4による光の演出とを切り換える。上記構成によれば、照光する光のパターンを、パターンP1、パターンP1+P2、およびパターンP1+P4の間で切り換えることができる。これにより、展示対象物20、あるいは展示対象物20とミラー3に照射される光のパターンが切り換わる、動きのある効果的な展示を行うことができる。
【0074】
これにより、展示対象物20をより効果的に展示することができる。光の演出を、展示対象物20のイメージに合った内容とすることで、展示対象物20の見栄えが向上し、鑑賞を楽しむことができる。
【0075】
図14は、展示装置1における導光板2のパターンPによる演出の別の一例を示す図である。パターンP5に示すように、保持領域R1および外周領域R2に跨るようにパターンを形成してもよい。上記構成によれば、照光する光のパターンを、パターンP1、パターンP1+P4、およびパターンP5の間で切り換えることができる。このような展示装置1でも、展示対象物20をより効果的に展示することができる。光の演出を、展示対象物20のイメージに合った内容とすることで、展示対象物20の見栄えが向上し、鑑賞を楽しむことができる。
【0076】
図15は、前述したパターンを煌めくように光らせるプリズム配置を、展示対象物20の特徴に合わせて配置した例を示す図である。展示対象物20においては、例えば縁の部分などが、金色やラメ印刷されたものがある。このような、展示対象物20の金色やラメ印刷がなされた輝きのある印刷部分20aに、煌めくように光らせるプリズム配置にてパターンP6を形成することで、相乗的に煌めかせることができる。その結果、展示対象物20の意匠性をより一層高めることができる。
【0077】
きらきら煌めくように光らせるプリズム配置をパターンP1全体に設けることで、通常印刷された展示対象物20を、あたかも金色やラメ印刷された特別な展示対象物20のようにも視認させることができる。きらきらと煌めくように光らせるプリズム配置を導光板2の表面2a全体に設けてもよい。
【0078】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 展示装置
2 導光板(第1板体)
2d 入射面
2a 表面
2b 裏面
3 ミラー(第2板体)
4 保護カバー
P1、P2、P3、P4、P5 パターン
5 光源
5A 第1光源
5B 第2光源
6 ホルダ(保持部)
7 制御部
10 プリズム
10-1 第3プリズム
10-2 第3プリズム
10A 第1プリズム
10B 第2プリズム
20 展示対象物
101、101A、101B 反射面
L1 入射光
L2 出射光
L3 反射光
R1 保持領域
R2、R3 外周領域