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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064869
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】光学装置および調整方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0232 20140101AFI20240507BHJP
【FI】
H01L31/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173807
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】信太 一慧
(72)【発明者】
【氏名】倉田 賢一
【テーマコード(参考)】
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
5F149BA26
5F149JA05
5F149JA12
5F149XB05
5F849BA26
5F849JA05
5F849JA12
5F849XB05
(57)【要約】
【課題】光学ユニットの位置を容易に調整可能な光学装置を提供する。
【解決手段】光学装置(1)は、ボール型レンズ(10)と、光学ユニット(20)と、基部(30)と、蓋部(40)と、を備え、光学ユニット(20)は、磁石(21)を備え、磁石(21)が引き付けられる磁力に応じて、ボール型レンズ(10)の周囲を旋回可能となるように、基部(30)に取り付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの送信光を受け、集光させるボール型レンズと、
集光された前記送信光を受信する1以上の光学ユニットと、
前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットが取り付けられる基部と、
前記基部と係合することによって、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットを収納する蓋部と、を備え、
前記光学ユニットは、磁石を備え、当該磁石が引き付けられる磁力に応じて、前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられている、光学装置。
【請求項2】
前記基部には、前記ボール型レンズが取り付けられた部分の周囲に溝が形成されており、
前記光学ユニットの一部が前記溝に挿入されており、
前記光学ユニットは、前記溝に沿って前記ボール型レンズの周囲を旋回可能になっている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記蓋部が前記基部に係合すると当該蓋部から押圧され、当該押圧に伴って前記光学ユニットを押圧することにより、前記光学ユニットの位置を固定するようになっている固定手段をさらに備える、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記固定手段は、当該固定手段の少なくとも一部が、前記ボール型レンズとは反対側の前記光学ユニットの斜面に当接し、前記光学ユニットを前記基部側に押圧するようになっている、請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記固定手段は、リング状の部材である、請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記光学ユニットの数は複数であり、独立して前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項7】
光学装置が備える1以上の光学ユニットの位置を調整する調整方法であって、
前記光学装置は、
外部からの送信光を受け、集光させるボール型レンズと、
前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットが取り付けられる基部と、
前記基部と係合することによって、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットを収納する蓋部と、をさらに備え、
前記光学ユニットは、集光された前記送信光を受信するものであり、
前記光学ユニットは、前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられており、
前記光学ユニットは、磁石を備えており、
前記蓋部の外側から磁力によって前記磁石を引き付けることによって、前記光学ユニットを、前記ボール型レンズの周囲を旋回させる、調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置の位置を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ボール型レンズと光学ユニットとを備える光学装置は、複数の装置間でレーザー通信を行うことを目的としたレーザー応用機器等、送信光を受信する光学装置に用いられる。
【0003】
以下、図11および12を用いて、上述のような従来の光学装置の一例について説明する。図11は、従来の光学装置1Xの一例を示す側方断面図である。図12は、従来の光学装置1Xの一例を示す上面図である。図11および12に示すように、光学装置1Xは、ボール型レンズ10Xと、光学ユニット20Xと、ボール型レンズ10Xおよび光学ユニット20Xが取り付けられる基部30Xと、を備える。光学装置1Xは、別の装置等、外部からの送信光Lをボール型レンズ10Xが受けて集光させ、集光させた送信光Lを光学ユニット20Xが受信する仕組みとなっている(図11および12)。
【0004】
このような光学装置として、特許文献1には、台座にビームスプリッターおよび受信信号用受光素子が設けられ、光ファイバから出射されたレーザー光が、ボールレンズを透過後、ビームスプリッターで反射し、受信信号用受光素子に入射する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-80362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、送信光は光学装置におけるボール型レンズ等の位置により方向が変わるため、この方向に合わせて光学ユニットの位置を容易に調整することが求められている(図12)。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、台座に受信信号用受光素子が取り付けられているため、光学ユニットの位置を容易に調整できないという問題があった。
【0008】
本発明の一態様は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、光学ユニットの位置を容易に調整可能な光学装置およびその関連技術を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る光学装置は、外部からの送信光を受け、集光させるボール型レンズと、集光された前記送信光を受信する1以上の光学ユニットと、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットが取り付けられる基部と、前記基部と係合することによって、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットを収納する蓋部と、を備え、前記光学ユニットは、磁石を備え、当該磁石が引き付けられる磁力に応じて、前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられている。
【0010】
本発明の一態様に係る調整方法は、光学装置が備える1以上の光学ユニットの位置を調整する調整方法であって、前記光学装置は、外部からの送信光を受け、集光させるボール型レンズと、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットが取り付けられる基部と、前記基部と係合することによって、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットを収納する蓋部と、をさらに備え、前記光学ユニットは、集光された前記送信光を受信するものであり、前記光学ユニットは、前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられており、前記光学ユニットは、磁石を備えており、前記蓋部の外側から磁力によって前記磁石を引き付けることによって、前記光学ユニットを、前記ボール型レンズの周囲を旋回させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、光学ユニットの位置を容易に調整可能な光学装置およびその関連技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る光学装置の一例を示す側方断面図である。
図2】本発明の例示的実施形態1に係る光学装置の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の例示的実施形態1に係る光学装置の一例を示す上面図である。
図4】本発明の例示的実施形態2に係る光学装置の一例を示す側方断面図である。
図5】本発明の例示的実施形態2に係る光学装置の一例を示す斜視図である。
図6】本発明の例示的実施形態2に係る光学装置の一例を示す斜視図である。
図7】本発明の例示的実施形態2に係る光学装置の一例を示す斜視図である。
図8】本発明の例示的実施形態2に係る光学装置の一例を示す斜視図である。
図9】本発明の例示的実施形態2に係る光学装置の一例を示す側方断面拡大図である。
図10】本発明の例示的実施形態2に係る光学装置の一例を示す上面図である。
図11】従来の光学装置の一例を示す側方断面図である。
図12】従来の光学装置の一例を示す上面図である。
図13】従来の光学装置の一例を示す斜視図である。
図14】従来の光学装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔例示的実施形態が解決しようとする課題〕
以下、例示的実施形態が解決しようとする課題について、図13および14に示す従来の光学装置1Xが備える光学ユニット20Xの位置の調整における問題を例に説明する。
【0014】
図13および14は、従来の光学装置1Xの一例を示す斜視図である。図13および14に示す例では、従来の光学装置1Xは、ボール型レンズ10Xと、光学ユニット20Xと、基部30Xと、蓋部40Xと、固定部(固定手段)100および110を備える。
【0015】
図13および14に示す例では、基部30Xには、ボール型レンズ10Xが取り付けられた部分の周囲に溝90Xが形成され、光学ユニット20Xの一部である当接部22Xが溝90Xに挿入されている。これにより、光学ユニット20Xは、溝90Xに沿ってボール型レンズ10Xの周囲を旋回可能となるように、基部30Xに取り付けられている。固定部100および110は、光学ユニット20Xの位置を固定する。図13および14に示す例では、固定部100はねじであり、固定部110はねじ穴である。
【0016】
従来の光学装置1Xでは、光学ユニット20Xの位置を調整する際に、まず、光学装置1Xのユーザが、図13に示す状態から図14に示す状態となるように、蓋部40Xを取り外していた。次に、従来の光学装置1Xでは、ユーザが光学ユニット20Xを固定しているねじ100を取り外し、光学ユニット20Xにボール型レンズ10Xの周囲を旋回させることによって、光学ユニット20Xの位置を調整していた。また、従来の光学装置1Xでは、ボール型レンズ10Xが受信して集光させた送信光Lを受信する指定位置に光学ユニット20Xの位置が調整された後、ユーザが、ねじ100によって指定位置に光学ユニット20Xを固定し、蓋部40Xを閉めていた。
【0017】
このように、従来の光学装置1Xには、光学ユニット20Xの位置を調整する際、ユーザが蓋部40Xを外し、ねじ等の固定部100を外さなければ光学ユニット20Xを動かせず、光学ユニット20Xの位置を調整できないという問題がある。そして、光学ユニット20Xの位置の調整に工具を必要とするため、作業効率が低下するという問題がある。
【0018】
また、光学装置1Xのような光学装置を用いるレーザー応用機器は、通常、屋外仕様であり、光学ユニット20Xの位置の調整は屋外で行われる。このことから、砂塵や結露等の影響を低減するために、砂塵や結露等が光学装置1Xに入らないよう、気密性を保つ必要があり、密閉状態での光学ユニット20Xの位置調整および固定を行うことが求められている。しかしながら、密閉状態での光学ユニット20Xの位置調整および固定を行う方法では、光学ユニット20Xの位置を調整する環境が限られてしまうという問題がある。
【0019】
また、上述の問題を解決するためにモーター等の可動部を用いると、光学装置1Xの寿命が減るという問題がある。
【0020】
よって、例示的実施形態が解決しようとする一課題は、光学ユニットの位置を容易に調整可能な光学装置およびその関連技術を提供することにある。例示的実施形態が解決しようとする別の課題は、ねじ等の固定部を外さずに光学ユニットの位置を調整可能な光学装置およびその関連技術を提供することにある。例示的実施形態が解決しようとする別の課題は、光学ユニットの位置の調整に工具を必要とせず、作業効率を向上可能な光学装置およびその関連技術を提供することにある。また、例示的実施形態が解決しようとする別の課題は、気密性を保ったまま、屋外等の場所を選ばずに光学ユニットの位置を調整可能な光学装置およびその関連技術を提供することにある。また、例示的実施形態が解決しようとする別の課題は、光学装置の寿命を延ばすため、モーター等の可動部を用いずに、光学ユニットの位置を調整可能な光学装置およびその関連技術を提供することにある。
【0021】
〔例示的実施形態1〕
本発明の例示的実施形態1について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0022】
(光学装置1の構成)
本例示的実施形態に係る光学装置1の構成について、図1および2を参照して説明する。図1は、光学装置1の一例を示す側方断面図である。図2は、光学装置1の一例を示す斜視図である。図1および2に示すように、光学装置1は、ボール型レンズ10と、1以上の光学ユニット20と、基部30と、蓋部40と、を備える。
【0023】
ボール型レンズ10は、外部からの送信光を受け、集光させる。光学ユニット20は、集光された送信光を受信する。基部30には、ボール型レンズ10および光学ユニット20が取り付けられる。蓋部40は、基部30と係合することによって、ボール型レンズ10および光学ユニット20を収納する。光学ユニット20は、磁石21を備え、磁石21が引き付けられる磁力に応じて、ボール型レンズ10の周囲を旋回可能となるように、基部30に取り付けられている。
【0024】
(調整方法)
本例示的実施形態に係る光学装置1が備える1以上の光学ユニット20の位置を調整する調整方法について、図3を参照して説明する。図3は、光学装置1の一例を示す上面図である。
【0025】
調整方法では、蓋部40の外側から磁力によって磁石21を引き付けることによって、光学ユニット20を、ボール型レンズ10の周囲を旋回させる。これにより、図3に示すように、ボール型レンズ10が受信して集光させた送信光Lを受信する指定位置となるように光学ユニット20Xの位置が調整される。
【0026】
(例示的実施形態1の効果)
本例示的実施形態では、光学装置1は、ボール型レンズ10と、1以上の光学ユニット20と、基部30と、蓋部40と、を備え、光学ユニット20は、磁石21が引き付けられる磁力に応じて、ボール型レンズ10の周囲を旋回可能となるように、基部30に取り付けられている構成が採用されている。
【0027】
この構成によれば、蓋部40の外側から磁力によって磁石21を引き付けるだけで、光学ユニット20を、ボール型レンズ10の周囲を旋回させて、光学ユニット20の位置を調整できる。このため、本例示的実施形態によれば、光学ユニット20の位置を容易に調整可能な光学装置1およびその関連技術を提供することができるという効果が得られる。
【0028】
また、本例示的実施形態によれば、光学ユニット20の位置の調整に工具を必要とせず、作業効率を向上可能な光学装置1およびその関連技術を提供できるという効果が得られる。また、本例示的実施形態によれば、気密性を保ったまま、屋外等の場所を選ばずに光学ユニット20の位置を調整可能な光学装置1α等を提供できるという効果が得られる。また、本例示的実施形態によれば、ねじ等の固定部100を外さずに光学ユニット20の位置を調整可能な光学装置1等を提供できるという効果が得られる。また、本例示的実施形態によれば、光学装置1の寿命を延ばすため、モーター等の可動部を用いずに、光学ユニット20の位置を調整可能な光学装置1等を提供できるという効果が得られる。
【0029】
〔例示的実施形態2〕
本発明の例示的実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を適宜省略する。
【0030】
(光学装置1αの構成)
本例示的実施形態に係る光学装置1αの構成について、図4を参照して説明する。図4は、光学装置1αの一例を示す側方断面図である。図4に示す例では、光学装置1αは、実施形態1における基部30の代わりに基部30αを備え、光学ユニット20の位置を固定する固定部(固定手段)50をさらに備える。基部30αおよび固定部50の詳細については後述する。図4に示すように、光学装置1αは、防水部(防水手段)70と、滑り止め部(滑り止め手段)80と、をさらに備えていてもよい。
【0031】
防水部70は、防水のために基部30αに取り付けられる。防水部70としては、例えば、Oリング等が挙げられる。滑り止め部80は、蓋部40を閉じたり緩めたりする際に固定部50が滑って回転しないようにするために固定部50の位置を基部30α側(下側)から固定する。滑り止め部80としては、例えば、固定ピン等が挙げられる。
【0032】
(組立方法)
本例示的実施形態に係る光学装置1αの組立方法について、図5~8を参照して説明する。図5~8は、光学装置1αの一例を示す斜視図である。図5に示す例では、基部30αには、ボール型レンズ10が取り付けられた部分の周囲に溝90が形成されており、蓋部40と係合するようになっているねじ式の係合部31が形成されている。
【0033】
まず、光学装置1αのユーザは、1以上の光学ユニット20の一部である当接部22が溝90に挿入されるように、光学ユニット20を基部30αに設置する。図5に示す例では、ユーザは、4つの光学ユニット20を、独立してボール型レンズ10の周囲を旋回可能となるように、基部30αの溝90に取り付ける。このように、光学ユニット20の数は複数であり、独立してボール型レンズ10の周囲を旋回可能となるように、基部30αに取り付けられていてもよい。
【0034】
次に、ユーザは、基部30αの上側から溝90の外側に固定部50を取り付ける(図5および6)。図6に示す例では、固定部50は固定リングである。このように、固定部50は、リング状の部材であってもよい。
【0035】
次に、ユーザは、蓋部40を基部30αに取り付ける(図7および8)。図7に示す例では、蓋部40と係合するようになっているねじ式の係合部31が基部30αに設けられ、基部30αと係合するようになっているねじ式の係合部41が蓋部40に設けられている。この場合、図8に示すように、ユーザが矢印方向である時計回りに回転しながら蓋部40を基部30αにねじ込ませることにより、蓋部40が閉まり、基部30αに係合する。
【0036】
このように、固定部50は、蓋部40が基部30αに係合すると蓋部40から押圧され、当該押圧に伴って光学ユニット20を押圧することにより、光学ユニット20の位置を固定するようになっていてもよい。以下、図9を用いて、固定部50による光学ユニット20の位置の固定について説明する。図9は、光学装置1αにおける固定部50を含む領域Rの一例を示す側方断面拡大図である。
【0037】
図9に示すように、例えば、固定部50は、蓋部40が基部30αと係合することにより、固定部50の上面において接する蓋部40から押圧されてもよい。これに伴い、固定部50は、固定部50の少なくとも一部が、ボール型レンズ10とは反対側の光学ユニット20の斜面Sに当接し、光学ユニット20を基部30α側に押圧するようになっていてもよい。この場合、固定部50は、斜面Sに対して図9の固定状態の図に示す矢印方向に力が加わる。これにより、光学ユニット20の基部30α側(内向き)に力が生じ、当接部22が溝部90の内壁Wに押し付けられて、光学ユニット20の位置が固定される。
【0038】
(調整方法)
本例示的実施形態に係る光学装置1αの調整方法について、図4および8~10を参照して説明する。図10は、光学装置1αの一例を示す上面図である。
【0039】
まず、光学装置1αのユーザは、蓋部40を緩める。図8に示す例では、蓋部40は、基部30αとねじ式の係合部31および41によって係合しているため、ユーザが、手で図8の矢印方向と反対方向の反時計回りに蓋部40を回すことにより、蓋部40を緩める。
【0040】
これにより、図9の蓋部40が緩まった状態の図に示すように、蓋部40が図9の緩まった図の矢印方向に示す上方向に移動し、蓋部40と固定部50との間に第1の空隙G1が生じ、固定部50が蓋部40からの押圧から開放されて上方向に移動する。その結果、固定部50と光学ユニット20との間に第2の空隙G2が生じ、固定部50による光学ユニット20の押圧および固定が解除され、光学ユニット20が旋回可能となる。
【0041】
次に、光学装置1αのユーザは、蓋部40の外側から磁力により磁石21を引き付ける。例えば、図4に示すように、ユーザは、蓋部40の外側から光学ユニット20の位置調整用の磁石23を磁石21に近づける。図10に示すように、光学ユニット20の数が複数である場合、ユーザは、外部からの送信光Lに最も近い光学ユニット20の背面に設けられている磁石21に磁石23を近づけてもよい。磁石21と23との極性は、互いに引き付け合う極性であれば特に限定されず、例えば、磁石21の極性がN極、磁石23の極性がS極であってもよいし、磁石21の極性がS極、磁石23の極性がN極であってもよい。磁石21および23の磁力は、蓋40を介して引き付け合う程度に強力であればよい。
【0042】
続いて、光学装置1αのユーザが、例えば、図10の矢印方向に磁石23を旋回させると、光学ユニット20は、磁石21が磁石23に引き付けられる磁力に応じて、溝90に沿ってボール型レンズ10の周囲を図10の矢印方向に旋回し、位置が調整される。
【0043】
光学ユニット20の位置の調整後、ユーザが蓋部40を閉めると、上述の組立方法と同様に、固定部50により、光学ユニット20の位置は、調整後の位置に固定される(図5)。
【0044】
(例示的実施形態2の効果)
本例示的実施形態では、基部30αには、ボール型レンズ10が取り付けられた部分の周囲に溝90が形成されており、光学ユニット20の一部である当接部22が溝90に挿入されており、光学ユニット20は、溝90に沿ってボール型レンズ10の周囲を旋回可能になっている構成が採用されている。
【0045】
この構成によれば、部40の外側から磁力によって磁石21を引き付けるだけで、光学ユニット20は、溝90に沿ってボール型レンズ10の周囲を旋回する。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の効果に加え、光学ユニット20の位置をより容易に調整可能な光学装置1およびその関連技術を提供できるという効果が得られる。
【0046】
本例示的実施形態では、光学装置1αは、蓋部40が基部30αに係合すると蓋部40から押圧され、当該押圧に伴って光学ユニット20を押圧することにより、光学ユニット20の位置を固定するようになっている固定部50をさらに備える構成が採用されている。
【0047】
この構成によれば、ユーザが、蓋部40を外さず、緩まった状態の蓋部40を閉じるだけで、光学ユニット20の位置を固定できる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の効果に加え、気密性を保ったまま、屋外等の場所を選ばずに光学ユニット20の位置を固定可能な光学装置1α等を提供できるという効果が得られる。
【0048】
本例示的実施形態では、固定部50は、固定部50の少なくとも一部が、ボール型レンズ10とは反対側の光学ユニット20の斜面Sに当接し、光学ユニット20を基部30α側に押圧するようになっている構成が採用されている。
【0049】
この構成によれば、蓋40を閉めると固定部50が光学ユニット20を押圧し、蓋部40を緩めると固定部50が蓋部40による押圧から開放され、当該開放に伴い、光学ユニット20が固定部50からの押圧から開放されて旋回可能となる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の効果に加え、蓋部40を閉じたり緩めたりするだけで気密性を保ちつつ光学ユニット20の位置の固定および固定の解除が可能な光学装置1αおよびその関連技術を提供できるという効果が得られる。
【0050】
本例示的実施形態では、固定部50は、リング状の部材である構成が採用されている。
【0051】
この構成によれば、固定部50の少なくとも一部が、ボール型レンズ10とは反対側の光学ユニット20の斜面Sに当接し、光学ユニット20を基部30α側に押圧するようになっている固定部50に適した部材として、リング状の部材を用いることができる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の効果に加え、上述のような固定部50に適した部材を用いることができるという効果が得られる。
【0052】
本例示的実施形態では、光学ユニット20の数は複数であり、独立してボール型レンズ10の周囲を旋回可能となるように、基部30αに取り付けられている構成が採用されている。
【0053】
この構成によれば、外部からの送信光Lに最も近い光学ユニット20の位置を調整できる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の効果に加え、光学ユニット20の位置をより容易に調整できるという効果が得られる。
【0054】
(固定部50の変形例)
上述の例では、少なくとも一部が、ボール型レンズ10とは反対側の光学ユニット20の斜面Sに当接し、光学ユニット20を基部30α側に押圧するようになっている50には、固定リングが用いられている。ただし、本実施形態では、このような機能を有する固定部50は、固定リングに限定されず、このような機能を有する任意の部材を採用してもよい。これによっても、固定部50が固定リングである場合と同様の効果が得られる。
【0055】
(滑り止め部80の変形例)
上述の例では、蓋部40を閉じたり緩めたりする際に固定部50が滑って回転しないようにするために固定部50の位置を基部30α側(下側)から固定する滑り止め部80には、固定ピンが用いられている。ただし、本実施形態では、このような機能を有する滑り止め部80は、固定ピンに限定されず、例えば、ねじ等、このような機能を有する任意の滑り止め部80を採用することができる。滑り止め部80がこのような機能を有すれば、滑り止め部80が固定ピンである場合と同様の効果が得られる。
【0056】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0058】
(付記1)
外部からの送信光を受け、集光させるボール型レンズと、
集光された前記送信光を受信する1以上の光学ユニットと、
前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットが取り付けられる基部と、
前記基部と係合することによって、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットを収納する蓋部と、を備え、
前記光学ユニットは、磁石を備え、当該磁石が引き付けられる磁力に応じて、前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられている、光学装置。
【0059】
(付記2)
前記基部には、前記ボール型レンズが取り付けられた部分の周囲に溝が形成されており、
前記光学ユニットの一部が前記溝に挿入されており、
前記光学ユニットは、前記溝に沿って前記ボール型レンズの周囲を旋回可能になっている、付記1に記載の光学装置。
【0060】
(付記3)
前記蓋部が前記基部に係合すると当該蓋部から押圧され、当該押圧に伴って前記光学ユニットを押圧することにより、前記光学ユニットの位置を固定するようになっている固定手段をさらに備える、付記1または2に記載の光学装置。
【0061】
(付記4)
前記固定手段は、当該固定手段の少なくとも一部が、前記ボール型レンズとは反対側の前記光学ユニットの斜面に当接し、前記光学ユニットを前記基部側に押圧するようになっている、付記3に記載の光学装置。
【0062】
(付記5)
前記固定手段は、リング状の部材である、付記3または4に記載の光学装置。
【0063】
(付記6)
前記光学ユニットの数は複数であり、独立して前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられている、付記1~5のいずれか1項に記載の光学装置。
【0064】
(付記7)
光学装置が備える1以上の光学ユニットの位置を調整する調整方法であって、
前記光学装置は、
外部からの送信光を受け、集光させるボール型レンズと、
前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットが取り付けられる基部と、
前記基部と係合することによって、前記ボール型レンズおよび前記光学ユニットを収納する蓋部と、をさらに備え、
前記光学ユニットは、集光された前記送信光を受信するものであり、
前記光学ユニットは、前記ボール型レンズの周囲を旋回可能となるように、前記基部に取り付けられており、
前記光学ユニットは、磁石を備えており、
前記蓋部の外側から磁力によって前記磁石を引き付けることによって、前記光学ユニットを、前記ボール型レンズの周囲を旋回移動させる、調整方法。
【符号の説明】
【0065】
1、1α、1X 光学装置
10、10X ボール型レンズ
20、20X 光学ユニット
21、23 磁石
30、30α、30X 基部
40、40X 蓋部
50、100、110 固定部(固定手段)
90、90X 溝
図1
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