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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064870
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】サーバ、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/309 20150101AFI20240507BHJP
   H04B 7/155 20060101ALI20240507BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20240507BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20240507BHJP
   H04W 76/25 20180101ALI20240507BHJP
   B64G 1/10 20060101ALI20240507BHJP
   B64G 3/00 20060101ALI20240507BHJP
   B64U 20/80 20230101ALI20240507BHJP
   B64U 101/17 20230101ALN20240507BHJP
【FI】
H04B17/309
H04B7/155
H04W84/06
H04W24/10
H04W76/25
B64G1/10 100
B64G3/00
B64U20/80
B64U101:17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173808
(22)【出願日】2022-10-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G研究開発促進事業/次世代の5次元モバイルインフラ技術の研究開発」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小野 真和
(72)【発明者】
【氏名】船田 純一
(72)【発明者】
【氏名】若藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昂平
【テーマコード(参考)】
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K067AA01
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE07
5K067EE10
5K067JJ51
5K067LL11
5K072AA02
5K072AA29
5K072BB02
5K072BB13
5K072BB22
5K072DD03
5K072DD04
5K072DD11
5K072DD16
5K072HH01
5K072HH02
(57)【要約】
【課題】地球上の装置と衛星装置との通信の切断を防止する。
【解決手段】サーバ(1)は、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、通信端末における低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得部(11)と、前記情報と、通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御部(12)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得手段と、
前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御手段と、
を備えるサーバ。
【請求項2】
前記通信端末が存在する場所において、前記電波マップが示す電波の強度に対して、前記情報が示す電波の強度が所定の値よりも小さくなった場合、前記制御手段は、前記飛行体に対して、前記通信端末が存在する場所における前記減衰量を測定するように制御する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記飛行体はさらに、前記通信端末と通信し、
前記取得手段はさらに、前記飛行体が測定した前記減衰量を取得し、
前記減衰量が所定の値を超えた場合、前記制御手段は、前記飛行体に対して、前記通信端末と通信するように制御する、
請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記制御手段はさらに、前記低軌道衛星装置が照射する電波の照射方向を制御し、
前記減衰量が所定の値を超えた場合、前記制御手段は、前記低軌道衛星装置に対して、電波の照射方向を変更するように制御する、
請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記取得手段はさらに、前記飛行体が測定した前記減衰量を取得し、
前記制御手段はさらに、前記低軌道衛星装置が照射する電波の強度を制御し、
前記減衰量が所定の値を超えた場合、前記制御手段は、前記低軌道衛星装置に対して、照射する電波の強度を上げるように制御する、
請求項2に記載のサーバ。
【請求項6】
前記取得手段はさらに、前記通信端末が存在する場所における気象に関するデータを取得し、
前記制御手段は、前記気象に関するデータをさらに参照し、前記飛行体を制御する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項7】
前記取得手段はさらに、前記低軌道衛星装置が周回する所定の軌道を示す軌道情報を取得し、
前記制御手段は、前記軌道情報をさらに参照し、前記飛行体を制御する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項8】
サーバが、
低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得することと、
前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御することと、
を含む制御方法。
【請求項9】
コンピュータをサーバとして機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得手段と、
前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体を制御するサーバ、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球上において測定されたデータを地球上の装置から取得し、当該データを用いて地球上の装置が利用するデータを生成し、当該データを地球上の装置に送信する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、地上の監視局から受信した測定値等によって信号を導出し、当該信号をクライアントデバイスに送信する衛星装置を含む衛星コンステレーションシステムが記載されている。当該衛星コンステレーションシステムでは、衛星装置から送信された信号は、正確な位置および正確な時刻の少なくとも何れかを計算するようにクライアントデバイスを動作させる信号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-534387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地球上の装置と衛星装置との通信においては、降雨の影響などにより通信環境が変化する場合がある。地球上の装置と衛星装置との通信環境が悪化した場合、地球上の装置と衛星装置との通信が途切れてしまうことがある。特許文献1には、このような場合が想定されていないため、地球上の装置と衛星装置との通信環境が悪化した場合、地球上の装置は通信が維持できなくなるという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、地球上の装置における通信を好適に維持する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るサーバは、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得手段と、前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御手段と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る制御方法は、サーバが、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得することと、前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御することと、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータをサーバとして機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得手段と、前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、地球上の装置における通信を好適に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係るサーバの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る制御方法の流れを示すフロー図である。
図3】本発明の実施形態2に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態2に係る通信システムにおける処理の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係る通信システムにおける処理の他の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態2に係る通信システムにおける処理のさらに他の例を示す図である。
図7】本発明の各例示的実施形態に係るサーバ、通信端末、飛行体、およびLEO衛星のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
(サーバ1の概要)
本例示的実施形態に係るサーバ1は、低軌道衛星装置と通信する通信端末とデータを送受信可能なサーバである。また、サーバ1は、通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体ともデータを送受信可能なサーバである。
【0014】
サーバ1は、通信端末における低軌道衛星装置との通信状況を示す情報と、通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する。電波マップとは、場所と当該場所における電波の状況とを関連付けて図示したものである。電波マップの例として、通信端末が異常なく通信できる状態(安定した状態)の電波マップ、通信端末が通信できない状態(通信異常が発生する状態)の電波マップ、および通信端末による使用状況を示す電波マップが挙げられる。また、それぞれの電波マップは、2次元空間における電波マップでもよいし、3次元空間における電波マップでもよい。また、それぞれの電波マップにおける電波の状況は、リアルタイムに取得された情報に基づく電波の状況であってもよいし、過去に取得された情報に基づく電波の状況であってもよい。
【0015】
(サーバ1の構成)
本例示的実施形態に係るサーバ1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本例示的実施形態に係るサーバ1の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、サーバ1は、取得部11および制御部12を備えている。取得部11および制御部12は、本例示的実施形態において、それぞれ取得手段および制御手段を実現する構成である。
【0017】
取得部11は、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する。取得部11は、取得した情報を制御部12に供給する。
【0018】
制御部12は、取得部11が取得した情報と、通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する。
【0019】
以上のように、本例示的実施形態に係るサーバ1においては、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得部11と、取得部11が取得した情報と、通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御部12と、を備える構成が採用されている。
【0020】
このため、本例示的実施形態に係るサーバ1は、例えば降雨の影響などにより、電波マップと比較して通信端末が存在する場所の通信状況が悪い場合、飛行体を制御して通信端末が存在する領域における電波の減衰量を測定させるように制御することができる。したがって、本例示的実施形態に係るサーバ1によれば、地球上の装置の通信環境が悪化していることを把握し、地球上の装置の通信を維持するための対応ができるので、地球上の装置における通信を好適に維持することができるという効果が得られる。
【0021】
(制御方法S1の流れ)
本例示的実施形態に係る制御方法S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、本例示的実施形態に係る制御方法S1の流れを示すフロー図である。
【0022】
(ステップS11)
ステップS11において、取得部11は、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する。取得部11は、取得した情報を制御部12に供給する。
【0023】
(ステップS12)
ステップS12において、制御部12は、取得部11が取得した情報と、通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する。
【0024】
以上のように、本例示的実施形態に係る制御方法S1においては、ステップS11において取得部11が、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得し、ステップS12において制御部12が、取得部11が取得した情報と、通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る制御方法S1によれば、上述したサーバ1と同様の効果が得られる。
【0025】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0026】
(通信システム100の概要)
図3は、本例示的実施形態に係る通信システム100の構成を示すブロック図である。図3に示すように、通信システム100は、サーバ2、通信端末4、飛行体6、およびLEO(Low Earth Orbit)衛星8(低軌道衛星装置)を含んで構成される。サーバ2、通信端末4、飛行体6、およびLEO衛星8は、それぞれ無線通信を介してデータを送受信可能である。図3に示す通信システム100では、通信端末4、飛行体6、LEO衛星8は1つであるが、それぞれ複数含まれていてもよい。
【0027】
通信システム100では、サーバ2は、通信端末4が存在する場所を含む領域における電波の使用状況を示す電波マップを取得する。サーバ2が電波マップを取得する方法の一例として、電波マップを測定する装置(図3に不図示)から取得する方法、複数の通信端末4のそれぞれから取得した受信電力の値に基づいてサーバ2が電波マップを生成する方法、が挙げられる。また、電波マップは時間によって変化するため、サーバ2はリアルタイムの電波マップを取得してもよい。
【0028】
また、サーバ2は、通信端末4におけるLEO衛星8との通信状況を示す情報と、通信端末4が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、通信端末4との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する。当該処理においてサーバ2が参照する電波マップは、通信端末4が異常なく通信できる状態の電波を示すマップであり、換言すると、安定した状態の電波マップである。また、当該処理においてサーバ2が参照する電波マップは、3次元空間における電波マップであってもよい。
【0029】
一例として、サーバ2は、通信端末4におけるLEO衛星8との通信状況を示す情報が示す電波の強度と、電波マップにおいて、通信端末4が存在する場所を含む領域における電波の強度とを比較する。そして、サーバ2は、比較結果に基づき、通信端末4が存在する場所を含む領域において通信状況が悪化していると判定した場合、飛行体6を、通信端末4が存在する場所を含む領域の上空に移動させ、通信端末4との間の電波の減衰量を測定するように制御する。
【0030】
サーバ2はさらに、LEO衛星8を制御してもよい。一例として、サーバ2は、LEO衛星8が照射する電波の強度および電波の放射する方向の何れかを変更するように制御する。
【0031】
また、通信システム100では、通信端末4は、ユーザが使用する通信端末である。通信端末4の例として、携帯端末およびスマートフォンが挙げられる。
【0032】
また、通信システム100では、飛行体6は、サーバ2からの指示に基づいて移動したり、サーバ2からの指示に基づいて飛行している位置において通信端末4との間の電波の減衰量を測定したりする。飛行体6は、測定した減衰量をサーバ2に出力する。飛行体6の例として、無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle、ドローン)およびHAPS(High Altitude Platform Station)が挙げられる。
【0033】
飛行体6が減衰量を測定する方法の一例として、飛行体6は、通信端末4と通信を行い、通信端末4から受信電力を示す情報を取得する。そして、飛行体6は、送信電力と、通信端末4から取得した情報が示す受信電力との差分、および飛行体6と通信端末4との距離に基づき、減衰量を算出する。また、飛行体6が減衰量を測定する方法の他の例として、飛行体6は、LEO衛星8と通信を行い、LEO衛星8から送信電力を示す情報を取得する。そして、飛行体6は、取得した情報が示す送信電力と、飛行体6の受信電力との差分、および飛行体6とLEO衛星8の距離とに基づき、減衰量を算出する。
【0034】
LEO衛星8は、所定の軌道を周回する低軌道衛星装置である。LEO衛星8が周回する所定の軌道を示す情報を、軌道情報と称する。また、LEO衛星8は、通信端末4などが無線通信に用いる電波の照射強度および照射方向を変更することができる。
【0035】
(サーバ2の構成)
サーバ2は、図3に示すように、サーバ制御部21、サーバ記憶部25、およびサーバ通信部26を備えている。
【0036】
サーバ記憶部25は、データを格納する記憶装置である。サーバ記憶部25には、サーバ制御部21が参照するデータが格納される。サーバ記憶部25に格納されるデータの一例として、電波マップ、通信システム100に含まれる各装置の制御に関して定められたポリシー(詳細は後述する)、通信端末4から送信される電波状況を示す情報、およびLEO衛星8の軌道情報が挙げられる。
【0037】
サーバ通信部26は、無線通信を介して他の装置と通信を行う。一例として、サーバ通信部26は、電波マップ、通信端末4におけるLEO衛星8との通信状況を示す情報、および飛行体6が測定した減衰量を受信したり、他の装置を制御するための制御情報を送信したりする。
【0038】
(サーバ制御部21の機能)
サーバ制御部21は、サーバ2が備える各構成要素を制御する。サーバ制御部21は、図3に示すように、取得部11、制御部12、および衛星装置制御部22を備えている。取得部11、ならびに制御部12および衛星装置制御部22は、本例示的実施形態において、それぞれ取得手段および制御手段を実現する構成である。
【0039】
取得部11は、サーバ通信部26を介してデータを取得する。一例として、取得部11は、LEO衛星8と通信する通信端末4から、通信端末4におけるLEO衛星8との通信状況を示す情報を取得する。
【0040】
制御部12は、サーバ記憶部25に格納されているポリシーを参照し、飛行体6を制御する。ポリシーには、一例として、通信端末4と通信する装置、電波状況を測定する装置、飛行体6の移動先、LEO衛星8の電波の照射強度、およびLEO衛星8の電波の照射方向が含まれている。
【0041】
一例として、制御部12は、取得部11が取得した情報と、通信端末4が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、通信端末4との間の電波の減衰量を測定する飛行体6を制御する。制御部12が実行する処理については、後述する通信システム100における処理例において説明する。
【0042】
衛星装置制御部22は、LEO衛星8を制御する。一例として、衛星装置制御部22は、LEO衛星8に対して、照射する電波の強度を上げるように、または電波の照射方向を変更するように制御する。
【0043】
通信システム100では、サーバ2は、図3に示すように1つであってもよいし、図3に示すサーバ2が備える各機能をそれぞれ備えた複数のサーバによって構成されてもよい。
【0044】
(通信端末4の構成)
通信端末4は、図3に示すように、端末制御部41および端末通信部46を備えている。
【0045】
端末通信部46は、無線通信を介して他の装置と通信を行う。一例として、端末通信部46は、通信端末4における受信電力をサーバ2に送信する。
【0046】
(端末制御部41の機能)
端末制御部41は、通信端末4が備える各構成要素を制御する。端末制御部41は、図3に示すように、端末測定部42、端末出力部43、および端末通信制御部44を備えている。
【0047】
端末測定部42は、電波の強度を測定する。一例として、端末測定部42は、端末通信部46を介したデータ受信における受信電力を測定する。端末測定部42は、測定した受信電力を、端末出力部43に供給する。
【0048】
端末出力部43は、端末通信部46を介してデータをサーバ2または飛行体6に出力する。一例として、端末出力部43は、端末測定部42が測定した受信電力を、電波の強度を示す情報として、端末通信部46を介してサーバ2または飛行体6に出力する。
【0049】
端末通信制御部44は、通信端末4における通信を制御する。一例として、端末通信制御部44は、サーバ2から出力された制御情報に基づき、通信先を飛行体6またはLEO衛星8に変更する。
【0050】
(飛行体6の構成)
飛行体6は、図3に示すように、飛行体制御部61および飛行体通信部66を備えている。
【0051】
飛行体通信部66は、無線通信を介して他の装置と通信を行う。一例として、飛行体通信部66は、測定した減衰量をサーバ2に送信したり、飛行体6を制御する情報をサーバ2から受信したりする。
【0052】
(飛行体制御部61の機能)
飛行体制御部61は、飛行体6が備える各構成要素を制御する。飛行体制御部61は、図3に示すように、減衰量測定部62、飛行体出力部63、および飛行体通信制御部64を備えている。
【0053】
減衰量測定部62は、電波の減衰量を測定する。一例として、減衰量測定部62は、通信端末4との間の電波の減衰量を測定する。減衰量測定部62が減衰量を測定する方法については、上述した通りである。減衰量測定部62は、測定した減衰量を、飛行体出力部63に供給する。
【0054】
飛行体出力部63は、飛行体通信部66を介してデータを出力する。一例として、飛行体出力部63は、減衰量測定部62が測定した減衰量を、飛行体通信部66を介してサーバ2に出力する。
【0055】
飛行体通信制御部64は、飛行体6における通信を制御する。一例として、飛行体通信制御部64は、サーバ2から出力された制御情報に基づき、通信端末4と通信する。
【0056】
(LEO衛星8の構成)
LEO衛星8は、図3に示すように、衛星制御部81および衛星通信部86を備えている。
【0057】
衛星制御部81は、LEO衛星が備える各構成要素を制御する。衛星制御部81は、図3に示すように、衛星通信制御部84を備えている。
【0058】
衛星通信制御部84は、LEO衛星8における通信を制御する。一例として、衛星通信制御部84は、サーバ2から出力された制御情報に基づき、通信端末4と通信する。他の例として、衛星通信制御部84は、サーバ2から出力された制御情報に基づき、照射する電波の強度および電波の照射方向を変更する。
【0059】
衛星通信部86は、無線通信を介して他の装置と通信を行う。一例として、衛星通信部86は、LEO衛星8を制御する情報をサーバ2から受信する。
【0060】
(通信システム100における処理例1)
図4は、本例示的実施形態に係る通信システム100における処理の一例を示す図である。
【0061】
図4に示す通信システム100では、図4の左側に示すように、LEO衛星8と、通信端末4aおよび通信端末4bとが通信している。図4の左側に示す状態において、サーバ2の取得部11は、通信端末4aおよび通信端末4bのそれぞれから、LEO衛星8との通信状況を示す情報を取得する。一例として、取得部11は、通信状況を示す情報として、電波の強度を示す情報を取得する。図4の左側に示す図では、飛行体6aはサーバ2からの指示を受け取っておらず、待機している状態である。
【0062】
次に、図4の真ん中に示すように、LEO衛星8と通信端末4aとの間に雲が発生すると、サーバ2が通信端末4aから取得した情報が示す、通信端末4aにおけるLEO衛星8の電波強度を示す値は、電波マップにおいて通信端末4aが存在する場所における電波強度を示す値に比べて低くなる。
【0063】
そして、サーバ2の制御部12は、通信端末4aが存在する場所において、電波マップが示す電波の強度に対して、通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が所定の値よりも小さくなった場合、飛行体6aを制御する。一例として、制御部12は、飛行体6aに対して、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように制御する。より具体的には、制御部12は、サーバ通信部26を介して、通信端末4aが存在する場所において、通信端末4との間の電波の減衰量を測定するように制御する制御情報を、飛行体6aに送信する。
【0064】
所定の値は特に限定されないが、一例として、電波マップが示す電波強度よりも通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が小さくなった場合、通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が、電波マップが示す電波強度の80%よりも小さくなった場合、などが挙げられる。すなわち、通信端末4aが存在する場所において、通信端末4aとLEO衛星8との通信の品質が悪くなる(例えば、通信端末4aとLEO衛星8との通信が確立した状態において、データ送受信のエラー率が高くなる、など)と考えられる程度まで通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が小さくなった場合に、制御部12は、飛行体6aに対して、通信端末4aが存在する場所において、通信端末4との間の電波の減衰量を測定するように制御してもよい。
【0065】
また、制御部12は、電波マップが示す電波の強度と、通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度のログとに基づき、所定の時間(例えば1分、10分、1時間など)以内に通信端末4aが存在する場所における電波状況が急激に変化するか否かを予測する機能を備えてもよい。一例として、電波マップが示す電波の強度と、通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度のログとを入力情報として、所定時間経過後の通信端末4aが存在する場所の電波状況を予測した結果を出力するように学習させた学習済モデルを用いる構成が挙げられる。学習済モデルが出力する結果が、所定の時間経過後の通信端末4aが存在する場所の電波状況が悪化することを示す場合、制御部12は、飛行体6aに対して、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように制御してもよい。
【0066】
飛行体6aの減衰量測定部62は、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように制御する制御情報をサーバ2から取得すると、当該制御情報に基づき、図4の右側に示すように、通信端末4aが存在する領域の上空に移動する。そして、減衰量測定部62は、通信端末4aが存在する場所において、通信端末4との間の電波の減衰量を測定する。
【0067】
また、図4の右側に示すように、サーバ2の制御部12は、飛行体6aに加えて、他の飛行体6b~飛行体6d、および飛行体6eに対しても、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように制御する制御情報を送信してもよい。
【0068】
制御部12が、複数の飛行体6のうち、何れの飛行体6に制御情報を送信するかを決定する方法については、特に限定されない。一例として、制御部12は、所定の時間間隔(例えば、1分、10分など)毎に、複数の飛行体6のそれぞれから、飛行している位置を示す位置情報を取得する。そして、制御部12は、位置情報を参照し、通信端末4aが存在する領域の近くに存在する飛行体6に、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように制御する制御情報を送信してもよい。
【0069】
他の例として、制御部12は、他の領域において減衰量を測定している飛行体6以外の飛行体6に対して、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように制御する制御情報を送信してもよい。
【0070】
制御部12は、複数の飛行体6のうち、制御する飛行体6を選択することにより、複数の飛行体6を効率よく運用することができる。
【0071】
このように、本例示的実施形態に係る通信システム100では、サーバ2は、通信端末4aとLEO衛星8との通信状況が悪化した場合、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように飛行体6aを制御する。そのため、サーバ2は、通信端末4aの通信環境が悪化していることを把握し、通信端末4aの通信を維持するための対応ができるので、通信端末4aにおける通信を好適に維持することができる。
【0072】
(通信システム100における処理例2)
図5は、本例示的実施形態に係る通信システム100における処理の他の例を示す図である。以下の説明において飛行体6aが実行する処理は、飛行体6aに替えて、他の飛行体である飛行体6b~飛行体6eの何れかが実行してもよい。また、以下の説明において飛行体6aが実行する処理を飛行体6b~飛行体6eの何れかがが実行した場合も、同様の効果が得られる。
【0073】
飛行体6aは、通信端末4aが存在する場所における減衰量を測定するように制御する制御情報をサーバ2から取得すると、当該制御情報に基づき、図5の左側に示すように、通信端末4aが存在する領域の上空に移動する。そして、飛行体6aの減衰量測定部62は、通信端末4aが存在する場所において、通信端末4aとの間の電波の減衰量を測定する。
【0074】
飛行体6aの減衰量測定部62は、通信端末4との間の電波の減衰量を測定すると、測定した減衰量を、飛行体通信部66を介してサーバ2に送信する。サーバ2の取得部11は、サーバ通信部26を介して、飛行体6aから送信された減衰量を受信する。取得部11は、取得した減衰量を制御部12に供給する。なお、飛行体6aに加えて、飛行体6b~6eも同様に、測定した減衰量をサーバ2に送信してもよい。
【0075】
飛行体6aから送信された減衰量が所定の値を超えた場合、制御部12は、飛行体6aに対して、通信端末4aと通信するように制御する。より具体的には、制御部12は、サーバ通信部26を介して、通信端末4aと通信するように制御する制御情報を、飛行体6aに送信する。同様に、制御部12は、通信端末4aに、飛行体6aと通信するように制御する制御情報を送信する。
【0076】
減衰量の所定の値も特に限定されず、通信端末4aが存在する場所において、通信端末4aとLEO衛星8との通信の品質が悪くなる(例えば、通信端末4aとLEO衛星8との通信が確立した状態において、データ送受信のエラー率が高くなる、など)と考えられる程度まで電波が減衰した場合に、制御部12は、飛行体6aに対して通信端末4aと通信するように制御してもよい。
【0077】
また、制御部12が、複数の飛行体6のうち何れの飛行体6に対して、通信端末4aと通信するように制御する制御情報を送信するかを決定する方法については、特に限定されない。一例として、制御部12は、複数の通信端末4のうち、何れの通信端末4とも通信していない飛行体6に、通信端末4aと通信するように制御する制御情報を送信してもよい。他の例として、通信端末4aとの距離が最も近い飛行体6に対して、通信端末4aと通信するように制御する制御情報を送信してもよい。
【0078】
また、飛行体6aから送信された減衰量が所定の値を超えた場合、制御部12は、LEO衛星8に対して、電波の照射方向を変更するように制御してもよい。一例として、制御部12は、図5の左側において、通信端末4bとの通信を維持した上で、LEO衛星8と通信可能な領域に位置していない通信端末4cと通信ができるように電波の照射方向を変更するように制御する制御情報を、LEO衛星8に対して送信する。LEO衛星8の衛星通信制御部84は、サーバ2から当該制御情報を取得すると、図5の右側に示すように、通信端末4bとの通信を維持した上で通信端末4cと通信ができるように電波の照射方向を変更する。
【0079】
このように、本例示的実施形態に係る通信システム100では、サーバ2は、通信端末4aとLEO衛星8との通信状況が悪化し、電波の強度が減衰した場合、通信端末4aの通信先を、通信端末4aとの距離が遠いLEO衛星8から、通信端末4aとの距離が近い飛行体6に変更するよう制御する。そのため、サーバ2は、通信端末4aとLEO衛星8との通信環境が悪化した場合、通信端末4aの接続先を変更することにより、通信端末4aによる通信を好適に維持することができる。
【0080】
また、本例示的実施形態に係る通信システム100では、サーバ2は、通信端末4aとLEO衛星8との通信状況が悪化し、電波の強度が減衰した場合、LEO衛星8に対して、照射方向を変更するよう制御する。これによりサーバ2は、LEO衛星8と通信端末4bとの好適な通信の維持や、LEO衛星8の効率的な運用(例えば、電力や処理量の削減、通信できなかった通信端末4cと通信することによる通信可能な範囲の維持など)を実現することができる。
【0081】
(通信システム100における処理例3)
図6は、本例示的実施形態に係る通信システム100における処理のさらに他の例を示す図である。
【0082】
飛行体6aから送信された減衰量が所定の値を超えた場合、制御部12は、LEO衛星8に対して、照射する電波の強度を上げるように制御してもよい。より具体的には、図6の左側に示すように、雲によって通信端末4aの通信環境が悪化した場合、制御部12は、サーバ通信部26を介して、照射する電波の強度を上げるように制御する制御情報を、LEO衛星8に送信する。
【0083】
LEO衛星8の衛星通信制御部84は、衛星通信部86を介して、照射する電波の強度を上げるように制御する制御情報を取得すると、当該制御情報に基づき、図6の右側の太線矢印に示すように照射する電波の強度を上げる。
【0084】
また、サーバ2の制御部12は、照射する電波の強度を上げるように制御する制御情報を、LEO衛星8に送信した上で、飛行体6a~飛行体6eに対して、待機する、または別の場所に移動するよう制御する制御情報を送信してもよい。
【0085】
制御部12が、LEO衛星8が照射する電波の強度を上げるように制御する制御情報を送信するか、または上述した処理例2において説明したように、飛行体6に対して通信端末4と通信するように制御する(さらに、LEO衛星8が電波の照射方向を変更するように制御する)かを決定する方法については、特に限定されない。
【0086】
一例として、LEO衛星8が照射可能な最大強度の電波を照射しても、通信端末4aとLEO衛星8との通信が維持できない程度に減衰量が大きい場合、制御部12は、飛行体6に対して通信端末4と通信するように制御する制御情報を送信する。一方、LEO衛星8が照射可能な最大強度の電波を照射することによって通信端末4aとの通信が維持できる場合、制御部12は、照射する電波の強度を上げるように制御する制御情報を送信する。
【0087】
また、複数の通信端末4のうち、いずれの通信端末4とも通信していない飛行体6が存在する場合は、LEO衛星8の電波強度に関係なく、制御部12は、通信端末4aの通信先を飛行体6に変更するよう制御してもよい。
【0088】
このように、本例示的実施形態に係る通信システム100では、サーバ2は、通信端末4aとLEO衛星8との通信状況が悪化し、電波の強度が減衰した場合、LEO衛星8に対して、照射する電波の強度を上げるよう制御する。そのため、サーバ2は、通信端末4aとLEO衛星8との通信を好適に維持することができる。
【0089】
(通信システム100における処理例4)
サーバ2の取得部11は、通信端末4aが存在する場所における気象に関するデータ(例えば、気象に関する実測データおよび予測された気象を示す気象予報データ)をさらに取得する構成であってもよい。一例として、取得部11は、気象に関する実測データおよび気象予報データは、気象に関するデータを測定する装置および気象を予測する装置から取得する。この場合、制御部12は、取得部11が取得した気象に関するデータをさらに参照し、飛行体6を制御する。
【0090】
一例として、電波マップが示す電波の強度に対して、通信端末4の電波の強度が所定の値よりも小さくなり、かつ、取得した気象に関する実測データが、通信端末4が存在する領域の気圧が下がっていることを示す場合、飛行体6に対して減衰量を測定するように制御する。
【0091】
他の例として、電波マップが示す電波の強度に対して、通信端末4の電波の強度が所定の値よりも小さくなり、かつ、取得した気象予報データが、通信端末4が存在する領域の雲が多くなることを示す場合、飛行体6に対して減衰量を測定するように制御する。
【0092】
すなわち、通信端末4aが存在する領域における気象が、これから電波状況が悪くなる可能性のある気象であった場合、制御部12は、飛行体6に対して減衰量を測定するように制御する。
【0093】
このように、本例示的実施形態に係る通信システム100では、サーバ2は、通信端末4aが存在する領域における気象に関する実測データおよび気象予報データを参照して、飛行体6を制御する。そのため、サーバ2は、これから通信端末4aの電波状況が悪くなることを事前に把握することができるので、通信端末4における通信を好適に維持することができる。
【0094】
(通信システム100における処理例5)
サーバ2は、LEO衛星8の軌道情報をさらに参照する構成であってもよい。一例として、サーバ2の取得部11は、LEO衛星8(またはLEO衛星8を管理する装置)からLEO衛星8の軌道情報を取得する。この場合、制御部12は、取得部11が取得した軌道情報をさらに参照し、飛行体6を制御する。
【0095】
LEO衛星8は所定の軌道を周回しているため、通信端末4との距離は一定ではない。そのため、LEO衛星8の位置によって、通信端末4は電波状況が異なる。したがって、通信端末4aが存在する場所において、電波マップが示す電波の強度に対して、通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が所定の値よりも小さくなった場合であっても、サーバ2の制御部12は、軌道情報を参照し、LEO衛星8が通信端末4から遠い場所に位置したために通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が小さくなったと判定した場合は、飛行体6に減衰量を測定するよう制御しなくてもよい。
【0096】
一方で、通信端末4aが存在する場所において、電波マップが示す電波の強度に対して、通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が所定の値よりも小さくなっていない場合であっても、LEO衛星8が通信端末4から近い場所に位置しているにも関わらず、通信端末4aから取得した情報が示す電波の強度が小さくなったと判定した場合、制御部12は、飛行体6に減衰量を測定するよう制御してもよい。
【0097】
なお、LEO衛星8は、通信端末4との距離に応じて、照射する電波の強度を変更する構成であってもよい。一例として、LEO衛星8は、通信端末4aが存在する場所における電波強度が一定となるように、照射する電波の強度を変更してもよい。
【0098】
このように、本例示的実施形態に係る通信システム100では、サーバ2は、LEO衛星8の軌道情報を参照して、飛行体6を制御する。そのため、サーバ2は、LEO衛星8が通信端末4と遠い位置に存在することにより、通信端末4の電波強度が小さくなった場合は、飛行体6を制御しないので、飛行体6を効率よく運用することができる。
【0099】
(通信システム100における処理例6)
電波マップは、サーバ2に加えて、通信端末4が記憶する構成であってもよい。
【0100】
例えば、通信端末4はサーバ2に電波マップを送信するよう要求する。サーバ2は当該要求を受け付けると、サーバ記憶部25に格納している電波マップを、通信端末4に送信する。通信端末4は、通信端末4が備える記憶部(図3には不図示)に、サーバ2から送信された電波マップを格納する。
【0101】
当該構成では、例えば、通信端末4は、LEO衛星8との通信状況が悪くなった場合、アラートを含む情報であって、LEO衛星8との通信状況を示す情報を、サーバ2に送信する。LEO衛星8との通信状況が悪くなった場合の一例として、電波マップが示す電波の強度に対する電波の強度が所定の値よりも小さくなった場合、受信電力が所定の値より低くなった場合、エラー率が所定の値より高くなった場合が挙げられる。
【0102】
サーバ2の制御部12は、アラートを含む情報であって、LEO衛星8との通信状況を示す情報を通信端末4から受信すると、飛行体6に対して減衰量を測定するように制御する。
【0103】
このように、本例示的実施形態に係る通信システム100では、通信端末4が電波マップを備えるので、通信端末4はサーバ2に対して、飛行体6が減衰量を測定するように制御させることができる。そのため、例えば、通信端末4が通信品質の保証があるアプリケーションを実行する場合、事前にサーバ2に電波マップを送信するよう要求することにより、通信端末4の通信品質を保つことができる。また、通信端末4は、サーバ2の処理を軽減することができる。
【0104】
〔ソフトウェアによる実現例〕
サーバ1、2、通信端末4、飛行体6、およびLEO衛星8の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
後者の場合、サーバ1、2、通信端末4、飛行体6、およびLEO衛星8は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図7に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCをサーバ1、2、通信端末4、飛行体6、およびLEO衛星8として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、サーバ1、2、通信端末4、飛行体6、およびLEO衛星8の各機能が実現される。
【0106】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0107】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0108】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0109】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0110】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0111】
(付記1)
低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得手段と、前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御手段と、を備えるサーバ。
【0112】
(付記2)
前記通信端末が存在する場所において、前記電波マップが示す電波の強度に対して、前記情報が示す電波の強度が所定の値よりも小さくなった場合、前記制御手段は、前記飛行体に対して、前記通信端末が存在する場所における前記減衰量を測定するように制御する、付記1に記載のサーバ。
【0113】
(付記3)
前記飛行体はさらに、前記通信端末と通信し、前記取得手段はさらに、前記飛行体が測定した前記減衰量を取得し、前記減衰量が所定の値を超えた場合、前記制御手段は、前記飛行体に対して、前記通信端末と通信するように制御する、付記2に記載のサーバ。
【0114】
(付記4)
前記制御手段はさらに、前記低軌道衛星装置が照射する電波の照射方向を制御し、
前記減衰量が所定の値を超えた場合、前記制御手段は、前記低軌道衛星装置に対して、電波の照射方向を変更するように制御する、付記3に記載のサーバ。
【0115】
(付記5)
前記取得手段はさらに、前記飛行体が測定した前記減衰量を取得し、前記制御手段はさらに、前記低軌道衛星装置が照射する電波の強度を制御し、前記減衰量が所定の値を超えた場合、前記制御手段は、前記低軌道衛星装置に対して、照射する電波の強度を上げるように制御する、付記2に記載のサーバ。
【0116】
(付記6)
前記取得手段はさらに、前記通信端末が存在する場所における気象に関するデータを取得し、前記制御手段は、前記気象に関するデータをさらに参照し、前記飛行体を制御する、付記1~5の何れかに記載のサーバ。
【0117】
(付記7)
前記取得手段はさらに、前記低軌道衛星装置が周回する所定の軌道を示す軌道情報を取得し、前記制御手段は、前記軌道情報をさらに参照し、前記飛行体を制御する、付記1~6の何れかに記載のサーバ。
【0118】
(付記8)
サーバが、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得することと、前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御することと、を含む制御方法。
【0119】
(付記9)
コンピュータをサーバとして機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得手段と、前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御手段と、として機能させるプログラム。
【0120】
(付記9)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは低軌道衛星装置と通信する通信端末から、当該通信端末における前記低軌道衛星装置との通信状況を示す情報を取得する取得処理と、前記情報と、前記通信端末が存在する場所を含む領域における電波マップとを参照して、前記通信端末との間の電波の減衰量を測定する飛行体を制御する制御処理と、を実行するサーバ。
【0121】
なお、このサーバは、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得処理と、前記制御処理と、を前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1、2 サーバ
4 通信端末
6 飛行体
8 LEO衛星
11 取得部
12 制御部
22 衛星装置制御部
42 端末測定部
43 端末出力部
44 端末通信制御部
62 減衰量測定部
63 飛行体出力部
64 飛行体通信制御部
84 衛星通信制御部
100 通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7