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  • 特開-竪型型締装置、および竪型射出成形機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064878
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】竪型型締装置、および竪型射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/84 20060101AFI20240507BHJP
   B29C 45/70 20060101ALI20240507BHJP
   B29C 45/64 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B29C45/84
B29C45/70
B29C45/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173824
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】川北 聖人
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM04
4F202AP02
4F202CA11
4F202CB01
4F202CC01
4F202CL32
4F202CL38
4F202CS07
4F206AM04
4F206AP02
4F206JA07
4F206JC02
4F206JC08
4F206JL02
4F206JL07
4F206JM02
4F206JN32
4F206JP11
4F206JP14
4F206JP15
4F206JQ81
4F206JQ83
4F206JQ88
4F206JT38
(57)【要約】
【課題】異物の挟み込みを精度良く検出し金型を保護することができる竪型型締装置を提供する。
【解決手段】竪型型締装置(2)は、固定盤(9)と、その上方の上可動盤(10)と、下方の下可動盤(11)と、上可動盤(10)と下可動盤(11)とを連結している複数本の棒状部材(12)と、を備えている。本開示は棒状部材(12)として、スプライン軸(22)と、ボールが収納されスプライン軸(22)をスライドするボール保持器(23)とからなるボールスプライン(12)を採用する。上可動盤(10)と下可動盤(11)とをスプライン軸(22)によって連結し、ボール保持器(23)を固定盤(9)に対して設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤と、
前記固定盤の上方に設けられている上可動盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本の棒状部材と、
前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられている型締機構と、を備え、
前記棒状部材は、スプライン軸と、ボールが収納され前記スプライン軸をスライドするボール保持器とからなるボールスプラインからなり、前記ボール保持器が前記固定盤に対して設けられていると共に前記スプライン軸が前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している、竪型型締装置。
【請求項2】
前記型締機構は、前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているボールねじ機構と、該ボールねじ機構を駆動する型締サーボモータとから構成されている、請求項1に記載の竪型型締装置。
【請求項3】
竪型型締装置と、
前記竪型型締装置の上に設けられている射出装置と、から構成され、
前記竪型型締装置は、固定盤と、
前記固定盤の上方に設けられている上可動盤と、
前記固定盤の下方に設けられている下可動盤と、
前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している複数本の棒状部材と、
前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられている型締機構と、を備え、
前記棒状部材は、スプライン軸と、ボールが収納され前記スプライン軸をスライドするボール保持器とからなるボールスプラインからなり、前記ボール保持器が前記固定盤に対して設けられていると共に前記スプライン軸が前記上可動盤と前記下可動盤とを連結している、竪型射出成形機。
【請求項4】
前記型締機構は、前記固定盤と前記下可動盤の間に設けられているボールねじ機構と、該ボールねじ機構を駆動する型締サーボモータとから構成されている、請求項3に記載の竪型射出成形機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に型開閉される竪型型締装置、および竪型射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
竪型射出成形機は、上下方向に型開閉される竪型型締装置と射出装置とを備えている。竪型型締装置は、特許文献1に記載されているように、フレームに固定されている固定盤と、この固定盤の上方に設けられている上可動盤と、下方に設けられている下可動盤とを備えている。上可動盤と下可動盤は複数本のタイバーで連結され、下可動盤と固定盤の間に型締機構が、例えばトグル機構が設けられている。
【0003】
上可動盤には上側金型が設けられるようになっており、固定盤には下側金型が設けられるようになっている。しかしながら竪型型締装置の多くの機種において、固定盤の上に回転自在なターンテーブルが設けられている。ターンテーブルが設けられている場合、ターンテーブルに複数個の下側金型が設けられるようになっている。つまりターンテーブルを回転し、いずれかの下側金型を上側金型と整合させ型締めするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-30152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成形サイクルを実施しているとき、上側金型と下側金型の間に異物が挟み込まれる可能性がある。例えば、樹脂の一部がパーティングラインに残ってしまう場合がある。あるいはインサート成形の場合、インサート品がインサートすべき凹部からはみ出す場合がある。このように異物の挟み込みが発生しているとき、気づかずに型締めしてしまうと金型を傷つけてしまう。そこで、型閉じや型締めに要する駆動力を監視して検出するようにしている。例えば型締機構がトグル機構の場合、クロスヘッドはボールねじ機構と型開閉モータとによって駆動するようになっている。予め型開閉モータのトルクについて型閉時、型締時における正常時の変化のパターンを得ておく。成形サイクルにおいて型開閉モータのトルクの変化を監視して、型閉時、型締時における正常時の変化のパターンから外れている場合、異物の挟み込みが発生していると判定する。
【0006】
しかしながら、型開閉モータのトルクを監視しても、必ずしも精度良く異物の挟み込みを検出できるとは限らない。竪型型締装置の各部材において摺動抵抗があるからであり、トルクの監視の精度に影響するからである。つまり金型の保護において課題が見受けられる。
【0007】
本開示において、異物の挟み込みを精度良く検出し金型を保護することができる竪型型締装置、および竪型射出成形機を提供する。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
竪型型締装置は、固定盤と、その上方と下方とに設けられている上可動盤と下可動盤と、上可動盤と下可動盤とを連結している複数本の棒状部材と、固定盤と下可動盤の間に設けられている型締機構と、を備えている。本開示は棒状部材として、スプライン軸と、ボールが収納されスプライン軸をスライドするボール保持器とからなるボールスプラインを採用する。上可動盤と下可動盤とをスプライン軸によって連結するようにし、ボール保持器を固定盤に対して設けるようにする。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、異物の挟み込みを精度良く検出して金型を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る竪型射出成形機の正面図である。
図2】第2の実施形態に係る竪型射出成形機の正面図である。
図3】第1の実施形態に係る竪型型締装置の上面図である。
図4】第2の実施形態に係る竪型型締装置の上面図である。
図5】比較例に係る竪型射出成形機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0013】
[第1の実施形態]
<竪型射出成形機>
第1の実施形態に係る竪型射出成形機1は、図1に示されているように、竪型型締装置2と、この竪型型締装置2の上部に設けられている射出装置3と、これらを制御する制御装置4と、を備えている。
【0014】
<竪型型締装置>
竪型型締装置2は、ベッド7に固定されている固定盤9と、この固定盤9の上方に設けられている上可動盤10と、ベッド7内に設けられている下可動盤11とを備えている。上可動盤10と下可動盤11は第1の実施形態では3本の棒状部材12、12、…で連結されている。棒状部材12、12、…については後で説明する。竪型型締装置2において下可動盤11と固定盤9の間には型締機構としてトグル機構14が設けられている。そして固定盤9の上にはターンテーブル15が設けられている。ターンテーブル15は、図3に示されているように中央の1本の棒状部材12を中心に回転するようになっている。ターンテーブル15は、ターンテーブル用サーボモータ25と、駆動プーリ26と、タイミングベルト27とからなる駆動機構によって駆動されるようになっている。
【0015】
トグル機構14は、図1に示されているようにボールねじ機構17と、このボールねじ機構17を駆動する型開閉モータ18とによって駆動されるようになっている。制御装置4は、型開閉モータ18を制御すると共にそのトルクを監視するようになっている。
【0016】
上可動盤10には1個の上側金型19が、そしてターンテーブル15には複数個の、この実施形態では2個の下側金型20、20が設けられている。ただし、図1において2個の下側金型120、20は作図上重なった配置になっているので、1個のみが示されている。図3の上面図には下側金型20、20が2個示されている。
【0017】
<棒状部材>
第1の実施形態において棒状部材12、12、…には、ボールスプライン12、12、…が採用されている。ボールスプライン12、12、…は、図1に示されているように、スプライン軸22、22、…と、このスプライン軸22、22、…をスライドするボール保持器23、23、…とから構成されている。ボール保持器23、23、…には、図には示されていないが内部に多数のボールが保持されている。これらボールの転動によってボール保持器23、23、…はスプライン軸22、22、…を滑らかにスライドするようになっている。固定盤9にボール保持器23、23、…が設けられており、上可動盤10と下可動盤11とがスプライン軸22、22、…によって連結されている。したがって、上可動盤10と下可動盤11は、固定盤9に対して摺動抵抗をほとんど受けること無くスライドすることになる。
【0018】
<射出装置>
射出装置3は、竪型型締装置2の上可動盤10の上に設けられている。射出装置3は、加熱シリンダ31と、加熱シリンダ31内に設けられているスクリュ32と、スクリュ32を駆動するスクリュ駆動機構33と、射出装置3全体を昇降する昇降装置35と、を備えている。射出装置3は、スクリュ32を回転して射出材料を溶融し、スクリュ32を軸方向に駆動して射出材料を射出するようになっている。
【0019】
<金型保護>
第1の実施形態に係る竪型射出成形機1は、型閉時および型締時において金型19、20の異物の挟み込みの有無を検出している。具体的には次のようにしている。予め正常な状態で金型19、20を型閉じし型締めして、そのときの型開閉モータ18のトルクを検出して制御装置4に記録する。つまり正常時の型閉時と型締時のトルクの変化パターン、つまり正常変化パターンを制御装置4に記録する。以後、成形サイクルを実施するとき、制御装置4は型閉時と型締時に型開閉モータ18のトルクを監視して正常変化パターンと比較する。正常変化パターンから型開閉モータ18のトルクが外れたら、例えば所定の値より大きくなったり、所定の割合より大きくなったりしたら異物の挟み込みが発生していると判断し、型開閉モータ18を停止する。これによって金型19、20を保護している。
【0020】
ところで型開閉モータ18が竪型型締装置2を型開閉するとき、棒状部材12、12、…と固定盤9との間の摺動抵抗が型開閉モータ18のトルクに影響する。つまり型開閉モータ18は摺動抵抗に抗して型開閉する必要があり、その分だけ型開閉モータ18のトルクを大きくする必要がある。摺動抵抗が大きいほどトルクに影響することになり、金型19、20の異物の挟み込みの検出の精度に影響する。第1の実施形態に係る竪型射出成形機1は、棒状部材12、12、…がボールスプライン12、12、…から構成されている。したがって、棒状部材12、12、…と固定盤9との間の摺動抵抗は非常に小さい。つまり、摺動抵抗が型開閉モータ18のトルクに与える影響はほとんど無視できる。したがって、金型19、20の異物の挟み込みの有無を精度良く検出することができる。
【0021】
[第2の実施形態]
<竪型射出成形機>
第2の実施形態に係る竪型射出成形機1Aは、図2に示されているように、竪型型締装置2Aと、この竪型型締装置2Aの上部に設けられている射出装置3と、これらを制御する制御装置4と、を備えている。射出装置3については第1の実施形態に係る竪型射出成形機1(図1参照)と同様に構成されているので、同じ部材について同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0022】
<竪型型締装置>
図2に示されている第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aも、一部の構成部材を除いて、第1の実施形態に係る竪型型締装置2と同様に構成されている。そこで同じ部材については同じ参照番号を付して説明を省略し、異なる部分だけ説明する。
【0023】
第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aは、まず型締機構が相違している。第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aの型締機構は、ボールねじ機構40と型開閉モータ18Aと回転伝達機構44と、から構成されている。ボールねじ機構40のボールナット42は下可動盤11に設けられ、そしてボールねじ41は固定盤9とボールナット42の間で回転自在に設けられている。型開閉モータ18Aは回転伝達機構44を介してボールねじ41を回転するようになっている。したがって、型開閉モータ18Aを駆動すると竪型型締装置2Aが型開閉する。なお、ボールナット42はロードセル43を介して下可動盤11に設けられているので、ロードセル43によって型締力が検出されるようになっている。
【0024】
第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aは、図4に示されているように、上可動盤10Aの形状、棒状部材12、12、…つまりボールスプライン12、12、…の本数も相違している。上可動盤10Aは略長方形になっており、4本のボールスプライン12、12、…が長方形の各頂点に配置されている。第1の実施形態ではこのようにボールスプライン12、12、…が配置されているので、ターンテーブル15Aも第1の実施形態と若干相違している。第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aのターンテーブル15Aは、図4に示されているように、回転軸46を中心に回転するようになっており、回転の中心にボールスプライン12は設けられていない。
【0025】
第1の実施形態に係る竪型型締装置2(図3参照)はボールスプライン12、12、…が3本であったのに対し、第2の実施形態ではこのようにボールスプライン12、12、…が4本になっている。つまり、1本分だけ摺動抵抗が大きくなっている。しかしながら、ボールスプライン12、12、…は、型開閉時における固定盤9の摺動抵抗がわずかしかないので、4本になったとしても摺動抵抗を無視することができる。つまり金型19、20の異物の挟み込みの検出の精度に影響を与えない。
【0026】
第2の実施形態に係る竪型型締装置2Aにおいて採用されている型締機構は、第1の実施形態におけるトグル機構14(図1参照)に比して、金型19、20への異物の挟み込みを精度良く検出できる。これを説明する。
【0027】
第1の実施形態に係る竪型型締装置2が採用しているトグル機構14は、屈伸状態によってトグル機構14の拡大率が異なり、型閉時や型締時に拡大率が大きくなる。そうすると、金型19、20の間に異物の挟み込みが発生しても、型閉時や型締時における大きな拡大率になるので型開閉モータ18におけるトルクの変化は小さい。したがって、異物の挟み込みの検出をするためには小さなトルクの変化を検出しなければならない。つまり検出精度は高くない。
【0028】
これに対して第2の実施形態の竪型型締装置2A(図2参照)が採用している、ボールねじ機構40と型開閉モータ18Aと回転伝達機構44とからなる型締機構では、拡大率は一定になっている。したがって、型閉時や型締時に金型19、20の間に異物の挟み込みが発生するとき、型開閉モータ18Aにおいてトルクの変化は比較的大きくなる。つまり、第2の実施形態においては、トルクの変化の検出は容易であり高い精度で金型19、20の異物の挟み込みを検出することができる。
【0029】
[比較例]
図5によって比較例に係る竪型射出成形機51を説明する。比較例に係る竪型射出成形機51において、第1の実施形態に係る竪型射出成形機1(図1参照)と同様に構成されている装置、あるいは同じ部材については、同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0030】
比較例に係る竪型射出成形機51が第1の実施形態に係る竪型射出成形機1と相違しているのは、竪型型締装置52において上可動盤10と下可動盤11とを連結している棒状部材55、55、…である。比較例に係る竪型型締装置52では、3本のタイバー55、55、…が上可動盤10と下可動盤11とを連結している。そしてタイバー55、55、…は固定盤9を貫通しており、固定盤9にはタイバー55、55、…を摺動するブッシュ57、57、…が設けられている。
【0031】
比較例に係る竪型射出成形機51は、型開閉時においてタイバー55、55、…とブッシュ57、57、…の間に摺動抵抗が生じる。つまりタイバー55、55、…と固定盤9との間に摺動抵抗が生じる。この摺動抵抗は第1の実施形態におけるボールスプライン12、12、…(図1参照)に比して大きい。したがって、比較例に係る竪型射出成形機51(図5参照)において、型開閉モータ18のトルクを監視して金型19、20の異物の挟み込みの有無を検出するとき、この比較的大きな摺動抵抗によって検出精度が低下する。
【0032】
[実験]
第2の実施形態に係る竪型射出成形機1A(図2参照)と、比較例に係る竪型射出成形機51(図5参照)とで、金型19、20の異物挟み込みの検出の精度を比較する実験を行った。
【0033】
<実験内容>
第2の実施形態に係る竪型射出成形機1Aと、比較例に係る竪型射出成形機51のそれぞれにおいて、下側金型20の代わりに高さ74.0mmの紙コップをターンテーブル15の上に置いた。そして上側金型19が紙コップにタッチする位置が型閉じ位置になるように竪型型締装置2A(図2参照)、52(図5参照)を調整した。また、型閉じ位置近傍において型開閉モータ18の回転速度が通常の10%の速度になるように設定した。つまり金型保護速度を10%に設定した。この条件で、型開閉モータ18のトルクを監視しながら型閉じを実施して異物の挟み込みを検出したときの紙コップの凹みを観察した。第2の実施形態に係る竪型射出成形機1Aでは紙コップの高さが72.8mm(1.2mm減)になったとき、そして比較例に係る竪型射出成形機51では紙コップの高さが72.0mm(2.0mm減)になったとき、それぞれ異物として検出された。
【0034】
金型保護速度を20%に設定して同様の実験をした。第2の実施形態に係る竪型射出成形機1Aでは紙コップの高さが72.6mm(1.4mm減)になったとき、そして比較例に係る竪型射出成形機51では紙コップの高さが70.7mm(3.3mm減)になったとき、それぞれ異物として検出された。
【0035】
金型保護速度を40%、60%、80%、100%に設定して同様の実験をしたところ、第2の実施形態に係る竪型射出成形機1Aではいずれも異物として検出された。つまり、紙コップの高さが72.2mm(1.8mm減)、71.6mm(2.4mm減)、71.1mm(2.9mm減)、70.8mm(3.2mm減)になったとき、それぞれ異物として検出され型開閉モータ18が停止した。しかしながら比較例に係る竪型射出成形機51ではいずれの設定においても異物として検出されず、型開閉モータ18は停止しなかった。
【0036】
第2の実施形態に係る竪型射出成形機1A(図2参照)は、比較例に係る竪型射出成形機51(図5参照)に比して、紙コップの凹みが小さいうちに金型19、20の異物の挟み込みの検出ができた。つまり異物の挟み込みの検出の精度が高く、金型19、20を適切に保護できることが確認できた。
【0037】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 竪型射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 制御装置
7 ベッド 9 固定盤
10 上可動盤 11 下可動盤
12 ボールスプライン 14 トグル機構
15 ターンテーブル 17 ボールねじ機構
18 型開閉モータ 19 上側金型
20 下側金型 22 スプライン軸
23 ボール保持器 25 ターンテーブル用サーボモータ
26 駆動プーリ 27 タイミングベルト
31 加熱シリンダ
32 スクリュ 33 スクリュ駆動機構
35 昇降装置 40 ボールねじ機構
41 ボールねじ 42 ボールナット
43 ロードセル 44 回転伝達機構
46 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5