(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064910
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】経机
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20240507BHJP
A47B 37/00 20060101ALI20240507BHJP
A47B 13/02 20060101ALI20240507BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A47G33/00 L
A47B37/00
A47B13/02
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173865
(22)【出願日】2022-10-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年8月31日にチラシ頒布、令和4年9月13日に西尾市勤労会館(愛知県西尾市平坂町山崎9-1)で、同14日に上越市市民プラザ(新潟県上越市土橋1914-3)で、同15日に千曲市総合観光会館(長野県千曲市上山田温泉2-12-10)で、同16日に犬山市南部公民館(愛知県犬山市羽黒摺墨11)で、同27日に名古屋文理大学文化(愛知県稲沢市正明寺3-114)で、同28日にかが交流プラザさくら(石川県加賀市大聖寺八間道)で、同29日に福井県産業会館(福井県福井市下六条町103)で展示・販売、令和4年9月22日に寺社用カタログ「みのはん」頒布
(71)【出願人】
【識別番号】504449859
【氏名又は名称】イワトー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098741
【弁理士】
【氏名又は名称】武蔵 武
(72)【発明者】
【氏名】松田 義孝
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NP07
3B053NQ01
3B053NQ06
3B053NR00
(57)【要約】
【課題】複数の用途に使用可能な経机を提供する。
【解決手段】四角い天板2と、その天板の上面の左右の端に設けられる筆返し3と、天板より小さい横幅に形成されていてその天板の裏面の左右の端に裏脇スペースを空けて逆さ凸状に突設される箱枠部4と、その箱枠部の下面の隅角部に配設される四本の脚5と、を有する経机1であって、脚を着脱自在に支持するための脚受け手段(第一雌ネジ部)を箱枠部の隅角部に設けて脚を着脱自在とし、一方、天板の左右の端の裏脇スペースにも脚受け手段と同じ脚受け手段(第二雌ネジ部)を形成し、そうして箱枠部の脚受け手段と、天板の脚受け手段に脚を択一的に取付け得るようにした。これにより、天板側の裏脇スペースに脚を取付けた場合に箱枠部の高さ分だけ全高が下がり、同時に左右の脚間が広がって安定感が増すため、華龍卓や御供机としても使用できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角い天板と、
その天板の上面の左右の端に設けられる筆返しと、
前記天板より小さい横幅に形成されていてその天板の裏面の左右の端に裏脇スペースを空けて逆さ凸状に突設される箱枠部と、
その箱枠部の下面の隅角部に配設される四本の脚と、を有する経机であって、
前記脚を着脱自在に支持するための脚受け手段を前記箱枠部の隅角部に設けて前記脚を着脱自在とし、
一方、前記天板の左右の端の前記裏脇スペースにも前記脚受け手段と同じ脚受け手段を形成し、
そうして前記箱枠部の前記脚受け手段と、前記天板の前記脚受け手段に前記脚を択一的に取り付け得るようにしたことを特徴とする経机。
【請求項2】
前記筆返しを天板に着脱自在に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の経机。
【請求項3】
前記筆返しを収納し得る大きさの引出しを前記箱枠部に出し入れ可能な状態に装着してなることを特徴とする請求項2記載の経机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として仏事に使われる経机に関する。
【背景技術】
【0002】
経机は、仏教の経典を置いたり、経文を読む際に用いられるものであり、例えば特許文献1に記載されているように、四角い天板と、その天板の上面の左右の端に設けられる筆返しと、前記天板より小さい横幅に形成されていてその天板の裏面の左右の端に裏脇スペースを空けて逆さ凸状に突設される箱枠部と、その箱枠部の下面の隅角部に配設される四本の脚と、からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仏事には上記した経机以外にも、例えば華龍、柄香炉、中啓などを置くための華龍卓や御供机も使用される。したがって、寺などの仏事を行う施設や仏壇を所有する一般家庭では、本来、経机の他に華龍卓や御供机を揃える必要があるが、これらは高価であるため、金銭的な負担が重くなる問題があった。
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は複数の用途に使用可能な経机を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため本発明は、請求項1に記載したように、
四角い天板と、
その天板の上面の左右の端に設けられる筆返しと、
前記天板より小さい横幅に形成されていてその天板の裏面の左右の端に裏脇スペースを空けて逆さ凸状に突設される箱枠部と、
その箱枠部の下面の隅角部に配設される四本の脚と、を有する経机であって、
前記脚を着脱自在に支持するための脚受け手段を前記箱枠部の隅角部に設けて前記脚を着脱自在とし、
一方、前記天板の左右の端の前記裏脇スペースにも前記脚受け手段と同じ脚受け手段を形成し、
そうして前記箱枠部の前記脚受け手段と、前記天板の前記脚受け手段に前記脚を択一的に取り付け得るようにした経机を提供する。
【0006】
また、請求項2に記載したように、前記筆返しを天板に着脱自在に取り付けるようにした請求項1記載の経机を提供する。
【0007】
また、請求項3に記載したように、前記筆返しを収納し得る大きさの引出しを前記箱枠部に出し入れ可能な状態に装着してなる請求項2記載の経机を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の経机は、箱枠部の下面隅角部に脚受け手段を設けて脚を着脱自在とし、一方、天板裏面の裏脇スペースに箱枠部と同じ脚受け手段を設けて脚を着脱しうるようにしたため、天板側の裏脇スペースに脚を取り付けた場合に箱枠部の高さ分だけ全高が下がり、同時に左右の脚間が広がって安定感が増すため、華龍卓や御供机としても使用可能になる。
また、請求項2に記載したように筆返しを天板の左右に着脱自在に取り付ければ、天板上面をフラットな状態に広げることができるため、華龍卓や御供机として使用する場合に都合がよい。
また、請求項3に記載したように筆返しを収納し得る大きさの引出しを箱枠部に装着すれば、筆返しの収納場所に困ることがなく、また、筆返しを紛失するおそれも殆ど無い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】脚を天板の裏脇スペースに付け替えて華龍卓として使用する状態を示す斜視図である。
【
図5】脚を天板の裏脇スペースに取り付けて華龍卓として使用する状態を示す正面図である。
【
図7】(a)は中央縦断面図、(b)は引出しを引き出した状態を示す中央縦断面図である。
【
図8】左半分が経机として使用する状態、右半分が華龍卓として使用する状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
経机1は、
図1、
図2に示したように四角い天板2と、その天板2の上面の左右の端に設けられる筆返し3,3と、天板2より小さい横幅に形成されていてその天板2の裏面の左右の端に裏脇スペース2aを空けて逆さ凸状に突設される箱枠部4と、その箱枠部4の下面の隅角部に配設される四本の脚5,5…と、からなる。
【0011】
前記天板2は、例えば横幅約600mm、奥行き約350mm、厚さ約20mmの四角い板であり、左右の端の上面に強磁性体(図示せず)が目立たない状態に埋め込まれている。
前記筆返し3は、例えば長さ約330mmで前記天板2上面の左右の端に配設されており、底面に図示しない磁石が埋め込まれている。この筆返し3は、底面の磁石が天板2の前記強磁性体に磁着する力で固定されており、したがって、筆返し3を磁石の磁力に抗する力で引っ張ることで
図2のように取り外すことができ、また、その場所に戻すことで簡単に磁着させうる。
【0012】
前記箱枠部4は、例えば横幅約470mm、奥行き約270mm、高さ約130mmで正面側が開放された箱形であり、天板2の裏面の左右の端に約65mm幅の裏脇スペース2aを空けて天板2に対して逆さ凸状に突設されている。なお、実施形態では、天板2の前記裏脇スペース2aに厚さ10mm程度の補強板2bが設けられている。
具体的に箱枠部4は、上面板40と下面板41と、その上面板40と下面板41の間の隅角部に立設した四本の枠支柱42,42…と、その枠支柱42,42…間の正面側を除く左右両側面と後面とに張られた装飾的な周面板43と、からなる。なお、箱枠部4は、上面板40を省略して枠支柱42,42…を天板2裏面に直に取り付けるようにしてもよい。
この箱枠部4の正面側の開口部44には、前後摺動可能な状態に上面開口状の引出し45が装着されている。かかる引出し45は内寸の横幅が約340mmに形成されており、
図2の想像線に示したように長さ約330mmの筆返し3,3を2本並べて収納しうる。
【0013】
前記脚5は、例えば長さ約560mmの正四角柱の各角部に45度の面取り部5aを形成した多角柱であり、その面取り部5aが例えば金色に色分けされている。この脚5の上面中央には、後述する脚受け手段に対応する雄ネジ軸5bが突設されている。
【0014】
しかして本発明の経机1は、箱枠部4を構成する下面板41の全隅角部に脚受け手段たる第一雌ネジ部6a,6a…を備えており、その第一雌ネジ部6aに前記脚5の雄ネジ軸5bが螺合しうる。
さらに本発明の経机1は、天板2裏面の前記裏脇スペース2aに脚受け手段たる第二雌ネジ部6b,6b…を備えており、その第二雌ネジ部6bにも前記脚5の雄ネジ軸5bが螺合しうる。
【0015】
以上の構成を有する経机1は、
図2の分解斜視図に示したように、天板2と箱枠部4が一体で、それ以外の要素は全て分解することができるため、例えば引出し45に筆返し3,3を収納し、脚5,5…を束ねたコンパクトな梱包形態で輸送することができる。
【0016】
この分解状態の経机1を組み立てる場合は、四本の脚5,5…の雄ネジ軸5bを箱枠部4の第一雌ネジ部6a,6a…に螺合させて取り付け(
図8左半分参照)、その後、天板2の上面左右に筆返し3,3を磁着させればよい。
なお、実施形態では、箱枠部4の隅角部に設けた枠支柱42のデザイン(色分けされた面取り部42a)と、脚5のデザイン(モチーフ)が統一されており、これにより
図4の正面図で示したように枠支柱42と脚5を視覚的に連続させて、実際より脚5が長く見えるようになっている。
【0017】
次に、経机1として使用していたものを華龍卓として使用する場合は、天板2の筆返し3を外して引出し45に収納し、箱枠部4の第一雌ネジ部6aにある脚5を天板2の第二雌ネジ部6bに付け替えればよい(
図8右半分参照)。これにより箱枠部4の高さ相当分天板2の位置が低くなり且つ左右の脚5,5の間隔が広くなって安定度が増し、また、天板2の上面も筆返し3の無いフラットな状態になるため、華龍、柄香炉、中啓などを置く華龍卓として使用することができる。
もちろん梱包された分解状態から直接華龍卓の形態に組み立ててもよく、また、華龍卓から経机1に変更することも上記と逆の行程で簡単に行える。
【0018】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では経机1をベースに説明したが、華龍卓をベースに据えて説明しても実質的には同じである。
また、実施形態では箱枠部4に引出し45を設けたが、そのような引出し45を設けず、例えば開口部44に観音扉状又は引戸状の扉を設けて箱枠部4の奥に筆返し3などを収納しうるようにしてもよい。
また、実施形態では天板2と箱枠部4の脚受け手段として、脚5側の雄ネジ軸5bに対応する第一雌ネジ部6aと第二雌ネジ部6bを設けたが、もちろんかかる脚受け手段は、脚5側の構造に応じて変更すればよい。例えば、脚5側の頂部に単純な丸軸が突設されている場合は、その丸軸が嵌まりうる丸孔がそれぞれの脚受け手段になる。
【符号の説明】
【0019】
1 …経机
2 …天板
2a …裏脇スペース
2b …補強板
3 …筆返し
4 …箱枠部
40 …上面板
41 …下面板
42 …枠支柱
42a …面取り部
43 …周面板
44 …開口部
45 …引出し
6a …第一雌ネジ部
6b …第二雌ネジ部
5 …脚
5a …面取り部
5b …雄ネジ軸