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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064912
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】カートロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240507BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B25J5/00 A
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175990
(22)【出願日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022172750
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3C707
3F022
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS09
3C707BS26
3C707CS08
3C707FS01
3C707HS27
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT04
3C707WA16
3F022AA15
3F022EE04
3F022EE05
3F022EE09
3F022FF01
3F022LL07
3F022LL38
3F022MM03
3F022MM04
3F022MM11
3F022MM36
(57)【要約】
【課題】アームを動作させるアクチュエータの負荷を軽減すること。
【解決手段】実施形態に係るカートロボットは、荷物を載置可能なカートを有する走行車体と、カートのフレームに設けられ、荷物の受け渡しを行うアームをカートの内側に固定する固定フレームとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載置可能なカートを有する走行車体と、
前記カートのフレームに設けられ、前記荷物の受け渡しを行うアームを前記カートの内側に固定する固定フレームと
を備える、カートロボット。
【請求項2】
前記固定フレームは、
人間の肩幅に基づいて設計された間隔で複数の前記アームを固定する、請求項1に記載のカートロボット。
【請求項3】
前記固定フレームは、
人間の肩の高さに基づいて設計された高さで前記アームを固定する、請求項1に記載のカートロボット。
【請求項4】
前記固定フレームは、
前記走行車体の進行方向からみて片側に設けられ、前記荷物の受け渡しを逆側で行うように前記アームを固定する、請求項1に記載のカートロボット。
【請求項5】
前記固定フレームは、
前記フレームの角部に固定される第1支柱と、前記走行車体の進行方向からみて前記フレームの中心から前記角部側に固定される第2支柱とによって構成され、前記第1支柱と、前記第2支柱との先端側に前記アームを固定する、請求項4に記載のカートロボット。
【請求項6】
前記走行車体は、
前記アームで前記荷物を吸着させるコンプレッサーを前記固定フレームの下側に搭載する、請求項4に記載のカートロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、カートロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の所定の集荷計画に基づいて自律走行し、棚からアームによって荷物を取り出すカートロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-68557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カートロボットは、アームを動作させるアクチュエータを備える。しかし、従来の技術は、倉庫等でカートロボットを稼働させる場合に、長いアームが必要となり、アクチュエータに高い負荷がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アームを動作させるアクチュエータの負荷を軽減することができるカートロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るカートロボットは、荷物を載置可能なカートを有する走行車体と、前記カートのフレームに設けられ、前記荷物の受け渡しを行うアームを前記カートの内側に固定する固定フレームとを備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、アームを動作させるアクチュエータの負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るカートロボットの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るカートロボットの模式図である。
図3図3は、実施形態に係るコンプレッサーの配置例を示す模式図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理装置の制御系ブロック図である。
図5図5は、実施形態に係るカートロボットの動作処理を説明するフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係るカートロボットの他の例を示す斜視図である。
図7図7は、情報処理装置として機能するコンピュータハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係るカートロボットの斜視図である。例えば、カートロボット52は、ピッキングシステムが適用された倉庫のフロアにおいて稼働する。
【0011】
ピッキング作業とは、必要な品物(荷物)を集める(ピックアップする)仕事のことである。ピッキングスタッフは、倉庫内の品物を出荷するために欠かせない役割を持つため、あらゆるジャンルの倉庫に配置される。なお、ピッキングスタッフは、アームを有するロボットである。本実施形態では、ピッキングスタッフは、カートロボット52である。ピッキングスタッフは、人型ロボットを含む。
【0012】
例えば、予め指示されたリストや注文書を基に、指定の品物を集め、まとめたものを検品担当者や梱包担当者へと受け流していくのがピッキングスタッフの主な仕事である。倉庫規模が大きいほど、保管されている品物の種類や数も膨大で、そのため、多数のピッキングスタッフがフロア内を移動することになる。
【0013】
図1に示すように、カートロボット52は、走行車体10と、アーム11と、センサ12と、固定フレーム20と、情報処理装置15(図4参照)を備える。走行車体10は、たとえば、上方が開口する箱形に形成されたカート10bを有する。走行車体10には、複数の駆動輪10aが設けられる。各駆動輪10aには、モータがそれぞれ設けられる。各駆動輪10aの回転速度は、モータによって調整される。走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、前後方向、左右方向、および、斜め方向に走行可能である。また、走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、360度回転可能である。
【0014】
アーム11は、荷物の受け渡しを行う。アーム11の基端部が、固定フレーム20を介して走行車体10に固定される。アーム11は、走行車体10に対して2つ設けられる。すなわち、カートロボット52は、2本のアーム11を備える双腕ロボットである。なお、アーム11の数は、2本に限定されるものでない。
【0015】
アーム11は、複数の棒部11aと、複数の関節部11bを有する。関節部11bは、たとえば、2つの棒部11aとの間に設けられ、2つの棒部11aを相対的に回転可能とする。各関節部11bは、モータ等のアクチュエータを有する。各関節部11bによって、棒部11aが相対的に回転することで、アーム11は、伸縮し、360度回転可能となる。
【0016】
アーム11の先端部には、荷物を把持する把持部11cが設けられる。把持部11cは、たとえば、吸着盤であり、後述するコンプレッサー30による吸引によって荷物を把持する。なお、把持部11cは、いわゆるロボットハンドであってもよい。
【0017】
カートロボット52は、二つのアーム11それぞれに設けられた把持部11cによって荷物を把持する。つまり、カートロボット52は、二点で荷物を把持することで、荷物の受け渡しを安定して行うことができる。
【0018】
センサ12は、走行車体10に取り付けられる。センサ12は、走行車体10の前方側に設けられる。たとえば、センサ12は、走行車体10の前端に設けられる。センサ12は、走行車体10の上端に設けられる。センサ12は、走行車体10よりも上方に突出するように設けられてもよい。センサ12は、走行車体10の左右方向の中央付近に取り付けられる。
【0019】
センサ12は、最高性能のカメラ、ソリッドステートLiDAR(light detection and ranging)、マルチカラーレーザ同軸変位計、又はその他様々なセンサの少なくとも1つを含む。また、センサ12は、振動計、サーモカメラ、硬度計、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、および、ロングテールインシデントAI dataなどを含んでもよい。センサ12は、複数のセンサを含んでもよい。
【0020】
センサ12は、上記の情報のほかに、画像、距離、振動、熱、匂い、色、音、超音波、紫外線、又は赤外線等を検知してもよい。他にセンサ12が検知する情報としては、カートロボット52の重心移動、カートロボット52が設置される床の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、床の上下横斜め傾き角度の検知、水分量の検知等が挙げられる。カートロボット52は、これらの検知を例えばナノ秒毎に実施する。計測された各情報は、カートロボット52を制御するための情報として利用される。
【0021】
ところで、従来では、倉庫においてアームが比較的長いカートロボットが稼働しており、アームが長い分だけ、アームを動かすアクチュエータに高い負荷がかかっていた。また、倉庫においては、ピッキング作業を行うピッキングスタッフによる作業を前提として人間が作業しやすいように棚などを設計している場合がある。このような倉庫では、カートロボットも人間用に設計された棚にあわせて設計することで、ピッキング作業の効率化を図ることができる。
【0022】
このような背景のもと、実施形態に係るカートロボット52は、固定フレーム20を介してアーム11をカートに固定することとした。つまり、カートロボット52は、固定フレーム20でアーム11を固定する高さやアーム11間の幅等を調整することで、アーム11の長さを従来のアームに比べて短くすることができる。
【0023】
固定フレーム20は、カート10bのフレームに設けられ、荷物の受け渡しを行うアーム11をカートの内側に固定する。なお、カートの内側とは、上面視でアーム11の基端部がカート10bの外枠よりも内側に位置することを指す。
【0024】
図1に示すように、固定フレーム20は、走行車体10の進行方向(前方向)からみて片側に設けられ、荷物の受け渡しを逆側で行うようにアーム11を固定する。
【0025】
すなわち、図1に示す例では、走行車体10の進行方向(前方向)からみて右側に固定フレーム20が設けられ、アーム11は、左側にある棚(不図示)にある荷物を取り出してカートに入れることになる。
【0026】
つまり、カートロボット52は、固定フレーム20をカート10bの片側に設けるともに、その逆側でアーム11を作業させることになる。これにより、アーム11で荷物を背負うことなく、カート10bの荷物を出し入れすることができる。
【0027】
また、このような構成により、カートロボット52は、必要最低限のアーム11を設定できるとともに、固定フレーム20とは逆側の棚にある荷物(商品、製品等を)を効率的にカートに取り込むことができる。
【0028】
また、固定フレーム20を介して走行車体10にアーム11を固定することため、市販の安価なアームを用いることができる。つまり、走行車体10用に設計されたアームを用いる必要がないので、アーム11に関するコストを削減することができる。
【0029】
固定フレーム20は、第1支柱20aと、第2支柱20bと、固定棒20cと、補強棒20dとを備える。第1支柱20aと、第2支柱20bとは、固定棒20cおよび固定棒20cに固定されるアーム11を支持する棒状の部材である。
【0030】
第1支柱20aは、カート10bのフレームの角部に固定され、第2支柱20bは、走行車体10の進行方向からみてフレームの中心から角部側に固定される。なお、角部とは、フレームの角(四隅)およびその周囲を指す。すなわち、第1支柱20aは、カート10bのフレームの角に固定されてもよく、あるいは、その角の周囲に固定されてもよい。
【0031】
また、第1支柱20aおよび第2支柱20bは、後述するようにカート10bの内側に傾斜した状態で、カートのフレームに対して上側に向けて固定され、先端に固定棒20c、補強棒20dが連結される。
【0032】
固定棒20cは、アーム11が固定される棒状の部材である。上述のように、固定棒20cは、第1支柱20aおよび第2支柱20bによって支持されるとともに、補強棒20dによってその状態が補強される。
【0033】
例えば、固定棒20cには、クランプなどの所定の固定部材によってアーム11が固定される。補強棒20dは、第1支柱20a、第2支柱20b、および、固定棒20cの強度を補強する棒状の部材である。
【0034】
補強棒20dは、水平に設けられ、2対の第1支柱20a、第2支柱20bおよび固定棒20cを固定する。これにより、アーム11が重い荷物を把持する場合であっても、安定した状態でアーム11を動作させることができる。
【0035】
なお、図1の例では、2対の第1支柱20a、第2支柱20bおよび固定棒20cに対して、2対の補強棒20dで補強している場合を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1支柱20a、第2支柱20bに加え、さらに支柱を追加するようにしてもよく、補強棒20dを追加、あるいは、削減するようにしてもよい。
【0036】
例えば、第1支柱20a、第2支柱20b、固定棒20cおよび補強棒20dは、それぞれ金属性の棒状であるが、プラスチックや樹脂によって形成された部材であってもよい。また、第1支柱20a、第2支柱20bは、例えば、クランプやねじ止め等によって、カート10bに対して取り外し可能に固定されるようにしてもよく、溶接等によってカート10bに固定されるようにしてもよい。なお、固定フレーム20は、カート10bと一体に形成されるようにしてもよい。また、後述するように、補強棒20dについては、必ずしも必要ではない。
【0037】
つづいて、図2を用いて、アーム11を固定する固定する高さと、アーム11の固定間隔について説明する。図2は、実施形態に係るカートロボット52の模式図である。図2では、左右方向から見たカートロボット52を簡略化して示す。
【0038】
図2に示すように、カートロボット52では、固定フレーム20によってアーム11を固定する固定高さh、アーム11の固定幅wが調整することができる。例えば、固定幅wおよび固定高さhはそれぞれピッキング作業を行う作業員の平均的な肩の高さ、肩幅といった人間の最大公約数に基づいて設計された値である。
【0039】
より詳しくは、固定幅wは、作業員の平均的な肩幅の最大公約数に応じて設定される値である。例えば、固定幅wは、50センチ程度である。また、固定高さhは、作業員の平均的な肩の高さの最大公約数に設定される値である。例えば、固定高さhは、作業員が立ち姿勢で作業を行うことを前提とした場合、150センチ程度である。なお、例えば、作業員が前傾姿勢で作業を行うことを前提とした場合には、固定高さhは、例えば、90センチ程度である。
【0040】
なお、作業員が直立してピッキング作業を行うことを想定した場合と、作業員が前傾姿勢でピッキング作業を行うことを想定した場合とでは、固定高さhは異なる値に設計される。
【0041】
特に、作業員が前傾姿勢でピッキング作業を行うことを想定して棚等を設計している場合には、固定幅wは作業員の前傾姿勢に応じた値で設計される。つまり、この場合には、固定フレーム20によってアーム11が作業員の前傾姿勢を模した形状となる。
【0042】
特に、カートロボットを導入することを想定していない旧式の倉庫においては、ピッキング作業を行う作業員にあわせて倉庫が設計されている。これに対し、実施形態に係るカートロボット52は、作業員にあわせて設計された旧式の倉庫において、作業員と同様の作業感で作業を行うことができるので、作業効率の向上が期待される。
【0043】
上述のように、カートロボット52は、走行車体10に対して固定フレーム20およびアーム11が左右非対称に設置される。そのため、例えば、アーム11で重い荷物を持ちあげる場合に、カートロボット52が姿勢を崩すおそれがある。
【0044】
これに対し、カートロボット52は、例えば、吸着盤である把持部11cが設けられ、把持部11cは、コンプレッサーによって作動する。つまり、把持部11cに吸着盤を採用する場合には、コンプレッサーをカートロボット52に搭載することになるが、カートロボット52では、コンプレッサーをバランサーとして利用する。
【0045】
図3は、実施形態に係るコンプレッサーの配置例を示す模式図である。図3に示すように、カートロボット52は、固定フレーム20の下側にコンプレッサー30を配置する。つまり、この場合には、アーム11で重たい荷物を把持した場合であっても、コンプレッサー30がバランサーとして機能するため、カートロボット52の横転等を防ぐことができる。
【0046】
なお、ここでは、コンプレッサー30をバランサーとして活用する場合について示しているが、バランサーは、カートロボット52のバッテリーであってもよく、その他、おもりを搭載するようにしてもよい。
【0047】
次に、図4を用いて、情報処理装置15(制御装置)の構成例について説明する。情報処理装置15(制御装置)は、図4に示すように、情報取得部150と、制御部152と、情報蓄積部154とを備える。図4は、実施形態に係る情報処理装置15の制御系ブロック図である。
【0048】
情報取得部150は、センサ12によって検知された情報を取得する。情報取得部150は、倉庫内センサ(不図示)によって検知された情報を取得する。情報取得部150は、カートロボット52の動作を指示する指令装置などから送信される信号を取得する。
【0049】
制御部152は、指令装置などから送信され、情報取得部150によって取得された信号に基づいて、アーム11、および、走行車体10の動作を制御する。
【0050】
制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAI(Artificial intelligence)とを用いて、アーム11の動作を制御する。制御部152は、アーム11の各関節部11bのモータを制御する。制御部152は、センサ12、および、倉庫内センサによって検知された情報を用いて、アーム11の動作を制御する。
【0051】
また、制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAIとを用いて、走行車体10の動作を制御する。制御部152は、走行車体10の各駆動輪10aのモータを制御する。制御部152は、センサ12、および、倉庫内センサによって検知された情報を用いて、走行車体10の動作を制御する。
【0052】
情報蓄積部154には、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子などの記憶媒体によって実現される。情報蓄積部154は、制御部152によって実行される各種のプログラムを記憶する。情報蓄積部154は、情報取得部150によって取得された情報を記憶する。
【0053】
次に、実施形態に係るカートロボット52の動作処理について図5のフローチャートを用いて説明する。図5は、実施形態に係るカートロボット52の動作処理を説明するフローチャートである。
【0054】
情報処理装置15は、センサ12によって検知された情報を取得する(S100)。情報処理装置15は、取得した各種情報に基づいて、アーム11の動作、および、走行車体10の動作を制御する(S101)。
【0055】
ところで、上述したカートロボット52は、固定フレーム20の強度を補強棒20dによって補強する場合について説明したが、これに限定されるものではない。図6に示すように、補強棒20dは必ずしも必須ではない。
【0056】
図6は、実施形態に係るカートロボットの他の例を示す斜視図である。図6に示すように、カートロボット53では、固定フレーム20がカート10bの前後方向のフレームに固定され、固定フレーム20の先端にアーム11が固定される。
【0057】
固定フレーム20は、それぞれカート10bに向かって傾斜した状態で固定される。この際、固定フレーム20の先端の高さ、固定フレーム20の先端間の距離は、例えば、作業員の平均的な肩の高さ、作業員の平均的な肩幅に基づいて設計される。
【0058】
つまり、カートロボット53においても、比較的短いアーム11を採用することができ、さらに、作業員の姿勢を模した状態でアーム11を動作させることができるので、アクチュエータの負荷の軽減、および、ピッキング作業の効率化を図ることができる。
【0059】
カートロボット52、53は、走行車体10と、固定フレーム20とを備える。走行車体10は、荷物を載置可能なカート10bを有する。固定フレーム20は、カート10bのフレームに設けられ、荷物の受け渡しを行うアーム11をカート10bの内側に固定する。
【0060】
これにより、カートロボット52、53は、固定フレーム20の分だけ、アーム11を短くすることができるので、アーム11を動作させるアクチュエータの負荷を軽減することができる。また、カートロボット52、53は、カート10bの形状に依存しない汎用性の高いアームを用いることができるので、アーム11に関するコストを削減することができる。
【0061】
また、固定フレーム20は、人間の肩幅に基づいて設計された間隔で複数のアームを固定し、人間の肩の高さに基づいて設計された高さでアームを固定する。これにより、カートロボット52は、倉庫等におけるピッキング作業の効率化を図ることができる。
【0062】
また、固定フレーム20は、走行車体10の進行方向からみて片側に設けられ、荷物の受け渡しを逆側で行うようにアーム11を固定する。これにより、カートロボット52は、アーム11で荷物を背負うことなく、カート10bの荷物を出し入れすることができる。
【0063】
固定フレーム20は、フレームの角部に固定される第1支柱20aと、走行車体10の進行方向からみてフレームの中心から角部側に固定される第2支柱20bとによって構成される。これにより、カートロボット52は、バランスよくアーム11を搭載することができる。
【0064】
また、走行車体10は、固定フレームの下側にアーム11の吸着盤を動作させるコンプレッサー30を搭載する。これにより、カートロボット52は、コンプレッサー30をバランサーとして活用することができるので、転倒を抑制することができる。
【0065】
図7は、情報処理装置15として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、および/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつか又は全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0066】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、およびグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、およびICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブおよびDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230およびキーボードのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0067】
CPU1212は、ROM1230およびRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0068】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/又はプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0069】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、および/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0070】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0071】
例えば、通信がコンピュータ1200および外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0072】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0073】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0074】
上記したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0075】
本実施形態におけるフローチャートおよびブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表してよい。特定の段階および「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、および他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0076】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0077】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでもよい。
【0078】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0079】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0080】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0081】
10 走行車体
10a 駆動輪
10b カート
11 アーム
12 センサ
15 情報処理装置
20 固定フレーム
20a 第1支柱
20b 第2支柱
20c 固定棒
20d 補強棒
30 コンプレッサー
52,53 カートロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7