(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064916
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】アルコール感付与剤
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240507BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240507BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240507BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20240507BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L2/00 B
A23L2/52
A23L27/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022183727
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】窪田 友香
(72)【発明者】
【氏名】平山 大剛
【テーマコード(参考)】
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B047LB03
4B047LE01
4B047LF07
4B047LG06
4B047LG45
4B047LP01
4B047LP05
4B117LC02
4B117LC03
4B117LC14
4B117LG02
4B117LG18
4B117LK04
4B117LK06
4B117LL09
4B117LP01
(57)【要約】
【課題】 本発明は、加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、飲料用のアルコール感付与剤又は炭酸刺激感増強剤を提供し、加熱ショウガ抽出物を有効成分として、飲料に含有させることで、アルコール感を付与する方法又は炭酸刺激感を増強する方法を提供する。また、アルコール感が付与された飲料又は炭酸刺激感が増強された飲料を提供する。
【解決手段】 発明者らは、加熱ショウガ抽出物を飲料に添加することで、アルコール感付与効果又は炭酸刺激感増強効果があることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、飲料用アルコール感付与剤。
【請求項2】
ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、請求項1記載の飲料用アルコール感付与剤。
【請求項3】
加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、飲料用炭酸刺激感増強剤。
【請求項4】
ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、請求項3記載の飲料用炭酸刺激感増強剤。
【請求項5】
加熱ショウガ抽出物を有効成分として、飲料に含有させることを特徴とする、アルコール感付与方法。
【請求項6】
ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、請求項5記載のアルコール感付与方法。
【請求項7】
加熱ショウガ抽出物を有効成分として、飲料に含有させることを特徴とする、炭酸刺激感増強方法。
【請求項8】
ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、請求項7記載の炭酸刺激感増強方法。
【請求項9】
請求項1又は2記載のアルコール感付与剤を含む、アルコール感が付与されたアルコール度数1%以下の飲料。
【請求項10】
請求項3又は4記載の炭酸刺激感増強剤を含む、炭酸刺激感が増強されたアルコール度数1%以下の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用のアルコール感付与剤、炭酸刺激感増強剤、アルコール感付与方法、炭酸刺激感増強方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノンアルコール飲料や、アルコール度数が1%以下の微アルコール飲料の需要が高まっている。しかしノンアルコール飲料や微アルコール飲料は、アルコール飲料に比べてアルコールを含まない又は低アルコールのため、物足りないと感じる消費者が多く、また、アルコール飲料を飲むと、通常アルコールによって身体が温まるが、ノンアルコールや微アルコールの飲料は、体を温めるアルコールが無い又は少ないため、身体が温まらず、飲んでいると身体が冷えてしまうこともアルコール飲料との大きな差となっていた。そのため、ノンアルコールや微アルコールであっても、物足りなさを感じにくく、身体の温まりも感じることができるような、アルコール感を付与する添加剤等の開発が望まれている。例えば、特許文献1には、カプサイシン類と炭素数3~5の脂肪族1価アルコールとを含んでなるアルコール感が付与された非アルコール飲料が開示されている。
【0003】
また、加熱ショウガ抽出物としては、ショウガ乾燥物を120℃~250℃で湿熱加熱により加熱することにより得られる、ショウガオールをジンゲロールより多く含有させたショウガ加工物(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5670107号公報
【特許文献2】特許第5885153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、飲料用のアルコール感付与剤又は炭酸刺激感増強剤を提供し、加熱ショウガ抽出物を有効成分として、飲料に含有させることで、アルコール感を付与する方法又は炭酸刺激感を増強する方法を提供する。また、アルコール感が付与された飲料又は炭酸刺激感が増強された飲料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、加熱ショウガ抽出物を飲料に添加することで、アルコール感付与効果又は炭酸刺激感増強効果があることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]の態様に関する。
[1]加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、飲料用アルコール感付与剤。
[2]ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、[1]記載の飲料用アルコール感付与剤。
[3]加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、飲料用炭酸刺激感増強剤。
[4]ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、[3]記載の飲料用炭酸刺激感増強剤。
[5]加熱ショウガ抽出物を有効成分として、飲料に含有させることを特徴とする、アルコール感付与方法。
[6]ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、[5]記載のアルコール感付与方法。
[7]加熱ショウガ抽出物を有効成分として、飲料に含有させることを特徴とする、炭酸刺激感増強方法。
[8]ジンゲロールよりショウガオールを多く含む加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、[7]記載の炭酸刺激感増強方法。
[9][1]又は[2]記載のアルコール感付与剤を含む、アルコール感が付与されたアルコール度数1%以下の飲料。
[10][3]又は[4]記載の炭酸刺激感増強剤を含む、炭酸刺激感が増強されたアルコール度数1%以下の飲料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって加熱ショウガ抽出物を有効成分とする、飲料用のアルコール感付与剤又は炭酸刺激感増強剤を提供でき、加熱ショウガ抽出物を有効成分として、飲料に含有させることで、アルコール感を付与する方法又は炭酸刺激感を増強する方法を提供できる。また、アルコール感が付与された飲料又は炭酸刺激感が増強された飲料を提供でき、アルコール度数が1%以下の飲料であっても、摂取することで身体の温まりを実感でき、アルコール感や炭酸刺激感を感じられるようになり、物足りなさを軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の飲料用のアルコール感付与剤又は炭酸刺激感増強剤は、加熱ショウガ抽出物を有効成分として含有する。
【0010】
本発明で使用する加熱ショウガ抽出物は、ショウガ科植物を抽出前後に加熱して得られる抽出物であって、抽出法としては、超臨界抽出法、水蒸気蒸留法、溶媒抽出法等が例示でき、不織布、メッシュ等を用いたろ過、遠心分離等により、固液分離したショウガ抽出液を加熱処理してもよく、加熱処理後に抽出又は固液分離して液部を回収してもよい。濃縮及び/又は乾燥した、濃縮品や乾燥品が好ましく、ドラムドライ、エアードライ、スプレードライ、真空乾燥及び/又は凍結乾燥等により乾燥して、粉末化でき、一般的な賦形剤を使用できる。加熱ショウガ抽出物を含む製品としては、加熱ショウガ抽出物に、乳化剤を加えて乳化処理した液状の製品や、さらにデキストリン等の賦形剤を配合して、噴霧乾燥した粉末状の製品が例示でき、液体品であるジンジャーエキスNE(池田糖化工業株式会社製)、粉末品であるジンジャーエキスパウダーS、H又はE(池田糖化工業株式会社製)を使用できる。生の植物中又は未加熱のショウガ抽出物中では、ジンゲロール含有量よりショウガオール含有量の方がはるかに少ないことが知られているが、本発明では、抽出前後に加熱等の処理を行ってショウガオール含有量を高めた加熱ショウガ抽出物を有効成分としており、加熱ショウガ抽出物はジンゲロールよりショウガオールを多く含むのが好ましく、ショウガオールをジンゲロールの1.5倍以上含むのがより好ましく、2倍以上含むのがさらに好ましく、3倍以上含むのが特に好ましく、上限は特に限定されないが、15倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましい。ショウガオール含有量が高められれば特に限定されないが、製造方法として例えば、100~300℃、好ましくは120~250℃で加熱することで、ショウガオール含有量の高い加熱ショウガ抽出物を製造できる。加熱ショウガ抽出物中のショウガオール含有量は、1.0~25重量%が好ましく、1.5~22重量%がより好ましく、2.0~20重量%がさらに好ましい。
【0011】
前記乳化剤は、乳化能力を有する成分であれば特に限定されないが、例えば、アカシアガム、ガティガム、キサンタンガム、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム等の多糖類、カゼイン、大豆タンパク質等のタンパク質又はタンパク加水分解物、レシチン、酵素処理レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。乳化処理は、一般的な乳化方法で行うことができる。詳細には、乳化装置を用いて行うことができ、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、超音波乳化機、ホモミキサー、ホモディスパー等を例示でき、二種類以上の装置を組み合わせてもよい。
【0012】
本発明のアルコール感付与剤又は炭酸刺激感増強剤は、非アルコール飲料、微アルコール飲料等のアルコール度数が1%以下の飲料に、加熱ショウガ抽出物を有効成分として含有させることで、摂取後の身体の温まりを感じることができ、飲料に、アルコール感を付与できると共に、炭酸刺激感を増強できる。
【0013】
本発明の飲料は、アルコール感や炭酸刺激感を高めたい飲料であれば特に限定されないが、ノンアルコール又は微アルコールのビール、酎ハイ、スパークリングワイン等のアルコール度数が1%以下の発泡性飲料が好ましく、該飲料に対して、加熱ショウガ抽出物として、3.0ppm以上の添加が好ましく、3.5ppm以上の添加がより好ましく、4.0ppm以上の添加がさらに好ましく、また、30ppm未満の添加が好ましく、28ppm以下の添加がより好ましく、26ppm以下の添加がさらに好ましい。また、ショウガオールとして、0.45ppm以上の添加が好ましく、0.55ppm以上の添加がより好ましく、0.65ppm以上の添加がさらに好ましく、また、4.9ppm未満の添加が好ましく、4.7ppm以下の添加がより好ましく、4.5ppm以下の添加がさらに好ましい。
【実施例0014】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。