(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064919
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】多段循環の分離装置
(51)【国際特許分類】
B04C 5/26 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B04C5/26
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183756
(22)【出願日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】111141213
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518111379
【氏名又は名称】柯 世苑
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【弁理士】
【氏名又は名称】川成 渉
(72)【発明者】
【氏名】柯 世苑
【テーマコード(参考)】
4D053
【Fターム(参考)】
4D053AA03
4D053AB04
4D053BA04
4D053BA06
4D053BB01
4D053BC01
4D053BD04
4D053CD27
4D053CG10
4D053DA10
(57)【要約】
【課題】従来の混合物の分離に効果がないという問題点を解決する。
【解決手段】タンクと、複数個のサイクロンと、複数個の加圧ポンプと、パイプモジュールとを含む。前記タンクは上流端と下流端を有し、前記タンクの内部は複数個の仕切り板によって前記上流端から前記下流端に向かって排列するように原液室と複数個の処理液室が仕切りられる。前記複数個のサイクロンはそれぞれ少なくとも一個の排出口と少なくとも一個の回流口を有し、前記複数個のサイクロンの排出口は前記それぞれの複数個の処理液室に連通する。前記パイプモジュールは前記タンク、前記複数個のサイクロンと前記複数個の加圧ポンプに連結するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、複数個のサイクロンと、複数個の加圧ポンプと、パイプモジュールとを含み、前記タンクは上流端と下流端を有し、前記タンクの内部は複数個の仕切り板によって前記上流端から前記下流端に向かって排列するように原液室と複数個の処理液室が仕切りられ、前記複数個のサイクロンはそれぞれ少なくとも一個の排出口と少なくとも一個の回流口を有し、前記複数個のサイクロンの排出口は前記それぞれの複数個の処理液室に連通し、前記パイプモジュールは前記タンク、前記複数個のサイクロンと前記複数個の加圧ポンプに連結し、前記上流端に比較的近接する加圧ポンプによって前記タンク内の流体を対応するサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体は經前記サイクロンの排出口を経て対応する処理液室に輸入し、そして次の加圧ポンプによって次のサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体を漸次に前記下流端へ輸送し、比重が相対的に小さい流体は前記サイクロンの回流口を経て前記上流端へ輸送して前記タンク内に戻って循環を継続することを特徴とする多段循環の分離装置。
【請求項2】
前記それぞれの仕切り板はオーバーフロー孔を有し、いかなる隣接する二個の仕切り板の中に、前記下流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置は前記上流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置より高いことを特徴とする請求項1に記載の多段循環の分離装置。
【請求項3】
前記複数個の処理液室は前記上流端から前記下流端へ順序に従って第一処理液室、第二処理液室、第三処理液室と第四処理液室からなり、前記複数個のサイクロンは第一サイクロンの排出口を有して前記第二処理液室に位置合わせされ、また第二サイクロンの排出口を有して前記第三処理液室に位置合わせされ、さらに第三サイクロンの排出口を有して前記第四処理液室に位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載の多段循環の分離装置。
【請求項4】
前記パイプモジュールは給液管を有して連結管および前記原液室と連通し、前記パイプモジュールは他に排出管を有して前記連結管および前記第一処理液室と連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項5】
前記第一サイクロンの回流口は回流管に連結し、前記回流管において三方バルブが設けられることにより、回流の流体が前記原液室または前記第一処理液室に流入するのを切り換えて制御することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項6】
前記第二サイクロンの回流口の数は二個で、その内の一個の回流口は回流管によって前記原液室まで連通し、もう一個の回流口はもう一個の回流管によって前記第二処理液室まで連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項7】
前記第三サイクロンの回流口は回流管によって前記第二処理液室まで連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項8】
前記複数個の加圧ポンプは第一加圧ポンプを有して吸上げ管によって前記原液室に連通するとともに、輸送管によって前記第一サイクロンに連通し、また第二加圧ポンプを有してもう一個の吸上げ管によって前記第二処理液室に連通するとともに、もう一個の輸送管によって前記第二サイクロンに連通し、また第三加圧ポンプを有してさらにもう一個の吸上げ管によって前記第三処理液室に連通するとともに、さらにもう一個の輸送管によって前記第三サイクロンに連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項9】
他に固液分離機を含み、加圧ポンプは吸上げ管によって前記下流端に最も近接する処理液室に連通し、前記加圧ポンプは他に輸送管によって前記固液分離機に連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項10】
他に受入れタンクを含み、前記固液分離機は輸液管によって固、液を分離した後の液体を前記受入れタンクに輸入し、前記受入れタンクは回流管によって前記第三処理液室まで連通することを特徴とする請求項9に記載の多段循環の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置に関するもので、特に比重差を利用して混合液中の物質を分離する多段循環の分離装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
精油所のオイルタンクの掃除を例に挙げると、前記オイルタンク内は密閉空間であるため、仮に酸素濃度が18%vol(酸素が空気中における体積が18%より低い)より低くなると、作業員が前記オイルタンク内に居続けると低酸素症が生じるため、死亡などの意外事故が発生する虞がある。そのため、作業員を派遣しないで済むように、機械化設備をオイルタンク内に入れて油泥の掃除とオイルタンクの洗浄などの作業が必要である。
【0003】
図5に示されるように、それはオイルタンクの油泥の掃除方法として採用されている従来の機械化設備9である。前記従来の機械化設備9は原油タンク91、処理待ちタンク92と循環一時貯留タンク93を有し、前記原油タンク91内部には重油と軽油が内装され、そして軽油は重油の上方に浮いている。前記原油タンク91と前記処理待ちタンク92は輸送管94aによって連通し、前記処理待ちタンク92と前記循環一時貯留タンク93は輸送管94bによって連通し、前記循環一時貯留タンク93と前記原油タンク91は輸送管94cによって連通することにより、凡その回路として形成されている。
【0004】
他に、開閉弁95aと第一ポンプ96aは前記輸送管94aに設けられる。開閉弁95b、開閉弁95c、検査弁95dと第二ポンプ96bは全て前記輸送管94cに設けられる。その内に、前記開閉弁95bと前記第二ポンプ96bは前記循環一時貯留タンク93に比較的近接し、前記開閉弁95cは前記原油タンク91に比較的近接し、そして前記検査弁95dは前記開閉弁95bと前記開閉弁95cの間に位置される。加熱器97と逆止め弁95eは前記輸送管94aに設けられ、そして前記逆止め弁95eは前記加熱器97と前記処理待ちタンク92の間に位置される。輸送管94dの両端は前記輸送管94aに連通し、そして前記逆止め弁95eと前記加熱器97は前記輸送管94dの両端の間に位置され、開閉弁95fは前記輸送管94dに設けられる。逆止め弁95gも前記輸送管94cに設けられ、さらに前記開閉弁95cと前記検査弁95dの間に位置される。
【0005】
使用する時、先ず前記開閉弁95a、前記開閉弁95bと前記開閉弁95cを開け、そして前記開閉弁95fを閉め、前記原油タンク91内部の上方に位置される軽油を前記第一ポンプ96aによって洗浄物溶解のベクトルとして抽出し、そして前記輸送管94a、前記加熱器97と前記逆止め弁95eを流過し、前記洗浄物溶解のベクトルは約60℃まで加熱されることにより、前記処理待ちタンク92内の油泥を熱溶解することができるため、前記油泥の粘着性を降下させ、前記油泥は前記洗浄物溶解のベクトルによって前記処理待ちタンク92から簡単に持ち出される。前記洗浄物溶解のベクトルを加熱する必要がない実施例においては、前記開閉弁95fを開けなければならず、前記洗浄物溶解のベクトルを前記加熱器97から迂回して前記輸送管94dを流過することができる。
【0006】
その他に、前記循環一時貯留タンク93には真空ポンプ96cが設けられるため、前記循環一時貯留タンク93は前記真空ポンプ96cで真空引きすることにより、その内部を陰圧に形成させ、前記洗浄物溶解のベクトルと前記処理待ちタンク92内の油泥を混合液(以下、「原液」と称する)の形式として、前記輸送管94bを経て前記循環一時貯留タンク93に流入することができる。その後、前記原液は再び前記第二ポンプ96bによって抽出され、前記開閉弁95b、前記逆止め弁95gと前記開閉弁95cを流過して前記原油タンク91に輸入して貯蔵し、精錬の処理に用いることができる。
【0007】
このように繰り返し複数回を循環させると、前記検査弁95dを経て前記処理待ちタンク92内の油泥はすでに完全に掃除したかを確認することができる。これにより、前記処理待ちタンク92内の油泥を完全に掃除することができるだけではなく、さらに元々廃棄物として捨てようとする油泥を再び回収して精錬することができ、環境保護の理念に符合するとともに、収益を増やすこともできるため、実に一石二鳥である、
【0008】
また、中華民國公告第TW107126568A号において、原油タンクの底泥を処理する方法が掲示され、前記方法は6個の単独に操作できるステップが含まれる。(1)油泥前処理のステップ、それは油泥をろ過して均一化を行う前処理で、方法として先ず油泥の中にある粗大な固形物、例如大型の石塊、ねじ、鉄片などを先に除去し、それから油泥を予熱タンクに送り込んで先に予熱を行うことにより、油泥を流動の状態に形成させる。(2)サイクロン三相分離のステップ、それは前記油泥前処理のステップに引き続き、高温水蒸気をスクラブ剤として利用し、サイクロン三相分離機のサイクロン(Cyclone)槽内において油泥をスクラブして加熱することにより、炭化水素を溶解して浮遊させ、さらに廃水を蒸発してオイルガスを揮発させることにより、油、水、固体廃棄物とオイルガスは全て分離される。(3)オイルガス酸化燃焼のステップ、それは熱酸化燃焼装置(Thermal Oxidation Device)を利用し、前記サイクロン三相分離機から生じたオイルガスを抜取って収集した後、再び熱酸化法(Thermal Oxidation)でプロパンガスに連結した熱酸化燃焼装置によってそれを酸化したり燃焼(Combustion)したりする。(4)液体触媒浸出のステップ、前記サイクロン三相分離のステップで油と水を分離した後、残留される前記固体廃棄物に多孔性隙(Porous)を含んだ構造物、粘着性がとても高い炭化水素に対し、微小気泡浸出のステップを応用して液体触媒に合わせて、衝激法で粒径が20ミクロ(0.02mm)ほど小さい微小気泡は液体触媒を持ち運んで固体廃棄物の孔内に浸入し、多孔性隙の固体廃棄物の表面と孔内に残留される炭化水素と油分を全部浸出させる。(5)液体触媒回収のステップ、一組両段階の分子蒸留技術手段を含むことにより、液体触媒を回収した後、前記液体触媒浸出のステップに循環するように供給して再利用し、さらに分離して回収される原油に液体触媒を含ませない。(6)廃水処理のステップ、それは前記サイクロン三相分離のステップに引き続き、前記サイクロン三相分離機から生じた廃水に処理を行い、前記廃水処理のステップは精密な油水分離のステップ、活性炭吸着のステップ、陰陽イオン交換のステップを含むことにより、廃水の中に残留される炭化水素を全部除去し、そし放流水はまた回収して再利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中華民國公告第TW107126568A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の機械化設備9は、その輸送管とポンプなどの部材は浮遊異物を含んだ原液を長期にわたって循環して輸送しなければならないため、一部分の部材が破損したり故障したりしやすくなる。他に前記機械化設備9は浮遊異物を含んだ原液をベクトルとしているため、その不良かつ不潔な品質では工期と品質管理に影響を及ぼしてしまうなどの問題点があった。その他に、前記機械化設備9では前記処理待ちタンク92内の油泥を前記原油タンク91まで移動させるだけであって、あくまでも油泥を移動するだけで、油と泥の分離処置を行うことができず、そのために油泥の量は減ることなく、積めば積むほど多くなる一方で理想的ではない。
【0011】
また、上述した中華民國公告第TW107126568A号における原油タンクの底泥を処理する方法において、それに合わせて使用する設備構造は複雑で値段も高く、そして余分に液体触媒を添加して浸出処理を行い、それから再び一組両段階の分子蒸留技術手段を用いて液体触媒を回収するため、分離して回収した原油に液体触媒を含ませないことはできるが、却ってその施工作業のコストも高くなり、実に理想的ではない。
【0012】
上述した問題点を解決するため、本発明の第一の目的は多段循環の分離装置を提供し、無人化によるオイルタンクの掃除作業に応用する時、前記処理待ちタンク内の油泥の中の固体物質を分離することができるため、油泥が積めば積むほど多くなるという情況はなくなる。
【0013】
本発明の第二の目的は多段循環の分離装置を提供し、清澄液を利用して洗浄物溶解のベクトルの補充としているため、部材とパイプは浮遊異物を含んだ原液を長期にわたって循環して輸送することにより破損したり故障したりしにくくなる。
【0014】
本発明の第三の目的は多段循環の分離装置を提供し、その構造が簡単で組み立てやすいため、設備のコストを低く抑えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の多段循環の分離装置は、タンクと、複数個のサイクロンと、複数個の加圧ポンプと、パイプモジュールとを含み、前記タンクは上流端と下流端を有し、前記タンクの内部は複数個の仕切り板によって前記上流端から前記下流端に向かって排列するように原液室と複数個の処理液室が仕切りられ、前記複数個のサイクロンはそれぞれ少なくとも一個の排出口と少なくとも一個の回流口を有し、前記複数個のサイクロンの排出口は前記それぞれの複数個の処理液室に連通し、前記パイプモジュールは前記タンク、前記複数個のサイクロンと前記複数個の加圧ポンプに連結し、前記上流端に比較的近接する加圧ポンプによって前記タンク内の流体を対応するサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体は經前記サイクロンの排出口を経て対応する処理液室に輸入し、そして次の加圧ポンプによって次のサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体を漸次に前記下流端へ輸送し、比重が相対的に小さい流体は前記サイクロンの回流口を経て前記上流端へ輸送して前記タンク内に戻って循環を継続する。
【0016】
前記それぞれの仕切り板はオーバーフロー孔を有し、いかなる隣接する二個の仕切り板の中に、前記下流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置は前記上流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置より高い。このように、仮に前記下流端に比較的近接する処理液室内の流体の高さが高すぎると、左側の処理液室または原液室へオーバーフローすることにより、前記空間は過積載によって労働災害事故が生じるのを避けることができ、そして前記下流端の処理液室の中へ行けば行くほど、沢山の流体を累積することができるため、使用上の安全性と実用性などを高めることができる。
【0017】
前記複数個の処理液室は前記上流端から前記下流端へ順序に従って第一処理液室、第二処理液室、第三処理液室と第四処理液室からなり、前記複数個のサイクロンは第一サイクロンの排出口を有して前記第二処理液室に位置合わせされ、また第二サイクロンの排出口を有して前記第三処理液室に位置合わせされ、さらに第三サイクロンの排出口を有して前記第四処理液室に位置合わせされる。このように、前記原液室の中の流体を漸次的に多段階のサイクロンの分離処理を行うことができるため、分離の効果を高めることができる。
【0018】
前記パイプモジュールは給液管を有して連結管および前記原液室と連通し、前記パイプモジュールは他に排出管を有して前記連結管および前記第一処理液室と連通する。このように、簡単な構造で原液を前記タンク内に輸入し、さらに処理後の清澄液を前記タンク内から導出することができるため、コストを低く抑えるとともに、組み立てとメンテナンスの利便性を高めることができる。
【0019】
前記第一サイクロンの回流口は回流管に連結し、前記回流管において三方バルブが設けられることにより、回流の流体が前記原液室または前記第一処理液室に流入するのを切り換えて制御する。このように、前記回流の流体は需要に応じて前記原液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができる。
【0020】
前記第二サイクロンの回流口の数は二個で、その内の一個の回流口は回流管によって前記原液室まで連通し、もう一個の回流口はもう一個の回流管によって前記第二処理液室まで連通する。このように、前記第二サイクロンによって分離される清澄液は、一部分は前記原液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができ、もう一部分は前記第二処理液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができる。
【0021】
前記第三サイクロンの回流口は回流管によって前記第二処理液室まで連通する。このように、前記第三サイクロンによって分離される清澄液は前記第二処理液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができる。
【0022】
前記複数個の加圧ポンプは第一加圧ポンプを有して吸上げ管によって前記原液室に連通するとともに、輸送管によって前記第一サイクロンに連通し、また第二加圧ポンプを有してもう一個の吸上げ管によって前記第二処理液室に連通するとともに、もう一個の輸送管によって前記第二サイクロンに連通し、また第三加圧ポンプを有してさらにもう一個の吸上げ管によって前記第三処理液室に連通するとともに、さらにもう一個の輸送管によって前記第三サイクロンに連通する。このように、簡単な構造で原液に対して三段階のサイクロンの分離処理を行うことができるため、コストを低く抑えるとともに、組み立てとメンテナンスの利便性を高めることができる。
【0023】
他に固液分離機を含み、加圧ポンプは吸上げ管によって前記下流端に最も近接する処理液室に連通し、前記加圧ポンプは他に輸送管によって前記固液分離機に連通する。このように、原液中の固体を分離することができるため、除去するのに役立つとともに、分離の効果と操作の利便性などを高めることができる。
【0024】
他に受入れタンクを含み、前記固液分離機は輸液管によって固、液を分離した後の液体を前記受入れタンクに輸入し、前記受入れタンクは回流管によって前記第三処理液室まで連通する。このように、前記固液分離機によって分離される液体はさらにその内の一個の処理液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができるため、分離の効果と営業コストなどを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】
図2のAエリアにおける局部構造の拡大図である。
【
図4】本発明に係る実施例が従来の機械化設備と合わせて使用時の配置図である。
【
図5】従来のオイルタンクの油泥の掃除方法に採用された機械化設備の配置図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の上記およびその他の目的、特徴と利点をさらに明らかにかつ分かり易くするべく、下記のとおり本発明の実施例をもって、さらに図面を参照して詳しく説明する。他に、異なる図面において同じ符号を標示するものは同じものと見なし、その説明を省く。
【0027】
本発明の全文に述べる、方向性またはそれに近似する用語は、例えば「前」、「後」、「左」、「右」、「上(頂)」、「下(底)」、「内」、「外」、「側面」などは、主に添付の図の方向を指す。方向性またはそれに近似する用語は、本発明のさまざまな形態を説明および理解するためにのみ使用され、本発明を制限するためのものではない。
【0028】
本発明の全文に述べる、「一つ」との数量詞を使用するのは、便宜上であり、本発明の範囲の通常の意味を提供するためだけである。本発明では、一つまたは少なくとも一つを含むと解釈する必要がある。また、他の意味を明確に指していない限り、単一の概念には複数形も含まれる。
【0029】
本発明の全文で言及されている「結合」、「組み合わせ」、「組み立て」などの近似する用語には、主に、接続後に部材を損傷することなく、または接続後に部材を分離できないようにすることなく分離できる形式が含まれる。この分野で一般的な知識を有する人は、接続する部材の材料または組み立て要件に応じて選択できる。
【0030】
本発明の多段循環の分離装置は、混合物の中に比重が相対的に大きい(比較的重い)と比重が相対的に小さい(比較的軽い)の物質を分離することができ、混合物の中に比重が相対的に大きい物質は比重が相対的に小さい物質より重力の影響を受けやすく下へ沈むことを利用し、さらに比重が相対的に小さい物質は比重が相対的に大きい物質の上方に浮くという物理原理を利用し、複数個の段階で比重の異なる処理待ちの混合物を処理することができる。例えば、油と泥が混合する油泥、価値のある貴金属を含んだ混合物、異物含有の化学物、全て本発明の多段循環の分離装置を利用して分離処理を行うことができる。
【0031】
ここで注意すべきことは、本発明の構造と操作方法を説明するべく、以下は例を挙げて本発明の多段循環の分離装置を使用してオイルタンク内の油泥の掃除を行う場合(無人化によるオイルタンクの掃除)、油と泥との分離に関する応用を例として説明を行う。ただし、オイルタンクの掃除は本発明の唯一の応用ではなく、本発明は例えば廃棄物のリサイクルから価値のある貴金属の分離処理、鉱山採掘で鉱石から価値のある鉱物の精錬と濃縮に関する鉱物の分離処理、化学精製で混合物の中の異物を分離してその純度を高める精製処理などに応用することができる。
【0032】
図1、2に示されるように、本発明の多段循環の分離装置Ⅾの実施例において、多段循環の分離装置Ⅾはタンク1、複数個のサイクロン2、複数個の加圧ポンプ3とパイプモジュール4を含む。前記パイプモジュール4は前記タンク1、前記複数個のサイクロン2と前記複数個の加圧ポンプ3に連結する。
【0033】
前記タンク1は上流端1aと下流端1bを有する。前記タンク1は前記上流端1aにろ過器11を設け、前記タンク1内に輸入される流体の中の異物をろ過して除去することにより、破損の事故が生じるのを避けることができる。また、前記ろ過器11の掃除が簡単になるように、前記タンク1に清掃口12を設けることができる。
【0034】
前記タンク1の内部は複数個の仕切り板13によって原液室S1と複数個の処理液室S2が仕切りられ、前記原液室S1は前記上流端1aに最も近接し、そして前記原液室S1と前記複数個の処理液室S2は前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する。本実施例において、前記処理液室S2の数は四個からなることができ、しかしこれに限定されない。また、説明の上で以下においては四個の処理液室S2を前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する順序(即ち
図2に示される方向は左から右へ)に従って第一処理液室S21、第二処理液室S22、第三処理液室S23と第四処理液室S24と称する。言い換えれば、前記第一処理液室S21は前記原液室S1に最も近接する処理液室S2で、前記第二処理液室S22は前記上流端1aから数えて二個目の処理液室S2で、前記第三処理液室S23は前記上流端1aから数えて三個目の処理液室S2で、前記第四処理液室S24は前記下流端1bに最も近接する処理液室S2である。
【0035】
図2、3に示されるように、前記それぞれの仕切り板13は上方に比較的近接する部位にオーバーフロー孔131を開設することができ、そしていかなる隣接する二個の仕切り板13の内に前記下流端1bに比較的近接する仕切り板13のオーバーフロー孔131の位置は、好ましくは前記上流端1aに比較的近接する仕切り板13のオーバーフロー孔131の位置より高くなるため、前記下流端1bに比較的近接する処理液室S2内の流体の高さが仮に高すぎると、左側(
図2に示される方向から言えば)の処理液室S2または原液室S1へオーバーフローすることができるため、前記空間は過積載によって労働災害事故が生じるのを避けることができ、そして前記下流端1bの処理液室S2の中へ行けば行くほど、沢山の流体を累積することができる。また、前記タンク1に感知器14を設けることができ、前記感知器14は制御器と電気的接続し、そして前記原液室S1の中の液面の高さを感知するのに用いることができる。
【0036】
一方、再び
図1、2に示されるように、前記パイプモジュール4は連結管41および給液管42を有して前記連結管41および前記原液室S1と連通し、そして前記連結管41は開閉弁411を有し、前記連結管41の輸入端から流れてくる流体が前記連結管41の輸出端へ、または前記給液管42へ流れるのを制御するのに用いられる。前記給液管42は開閉弁421を設け、前記連結管41の開閉弁411を閉め、さらに前記給液管42の開閉弁421を開けることにより、前記給液管42によって前記流体を導引して前記ろ過器11を通過してから再び前記原液室S1に輸入する。前記パイプモジュール4は他に排出管43および前記排出管43を有して前記連結管41および前記第一処理液室S21に連通し、そして前記排出管43は開閉弁431を設けることができる。このように、その他の処理液室S2(前記第二処理液室S22、前記第三処理液室S23と前記第四処理液室S24)の中の流体は全て漸次に前記第一処理液室S21までオーバーフローし、さらに前記排出管43を経て前記連結管41に流入して排出され、前記原液室S1までオーバーフローすることなく、そして前記開閉弁431によって前記連結管41内の流体が前記第一処理液室S21に逆流するのを防止することができる。
【0037】
前記タンク1はまた前記原液室S1と前記第四処理液室S24に位置合わせる周壁においてそれぞれマンホール15を設けることにより、人員が出入りしたりまたは前記原液室S1や前記第四処理液室S24の内部空間を覗いたりするすることができ、そして前記それぞれのマンホール15はマンホールカバー16によって封じることができる。
【0038】
前記複数個のサイクロン2はそれぞれ少なくとも一個の排出口21と少なくとも一個の回流口22を有し、前記複数個のサイクロン2の排出口21はそれぞれ前記複数個の処理液室S2に連通することにより、前記サイクロン2に輸入される流体がサイクロン(cyclone)を経て分離された後、比重が相対的に大きい流体は放り出され、そして重力によって下へ沈み、前記排出口21を経て輸入対応する処理液室S2の中に輸入され、さらに比重が相対的に小さい流体は前記回流口22を経て前記上流端1aに向かって前記タンク1内まで輸送されて循環を継続する。
【0039】
本実施例において、前記複数個のサイクロン2は前記タンク1に組み立てることができ、そしてそれぞれは対応するする処理液室S2の上方に位置合わせされることにより、前記排出口21は対応する処理液室S2の中に挿入することができるため、流体を確実に輸入することができる。前記回流口22は前記タンク1の外に露出されるため、管を接続するのに役立つ。即ち、前記パイプモジュール4は複数個の回流管44を有することができ、前記それぞれの回流管44の一端は前記それぞれのサイクロン2の回流口22まで連通し、もう一端は前記上流端1aに向かってその内の一個の処理液室S2または前記原液室S1まで連通することができる。
【0040】
制限を設けないが、例えば本実施例において前記サイクロン2の数は選択的に三個からなることができる。そして、同様に説明する上で以下においては前記三個のサイクロン2を前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する順序(即ち
図2に示される方向は左から右へ)に従って、第一サイクロン2a、第二サイクロン2bと第三サイクロン2cと称する。言い換えれば、前記第一サイクロン2aは前記上流端1aに最も近接するサイクロン2で、前記第二サイクロン2bは前記上流端1a数えて二個目のサイクロン2で、前記第三サイクロン2cは前記下流端1bに最も近接するサイクロン2である。
【0041】
また、前記第一サイクロン2aの排出口21は前記第二処理液室S22に位置合わせされ、さらに前記第一サイクロン2aの回流口22に連結される回流管44において三方バルブ441が設けられることにより、前記三方バルブ441の切換えによって回流の流体が前記原液室S1または前記第一処理液室S21に流入するのを制御することができる。その他に、本実施例において前記第二サイクロン2bの排出口21と回流口22の数は選択的にそれぞれ二個からなり、前記二排出口21は前記第三処理液室S23に位置合わせされ、そして前記第二サイクロン2bの二個の排出口21の孔径はそれぞれ前記第一サイクロン2aの排出口21の孔径より小さく、前記第二サイクロン2bのその内の一個の回流口22は回流管44によって前記原液室S1まで連通し、もう一個の回流口22はもう一個の回流管44によって前記第二処理液室S22まで連通することができる。また、前記第三サイクロン2cの排出口21は前記第四処理液室S24に位置合わせされ、前記第三サイクロン2cの排出口21の孔径も前記第一サイクロン2aの排出口21の孔径より小さく、前記第三サイクロン2cの回流口22は回流管44によって前記第二処理液室S22まで連通することができる。
【0042】
前記複数個の加圧ポンプ3は前記原液室S1または前記処理液室S2の中の流体を抜取るのに用いられ、前記加圧ポンプ3の数は少なくとも前記サイクロン2の数とは同じである。本実施例において、前記加圧ポンプ3の数は四個からなることができ、そして説明する上で以下においては前記四個加圧ポンプ3を前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する順序(即ち
図2に示される方向は左から右へ)に従って、第一加圧ポンプ3a、第二加圧ポンプ3b、第三加圧ポンプ3cと第四加圧ポンプ3dと称する。
【0043】
また、前記第一加圧ポンプ3aは前記パイプモジュール4の吸上げ管45を利用して前記原液室S1に連通することができ、さらに前記パイプモジュール4の輸送管46を利用して前記第一サイクロン2aに連通することにより、前記第一加圧ポンプ3aの操作によって、前記原液室S1の中の流体を前記第一サイクロン2aまで送り出して第一段階のサイクロンの分離処理を行うことができる。同じように、前記第二加圧ポンプ3bはもう一個の吸上げ管45を利用して前記第二処理液室S22に連通することができ、さらにもう一個の輸送管46を利用して前記第二サイクロン2bに連通することにより、前記第二加圧ポンプ3bの操作によって、前記第二処理液室S22の中の流体を前記第二サイクロン2bまで送り出して第二段階のサイクロンの分離処理を行うことができる。前記第三加圧ポンプ3cはさらにもう一個の吸上げ管45を利用して前記第三処理液室S23に連通することができ、さらにもう一個の輸送管46を利用して前記第三サイクロン2cに連通することにより、前記第三加圧ポンプ3cの操作によって、前記第三処理液室S23の中の流体を前記第三サイクロン2cまで送り出して第三段階のサイクロンの分離処理を行うことができる。また、前記第二加圧ポンプ3bと前記第三加圧ポンプ3cに連結される吸上げ管45において好ましくは開閉弁451を設けることにより、注出するか否かを制御するのに用いることができる。
【0044】
また、本実施例の前記それぞれの仕切り板13には全て前記オーバーフロー孔131が設けられるため、前記第一加圧ポンプ3aに故障が生じる場合、前記原液室S1の中の流体は例え前記第一サイクロン2aまで送り出すことができなくても、積み重ねて前記オーバーフロー孔131の高さまで達した時、オーバーフローして前記第一処理液室S21の中に進入することができる。その他に、前記第二加圧ポンプ3bまたは/および前記第三加圧ポンプ3cに故障が生じる場合、例え流体を前記下流端1bに向かって送り出すことができなくても、隣接するオーバーフロー孔131の高低差の設計を利用して、予定されるサイクロンの分離処理を行っていない流体は前記下流端1bに向かってオーバーフローすることなく、漸次的に前記上流端1aに向かってオーバーフローするだけで、最後には前記原液室S1に最も近接する処理液室S2(前記第一処理液室S21)までオーバーフローし、さらに前記排出管43を経て前記連結管41に流入して排出され、前記原液室S1までオーバーフローすることはない。
【0045】
本実施例の多段循環の分離装置Ⅾは、好ましくは撹拌器5、固液分離機6と受入れタンク7を有する。前記撹拌器5は前記タンク1に組み立てることができ、前記第四処理液室S24内の流体が均一化になるのを撹拌するのに用いることができる。前記第四加圧ポンプ3dは前記パイプモジュール4の吸上げ管45を利用して前記第四処理液室S24に連通することができ、前記吸上げ管45に好ましくは開閉弁451を設けて注出するか否かを制御する用いることができる。前記第四加圧ポンプ3dは他に前記パイプモジュール4の輸送管46を利用して前記固液分離機6に連通し、そして前記輸送管46に逆止め弁461を設けることができ、前記第四加圧ポンプ3dの操作によって、前記第四処理液室S24の中の流体を前記固液分離機6まで送り出して脱水処理を行うことにより、固、液を分離させる。制限を設けないが、例えば前記固液分離機6は市販の従来の「則武株式会社(NORITAKE CO., LIMITED)」の製品を採用し、固、液の分離を行った固形物(例えば、泥土、価値のある貴金属、濃縮した価値のある鉱物または濃縮した精製物など)は前記固液分離機6内の刃部によって削り落とされ、そしてその底部に落下することができる。前記固液分離機6は他に前記パイプモジュール4の輸液管47を利用して固、液分離を行った液体を常圧状態下の前記受入れタンク7に輸入することができる。前記受入れタンク7は感知器71を有することができ、前記感知器71は前記制御器と電気的接続し、そして前記受入れタンク7の中の液面の高さを感知するのに用いることができる。前記受入れタンク7はまた前記パイプモジュール4の回流管44によって前記第三処理液室S23まで連通し、前記回流管44に開閉弁442を設けることができる。
【0046】
図4に示されるように、本実施例の多段循環の分離装置Ⅾ(点線の枠内)は前述の従来の機械化設備9と接続して使用することができる。即ち、前記多段循環の分離装置Ⅾのタンク1の上流端1aを前記処理待ちタンク92に向かって、そして前記タンク1の下流端1bを前記循環一時貯留タンク93に向かって、さらに前記連結管41の輸入端によって前記処理待ちタンク92と連通し、前記連結管41の輸出端は前記循環一時貯留タンク93に連通することができる。前記循環一時貯留タンク93内は前記真空ポンプ96cによって空気を抽出して陰圧の状態になるように維持させることにより、前記連結管41の輸出端は前記循環一時貯留タンク93内に向かって流体を輸送することができる。前記処理待ちタンク92内の油泥は本実施例の多段循環の分離装置Ⅾによる処理を経た後、その中の固体物質を確実に分離することができるとともに、液体物質を前記循環一時貯留タンク93に流入することができる。
【0047】
詳しく言えば、
図2、4に示されるように、前記処理待ちタンク92の中の油泥を掃除する作業を始めようとする時、先ず前記連結管41の開閉弁411を閉めることにより、前記連結管41に輸入する油泥を、前記連結管41の輸出端に流れるのではなく、前記給液管42へ流れさせることができる。さらに前記開閉弁421、前記開閉弁431、前記開閉弁95a、前記開閉弁95bと前記開閉弁95cを開け、そして前記開閉弁95fを閉めることにより、前記原油タンク91内部の上方に位置される軽油を前記第一ポンプ96aを経て洗浄物溶解のベクトルとして抽出し、さらに前記輸送管94a、前記加熱器97と前記逆止め弁95eを流過することにより、前記洗浄物溶解のベクトルは約60℃まで加熱されるため、前記処理待ちタンク92内の油泥を熱溶解することができ、そして前記油泥の粘着性を低く降下させることができるため、前記油泥は前記処理待ちタンク92から前記洗浄物溶解のベクトルによって簡単に持ち出される。前記洗浄物溶解のベクトルを加熱する必要がない実施例においては、前記開閉弁95fを開けなければならず、前記洗浄物溶解のベクトルを前記加熱器97から迂回して前記輸送管94dを流過し、直接前記処理待ちタンク92に輸入することができる。
【0048】
前記油泥に前記洗浄物溶解のベクトルを混合した流体(以下、「原液」と称する)が前記処理待ちタンク92から持ち出された後、前記連結管41の輸入端に流入し、前記給液管42と前記ろ過器11を経て前記タンク1の原液室S1に輸入することができる。引続き前記第一加圧ポンプ3aを利用して前記原液室S1の流体、原液と第一段階の清澄液(下の段落で説明する)を、前記第一サイクロン2aまで送り出して第一段階の分離処理を行う。このように、前記第一サイクロン2a内で比重が相対的に大きい流体は比重が相対的に小さい流体の下方まで沈み、そして前記比重が相対的に大きい流体(約前記原液の25%を占め、前記第一サイクロン2aの排出口21によって定められる)は前記第一サイクロン2aの排出口21を経て前記第二処理液室S22の中に流入することができる。
【0049】
一方、前記第一サイクロン2a内で比重が相対的に小さい流体(約前記原液の75%を占める)は、すでに前記第一サイクロン2aの分離処理を経たことにより、その比重は前記原液より低くなり、そして異物も減るため、「第一段階の清澄液」と称する。前記第一段階の清澄液は前記第一サイクロン2aに連結される回流管44によって前記三方バルブ441まで排出され、前記感知器14が前記原液室S1の中の液面の高さが不足している(前記原液の注入不足)と感知した時、前記三方バルブ441によって前記第一段階の清澄液を前記原液室S1に流れ戻し、前記原液室S1の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。それに対して、前記感知器14が前記原液室S1の中の液面の高さが高すぎると感知した時、前記三方バルブ441によって前記第一段階の清澄液を前記第一処理液室S21に流入し、それから前記排出管43を経て前記連結管41に流入し、前記連結管41の輸出端に向かって排出される。
【0050】
引続き前記第二加圧ポンプ3bを利用して前記第二処理液室S22の中の流体、すでに第一段階の分離を経たにもかかわらず部分的に油泥が残った原液、補充された第二段階の清澄液(説明は本段落の後ろから数えて五行目)と補充された第三段階の清澄液(説明は下の段落で)を、前記第二サイクロン2bまで送り出して第二段階の分離処理を行う。また、前記第二サイクロン2b内で比重が相対的に大きい流体は比重が相対的に小さい流体の下方まで沈み、そして前記比重が相対的に大きい流体(前記第二サイクロン2bの二個の排出口21の孔径は前記第一サイクロン2aの排出口21より小さく、故に約前述の混合液の20%を占める)は前記第二サイクロン2bの二個の排出口21を経て前記第三処理液室S23の中に流入することができる。前記比重が相対的に小さい流体(約前述の混合液の80%を占める)はすでに前記第二サイクロン2bの分離処理を経たことにより、その比重は前記第一段階の清澄液と前記原液より低くなり、そして異物も減るため、「第二段階の清澄液」と称する。そして、前記第二段階の清澄液の一部分は前記第二処理液室S22に流れ戻るため、前記第二処理液室S22の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができ、また、前記第二段階の清澄液のもう一部分は前記原液室S1に流れ戻るため、前記原液室S1の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。
【0051】
再び前記第三加圧ポンプ3cを利用して前記第三処理液室S23の中の流体、すでに第一、第二段階の分離を経たにもかかわらず部分的に油泥が残った原液、と補充された第四段階の清澄液(説明は下の段落で)を、孔径が比較的小さい第三サイクロン2cまで送り出して第三段階の分離処理を行う。また、前記第三サイクロン2c内で比重が相対的に大きい流体は比重が相対的に小さい流体の下方まで沈み、そして前記比重が相対的に大きい流体(前記第三サイクロン2cの排出口21によって定められ、本実施例の第三サイクロン2cの排出口21の孔径は前記第二サイクロン2bの前記それぞれの排出口21の孔径とは略同じで、故に同じく約前述の混合液の20%を占める)は前記第三サイクロン2cの排出口21を経て前記第四処理液室S24の中に流入することができる。前記比重が相対的に小さい流体(約すでに第一~第三段階の分離を経た全部の混合液の80%を占める)はすでに前記第三サイクロン2cの分離処理を経たことにより、その比重は前記第一段階の清澄液、前記第二段階の清澄液と前記原液より低くなり、そして異物も減るため、「第三段階の清澄液」と称する。そして、前記第三段階の清澄液も前記第二処理液室S22に流れ戻ることができるため、前記第二処理液室S22の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。
【0052】
再び前記第四加圧ポンプ3dを利用して前記第四処理液室S24の中の流体を前記固液分離機6まで送り出し、第四段階の分離処理を行うことにより、固、液の分離を行う。分離後の固体(泥土)は前記固液分離機6の底部から落下し、そして分離後の液体は即ち前述の「第四段階の清澄液」である。引続き前記輸液管47をもって前記第四段階の清澄液を前記受入れタンク7まで輸送し、正常な状態で前記受入れタンク7内部の第四段階の清澄液は連結される回流管44を経て前記第三処理液室S23に流れ戻り、前記第三処理液室S23の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。前記感知器71が前記受入れタンク7の中の液面の高さが不足していると感知した時、前記回流管44の開閉弁442を閉めることにより、前記第四段階の清澄液を前記第三処理液室S23に輸入するのを一時停止する。
【0053】
上述した各段階の分離処理を経た後、前記処理待ちタンク92内の油泥の中の固体物質は分離されるため、前記固液分離機6で収集したりまたは前記第四処理液室S24(固液分離機6を設けていなう実施例において)で暫く貯蔵したりすることができる。そして、前記第一~第四段階の清澄液は前記第一処理液室S21に流入することができ、それから前記排出管43を経て前記連結管41の輸出端に向かって流れることにより、前記循環一時貯留タンク93に輸入することができる。他に前記第二ポンプ96bによって前記循環一時貯留タンク93の中の清澄液を抽出し、前記輸送管94cを経て前記逆止め弁95gと前記開閉弁95cを通過し、前記原油タンク91に輸送して貯蔵し、そして精錬処理に用いることができる。このように複数回の循環を繰り返し、前記検査弁95dによって前記処理待ちタンク92内部の油泥を完全に掃除したか否かを確認することができる。
【0054】
これにより、本発明の多段循環の分離装置を無人化によるオイルタンクの掃除作業に応用する時、前記処理待ちタンク内の油泥の中の固体物質を分離することができ、油泥の中の固体物質を前記原油タンクに連れ戻すことがないため、油泥が積めば積むほど多くなるという情況はなくなる。他に、本発明の多段循環の分離装置によれば、多段階に分離された比重が相対的に小さく、かつきれいな清澄液を洗浄物溶解のベクトルの補充として利用するため、前記パイプモジュールと前記複数個の加圧ポンプは浮遊異物を含んだ原液を長期にわたって循環して輸送することによって破損したり故障したりすることはなくなると同時に、浮遊異物を含んだがために工期と品質管理に影響を及ぼしてしまうなどの問題点はなくなる。
【0055】
その他に、本発明の多段循環の分離装置の構造は簡単であるため、設備の成本を低く抑えるとともに、体積が小さいであっても絶えず循環して処理を行うことができるため、処理の量が大きくなり、実に大変理想的である。
【0056】
ここで特に説明すべきことは、本発明の多段循環の分離装置によれば、上述した無人化によるオイルタンク内の油泥の掃除を処理できるだけではなく、廃棄物のリサイクルから価値のある貴金属の分離処理、鉱山採掘の鉱砂の分離処理、化学精製で混合物の中にある異物を分離してその純度を高める精製処理などに応用することもできるため、用途は充分な広範囲になる。一方、前記制御器およびその他に叙述していない前記制御器と電気的接続する検出計器、マイクロスイッチなどは全て一般的な技術に属し、そして本発明の特徴に属しないため、ここでは詳述せず、本発明に所属する技術分野で通常の知識を有する者には理解できることである。
【0057】
本発明は、すでに上述した比較的よい実施例を利用して掲示したにもかかわらず、本発明に限定するものではなく、いかなるこの技術を熟知した者が本発明の精神と範囲を離脱しない限り、上述した実施例に対応して各種の変更や修正を行っても依然として本発明によって保護される技術範疇に属するものであるため、本発明の保護範囲は当然として添付の特許の請求範囲に記載される意義と均等範囲内における変更を含むべきものである。
【符号の説明】
【0058】
1 タンク
1a 上流端
1b 下流端
11 ろ過器
12 清掃口
13 仕切り板
131 オーバーフロー孔
14 感知器
15 マンホール
16 マンホールカバー
2 サイクロン
2a 第一サイクロン
2b 第二サイクロン
2c 第三サイクロン
21 排出口
22 回流口
3 加圧ポンプ
3a 第一加圧ポンプ
3b 第二加圧ポンプ
3c 第三加圧ポンプ
3ⅾ 第四加圧ポンプ
4 パイプモジュール
41 連結管
411 開閉弁
42 給液管
421 開閉弁
43 排出管
431 開閉弁
44 回流管
441 三方バルブ
442 開閉弁
45 吸上げ管
451 開閉弁
46 輸送管
461 逆止め弁
47 輸液管
5 撹拌器
6 固液分離機
7 受入れタンク
71 感知器
Ⅾ 多段循環の分離装置
S1 原液室
S2 処理液室
S21 第一処理液室
S22 第二処理液室
S23 第三処理液室
S24 第四処理液室
9 機械化設備
91 原油タンク
92 処理待ちタンク
93 循環一時貯留タンク
94a 輸送管
94b 輸送管
94c 輸送管
94d 輸送管
95a 開閉弁
95b 開閉弁
95c 開閉弁
95d 検査弁
95e 逆止め弁
95f 開閉弁
95g 逆止め弁
96a 第一ポンプ
96b 第二ポンプ
96c 真空ポンプ
97 加熱器
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置に関するもので、特に比重差を利用して混合液中の物質を分離する多段循環の分離装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
精油所のオイルタンクの掃除を例に挙げると、前記オイルタンク内は密閉空間であるため、仮に酸素濃度が18%vol(酸素が空気中における体積が18%より低い)より低くなると、作業員が前記オイルタンク内に居続けると低酸素症が生じるため、死亡などの意外事故が発生する虞がある。そのため、作業員を派遣しないで済むように、機械化設備をオイルタンク内に入れて油泥の掃除とオイルタンクの洗浄などの作業が必要である。
【0003】
図5に示されるように、それはオイルタンクの油泥の掃除方法として採用されている従来の機械化設備9である。前記従来の機械化設備9は原油タンク91、処理待ちタンク92と循環一時貯留タンク93を有し、前記原油タンク91内部には重油と軽油が内装され、そして軽油は重油の上方に浮いている。前記原油タンク91と前記処理待ちタンク92は輸送管94aによって連通し、前記処理待ちタンク92と前記循環一時貯留タンク93は輸送管94bによって連通し、前記循環一時貯留タンク93と前記原油タンク91は輸送管94cによって連通することにより、凡その回路として形成されている。
【0004】
他に、開閉弁95aと第一ポンプ96aは前記輸送管94aに設けられる。開閉弁95b、開閉弁95c、検査弁95dと第二ポンプ96bは全て前記輸送管94cに設けられる。その内に、前記開閉弁95bと前記第二ポンプ96bは前記循環一時貯留タンク93に比較的近接し、前記開閉弁95cは前記原油タンク91に比較的近接し、そして前記検査弁95dは前記開閉弁95bと前記開閉弁95cの間に位置される。加熱器97と逆止め弁95eは前記輸送管94aに設けられ、そして前記逆止め弁95eは前記加熱器97と前記処理待ちタンク92の間に位置される。輸送管94dの両端は前記輸送管94aに連通し、そして前記逆止め弁95eと前記加熱器97は前記輸送管94dの両端の間に位置され、開閉弁95fは前記輸送管94dに設けられる。逆止め弁95gも前記輸送管94cに設けられ、さらに前記開閉弁95cと前記検査弁95dの間に位置される。
【0005】
使用する時、先ず前記開閉弁95a、前記開閉弁95bと前記開閉弁95cを開け、そして前記開閉弁95fを閉め、前記原油タンク91内部の上方に位置される軽油を前記第一ポンプ96aによって洗浄物溶解のベクトルとして抽出し、そして前記輸送管94a、前記加熱器97と前記逆止め弁95eを流過し、前記洗浄物溶解のベクトルは約60℃まで加熱されることにより、前記処理待ちタンク92内の油泥を熱溶解することができるため、前記油泥の粘着性を降下させ、前記油泥は前記洗浄物溶解のベクトルによって前記処理待ちタンク92から簡単に持ち出される。前記洗浄物溶解のベクトルを加熱する必要がない実施例においては、前記開閉弁95fを開けなければならず、前記洗浄物溶解のベクトルを前記加熱器97から迂回して前記輸送管94dを流過することができる。
【0006】
その他に、前記循環一時貯留タンク93には真空ポンプ96cが設けられるため、前記循環一時貯留タンク93は前記真空ポンプ96cで真空引きすることにより、その内部を陰圧に形成させ、前記洗浄物溶解のベクトルと前記処理待ちタンク92内の油泥を混合液(以下、「原液」と称する)の形式として、前記輸送管94bを経て前記循環一時貯留タンク93に流入することができる。その後、前記原液は再び前記第二ポンプ96bによって抽出され、前記開閉弁95b、前記逆止め弁95gと前記開閉弁95cを流過して前記原油タンク91に輸入して貯蔵し、精錬の処理に用いることができる。
【0007】
このように繰り返し複数回を循環させると、前記検査弁95dを経て前記処理待ちタンク92内の油泥はすでに完全に掃除したかを確認することができる。これにより、前記処理待ちタンク92内の油泥を完全に掃除することができるだけではなく、さらに元々廃棄物として捨てようとする油泥を再び回収して精錬することができ、環境保護の理念に符合するとともに、収益を増やすこともできるため、実に一石二鳥である、
【0008】
また、中華民國公告第TW107126568A号において、原油タンクの底泥を処理する方法が掲示され、前記方法は6個の単独に操作できるステップが含まれる。(1)油泥前処理のステップ、それは油泥をろ過して均一化を行う前処理で、方法として先ず油泥の中にある粗大な固形物、例如大型の石塊、ねじ、鉄片などを先に除去し、それから油泥を予熱タンクに送り込んで先に予熱を行うことにより、油泥を流動の状態に形成させる。(2)サイクロン三相分離のステップ、それは前記油泥前処理のステップに引き続き、高温水蒸気をスクラブ剤として利用し、サイクロン三相分離機のサイクロン(Cyclone)槽内において油泥をスクラブして加熱することにより、炭化水素を溶解して浮遊させ、さらに廃水を蒸発してオイルガスを揮発させることにより、油、水、固体廃棄物とオイルガスは全て分離される。(3)オイルガス酸化燃焼のステップ、それは熱酸化燃焼装置(Thermal Oxidation Device)を利用し、前記サイクロン三相分離機から生じたオイルガスを抜取って収集した後、再び熱酸化法(Thermal Oxidation)でプロパンガスに連結した熱酸化燃焼装置によってそれを酸化したり燃焼(Combustion)したりする。(4)液体触媒浸出のステップ、前記サイクロン三相分離のステップで油と水を分離した後、残留される前記固体廃棄物に多孔性隙(Porous)を含んだ構造物、粘着性がとても高い炭化水素に対し、微小気泡浸出のステップを応用して液体触媒に合わせて、衝激法で粒径が20ミクロ(0.02mm)ほど小さい微小気泡は液体触媒を持ち運んで固体廃棄物の孔内に浸入し、多孔性隙の固体廃棄物の表面と孔内に残留される炭化水素と油分を全部浸出させる。(5)液体触媒回収のステップ、一組両段階の分子蒸留技術手段を含むことにより、液体触媒を回収した後、前記液体触媒浸出のステップに循環するように供給して再利用し、さらに分離して回収される原油に液体触媒を含ませない。(6)廃水処理のステップ、それは前記サイクロン三相分離のステップに引き続き、前記サイクロン三相分離機から生じた廃水に処理を行い、前記廃水処理のステップは精密な油水分離のステップ、活性炭吸着のステップ、陰陽イオン交換のステップを含むことにより、廃水の中に残留される炭化水素を全部除去し、そし放流水はまた回収して再利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中華民國公告第TW107126568A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の機械化設備9は、その輸送管とポンプなどの部材は浮遊異物を含んだ原液を長期にわたって循環して輸送しなければならないため、一部分の部材が破損したり故障したりしやすくなる。他に前記機械化設備9は浮遊異物を含んだ原液をベクトルとしているため、その不良かつ不潔な品質では工期と品質管理に影響を及ぼしてしまうなどの問題点があった。その他に、前記機械化設備9では前記処理待ちタンク92内の油泥を前記原油タンク91まで移動させるだけであって、あくまでも油泥を移動するだけで、油と泥の分離処置を行うことができず、そのために油泥の量は減ることなく、積めば積むほど多くなる一方で理想的ではない。
【0011】
また、上述した中華民國公告第TW107126568A号における原油タンクの底泥を処理する方法において、それに合わせて使用する設備構造は複雑で値段も高く、そして余分に液体触媒を添加して浸出処理を行い、それから再び一組両段階の分子蒸留技術手段を用いて液体触媒を回収するため、分離して回収した原油に液体触媒を含ませないことはできるが、却ってその施工作業のコストも高くなり、実に理想的ではない。
【0012】
上述した問題点を解決するため、本発明の第一の目的は多段循環の分離装置を提供し、無人化によるオイルタンクの掃除作業に応用する時、前記処理待ちタンク内の油泥の中の固体物質を分離することができるため、油泥が積めば積むほど多くなるという情況はなくなる。
【0013】
本発明の第二の目的は多段循環の分離装置を提供し、清澄液を利用して洗浄物溶解のベクトルの補充としているため、部材とパイプは浮遊異物を含んだ原液を長期にわたって循環して輸送することにより破損したり故障したりしにくくなる。
【0014】
本発明の第三の目的は多段循環の分離装置を提供し、その構造が簡単で組み立てやすいため、設備のコストを低く抑えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の多段循環の分離装置は、タンクと、複数個のサイクロンと、複数個の加圧ポンプと、パイプモジュールとを含み、前記タンクは上流端と下流端を有し、前記タンクの内部は複数個の仕切り板によって前記上流端から前記下流端に向かって排列するように原液室と複数個の処理液室が仕切られ、前記複数個のサイクロンはそれぞれ少なくとも一個の排出口と少なくとも一個の回流口を有し、前記複数個のサイクロンの排出口は前記複数個の処理液室のそれぞれに連通し、前記パイプモジュールは前記タンク、前記複数個のサイクロンと前記複数個の加圧ポンプに連結し、前記上流端に比較的近接する加圧ポンプによって前記タンク内の流体を対応するサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体は前記サイクロンの排出口を経て対応する処理液室に輸入し、そして次の加圧ポンプによって次のサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体を漸次に前記下流端へ輸送し、比重が相対的に小さい流体は前記サイクロンの回流口を経て前記上流端へ輸送して前記タンク内に戻って循環を継続する。
【0016】
前記仕切り板のそれぞれはオーバーフロー孔を有し、隣接する二個の仕切り板の中に、前記下流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置は前記上流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置より高い。このように、仮に前記下流端に比較的近接する処理液室内の流体の高さが高すぎると、左側の処理液室または原液室へオーバーフローすることにより、前記空間は過積載によって労働災害事故が生じるのを避けることができ、そして前記下流端の処理液室の中へ行けば行くほど、沢山の流体を累積することができるため、使用上の安全性と実用性などを高めることができる。
【0017】
前記複数個の処理液室は前記上流端から前記下流端へ順序に従って第一処理液室、第二処理液室、第三処理液室と第四処理液室からなり、前記複数個のサイクロンは第一サイクロンの排出口を有して前記第二処理液室に位置合わせされ、また第二サイクロンの排出口を有して前記第三処理液室に位置合わせされ、さらに第三サイクロンの排出口を有して前記第四処理液室に位置合わせされる。このように、前記原液室の中の流体を漸次的に多段階のサイクロンの分離処理を行うことができるため、分離の効果を高めることができる。
【0018】
前記パイプモジュールは給液管を有して連結管および前記原液室と連通し、前記パイプモジュールは他に排出管を有して前記連結管および前記第一処理液室と連通する。このように、簡単な構造で原液を前記タンク内に輸入し、さらに処理後の清澄液を前記タンク内から導出することができるため、コストを低く抑えるとともに、組み立てとメンテナンスの利便性を高めることができる。
【0019】
前記第一サイクロンの回流口は回流管に連結し、前記回流管において三方バルブが設けられることにより、回流の流体が前記原液室または前記第一処理液室に流入するのを切り換えて制御する。このように、前記回流の流体は需要に応じて前記原液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができる。
【0020】
前記第二サイクロンの回流口の数は二個で、その内の一個の回流口は回流管によって前記原液室まで連通し、もう一個の回流口はもう一個の回流管によって前記第二処理液室まで連通する。このように、前記第二サイクロンによって分離される清澄液は、一部分は前記原液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができ、もう一部分は前記第二処理液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができる。
【0021】
前記第三サイクロンの回流口は回流管によって前記第二処理液室まで連通する。このように、前記第三サイクロンによって分離される清澄液は前記第二処理液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができる。
【0022】
前記複数個の加圧ポンプは第一加圧ポンプを有して吸上げ管によって前記原液室に連通するとともに、輸送管によって前記第一サイクロンに連通し、また第二加圧ポンプを有してもう一個の吸上げ管によって前記第二処理液室に連通するとともに、もう一個の輸送管によって前記第二サイクロンに連通し、また第三加圧ポンプを有してさらにもう一個の吸上げ管によって前記第三処理液室に連通するとともに、さらにもう一個の輸送管によって前記第三サイクロンに連通する。このように、簡単な構造で原液に対して三段階のサイクロンの分離処理を行うことができるため、コストを低く抑えるとともに、組み立てとメンテナンスの利便性を高めることができる。
【0023】
他に固液分離機を含み、加圧ポンプは吸上げ管によって前記下流端に最も近接する処理液室に連通し、前記加圧ポンプは他に輸送管によって前記固液分離機に連通する。このように、原液中の固体を分離することができるため、除去するのに役立つとともに、分離の効果と操作の利便性などを高めることができる。
【0024】
他に受入れタンクを含み、前記固液分離機は輸液管によって固、液を分離した後の液体を前記受入れタンクに輸入し、前記受入れタンクは回流管によって前記第三処理液室まで連通する。このように、前記固液分離機によって分離される液体はさらにその内の一個の処理液室の洗浄物溶解のベクトルの補充として利用することができるため、分離の効果と営業コストなどを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】
図2のAエリアにおける局部構造の拡大図である。
【
図4】本発明に係る実施例が従来の機械化設備と合わせて使用時の配置図である。
【
図5】従来のオイルタンクの油泥の掃除方法に採用された機械化設備の配置図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の上記およびその他の目的、特徴と利点をさらに明らかにかつ分かり易くするべく、下記のとおり本発明の実施例をもって、さらに図面を参照して詳しく説明する。他に、異なる図面において同じ符号を標示するものは同じものと見なし、その説明を省く。
【0027】
本発明の全文に述べる、方向性またはそれに近似する用語は、例えば「前」、「後」、「左」、「右」、「上(頂)」、「下(底)」、「内」、「外」、「側面」などは、主に添付の図の方向を指す。方向性またはそれに近似する用語は、本発明のさまざまな形態を説明および理解するためにのみ使用され、本発明を制限するためのものではない。
【0028】
本発明の全文に述べる、「一つ」との数量詞を使用するのは、便宜上であり、本発明の範囲の通常の意味を提供するためだけである。本発明では、一つまたは少なくとも一つを含むと解釈する必要がある。また、他の意味を明確に指していない限り、単一の概念には複数形も含まれる。
【0029】
本発明の全文で言及されている「結合」、「組み合わせ」、「組み立て」などの近似する用語には、主に、接続後に部材を損傷することなく、または接続後に部材を分離できないようにすることなく分離できる形式が含まれる。この分野で一般的な知識を有する人は、接続する部材の材料または組み立て要件に応じて選択できる。
【0030】
本発明の多段循環の分離装置は、混合物の中に比重が相対的に大きい(比較的重い)と比重が相対的に小さい(比較的軽い)の物質を分離することができ、混合物の中に比重が相対的に大きい物質は比重が相対的に小さい物質より重力の影響を受けやすく下へ沈むことを利用し、さらに比重が相対的に小さい物質は比重が相対的に大きい物質の上方に浮くという物理原理を利用し、複数個の段階で比重の異なる処理待ちの混合物を処理することができる。例えば、油と泥が混合する油泥、価値のある貴金属を含んだ混合物、異物含有の化学物、全て本発明の多段循環の分離装置を利用して分離処理を行うことができる。
【0031】
ここで注意すべきことは、本発明の構造と操作方法を説明するべく、以下は例を挙げて本発明の多段循環の分離装置を使用してオイルタンク内の油泥の掃除を行う場合(無人化によるオイルタンクの掃除)、油と泥との分離に関する応用を例として説明を行う。ただし、オイルタンクの掃除は本発明の唯一の応用ではなく、本発明は例えば廃棄物のリサイクルから価値のある貴金属の分離処理、鉱山採掘で鉱石から価値のある鉱物の精錬と濃縮に関する鉱物の分離処理、化学精製で混合物の中の異物を分離してその純度を高める精製処理などに応用することができる。
【0032】
図1、2に示されるように、本発明の多段循環の分離装置
Dの実施例において、多段循環の分離装置
Dはタンク1、複数個のサイクロン2、複数個の加圧ポンプ3とパイプモジュール4を含む。前記パイプモジュール4は前記タンク1、前記複数個のサイクロン2と前記複数個の加圧ポンプ3に連結する。
【0033】
前記タンク1は上流端1aと下流端1bを有する。前記タンク1は前記上流端1aにろ過器11を設け、前記タンク1内に輸入される流体の中の異物をろ過して除去することにより、破損の事故が生じるのを避けることができる。また、前記ろ過器11の掃除が簡単になるように、前記タンク1に清掃口12を設けることができる。
【0034】
前記タンク1の内部は複数個の仕切り板13によって原液室S1と複数個の処理液室S2が仕
切られ、前記原液室S1は前記上流端1aに最も近接し、そして前記原液室S1と前記複数個の処理液室S2は前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する。本実施例において、前記処理液室S2の数は四個からなることができ、しかしこれに限定されない。また、説明の上で以下においては四個の処理液室S2を前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する順序(即ち
図2に示される方向は左から右へ)に従って第一処理液室S21、第二処理液室S22、第三処理液室S23と第四処理液室S24と称する。言い換えれば、前記第一処理液室S21は前記原液室S1に最も近接する処理液室S2で、前記第二処理液室S22は前記上流端1aから数えて二個目の処理液室S2で、前記第三処理液室S23は前記上流端1aから数えて三個目の処理液室S2で、前記第四処理液室S24は前記下流端1bに最も近接する処理液室S2である。
【0035】
図2、3に示されるように、前
記仕切り板13
のそれぞれは上方に比較的近接する部位にオーバーフロー孔131を開設することができ、そし
て隣接する二個の仕切り板13の内に前記下流端1bに比較的近接する仕切り板13のオーバーフロー孔131の位置は、好ましくは前記上流端1aに比較的近接する仕切り板13のオーバーフロー孔131の位置より高くなるため、前記下流端1bに比較的近接する処理液室S2内の流体の高さが仮に高すぎると、左側(
図2に示される方向から言えば)の処理液室S2または原液室S1へオーバーフローすることができるため、前記空間は過積載によって労働災害事故が生じるのを避けることができ、そして前記下流端1bの処理液室S2の中へ行けば行くほど、沢山の流体を累積することができる。また、前記タンク1に感知器14を設けることができ、前記感知器14は制御器と電気的接続し、そして前記原液室S1の中の液面の高さを感知するのに用いることができる。
【0036】
一方、再び
図1、2に示されるように、前記パイプモジュール4は連結管41および給液管42を有して前記連結管41および前記原液室S1と連通し、そして前記連結管41は開閉弁411を有し、前記連結管41の輸入端から流れてくる流体が前記連結管41の輸出端へ、または前記給液管42へ流れるのを制御するのに用いられる。前記給液管42は開閉弁421を設け、前記連結管41の開閉弁411を閉め、さらに前記給液管42の開閉弁421を開けることにより、前記給液管42によって前記流体を導引して前記ろ過器11を通過してから再び前記原液室S1に輸入する。前記パイプモジュール4は他に排出管43および前記排出管43を有して前記連結管41および前記第一処理液室S21に連通し、そして前記排出管43は開閉弁431を設けることができる。このように、その他の処理液室S2(前記第二処理液室S22、前記第三処理液室S23と前記第四処理液室S24)の中の流体は全て漸次に前記第一処理液室S21までオーバーフローし、さらに前記排出管43を経て前記連結管41に流入して排出され、前記原液室S1までオーバーフローすることなく、そして前記開閉弁431によって前記連結管41内の流体が前記第一処理液室S21に逆流するのを防止することができる。
【0037】
前記タンク1はまた前記原液室S1と前記第四処理液室S24に位置合わせる周壁においてそれぞれマンホール15を設けることにより、人員が出入りしたりまたは前記原液室S1や前記第四処理液室S24の内部空間を覗いたりするすることができ、そして前記それぞれのマンホール15はマンホールカバー16によって封じることができる。
【0038】
前記複数個のサイクロン2はそれぞれ少なくとも一個の排出口21と少なくとも一個の回流口22を有し、前記複数個のサイクロン2の排出口21はそれぞれ前記複数個の処理液室S2に連通することにより、前記サイクロン2に輸入される流体がサイクロン(cyclone)を経て分離された後、比重が相対的に大きい流体は放り出され、そして重力によって下へ沈み、前記排出口21を経て輸入対応する処理液室S2の中に輸入され、さらに比重が相対的に小さい流体は前記回流口22を経て前記上流端1aに向かって前記タンク1内まで輸送されて循環を継続する。
【0039】
本実施例において、前記複数個のサイクロン2は前記タンク1に組み立てることができ、そしてそれぞれは対応するする処理液室S2の上方に位置合わせされることにより、前記排出口21は対応する処理液室S2の中に挿入することができるため、流体を確実に輸入することができる。前記回流口22は前記タンク1の外に露出されるため、管を接続するのに役立つ。即ち、前記パイプモジュール4は複数個の回流管44を有することができ、前記それぞれの回流管44の一端は前記それぞれのサイクロン2の回流口22まで連通し、もう一端は前記上流端1aに向かってその内の一個の処理液室S2または前記原液室S1まで連通することができる。
【0040】
制限を設けないが、例えば本実施例において前記サイクロン2の数は選択的に三個からなることができる。そして、同様に説明する上で以下においては前記三個のサイクロン2を前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する順序(即ち
図2に示される方向は左から右へ)に従って、第一サイクロン2a、第二サイクロン2bと第三サイクロン2cと称する。言い換えれば、前記第一サイクロン2aは前記上流端1aに最も近接するサイクロン2で、前記第二サイクロン2bは前記上流端1a数えて二個目のサイクロン2で、前記第三サイクロン2cは前記下流端1bに最も近接するサイクロン2である。
【0041】
また、前記第一サイクロン2aの排出口21は前記第二処理液室S22に位置合わせされ、さらに前記第一サイクロン2aの回流口22に連結される回流管44において三方バルブ441が設けられることにより、前記三方バルブ441の切換えによって回流の流体が前記原液室S1または前記第一処理液室S21に流入するのを制御することができる。その他に、本実施例において前記第二サイクロン2bの排出口21と回流口22の数は選択的にそれぞれ二個からなり、前記二排出口21は前記第三処理液室S23に位置合わせされ、そして前記第二サイクロン2bの二個の排出口21の孔径はそれぞれ前記第一サイクロン2aの排出口21の孔径より小さく、前記第二サイクロン2bのその内の一個の回流口22は回流管44によって前記原液室S1まで連通し、もう一個の回流口22はもう一個の回流管44によって前記第二処理液室S22まで連通することができる。また、前記第三サイクロン2cの排出口21は前記第四処理液室S24に位置合わせされ、前記第三サイクロン2cの排出口21の孔径も前記第一サイクロン2aの排出口21の孔径より小さく、前記第三サイクロン2cの回流口22は回流管44によって前記第二処理液室S22まで連通することができる。
【0042】
前記複数個の加圧ポンプ3は前記原液室S1または前記処理液室S2の中の流体を抜取るのに用いられ、前記加圧ポンプ3の数は少なくとも前記サイクロン2の数とは同じである。本実施例において、前記加圧ポンプ3の数は四個からなることができ、そして説明する上で以下においては前記四個加圧ポンプ3を前記上流端1aから前記下流端1bに向かって排列する順序(即ち
図2に示される方向は左から右へ)に従って、第一加圧ポンプ3a、第二加圧ポンプ3b、第三加圧ポンプ3cと第四加圧ポンプ3dと称する。
【0043】
また、前記第一加圧ポンプ3aは前記パイプモジュール4の吸上げ管45を利用して前記原液室S1に連通することができ、さらに前記パイプモジュール4の輸送管46を利用して前記第一サイクロン2aに連通することにより、前記第一加圧ポンプ3aの操作によって、前記原液室S1の中の流体を前記第一サイクロン2aまで送り出して第一段階のサイクロンの分離処理を行うことができる。同じように、前記第二加圧ポンプ3bはもう一個の吸上げ管45を利用して前記第二処理液室S22に連通することができ、さらにもう一個の輸送管46を利用して前記第二サイクロン2bに連通することにより、前記第二加圧ポンプ3bの操作によって、前記第二処理液室S22の中の流体を前記第二サイクロン2bまで送り出して第二段階のサイクロンの分離処理を行うことができる。前記第三加圧ポンプ3cはさらにもう一個の吸上げ管45を利用して前記第三処理液室S23に連通することができ、さらにもう一個の輸送管46を利用して前記第三サイクロン2cに連通することにより、前記第三加圧ポンプ3cの操作によって、前記第三処理液室S23の中の流体を前記第三サイクロン2cまで送り出して第三段階のサイクロンの分離処理を行うことができる。また、前記第二加圧ポンプ3bと前記第三加圧ポンプ3cに連結される吸上げ管45において好ましくは開閉弁451を設けることにより、注出するか否かを制御するのに用いることができる。
【0044】
また、本実施例の前記仕切り板13のそれぞれには全て前記オーバーフロー孔131が設けられるため、前記第一加圧ポンプ3aに故障が生じる場合、前記原液室S1の中の流体は例え前記第一サイクロン2aまで送り出すことができなくても、積み重ねて前記オーバーフロー孔131の高さまで達した時、オーバーフローして前記第一処理液室S21の中に進入することができる。その他に、前記第二加圧ポンプ3bまたは/および前記第三加圧ポンプ3cに故障が生じる場合、例え流体を前記下流端1bに向かって送り出すことができなくても、隣接するオーバーフロー孔131の高低差の設計を利用して、予定されるサイクロンの分離処理を行っていない流体は前記下流端1bに向かってオーバーフローすることなく、漸次的に前記上流端1aに向かってオーバーフローするだけで、最後には前記原液室S1に最も近接する処理液室S2(前記第一処理液室S21)までオーバーフローし、さらに前記排出管43を経て前記連結管41に流入して排出され、前記原液室S1までオーバーフローすることはない。
【0045】
本実施例の多段循環の分離装置Dは、好ましくは撹拌器5、固液分離機6と受入れタンク7を有する。前記撹拌器5は前記タンク1に組み立てることができ、前記第四処理液室S24内の流体が均一化になるのを撹拌するのに用いることができる。前記第四加圧ポンプ3dは前記パイプモジュール4の吸上げ管45を利用して前記第四処理液室S24に連通することができ、前記吸上げ管45に好ましくは開閉弁451を設けて注出するか否かを制御する用いることができる。前記第四加圧ポンプ3dは他に前記パイプモジュール4の輸送管46を利用して前記固液分離機6に連通し、そして前記輸送管46に逆止め弁461を設けることができ、前記第四加圧ポンプ3dの操作によって、前記第四処理液室S24の中の流体を前記固液分離機6まで送り出して脱水処理を行うことにより、固、液を分離させる。制限を設けないが、例えば前記固液分離機6は市販の従来の「則武株式会社(NORITAKE CO., LIMITED)」の製品を採用し、固、液の分離を行った固形物(例えば、泥土、価値のある貴金属、濃縮した価値のある鉱物または濃縮した精製物など)は前記固液分離機6内の刃部によって削り落とされ、そしてその底部に落下することができる。前記固液分離機6は他に前記パイプモジュール4の輸液管47を利用して固、液分離を行った液体を常圧状態下の前記受入れタンク7に輸入することができる。前記受入れタンク7は感知器71を有することができ、前記感知器71は前記制御器と電気的接続し、そして前記受入れタンク7の中の液面の高さを感知するのに用いることができる。前記受入れタンク7はまた前記パイプモジュール4の回流管44によって前記第三処理液室S23まで連通し、前記回流管44に開閉弁442を設けることができる。
【0046】
図4に示されるように、本実施例の多段循環の分離装置
D(点線の枠内)は前述の従来の機械化設備9と接続して使用することができる。即ち、前記多段循環の分離装置
Dのタンク1の上流端1aを前記処理待ちタンク92に向かって、そして前記タンク1の下流端1bを前記循環一時貯留タンク93に向かって、さらに前記連結管41の輸入端によって前記処理待ちタンク92と連通し、前記連結管41の輸出端は前記循環一時貯留タンク93に連通することができる。前記循環一時貯留タンク93内は前記真空ポンプ96cによって空気を抽出して陰圧の状態になるように維持させることにより、前記連結管41の輸出端は前記循環一時貯留タンク93内に向かって流体を輸送することができる。前記処理待ちタンク92内の油泥は本実施例の多段循環の分離装置
Dによる処理を経た後、その中の固体物質を確実に分離することができるとともに、液体物質を前記循環一時貯留タンク93に流入することができる。
【0047】
詳しく言えば、
図2、4に示されるように、前記処理待ちタンク92の中の油泥を掃除する作業を始めようとする時、先ず前記連結管41の開閉弁411を閉めることにより、前記連結管41に輸入する油泥を、前記連結管41の輸出端に流れるのではなく、前記給液管42へ流れさせることができる。さらに前記開閉弁421、前記開閉弁431、前記開閉弁95a、前記開閉弁95bと前記開閉弁95cを開け、そして前記開閉弁95fを閉めることにより、前記原油タンク91内部の上方に位置される軽油を前記第一ポンプ96aを経て洗浄物溶解のベクトルとして抽出し、さらに前記輸送管94a、前記加熱器97と前記逆止め弁95eを流過することにより、前記洗浄物溶解のベクトルは約60℃まで加熱されるため、前記処理待ちタンク92内の油泥を熱溶解することができ、そして前記油泥の粘着性を低く降下させることができるため、前記油泥は前記処理待ちタンク92から前記洗浄物溶解のベクトルによって簡単に持ち出される。前記洗浄物溶解のベクトルを加熱する必要がない実施例においては、前記開閉弁95fを開けなければならず、前記洗浄物溶解のベクトルを前記加熱器97から迂回して前記輸送管94dを流過し、直接前記処理待ちタンク92に輸入することができる。
【0048】
前記油泥に前記洗浄物溶解のベクトルを混合した流体(以下、「原液」と称する)が前記処理待ちタンク92から持ち出された後、前記連結管41の輸入端に流入し、前記給液管42と前記ろ過器11を経て前記タンク1の原液室S1に輸入することができる。引続き前記第一加圧ポンプ3aを利用して前記原液室S1の流体、原液と第一段階の清澄液(下の段落で説明する)を、前記第一サイクロン2aまで送り出して第一段階の分離処理を行う。このように、前記第一サイクロン2a内で比重が相対的に大きい流体は比重が相対的に小さい流体の下方まで沈み、そして前記比重が相対的に大きい流体(約前記原液の25%を占め、前記第一サイクロン2aの排出口21によって定められる)は前記第一サイクロン2aの排出口21を経て前記第二処理液室S22の中に流入することができる。
【0049】
一方、前記第一サイクロン2a内で比重が相対的に小さい流体(約前記原液の75%を占める)は、すでに前記第一サイクロン2aの分離処理を経たことにより、その比重は前記原液より低くなり、そして異物も減るため、「第一段階の清澄液」と称する。前記第一段階の清澄液は前記第一サイクロン2aに連結される回流管44によって前記三方バルブ441まで排出され、前記感知器14が前記原液室S1の中の液面の高さが不足している(前記原液の注入不足)と感知した時、前記三方バルブ441によって前記第一段階の清澄液を前記原液室S1に流れ戻し、前記原液室S1の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。それに対して、前記感知器14が前記原液室S1の中の液面の高さが高すぎると感知した時、前記三方バルブ441によって前記第一段階の清澄液を前記第一処理液室S21に流入し、それから前記排出管43を経て前記連結管41に流入し、前記連結管41の輸出端に向かって排出される。
【0050】
引続き前記第二加圧ポンプ3bを利用して前記第二処理液室S22の中の流体、すでに第一段階の分離を経たにもかかわらず部分的に油泥が残った原液、補充された第二段階の清澄液(説明は本段落の後ろから数えて五行目)と補充された第三段階の清澄液(説明は下の段落で)を、前記第二サイクロン2bまで送り出して第二段階の分離処理を行う。また、前記第二サイクロン2b内で比重が相対的に大きい流体は比重が相対的に小さい流体の下方まで沈み、そして前記比重が相対的に大きい流体(前記第二サイクロン2bの二個の排出口21の孔径は前記第一サイクロン2aの排出口21より小さく、故に約前述の混合液の20%を占める)は前記第二サイクロン2bの二個の排出口21を経て前記第三処理液室S23の中に流入することができる。前記比重が相対的に小さい流体(約前述の混合液の80%を占める)はすでに前記第二サイクロン2bの分離処理を経たことにより、その比重は前記第一段階の清澄液と前記原液より低くなり、そして異物も減るため、「第二段階の清澄液」と称する。そして、前記第二段階の清澄液の一部分は前記第二処理液室S22に流れ戻るため、前記第二処理液室S22の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができ、また、前記第二段階の清澄液のもう一部分は前記原液室S1に流れ戻るため、前記原液室S1の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。
【0051】
再び前記第三加圧ポンプ3cを利用して前記第三処理液室S23の中の流体、すでに第一、第二段階の分離を経たにもかかわらず部分的に油泥が残った原液、と補充された第四段階の清澄液(説明は下の段落で)を、孔径が比較的小さい第三サイクロン2cまで送り出して第三段階の分離処理を行う。また、前記第三サイクロン2c内で比重が相対的に大きい流体は比重が相対的に小さい流体の下方まで沈み、そして前記比重が相対的に大きい流体(前記第三サイクロン2cの排出口21によって定められ、本実施例の第三サイクロン2cの排出口21の孔径は前記第二サイクロン2bの前記それぞれの排出口21の孔径とは略同じで、故に同じく約前述の混合液の20%を占める)は前記第三サイクロン2cの排出口21を経て前記第四処理液室S24の中に流入することができる。前記比重が相対的に小さい流体(約すでに第一~第三段階の分離を経た全部の混合液の80%を占める)はすでに前記第三サイクロン2cの分離処理を経たことにより、その比重は前記第一段階の清澄液、前記第二段階の清澄液と前記原液より低くなり、そして異物も減るため、「第三段階の清澄液」と称する。そして、前記第三段階の清澄液も前記第二処理液室S22に流れ戻ることができるため、前記第二処理液室S22の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。
【0052】
再び前記第四加圧ポンプ3dを利用して前記第四処理液室S24の中の流体を前記固液分離機6まで送り出し、第四段階の分離処理を行うことにより、固、液の分離を行う。分離後の固体(泥土)は前記固液分離機6の底部から落下し、そして分離後の液体は即ち前述の「第四段階の清澄液」である。引続き前記輸液管47をもって前記第四段階の清澄液を前記受入れタンク7まで輸送し、正常な状態で前記受入れタンク7内部の第四段階の清澄液は連結される回流管44を経て前記第三処理液室S23に流れ戻り、前記第三処理液室S23の洗浄物溶解のベクトルの補充として用いることができる。前記感知器71が前記受入れタンク7の中の液面の高さが不足していると感知した時、前記回流管44の開閉弁442を閉めることにより、前記第四段階の清澄液を前記第三処理液室S23に輸入するのを一時停止する。
【0053】
上述した各段階の分離処理を経た後、前記処理待ちタンク92内の油泥の中の固体物質は分離されるため、前記固液分離機6で収集したりまたは前記第四処理液室S24(固液分離機6を設けていない実施例において)で暫く貯蔵したりすることができる。そして、前記第一~第四段階の清澄液は前記第一処理液室S21に流入することができ、それから前記排出管43を経て前記連結管41の輸出端に向かって流れることにより、前記循環一時貯留タンク93に輸入することができる。他に前記第二ポンプ96bによって前記循環一時貯留タンク93の中の清澄液を抽出し、前記輸送管94cを経て前記逆止め弁95gと前記開閉弁95cを通過し、前記原油タンク91に輸送して貯蔵し、そして精錬処理に用いることができる。このように複数回の循環を繰り返し、前記検査弁95dによって前記処理待ちタンク92内部の油泥を完全に掃除したか否かを確認することができる。
【0054】
これにより、本発明の多段循環の分離装置を無人化によるオイルタンクの掃除作業に応用する時、前記処理待ちタンク内の油泥の中の固体物質を分離することができ、油泥の中の固体物質を前記原油タンクに連れ戻すことがないため、油泥が積めば積むほど多くなるという情況はなくなる。他に、本発明の多段循環の分離装置によれば、多段階に分離された比重が相対的に小さく、かつきれいな清澄液を洗浄物溶解のベクトルの補充として利用するため、前記パイプモジュールと前記複数個の加圧ポンプは浮遊異物を含んだ原液を長期にわたって循環して輸送することによって破損したり故障したりすることはなくなると同時に、浮遊異物を含んだがために工期と品質管理に影響を及ぼしてしまうなどの問題点はなくなる。
【0055】
その他に、本発明の多段循環の分離装置の構造は簡単であるため、設備の成本を低く抑えるとともに、体積が小さいであっても絶えず循環して処理を行うことができるため、処理の量が大きくなり、実に大変理想的である。
【0056】
ここで特に説明すべきことは、本発明の多段循環の分離装置によれば、上述した無人化によるオイルタンク内の油泥の掃除を処理できるだけではなく、廃棄物のリサイクルから価値のある貴金属の分離処理、鉱山採掘の鉱砂の分離処理、化学精製で混合物の中にある異物を分離してその純度を高める精製処理などに応用することもできるため、用途は充分な広範囲になる。一方、前記制御器およびその他に叙述していない前記制御器と電気的接続する検出計器、マイクロスイッチなどは全て一般的な技術に属し、そして本発明の特徴に属しないため、ここでは詳述せず、本発明に所属する技術分野で通常の知識を有する者には理解できることである。
【0057】
本発明は、すでに上述した比較的よい実施例を利用して掲示したにもかかわらず、本発明に限定するものではなく、この技術を熟知した者が本発明の精神と範囲を離脱しない限り、上述した実施例に対応して各種の変更や修正を行っても依然として本発明によって保護される技術範疇に属するものであるため、本発明の保護範囲は当然として添付の特許の請求範囲に記載される意義と均等範囲内における変更を含むべきものである。
【符号の説明】
【0058】
1 タンク
1a 上流端
1b 下流端
11 ろ過器
12 清掃口
13 仕切り板
131 オーバーフロー孔
14 感知器
15 マンホール
16 マンホールカバー
2 サイクロン
2a 第一サイクロン
2b 第二サイクロン
2c 第三サイクロン
21 排出口
22 回流口
3 加圧ポンプ
3a 第一加圧ポンプ
3b 第二加圧ポンプ
3c 第三加圧ポンプ
3d 第四加圧ポンプ
4 パイプモジュール
41 連結管
411 開閉弁
42 給液管
421 開閉弁
43 排出管
431 開閉弁
44 回流管
441 三方バルブ
442 開閉弁
45 吸上げ管
451 開閉弁
46 輸送管
461 逆止め弁
47 輸液管
5 撹拌器
6 固液分離機
7 受入れタンク
71 感知器
D 多段循環の分離装置
S1 原液室
S2 処理液室
S21 第一処理液室
S22 第二処理液室
S23 第三処理液室
S24 第四処理液室
9 機械化設備
91 原油タンク
92 処理待ちタンク
93 循環一時貯留タンク
94a 輸送管
94b 輸送管
94c 輸送管
94d 輸送管
95a 開閉弁
95b 開閉弁
95c 開閉弁
95d 検査弁
95e 逆止め弁
95f 開閉弁
95g 逆止め弁
96a 第一ポンプ
96b 第二ポンプ
96c 真空ポンプ
97 加熱器
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、複数個のサイクロンと、複数個の加圧ポンプと、パイプモジュールとを含み、前記タンクは上流端と下流端を有し、前記タンクの内部は複数個の仕切り板によって前記上流端から前記下流端に向かって排列するように原液室と複数個の処理液室が仕切られ、前記複数個のサイクロンはそれぞれ少なくとも一個の排出口と少なくとも一個の回流口を有し、前記複数個のサイクロンの排出口は前記複数個の処理液室のそれぞれに連通し、前記パイプモジュールは前記タンク、前記複数個のサイクロンと前記複数個の加圧ポンプに連結し、前記上流端に比較的近接する加圧ポンプによって前記タンク内の流体を対応するサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体は前記サイクロンの排出口を経て対応する処理液室に輸入し、そして次の加圧ポンプによって次のサイクロンまで送り出すことにより、比重が相対的に大きい流体を漸次に前記下流端へ輸送し、比重が相対的に小さい流体は前記サイクロンの回流口を経て前記上流端へ輸送して前記タンク内に戻って循環を継続することを特徴とする多段循環の分離装置。
【請求項2】
前記仕切り板のそれぞれはオーバーフロー孔を有し、隣接する二個の仕切り板の中に、前記下流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置は前記上流端に比較的近接する仕切り板のオーバーフロー孔の位置より高いことを特徴とする請求項1に記載の多段循環の分離装置。
【請求項3】
前記複数個の処理液室は前記上流端から前記下流端へ順序に従って第一処理液室、第二処理液室、第三処理液室と第四処理液室からなり、前記複数個のサイクロンは第一サイクロンの排出口を有して前記第二処理液室に位置合わせされ、また第二サイクロンの排出口を有して前記第三処理液室に位置合わせされ、さらに第三サイクロンの排出口を有して前記第四処理液室に位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載の多段循環の分離装置。
【請求項4】
前記パイプモジュールは給液管を有して連結管および前記原液室と連通し、前記パイプモジュールは他に排出管を有して前記連結管および前記第一処理液室と連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項5】
前記第一サイクロンの回流口は回流管に連結し、前記回流管において三方バルブが設けられることにより、回流の流体が前記原液室または前記第一処理液室に流入するのを切り換えて制御することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項6】
前記第二サイクロンの回流口の数は二個で、その内の一個の回流口は回流管によって前記原液室まで連通し、もう一個の回流口はもう一個の回流管によって前記第二処理液室まで連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項7】
前記第三サイクロンの回流口は回流管によって前記第二処理液室まで連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項8】
前記複数個の加圧ポンプは第一加圧ポンプを有して吸上げ管によって前記原液室に連通するとともに、輸送管によって前記第一サイクロンに連通し、また第二加圧ポンプを有してもう一個の吸上げ管によって前記第二処理液室に連通するとともに、もう一個の輸送管によって前記第二サイクロンに連通し、また第三加圧ポンプを有してさらにもう一個の吸上げ管によって前記第三処理液室に連通するとともに、さらにもう一個の輸送管によって前記第三サイクロンに連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項9】
他に固液分離機を含み、加圧ポンプは吸上げ管によって前記下流端に最も近接する処理液室に連通し、前記加圧ポンプは他に輸送管によって前記固液分離機に連通することを特徴とする請求項3に記載の多段循環の分離装置。
【請求項10】
他に受入れタンクを含み、前記固液分離機は輸液管によって固、液を分離した後の液体を前記受入れタンクに輸入し、前記受入れタンクは回流管によって前記第三処理液室まで連通することを特徴とする請求項9に記載の多段循環の分離装置。