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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064932
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/12 20060101AFI20240507BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20240507BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240507BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C08L71/12
C08L25/04
C08K3/36
C08K5/541
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023002834
(22)【出願日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】111140860
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】黄 威儒
(72)【発明者】
【氏名】張 宏毅
(72)【発明者】
【氏名】劉 家霖
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB042
4J002BC022
4J002CH071
4J002DH047
4J002DJ016
4J002EU198
4J002EW047
4J002EW157
4J002EX019
4J002EX039
4J002EX049
4J002EX069
4J002EX079
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】新規低誘電樹脂と、架橋剤と、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ハロゲンフリー難燃剤と、球状シリカと、シロキサンカップリング剤とを含む樹脂組成物を提供する。
【解決手段】新規低誘電樹脂は、10%~40%のスチレン比率と、10%~40%のジビニルベンゼン比率と、10%~20%のエチレン比率とを有し、樹脂組成物の誘電正接を効果的に減少させ、低誘電の電気的仕様を達成することができる。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規低誘電樹脂と、
架橋剤と、
ポリフェニレンエーテル樹脂と、
ハロゲンフリー難燃剤と、
球状シリカと、
シロキサンカップリング剤と
を含み、
前記新規低誘電樹脂が、10%~40%のスチレン比率と、10%~40%のジビニルベンゼン比率と、10%~20%のエチレン比率とを有する、
樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂組成物の総重量に基づき、前記新規低誘電樹脂の添加量が10重量%~40重量%であり、前記架橋剤の添加量が5重量%~25重量%であり、前記ポリフェニレンエーテル樹脂の添加量が40重量%~60重量%であり、前記球状シリカの添加量が20重量%~50重量%である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記樹脂組成物の総重量に基づき、前記ハロゲンフリー難燃剤の添加量が20phr~50phrである、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物の総重量に基づき、前記シロキサンカップリング剤の添加量が0.1phr~5phrである、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記新規低誘電樹脂の数平均分子量が4500~6000である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
10%~40%のスチレン比率と、60%~90%の1,2ビニル比率と、10%~30%の1,4ビニル比率とを有するSBS樹脂を更に含む、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物の総重量に基づき、前記SBS樹脂の添加量が0重量%~35重量%である、
請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記SBS樹脂の重量平均分子量が3500~5500である、
請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記樹脂組成物の電気的仕様が、3.02~3.04の誘電率と、0.0018未満の誘電正接である、
請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂組成物の電気的仕様が、3.0~3.1の誘電率と、0.0015未満の誘電正接である、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は低誘電樹脂に関するものであり、特に低誘電樹脂組成物に関するものである。
【0002】
近年、5G通信の発展に伴い、低誘電(low-k)特性の目的のために銅張積層板材料が開発されている。現在の基板の誘電率(Dk)は約3.2~5.0であり、これは将来における高周波数及び高速伝送の応用に対して役に立たない。現在の低誘電配合では、電気特性を低下させるために一定の比率の液状ゴムが添加されるが、それでも超低誘電の電気的仕様(例えば、0.0015未満の誘電正接(Df))を達成することができない。加えて、多量の液状ゴムを添加することは、樹脂間の相分離、流動性及び充填性の低下を引き起こしやすく、これにより全体的な加工性が低下することとなる。
【0003】
上記に基づき、当業者にとって喫緊の課題である超低誘電の電気的仕様を達成するため、樹脂組成物の流動性及び充填性を維持しつつ誘電正接を低減させる低誘電樹脂組成物が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低誘電の電気的仕様を達成するため、流動性及び充填性を維持しつつ誘電正接を減少させることのできる樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の樹脂組成物は、新規低誘電樹脂と、架橋剤と、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ハロゲンフリー難燃剤と、球状シリカと、シロキサンカップリング剤とを含む。新規低誘電樹脂は、10%~40%のスチレン比率と、10%~40%のジビニルベンゼン比率と、10%~20%のエチレン比率とを有する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、上述した樹脂組成物の総重量に基づき、新規低誘電樹脂の添加量は10重量%~40重量%であり、架橋剤の添加量は5重量%~25重量%であり、ポリフェニレンエーテル樹脂の添加量は40重量%~60重量%であり、球状シリカの添加量は20重量%~50重量%である。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、上述した樹脂組成物の総重量に基づき、ハロゲンフリー難燃剤の添加量は20phr~50phrである。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、上述した樹脂組成物の総重量に基づき、シロキサンカップリング剤の添加量は0.1phr~5phrである。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、上述した新規低誘電樹脂の数平均分子量は4500~6000である。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、上述した樹脂組成物はSBS樹脂を更に含む。SBS樹脂は、10%~40%のスチレン比率と、60%~90%の1,2ビニル比率と、10%~30%の1,4ビニル比率とを有する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、上述した樹脂組成物の総重量に基づき、SBS樹脂の添加量は0重量%~35重量%である。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、上述したSBS樹脂は3500~5500の重量平均分子量を有する。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、上述した樹脂組成物の電気的仕様は、3.02~3.04の誘電率と、0.0018未満の誘電正接とを有する。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、上述した樹脂組成物の電気的仕様は、3.0~3.1の誘電率と、0.0015未満の誘電正接とを有する。
【発明の効果】
【0015】
上記に基づき、液状ゴムの代わりに新規低誘電樹脂を用いることにより、本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の誘電正接及び/又は誘電率を効果的に低減させ、樹脂組成物の流動性及び充填性を維持しつつ低誘電の電気的仕様を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これら実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されない。
【0017】
ここで用いられる場合、「1つの数値~もう1つの数値」により表される範囲は、本明細書において該範囲内の全ての数値の列記を避けるための一般的表現である。このため、特定の数値範囲の記述は、その数値範囲内の任意の数値、並びに該範囲内の任意の数値により定義される最小数値を含み、本明細書における任意の数値及びそれ以下の数値範囲についても同様である。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、新規低誘電樹脂と、架橋剤と、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ハロゲンフリー難燃剤と、球状シリカと、シロキサンカップリング剤とを含む。以下に、上述した様々な成分を詳細に説明する。
【0019】
新規低誘電樹脂
本実施形態において、新規低誘電樹脂は、10%~40%のスチレン比率と、10%~40%のジビニルベンゼン比率と、10%~20%のエチレン比率とを有する。新規低誘電樹脂の数平均分子量(Mn)は約4500~6000である。いくつかの実施形態において、新規低誘電樹脂の添加量は、樹脂組成物の総重量に基づき例えば10重量%~40重量%であり、新規低誘電樹脂の添加量は例えば30重量%~38重量%であることが好ましい。液状ゴムの代わりに新規低誘電樹脂を用いることにより、樹脂組成物の誘電正接及び/又は誘電率を効果的に低減させ、樹脂組成物の流動性及び充填性を維持しつつ低誘電の電気的仕様を達成することができる。
【0020】
SBS樹脂
本実施形態において、SBS樹脂は、10%~40%のスチレン比率と、60%~90%の1,2ビニル比率と、10%~30%の1,4ビニル比率とを有する。SBS樹脂は、約3500~5500の重量平均分子量(MW)を有する。SBS樹脂の添加量は、樹脂組成物の総重量に基づき例えば0重量%~35重量%である。液状ゴムの代わりにSBS樹脂を用いることにより、樹脂間の相分離、流動性及び充填性が向上し、これにより低誘電特性を維持しつつ全体的な加工性を向上させる。
【0021】
架橋剤
本実施形態において、架橋剤は熱硬化性樹脂の架橋度を高め、基板の剛性及び靭性、加工性を調整するために用いられる。使用されるタイプは、1,3,5-トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタアリルイソシアヌレート(TMAIC)、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、又は1,2,4-トリアリルトリメリテートの1つ以上の組合せであってよい。架橋剤の添加量は、樹脂組成物の総重量に基づき例えば5重量%~25重量%である。
【0022】
ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂
本実施形態において、ポリフェニレンエーテル樹脂は熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂であり、末端基にスチレン系ポリフェニレンエーテルとアクリル系ポリフェニレンエーテルを有する組成物である。ポリフェニレンエーテル樹脂の添加量は、樹脂組成物の総重量に基づき例えば40重量%~60重量%である。
【0023】
例えば、スチレン系ポリフェニレンエーテルの構造は構造式(A)に示すものである:
【化1】
【0024】
R1~R8は、アリル基、水素基、又は炭素数1~6のアルキル基、又は上述した基から選択された1つ以上であってよい。XはO(酸素原子)又は下記に示す構成単位であってよい。
【化2】
P1はスチレン又は下記に示す構成単位であり、そしてaは1~99の整数である。
【化3】
【0025】
アクリル系ポリフェニレンエーテルの構造は構造式(B)に示すものである:
【化4】
【0026】
R1~R8は、アリル基、水素基、又は炭素数1~6のアルキル基、又は上述した基から選択された1つ以上であってよい。XはO(酸素原子)又は下記に示す構成単位であってよい。
【化5】
P2は下記に示す構成単位であり、bは1~99の整数である。
【化6】
【0027】
ポリフェニレンエーテルの特定の例には、ビスヒドロキシポリフェニレンエーテル樹脂(例えば、SABICから入手可能なSA-90)、ビニルベンジルポリフェニレンエーテル樹脂(例えば、三菱ガス化学から入手可能なOPE-2st)、メタクリレートポリフェニレンエーテル樹脂(例えば、SABICから入手可能なSA-9000)、ビニルベンジル変性ビスフェノールAポリフェニレンエーテル樹脂、又はビニル基鎖延長ポリフェニレンエーテル樹脂を含むが、これらに限定されない。上述したポリフェニレンエーテルはビニルポリフェニレンエーテルであることが好ましい。
【0028】
ハロゲンフリー難燃剤
本実施形態において、ハロゲンフリー難燃剤の特定の例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、レゾルシノールジホスフェート(RDP)、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート(BPAPP)、ビスフェノールAビス(ジメチル)ホスフェート(BBC)、レゾルシノールジホスフェート(CR-733S)、又はレゾルシノール-ビス(ジ-2,6-ジメチルフェニルホスフェート)(PX-200)といったリン酸エステルから選択されたリン系難燃剤であってよく、ポリジ(フェノキシ)ホスファゼン(SPB-100)、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン(MPP、即ちポリリン酸メラミン)、又はメラミンシアヌレートといったホスファゼンから選択されてよく、DOPO(例えば構造式(C))、DOPO-HQ(例えば構造式(D))、二重DOPO由来の構造(例えば構造式(E))等といったDOPO系の難燃剤の1つ以上の組合せから選択されてよく、又はアルミニウム含有次亜リン酸塩(例えば構造式(F))であってよい。ハロゲンフリー難燃剤の添加量は、例えば20phr~50phrである。
【化7】
【0029】
球状シリカ
本実施形態において、球状シリカは、電気特性を低下させて流動性と充填性を維持するため、合成法によって調製することが好ましい。球状シリカは、アクリル又はビニルの表面改質を有し、純度99.0%以上を有し、平均粒径D50が約2.0μm~3.0μmである。球状シリカの添加量は、樹脂組成物の総重量に基づき例えば20重量%~50重量%である。
【0030】
シロキサンカップリング剤
本実施形態において、シロキサンカップリング剤はシロキサンを含んでよいが、これに限定されない。加えて、官能基の種類によって、アミノシラン化合物、エポキシドシラン化合物、ビニルシラン化合物、エステルシラン化合物、ヒドロキシシラン化合物、イソシアネートシラン化合物、メタクリルオキシシラン化合物、アクリルオキシシラン化合物に分けられる。シロキサンカップリング剤の添加量は、例えば0.1phr~5phrである。
【0031】
注意すべき点として、本発明の樹脂組成物は、実際の設計要件によってプリプレグ及び銅箔基板(CCL)に加工されてよい。このため、本発明の樹脂組成物を用いて製造されたプリプレグ及び銅箔基板も良好な信頼性を有する(必要とされる電気特性を維持することができる)。いくつかの好ましい実施形態において、該樹脂組成物により製造された基板(又はプリプレグ)の誘電率は約3.0~3.1であり、誘電正接は約0.0015未満であり、超低誘電の電気的仕様を達成する。
【0032】
以下に、本発明の上述した樹脂組成物を実験例にて詳細に説明する。ただし、下記の実験例は本発明を限定することを意図していない。
【0033】
実験例
本発明により提供される新規低誘電樹脂が、低誘電の電気的仕様を達成すると同時に樹脂組成物の流動性及び充填性を維持して樹脂間の相分離を起こさないよう、樹脂組成物の誘電正接及び/又は誘電率を効果的に低下させることを証明するため、以下に実験例を示す。
【0034】
<樹脂組成物の調製>
熱硬化性樹脂組成物のワニスを形成するため、表1に示す樹脂組成物(比較例1、実施例1、実施例2、実施例3を含む)をトルエンと混合し、上記ワニスをガラス繊維布に室温で含浸させ(南亜プラスチック、布タイプ1078LD)、次いで79重量%の樹脂含有量を有するプリプレグを取得するため、170℃で数分間乾燥させた(含浸装置)。最後に、4つのプリプレグを2つの35μmの厚さの銅箔の間で互いに上に積み重ね、圧力25kg/cm及び温度85℃において20分間一定温度に保ち、再び毎分3℃の加熱速度で210℃まで加熱し、再び120分間一定温度に保ち、そして130℃までゆっくり冷却して0.59mmの銅箔基板を取得し、その様々な特性を評価した。
【0035】
<評価方法>
それぞれの実施例及び比較例において製造された銅箔基板を下記方法で評価した。結果は表1に示す。
(1)ガラス転移温度(℃)を動的機械分析装置(DMA)で試験した。
(2)吸水率(%):サンプルを120℃、2atmの圧力釜で120分加熱した後、加熱前後の重量変化を算出した。
(3)288℃でのはんだ耐熱性(秒):サンプルを120℃、2atmの圧力釜で120分加熱した後、288℃のはんだ炉に浸漬し、サンプルが分解して剥離するのに要した時間を記録した。
(4)誘電率(Dk):10GHzの周波数での誘電率Dkを誘電分析装置HPアジレントE4991Aで試験した。
(5)誘電正接(Df):10GHzの周波数での誘電正接Dfを誘電分析装置HPアジレントE4991Aで試験した。
(6)樹脂流動率:200PSI±25PSIで10分間デプレスするため170℃±2.8℃でのプレスを用いた。溶融及び冷却の後、ディスクを打ち抜き、ディスクの重量を正確に量り、樹脂の流出を算出した。
(7)樹脂相分離(スライス分析)
ステップ1:銅箔基板を1cm×1cmのサイズに切断し、樹脂グラウトのための金型に配置した。
ステップ2:樹脂が完全に乾燥して硬化した後、サンプルを研削・研磨した。
ステップ3:サンプルの内部で相分離が存在するか否かを確認するため、OM/SEMといった高解像度顕微鏡でサンプルを分析した。
【0036】
<評価結果>
比較例1及び実施例1~3の配合比率及び特性の評価
【0037】
【表1】
【0038】
表1における配合情報:
ポリフェニレンエーテル樹脂:SA-9000(SABICから購入)
SBS樹脂:SBS(日本曹達から購入)
新規低誘電樹脂:10%~40%のスチレン比率、10%~40%のジビニルベンゼン比率、10%~20%のエチレン比率;Mn:4500~6500
架橋剤:トリアリルイソシアヌル酸
ハロゲンフリー難燃剤:PQ-60(晋一化工から購入)
合成シリカ:EQ2410-SMC(三時紀から購入)
過酸化物:Luf
シロキサンカップリング剤:シロキサン化合物
【0039】
表1から分かるように、比較例1において、従来の液状ゴムの代わりにSBS樹脂を用いており、良好な流動性及び充填性を有し、樹脂間での相分離は発生しておらず、低誘電の電気的仕様を維持している(誘電率が3.06で誘電正接が0.0018)。次に、比較例1と比較し、実施例1~3は従来の液状ゴムの代わりに新規低誘電樹脂を用いており、新規低誘電樹脂の添加量はSBS樹脂が減った比率と概ね等しい。評価結果によると、新規低誘電樹脂の添加量が増加すると、誘電率及び誘電正接が低下し、樹脂組成物の流動性及び充填性にほぼ影響することなく超低誘電の電気的仕様をも達成することができる(実施例3、0.0014の誘電正接を有する)。
【0040】
まとめると、液状ゴムの代わりに新規低誘電樹脂を用いることにより、本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の流動性及び充填性を維持しつつ低誘電の電気的仕様を達成するよう、樹脂組成物の誘電率及び/又は誘電正接を効果的に減少させることができる。
【0041】
本発明を上記の実施形態を参照して説明したが、該実施形態は本開示を限定することを意図していない。当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び改変を行うことができる。このため、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲において定義される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の樹脂組成物は、低誘電の電気的仕様を達成するよう、流動性及び充填性を維持しつつ誘電正接を減少させることに適用することができる。
【外国語明細書】