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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064935
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】カッターシステム
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65B69/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012542
(22)【出願日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2022172775
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058CA01
3E058GA02
3E058GA05
(57)【要約】
【課題】箱内部の収容物を損傷することなく、箱の開梱を可能にする技術を提供する。
【解決手段】一態様に係るカッターシステムは、対象物を切断するための刃と、刃を付勢するための付勢手段と、刃の先端部分の状況を検知するための第2センサと、第2センサが検知した情報に基づいて、付勢手段を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を切断するための刃と、
前記刃を付勢するための付勢手段と、
前記刃の先端部分の状況を検知するための第2センサと、
前記第2センサが検知した情報に基づいて、前記付勢手段を制御する制御部と、
を備えるカッターシステム。
【請求項2】
ユーザの操作を検知するための第1センサをさらに備え、
前記制御部は、前記第1センサ及び前記第2センサが検知した情報に基づいて、前記付勢手段を制御する、
請求項1に記載のカッターシステム。
【請求項3】
前記第2センサは、レーザーセンサ、光センサ、画像処理ユニットのいずれかを含む、
請求項1に記載のカッターシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2センサが検知した情報に基づいて、前記刃の先端部分が切断対象物の内部又は手前に位置すると判断したとき、前記刃が前記カッターシステムの外側方向に付勢されるよう前記付勢手段を制御する、
請求項1に記載のカッターシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2センサが検知した情報に基づいて、前記刃の先端部分が切断対象物をちょうど貫通した部分に位置すると判断したとき、前記刃の付勢を停止するよう前記付勢手段を制御する、
請求項4に記載のカッターシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2センサが検知した情報に基づいて、前記刃の先端部分が切断対象物を超えた部分に位置すると判断したとき、前記刃が前記カッターシステムの内側方向に付勢されるよう前記付勢手段を制御する、
請求項5に記載のカッターシステム。
【請求項7】
前記第1センサは、スイッチ又は圧力センサを含み、
前記制御部は、前記第1センサが検知した情報に基づいて、前記付勢手段を駆動するか否かを制御する、
請求項2に記載のカッターシステム。
【請求項8】
前記対象物において前記刃により切断される部分を照射する照射部を更に備える
請求項1に記載のカッターシステム。
【請求項9】
前記刃、及び前記付勢手段を内部に収容し、底部に開口部を有する筐体と、
前記筐体の前記開口部を閉塞するように設けられ、前記刃を通すことが可能な孔を有する抑え部と、を備え、
前記筐体、及び前記抑え部は、透明な材料により形成されている
請求項1に記載のカッターシステム。
【請求項10】
前記刃、及び前記付勢手段を内部に収容し、底部に開口部を有する筐体と、
前記筐体の前記開口部を閉塞するように設けられ、前記刃を通すことが可能な孔を有する抑え部と、を備え、
前記抑え部は、前記対象物に対して滑り性を有する材料により形成されている
請求項1に記載のカッターシステム。
【請求項11】
前記刃、及び前記付勢手段を内部に収容し、底部に開口部を有する筐体と、
前記筐体の前記開口部を閉塞するように設けられ、前記刃を通すことが可能な孔を有する抑え部と、を備え、
前記抑え部には、ローラが設けられている
請求項1に記載のカッターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロジスティクスの高度化・自動化が進んでいる。例えば、特許文献1には、容器入りケースの開梱作業およびケースと容器との分別作業を自動化および高速化することができるケース開梱分別装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-128136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方で、例えば段ボール箱を開梱する際は、カッターナイフを用いて人手で開梱することがある。このとき、カッターナイフの力加減を誤ると、段ボール箱の内部に収容された物を損傷するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、箱内部の収容物を損傷することなく、箱の開梱を可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るカッターシステムは、対象物を切断するための刃と、刃を付勢するための付勢手段と、刃の先端部分の状況を検知するための第2センサと、第2センサが検知した情報に基づいて、付勢手段を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、箱内部の収容物を損傷することなく、箱を開梱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るカッターシステム1のシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係るカッターシステム1の制御系の構成の一例を示す図である。
図3図3は、カッターシステム1を用いて対象物を切断する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、切断処理を開始したときの一例を示す図である。
図5図5は、刃30の先端部分が切断対象物Dの内部に位置するときの一例を示す図である。
図6図6は、刃30の先端部分が切断対象物Dをちょうど貫通した部分に位置するときの一例を示す図である。
図7図7は、刃30の先端部分が切断対象物Dを超えた部分に位置するときの一例を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係るカッターシステム1の制御系の構成の一例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係るカッターシステム1のシステム構成の一例を示す図である。
図10図10は、第2実施形態の制御部により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、切断処理を開始する直前の一例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態の第2変形例に係るカッターシステム1のシステム構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るカッターシステム1のシステム構成の一例を示す図である。図1に示すカッターシステム1は、筐体10と、抑え部20と、刃30と、制御部50と、第1センサ60と、第2センサ70と、付勢手段80とを備える。また、図示しないが、制御部50等を駆動するための電源を備えてもよい。
【0011】
筐体10は、カッターシステム1を構成する刃30と、制御部50と、第1センサ60と、第2センサ70と、付勢手段80等を収容するためのケースである。筐体10の底部には開口部が設けられている。
【0012】
抑え部20は、筐体10の底部に設けられる開口部を閉塞するように設けられている。抑え部20は、カッターシステム1を用いて対象物を切断する際に、対象物に押し当てる部分である。抑え部20の一部は、刃30を通すことのできる孔21が空いていて、当該孔21を介して刃30の先端部分を、抑え部20よりもカッターシステム1の本体からみて外側(図1では下側)に出すことができるようになっている。
【0013】
刃30は、対象物を切断するための刃であり、対象物を切断することのできる形状及び材質で構成される。例えば、カッターナイフの刃と同様の形状及び材質を用いてもよい。本実施形態において、刃30は中空の2枚刃構造を有するものとするが、これに限られず、1枚刃であってもよい。
【0014】
制御部50は、第1センサ60及び/又は第2センサ70が検知した情報に基づいて、付勢手段80を制御することで、刃30による対象物の切断処理を実行する。例えば、制御部50は、第1センサ60が検知した情報に基づいて、付勢手段80を駆動するか否かを制御してよい。また、制御部50は、第2センサ70が検知した情報に基づいて、付勢手段80を駆動する向きを制御してよい。
【0015】
第1センサ60は、ユーザの操作を検知するためのセンサである。第1センサ60は、付勢手段80を駆動するためのセンサであり、例えばスイッチや圧力センサであってよい。例えば、第1センサ60としてスイッチを用いる場合、ユーザがスイッチをオンすると、付勢手段80が駆動され、刃30をカッターシステム1の外側方向に付勢する。これにより、刃30が外側に向けて動き始める。また、第1センサ60として圧力センサを用いる場合、ユーザがセンサにかける圧力に応じて、付勢手段80による付勢の速度や力を変えるものとしてよい。
【0016】
また、第1センサ60を抑え部20の内部又は外部に設置し、ユーザが抑え部20を対象物に押し当てることで、第1センサ60を反応させるように構成してもよい。これにより、カッターシステム1の抑え部20を切断対象物に押し当てることで、付勢手段80が駆動されるため便宜である。
【0017】
なお、制御部50は、第1センサ60がオンされている(例えば、ボタンを押し続ける)ことを条件として、付勢手段80を駆動させることとしてよい。このとき、ユーザが第1センサ60をオフにすることで、切断処理が停止される。また、制御部50は、第1センサ60がオンされたとき(例えば、ボタンを1回押したとき)に、付勢手段80の駆動と停止を切り替えることとしてよい。このとき、ユーザは第1センサ60を操作するたびに、切断処理のオンとオフを切り替えることができる。
【0018】
第2センサ70は、刃30の先端部分の状況を検知するためのセンサである。第2センサ70は、光、電磁波又は画像を利用したセンサであってよく、例えば、レーザーセンサ、光センサ、画像処理ユニット(MoPU:Motion Processing Unit)のいずれかであってよい。画像処理ユニットは、毎秒1000フレームの画像をキャプチャできる高速画像処理ユニット用いることが好適である。
【0019】
本実施形態では、第2センサ70は、中空2枚刃構造の刃30の内部(2枚刃の刃と刃の間)に設置され、刃30の先端部分をセンシングする。これにより、刃30の先端部分、すなわち切断対象部と刃30の接点となる部分の状況を検知する。なお、第2センサ70の設置位置はこれに限られず、刃30の先端部分の状況を検知することができれば任意の部位に設置することができる。例えば、刃30の先端部分に第2センサ70を埋め込む、あるいは、貼り付けてもよい。また、抑え部20の孔21の周辺を観測できる位置に第2センサ70を設置してもよい。
【0020】
付勢手段80は、刃30を付勢するための構成であり、例えば、アクチュエータであってよい。制御部50の制御により、付勢手段80は、刃30をカッターシステム1の外側方向(図1では下側方向)及び内側方向(図1では上側方向)に付勢し、これにより、刃30を外側方向及び内側方向に移動させることができる。また、制御部50の制御により、付勢手段80は、刃30への付勢を停止し、所定の位置で刃30を保持することができる。
【0021】
図2は、本実施形態に係るカッターシステム1の制御系の構成の一例を示す図である。制御部50は、例えば、プロセッサ52とメモリ54とを含む。
【0022】
プロセッサ52は、カッターシステム1全体の動作を制御する。プロセッサ52として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はマイコン(マイクロコントローラ)等を用いることができる。プロセッサ52は、メモリ54に記憶されたプログラムを実行することで、カッターシステム1全体の動作を制御する制御部として機能する。
【0023】
メモリ54は、プロセッサ52により実行される各種プログラムや各種データを記憶する。メモリ54には、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置、及びHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置が含まれ得る。各種データとして、例えば、第1センサ60及び第2センサ70が検知した情報に基づいて付勢手段80を制御するためのパターンデータを含む。パターンデータには、例えば、第1センサ60及び第2センサ70の検知した情報と、付勢手段80により付勢する大きさや量とを対応付けたデータ等が含まれ得る。
【0024】
図3は、カッターシステム1を用いて対象物を切断する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、切断対象物Dが段ボール箱であるものし、カッターシステム1を用いて、段ボール箱を開梱する処理を例に説明する。なお、図3には記載していないが、ユーザは、カッターシステム1の抑え部20を切断対象物Dに押し当てた状態であるものとする。その上で、ユーザは、第1センサ60をオンして、付勢手段80の駆動を開始させる。
【0025】
図4は、切断処理を開始したときの一例を示す図である。切断処理を開始したとき、すなわち、カッターシステム1の抑え部20を切断対象物Dに押し当てた状態で第1センサ60をオンしたとき、刃30はカッターシステム1の筐体10の内部に位置し、付勢手段80により、刃30がカッターシステム1の外側方向に付勢させる。これにより、刃30が外側方向に移動する。
【0026】
図3に戻り、制御部50は、第2センサ70から刃30の先端部分の状況に関するセンシングデータを取得する(ステップS101)。
【0027】
制御部50は、第2センサ70が検知した情報に基づいて、刃30の先端部分が切断対象物Dの内部又は手前に位置するか否かを判断する(ステップS102)。例えば、第2センサ70から得られたセンシングデータが、刃30の先端部分に切断対象物Dが存在することを示すとき、刃30の先端部分は切断対象物Dの内部に位置するものと判断することができる。また、第2センサ70から得られたセンシングデータが、刃30の先端部分より先に切断対象物Dが存在することを示すとき、刃30の先端部分は切断対象物Dの手前に位置するものと判断することができる。
【0028】
刃30の先端部分が切断対象物Dの内部又は手前に位置すると判断したとき(ステップS102:Yes)、制御部50は、刃30をカッターシステム1の外側方向に付勢するよう付勢手段80を制御する(ステップS103)。
【0029】
図5は、刃30の先端部分が切断対象物Dの内部に位置するときの一例を示す図である。刃30はカッターシステム1の外側方向に付勢され、これにより、刃30が外側方向に移動する。
【0030】
図3に戻り、制御部50は、第2センサ70が検知した情報に基づいて、刃30の先端部分が切断対象物Dをちょうど貫通した部分に位置するか否かを判断する(ステップS104)。例えば、第2センサ70から得られたセンシングデータの履歴が、それまで刃30の先端部分に切断対象物Dが存在することを示していたが、今回第2センサ70から得られたセンシングデータが、刃30の先端部分に切断対象物Dが存在しないことを示すとき、刃30の先端部分が切断対象物Dをちょうど貫通したと判断することができる。また、例えば、このときの刃30の位置をメモリ54に記憶することで、刃30の先端部分が切断対象物Dをちょうど貫通した部分に位置するか否かを判断してよい。
【0031】
刃30の先端部分が切断対象物Dをちょうど貫通した部分に位置すると判断したとき(ステップS104:Yes)、制御部50は、刃30の付勢を停止するよう付勢手段80を制御する。これにより、刃30の位置が保持される(ステップS105)。
【0032】
図6は、刃30の先端部分が切断対象物Dをちょうど貫通した部分に位置するときの一例を示す図である。刃30の付勢が停止され、これにより、刃30が切断対象物Dをちょうど貫通する位置に保持される。
【0033】
図3に戻り、制御部50は、第2センサ70が検知した情報に基づいて、刃30の先端部分が切断対象物Dを超えた部分に位置するか否かを判断する(ステップS106)。例えば、第2センサ70から得られたセンシングデータの履歴が、それまでは30の先端部分に対象物等が存在しないことを示していたが、今回第2センサ70から得られたセンシングデータが、切断対象物Dの内部の収容物を検知したとき、刃30の先端部分が切断対象物Dを超えた部分に位置すると判断することができる。
【0034】
刃30の先端部分が切断対象物Dを超えた部分に位置すると判断したとき(ステップS106:Yes)、刃30がカッターシステム1の内側方向に付勢されるよう付勢手段80を制御する(ステップS107)。
【0035】
図7は、刃30の先端部分が切断対象物Dを超えた部分に位置するときの一例を示す図である。刃30はカッターシステム1の内側方向に付勢され、これにより、刃30が内側方向に移動する。
【0036】
以上説明したとおり、本カッターシステム1を利用して対象物を切断することで、切断者の技能に頼ることなく、また、箱内部の収容物を損傷するおそれ無く、容易に箱を開梱することができる。
【0037】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のカッターシステム1について説明する。以下、第1実施形態のカッターシステム1との相違点を中心に説明する。
【0038】
図8に示されるように、本実施形態のカッターシステム1では、第2センサ70に照射装置71が設けられている。図9に二点鎖線で示されるように、照射装置71は、刃30の先端部の隙間から下方に向かって有色の光、例えば赤色の光を射出する。照射装置71は、例えばLEDを光源とする装置である。本実施形態では、照射装置71が照射部に相当する。
【0039】
図8に示されるように、第1センサ60には照射スイッチ61が設けられている。照射スイッチ61は、照射装置71のオン及びオフを切り替えることが可能なスイッチである。照射スイッチ61がオン状態である場合には照射装置71が光を射出し、照射スイッチ61がオフ状態である場合には照射装置71が光を射出しない。
【0040】
本実施形態のカッターシステム1では、筐体10及び抑え部20が透明な材料、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、及びアクリル樹脂のいずれかにより形成されている。
図10は、本実施形態の制御部50により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、制御部50は、図10に示される処理を所定の周期で繰り返し実行する。
【0041】
図10に示されるように、制御部50は、まず、照射スイッチ61がオン状態であるか否かを判断する(ステップS200)。制御部50は、照射スイッチ61がオン状態である場合には(ステップS200:YES)、照射装置71を駆動させて(ステップS201)、照射装置71から光を射出させる。
【0042】
図11は、照射装置71から光が射出されているときの一例を示す図である。図11に示されるように、照射装置71から射出された光は、刃30の先端部の隙間を通じて対象物Dに照射される。これにより、ユーザは、対象物Dにおいて刃30により切断される部分を視認することができる。また、照射装置71から射出された光を、対象物Dにおいて切断したい箇所である切断対象箇所に合わせれば、対象物Dの切断対象箇所の上方に刃30を位置させることができる。その際、筐体10及び抑え部20が透明な材料により形成されているため、ユーザは、筐体10及び抑え部20を介して、対象物Dにおいて光が照射されている部分を確認することができる。その状態でカッターシステム1を対象物Dに接近させることにより、カッターシステム1を対象物Dに接触させた際に、より確実に対象物Dの切断対象箇所に刃30を当てることができる。
【0043】
図10に示されるように、制御部50は、照射スイッチ61がオフ状態である場合には(ステップS200:NO)、照射装置71を停止させる(ステップS202)。
制御部50は、ステップS201の処理又はステップS202の処理を実行した場合には、第1センサ60がオン状態であるか否かを判断する(ステップS203)。第1センサ60がオフ状態である場合、すなわち付勢手段80を駆動させる操作がユーザにより行われていない場合には、制御部50は、第1センサ60がオン状態でないと判断して(ステップS203:NO)、図10に示される処理を一旦終了する。
【0044】
制御部50は、第1センサ60がオン状態である場合には(ステップS203:YES)、切断処理を実行する(ステップS204)。切断処理は、図3に示される処理と同一の処理である。なお、本実施形態の制御部50は、図3に示されるステップS106の処理において否定的な判断を行った場合(ステップS106:NO)、あるいはステップS103,S105,S107のいずれかの処理を実行した場合、図3に示される処理を一旦終了する。この場合、図10に示されるように、制御部50は、ステップS204の切断処理を終了して、第1センサ60がオフ状態であるか否かを判断する(ステップS205)。第1センサ60がオン状態のままである場合、制御部50は、第1センサ60がオフ状態でないと判断して(ステップS205:NO)、ステップS204の切断処理を実行する。したがって、第1センサ60がオン状態である期間、ステップS204の切断処理が繰り返し実行されることにより、図4図7に示されるように刃30が変位して、刃30により対象物Dが切断される。
【0045】
その後、ユーザが第1センサ60をオフ状態に切り替えたとすると、制御部50は、第1センサ60がオフ状態であると判断する(ステップ205:YES)。この場合、制御部50は、付勢手段80を停止させて(ステップS206)、図10に示される処理を一旦終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のカッターシステム1は、対象物Dにおいて刃30により切断される部分を照射する照射装置71を備える。この構成によれば、ユーザは対象物Dの所望の箇所に刃30を的確に当てることが可能となる。
また、本実施形態のカッターシステム1では、筐体10及び抑え部20が透明な材料により形成されている。この構成によれば、ユーザが、対象物Dにおいて光が照射されている部分を筐体10及び抑え部20を介して確認することができるため、利便性を向上させることができる。
【0047】
(第1変形例)
次に、第2実施形態のカッターシステム1の第1変形例について説明する。
本変形例のカッターシステム1では、抑え部20が、対象物Dに対して滑り性を有する材料、例えばフッ素樹脂により形成されている。
この構成によれば、抑え部20を対象物Dに接触させた際に、対象物Dに対してカッターシステム1を相対変位させ易くなるため、刃30により対象物Dを切断し易くなる。
【0048】
(第2変形例)
次に、第2実施形態のカッターシステム1の第2変形例について説明する。
本変形例のカッターシステム1では、図12に示されるように、抑え部20にローラ90が設けられている。
この構成によれば、上記の第1変形例と同様に、抑え部20を対象物Dに接触させた際に、対象物Dに対してカッターシステム1を相対変位させ易くなるため、刃30により対象物Dを切断し易くなる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記の具体例に限定されるものではない。
例えば、第2実施形態のカッターシステム1では、照射スイッチ61がオフ操作された際に照射装置71からの光の照射を停止させることとしたが、これに代えて、照射スイッチ61のオン操作に基づいて照射装置71から光を射出した後に、照射装置71からの光の照射を自動的に停止してもよい。一例としては、制御部50は、刃30の先端部分が対象物Dに接触したことを第2センサ70により検知したときに、照射装置71からの光の照射を自動的に停止する。これにより、ユーザが照射スイッチ61をオフ操作する手間を省くことが可能であるため、操作性を向上させることができる。
【0050】
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。したがって、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、前述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 カッターシステム
10 筐体
20 抑え部
21 孔
30 刃
50 制御部
52 プロセッサ
54 メモリ
60 第1センサ
70 第2センサ
71 照射装置(照射部)
80 付勢手段
90 ローラ
D 切断対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12