(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064955
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】生体粒子分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20240507BHJP
G01N 15/01 20240101ALI20240507BHJP
G01N 15/00 20240101ALI20240507BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240507BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20240507BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240507BHJP
G01N 1/30 20060101ALI20240507BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G01N1/28 J
G01N15/00 B
G01N15/00 C
G01N33/50 Z
G01N33/483 C
G01N1/00 101N
G01N1/30
G01N1/00 101K
G01N21/64 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073893
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】63/419,834
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523161114
【氏名又は名称】醫華生技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CYTOAURORA BIOTECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 忠諤
(72)【発明者】
【氏名】陳 聖文
(72)【発明者】
【氏名】何 信呈
(72)【発明者】
【氏名】葉 光騏
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043BA17
2G043CA04
2G043DA02
2G043EA01
2G043LA03
2G045BA13
2G045BB24
2G045FA19
2G045FB12
2G052AA28
2G052AA40
2G052AB11
2G052AB16
2G052AD09
2G052AD29
2G052AD49
2G052BA14
2G052CA02
2G052CA03
2G052CA04
2G052CA18
2G052FA09
2G052FC02
2G052FC04
2G052FC11
2G052FC15
2G052FC18
2G052GA11
2G052GA28
2G052GA29
2G052GA32
(57)【要約】
【課題】本発明は、生体粒子分析方法を提供する。
【解決手段】
生体粒子分析方法は、少なくとも1つの標的生体粒子に蛍光色を与えるように、染色プロセスで液体検体を蛍光染色する工程と、微小液滴生成装置で前記液体検体を収容すると共に、カメラ装置で前記液体検体の即時映像を得る工程と、前記即時映像によって、前記微小液滴生成装置でバイオチップに、前記標的生体粒子を含む標的微小液滴を滴下する工程と、洗浄プロセスで前記標的微小液滴の前記標的生体粒子の前記蛍光色を除去する工程と、前記染色プロセス及び前記洗浄プロセスによって、前記バイオチップにある前記標的生体粒子に複数回蛍光染色すると共に、複数種の生物特性に対応する複数の蛍光画像を得る工程と、を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光染色プロセスで複数個の生体粒子を含む液体検体(liquid specimen)を蛍光染色することによって、複数個の前記生体粒子の少なくとも1つの前記生体粒子に蛍光色を与えて、標的生体粒子にする、染色工程と、
微小液滴生成装置で蛍光染色を行った前記液体検体を収容すると共に、カメラ装置で前記微小液滴生成装置に収容された前記液体検体の即時映像を得る、分析工程と、
前記即時映像によって、前記微小液滴生成装置でバイオチップ(biochip)に、少なくとも1つの前記標的生体粒子を含む標的微小液滴を滴下する工程であって、前記バイオチップで前記標的微小液滴に含まれた少なくとも1つの前記標的生体粒子を捕捉する、捕捉工程と、
洗浄プロセスで前記バイオチップに捕捉された少なくとも1つの前記標的生体粒子の前記蛍光色を除去する、洗浄工程と、
前記蛍光染色プロセス及び前記洗浄プロセスによって、前記バイオチップに捕捉された少なくとも1つの前記標的生体粒子にN回蛍光染色すると共に、記録装置でN種の生物特性表現(biological characterization expression)に対応する複数の蛍光画像を得る工程であって、Nは2~50の正整数である、特性表示工程(characterization expressing step)と、を含むことを特徴とする、生体粒子分析方法。
【請求項2】
前記微小液滴生成装置は、前記中空針及び前記中空針の外面に配置された底部圧電部材を含み、
前記捕捉工程において、前記微小液滴生成装置は、前記底部圧電部材で前記中空針を搾ることによって、前記液体検体を外に流動させると共に、前記中空針の自由端を通過して前記微小液滴を形成する、請求項1に記載の生体粒子分析方法。
【請求項3】
前記分析工程において、前記カメラ装置は、前記自由端における液体検体の即時映像を得ることを含み、
前記捕捉工程において、前記底部圧電部材及び前記カメラ装置に電気的に接続する制御装置は、前記即時映像によって、少なくとも1つの前記標的生体粒子が前記自由端にある際に、前記底部圧電部材を駆動する、請求項2に記載の生体粒子分析方法。
【請求項4】
前記微小液滴生成装置は、前記液体検体を収容するための容器と、前記容器に配置された上部圧電部材と、を備え、
前記中空針は、前記容器の底面にお互いに連通するように接続し、
前記上部圧電部材は、前記容器を振動することによって、前記容器における複数個の前記生体粒子を、前記中空針を通過した所定のパスに沿って配列される、請求項1に記載の生体粒子分析方法。
【請求項5】
前記染色工程において、前記蛍光染色された前記液体検体は、載せ台に設置された検体容器に収容され、
前記分析工程において、前記微小液滴生成装置は、前記載せ台との相対的移動によって、前記自由端で前記検体容器から前記液体検体を吸い、
前記バイオチップ及び廃棄物容器は前記載せ台に設置され、
前記微小液滴生成装置は、前記載せ台との相対的移動によって、前記標的微小液滴を前記バイオチップに滴下させ、前記標的生体粒子を含まない廃棄微小液滴を前記廃棄物容器に滴下させる、請求項2に記載の生体粒子分析方法。
【請求項6】
前記バイオチップは、底層と、前記底層に連接し且つお互いに間を開けて設置された複数本のキャプチャーアームと、複数本の前記キャプチャーアームの末端に形成された表面改質層と、を備え、
前記捕捉工程において、前記バイオチップは、複数本の前記キャプチャーアーム及び前記表面改質層で、少なくとも1つの前記標的生体粒子を捕捉する、請求項1に記載の生体粒子分析方法。
【請求項7】
前記表面改質層は更にアルギニルグリシルアスパラギン酸(Arginylglycylaspartic acid,RGD)ペプチド層に限定される、請求項6に記載の生体粒子分析方法。
【請求項8】
前記捕捉工程において、前記バイオチップは、少なくとも2つの前記キャプチャーアームを前記底層に対して弾性的にスイングすることで、少なくとも1つの前記標的生体粒子を挟持する、請求項6に記載の生体粒子分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体粒子分析方法に関し、特に、多重蛍光染色による生体粒子分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生体粒子の分析方法は、生体粒子が存在する液体検体から始め最終的な生体特性を得るまでに、お互いにスムーズに繋がることができない複数のプロセスを経る必要がある。更に説明すると、従来の分析方法における各段階において、様々な複数種のプロセスが存在するため、異なるプロセスをスムーズに繋がることが更に困難となる。
【0003】
そこで、本発明者は、上述した問題が改善可能であることに鑑みて、鋭意研究を行い学理を併せて運用した結果、設計が合理的で且つ前記問題を効果的に改善することができる方法として本発明に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の分析方法における問題を効果的に改良する、生体粒子分析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態において、生体粒子分析方法を提供する。生体粒子分析方法は、蛍光染色プロセスで複数個の生体粒子を含む液体検体(liquid specimen)を蛍光染色することによって、複数個の生体粒子の少なくとも1つの生体粒子に蛍光色を与えて、標的生体粒子にする、染色工程と、微小液滴生成装置で前記蛍光染色を行った前記液体検体を収容すると共に、カメラ装置で前記微小液滴生成装置に収容された前記液体検体の即時映像を得る、分析工程と、前記即時映像によって、前記微小液滴生成装置でバイオチップ(biochip)に、少なくとも1つの前記標的生体粒子を含む標的微小液滴を滴下する工程であって、前記バイオチップで前記標的微小液滴に含まれた少なくとも1つの前記標的生体粒子を捕捉する、捕捉工程と、洗浄プロセスで前記バイオチップに捕捉された少なくとも1つの前記標的生体粒子の前記蛍光色を除去する、洗浄工程と、前記蛍光染色プロセス及び前記洗浄プロセスによって、前記バイオチップに捕捉された前記標的生体粒子にN回蛍光染色すると共に、記録装置でN種の生物特性表現(biological characterization expression)に対応する複数の蛍光画像を得る工程であって、Nは2~50の正整数である、特性表示工程(characterization expressing step)と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
上述したように、本発明の実施形態に係る生体粒子分析方法は、前記染色工程及び前記分析工程によって、前記捕捉工程を実施する際に濃縮効果を果たせる。尚、前記生体粒子分析方法は、前記標的生体粒子を捕捉した前記バイオチップによって、前記捕捉工程、前記洗浄工程及び前記特性表示工程を効果的に繋がることができ、それによって、前記生体粒子分析方法を介して前記液体検体から複数種の生物特性表現に対応する複数の蛍光画像を得られて、前記標的生体粒子の評価と判断に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る生体粒子分析方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る識別システムを示す立体模式図である。
【
図3】染色工程において前記識別システムの側面模式図である。
【
図4】
図3に示す蛍光染色プロセスの模式図である。
【
図5】分析工程において前記識別システムの側面模式図である。
【
図7】前記識別システムのカメラ装置で微小液滴生成装置の内部の即時映像の模式図である。
【
図8】捕捉工程において前記識別システムの側面模式図である。
【
図10】前記識別システムのバイオチップで標的生体粒子を捕捉する模式図である。
【
図11】前記識別システムのバイオチップは、もう1つの構造で標的生体粒子の模式図である。
【
図12】前記識別システムの前記微小液滴生成装置が廃棄微小液滴を生成する模式図である。
【
図13】洗浄工程において前記識別システムの側面模式図である。
【
図14】特性表示工程において前記識別システムの側面模式図である。
【
図15】前記識別システムの前記カメラ装置及び前記微小液滴生成装置の部分断面図である。
【
図16】本発明の第二実施形態に係る識別システムの側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴及び技術内容をより一層理解できるように、以下の本発明に係る詳細な説明と図面を参照するが、提供される説明と図面は、ただ参照と説明のためのものであり、本発明を制限することはない。
【0009】
以下、所定の具体的な実施態様によって本発明の「生体粒子分析方法」を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。
【0010】
理解すべきことは、本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」といった用語を用いて各種の素子又は信号を叙述することがあるが、これらの素子又は信号は、これらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は主に、1つの素子ともう1つの素子、又は1つの信号ともう1つの信号を区別するためのものである。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つ又は複数の組み合わせを含むことがある。
【0011】
[第一実施形態]
図1~
図15は、本発明の第一実施形態を示す。
図1及び
図2に示すように、本実施形態において、生体粒子分析方法S100及び識別システム100を提供する。そのうち、前記識別システム100は、生体粒子分析方法S100に応用すると共に、前記識別システム100の具体的な配置は、設計の要求に応じて調整することができるので、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、本発明の図面で示されていない他の実施形態において、前記生体粒子分析方法S100も、前記識別システム100と異なる構造を介して実施することができる。
【0012】
本実施形態において、前記識別システム100は、多重蛍光染色装置1と、微小液滴生成装置21と、前記微小液滴生成装置21に対応するカメラ装置23と、前記多重蛍光染色装置1及び前記微小液滴生成装置21を連接するためのバイオチップ22(biochip)と、を備える。そのうち、前記多重蛍光染色装置1は、染色装置11と、前記染色装置11の隣にある洗浄装置12と、位置が前記染色装置11に対応する記録装置13(例えば、カメラ)とを含んでもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0013】
図1、
図3~
図14に示すように、本実施形態において、前記生体粒子分析方法S100は、染色工程S110と、分析工程S120と、捕捉工程S130と、洗浄工程S140と、特性表示工程S150とを、この順に含むことによって、複数個の生体粒子201を含む液体検体200(liquid specimen)において、標的生体粒子201aの濃縮(enrichment)及び多様の生物特性表現(biological characterization expression)を効果的に実現することができる。即ち、前記複数の工程を順に実行できない方法はいずれも、本実施形態に係る前記生体粒子分析方法S100と異なっている。
【0014】
前記染色工程S110においては、
図1、
図3及び
図4に示すように、蛍光染色プロセスで前記液体検体200を蛍光染色することによって、複数個の前記生体粒子201の少なくとも1つに生物特性に対応する蛍光色を与えて、前記標的生体粒子201aにする。即ち、複数個の前記生体粒子201は、前記標的生体粒子201a及び他の非標的生体粒子201bに分けられる。
【0015】
本実施形態において、前記液体検体200は、検体容器26に収容される。また、前記蛍光染色プロセスは、前記多重蛍光染色装置1の前記染色装置11によって、前記検体容器26における前記液体検体200に対して実施するが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、本発明の図面なしの他の実施形態において、前記検体容器26における前記液体検体200は、前記染色装置11以外の方法で染色されてもよい。このように、前記蛍光染色された前記液体検体200は、前記検体容器26に収容される。
【0016】
尚、前記液体検体200は、動物由来の体液検体(例えば、血液、リンパ液、唾液、腹水、又は尿)であってもよく、前記標的生体粒子201aは、特定の種類の細胞、例えば、循環腫瘍細胞(circulating tumor cells,CTC)、胎児有核赤血球(fetal nucleated red blood cells,FNRBC)、エクソソーム(exosomes)、ウイルス、または細菌であってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、本発明の図面なしの他の実施形態において、前記液体検体200は、植物由来の液体検体であってもよい。
【0017】
前記分析工程S120においては、
図1、
図5及び
図7に示すように、微小液滴生成装置21で前記蛍光染色を行った前記液体検体200を収容すると共に、前記カメラ装置23で前記微小液滴生成装置21における前記液体検体200の即時映像を得る。本実施形態において、微小液滴生成装置21は前記検体容器26から前記液体検体200を取得すると共に、前記カメラ装置23で前記即時映像を得ることによって、前記蛍光色を呈する前記標的生体粒子201aの即時の位置を得られる。
【0018】
前記捕捉工程S130においては、
図1、
図8~
図12に示すように、前記即時映像によって、前記微小液滴生成装置21で前記バイオチップ22に、少なくとも1つの前記標的生体粒子201aを含む標的微小液滴202aを滴下する。即ち、本実施形態において、前記微小液滴生成装置21で前記液体検体200から滴下された微小液滴202(pico-droplet)は、前記標的微小液滴202a、及び前記標的生体粒子201aを含まない廃棄微小液滴202bに分けられる。説明すべきことは、本実施形態において、前記非標的生体粒子201bを含むものの、前記標的微小液滴202aを含まない液滴202は、前記廃棄微小液滴202bとして定義される。
【0019】
更に説明すると、前記微小液滴生成装置21で滴下された前記微小液滴202は、前記即時映像で少なくとも1つの前記標的生体粒子201aを含むか否かを確認することができる。それによって、前記バイオチップ22で前記標的微小液滴202aの少なくとも1つの前記標的生体粒子201aを捕捉するように、前記標的微小液滴202aのそれぞれが前記バイオチップ22に正確に滴下し、また、前記廃棄微小液滴202bは廃棄物容器27に滴下されることによって、前記標的生体粒子201aの濃縮を効果的に実現する。
【0020】
説明すべきことは、本実施形態において、前記バイオチップ22は半導体プロセスで製造されて形成されると共に、前記バイオチップ22の具体的な構造は、設計の必要に応じて調整することができる。理解しやすくするために、以下にて、前記バイオチップ22の中の一種の優れた捕捉効果を果たせる構造を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0021】
具体的に説明すると、
図10及び
図11に示すように、前記バイオチップ22は、前記標的微小液滴202aを担持することとして用いられると共に、前記バイオチップ22は、前記標的微小液滴202aに含まれた少なくとも1つの前記標的生体粒子201aを捕捉することができる。前記バイオチップ22は、底層221と、前記底層221に連接し且つお互いに間を開けて設置された複数本のキャプチャーアーム222と、複数本の前記キャプチャーアーム222の末端に形成された表面改質層223と、を備える。前記捕捉工程S130において、前記バイオチップ22は、複数本のキャプチャーアーム222及び前記表面改質層223で、少なくとも1つの前記標的生体粒子201aを捕捉することができる。
【0022】
より詳しく説明すると、好ましくは、前記表面改質層223は更にアルギニルグリシルアスパラギン酸(Arginylglycylaspartic acid,RGD)ペプチド層に限定され、それによって、化学結合で前記標的生体粒子201aを捕捉するが、本発明はこれに制限されるものではない。尚、
図11に示すように、前記バイオチップ22は、少なくとも2つの前記キャプチャーアーム222を前記底層221に対して弾性的にスイングすることで、少なくとも1つの前記標的生体粒子201aを挟持して、物理的方法で前記標的生体粒子201aを捕捉することに有利となる。
【0023】
前記洗浄工程S140においては、
図1、
図2及び
図13に示すように、洗浄プロセスで前記バイオチップ22に捕捉された少なくとも1つの前記標的生体粒子201aの前記蛍光色を除去する。本実施形態において、前記洗浄プロセスは、多重蛍光染色装置1の前記洗浄装置12で前記バイオチップ22に捕捉された少なくとも1つの前記標的生体粒子201aに対して実施される。
【0024】
前記特性表示工程S150は、
図1、
図2及び
図14に示すように、前記蛍光染色プロセス及び前記洗浄プロセスによって、前記バイオチップ22に捕捉された少なくとも1つの前記標的生体粒子201aにN回蛍光染色すると共に、前記記録装置13でN種の生物特性表現(biological characterization expression)に対応する複数の蛍光画像を得る。即ち、少なくとも1つの前記標的生体粒子201aの毎回の前記蛍光染色は、1種の前記生物特性表現に対応することができる。本実施形態において、Nは2~50の正整数であり、4~28であることが好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0025】
注意すべきこと、前記バイオチップ22は、手動的手段または自動的手段(例えば、メカニカルアーム)によって、異なる装置(例えば、前記染色装置11、前記洗浄装置12及び載せ台25)の間に移動することができるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0026】
上述したように、本発明の実施形態に係る生体粒子分析方法S100は、前記染色工程S110及び前記分析工程S120によって、前記捕捉工程S130を実施する際に濃縮効果を果たせる。尚、前記生体粒子分析方法S100は、前記標的生体粒子201aを捕捉した前記バイオチップ22によって、前記捕捉工程S130、前記洗浄工程S140及び前記特性表示工程S150を効果的に繋がることができ、それによって、前記生体粒子分析方法S100で前記液体検体200から複数種の生物特性表現に対応する複数の前記蛍光画像を得られて、前記標的生体粒子201aの評価と判断に有利となる。又、前記生体粒子分析方法S100は、前記標的生体粒子201aの生物特性を得るように、複数の蛍光画像を更に重ね合わせることができる。
【0027】
図1、
図2及び
図15に示すように、上述した内容は、前記生体粒子分析方法S100の本実施形態における工程の説明である。更に理解するために、以下にて生体粒子濃縮装置2を説明する。本実施形態において、生体粒子濃縮装置2は、多重蛍光染色装置1と組み合わせて、前記生体粒子分析方法S100を実施するための設備として用いられるが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、本発明で図面なしの他の実施形態において、前記生体粒子濃縮装置2は、単独的に応用(例えば、販売)又は他の装置と組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本実施形態において、前記生体粒子濃縮装置2は、前記微小液滴生成装置21と、位置が前記微小液滴生成装置21に対応する前記バイオチップ22及び前記カメラ装置23と、前記微小液滴生成装置21及び前記カメラ装置23に電気的に接続する制御装置24と、前記バイオチップ22を担持可能で、且つ前記微小液滴生成装置21に対して設置された載せ台25と、前記載せ台25に設置された前記検体容器26及び前記廃棄物容器27と、前記微小液滴生成装置21に連通する圧力バランス機構28と、を備えるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0029】
例えば、本発明の図面で示されていない他の実施形態において、前記生体粒子濃縮装置2の内部機構の種類及び数量は、設計の必要に応じて調整してもよく、また、前記微小液滴生成装置21は単独的に応用(例えば、販売)又は他の機構(例えば、前記バイオチップ22)と組み合わせて使用してもよい。
【0030】
以下にて前記生体粒子濃縮装置2の各機構、及びそれらの接続関係をこの順に説明する。また、前記生体粒子濃縮装置2の一部の機構(例えば、前記バイオチップ22)は既に、前段で説明したので、ここで重複に説明しない。
【0031】
前記微小液滴生成装置21は、容器211と、前記容器211に連通する中空針212と、前記容器211に配置された第1の圧電(PZT)部材213と、前記中空針212に配置された第2の圧電部材214と、を備える。前記容器211は、前記液体検体200を収容することとして用いられる。前記容器211は、前記液体検体200を前記中空針212に搬送させて、前記中空針212に前記液体検体200を収容する。
【0032】
より詳しく説明すると、前記容器211は、底面2111と、前記底面2111に繋がる包囲側壁2112と、を含む。前記中空針212は、お互いに反対端である接続端2121及び自由端2122とを含み、又、前記中空針212は、前記接続端2121を介して(垂直に)前記容器211の前記底面2111にお互いに連通する。そのうち、前記容器211の内径D211は、前記中空針212の内径D212の5倍~30倍であると共に、前記中空針212の前記内径D212は、前記自由端2122以外の箇所を指すと共に、300μm~700μmであることが好ましい。説明すべきことは、本実施形態において、前記中空針212の前記自由端2122の内径D2122は30μm~150μmであるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0033】
前記第1の圧電部材213は、前記容器211の前記包囲側壁2112に環状に配置されると共に、本実施形態において、前記第1の圧電部材213は、上部圧電部材213と呼ばれてもよい。そのうち、前記第1の圧電部材213は、前記容器211を振動することによって、前記容器211における複数個の前記生体粒子201を前記包囲側壁2112の方向から離れるように移動させるか、若しくは、前記第1の圧電部材213は、前記容器211を振動することによって、前記容器211における複数個の前記生体粒子201を、所定のパスに沿って配列させる。
【0034】
より詳しく説明すると、所定のパスは、前記中空針212の中心軸L(及び重力方向)に沿って配置されると共に、前記第1の圧電部材213は、前記中心軸Lの方向と平行する方向に沿って、前記接続端2121との間に、0.2cm~2cmの距離D213を有する。尚、前記容器211の前記包囲側壁2112の20%~85%の面積は、前記第1の圧電部材213で覆われられる。又、前記第1の圧電部材213は、設計の必要に応じて、環状を呈する単一のワンピース構造を用いてもよく、若しくは、環状に配列するマルチピース構造を用いてもよい。
【0035】
前記第2の圧電部材214は、前記中空針212の外面に配置されると共に、本実施形態において、前記第2の圧電部材214は、底部圧電部材214と呼ばれてもよい。そのうち、前記第2の圧電部材214で前記中空針212を搾ることによって、前記液体検体200を外に流動させると共に、前記自由端2122を通過して前記微小液滴202を形成することができる。前記微小液滴生成装置21で形成された前記微小液滴202は、少なくとも1つの前記標的生体粒子201aを含む標的微小液滴202aと、前記標的生体粒子201aを全く含まない廃棄微小液滴202bとして定義される。
【0036】
より詳しく説明すると、前記第2の圧電部材214は、前記中心軸Lの方向と平行する方向に沿って、前記自由端2122との間に、0.2cm~2cmの距離D214を有する。前記中空針212の前記外面の20%~85%の面積は、前記第2の圧電部材214で覆われられる。又、前記第2の圧電部材214は、設計の必要に応じて、環状を呈する単一のワンピース構造を用いてもよく、若しくは、環状に配列するマルチピース構造を用いてもよい。
【0037】
注意すべきことは、前記圧力バランス機構28は、前記容器211及び前記中空針212における前記液体検体200を所定の圧力に維持するように、前記容器211に連通する。本実施形態において、前記圧力バランス機構28は、以下の構造に基づいて説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。前記圧力バランス機構28は、エアポンプ281と、前記エアポンプ281に連接するスイッチ282と、前記エアポンプ281及び前記スイッチ282に連通する圧力バランスボトル283と、前記スイッチ282及び前記容器211に連通する液体注入ボトル284と、を含む。
【0038】
前記バイオチップ22、前記検体容器26及び前記廃棄物容器27はいずれも、前記載せ台25に設置される。前記載せ台25及び前記微小液滴生成装置21はお互いに相対的移動できる(例えば、前記載せ台25に多軸式移動機構が設置される)。それによって、前記微小液滴生成装置21(前記分析工程S120において)は、前記載せ台25との相対的移動によって、前記中空針212の前記自由端2122で、前記検体容器26から前記液体検体200を吸う(例えば、前記液体検体200は、前記容器211及び前記中空針212に吸われる)。尚、前記微小液滴生成装置21は、前記載せ台25との相対的移動によって、前記標的微小液滴202aを前記バイオチップ22に滴下させ、前記廃棄微小液滴202bを前記廃棄物容器27に滴下させることができる。
【0039】
前記カメラ装置23の位置は、前記中空針212に対応すると共に、前記カメラ装置23は(前記分析工程S120において)、前記自由端2122における液体検体200の即時映像を得るものである。尚、前記制御装置24は、前記第2の圧電部材214及び前記カメラ装置23に電気的に接続すると共に、前記制御装置24は(前記捕捉工程S130において)、前記即時映像によって、少なくとも1つの前記標的生体粒子201aが前記自由端2122にある際に、前記第2の圧電部材214を駆動する。それによって、前記第2の圧電部材214が前記中空針212を搾ることで、前記液体検体200を外に流動させると共に、前記中空針212の前記自由端2122を通過して前記標的微小液滴202aを形成することができる。
【0040】
上述したように、本発明の実施形態に係る前記生体粒子濃縮装置2は、前記第1の圧電部材213(又は前記上部圧電部材213)の振動によって、前記複数個の前記生体粒子201が前記容器211の内壁に付着することを回避することができると共に、前記容器211の中央へ移動・集中して、前記標的生体粒子201aの濃縮処理に有利となる。
【0041】
更に説明すると、本発明の実施形態に係る前記生体粒子分析方法S100又は生体粒子濃縮装置2は、前記カメラ装置23と前記第2の圧電部材214(又は底部圧電部材214)との組み合わせを採用して、前記自由端2122における前記液体検体200の前記即時映像によって、少なくとも1つの標的生体粒子201aが前記自由端2122にある際に、前記第2の圧電部材214を駆動することで、前記標的微小液滴202aを形成する。このように、前記標的生体粒子201aの前記濃縮処理を効果的に実現する。
【0042】
[第二実施形態]
図16には、本発明の第二実施形態を示す。本実施形態は、前記第一実施形態に類似するため、2つの実施形態の同様の箇所が重複に説明しない。本実施形態と前記第一実施形態との相違点は、以下にて説明する。
【0043】
本実施形態において、前記微小液滴生成装置21では、単一の圧電部材を採用してもよい。即ち、本実施形態において、前記微小液滴生成装置21は、
図3に示した第一実施形態の前記容器211及び前記第1の圧電部材213(又は前記上部圧電部材213)を略す。このように、本実施形態において、前記微小液滴生成装置21は、前記中空針212及び前記中空針212の外面に配置された前記第2の圧電部材214(又は底部圧電部材214)を含む。
【0044】
更に説明すると、前記中空針212の前記接続端2121は、前記圧力バランス機構28(例えば、前記液体注入ボトル284)に連接すると共に、前記中空針212に前記液体検体200を収容する。それによって、前記捕捉工程S130において、前記微小液滴生成装置21は、前記第2の圧電部材214(又は、底部圧電部材214)で前記中空針212を搾ることによって、前記液体検体(図面なし)を外に流動させると共に、前記中空針212の前記自由端2122を通過して前記標的微小液滴202aを形成することができるが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、本発明の図面で示されていない他の実施形態において、前記微小液滴生成装置21は、設計の必要に応じて、圧電構造以外の構造を採用してもよい。
【0045】
[実施形態による有利な効果]
上述したように、本発明の実施形態に係る生体粒子分析方法は、前記染色工程及び前記分析工程によって、前記捕捉工程を実施する際に濃縮効果を果たせる。尚、前記生体粒子分析方法は、前記標的生体粒子を捕捉した前記バイオチップによって、前記捕捉工程、前記洗浄工程及び前記特性表示工程を効果的に繋がることができ、それによって、前記生体粒子分析方法を介して前記液体検体から複数種の生物特性表現に対応する複数の蛍光画像を得られて、前記標的生体粒子の評価と判断に有利となる。
【0046】
又、本発明の実施形態に係る前記生体粒子濃縮装置は、前記第1の圧電部材(又は前記上部圧電部材)の振動によって、複数個の前記生体粒子が前記容器の内壁に付着することを回避することができると共に、前記容器の中央へ移動・集中して、前記標的生体粒子の前記濃縮処理に有利となる。
【0047】
更に説明すると、本発明の実施形態に係る前記生体粒子分析方法又は前記生体粒子濃縮装置は、前記カメラ装置と前記第2の圧電部材(又は底部圧電部材)との組み合わせを採用して、前記自由端における前記液体検体の前記即時映像によって、少なくとも1つの前記標的生体粒子が前記自由端にある際に、前記第2の圧電部材を駆動することで、前記標的微小液滴を形成する。このように、前記標的生体粒子の前記濃縮処理を効果的に実現する。
【0048】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
S100…生体粒子分析方法
S110…染色工程
S120…分析工程
S130…捕捉工程
S140…洗浄工程
S150…特性表示工程
100…識別システム
1…多重蛍光染色装置
11…染色装置
12…洗浄装置
13…記録装置
2…生体粒子濃縮装置
21…微小液滴生成装置
211…容器
2111…底面
2112…包囲側壁
212…中空針
2121…接続端
2122…自由端
213…第1の圧電部材(又は上部圧電部材)
214…第2の圧電部材(又は底部圧電部材)
22…バイオチップ
221…底層
222…キャプチャーアーム
223…表面改質層
23…カメラ装置
24…制御装置
25…載せ台
26…検体容器
27…廃棄物容器
28…圧力バランス機構
281…エアポンプ
282…スイッチ
283…圧力バランスボトル
284…液体注入ボトル
200…液体検体
201…生体粒子
201a…標的生体粒子
201b…非標的生体粒子
202…微小液滴
202a…標的微小液滴
202b…廃棄微小液滴
L…中心軸
D213、D214…距離
D211、D212、D2122…内径