(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064957
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】圧着端子、端子連結体およびコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/18 20060101AFI20240507BHJP
H01R 43/048 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01R4/18 A
H01R43/048 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075421
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2022173212
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】三輪 真之介
【テーマコード(参考)】
5E063
5E085
【Fターム(参考)】
5E063CB13
5E063CC05
5E085BB02
5E085BB03
5E085BB12
5E085CC03
5E085DD14
5E085HH06
5E085JJ38
(57)【要約】
【課題】キャリアに連結することを可能にし、端子圧着装置での圧着作業を可能にする圧着端子を提供する。
【解決手段】
圧着端子3は、ケーブル4に圧着される圧着部30と、圧着部30に対して屈曲して設けられる端子接続部50と、圧着部30と端子接続部50とを連結する連結部40と、を備え、圧着部30は、上下方向に伸長したケーブル4を載置する芯線基板部35等と、芯線基板部35から右方に突設され、加締められることでケーブル4に圧着される芯線バレル片36等と、を有し、連結部40は、芯線基板部35に対して上下方向に延びた第1軸A1を中心に右方へと屈曲されつつ、その先端を前後方向(キャリア60の延在方向)に向けられ、端子接続部50は、連結部40の先端から後方に延設される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに圧着される圧着部と、
前記圧着部に対して屈曲して設けられる端子接続部と、を備え、
前記圧着部は、
第1方向に伸長した前記ケーブルを載置する基板部と、
前記基板部から前記第1方向に直交する第2方向の一方に突設され、加締められることで前記ケーブルに圧着されるバレル片と、を有し、
前記端子接続部は、前記基板部から前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向の一方に延設されることを特徴とする圧着端子。
【請求項2】
ケーブルに圧着される圧着部と、
前記圧着部に対して屈曲して設けられる端子接続部と、
前記圧着部と前記端子接続部とを連結する連結部と、を備え、
前記圧着部は、
第1方向に伸長した前記ケーブルを載置する基板部と、
前記基板部から前記第1方向に直交する第2方向の一方に突設され、加締められることで前記ケーブルに圧着されるバレル片と、を有し、
前記連結部は、前記基板部に対して前記第1方向に延びた第1軸を中心に前記第2方向の一方へと屈曲されつつ、その先端を前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向の一方に向けられ、
前記端子接続部は、前記連結部の先端から前記第3方向の一方に延設されることを特徴とする圧着端子。
【請求項3】
前記連結部は、
前記バレル片よりも前記第1方向の一方において、前記基板部から前記第2方向の一方に突設される第1支持部と、
前記第1支持部の前記第1方向の一端から前記第3方向の一方に延設される第2支持部と、を有し、
前記端子接続部は、前記第2支持部の先端から前記第3方向の一方に延設されることを特徴とする請求項2に記載の圧着端子。
【請求項4】
前記第1支持部は、
前記基板部の前記第3方向の両端から前記第2方向の一方に突設される一対の支持板と、
一対の前記支持板の先端間に架設される架設板と、を有し、
前記第2支持部は、一対の前記支持板のいずれか一方に連設されることを特徴とする請求項3に記載の圧着端子。
【請求項5】
前記端子接続部は、内部に接続空間を有し、前記第3方向の一端面に接続開口部を開口させる角筒状に形成されており、
前記端子接続部は、
前記基板部の前記第1方向の一端から前記第2方向の一方に延設されると共に前記第3方向の一方に延設される第1平板と、
前記第1平板の前記第2方向の両端から前記第1方向の一方に延設される一対の側板と、
一対の前記側板の少なくとも何れか一方の前記第1方向の一端に連設され、前記第1平板に隙間を挟んで対向する第2平板と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の圧着端子。
【請求項6】
前記端子接続部は、前記第1平板と前記第2平板の何れか一方の前記第3方向の他端から前記第1平板と前記第2平板の何れか他方に向かって延設される補強片を更に有し、
前記補強片の先端は、前記第1平板と前記第2平板の何れか他方に、接触または僅かな隙間を挟んで対向していることを特徴とする請求項5に記載の圧着端子。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の圧着端子が、前記第3方向に延在する帯状に形成されたキャリアに、前記第3方向に間隔をあけて複数連結される端子連結体であって、
前記圧着端子は、前記基板部を前記キャリアの表面と平行な姿勢とし、前記基板部の前記第1方向の他端である基端を前記キャリアの前記第1方向の一端に連設させていることを特徴とする端子連結体。
【請求項8】
前記キャリアに連設された前記圧着端子の前記バレル片を外側に向けるようにしてリールに巻回されることを特徴とする請求項7に記載の端子連結体。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の圧着端子と、
前記圧着端子を収容するハウジングと、を備えていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに圧着される圧着端子、端子連結体およびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスを圧着させる挟持部と、挟持部の先端から延設される電気接触部と、によって一直線状(棒状)に形成されるコネクタ用接触端子(以下、「接触端子」という。)が開示されている(特許文献1)。複数の接触端子は、挟持部の基端を帯状のキャリア部の一辺に連結させることでコネクタ用接触端子部材(以下、「端子部材」という。)を構成している。端子部材は、端子圧着装置に装着され、端子圧着装置は、端子部材を送り出しながら接触端子をキャリア部から分離し、挟持部を加締めてワイヤーハーネス(ケーブル)に圧着する。
【0003】
ところで、一直線状を成す接触端子を装着したコネクタを、相手側コネクタに接続する場合、両コネクタを同一軸上に配置する必要があった。例えば、相手側コネクタが電気基板上に実装されている場合等、ワイヤーハーネスを引き回し、コネクタを相手側コネクタに向けるようにワイヤーハーネスを曲げなければならない。このため、両コネクタの接続作業を行うために、両コネクタを配置する空間を広く確保する必要があり、両コネクタを備える装置が大型化する等の問題があった。
【0004】
上記のような問題に対し、前後方向に延びる端子接続部と、上下方向に延びて電線の端末に接続される電線接続部と、端子接続部と電線接続部とを連結する板状の連結部と、を有するL字状の端子が知られている(特許文献2)。この端子では、連結部が、端子接続部に連なる平面部分と電線接続部に連なる平面部分とを連結し、左右方向に延びる軸を中心に直角に屈曲されている。このようなL字状の端子を装着したコネクタによれば、電線を無理に曲げることなく、例えば、電気基板上に実装された相手側コネクタに容易に接続することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-129347号公報
【特許文献2】特開2020-87730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したL字状の端子をキャリア部に複数連結して端子部材を構成した場合、端子接続部はキャリア部の表面に対して前後方向に大きく突き出すことになる。当該端子部材を端子圧着装置に装着した場合、キャリア部から大きく突き出した端子接続部が端子圧着装置のアンビル等に干渉し、端子をアンビル上に供給することができず、端子圧着装置での圧着作業(加締め作業)ができなくなる虞があった。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮し、L字状の圧着端子であっても、キャリアに連結することを可能にし、端子圧着装置での圧着作業を可能にする圧着端子、端子連結体およびコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の圧着端子は、ケーブルに圧着される圧着部と、前記圧着部に対して屈曲して設けられる端子接続部と、を備え、前記圧着部は、第1方向に伸長した前記ケーブルを載置する基板部と、前記基板部から前記第1方向に直交する第2方向の一方に突設され、加締められることで前記ケーブルに圧着されるバレル片と、を有し、前記端子接続部は、前記基板部から前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向の一方に延設される。
【0009】
本発明の第2の圧着端子は、ケーブルに圧着される圧着部と、前記圧着部に対して屈曲して設けられる端子接続部と、前記圧着部と前記端子接続部とを連結する連結部と、を備え、前記圧着部は、第1方向に伸長した前記ケーブルを載置する基板部と、前記基板部から前記第1方向に直交する第2方向の一方に突設され、加締められることで前記ケーブルに圧着されるバレル片と、を有し、前記連結部は、前記基板部に対して前記第1方向に延びた第1軸を中心に前記第2方向の一方へと屈曲されつつ、その先端を前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向の一方に向けられ、前記端子接続部は、前記連結部の先端から前記第3方向の一方に延設される。
【0010】
本発明の第3の圧着端子は、上記した第2の圧着端子において、前記連結部は、前記バレル片よりも前記第1方向の一方において、前記基板部から前記第2方向の一方に突設される第1支持部と、前記第1支持部の前記第1方向の一端から前記第3方向の一方に延設される第2支持部と、を有し、前記端子接続部は、前記第2支持部の先端から前記第3方向の一方に延設されるとよい。
【0011】
本発明の第1~第3の圧着端子では、圧着部(基板部)が第1方向に延設され、端子接続部が基板部に対して第3方向の一方に向かって延設される構成とした。この構成によれば、端子接続部が基板部と同一平面を成す向きに伸長することになるため、例えば、複数の圧着端子をキャリアに連結して端子連結体を構成した場合に、端子接続部をキャリアの延在方向に沿わせることができる。これにより、L字状を成す圧着端子であっても、キャリアに連結することが可能になり、端子圧着装置での圧着作業が可能になる。
【0012】
本発明の第4の圧着端子は、上記した第3の圧着端子において、前記第1支持部は、
前記基板部の前記第3方向の両端から前記第2方向の一方に突設される一対の支持板と、一対の前記支持板の先端間に架設される架設板と、を有し、前記第2支持部は、一対の前記支持板のいずれか一方に連設されるとよい。
【0013】
本発明の第4の圧着端子によれば、第1支持部が一対の支持板と架設板とによって略U字状(コ字状)の構造体を構成するため、例えば、第1支持部が1つの支持板のみで構成された場合に比べて、第1支持部の剛性(強度)を向上させることができる。これにより、一方の支持板に第2支持部を介して連設された端子接続部を確りと支持することができる。
【0014】
本発明の第5の圧着端子は、上記した第1の圧着端子において、前記端子接続部は、内部に接続空間を有し、前記第3方向の一端面に接続開口部を開口させる角筒状に形成されており、前記端子接続部は、前記基板部の前記第1方向の一端から前記第2方向の一方に延設されると共に前記第3方向の一方に延設される第1平板と、前記第1平板の前記第2方向の両端から前記第1方向の一方に延設される一対の側板と、一対の前記側板の少なくとも何れか一方の前記第1方向の一端に連設され、前記第1平板に隙間を挟んで対向する第2平板と、を有しているとよい。
【0015】
本発明の第6の圧着端子は、上記した第5の圧着端子において、前記端子接続部は、前記第1平板と前記第2平板の何れか一方の前記第3方向の他端から前記第1平板と前記第2平板の何れか他方に向かって延設される補強片を更に有し、前記補強片の先端は、前記第1平板と前記第2平板の何れか他方に、接触または僅かな隙間を挟んで対向しているとよい。
【0016】
ところで、L字状の圧着端子を装着したコネクタは、ケーブルを無理に曲げることなく、電気基板上に実装された相手側コネクタに容易に接続することができる。また、ハウジングや圧着端子をL字状に屈曲させることで、コネクタの全高を低く抑えることもできる。ここで、例えば、コネクタが相手側コネクタに接続された状態で、ケーブルを整列させる等の作業を行うことがある。この際、不注意でケーブルに手が引っ掛かる等して、ケーブルが延在方向に交差する方向(コネクタの分離方向)に引っ張られることがある。すると、ケーブルに圧着された圧着部には端子接続部に対して回動するような力が作用し、圧着端子は、ハウジング内において圧着部と端子接続部との成す角度を開くように変形してしまうことがある。その結果、ハウジングのカバー部が外れ、圧着端子がハウジングから離脱してしまう虞があった。これに対し、本発明の第5~第6の圧着端子では、補強片が、第1平板と第2平板の何れか一方の第3方向の他端から第1平板と第2平板の何れか他方に向かって延設され、その先端が、第1平板と第2平板の何れか他方に僅かな隙間を挟んで対向する構成とした。この構成によれば、ケーブルが引っ張られ、圧着部が端子接続部に対して開かれるように回動したとしても、補強片の先端が第1平板と第2平板の何れか他方に突き当たり、両平板間に架設された補強片によって圧着部の回動を規制することができる。これにより、圧着部に作用する回動力に抵抗することができ、圧着端子の過度な変形を抑制することができる。その結果、ハウジングからの圧着端子の離脱を抑制することができる。
【0017】
本発明の第1の端子連結体は、第1~第6の圧着端子のいずれか1つが、前記第3方向に延在する帯状に形成されたキャリアに、前記第3方向に間隔をあけて複数連結される端子連結体であって、前記圧着端子は、前記基板部を前記キャリアの表面と平行な姿勢とし、前記基板部の前記第1方向の他端である基端を前記キャリアの前記第1方向の一端に連設させている。
【0018】
本発明の第1の端子連結体によれば、端子接続部をキャリアの延在方向に沿わせることができる。これにより、例えば、キャリアに接続されたL字状の圧着端子を、端子圧着装置のアンビル上に供給することが可能になり、端子圧着装置による圧着工程を適正に実施することができる。
【0019】
本発明の第2の端子連結体は、上記した第1の端子連結体において、前記キャリアに連設された前記圧着端子の前記バレル片を外側に向けるようにしてリールに巻回されるとよい。
【0020】
仮に、端子接続部が基板部に対して第3方向に延びた軸まわりに屈曲して第2方向の他方に延設された圧着端子について考える。このような仮の圧着端子をキャリアに連結した仮の端子連結体をリールに巻き付けたと仮定すると、端子接続部は巻回した径方向の外側(または内側)に向けて伸長することになる。したがって、仮の端子連結体をリールに巻くことは非常に困難であり、仮にリールに巻くことができたとしても、径方向の内側と外側の端子接続部同士が干渉して、巻かれた端子連結体を適正に繰り出す(巻き戻す)ことが非常に困難となる。これに対し、本発明の第2の端子連結体では、端子接続部がキャリアの延在方向に沿って伸長しているため、端子連結体をリールに巻回しても、端子接続部が周方向(巻回方向)に沿うように伸長する。この構成によれば、端子連結体を適正にリールに巻くことができると共に、巻かれた端子連結体を適正に繰り出す(巻き戻す)こともできる。
【0021】
本発明のコネクタは、第1~第6の圧着端子のいずれか1つと、前記圧着端子を収容するハウジングと、を備えている。
【0022】
本発明のコネクタによれば、圧着端子がL字状に形成されているため、例えば、電気基板上に実装された相手側コネクタに対しても、ケーブルを無理に曲げることなく、容易に接続することができる。これにより、両コネクタを配置する空間を必要以上に広くする必要がなくなり、両コネクタを備える装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、L字状の圧着端子であっても、キャリアに連結することが可能になり、端子圧着装置での圧着作業が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタおよび相手側コネクタを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコネクタを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコネクタのハウジングの収容部を示す斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る圧着端子を示す斜視図(斜め下方)である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る圧着端子を示す斜視図(斜め上方)である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る圧着端子を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る端子連結体を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る端子連結体をリールに巻回させた状態を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るコネクタの断面を示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るコネクタの断面を示す斜視図である。
【
図10A】本発明の一実施形態の変型例に係る圧着端子を示す斜視図(斜め下方)である。
【
図10B】本発明の一実施形態の変型例に係る圧着端子を示す斜視図(斜め上方)である。
【
図11】本発明の一実施形態の変型例に係る圧着端子を示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態の変型例に係る端子連結体を示す斜視図である。
【
図13A】本発明の一実施形態の他の変形例に係る圧着端子を示す斜視図である。
【
図13B】本発明の一実施形態の更に他の変形例に係る圧着端子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示すX1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2は、左、右、前、後、上、下を示している。また、「上下方向」、「前後方向」および「左右方向」は、請求項でいう「第1方向」、「第2方向」および「第3方向」の一例であって、互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0026】
図1ないし
図5を参照して、本実施形態に係るコネクタ1について説明する。
図1はコネクタ1および相手側コネクタ90を示す斜視図である。
図2はコネクタ1を示す分解斜視図である。
図3はコネクタ1のハウジング2の収容部10を示す斜視図である。
図4Aおよび
図4Bは圧着端子3を示す斜視図である。
図5は圧着端子3を示す断面図である。
【0027】
図1に示すように、コネクタ1は、3つのケーブル4の先端部に取り付けられ、電気基板99に実装された相手側コネクタ90に嵌合可能に形成されている。以下、コネクタ1の説明に先立って、相手側コネクタ90について簡単に説明する。
【0028】
[相手側コネクタ]
相手側コネクタ90は、相手側ハウジング91に3つの相手側端子(図示せず)を収容して構成されている。相手側ハウジング91は、例えば、非導電性の合成樹脂製で、前後方向の両端面を開口させた略矩形筒状に形成されている。相手側ハウジング91は、略垂直姿勢とされた電気基板99の前面に立設されている。相手側ハウジング91の上部には、コネクタ1との接続を保持するための一対の被ロック部92が設けられている。相手側ハウジング91の内部は左右方向に3つの空間に仕切られており、相手側ハウジング91の前端面には3つの空間に対応するように3つの嵌合穴93が開口している。3つの相手側端子は、相手側ハウジング91の内部の3つの空間に配置され、電気基板99に電気的に接続されている。なお、相手側コネクタ90(相手側端子)は、電気基板99に実装されたものに限らず、例えば、本実施形態に係るコネクタ1と同様に、ケーブル4の先端部に取り付けられてもよい(図示せず)。
【0029】
[コネクタ]
図1および
図2に示すように、コネクタ1は、主要な外観を成すハウジング2と、ハウジング2に収容される3つの圧着端子3と、を備えている。なお、3つの圧着端子3は、互いに同一構造であるため、本明細書の説明では、主に、1つの圧着端子3について説明する。また、本実施形態では、相手側コネクタ90に3つの相手側端子が設けられ、コネクタ1に3つの圧着端子3が設けられていたが、これに限らず、相手側端子および圧着端子3は、それぞれ、1つ以上設けられていればよい。
【0030】
<ハウジング>
ハウジング2は、例えば、合成樹脂製で、収容部10とカバー部11とに分離可能に構成されている。
【0031】
(収容部)
図2および
図3に示すように、収容部10は、前面および下面を開放した箱状に形成される収容本体部12と、略角筒状に形成され、収容本体部12の後面上部から後方に突設される3つの嵌合凸部13と、を有している。
【0032】
(収容本体部)
収容本体部12の左右方向の両外側面には、それぞれ、上下一対の取付爪部14が突設されている。
図3に示すように、収容本体部12の内部は、上下方向に延びる2つの仕切壁15が左右方向に間隔をあけて設けられることで、3つの第1収容空間S1に仕切られている。収容本体部12の内面や2つの仕切壁15には、各々の第1収容空間S1を上下方向に二分割にするように位置決めリブ16が突設されている。各位置決めリブ16は、第1収容空間S1の左側の一部に隙間をあけつつ、第1収容空間S1の右側を仕切っている。
【0033】
(嵌合凸部)
図3に示すように、各嵌合凸部13の内部には、第1収容空間S1に連通する第2収容空間S2が形成されている。各第2収容空間S2は、第1収容空間S1と一体となって、側方からの断面で見て略L字状の空間を構成する。詳細は後述するが、この略L字状の空間には、圧着端子3が収容される。
図2に示すように、各嵌合凸部13の後端面には、第2収容空間S2に連通するように、接続穴20と解除穴21とが当接部22を挟んで上下方向に並んで開口している。解除穴21は、接続穴20の上方、且つ右側に寄った位置に開口している。
【0034】
各嵌合凸部13には、天面から下方に延びた後、屈曲して後方に伸長するランス部23が設けられている。ランス部23は、弾性力をもって屈曲部分を支点として上下方向に変位可能に形成されている。また、ランス部23の下面の先端側には、端子爪部23Aが突設されている。
【0035】
図2および
図3に示すように、左右方向の中央と左側の2つ嵌合凸部13には、上面から屈曲しながら後方に伸長する一対のロックアーム24が設けられている。一対のロックアーム24は、弾性力をもって屈曲部分を支点に上下方向に変位可能に形成されている。各ロックアーム24の上面には、ロック爪部24Aが突設されている。また、一対のロックアーム24の上面の先端部(前端部)には、操作部25が架設されている。
【0036】
(カバー部)
図1および
図2に示すように、カバー部11は、平面から見て、後面を開放した略U字状(コ字状)に形成されている。カバー部11の左右方向の両側壁には、それぞれ、上下一対の取付穴26が開口している。カバー部11は、収容本体部12の左右方向の両外側面を覆い隠すように取り付けられ、収容本体部12の各取付爪部14は、内側からカバー部11の各取付穴26に嵌合する(係止される)。なお、カバー部11の側壁には、上下一対の取付穴26の間にスリットが切り込まれている。
【0037】
図2に示すように、カバー部11の前壁の内面には、3つの押圧部27が突設されている(
図2では2つの押圧部27を示す。)。カバー部11を収容本体部12(収容部10)に取り付けた状態で、押圧部27は、位置決めリブ16よりも上方に位置している。
【0038】
<圧着端子>
圧着端子3は、金属製で略L字状に形成され、ケーブル4の先端部に固定される。
図2に示すように、圧着端子3は、ケーブル4に圧着される圧着部30と、圧着部30に対して屈曲して設けられる端子接続部50と、圧着部30と端子接続部50とを連結する連結部40と、を備えている。なお、圧着端子3は、一枚の金属板から打ち抜かれ、曲げ加工されることで形成される。つまり、圧着部30、端子接続部50および連結部40は一体に形成されている。
【0039】
ここで、ケーブル4は、導体(金属)で形成される芯線(図示せず)と、絶縁体で形成されて芯線を被覆する被覆部(図示せず)と、を有している。芯線はケーブル4の先端側の被覆部を除去することで露出する。
【0040】
(圧着部)
図4A並びに
図4Bおよび
図5に示すように、圧着部30は、被覆圧着部31と、芯線圧着部34と、を有している。
【0041】
被覆圧着部31は、底面から見て湾曲するように形成される被覆基板部32と、被覆基板部32の前後両端から右方(第2方向の一方)に突設される一対の被覆バレル片33と、を有している。被覆基板部32と一対の被覆バレル片33とは、底面から見て略U字状に形成されている。被覆基板部32には、上下方向に伸長したケーブル4の被覆部が載置される。一対の被覆バレル片33は、被覆基板部32に載置された被覆部を包むように加締められることで被覆部に圧着される。
【0042】
芯線圧着部34は、略平板状に形成される芯線基板部35と、芯線基板部35の前後両端から右方に突設される一対の芯線バレル片36と、を有している。芯線基板部35は、傾斜板部37を介して被覆基板部32の上端に連設されている。傾斜板部37は、被覆基板部32から芯線基板部35に向かって右側に傾斜しており、被覆基板部32と芯線基板部35との間にはケーブル4の被覆部の厚みに相当する段差が形成されている。芯線基板部35と一対の芯線バレル片36とは、底面(または平面)から見て略コ字状に形成されている。芯線基板部35には、上下方向に伸長したケーブル4の芯線が載置される。一対の芯線バレル片36は、芯線基板部35に載置された芯線を包むように加締められることで芯線に圧着される。なお、芯線基板部35は、一対の芯線バレル片36が設けられた位置から上方に延長されている。
【0043】
(連結部)
図4Aおよび
図4Bに示すように、連結部40は、芯線基板部35に対して上下方向(第1方向)に延びた第1軸A1を中心に右方(第2方向の一方)へと屈曲されつつ、その先端を後方(第3方向の一方)に向けられている。具体的な一例としては、
図4A並びに
図4Bおよび
図5に示すように、連結部40は、芯線バレル片36よりも上方(第1方向の一方)において、芯線基板部35から右方(第2方向の一方)に突設される第1支持部41と、第1支持部41の上端から後方に延設される第2支持部42と、を有している。
【0044】
第1支持部41は、芯線基板部35の前後両端から右方に突設される一対の支持板43と、一対の支持板43の先端間に架設される架設板44と、を有している。一対の支持板43は、芯線基板部35に対して右側に略直角に折り曲げられ、前後方向に空間を挟んで略平行に対向している。架設板44は、前方の支持板43と一体に形成され、架設板44の先端(後端)は、後方の支持板43に右端に突き合わされている。詳細には、架設板44の先端に形成され凸部が、後方の支持板43の右端に形成された凹部に嵌合している。以上より、第1支持部41(一対の支持板43、架設板44)は、平面から見て略コ字状(略U字状)に形成され、第1支持部41と芯線基板部35とは、平面から見て略角筒形状を構成している。
【0045】
第2支持部42は、後方の支持板43の上端に連設され、後方に延設されている。第2支持部42は、後方の支持板43から上方に伸長した部分を、後方の支持板43に対して下側に略直角に折り曲げることで形成されている。
【0046】
(端子接続部)
図4A並びに
図4Bおよび
図5に示すように、端子接続部50は、連結部40の第2支持部42の先端(後端)から後方(第3方向の一方)に延設されている。端子接続部50は、内天板51A、左側板51B、底板51C、右側板51Dおよび外天板51Eを巻くように折り曲げることで、左右方向を長辺とする略長方形の断面を持つ略角筒状に形成されている。端子接続部50の内部には接続空間S3が形成され、端子接続部50の後端面には相手側コネクタ90の相手側端子を挿入するための接続開口部52が開口している。
【0047】
内天板51Aは、第2支持部42を後方に延長することで形成されている。内天板51Aの後部には、3つの圧接片部53が左右方向に間隔をあけて設けられている。各圧接片部53は前方(基部)から後方に向かって斜め下方に傾斜しながら延設され、その先端部は屈曲して斜め上方に向いている(
図5参照)。各圧接片部53は、弾性力をもって基部を支点に上下方向に変位可能に設けられている。
【0048】
左側板51Bは、内天板51Aに対して略直角に折り曲げられ、内天板51Aの左端から下方に延設されている。底板51Cは、左側板51Bに対して略直角に折り曲げられ、左側板51Bの下端から右方に延設されている。底板51Cは、接続空間S3を挟んで内天板51Aの下方に対向する。底板51Cの後部には、2つの圧接凸部54が左右方向に間隔をあけ、接続空間S3(上方)に向かって突設されている。右側板51Dは、底板51Cに対して略直角に折り曲げられ、底板51Cの右端から上方に延設されている。
【0049】
外天板51Eは、右側板51Dに対して略直角に折り曲げられ、右側板51Dの上端から左方に延設され、内天板51Aの上面に積層されている。外天板51Eは、内天板51Aと第2支持部42とを合わせた前後方向の長さよりも僅かに長い長方形状に形成されている。外天板51Eには、一対の支持凸部55が前後方向に間隔をあけ、内天板51Aの上面に当接するように突設されている。外天板51Eは、一対の支持凸部55のみで内天板51Aに接触しており、一対の支持凸部55を除く部分は、支持凸部55の高さの分だけ内天板51Aから上方に離間している。また、端子接続部50の後部には、右側板51Dの上部から外天板51Eに亘って、係止穴56が穿設されている。
【0050】
[端子連結体]
次に、
図6および
図7を参照して、本実施形態に係る端子連結体5について説明する。
図6は端子連結体5を示す斜視図である。
図7は端子連結体5をリール62に巻回させた状態を示す平面図である。
【0051】
図6に示すように、上記した圧着端子3は、前後方向(第3方向)に延在する帯状に形成されたキャリア60に、前後方向に間隔をあけて複数連結される端子連結体5を構成している。端子連結体5(圧着端子3、キャリア60)は、例えば、長尺の金属板を抜き型で打ち抜くことで形成される。打ち抜かれた圧着端子3は、平板状に展開された状態とされている(図示せず)。展開された圧着端子3に曲げ加工を施すことで、上記した圧着部30、端子接続部50および連結部40が形成される。
【0052】
圧着端子3は、キャリア60の上端から上方に向かって延設されている。詳細には、圧着端子3は、被覆基板部32(芯線基板部35)をキャリア60の表面60Aと平行な姿勢とし、被覆基板部32の下端(第1方向の他端である基端)をキャリア60の上辺(第1方向の一端)に連設させている。なお、キャリア60には、複数の圧着端子3と同一間隔で複数の送り穴61が穿設されている。
【0053】
図7に示すように、端子連結体5は、キャリア60に連設された圧着端子3の各バレル片33,36および連結部40を外側に向けるようにしてリール62に巻回されている。リール62は、略円筒状に形成され、端子圧着装置(図示せず)に軸周りに回転可能に装着される(図示せず)。
【0054】
[圧着工程]
ここで、圧着端子3をケーブル4に固定する工程(圧着工程)について簡単に説明する。圧着端子3は、端子圧着装置によってケーブル4に圧着される。
【0055】
端子圧着装置には、キャリア60の送り穴61に突起を嵌合させ、リール62から端子連結体5を繰り出す端子搬送部が備えられている(図示せず)。端子搬送部は、リール62から端子連結体5を繰り出し、キャリア60をカットオフダイの挿通溝に沿わせながら、圧着端子3をアンビルの上面に供給する(図示せず)。その後、端子圧着装置は、カットオフダイと、アンビルの上方に配置されたクリンパを押し下げる。すると、カットオフダイがアンビルよりも下方へ移動するため、圧着端子3(被覆基板部32)とキャリア60との継目部に剪断力が作用し、圧着端子3がキャリア60から分離される。これと同時期に、圧着部30は、アンビルとクリンパとの間に挟み込まれてケーブル4に圧着される。詳細には、一対の被覆バレル片33は、加締められてケーブル4の被覆部に圧着され、一対の芯線バレル片36は、加締められてケーブル4の芯線に圧着される。以上によって、圧着端子3がケーブル4の先端部に固定される(
図2参照)。なお、
図2では、被覆圧着部31の具体的な図示を省略している。
【0056】
なお、本実施形態では、圧着端子3をケーブル4に固定するために端子圧着装置を用いていたが、例えば、作業者が、圧着工具を用いて手作業で圧着端子3をケーブル4に固定(圧着)することを妨げるものではない。
【0057】
[コネクタの組立]
次に、
図1、
図2、
図8および
図9を参照して、コネクタ1の組立手順について説明する。
図8はコネクタ1の断面を示す分解斜視図である。
図9はコネクタ1の断面を示す斜視図である。なお、
図8および
図9では、ケーブル4の図示を省略している。
【0058】
作業者は、圧着端子3の端子接続部50を、ハウジング2の嵌合凸部13の第2収容空間S2に差し込む。端子接続部50(外天板51E)は、ランス部23の端子爪部23Aに接触し、ランス部23を上方に弾性変形させながら差し込まれて行く。端子接続部50の差し込みに伴って、端子爪部23Aは、ランス部23の復元力(弾性力)によって外天板51Eの上面に押し付けられながら相対的に前方へ移動し、外天板51Eの係止穴56に嵌り込む(
図8参照)。この状態で、端子接続部50の先端(後端)が接続穴20の縁部(当接部22)に当接し(
図8参照)、端子接続部50の接続開口部52(
図2も参照)が接続穴20に対向する(連通する)。
【0059】
また、
図8に示すように、端子爪部23Aを係止穴56に係止させた状態で、圧着端子3の圧着部30は、ハウジング2の収容本体部12の第1収容空間S1に嵌り込んでいる。詳細には、芯線バレル片36と連結部40との間の芯線基板部35は、位置決めリブ16によって形成された第1収容空間S1の左側の隙間に差し込まれ、連結部40は、位置決めリブ16で仕切られた第1収容空間S1の上部に嵌合している。換言すれば、位置決めリブ16は、一対の芯線バレル片36と連結部40との間に嵌合している。また、連結部40の後方の支持板43は、収容本体部12の後内面の上部に当接している。ケーブル4は、収容本体部12(第1収容空間S1)の下面から外部に向かって延設されている(図示せず)。
【0060】
作業者は、各収容空間S1,S2に収容された圧着端子3を覆うように、カバー部11を収容部10に取り付ける。
図1および
図9に示すように、収容部10の収容本体部12が相対的にカバー部11の内側に嵌め込まれ、収容本体部12の各取付爪部14がカバー部11の各取付穴26に係止される(
図1参照)。この状態で、カバー部11の各押圧部27は、第1収容空間S1に収容された圧着端子3の連結部40(前方の支持板43)に押し付けられる(
図9参照)。これにより、各圧着端子3がハウジング2の内部において不動に固定される。
【0061】
以上によって、コネクタ1が完成する(
図1参照)。なお、ハウジング2から圧着端子3を取り外す場合には、作業者は、収容本体部12からカバー部11を取り外し、細い針状の治具を嵌合凸部13の解除穴21に差し込んでランス部23を上方に弾性変形させることで、端子爪部23Aを係止穴56から離脱させ、圧着端子3を各収容空間S1,S2から引き抜けばよい。
【0062】
[コネクタと相手側コネクタとの接続]
コネクタ1を相手側コネクタ90に接続する場合、作業者は、コネクタ1の3つの嵌合凸部13を相手側コネクタ90の3つの嵌合穴93に差し込み、且つ、コネクタ1の一対のロックアーム24を相手側コネクタ90の一対の被ロック部92に差し込む(図示せず)。各々の相手側端子は、相対的に、接続開口部52から接続空間S3に進入し、3つの圧接片部53を上方に弾性変形させながら差し込まれ、3つの圧接片部53と2つの圧接凸部54との間に挟み込まれる(図示せず)。各々のロックアーム24のロック爪部24Aは、被ロック部92の内部の凹部に係止される(図示せず)。以上によって、コネクタ1が相手側コネクタ90に接続される。なお、コネクタ1を相手側コネクタ90から分離する場合には、作業者は、操作部25を押し下げてロック爪部24Aの係止状態を解除しながら引き抜けばよい(図示せず)。
【0063】
以上説明した本実施形態に係る圧着端子3では、連結部40が芯線基板部35に対して第1軸A1まわりに略直角に回動するように折り曲げられ、連結部40の先端(後端)が後方(第3方向の一方)に向けられ、端子接続部50が連結部40の先端から後方に延設される構成とした(
図4Aおよび
図4B参照)。この構成によれば、端子接続部50が芯線基板部35と同一平面を成す向きに伸長することになるため、例えば、複数の圧着端子3をキャリア60に連結して端子連結体5を構成した場合に、端子接続部50をキャリア60の延在方向に沿わせることができる(
図6参照)。これにより、L字状を成す圧着端子3であっても、キャリア60に連結することが可能になり、端子圧着装置での圧着作業が可能になる。
【0064】
また、本実施形態に係る圧着端子3によれば、第1支持部41が一対の支持板43と架設板44とによって略U字状(コ字状)の構造体を構成するため、例えば、第1支持部41が1つの支持板43のみで構成された場合に比べて、第1支持部41の剛性(強度)を向上させることができる。これにより、一方の支持板43に第2支持部42を介して連設された端子接続部50を確りと支持することができる。
【0065】
本実施形態に係る端子連結体5によれば、端子接続部50をキャリア60の延在方向に沿わせることができる(
図6参照)。これにより、例えば、キャリア60に接続されたL字状の圧着端子3を、端子圧着装置のアンビル上に供給することが可能になり、端子圧着装置による圧着工程を適正に実施することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る端子連結体5では、端子接続部50がキャリア60の延在方向に沿って伸長しているため、端子連結体5をリール62に巻回しても、端子接続部50は周方向(巻回方向)に沿うように伸長する(
図7参照)。この構成によれば、端子連結体5を適正にリール62に巻くことができると共に、巻かれた端子連結体5を適正に繰り出す(巻き戻す)こともできる。
【0067】
本実施形態に係るコネクタ1によれば、圧着端子3がL字状に形成されているため、例えば、電気基板99上に実装された相手側コネクタ90に対しても、ケーブル4を無理に曲げることなく、容易に接続することができる。これにより、両コネクタ1,90を配置する空間を必要以上に広くする必要がなくなり、両コネクタ1,90を備える装置の小型化を図ることができる。
【0068】
[変形例]
次に、
図10A、
図10B、
図11および
図12を参照して、変形例に係る圧着端子6(端子連結体7)について説明する。
図10Aおよび
図10Bは圧着端子6を示す斜視図である。
図11は圧着端子6を示す断面図である。
図12は端子連結体7を示す斜視図である。なお、変形例に係る圧着端子6および端子連結体7の説明では、上記した圧着端子3および端子連結体5と同一または対応する構成については同一の符号を付し、これらの説明は省略する。
【0069】
図10A、
図10Bおよび
図11に示すように、圧着端子6は、ケーブル4(
図10Aないし
図12では省略する。)に圧着される圧着部30と、圧着部30に対して屈曲して設けられる端子接続部70と、を備え、連結部40は省略されている。なお、圧着端子6は、一枚の金属板を打ち抜き、曲げ加工されることで形成される。つまり、圧着部30および端子接続部70は一体に形成されている。
【0070】
<圧着部>
圧着部30の芯線基板部35の上部は上方(第1方向の一方)に向かって前後方向(第3方向)に幅広くなる略台形状に形成されている。なお、上記した圧着端子3では、各バレル片33,36が右方(第2方向の一方)に向かって延設されていたが、変形例に係る圧着端子6では、各バレル片33,36が左方に向かって延設されている。したがって、変形例に係る圧着端子6では、請求項で言う「第2方向の一方」とは左方を指し、「第2方向の他方」とは右方を指している。また、図示は省略するが、ハウジング2の収容本体部12に圧着端子6を収容することができるように、位置決めリブ16の位置が変更されている。
【0071】
<端子接続部>
端子接続部70は、上記した圧着端子3の端子接続部50と概ね同様に、底板70A、左側板70B、右側板70Cおよび天板70Dを巻くように折り曲げることで、左右方向を長辺とする略長方形の断面を持つ略角筒状に形成されている。端子接続部70の内部には接続空間S3が形成され、端子接続部70の前端面(第3方向の一端面)には接続開口部52が開口している。
【0072】
(底板)
第1平板の一例としての底板70Aは、芯線基板部35の上端に連設され、芯線基板部35に対して左方(各バレル片33,36の延設方向)に向けて略直角に折り曲げられている。底板70Aは、芯線基板部35の上端(第1方向の一端)から左方(第2方向の一方)に延設されると共に後方(第3方向の一方)に延設されている。底板70Aは、圧着部30の上端面を覆うように(蓋をするように)設けられている。底板70Aの後部には、2つの圧接凸部54が接続空間S3(上方)に向かって突設され、底板70Aの前部には、底凸部71が下方に向かって突設されている(
図10Aおよび
図11参照)。
【0073】
(一対の側板)
左側板70Bは、底板70Aの左端に連設され、底板70Aに対して上方に向けて略直角に折り曲げられている。右側板70Cは、底板70Aの右端に連設され、底板70Aに対して上方に向けて略直角に折り曲げられている。左右一対の側板70B,70Cは、底板70Aの左右方向(第2方向)の両端から上方(第1方向の一方)に延設されている。また、左側板70Bの前部には、側凸部72が左方に向かって突設されている(
図10B参照)。なお、底板70Aの右端前部には、芯線基板部35が連設されているため、右側板70Cは、芯線基板部35よりも後方において底板70Aの右端に連設されている(
図10A参照)。
【0074】
(天板)
第2平板の一例としての天板70Dは、底板70Aに隙間(接続空間S3)を挟んで対向している。天板70Dは、内天板70Eと、外天板70Fと、補強天板70Gと、を有している。
【0075】
内天板70Eは、左側板70Bの上端の前後方向の中間部に連設され、左側板70Bに対して右方に向けて略直角に折り曲げられている。内天板70Eは左側板70Bの上端から右方に延設され、内天板70Eの右端部は右側板70Cの上端面に重なっている。内天板70Eの後部には、3つの圧接片部53が左右方向に間隔をあけて設けられている。なお、上記した左側板70Bには、内天板70Eの後端に隣接する位置に切欠き部73が凹設されている(
図10B参照)。
【0076】
外天板70Fは、右側板70Cの上端の後部に連設され、右側板70Cに対して左方に向けて略直角に折り曲げられている。外天板70Fは、右側板70Cの上端から左方に延設され、外天板70Fの左端部は、左側板70Bの上端面に重なっている(覆っている)。また、外天板70Fは、内天板70Eの後方に配置され、外天板70Fの前部は、内天板70Eの後部上面に重なっている。外天板70Fの前部には、内天板70Eの上面に当接する支持凸部55が突設されている(
図10Bおよび
図11参照)。外天板70Fは、支持凸部55のみで内天板70Eに接触している。また、端子接続部70の後部には、右側板70Cの上部から外天板70Fに亘って、係止穴56が穿設されている(
図10Bおよび
図11参照)。
【0077】
補強天板70Gは、左側板70Bの上端の前部に連設され、左側板70Bに対して右方に向けて略直角に折り曲げられている。補強天板70Gは、左側板70Bの上端から右方に延設されている。補強天板70Gは、内天板70Eの前方に配置され、補強天板70Gの後端は、内天板70Eの前端から前上方に離間している(
図11参照)。
【0078】
(補強片)
端子接続部70は、補強天板70Gから底板70Aに向かって延設される補強片74を更に有している。補強片74は、補強天板70Gの前端に連設され、補強天板70Gに対して下方に向けて略直角に折り曲げられている。補強片74は、補強天板70Gの前端から下方に延設され、補強片74の先端(下端)は、底板70Aに僅かな隙間(例えば0.1~1.0mm程度)を挟んで対向している(
図10Bおよび
図11参照)。なお、圧着端子6を右側方から見て、底板70A(芯線基板部35)、右側板70C、内天板70E、補強天板70Gおよび補強片74で囲まれた範囲には、接続空間S3に通じる開口が形成されている(
図10A参照)。また、上記した底板70Aの前端は、補強片48の前面(表面)よりも僅かに前方(カバー部11側)に位置している。
【0079】
図12に示すように、変形例に係る圧着端子6は、上記した圧着端子3と同様に、キャリア60に複数連結されて端子連結体7を構成する。また、変形例に係る端子連結体7は、上記した端子連結体5と同様に、キャリア60に連設された圧着端子6の各バレル片33,36を外側に向けるようにしてリール62に巻回される(図示せず)。
【0080】
また、変形例に係る圧着端子6は、上記した圧着端子3と同様に、端子圧着装置によってケーブル4に圧着され、ハウジング2に収容されることでコネクタ1を構成する(図示せず)。なお、圧着端子6の端子接続部70をハウジング2の嵌合凸部13の第2収容空間S2に差し込んだ状態で、補強天板70G、底凸部71および側凸部72は、嵌合凸部13の内面に僅かな隙間を挟んで近接(または接触)している(図示せず)。これにより、第2収容空間S2において、端子接続部70が位置決めされる。また、カバー部11を収容部10に取り付けた状態で、カバー部11の各押圧部27(底板70Aの前端)は、収容部10に収容された圧着端子6の補強片74に僅かな隙間を挟んで近接(または接触)している(図示せず)。これにより、各圧着端子6がハウジング2の内部で位置決めされる。
【0081】
ところで、L字状の圧着端子6を装着したコネクタ1(所謂ライトアングルコネクタ)は、ケーブル4を無理に曲げることなく、電気基板99上に実装された相手側コネクタ90に容易に接続することができる。また、ハウジング2や圧着端子6をL字状に屈曲させることで、コネクタ1の全高を低く(前後方向の寸法を短く)抑えることもできる。ここで、例えば、コネクタ1が相手側コネクタ90に接続された状態で、ケーブル4を整列させる等の作業を行うことがある。この際、不注意でケーブル4に手が引っ掛かる等して、ケーブル4が延在方向(例えば
図10Bでは上下方向)に交差する方向(コネクタ1の分離方向(例えば
図10Bでは前方))に引っ張られることがある。すると、ケーブル4に圧着された圧着部30には、端子接続部70に対して回動するような力(
図11に示す太矢印参照)が作用し、圧着端子6は、ハウジング2内において圧着部30と端子接続部70との成す角度を開くように変形してしまうことがある。その結果、ハウジング2のカバー部11が外れ、圧着端子6がハウジング2から離脱してしまう虞があった。
【0082】
上記のような問題に対し、変形例に係る圧着端子6では、補強片74が、補強天板70Gの前端から底板70Aに向かって延設され、その先端が、底板70Aに僅かな隙間を挟んで対向する構成とした(
図11参照)。この構成によれば、ケーブル4が引っ張られ、圧着部30が端子接続部70に対して開かれるように回動したとしても、補強片74の先端が底板70Aに突き当たり、底板70Aと補強天板70Gとの間に架設された補強片74によって圧着部30の回動を規制することができる。これにより、圧着部30に作用する回動力に抵抗することができ、圧着端子6の過度な変形を抑制することができる。その結果、ハウジング2からの圧着端子6の離脱を抑制することができる。
【0083】
なお、本実施形態の変型例に係る圧着端子6では、内天板70Eが左側板70Bの上端に連設され、外天板70Fが右側板70Cの上端に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内天板70Eが右側板70Cの上端に連設され、外天板70Fが左側板70Bの上端に連設されてもよい(図示せず)。また、例えば、内天板70Eおよび外天板70Fは、左側板70Bと右側板70Cの何れか一方にのみ連設されてもよい(図示せず)。また、天板70Dには補強天板70Gが含まれていたが、これに限らず、補強天板70Gは省略されてもよい(図示せず)。この場合、補強片74は、内天板70Eに連設されるとよい(図示せず)。
【0084】
また、本実施形態の変型例に係る圧着端子6では、補強片74が、補強天板70G(第2平板)の前端(第3方向の他端)から底板70A(第1平板)に向かって延設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、補強片74は、底板70A(第1平板)の前端から補強天板70G(第2平板)に向かって延設されてもよい。また、補強片74は複数であってもよく、例えば、補強天板70Gから底板70Aに向かう補強片74と、底板70Aから補強天板70Gに向かう補強片74とが設けられてもよい(図示せず)。また、例えば、補強片74は、左側板70Bの前端から右側板70C側に向けて延設されてもよい(図示せず)。また、補強片74の先端が底板70Aから離間していたが、これに限らず、底板70Aに接触していてもよい(図示せず)。また、圧着部30と端子接続部70との継目部が、十分な剛性を備えているのであれば、補強片74は省略されてもよい(図示せず)。この場合、カバー部11の各押圧部27は、圧着端子6の端子接続部70の前端面に押し付けられるとよい(図示せず)。
【0085】
なお、本実施形態(変形例を含む。)に係る圧着端子3,6では、圧着部30の被覆基板部32と芯線基板部35との間に段差(傾斜板部37)が設けられていたが(
図4A等参照)、これに限らず、被覆基板部32と芯線基板部35とは、同一平面を成すように設けられてもよい(図示せず)。また、被覆バレル片33および芯線バレル片36がそれぞれ一対設けられていたが、これに限らず、例えば、被覆バレル片33および芯線バレル片36は、それぞれ1つ設けられてもよい(図示せず)。また、圧着部30が被覆圧着部31と芯線圧着部34とで構成されていたが、これに限らず、被覆圧着部31を省略し、芯線圧着部34のみで構成されてもよい(図示せず)。この場合、芯線基板部35の基端(下端)がキャリア60に連設されることになる(図示せず)。
【0086】
また、本実施形態に係る圧着端子3では、架設板44が、前方の支持板43と一体に形成されていたが、これに限らず、後方の支持板43と一体に形成されてもよい(図示せず)。また、前方の支持板43や架設板44が省略され、第1支持部41が後方の支持板43のみで構成されてもよい(図示せず)。
【0087】
また、本実施形態に係る圧着端子3では、第2支持部42が、後方の支持板43に連設され、後方に延設されていたが、これに限らず、前方の支持板43に連設され、前方に延設されてもよい(図示せず)。この場合、端子接続部50も前方に延設されることになる(図示せず)。
【0088】
また、本実施形態(変形例を含む。)に係る圧着端子3,6では、端子接続部50が略角筒状に形成されていたが、これに限らず、端子接続部50,70は、相手側端子と電気的に接続可能な形状であればよい。例えば、相手側端子が端子接続部50,70を挟み込むように形成されているのであれば、端子接続部50は、
図13Aに示すように、一枚の板状であってもよい(他の変形例)。また、他にも、
図13Bに示すように、連結部40が省略され、端子接続部50(70)が、芯線基板部35から直接的に後方(キャリア60の延在方向)に向かって延設されてもよい(更に他の変形例)。つまり、芯線基板部35と端子接続部50(70)とが、L字状を成す板状に形成されてもよい。なお、各種の変形例においては、端子接続部50は、板状に限らず、1本の棒状であってもよい(図示せず)。
【0089】
また、本実施形態(各変形例を含む。以下同じ。)に係る圧着端子3,6では、端子接続部50,70が圧着部30に対して略直角に折曲していたが、直角に限らず、僅かに鈍角になってもよいし、鋭角になってもよい(図示せず)。
【0090】
また、本実施形態に係る端子連結体5,7は、リール62に巻かれていたが、リール62に巻かれずに、
図6や
図12に示すように、キャリア60が一方向(平面状)に延び、複数の圧着端子3が一列に並設された状態で使用されてもよい。
【0091】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る圧着端子、端子連結体およびコネクタにおける一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えや組み合わせが可能であって、上記実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0092】
1 コネクタ
2 ハウジング
3,6 圧着端子
4 ケーブル
5,7 端子連結体
30 圧着部
32 被覆基板部(基板部)
33 被覆バレル片(バレル片)
35 芯線基板部(基板部)
36 芯線バレル片(バレル片)
40 連結部
41 第1支持部
42 第2支持部
43 支持板
44 架設板
50,70 端子接続部
60 キャリア
62 リール
70A 底板(第1平板)
70B 左側板(側板)
70C 右側板(側板)
70D 天板(第2平板)
74 補強片
A1 第1軸