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特開2024-64962コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム
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  • 特開-コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064962
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20240507BHJP
   G01F 23/292 20060101ALI20240507BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E04G21/02 ESW
G01F23/292 B
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080502
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022173709
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高尾 篤志
(72)【発明者】
【氏名】今泉 克彦
【テーマコード(参考)】
2E172
2F014
2F112
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DE01
2F014AB01
2F014FA01
2F112AD01
2F112CA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大きな構造物および複雑な形状の構造物であっても、打込まれたコンクリートの正確な高さを計測する。
【解決手段】所定サイズの小ブロックに分割した分割データとコンクリートの打設順を示す打設順データとを有する3次元設計情報を取得する取得部201と、打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、小ブロックのうち隣接しない小ブロックの上空であって、測距センサの測距センサ識別子と前記小ブロックのそれぞれを識別するための識別子のうち前記測距センサが配置された小ブロックである特定小ブロックの小ブロック識別子とを紐付けて管理する測距センサ管理部202と、測距センサから測距データを取得する測距データ取得部203と、コンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定部204と、判定された打込み状態を表示させる表示制御部205を備えるコンクリート打設管理装置100。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得部と、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロックのうち隣接しない少なくとも2つの小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための識別子のうち前記測距センサが配置された小ブロックである特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理部と、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得部と、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックおよび前記特定小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定部と、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御部と、
を備えるコンクリート打設管理装置。
【請求項2】
前記特定小ブロックは、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロックにおいて、少なくとも両端部に配置される小ブロックを含む請求項1に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項3】
2つの特定小ブロックに挟まれた少なくとも1つの小ブロックについて、打設順において、若い打設番号が付与された特定小ブロックに対するコンクリートの打込みが終了した後、前記若い打設番号の次の打設番号が付与された特定小ブロックに対するコンクリートの打込みが開始された場合、前記次の打設番号が付与された特定小ブロックに打ち込まれたコンクリートの高さに基づいて、前記2つの特定小ブロックに挟まれた少なくとも1つの小ブロックに打ち込まれたコンクリートの高さを推定する高さ推定部をさらに有する請求項1または2に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項4】
前記高さ推定部は、前記若い打設番号が付与された特定小ブロックに打込まれたコンクリートの高さと、前記次の打設番号が付与された特定小ブロックに打込まれたコンクリートの高さと、を線形補間することにより、前記2つの特定小ブロックに挟まれた少なくとも1つの小ブロックに打ち込まれたコンクリートの高さを推定する請求項3に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項5】
前記高さ推定部は、前記若い打設番号が付与された特定小ブロックおよび前記次の打設番号が付与された特定小ブロックに対して同一のポンプ車からコンクリートが供給された場合に、線形補間を用いて、前記2つの特定小ブロックに挟まれた少なくとも1つの小ブロックに打ち込まれたコンクリートの高さを推定する請求項4に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項6】
前記打込み状態判定部は、前記測距センサによる測距データに基づいて、前記小ブロックおよび前記特定小ブロックに対するコンクリートの打込みの開始および打込みの終了を判定し、
コンクリートの打込みの開始および打込み終了を判定した時刻を、コンクリートの打込み開始時刻およびコンクリートの打込み終了時刻として記録する請求項5に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項7】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロックのうち隣接しない少なくとも2つの小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための識別子のうち前記測距センサが配置された小ブロックである特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックおよび前記特定小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
を含むコンクリート打設管理方法。
【請求項8】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロックのうち隣接しない少なくとも2つの小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための識別子のうち前記測距センサが配置された小ブロックである特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックおよび前記特定小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させるコンクリート打設管理プログラム。
【請求項9】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得部と、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順において、最初の打設順の小ブロックおよび最後の打設順の小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記測距センサが配置された最初の打設順の小ブロックである最初の特定小ブロックおよび最後の打設順の小ブロックである最後の特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理部と、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得部と、
前記最初の特定小ブロックの上空に配置された測距センサから取得した測距データに基づいて、前記最初の特定小ブロックに対するコンクリートの打込みの開始を判定し、前記最後の特定小ブロックの上空に配置された測距センサから取得した測距データに基づいて、前記最後の特定小ブロックに対するコンクリートの打込みの終了を判定する、打込み状態判定部と、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御部と、
を備えるコンクリート打設管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、鋼管のほぼ中心に設置された距離計測機を用いて、鋼管に圧入されたコンクリートの天端の高さを計測することが開示されている。また、特許文献2には、レーザ測距機を用いて、コンクリート床版仕上がり高さの経時的変化を計測して、管理することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-43031号公報
【特許文献2】特開2018-9394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の技術では、1つの測距機を用いて計測対象のコンクリート打設の高さを計測しているので、構造物の1か所の高さしか計測できなかった。そのため、大きな構造物および複雑な形状の構造物の場合には、打込まれたコンクリートの正確な高さを計測できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート打設管理装置は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得部と、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロックのうち隣接しない少なくとも2つの小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための識別子のうち前記測距センサが配置された小ブロックである特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理部と、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得部と、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックおよび前記特定小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定部と、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御部と、
を備える。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート打設管理方法は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロックのうち隣接しない少なくとも2つの小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための識別子のうち前記測距センサが配置された小ブロックである特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックおよび前記特定小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート打設管理プログラムは、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロックのうち隣接しない少なくとも2つの小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための識別子のうち前記測距センサが配置された小ブロックである特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックおよび前記特定小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【0008】
さらにまた、上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート打設管理装置は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得部と、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順において、最初の打設順の小ブロックおよび最後の打設順の小ブロックの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、前記測距センサが配置された最初の打設順の小ブロックである最初の特定小ブロックおよび最後の打設順の小ブロックである最後の特定小ブロックの小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理部と、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得部と、
前記最初の特定小ブロックの上空に配置された測距センサから取得した測距データに基づいて、前記最初の特定小ブロックに対するコンクリートの打込みの開始を判定し、前記最後の特定小ブロックの上空に配置された測距センサから取得した測距データに基づいて、前記最後の特定小ブロックに対するコンクリートの打込みの終了を判定する、打込み状態判定部と、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大きな構造物および複雑な形状の構造物の場合であっても、打込まれたコンクリートの正確な高さを計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の動作の概要を説明するための図である。
図1B】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置における測距センサの配置について説明するための図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置が有する測距センサテーブルおよび小ブロックテーブルの一例を説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのコンクリート打設管理装置100について、図1A図5を用いて説明する。コンクリート打設管理装置100は、小ブロックに対して打込まれたコンクリートの状態を判定して、ユーザに対して判定された打込み状態を表示させるための装置である。
【0013】
コンクリートの打込みにおいては、アジテータ車による生コンクリートの運行時間、コンクリートの打込み開始時刻および終了時刻、並びに打重ね時間等を管理する必要がある。しかしながら、従来の管理方法では、作業現場の現場職員が、生コンクリートの打込み位置を随時監視し、打設領域にある小ブロックごとに、打込み開始時刻および打込み終了時刻をタブレット端末などの作業端末に手作業で入力をして管理していた。したがって、打込み時間および打重ね時間の管理のために、現場職員が、小ブロックの水平方向および鉛直方向(高さ方向)の境界の確認をしなければならず、少なくとも1名の現場職員が、常時、打設位置についている必要があった。また、コンクリートの打設領域が広く、コンクリートポンプを同時に複数台稼働させる場合には、打込み位置を確認する現場職員を複数人配置する必要があった。
【0014】
そのため、コンクリート打設管理装置100では、測距センサ110を用いて、小ブロックに打込まれたコンクリートの高さを計測することにより、現場職員の人数を減らしても、コンクリートの打込みを確実に管理できるようにした。
【0015】
まず、図1Aを参照して、コンクリート打設管理装置100の動作の概要について説明する。コンクリート打設管理装置100は、測距センサ110から打込み中のコンクリートの測距データ(高さのデータ)を取得して、取得した測距データに基づいて、コンクリートの打込み状態をコンクリートの打設現場に配置された携帯端末130へ表示させる装置である。
【0016】
図示したように、鉛直方向に複数の小ブロック120が積み重なっている場合、コンクリート打設管理装置100は、コンクリートの打込み状態として、棒グラフの高さで、打込み高さを表現する。つまり、コンクリート打設管理装置100は、タブレット端末およびスマートフォンなどの携帯端末130のディスプレイに、視覚的に分かりやすい方法で、コンクリートの打込み状態を表示させる。
【0017】
図示した例では、小ブロックを識別するための番号に相当する小ブロック識別子が、B7およびB14の小ブロックは、それぞれ高さが1,000mmであり、コンクリートの打込みが終了していることが分かる。すなわち、これら2つの小ブロックについては、ハッチングで示した棒グラフが、それぞれの高さを示す位置を超えているため、コンクリートの打込みが終了していることが分かる。
【0018】
これに対して、小ブロック識別子B21の小ブロック120は、棒グラフが、当該小ブロック120を模式的に表すグラフィックの高さ位置の約半分までしか到達していないため、コンクリートの打込み中であることが分かるようになっている。また、小ブロック識別子B28、B35、B42およびB49は、棒グラフが到達していないので、コンクリートの打込みが現時点では行われていないこと、すなわち、未打設であることを示している。
【0019】
さらに、打設高さ3,000mmのところに示された幅広横線は、現時刻において計画されていた打込みの高さであり、現時刻においては、小ブロック識別子B21およびB18までは、コンクリートの打込みが終了していなければならないことを示している。これに関して、小ブロック識別子B18側の小ブロックについては、計画高さ(3,000mm)よりも高い位置(3,512mm)までコンクリートの打込みが終了しているため、コンクリートの打込みが計画よりも進んでいることが分かる。これに対して、小ブロック識別子B21側の小ブロックについては、計画高さ(3,000mm)よりも低い位置(2,470mm)までしかコンクリートの打込みが行われておらず、コンクリートの打込みが計画通りに進んでいないことが分かる。
【0020】
測距センサIDは、測距センサ110を識別するための識別子であり、小ブロック識別子B7~B49に打込まれたコンクリートについては、測距センサID:S001の測距センサ110で高さを計測している。また、小ブロック識別子B4~B46に打込まれたコンクリートについては、測距センサID:S002の測距センサ110で高さを計測している。つまり、図示した例では、鉛直方向に積み重なっている2つの小ブロック群については、異なる測距センサ110を用いて高さを計測している。また、1つの測距センサ110で複数の小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを計測している。
【0021】
ここで、図示したように、測距センサ110は、例えば、レーザ光を計測対象に照射して、照射したレーザ光が計測対象で反射して測距センサ110の受光素子に戻ってくるまでの時間に基づいて、距離を計測するセンサである(ToF:Time of Flight(飛行時間法))。測距センサ110は、コンクリートの打込み高さの計測対象となっている小ブロック120に対して、コンクリートが打込まれている間、例えば、所定時間間隔でレーザ光を照射して、コンクリートの打込み高さの計測を実行する。また、測距センサ110は、計測した測距データをコンクリート打設管理装置100へ順次送信する。なお、測距センサ110とコンクリート打設管理装置100とは、無線通信により接続されているが、無線通信には限定されず、有線通信で接続されていてもよい。
【0022】
次に、図1Bを参照して、測距センサ110の配置について説明する。図1B(a)は、斜視図であり、図1B(b)は、上面図である。ここでは、単純な形状の構造物(立方体)を例に説明するが、大きな構造物および複雑な構造物などであっても本実施形態のコンクリート打設管理装置100を用いることができる。なお、図1B(a)においては、大ブロック140は、最上層の1層のみを示しており、これより下の層は図示を省略している。また、小ブロック120の左上隅の数字が打設順を示す数字であり、この順番に従って(1番→16番)、コンクリートの打込みが行われる。つまり、図1B(b)の矢印で示したように、1番→4番、8番→5番、9番→12番、16番→13番の順番で、一筆書きのようにして、コンクリートが打込まれる。
【0023】
ここで、1番、4番、5番、8番、9番、12番、13番および16番の小ブロック120は、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に測距センサ110が配置された小ブロック(特定小ブロック121)となっている。なお、ここでは、紙面上、左右方向に一直線上に並ぶ小ブロック120に対して、測距センサ110を配置した例を示している。しかしながら、例えば、紙面上、上下方向に一直線上に並ぶ小ブロック120に対して、測距センサ110を配置する場合には、1番~4番および13番~16番の小ブロックに測距センサ110を配置することが考えらえる。このように、一直線の方向の取り方により、測距センサ110が配置される小ブロック120が異なってくる。
【0024】
そして、1番の特定小ブロック121から4番の特定小ブロック121までの、横一列に一直線上に並ぶ小ブロック120にコンクリートを打込む場合を参照して説明する。この列においては、1番の特定小ブロック121および4番の特定小ブロック121には測距センサ110が設置されている。これに対して、これら2つの特定小ブロック121に挟まれた2番の小ブロック120および3番の小ブロック120には、測距センサ110が配置されていないため、コンクリートの打込み高さを計測することはできない。
【0025】
しかしながら、打設順に従ってコンクリートの打込みを行うと、1番の特定小ブロック121へのコンクリートの打込みが開始され、1番の特定小ブロック121へのコンクリートの打込みが終了した時点で、2番の小ブロック120へのコンクリートの打込みが開始されることが推定できる。また、1番の特定小ブロック121へのコンクリートの打込みが終了した後、4番の特定小ブロック121へのコンクリートの打込みが開始されると、1番および4番の特定小ブロック121の間の、2番および3番の小ブロック120への打込みが終了しているか、または終了に近づいていることが推定できる。そして、4番の特定小ブロック121へのコンクリートの打込みが終了すると、その時点で、2番および3番の小ブロック120へのコンクリートの打込みが終了していることが確定する。
【0026】
このように、全ての小ブロック120に対して、測距センサ110を設置しなくても、間に測距センサ110が未設置となる小ブロック120を挟む形で、これらの両端の特定小ブロック121に測距センサ110を設置しておけばよい。そうすると、測距センサ110が設置された特定小ブロック121に挟まれた小ブロック120であれば、リアルタイムで打込みの開始および終了を確認することはできないが、両端の特定小ブロック121への打込みの開始および終了から、これらの小ブロック120に対するコンクリートの打込みの開始および終了を推定することができる。
【0027】
これにより、測距センサ110の設置数を減らして、監視すべき測距センサ110の数を減らせるので、コンクリート打設管理装置100の負担を減らしつつも、コンクリートの打込みを確実に管理することができるようになる。
【0028】
測距センサ110の配置位置は、大ブロック140を鉛直上方から見た場合、矩形形状の小ブロック120の略中央の上空となっている。測距センサ110は、例えば、大ブロック140の上方に這わせたレールやロープ等に吊り下げるようにして、設置してもよい。なお、設置される測距センサ110は、全て同じ高さ位置に設置されてもよい。例えば、鉛直方向(上下方向)で小ブロック120の数が異なる形状の大ブロック140の場合には、最大の小ブロック120の数に合わせた高さ位置に測距センサ110を設置する。あるいは、大ブロック140の上面に配置される小ブロック120のそれぞれの鉛直方向の高さ位置から所定距離離れた位置に、測距センサ110を設置してもよい。
【0029】
図2を参照して、コンクリート打設管理装置100の構成について説明する。コンクリート打設管理装置100は、取得部201、測距センサ管理部202、測距データ取得部203、打込み状態判定部204および表示制御部205を有する。
【0030】
取得部201は、構造物の3次元設計情報であって、3次元設計情報を所定サイズの大ブロック140に区分して、区分された大ブロック140のそれぞれを、所定サイズの小ブロック120に分割した分割データと、小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する。
【0031】
ここで、コンクリートの打設計画の立案は、例えば、3次元CAD(Computer-Aided Design)などを用いて設計した構造物の3次元データ等を含む3次元設計情報を用いて行われる。3次元設計情報には、例えば、工区や工期などの情報も含まれている。また、3次元設計情報は、所定期間に打設可能なコンクリートの量に応じて設定された施工領域であり、複数の大ブロック140に分けられている。すなわち、構造物は、複数の大ブロック140を含んでいる。そして、例えば、複数の大ブロック140を、アジテータ車による生コンクリートの運搬可能量などに応じて、いくつかの小ブロック120に分割する。このように、3次元設計情報は、構造物を複数の小ブロック120に分割した分割データを有しており、コンクリートの打込みの管理は、小ブロック単位で行われることとなる。コンクリート打設は、例えば、上述のようにして生成された小ブロック120について、各小ブロックが属する打設層における打設の順番を示す番号に従って行われる。なお、3次元設計情報は、コンクリート打設管理装置100において生成しても、コンクリート打設管理装置100とは別の装置で生成してもよい。
【0032】
測距センサ管理部202は、3次元設計情報において、小ブロック120に対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する小ブロック120のうち隣接しない少なくも2つの小ブロック120の上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、小ブロック120のそれぞれを識別するための識別子のうち測距センサ110が配置された小ブロックである特定小ブロック121の小ブロック識別子と、を紐付けて管理する。
【0033】
例えば、図1B(b)に示した、1番~4番の小ブロックは、同一直線上に連続して存在しており、これら4つの小ブロック120のうち、1番および4番の小ブロック120に測距センサが配置されている。したがって、1番と4番の小ブロック120が、特定小ブロック121となっている。そして、1番の特定小ブロック121と4番の特定小ブロック121との間には、2番と3番の2つの小ブロック120が、存在している。このように、測距センサ110は、隣接しない少なくとも2つの小ブロックの上空に配置されている。
【0034】
ここに示した例では、特定小ブロック121は、打設順に従って、同一直線上に連続して存在する4つの小ブロック120において、少なくとも両端部に配置されている小ブロック120を含んでいる。つまり、ここでは、特定小ブロック121は、横方向に並んでいる小ブロック120のうち、両端部に存在する小ブロック120となっている。このような位置に、測距センサ110を配置することにより、測距センサ110が配置されていない小ブロック120のコンクリートの打込みの開始および終了を推定することができるようになる。
【0035】
また、大ブロック140は、1層あたり複数の小ブロック120を含む小ブロック層が複数層、上下方向(鉛直方向)に積み重なった構造となっており、この場合、上下に並ぶ複数の特定小ブロック121の打込み高さは、同一の測距センサ110により計測される。このように、コンクリート打設管理装置100においては、測距センサ110が打込み高さを計測する特定小ブロック121が予め決められているので、どの位置にある特定小ブロック121にコンクリートが打込まれているかを容易に把握できる。
【0036】
測距データ取得部203は、打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、測距センサ110から測距データを取得する。測距センサ110は、所定時間間隔で特定小ブロック121に打込まれたコンクリートとの間の距離(コンクリートの打込み高さ)を計測する。そして、測距データ取得部203は、測距センサ110が、距離を計測するタイミングで、測距センサ110から測距データを取得する。このように、測距センサ110が、距離を計測するタイミングに合わせて、測距データを取得することで、リアルタイムで、コンクリートの打込みを管理することができる。
【0037】
打込み状態判定部204は、取得した測距データに基づいて、小ブロック120および特定小ブロック121に対するコンクリート打込みの状態を判定する。なお、特定小ブロック121に対するコンクリートの打込み高さは、特定小ブロック121のそれぞれの下端(底面)を基準として計測される。
【0038】
まず、打込み状態判定部204は、測距センサ110が設置されている位置から基準面(例えば、各特定小ブロック121の底面)までの距離(基準距離)を記憶する。そして、打込み状態判定部204は、現在打設されているコンクリートの上面と測距センサ110の間の距離を、基準距離から減じることで、現在打込み中のコンクリートの打込み高さを導出する。そして、打込み状態判定部204は、導出されたコンクリートの現在の打込み高さと、打設計画におけるコンクリートの打込み高さとを比較することで、コンクリート打込中の特定小ブロック121および小ブロック120の打込み状態を判定する。打込み状態判定部204は、測距センサ100による測距データに基づいて、小ブロック120および特定小ブロック121に対するコンクリートの打込みの開始を判定する。
【0039】
また、コンクリートの打込みの終了の判定は、例えば、特定小ブロック121の高さが、1,000mmの場合、所定高さ(例えば、990mm)を超えた場合に、その特定小ブロック121に対する打込みが終了したと判定する。なお、所定高さは、例えば、特定小ブロック121の全てが同じ高さである場合には、1つであればよい。しかしながら、特定小ブロック121の高さが複数存在する場合には、それぞれの高さの値に合わせた所定高さの値が設定される。あるいは、所定高さは、100mmなどのように数値で表現するのではなく、特定小ブロック121の高さの95%などのように、割合を用いて設定してもよい。
【0040】
さらに、コンクリート打設においては、コンクリートが打込まれた後に、バイブレータを用いて、不要な混入空気を取り除き、骨材を均等にするために、コンクリートの締固めが行われる。そのため、特定小ブロック121に対して打込んだコンクリートの高さが、所定高さに到達した後であっても、締固めの影響により、当該高さが、所定高さを下回ることがある。コンクリート打設管理装置100においては、コンクリートの打込み終了時刻を確実に管理するため、所定高さを下回る時間が、所定時間継続したとき、コンクリートの打込みが終了したと判定する。そして、打込み状態判定部204は、コンクリートの打込み開始および打込み終了を判定した時刻を、コンクリートの打込み開始時刻および打込み終了時刻として記録する。
【0041】
表示制御部205は、コンクリートの打設現場に配置された携帯端末130に、判定された打込み状態を表示させる。表示制御部205は、コンクリートの打込みの状態として、例えば、棒グラフの伸び具合を用いて打込みの進捗を表示する。つまり、表示制御部205は、棒グラフの伸び具合と打込みの高さとを連携させて、一目で分かるような表示をする。
【0042】
図3を参照して、コンクリート打設管理装置100が有する測距センサテーブル301および小ブロックテーブル302の一例について説明する。測距センサテーブル301は、測距センサID311に関連付けて計測対象小ブロック312および測距データ313を記憶する。測距センサID311は、設置された測距センサ110のそれぞれを識別するための識別子である。計測対象小ブロック312は、測距センサ110のそれぞれが、打込まれたコンクリートの高さの計測対象とする小ブロックの一覧である。測距データ313は、測距センサ110が計測しているデータである。
【0043】
小ブロックテーブル302は、小ブロックID321に関連付けて、座標データ322、高さ323、隣接小ブロック324および測距センサID311を関連付けて記憶する。小ブロックID321は、小ブロック120のそれぞれを識別するための識別子である。座標データ322は、小ブロック120のそれぞれの大ブロック140における位置を示すデータである。高さ323は、小ブロック120の高さの値である。隣接小ブロック324は、当該小ブロックの6面に接する小ブロックの一覧である。
【0044】
そして、コンクリート打設管理装置100は、測距センサテーブル301および小ブロックテーブル302を参照して、小ブロック120のそれぞれについて、コンクリートの打込み状態を判定し、判定結果を携帯端末130に表示させる。
【0045】
図4を参照して、コンクリート打設管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0046】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。測距センサデータ441は、設置された測距センサ110のそれぞれを識別するためのデータおよび測距センサ110の性能、特性等のデータである。測距データ442は、測距センサ110で計測した距離のデータであり、例えば、所定時間間隔で計測されたデータである。計測対象小ブロックデータ443は、測距センサ110が計測対象とする小ブロック120のデータであり、小ブロック120の識別子、座標、高さおよび体積等を含むデータである。設定高さデータ444は、コンクリート打設管理装置100が、小ブロック120に対するコンクリート打込みの状態を判定するために用いる基準となるデータであり、打込み対象となる小ブロック120のサイズの違いなどに応じて、基準が1つとなる場合もあれば、基準が複数となる場合もある。
【0047】
送受信データ445は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域446を有する。
【0048】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、測距センサテーブル301および小ブロックテーブル302を格納する。測距センサテーブル301は、測距センサID311と計測対象小ブロック312などとの関係を管理するテーブルである。小ブロックテーブル302は、小ブロックID321と座標データ322などとの関係を管理するテーブルである。
【0049】
ストレージ450は、さらに、取得モジュール451、測距センサ管理モジュール452、測距データ取得モジュール453、打込み状態判定モジュール454および表示制御モジュール455を格納する。取得モジュール451は、分割データと打設順データとを有する3次元設計情報を取得するモジュールである。測距センサ管理モジュール452は、小ブロック120のそれぞれの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを測定可能な位置に配置された測距センサの測距センサ識別子と、小ブロック120のそれぞれを識別するための小ブロック識別子とを紐付けて管理するモジュールである。測距データ取得モジュール453は、付与された打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、測距センサ110から測距データを取得するモジュールである。打込み状態判定モジュール454は、取得した測距データに基づいて、小ブロック120に対するコンクリート打込みの状態を判定するモジュールである。表示制御モジュール455は、コンクリートの打設現場に配置された携帯端末130に、判定された打込み状態を表示させるモジュールである。これらのモジュール451~455は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。制御プログラム456は、コンクリート打設管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0050】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、図4に示したRAM440やストレージ450には、コンクリート打設管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0051】
次に図5に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。
【0052】
ステップS501において、取得部201は、分割データと打設順データとを有する3次元設計情報を取得する。ステップS503において、測距センサ管理部202は、測距センサ110を識別するための測距センサ識別子と、測距センサ110がコンクリートの打込み高さを計測する対象である特定小ブロック121を識別する小ブロック識別子と、を紐付けて管理する。これにより、どの測距センサ110がどの特定小ブロック121の打込み高さを計測しているかの関係が明確となるので、打込み高さを確実に計測することができる。
【0053】
ステップS505において、測距データ取得部203は、特定小ブロック121に対してコンクリートの打込みを実施している間に、測距センサ110から測距データを取得する。ステップS507において、打込み状態判定部204は、取得した測距データに基づいて、特定小ブロック121および小ブロック120に対するコンクリートの打込みの状態を判定する。
【0054】
コンクリートの打込み状態の判定は、例えば、特定小ブロック121に対するコンクリートの打込みが終了したか否かの判定を含む。この場合、打込み状態判定部204は、例えば、コンクリートの打込みを行っている特定小ブロック121の高さのデータに基づいて、特定小ブロック121およびこれに隣接する小ブロック120の打込みの終了を安定してもよい。すなわち、打込まれたコンクリートの高さが、コンクリートを打込んでいる特定小ブロック121の高さと同じ値に達した場合に、打込み終了と判定する。
【0055】
あるいは、特定小ブロック121に対する打込みの終了を判定する基準として、所定高さの数値に基づいて、打込み状態判定部204は、コンクリートの打込みの終了を判定する。すなわち、打込み状態判定部204は、特定小ブロック121の高さよりも低い値であるが、所定高さの数値を基準として、コンクリートの打込みの終了を判定する。なお、打込み終了判定の基準となる所定高さは、小ブロック120の高さおよび特定小ブロック121の高さに合わせて、複数設定してもよい。さらに、コンクリートの打込みの開始および終了を判定した時刻を、コンクリートの打込み開始時刻およびコンクリートの打込み終了時刻として記録する。
【0056】
ステップS509において、表示制御部205は、コンクリートの打設現場に配置された携帯端末130に、判定された打込み状態を表示させる。ステップS511において、コンクリート打設管理装置100は、全ての特定小ブロック121について、コンクリートの打込み状態の判定が終了したか否かを判定する。全ての特定小ブロック121について、打込み状態の判定が終了していないと判定した場合(ステップS511のNO)、コンクリート打設管理装置100は、ステップS505へ戻る。全ての特定小ブロック121について、打込み状態の判定が終了していると判定した場合(ステップS511のYES)、コンクリート打設管理装置100は、処理を終了する。
【0057】
本実施形態によれば、設置する測距センサの数を減らしつつも、全ての小ブロック対して打込まれたコンクリートの高さを効率良く計測できるので、コンクリートの打設を確実に管理することができる。
【0058】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置600について、図6図8を用いて説明する。図6は、本実施形態に係るコンクリート打設管理装置600の構成を説明するための図である。本実施形態に係るコンクリート打設管理装置600は、上記第1実施形態と比べると、高さ推定部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0059】
コンクリート打設管理装置600は、高さ推定部601をさらに有する。高さ推定部601は、2つの特定小ブロック121に挟まれた少なくとも1つの小ブロックについて、打設順において、若い打設番号が付与された特定小ブロック121に対するコンクリートの打込みが終了した後、若い打設番号の次の打設番号が付与された特定小ブロック121に対するコンクリートの打込みが開始された場合、次の打設番号が付与された特定小ブロック121に打込まれたコンクリートの高さに基づいて、2つの特定小ブロック121に挟まれた少なくとも1つの小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを推定する。
【0060】
図1Bに示した例を用いて説明する。例えば、打設番号が1番の特定小ブロック121にコンクリートを打込むと、打込まれて時間の経過していないコンクリートは、流動性を有しているため、一部が、隣接する小ブロック120(例えば、打設番号が2番の小ブロック120)へと流れ込む。このように、コンクリートの流動性により、1番の特定小ブロック121へ打込んだコンクリートが、徐々に2番、3番の小ブロック120および4番の特定小ブロック121へと移動することがある。ここで、打設番号が4番の特定小ブロック121には、測距センサ110が配置されており、4番の特定小ブロック121へコンクリートが流れ込み、4番の特定小ブロック121の高さが増加し始めると、測距センサ110により、4番の特定小ブロック121の高さが計測し始められる。
【0061】
ここで、打設番号が2番および3番の小ブロック120には、測距センサ110が配置されていないので、これら2つの小ブロック120にコンクリートが打込まれたり、流れ込んだりしても、コンクリートの高さを計測することはできない。しかしながら、上述したように、コンクリートの流動性により、1番の特定小ブロック121および2番、3番の小ブロック120に打込んだコンクリートが、徐々に4番の特定小ブロック121へと移動することがある。
【0062】
そのため、例えば、1番の特定小ブロック121と4番の特定小ブロック121とに打込まれたコンクリートの高さが分かると、これらの小ブロック120に挟まれている2つの小ブロック120(2番、3番)の高さを推定することが可能となる。
【0063】
例えば、コンクリートの打設スピードと、4番の特定小ブロック121に打込まれたコンクリートの高さとから、2番、3番の小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを推定できる。すなわち、4番の特定小ブロック121に打込まれたコンクリートの高さが計測し始められると、計測された高さとその高さに至るまでの時間などを用いて、隣接する3番の小ブロック120およびさらに隣接する2番の小ブロック120の高さを推定できる。
【0064】
そして、4番の特定小ブロック121の高さが、打込み終了となる規定の高さとなると、1番から4番の特定小ブロック121および小ブロック120へのコンクリートの打込みが終了、つまり、これらの高さが、規定の高さに達したことが分かる。
【0065】
また、高さ推定部601は、上述とは異なる方法で高さを推定する。高さ推定部601は、若い打設番号が付与された特定小ブロック121に打込まれたコンクリートの高さと、次の打設番号が付与された特定小ブロック121に打込まれたコンクリートの高さとを、線形補間することにより、これら2つの特定小ブロック121に挟まれた少なくとも1つの小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを推定する。
【0066】
同様に、図1Bに示した例を用いて説明する。図1Bにおいて、16番の特定小ブロック121から13番の特定小ブロック121へ向かってコンクリートを打込む場合を考える。この場合、16番の特定小ブロック121のコンクリートの打込みが終了すると、順次、15番と14番の小ブロック120及び13番の特定小ブロック121へのコンクリートの打込みが開始される。
【0067】
そして、15番と14番の小ブロック120へのコンクリートの打込みが進み、13番の特定小ブロック121において、コンクリートの高さが計測され始めると、16番の特定小ブロック121および13番の特定小ブロック121のコンクリートの頂点(上面の1点)同士を直線で結ぶ。そうすると、この直線で示された、高さ位置が、15番と14番の小ブロック120のコンクリート打込みの高さであると推定することができる。
【0068】
このように、推定部601は、線形補間という手法を用いて、2つの特定小ブロック121に挟まれた少なくとも1つの小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを推定できる。
【0069】
また、高さ推定部601は、例えば、16番と13番の特定小ブロック121に対して同一のポンプ車からコンクリートが供給された場合に、線形補間を用いて、2つの特定小ブロック121に挟まれた少なくとも1つの小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを推定する。なお、線形補間が可能なのは、特定小ブロック121およびこれに挟まれた小ブロック120の高さが同じ場合である。
【0070】
図7を参照して、コンクリート打設管理装置600のハードウェア構成について説明する。RAM740は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM740には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。特定小ブロックデータは、特定小ブロック121に関するデータであり、測距センサ110が配置されている小ブロック120のデータおよび特定小ブロック121に打込まれたコンクリートの高さに関するデータ等が含まれる。推定高さデータ742は、測距センサ110が配置されていない小ブロック120において、推定された高さのデータであり、例えば、線形補間等により推定されたデータであるので、実測値とは異なる値となっている。
【0071】
ストレージ750には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、さらに、高さ推定モジュール751を格納する。高さ推定モジュール751は、測距センサ110が配置された2つの特定小ブロック121に挟まれた、測距センサ110の配置されていない小ブロック120の高さを推定するためのモジュールである。高さ推定モジュール751は、CPU410によりRAM740のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。
【0072】
次に図8に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置600の処理手順について説明する。このフローチャートは、図4のCPU410がRAM740を使用して実行し、図6のコンクリート打設管理装置600の各機能構成を実現する。
【0073】
ステップS801において、高さ推定部601は、2つの特定小ブロック121に打込まれたコンクリートの高さデータから、当該特定小ブロック121に挟まれた小ブロック120の高さを推定する。高さ推定部601は、例えば、線形補間を用いて、当該小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを推定する。
【0074】
本実施形態によれば、2つの特定小ブロックに挟まれた小ブロックへのコンクリートの打込みの開始および終了を、測距センサを用いることなく判定することができる。また、線形補間の手法を用いることにより、2つの特定小ブロックに挟まれた小ブロックへ打込まれたコンクリートの高さを、測距センサを用いることなく容易に推定することができる。さらに、設置する測距センサの数を減らしつつ、コンクリートの打込みの開始および終了、測距センサを配置していない小ブロックのコンクリート打込み高さを容易に推定でき、コンクリート打込みの確実な管理を低コストで実現できる。
【0075】
[その他]
その他の実施形態について、図1Bに示した例を用いて説明する。図1Bに示した例では、1番から順番に一筆書きの要領でコンクリート打込みを進め、最後に13番にコンクリートを打込んで終了する。この場合、例えば、1番と13番の小ブロック120にのみ測距センサ110を配置すると、1番と13番が特定小ブロック121となる。そうすると、1番の特定小ブロック121において、コンクリートの打込み高さが計測され始めると、全体としてのコンクリート打込みが開始されたことが分かる。
【0076】
そして、一定時間経過すると、13番の特定小ブロック121において、コンクリートの打込み高さが計測され始め、しばらくすると、13番の特定小ブロック121のコンクリート打込み高さが、規定の高さに達する。つまり、13番の特定小ブロック121のコンクリート打込み高さがきての高さになると、途中経過は不明であるが、全体としてのコンクリート打込みが終了したことが分かる。
【0077】
このように、コンクリート打込み対象の最初の小ブロック120と最後の小ブロック120とに測距センサ110を配置することにより、途中経過は不明となるものの、全体としてのコンクリート打込みの開始および終了を判定することができる。つまり、より少ない数の測距センサ110で、一定期間に計画されたコンクリートの打込みの開始と終了とを管理することができるようになる。
【0078】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0079】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8