(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064963
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20240507BHJP
G01F 23/292 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E04G21/02 ESW
G01F23/292 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080503
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022173710
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高尾 篤志
(72)【発明者】
【氏名】今泉 克彦
【テーマコード(参考)】
2E172
2F014
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DE01
2F014FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大きな構造物および複雑な形状の構造物であっても、打込まれたコンクリートの正確な高さを計測する。
【解決手段】所定サイズの小ブロックに分割した分割データとそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データとを有する3次元設計情報を取得する取得部と、高さを計測するために、小ブロックのそれぞれの境界線の交点である格子点の位置または格子点近傍の上空の位置であって高さを計測可能な位置に配置された少なくとも1つの測距センサの測距センサ識別子と小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子とを紐付けて管理する測距センサ管理部と、測距センサから測距データを取得する測距データ取得部と、小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定部と、携帯端末に判定された打込み状態を表示させる表示制御部と、を備えるコンクリート打設管理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得部と、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、前記小ブロックのそれぞれの境界線の交点である格子点の上空の位置または格子点近傍の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された少なくとも1つの測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理部と、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得部と、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定部と、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御部と、
を備えるコンクリート打設管理装置。
【請求項2】
前記測距センサは、前記大ブロックが直方体の場合、前記小ブロックのそれぞれについて、全ての格子点の上空の位置または全ての格子点近傍の上空の位置に配置される請求項1に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項3】
前記打込み状態判定部は、
所定小ブロックについて、3つの格子点の上空の位置または3つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサによる測距データに基づいて、前記所定小ブロックに対するコンクリートの打込みの開始を判定し、
所定小ブロックについて、4つの格子点の上空の位置または4つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサによる測距データに基づいて、前記所定小ブロックに対するコンクリートの打込みの終了を判定する、
請求項2に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項4】
前記打込み状態判定部は、
所定小ブロックについて、対角線上に配置される2つの格子点の上空の位置または対角線上に配置される2つの格子点の上空の位置に配置された測距センサによる測距データに基づいて、前記所定小ブロックに対するコンクリートの打込みの開始を判定し、
所定小ブロックについて、4つの格子点の上空の位置または4つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサによる測距データに基づいて、前記所定小ブロックに対するコンクリートの打込みの終了を判定する、
請求項2に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項5】
前記打込み状態判定部は、コンクリートの打込みの開始および打込み終了を判定した時刻を、コンクリートの打込み開始時刻およびコンクリートの打込み終了時刻として記録する請求項3または4に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項6】
前記測距センサは、前記大ブロックが直方体の場合、前記小ブロックのそれぞれについて、対角の位置関係となる2つの格子点の上空の位置または2つの格子点近傍の上空の位置に配置される請求項1に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項7】
前記打込み状態判定部は、所定小ブロックについて、2つの格子点の上空の位置または2つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサによる測距データに基づいて、前記所定小ブロックに対するコンクリートの打込みの開始および終了を判定する請求項6に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項8】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、前記小ブロックのそれぞれの境界線の交点である格子点の上空の位置または格子点近傍の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された少なくとも1つの測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
を含むコンクリート打設管理方法。
【請求項9】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、前記小ブロックのそれぞれの境界線の交点である格子点の上空の位置または格子点近傍の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された少なくとも1つの測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させるコンクリート打設管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、鋼管のほぼ中心に設置された距離計測機を用いて、鋼管に圧入されたコンクリートの天端の高さを計測することが開示されている。また、特許文献2には、レーザ測距機を用いて、コンクリート床版仕上がり高さの経時的変化を計測して、管理することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-43031号公報
【特許文献2】特開2018-9394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の技術では、1つの測距機を用いて計測対象のコンクリート打設の高さを計測しているので、構造物の1か所の高さしか計測できなかった。そのため、大きな構造物および複雑な形状の構造物の場合には、打込まれたコンクリートの正確な高さを計測できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート打設管理装置は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得部と、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、前記小ブロックのそれぞれの境界線の交点である格子点の上空の位置または格子点近傍の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された少なくとも1つの測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理部と、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得部と、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定部と、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御部と、
を備える。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート打設管理方法は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、前記小ブロックのそれぞれの境界線の交点である格子点の上空の位置または格子点近傍の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された少なくとも1つの測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート打設管理プログラムは、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データと、前記小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する取得ステップと、
前記3次元設計情報において、前記小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、前記小ブロックのそれぞれの境界線の交点である格子点の上空の位置または格子点近傍の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された少なくとも1つの測距センサの測距センサ識別子と、前記小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子と、を紐付けて管理する測距センサ管理ステップと、
前記打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、前記測距センサから測距データを取得する測距データ取得ステップと、
取得した測距データに基づいて、前記小ブロックに対するコンクリート打込みの状態を判定する打込み状態判定ステップと、
コンクリートの打設現場に配置された携帯端末に、判定された打込み状態を表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大きな構造物および複雑な形状の構造物の場合であっても、打込まれたコンクリートの正確な高さを計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の動作の概要を説明するための図である。
【
図1B】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置における測距センサの配置について説明するための図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置が有する測距センサテーブルおよび小ブロックテーブルの一例を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
本発明の好ましい実施形態としてのコンクリート打設管理装置について、
図1A~
図5を参照して説明する。コンクリート打設管理装置100は、小ブロックに対して打込まれたコンクリートの状態を判定して、ユーザに対して判定された打込み状態を表示させるための装置である。
【0012】
コンクリートの打込みにおいては、アジテータ車による生コンクリートの運行時間、コンクリートの打込み開始時刻および終了時刻、並びに打重ね時間等を管理する必要がある。しかしながら、従来の管理方法では、作業現場の現場職員が、生コンクリートの打込み位置を随時監視し、打設領域にある小ブロックごとに、打込み開始時刻および打込み終了時刻をタブレット端末などの作業端末に手作業で入力をして管理していた。したがって、打込み時間および打重ね時間の管理のために、現場職員が、小ブロックの水平方向および鉛直方向(高さ方向)の境界の確認をしなければならず、少なくとも1名の現場職員が、常時、打設位置についている必要があった。また、コンクリートの打設領域が広く、コンクリートポンプを同時に複数台稼働させる場合には、打込み位置を確認する現場職員を複数人配置する必要があった。
【0013】
そのため、コンクリート打設管理装置100では、測距センサ110を用いて、小ブロックに打込まれたコンクリートの高さを計測することにより、現場職員の人数を減らしても、コンクリートの打込みを確実に管理できるようにした。
【0014】
まず、
図1Aを参照して、コンクリート打設管理装置100の動作の概要について説明する。コンクリート打設管理装置100は、測距センサ110から打込み中のコンクリートの測距データ(高さのデータ)を取得して、取得した測距データに基づいて、コンクリートの打込み状態をコンクリートの打設現場に配置された携帯端末130へ表示させる装置である。
【0015】
図示したように、鉛直方向に複数の小ブロック120が積み重なっている場合、コンクリート打設管理装置100は、コンクリートの打込み状態として、棒グラフの高さで、打込み高さを表現する。つまり、コンクリート打設管理装置100は、タブレット端末およびスマートフォンなどの携帯端末130のディスプレイに、視覚的に分かりやすい方法で、コンクリートの打込み状態を表示させる。
【0016】
図示した例では、小ブロックを識別するための番号に相当する小ブロック識別子が、B7およびB14の小ブロックは、それぞれ高さが1,000mmであり、コンクリートの打込みが終了していることが分かる。すなわち、これら2つの小ブロックについては、ハッチングで示した棒グラフが、それぞれの高さを示す位置を超えているため、コンクリートの打込みが終了していることが分かる。
【0017】
これに対して、小ブロック識別子B21の小ブロック120は、棒グラフが、当該小ブロック120を模式的に示すグラフィックの高さ位置の約半分までしか到達していないため、コンクリートの打込み中であることが分かるようになっている。また、小ブロック識別子B28、B35、B42およびB49は、棒グラフが到達していないので、コンクリートの打込みが現時点では行われていないこと、すなわち、未打設であることを示している。
【0018】
さらに、打設高さ3,000mmのところに示された幅広横線は、現時刻において計画されていた打込みの高さであり、現時刻においては、小ブロック識別子B21およびB18までは、コンクリートの打込みが終了していなければならないことを示している。これに関して、小ブロック識別子B18側の小ブロックについては、計画高さ(3,000mm)よりも高い位置(3,512mm)までコンクリートの打込みが終了しているため、コンクリートの打込みが計画よりも進んでいることが分かる。これに対して、小ブロック識別子B21側の小ブロックについては、計画高さ(3,000mm)よりも低い位置(2,470mm)までしかコンクリートの打込みが行われておらず、コンクリートの打込みが計画通りに進んでいないことが分かる。
【0019】
測距センサIDは、測距センサ110を識別するための識別子であり、小ブロック識別子B7~B49に打込まれたコンクリートについては、測距センサID:S001の測距センサ110で高さを計測している。また、小ブロック識別子B4~B46に打込まれたコンクリートについては、測距センサID:S002の測距センサ110で高さを計測している。つまり、図示した例では、鉛直方向に積み重なっている2つの小ブロック群については、異なる測距センサ110を用いて高さを計測している。また、1つの測距センサ110で複数の小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを計測している。
【0020】
ここで、図示したように、測距センサ110は、例えば、レーザ光を計測対象に照射して、照射したレーザ光が計測対象で反射して測距センサ110の受光素子に戻ってくるまでの時間に基づいて、距離を計測するセンサである(ToF:Time of Flight(飛行時間法))。測距センサ110は、コンクリートの打込み高さの計測対象となっている小ブロック120に対して、コンクリートが打込まれている間、例えば、所定時間間隔でレーザ光を照射して、コンクリートの打込み高さの計測を実行する。また、測距センサ110は、計測した測距データをコンクリート打設管理装置100へ順次送信する。なお、測距センサ110とコンクリート打設管理装置100とは、無線通信により接続されているが、無線通信には限定されず、有線通信で接続されていてもよい。
【0021】
次に、
図1Bを参照して、測距センサ110の配置について説明する。
図1B(a)および(b)は、上面図である。同図は、縦横4×4の正方形の大ブロック140の上面図を表している。なお、同図では、平面図のみを示しているが、大ブロック140は、例えば、図示したような、平面が複数層積み重なった立体的な構造(直方体)となっている。ここでは、単純な形状の構造物(立方体)を例に説明するが、大きな構造物および複雑な構造物などであっても本実施形態のコンクリート打設管理装置100を用いることができる。
【0022】
まず、
図1B(a)に示した例では、測距センサ110が、全ての格子点の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置されている。なお、測距センサ110の配置位置は、格子点の上空の位置には限定されず、格子点近傍の上空の位置であってもよい。例えば、1番の小ブロック120には、四隅に、1番、2番、6番および7番の測距センサ110が、1番の小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置されている。このように、他の2番~16番の小ブロック120の四隅にも同様に測距センサ110が、これらの小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置されている。
【0023】
すなわち、隣接する小ブロック120における測距センサ110の重複を除くと、全部で25個の測距センサ110(1番~25番)が配置されることとなる。なお、上述の説明では、配置される測距センサ110は、格子点の上空の位置に配置されるとしたが、格子点近傍の上空の位置に配置されてもよい。ここで、格子点は、小ブロック120のそれぞれの境界線の交点である。なお、境界線については、大ブロック140から小ブロックを生成する場合、大ブロック140について、X方向、Y方向に所定幅でピッチ割をして、分割した場合の分割線が境界線となる。
【0024】
そして、コンクリート打設管理装置100は、小ブロック120のそれぞれと、これらに対して配置された測距センサ110とを紐付けて管理する。これにより、測距センサ110により計測された小ブロック120のそれぞれに打込まれたコンクリートの高さの対応関係も管理することが可能となる。
【0025】
次に、
図1B(b)に示した例では、
図1B(a)に示した例とは異なり、全ての格子点の上空ではなく、縦方向、横方向共に1つおきに格子点の上空の位置に測距センサ110が配置されている。つまり、1つの小ブロック120については、対角の位置関係にある2つの測距センサ110が配置される形となっており、いわゆる、千鳥状に測距センサ110が配置される形となる。そして、隣接する小ブロック120における測距センサ110の重複を除くと、全部で13個の測距センサ110(1番~13番)が配置されることとなる。なお、本例でも同様に、配置される測距センサ110は、格子点の上空の位置に配置されるとしたが、格子点近傍の上空の位置に配置されてもよい。
【0026】
ここで、測距センサ110は、例えば、大ブロック140の上方に這わせたレールやロープ等に吊り下げるようにして、設置してもよい。なお、設置される測距センサ110は、全て同じ高さ位置に設置されてもよい。例えば、鉛直方向(上下方向)で小ブロック120の数が異なる形状の大ブロック140の場合には、最大の小ブロック120の数に合わせた高さ位置に測距センサ110を設置する。
【0027】
次に、
図2を参照してコンクリート打設管理装置100に構成について説明する。コンクリート打設管理装置100は、取得部201、測距センサ管理部202、測距データ取得部203、打込み状態判定部204および表示制御部205を有する。
【0028】
取得部201は、構造物の3次元設計情報であって、3次元設計情報を所定サイズの大ブロック140に区分して、区分された大ブロック140のそれぞれを、所定サイズの小ブロック120に分割した分割データと、小ブロック120のそれぞれに付与されたコンクリートの打設順を示す打設順データと、を有する3次元設計情報を取得する。
【0029】
ここで、コンクリートの打設計画の立案は、例えば、3次元CAD(Computer-Aided Design)などを用いて設計した構造物の3次元データ等を含む3次元設計情報を用いて行われる。3次元設計情報には、例えば、工区や工期などの情報も含まれている。また、3次元設計情報は、所定期間に打設可能なコンクリートの量に応じて設定された施工領域であり、複数の大ブロック140に分けられている。すなわち、構造物は、複数の大ブロック140を含んでいる。そして、例えば、複数の大ブロック140を、アジテータ車による生コンクリートの運搬可能量などに応じて、いくつかの小ブロック120に分割する。このように、3次元設計情報は、構造物を複数の小ブロック120に分割した分割データを有しており、コンクリートの打込みの管理は、小ブロック単位で行われることとなる。コンクリート打設は、例えば、上述のようにして生成された小ブロック120について、各小ブロックが属する打設層における打設の順番を示す番号に従って行われる。なお、3次元設計情報は、コンクリート打設管理装置100において生成しても、コンクリート打設管理装置100とは別の装置で生成してもよい。
【0030】
測距センサ管理部202は、3次元設計情報において、小ブロック120に対して打込まれたコンクリートの高さを計測するために、小ブロック120のそれぞれの上空であって、打込まれたコンクリートの高さを計測可能な位置に配置された測距センサ110の測距センサ識別子と、小ブロックのそれぞれを識別するための小ブロック識別子と、を紐付けて管理する。
【0031】
例えば、小ブロック120が、上下方向(鉛直方向)に積み重なっている場合には、同一の測距センサ110が複数の小ブロック120に紐づけられる。このように、コンクリート打設管理装置100では、測距センサ110によりコンクリートの打込み高さを計測する小ブロック120を予め決めておくことで、どの位置にある小ブロック120にコンクリートが打込まれているかを容易に把握できるようにしている。
【0032】
本実施形態では、1つの小ブロック120に対して複数の測距センサ110が配置されているため、測距センサ管理部202は、1つの小ブロック120の小ブロック識別子と、測距センサ識別子とを紐付けて管理している。また、本実施形態では、1つの測距センサ110で、複数の小ブロック120に打込まれたコンクリートの高さを計測するように、測距センサ110が配置されているため、1つの測距センサ識別子に、複数の小ブロック識別子が紐付けられて管理される。
【0033】
測距データ取得部203は、打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、測距センサ110から測距データを取得する。測距センサ110は、所定時間間隔で小ブロックに打込まれたコンクリートとの間の距離(コンクリートの打込み高さ)を計測する。そして、測距データ取得部203は、測距センサ110が、距離を計測するタイミングで、測距センサ110から測距データを取得する。このように、測距センサ110が、距離を計測するタイミングに合わせて、測距データを取得することで、リアルタイムで、コンクリートの打込みを管理することができる。
【0034】
打込み状態判定部204は、取得した測距データに基づいて、小ブロック120に対するコンクリート打込みの状態を判定する。なお、小ブロック120に対するコンクリートの打込み高さは、小ブロック120のそれぞれの下端(底面)を基準として計測される。
【0035】
まず、打込み状態判定部204は、測距センサ110が設置されている位置から基準面(例えば、各小ブロック120の底面)までの距離(基準距離)を記憶する。そして、打込み状態判定部204は、現在打設されているコンクリートの上面と測距センサ110の間の距離を、基準距離から減じることで、現在打込み中のコンクリートの打込み高さを導出する。そして、打込み状態判定部204は、導出されたコンクリートの現在の打込み高さと、打設計画におけるコンクリートの打込み高さとを比較することで、コンクリート打込中の小ブロック120の打込み状態を判定する。
【0036】
<全格子点配置>
そして、打込み状態判定部204は、例えば、
図1B(a)に示した全格子点に測距センサ110を配置する場合、以下のようにコンクリートの打込み開始を判定する。つまり、打込み状態判定部204は、所定の小ブロック120について、3つの格子点の上空の位置または3つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサ110による測距データに基づいて、所定の小ブロック120に対するコンクリートの打込みの開始を判定する。
【0037】
ここで、
図1B(a)に示した例において、1番の小ブロック120にコンクリートを打込む場合を用いて具体的に説明する。1番の小ブロック120対して配置された4つの測距センサ110のうち、例えば、1番、2番および6番の測距センサ110の3つの測距データに基づいて、打込み状態判定部204は、1番の小ブロック120へのコンクリートの打込みの開始を判定する。
【0038】
つまり、これら3つの測距センサ110において、打込まれたコンクリートの高さを計測したら、打込み状態判定部204は、1番の小ブロック120へのコンクリートの打込みの開始と判定する。小ブロック120は、平面視した場合、ある程度の面積を有しており、4隅に設けられた測距センサ110の全てで、打込み高さが計測されなければならないとすると、実際には、打込みが開始されているのにもかかわらず、開始の判定が適切にできないこととなる。そのため、打込み状態判定部は、4つの測距センサ110のうち3つの測距センサ110で高さが計測されたら、コンクリートの打込み開始であると判定する。
【0039】
次に、打込み状態判定部204は、同様に、全格子点に測距センサ110を配置する場合、以下のようにコンクリートの打込み終了を判定する。つまり、打込み状態判定部204は、所定の小ブロック120について、4つの格子点の上空の位置または4つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサ110による測距センサに基づいて、所定の小ブロック120に対するコンクリートの打込みの終了を判定する。
【0040】
ここで、先ほどと同様に、
図1B(a)に示した例において、1番の小ブロック120にコンクリートを打込む場合を用いて具体的に説明する。1番の小ブロック120に対して配置された4つの測距センサ110の全て、つまり、1番、2番、6番および7番の測距センサ110の測距データに基づいて、1番の小ブロック120に対するコンクリートの打込みの終了を判定する。
【0041】
打込み状態判定部204は、4つの測距センサ110において、予め設定されている打込み高さに到達したことが計測された場合、1番の小ブロック120へのコンクリートの打込み終了と判定する。予め設定される打込み高さは、小ブロック120の高さに応じて適宜決定される値である。ここで1つの小ブロック120に打込まれるコンクリートの高さは、4つの測距センサ110で計測した値により決定される。例えば、4つの測距センサ110で計測した測距データが同じ値を示した場合には、その値を打込み高さとして採用して、打込みの終了を判定する。また、4つの測距センサ110で計測した値が異なる場合には、測距された値の中央値、平均値、最大値、最小値などを用いて、打込みの終了を判定してもよい。
【0042】
また、予め設定された打込み高さに到達した後、当該高さを下回る値が計測された場合であっても、当該高さを下回る値が計測されている時間が所定時間継続した場合であれば、打込み状態判定部204は、コンクリートの打込み終了と判定する。これは、バイブレータによるコンクリートの締固めに伴い発生する現象であり、打込み状態判定部204は、これも考慮に入れて打込みの終了を判定する。
【0043】
<千鳥状配置>
打込み状態判定部204は、
図1B(b)に示した千鳥状に測距センサ110を配置する場合、以下のようにコンクリートの打込み開始を判定する。つまり、打込み状態判定部204は、所定の小ブロック120について、2つの格子点の上空の位置または2つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサ110による測距データに基づいて、所定の小ブロック120に対するコンクリートの打込みの開始を判定する。
【0044】
ここで、
図1B(b)に示した例において、例えば、1番の小ブロック120の場合、1番および4番の測距センサ110による測距データに基づいて、コンクリートの打込み開始の判定が行われる。同様に、5番の小ブロック120の場合には、2番および4番の測距センサ110、9番の小ブロック120の場合には、2番および5番の測距センサ110、というように、2つの測距センサ110による測距データに基づいて、コンクリート打込み開始の判定が行われる。つまり、これら2つの測距センサ110で、打込まれたコンクリートの高さが計測されたら、打込み状態判定部204は、コンクリートの打込み開始と判定する。
【0045】
同様に、打込み状態判定部204は、所定の小ブロック120について、2つの格子点の上空の位置または2つの格子点近傍の上空の位置に配置された測距センサ110による測距データに基づいて、コンクリートの打込み終了を判定する。
図1B(b)に示した例において、例えば、2番の小ブロック120の場合、4番および6番の測距センサ110による測距データに基づいて、コンクリートの打込みの終了の判定が行われる。同様に、6番の小ブロック120の場合には、4番および7番の測距センサ110、10番の小ブロック120の場合には、5番および7番の測距センサ110、というように、2つの測距センサ110による測距データに基づいて、コンクリート打込み終了の判定が行われる。
【0046】
打込み終了の判定は、例えば、これら2つの測距センサ110による測距データが同じ値を示した場合には、その値を打込み高さとして採用して、打込みの終了を判定する。また、2つの測距センサ110で計測した値が異なる場合には、測距された値の平均値、最大値および最小値など用いて、打込みの終了を判定してもよい。予め設定される打込み高さについては、上述のとおりである。また、上述した全格子点配置および千鳥状配置のいずれにおいても、打込み状態判定部204は、コンクリートの打込み開始および打込み終了を判定した時刻を、コンクリートの打込み開始時刻および打込み終了時刻として記録する。
【0047】
表示制御部205は、コンクリートの打設現場に配置された携帯端末130に、判定された打込み状態を表示させる。表示制御部205は、コンクリートの打込みの状態として、例えば、棒グラフの伸び具合を用いて打込みの進捗を表示する。つまり、表示制御部205は、棒グラフの伸び具合と打込みの高さとを連携させて、一目で分かるような表示をする。
【0048】
図3を参照して、コンクリート打設管理装置100が有する測距センサテーブル301および小ブロックテーブル302の一例について説明する。測距センサテーブル301は、測距センサID311に関連付けて計測対象小ブロック312および測距データ313を記憶する。測距センサID311は、設置された測距センサ110のそれぞれを識別するための識別子である。計測対象小ブロック312は、測距センサ110のそれぞれが、打込まれたコンクリートの高さの計測対象とする小ブロック120の一覧である。測距データ313は、測距センサ110が計測しているデータである。
【0049】
小ブロックテーブル302は、小ブロックID321に関連付けて、座標データ322、高さ323、隣接小ブロック324および測距センサID311を関連付けて記憶する。小ブロックID321は、小ブロック120のそれぞれを識別するための識別子である。座標データ322は、小ブロック120のそれぞれの大ブロック140における位置を示すデータである。高さ323は、小ブロックの高さの値である。隣接小ブロック324は、当該小ブロックの6面に接する小ブロック120の一覧を示している。
【0050】
そして、コンクリート打設管理装置100は、測距センサテーブル301および小ブロックテーブル302を参照して、小ブロック120のそれぞれについて、コンクリートの打込み状態を判定し、判定結果を携帯端末130に表示させる。
【0051】
図4を参照して、コンクリート打設管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0052】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。測距センサデータ441は、設置された測距センサ110のそれぞれを識別するためのデータおよび測距センサ110の性能、特性等のデータである。測距データ442は、測距センサ110で計測した距離のデータであり、例えば、所定時間間隔で計測されたデータである。計測対象小ブロックデータ443は、測距センサ110が計測対象とする小ブロック120のデータであり、小ブロック120の識別子、座標、計測位置、高さおよび体積等を含むデータである。設定高さデータ444は、コンクリート打設管理装置100が、小ブロック120に対するコンクリート打込みの状態を判定するために用いる基準となるデータであり、打込み対象となる小ブロック120のサイズの違いなどに応じて、基準が1つとなる場合もあれば、基準が複数となる場合もある。
【0053】
送受信データ445は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域446を有する。
【0054】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、測距センサテーブル301および小ブロックテーブル302を格納する。測距センサテーブル301は、測距センサID311と計測対象小ブロック312などとの関係を管理するテーブルである。小ブロックテーブル302は、小ブロックID321と座標データ322などとの関係を管理するテーブルである。
【0055】
ストレージ450は、さらに、取得モジュール451、測距センサ管理モジュール452、測距データ取得モジュール453、打込み状態判定モジュール454および表示制御モジュール455を格納する。取得モジュール451は、分割データと打設順データとを有する3次元設計情報を取得するモジュールである。測距センサ管理モジュール452は、所定の小ブロック120について、格子点の上空の位置または格子点近傍の上空の位置であって、打込まれたコンクリートの高さを測定可能な位置に配置された測距センサ110の測距センサ識別子と、小ブロック120のそれぞれを識別するための小ブロック識別子とを紐付けて管理するモジュールである。測距データ取得モジュール453は、付与された打設順に従って、コンクリート打込みを実施している間に、測距センサ110から測距データを取得するモジュールである。打込み状態判定モジュール454は、取得した測距データに基づいて、小ブロック120に対するコンクリート打込みの状態を判定するモジュールである。表示制御モジュール455は、コンクリートの打設現場に配置された携帯端末130に、判定された打込み状態を表示させるモジュールである。これらのモジュール451~455は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。制御プログラム456は、コンクリート打設管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0056】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、
図4に示したRAM440やストレージ450には、コンクリート打設管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0057】
次に
図5に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、
図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。
【0058】
ステップS501において、取得部201は、分割データと打設順データとを有する3次元設計情報を取得する。ステップS503において、測距センサ管理部202は、測距センサ110を識別するための測距センサ識別子と、測距センサ110が、コンクリートの打込み高さを計測する対象の小ブロック120を識別する小ブロック識別子とを、紐付けて管理する。これにより、どの測距センサ110が、どの測距センサ110が、どの小ブロック120の打込み高さを計測しているかの関係が明確となるので、打込み高さを確実に計測することができる。
【0059】
ステップS505において、測距データ取得部203は、コンクリート打込みを実施している間に、測距センサ110から測距データを取得する。ステップS507において、打込み状態判定部204は、取得した測距データに基づいて、小ブロック120に対するコンクリートの打込み状態を判定する。
【0060】
コンクリートの打込み状態の判定は、例えば、小ブロック120に対するコンクリートの打込みが終了したか否かの判定を含む。この場合、コンクリートの打込み状態の判定は、どの格子点または格子点近傍の上空の位置に測距センサ110が配置されているかに応じて判定方法を変える。格子点等の全ての上空の位置に測距センサ110が配置されている場合、これらの測距センサ110のうちの3つまたは4つにより計測された測距データに基づいて、コンクリート打込みの開始および終了を判定する。また、測距センサ110が、千鳥状に配置されている場合、2つの測距センサ110により計測された測距データに基づいて、コンクリートの打込みの開始および終了を判定する。さらに、コンクリートの打込みの開始および終了を判定した時刻を、コンクリートの打込み開始時刻およびコンクリートの打込み終了時刻として記録する。
【0061】
ステップS509において、表示制御部205は、コンクリートの打設現場に配置された携帯端末130に、判定された打込み状態を表示させる。ステップS511において、コンクリート打設管理装置100は、全ての小ブロック120について、コンクリートの打込み状態の判定が終了したか否かを判定する。全ての小ブロック120について、打込み状態の判定が終了していないと判定した場合(ステップS511のNO)、コンクリート打設管理装置100は、ステップS505へ戻る。全ての小ブロック120について、打込み状態の判定が終了していると判定した場合(ステップS511のYES)、コンクリート打設管理装置100は、処理を終了する。
【0062】
本実施形態によれば、設置する測距センサの数を減らしつつも、全ての小ブロックに対して打込まれたコンクリートの高さを効率良く計測できるので、コンクリートの打設を確実に管理することができる。また、測距センサを千鳥状の配置としたので、1つの測距センサで最大4つの小ブロックに打込まれたコンクリートの高さを計測することができ、効率の良い計測を実現できる。
【0063】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0064】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。