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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064982
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240507BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/78 301B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115122
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】111141223
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522054178
【氏名又は名称】國立陽明交通大學
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【弁理士】
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】張翼
(72)【発明者】
【氏名】翁祐晨
(72)【発明者】
【氏名】高旻祿
【テーマコード(参考)】
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GJ03
5F102GK04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GM08
5F102GV05
5F102HC02
5F140BA06
5F140BB18
5F140BD11
5F140BE09
5F140BE10
5F140BF01
5F140BF05
5F140BJ01
5F140BJ05
5F140BJ06
5F140BJ07
(57)【要約】
【課題】半導体装置を提供する。
【解決手段】基板と、チャネル層と、第1バリア層と、ソース/ドレインコンタクトと、ゲート層と、を備え、チャネル層は基板上にあり、第1バリア層はチャネル層上にあり、第1バリア層の厚さが6nm以下であり、ソース/ドレインコンタクトは第1バリア層上にあり且つ第1バリア層に直接接触し、ゲート層は第1バリア層上にある半導体装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上にあるチャネル層と、
前記チャネル層上にあり、厚さが6nm以下である第1バリア層と、
前記第1バリア層上にあり、且つ前記第1バリア層に直接接触するソース/ドレインコンタクトと、
前記第1バリア層上にあるゲート層と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1バリア層のアルミニウム原子は、アルミニウム原子とガリウム原子との合計の10~15%を占める請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1バリア層上にあり、且つ前記ソース/ドレインコンタクトに接触する第2バリア層を更に含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2バリア層のアルミニウム原子は、アルミニウム原子とガリウム原子の合計の20~30%を占める請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2バリア層の厚さは35nm以下である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート層と前記第1バリア層との間にあり、且つ厚さが20nm~30nmの範囲内にあるゲート誘電体層を更に含む請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート誘電体層は前記第2バリア層に更に接触する請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
基板上にチャネル層を形成する工程と、
前記チャネル層上に第1バリア層を形成する工程と、
前記第1バリア層上にマスク層を形成する工程と、
前記マスク層をパターン化し、前記マスク層に複数の溝を形成する工程と、
前記複数の溝内に第2バリア層を形成する工程と、
前記マスク層を除去する工程と、
前記第1バリア層の一部に、前記第1バリア層及び前記第2バリア層に接触するソース/ドレインコンタクトを形成する工程と、
前記第1バリア層の別の部分及び前記第2バリア層上に、前記第1バリア層及び前記第2バリア層に接触するゲート誘電体層を形成する工程と、
前記ゲート誘電体層上にゲート層を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記マスク層をパターン化した後、前記マスク層は、前記ソース/ドレインコンタクトの位置を画定する第1部分と、前記ゲート層の位置を画定する第2部分とを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マスク層をパターン化する工程は、
前記マスク層上にフォトレジスト層を形成する工程と、
前記マスク層の上面を露出させるパターンを前記フォトレジスト層に形成する工程と、
前記フォトレジスト層の前記パターンによって露出する前記マスク層を溶剤で除去し、且つ前記第1バリア層の上面を露出させる工程と、を含む請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の幾つかの実施形態は半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化アルミニウムガリウム/窒化ガリウム(AlGaN/GaN)で製造される高電子移動度トランジスタ(High electron mobility transistor;HEMT)は、現在一般的な半導体装置の1つであり、高いスイッチング速度、高利得、高い電子移動度、及び低ノイズ等の利点を有する。しかしながら、HEMTは、構造設計により、ノーマリーオーペンデバイスとなっている。したがって、現在の技術は、回路の安定性、安全性を向上させ、回路のコストを削減するために、HEMTをノーマリーオフデバイスとして設計することに焦点を当てている。装置をノーマリーオフデバイスに設定するためには、装置のゲート、ソース及びドレインを正確にエッチングして位置決めする必要があるが、このようにすると、ウェハの製造プロセスに誤差があるという問題が生じやすくなる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の幾つかの実施形態は、基板と、基板上にあるチャネル層と、チャネル層上にあり、厚さが6nm以下である第1バリア層と、第1バリア層上にあり且つ第1バリア層に直接接触するソース/ドレインコンタクトと、第1バリア層上にあるゲート層と、を備える半導体装置を提供する。
【0004】
幾つかの実施形態において、第1バリア層のアルミニウム原子は、アルミニウム原子とガリウム原子との合計の10~15%を占める。
【0005】
幾つかの実施形態において、半導体装置は、第1バリア層上にあり、且つソース/ドレインコンタクトに接触する第2バリア層を更に含む。
【0006】
幾つかの実施形態において、第2バリア層のアルミニウム原子は、アルミニウム原子とガリウム原子の合計の20-30%を占める。
【0007】
幾つかの実施形態において、第2バリア層の厚さは、35nm以下である。
【0008】
幾つかの実施形態において、半導体装置は、ゲート層と第1バリア層との間にあり、厚さが20nm~30nmの範囲内にあるゲート誘電体層を更に含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、ゲート誘電体層は、第2バリア層に更に接触する。
【0010】
本開示の幾つかの実施形態は、基板上にチャネル層を形成する工程と、チャネル層上に第1バリア層を形成する工程と、第1バリア層上にマスク層を形成する工程と、マスク層をパターン化し、マスク層に複数の溝を形成する工程と、溝内に第2バリア層を形成する工程と、マスク層を除去する工程と、第1バリア層の一部上に、第1バリア層と第2バリア層に接触するソース/ドレインコンタクトを形成する工程と、第1バリア層の別の部分及び第2バリア層上に、第1バリア層及び第2バリア層に接触するゲート誘電体層を形成する工程と、ゲート誘電体層上にゲート層を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法を提供する。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記マスク層をパターン化した後、前記マスク層は、前記ソース/ドレインコンタクトの位置を画定する第1部分と、前記ゲートの位置を画定する第2部分とを含む。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記マスク層をパターン化する工程は、マスク層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層に、マスク層の上面を露出させるパターンを形成する工程と、フォトレジスト層のパターンによって露出するマスク層を溶剤で除去し、且つ第1バリア層の上面を露出させる工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置を示す断面図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図10】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
図12】本開示のいくつかの実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の内容をより詳細で完全に説明するために、以下、本発明の実施形態及び具体的な実施例について説明するが、それは、本発明の具体的な実施例を実施又は運用する唯一の形態ではない。以下に開示される各実施例は、有益な場合に互いに組み合わせるか又は置換してもよく、更なる記載又は説明を必要とせず、一実施例に他の実施例を加えてもよい。
【0015】
以下の説明では、読者が以下の実施例を十分に理解できるように、多くの具体的な細部を詳述する。しかしながら、本発明の実施例を実施するには、これらの具体的な細部がなくてもよい。他の場合では、図面を簡略化するために、周知の構造や装置は、単に図面において模式的に示される。
【0016】
本明細書において、例えば「下方」、「下」、「上方」、「上」等の空間的相対用語を使用するが、これは、図に示されるように、1つの素子や特徴と他の素子や特徴との間の相対関係を説明するためである。これらの空間的な相対用語の本当の意味は、その他の方位を含む。例えば、図面を上下180度反転させると、1つの素子ともう1つの素子との関係は、「下方」、「下」から「上方」、「上」に変化する可能性がある。また、本明細書において用いられる空間上の相対的な記述も同様に解釈されるべきである。
【0017】
本開示の幾つかの実施形態は、ノーマリーオフの高電子移動度トランジスタ(High electron mobility transistor;HEMT)のような半導体装置の製造プロセスと構造に関する。本開示の幾つかの実施形態の半導体装置は、半導体装置のバリア層の厚さとアルミニウム含有量を改良することにより、製造プロセスにおいて正確なエッチングを必要としない半導体装置を実現することができる。これにより、製造プロセスの誤差を低減することができる。
【0018】
図1は、本開示の幾つかの実施形態の半導体装置100の断面図を示す。半導体装置100は、ノーマリーオフのHEMTである。半導体装置100は、基板110と、チャネル層120と、第1バリア層130と、ソース/ドレインコンタクト150と、ゲート層170とを含む。
【0019】
チャネル層120は、基板110上にある。第1バリア層130は、チャネル層120上にある。ソース/ドレインコンタクト150は、第1バリア層130上にあり、且つ第1バリア層130に直接接触する。ゲート層170は、第1バリア層130上にある。幾つかの実施形態において、半導体装置100は、第2バリア層140及びゲート誘電体層160を更に含む。第2バリア層140は、第1バリア層130上にあり、且つソース/ドレインコンタクト150に接触する。ゲート誘電体層160は、ゲート層170と第1バリア層130との間にあり、ゲート誘電体層160は第2バリア層140に更に接触する。
【0020】
チャネル層120は、ゲート層170に正電圧が印加されたときに、二次元電子ガス層(two-dimensional electron gas;2DEG)122を含む。2DEG層122は、異なる材料で製造されるチャネル層120と第1バリア層130とのヘテロ接合(heterojunction)によって形成される。チャネル層120は、窒化ガリウム(GaN)で製造され、第1バリア層130は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)で製造される。通常、HEMTは、ゲートに電圧を印加しなくても2DEG層でソースとゲートとをオンにすることができるノーマリーオンの半導体装置である。本開示の幾つかの実施形態において、第1バリア層130の厚さT1及び構成は、半導体装置100がノーマリーオフのHEMTになるように、半導体装置100の閾値電圧を高めるように設計されてよく、即ち、半導体装置100をオンにするように、ゲート層170に正電圧を印加しなければ2DEG層122を形成することができない(又は2DEG層122を目立つようにする)。このようにして、回路の安定性と安全性を高めることができる。幾つかの実施形態において、第1バリア層130の厚さT1は6nm以下であり、又は第1バリア層130のアルミニウム原子は、アルミニウム原子とガリウム原子の合計の10~15%を占める。第1バリア層130が十分に薄い場合、例えば、厚さT1が6nm以下である場合、第1バリア層130の厚さT1は、ゲート層170に正電圧を印加しない場合に2DEG層122を形成するのに不十分である(又は2DEG層122が極めて目立たない)。第1バリア層130のアルミニウム原子がアルミニウム原子とガリウム原子との合計に占める原子百分率が適切な範囲内、例えば10~15%である場合、アルミニウムの含有量が低いため、ゲート層170に電圧を印加しない場合でも2DEG層122が形成されない(又は2DEG層122が極めて目立たない)。第1バリア層130の厚さT1、及びアルミニウム原子がアルミニウム原子とガリウム原子の合計に占める原子百分率が上記に開示された範囲内にない場合、半導体装置100はノーマリーオンとなり、回路の安定性と安全性が低下する。又は、アルミニウムの含有量が低すぎて、ゲート層170に正電圧を印加しても素子をオンにする(turn-on)ことが困難であり、且つオン抵抗(Ron)が極めて大きく、ゲート層170とソース/ドレインコンタクト150との間の抵抗が増加し、半導体装置100は、シート抵抗の差が大きいために破損する。
【0021】
第2バリア層140の厚さ及び構成は、半導体装置100の性能を更に改善するために設計されてよい。幾つかの実施形態において、第2バリア層140のアルミニウム原子は、アルミニウム原子とガリウム原子との合計の20~30%を占め、又は第2バリア層140の厚さT2は、35nm以下である。第2バリア層140のアルミニウム原子がアルミニウム原子とガリウム原子の合計に占める原子百分率は、第1バリア層130のアルミニウム原子がアルミニウム原子とガリウム原子の合計に占める原子百分率よりも高く、且つ第2バリア層140は、第1バリア層130よりも厚い。したがって、第2バリア層140は、半導体装置100の出力電流が増加するように、より良い分極作用を提供することができる。第2バリア層140の厚さT2が上記に開示された範囲内にない場合、第2バリア層140は、厚過ぎるためにクラック又は欠陥を有しやすく、又は薄過ぎるために良好な分極作用を提供できない可能性がある。第2バリア層140のアルミニウム原子がアルミニウム原子とガリウム原子の合計に占める原子百分率が上記に開示された範囲内にない場合、第2バリア層140のアルミニウム原子の数が少な過ぎるために良好な分極作用を提供できない可能性がある。又は、第2バリア層140のアルミニウム原子が多過ぎると、第2バリア層140の表面にマイクロクラック(micro-crack)が発生し、半導体装置100が故障する原因となる。
【0022】
ゲート誘電体層160の厚さT3は、半導体装置100の性能を更に改善するように設計されてよい。幾つかの実施形態において、ゲート誘電体層160の厚さT3は、20nm~30nmの範囲内にある。ゲート誘電体層160の厚さT3は、半導体装置100の閾値電圧の上昇の度合いを決定するように調整されてよい。上記範囲内の厚さT3を有するゲート誘電体層160は、半導体装置100の閾値電圧を増加させ、半導体装置100の閾値電圧を適切な程度に上昇させるために用いられる。ゲート誘電体層160の厚さT3が上記開示の範囲よりも小さい場合、閾値電圧は動作に適した範囲内にない可能性がある。ゲート誘電体層160の厚さT3が上記に開示された範囲より大きい場合、製造過程においてゲート誘電体層160が剥離しやすい。
【0023】
図2図12は、本開示の幾つかの実施形態の半導体装置100の製造プロセスの断面図を示す。図2を参照し、基板110上にチャネル層120を形成する。次に、チャネル層120上に第1バリア層130を形成し、第1バリア層130の材料は、チャネル層120の材料と異なる。基板110、チャネル層120及び第1バリア層130は、任意の適切な材料で製造されてよい。例えば、基板110はシリコンで製造されてよく、チャネル層120は窒化ガリウムで製造されてよく、第1バリア層130は窒化アルミニウムガリウムで製造されてよい。幾つかの実施形態において、第1バリア層130のアルミニウム原子は、アルミニウム原子とガリウム原子との合計の10~15%を占め、又は第1バリア層130の厚さT1は、6nm以下である。幾つかの実施形態において、基板110とチャネル層120との間にバッファ層を更に形成してよく、バッファ層は、窒化ガリウムで製造されてよく、バッファ層の窒化ガリウムとチャネル層120の窒化ガリウムとはそれぞれ異なる材料でドープされてよく、又はその構成比がそれぞれ異なってよい。
【0024】
図3を参照し、第1バリア層130上にマスク層HMを形成する。マスク層HMは、第1バリア層130と異なる材料で製造される。マスク層HMは、例えば酸化シリコンで製造される。
【0025】
図4図8を参照し、再成長プロセス(regrown process)を実行して第2バリア層140を形成する。まず、図4図7を参照し、マスク層HMをパターン化し、マスク層HMに複数の溝Tを形成する。具体的には、図4を参照し、マスク層HM上にフォトレジスト層PRを形成する。次に、図5を参照し、マスク層HMの上面を露出させるパターンPをフォトレジスト層PRに形成する。例えば、フォトレジスト層PRにパターンPを形成するように、フォトレジスト層PRを所定のパターンを有するフォトマスクで露光してから、フォトレジスト層PRを現像してよい。次に、図6を参照し、フォトレジスト層PRのパターンPによって露出するマスク層HMを溶媒で除去し、且つ第1バリア層130の上面を露出させる。溶媒でマスク層HMの一部を除去する場合、溶媒は、マスク層HMと第1バリア層130との間で除去選択比を有する。これにより、図5の半導体装置100を溶媒に直接浸漬して、フォトレジスト層PRのパターンPによって露出するマスク層HMを除去しつつ、第1バリア層130を除去しないままにしてよい。このようにマスク層HMを除去することにより、第1バリア層130の上面が損傷されにくくなり、マスク層HMと第1バリア層130との間の溶媒の高い除去選択比により、時間の制御に余裕がある。例えば、半導体装置100を溶媒に長く浸漬しても第1バリア層130が除去されない。フォトレジスト層PRのパターンPは、マスク層HMに転写され、マスク層HMに溝Tが形成される。最後に、図7を参照し、フォトレジスト層PRを除去し、パターン化することで溝Tを有するようになったマスク層HMを残す。マスク層HMをパターン化した後、マスク層HMは、ソース/ドレインコンタクト(例えば、後述するソース/ドレインコンタクト150)の位置を画定する第1部分HM1と、ゲート層(例えば、後述するゲート層170)の位置を画定する第2部分HM2とを含む。第1部分HM1と第2部分HM2とは、第1バリア層130上に交互に並べられる。例えば、2つの第1部分HM1の間に1つの第2部分HM2がある。
【0026】
次に、図8を参照し、溝T内に第2バリア層140を形成する。具体的には、溝Tは、第2バリア層140の形成範囲を画定するために用いられてよい。幾つかの実施形態において、第2バリア層140は、窒化アルミニウムガリウムで製造されてよい。第2バリア層140のアルミニウム原子がアルミニウム原子とガリウム原子の合計の20~30%を占めるか、又は第2バリア層140の厚さT2が35nm以下である。
【0027】
図9を参照し、マスク層HMを除去し、第2バリア層140を残す。具体的には、溶媒でマスク層HMを除去し、第1バリア層130の上面を露出させてよい。溶媒でマスク層HMを除去する場合、溶媒は、マスク層HMと第1バリア層130及び第2バリア層140との間で除去選択比を有する。これにより、図8の半導体装置100を溶媒に浸漬して、マスク層HMを除去しつつ、第1バリア層130及び第2バリア層140を除去しないままにしてよい。マスク層HMを除去した後、第2バリア層140は、第1領域R1及び第2領域R2を画定する。第1領域R1及び第2領域R2において、第1バリア層130の上面はいずれも露出する。第1領域R1は、図7のマスク層HMの第1部分HM1に対応し、第2領域R2は、図7のマスク層HMの第2部分HM2に対応する。第1領域R1は、ソース/ドレインコンタクト(例えば、後述するソース/ドレインコンタクト150)の位置を画定し、第2領域R2は、ゲート層(例えば、後述するゲート層170)の位置を画定する。
【0028】
図10を参照し、第1バリア層130の一部にソース/ドレインコンタクト150を形成し、ソース/ドレインコンタクト150を第1バリア層130及び第2バリア層140に接触させる。例えば、ソース/ドレインコンタクト150を第1領域R1に形成する。幾つかの実施形態において、ソース/ドレインコンタクト150を形成するように、リフトオフプロセス(lift-off process)を実行してよい。具体的には、まず、第2バリア層140及び第2領域R2上にフォトレジスト層を形成し、且つ第1領域R1を露出させてよい。次に、フォトレジスト層及び第1領域R1上にソース/ドレインコンタクト150を形成するための材料層を形成する。最後に、溶剤でフォトレジスト層を除去することにより、フォトレジスト層上の材料層がフォトレジスト層とともに除去され、第1領域R1のソース/ドレインコンタクト150が残される。幾つかの実施形態において、ソース/ドレインコンタクト150は、金属、例えば、チタン、アルミニウム、ニッケル、金、銅アルミニウム合金、又はそれらの組み合わせで形成されてよい。ソース/ドレインコンタクト150は、第1バリア層130に直接接触する。第1バリア層130の厚さが例えば6nm以下で、薄いため、ソース/ドレインコンタクト150とチャネル層120の2DEG層122(図1)との間の距離が小さく、ソース/ドレインコンタクト150と2DEG層122(図1)との間のインピーダンスもそれに伴って小さくなる。また、第1バリア層130が露出する第1領域R1が図9において画定されているため、ソース/ドレインコンタクト150の位置を画定するための、例えば第2バリア層140に溝を形成するような、追加のエッチングプロセスを必要としない。したがって、エッチングプロセスの深さを正確に制御することでソース/ドレインコンタクト150の底部の垂直方向での位置を画定する必要もない。このようにして、エッチングプロセスによる誤差を低減することができる。
【0029】
図11を参照し、第1バリア層130の別の部分及び第2バリア層140上にゲート誘電体層160を形成し、ゲート誘電体層160が第1バリア層130及び第2バリア層140に接触する。例えば、ゲート誘電体層160は、第2領域R2に形成され、更に第2バリア層140の上面に延在する。幾つかの実施形態において、ゲート誘電体層160を形成するように、原子層堆積(atomic layer deposition;ALD)又はプラズマ励起化学気相成膜(plasma-enhanced chemical vapor deposition;PECVD)プロセスを実行してよい。具体的には、ALD又はPECVDプロセスを用いて第1バリア層130、第2バリア層140及びソース/ドレインコンタクト150の表面に酸化アルミニウム層を成長させてから、第1バリア層130及び第2バリア層140の表面にフォトレジスト層を被覆し、且つソース/ドレインコンタクト150を露出させる。次に、エッチングプロセスを用いて、ソース/ドレインコンタクト150上の酸化アルミニウム層をエッチングし、第2領域R2及び第2バリア層140上のゲート誘電体層160を残す。幾つかの実施形態において、ゲート誘電体層160は、酸化アルミニウムによって形成されてよい。ゲート誘電体層160を形成する際に、ゲート誘電体層160の厚さT3を制御してよい。幾つかの実施形態において、ゲート誘電体層160の厚さT3は、20nm~30nmの範囲内にある。
【0030】
図12を参照し、ゲート誘電体層160上にゲート層170を形成する。ゲート層170を第2バリア層140の間及びゲート誘電体層160上に形成してよい。幾つかの実施形態において、ゲート層170を形成するように、リフトオフプロセス(lift-off process)を実行してよい。具体的には、まず、ソース/ドレインコンタクト150及び第2バリア層140上にフォトバリア層を形成し、且つ第2バリア層140の間の領域を露出させてよい。次に、フォトレジスト層及び第2バリア層140上にゲート層170を形成するための材料層を形成する。最後に、溶剤でフォトレジスト層を除去することにより、フォトレジスト層上の材料層がフォトレジスト層とともに除去され、第2バリア層140の間とゲート誘電体層160上のゲート層170が残される。幾つかの実施形態において、ゲート層170は、金属、例えばニッケル金合金、又はニッケルと他の低抵抗金属との合金で形成されてよい。第1バリア層130の厚さが例えば6nm以下で、薄いため、ゲート誘電体層160及びゲート層170を、第1バリア層130の溝内のかわりに、第1バリア層130に直接形成しても、半導体装置100がノーマリーオフの素子となる。即ち、第1バリア層130が露出する第2領域R2が図9において画定されているため、ゲート誘電体層160及びゲート層170の位置を画定するための、例えば第2バリア層140及び第1バリア層130に溝を形成するような、追加のエッチングプロセスを必要としない。したがって、エッチングプロセスの深さを正確に制御することでゲート誘電体層160の底部の垂直方向での位置を画定する必要もない。このようにして、エッチングプロセスによる誤差を低減することができる。
【0031】
以上より、本開示の幾つかの実施形態は半導体装置の製造プロセスの誤差を低減することができる。具体的には、マスク層で第1バリア層上にソース/ドレインコンタクト、ゲート誘電体層及びゲート層の位置を画定し、第2バリア層を形成した後、マスク層を直接除去することで第1バリア層上に順にソース/ドレインコンタクト及びゲート誘電体層を直接形成し、且つゲート誘電体層上にゲート層を形成してよい。言い換えれば、ソース/ドレインコンタクト及びゲート誘電体層の第1バリア層又は第2バリア層における位置をエッチングプロセスによって予め画定する必要がなく、ソース/ドレインコンタクト及びゲート誘電体層を第1バリア層上に直接形成する。第1バリア層は、厚さ及び構成が設計されているため、エッチングプロセスを予め行わなくても下方の2DEG層を仕切ることができる。また、第1バリア層の上方に直接形成されるソース/ドレインコンタクトと2DEG層との間の抵抗値も小さくなる。また、第2バリア層及びゲート誘電体層の構成又は厚さは、半導体素子の性能を更に改善するように設計される。上述した利点を有すれば、正確なエッチングプロセスを必要としないノーマリーオフの半導体素子を得ることができ、そしてノーマリーオフの半導体素子を形成する製造プロセスの誤差を低減することができる。
【符号の説明】
【0032】
100 半導体装置
110 基板
120 チャネル層
122 2DEG層
130 第1バリア層
140 第2バリア層
150 ソース/ドレインコンタクト
160 ゲート誘電体層
170 ゲート層
HM マスク層
HM1 第1部分
HM2 第2部分
P パターン
PR フォトレジスト層
R1 第1領域
R2 第2領域
T 溝
T1 厚さ
T2 厚さ
T3 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12