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特開2024-65000光子数分割による画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065000
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】光子数分割による画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240507BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20240507BHJP
【FI】
A61B6/03 560T
G06N3/08
A61B6/03 573
A61B6/03 550F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023136375
(22)【出願日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】18/050,111
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】511237117
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リーランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF TRUSTEES OF THE LELAND STANFORD JUNIOR UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】セン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】イーロン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ・イン
(72)【発明者】
【氏名】アダム・エス・ワン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA06
4C093CA50
4C093EA07
4C093FD03
4C093FD09
4C093FD11
4C093FE13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光子数分割により画像のノイズを除去するためのトレーニングデータの生成を支援するシステム/技術を提供する。
【解決手段】システムは、光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナによって生成されたサイノグラムのセットにアクセスすることができる。サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットとに分割することができる。画像再構成によって、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットを少なくとも1つのトレーニング用入力画像に変換し、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットを少なくとも1つのトレーニング用出力画像に変換することができる。少なくとも1つのトレーニング用入力画像と前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像に基づいて深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非一時的コンピュータ可読メモリに記憶されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサであって、前記コンピュータ実行可能コンポーネントは、
光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナによって生成されたサイノグラムのセットにアクセスするアクセスコンポーネント、
前記サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットとに分割する分割コンポーネント、
画像再構成によって、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットを少なくとも1つのトレーニング用入力画像に変換し、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットを少なくとも1つのトレーニング用出力画像に変換する再構成コンポーネント、及び
前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像と前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像に基づいて深層学習ニューラルネットワークをトレーニングするトレーニングコンポーネント
を含むシステム。
【請求項2】
光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットは相補的であり、光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットを合計すると、画素単位で、前記サイノグラムのセットになる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分割コンポーネントは、光子単位の二項選択によって、前記サイノグラムのセットを、光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットに分割し、前記光子単位の二項選択は、定義された確率値に従って、前記サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第1のセットに確率的に割り当て、前記光子単位の二項選択は、前記定義された確率値の補数に従って、前記サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第2のセットに確率的に割り当て、前記光子単位の二項選択によって、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像は、ノイズに関して互いに独立する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記定義された確率値は50%未満であり、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像は、前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像よりもノイズが多い、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記定義された確率値は50パーセントに等しく、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像は、前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像と同程度のノイズである、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
定義された確率値は50パーセントより大きく、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像は、前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像よりもノイズが少ない、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像と前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像は、物質弁別画像又は仮想単一エネルギー画像である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記サイノグラムのセットは、光子エネルギービンによって整理される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
プロセッサに動作可能に結合されたデバイスによって、光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナによって生成されたサイノグラムのセットにアクセスすること、
前記デバイスによって、前記サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットとに分割すること、
前記デバイスによって、画像再構成により、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットを少なくとも1つのトレーニング用入力画像に変換し、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットを少なくとも1つのトレーニング用出力画像に変換すること、
前記デバイスによって、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像と前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像に基づいて深層学習ニューラルネットワークをトレーニングする
コンピュータによって実施される方法。
【請求項10】
光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットは相補的であり、光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットを合計すると、画素単位で、前記サイノグラムのセットになる、請求項9に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項11】
前記サイノグラムのセットを光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットに分割することは、光子単位の二項選択を含み、前記光子単位の二項選択は、定義された確率値に従って、前記サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第1のセットに確率的に割り当て、前記光子単位の二項選択は、前記定義された確率値の補数に従って、前記サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第2のセットに確率的に割り当て、前記光子単位の二項選択によって、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像は、ノイズに関して互いに独立する、請求項9に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項12】
前記定義された確率値は50%未満であり、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像は、前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像よりもノイズが多い、請求項11に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項13】
前記定義された確率値は50パーセントに等しく、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像は、前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像と同程度のノイズである、請求項11に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項14】
定義された確率値は50パーセントより大きく、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像は、前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像よりもノイズが少ない、請求項11に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像と前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像は、物質弁別画像又は仮想単一エネルギー画像である、請求項9に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項16】
前記サイノグラムのセットは、光子エネルギービンによって整理される、請求項9に記載のコンピュータによって実施される方法。
【請求項17】
光子数分割により画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援するコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータプログラム製品は、プログラム命令が具体化された非一時的コンピュータ可読メモリを含み、該プログラム命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナによって生成されたサイノグラムのセットにアクセスすること、
前記サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットとに分割すること
画像再構成によって、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットを少なくとも1つのトレーニング用入力画像に変換し、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットを少なくとも1つのトレーニング用出力画像に変換すること、
前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像と前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像に基づいて深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすること
を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットは相補的であり、光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットを合計すると、画素単位で、サイノグラムのセットになる、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記プロセッサは、光子単位の二項選択によって、前記サイノグラムのセットを、光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットに分割し、前記光子単位の二項選択は、定義された確率値に従って、前記サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第1のセットに確率的に割り当て、前記光子単位の二項選択は、前記定義された確率値の補数に従って、前記サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第2のセットに確率的に割り当て、前記光子単位の二項選択によって、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像は、ノイズに関して互いに独立する、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記定義された確率値は50%未満であり、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像は、前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像よりもノイズが多い、請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に画像ノイズ除去に関し、より具体的には、光子数分割による画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
深層学習ニューラルネットワークは、入力されたコンピュータ断層撮影画像に対してノイズ除去を実行するために教師あり方式で訓練することができる。残念なことに、深層学習ニューラルネットワークをトレーニングするための注釈付きトレーニングデータセットを入手することは困難である。
【発明の概要】
【0003】
以下に、本発明の1つ又は複数の実施形態の基本が理解できるようにするための要約を示す。本要約は、重要な要素や重大な要素を特定したり、特定の実施形態の範囲や特許請求の範囲を画定することを意図するものではない。その唯一の目的は、後に提示される詳細な説明の前段階として、簡略化された形態で概念を提示することである。本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態では、光子数分割によって画像のノイズを除去するためのトレーニングデータの生成を支援する装置、システム、コンピュータにより実施される方法、装置又はコンピュータプログラム製品が記載される。
【0004】
1つ又は複数の実施形態によれば、システムが提供される。本システムは、コンピュータ実行可能コンポーネントを記憶することができる非一時的コンピュータ可読メモリを含むことができる。本システムは、非一時的コンピュータ可読メモリに動作可能に結合することができるプロセッサであって、非一時的コンピュータ可読メモリに記憶されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行することができるプロセッサを更に含むことができる。様々な実施形態では、前記コンピュータ実行可能コンポーネントは、光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナによって生成されたサイノグラムのセットにアクセスするアクセスコンポーネントを含むことができる。様々な実施形態では、コンピュータ実行可能コンポーネントは、前記サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットとに分割する分割コンポーネントを含むことができる。様々な実施形態では、コンピュータ実行可能コンポーネントは、画像再構成によって、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットを少なくとも1つのトレーニング用入力画像に変換し、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットを少なくとも1つのトレーニング用出力画像に変換する再構成コンポーネントを含むことができる。様々な場合では、コンピュータ実行可能コンポーネントは、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像と前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像に基づいて深層学習ニューラルネットワークをトレーニングするトレーニングコンポーネントを含むことができる。
【0005】
1つ又は複数の実施形態によれば、上述のシステムは、コンピュータにより実施される方法又はコンピュータプログラム製品として実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数分割によって画像のノイズを除去するためのトレーニングデータの生成を支援する例示的で非限定的なシステムのブロック図を示す。
図2】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットを含む例示的で非限定的なシステムであって、光子数分割によって画像のノイズを除去するためのトレーニングデータの生成を支援するシステム、のブロック図を示す。
図3】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットをどのように生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図4】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットをどのように生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図5】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットをどのように生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図6】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットをどのように生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図7】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットをどのように生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図8】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、ローサイノグラムの光子数分割を容易にする例示的で非限定的なコンピュータで実施される方法の流れ図を示す。
図9】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数分割により画像からノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援する少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び少なくとも1つのトレーニング用出力画像を含む例示的で非限定的なシステムのブロック図である。
図10】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットに基づいて、どのようにしてトレーニング用入力画像及びトレーニング用出力画像を生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図11】本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による、どのようにして深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすることができるのかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図12】本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態の様々な利点を実証する例示的で非限定的な実験結果を示す。
図13】本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態の様々な利点を実証する例示的で非限定的な実験結果を示す。
図14】本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態による、光子数分割により画像のノイズを除去するためのトレーニングデータの生成を支援する例示的で非限定的なコンピュータにより実施される方法の流れ図を示す。
図15】本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態を実行するための例示的で非限定的な動作環境のブロック図を示す。
図16】本明細書に記載された様々な実装を実行するために動作可能な例示的ネットワーキング環境を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の発明を実施するための形態は単なる例示であり、実施形態又は実施形態の応用例/使用例を限定することを意図するものではない。更に、上記の「背景技術」若しくは「発明の概要」の欄、又は「発明を実施するための形態」の欄に提示された明示的又は黙示的な情報に制限されるものではない。
【0008】
次に、1つ又は複数の実施形態が図面を参照して説明されるが、参照される同様の数字は、図面全体を通して同様の要素を表すために使用される。以下の説明では、1つ又は複数の実施形態を更に理解できるようにするため、説明の目的で、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、様々な場合において、これらの具体的な詳細がなくても、1つ又は複数の実施形態は実施できることは明らかである。
【0009】
深層学習ニューラルネットワークは、入力されたコンピュータ断層撮影(CT)画像に対してノイズ除去が実行されるように教師あり方式でトレーニングすることができる。残念なことに、深層学習ニューラルネットワークをトレーニングするための注釈付きトレーニングデータセットを入手する又はキュレートすることは、様々な理由で困難な場合がある。
【0010】
CT画像の画像ノイズ除去に関して、注釈付きトレーニングデータセットは、トレーニングCT画像の複数のペアのセットを含むことができ、各ペアのトレーニングCT画像は、ある量の視覚的ノイズを示すトレーニング用入力CT画像と、トレーニング用入力CT画像に対応するトレーニング用出力CT画像であって、トレーニング用入力CT画像の視覚的ノイズよりも少ない量の視覚的ノイズを示すトレーニング用出力CT画像とを含む。様々な場合において、トレーニング用入力CT画像は、患者の適切な解剖学的構造を表し、トレーニング用出力CT画像は、同じ患者の同じ解剖学的構造を表すが、視覚的ノイズが少ない画像である。したがって、トレーニング用出力CT画像は、トレーニング用入力CT画像からノイズ除去された又はノイズが低減されたグランドトゥルース(例えば、ターゲット)と考えることができる。トレーニング用入力CT画像及びトレーニング用出力CT画像を得るための様々な技術がある。
【0011】
理論的に最適なノイズ除去性能を達成するためには、トレーニング用出力CT画像は、トレーニング用入力CT画像から完全にノイズが除去された(例えば、クリーンな)画像となる。しかし、このような完全にノイズのないCT画像を臨床現場で得ることは現実的ではない。結局のところ、スキャンにより得られたCT画像に存在する視覚ノイズの量は、スキャンにより得られた当該CT画像の放射線量に反比例する。したがって、臨床現場でスキャンにより完全にノイズのないCT画像を得るには、無限の放射線量を必要とするが、これは実現できることではない。換言すれば、臨床現場において無限の放射線量よりも少ない放射線量で生成される、スキャンにより得られるCT画像は、少なくともいくらかの視覚的なノイズを含むと考えられる。厳密な実験室/実験環境ではノイズのないCT画像に近づけることができるが、この方法は、複雑な技術又は計算集約的な技術を利用するものであり、臨床現場で大規模に実施することは実現不可能であり、現実的ではない。
【0012】
一部の既存の技術が実施される場合、トレーニング用入力CT画像は、患者に低線量CTスキャンを実行することによって得られ、トレーニング用出力CT画像は、患者に高線量CTスキャンを実行することによって得られる。トレーニング用出力CT画像は、トレーニング用入力CT画像よりも高い放射線量によって生成することができるため、トレーニング用出力CT画像は、トレーニング用入力CT画像よりも視覚的ノイズが少なく、したがって、トレーニング用入力CT画像及びトレーニング用出力CT画像は、画像のノイズを除去するトレーニングに使用することができる。しかし、このような既存の技術には欠点がある。特に、このような既存の技術では、スキャンを繰り返し実行することを必要とする。換言すれば、このような既存の技術は、患者に対して別々の2つのスキャン(例えば、1つのスキャンは、トレーニング用入力CT画像用のスキャンであり、もう1つ別のスキャンは、トレーニング用出力CT画像用のスキャンである)を実行する必要があるため、このような既存の技術は、患者を過剰な量の放射線に晒してしまう恐れがあり、これにより、患者が健康上の悪影響を受ける見込みが高くなる恐れがある。更に、このような既存の技術は、位置合わせの問題に悩まされることが多い。すなわち、そのような既存の技術では、患者に対して別々の2つのスキャンを実行する必要があるので、トレーニング用入力CT画像とトレーニング用出力CT画像が、(例えば、第1のCTスキャンと比較して、第2のCTスキャンの間における患者の体の位置がわずかに異なってしまうため又は患者の体の向きがわずかに異なってしまうため)互いに位置ずれを起こしてしまうことがある。このような位置ずれは、その後のノイズ除去トレーニングに悪影響を及ぼす恐れがある。
【0013】
他の既存の技術が実施される場合、トレーニング用出力CT画像は、患者に高線量CTスキャンを実行することによって得られ、トレーニング用入力CT画像は、トレーニング用出力CT画像をコピーし、当該コピーにノイズを挿入することによって得られる。このような場合、トレーニング用出力CT画像はトレーニング用入力CT画像よりも視覚的ノイズが少ないため、トレーニング用入力CT画像及びトレーニング用出力CT画像を画像のノイズを除去するためのトレーニングに使用することができる。この技術は、スキャンの繰り返しを必要としないため、過剰な放射線被曝や位置ずれの問題を回避することができる。しかし、上記の技術と同様に、このような既存の技術には欠点がある。具体的には、トレーニング用出力CT画像は無限大より低い放射線被曝量で生成されるため、トレーニング用出力CT画像にはゼロではない量のノイズが存在する。更に、トレーニング用入力CT画像はトレーニング用出力CT画像のコピーに基づいているので、トレーニング用入力CT画像も、トレーニング用出力CT画像と同じくゼロではないノイズを有することがある。言い換えれば、このノイズがゼロではないということは、トレーニング用入力CT画像とトレーニング用出力CT画像との間に相関があると考えることができる。更に別の言い方をすれば、トレーニング用入力CT画像に存在するノイズは、トレーニング用出力CT画像に存在するノイズとは独立していないと考えることができる。そのため、トレーニング用入力CT画像が、追加のノイズが注入されることにより生成される場合、トレーニング用入力CT画像を用いてトレーニングされる深層学習ニューラルネットワークは、注入された追加のノイズを除去する方法しか学習することができず、深層学習ニューラルネットワークは、トレーニング用入力CT画像とトレーニング用出力CT画像の両画像に存在する(例えば、相関する)ゼロではない量のノイズを除去する方法を学習することができない。
【0014】
したがって、これらの技術的問題のうちの1つ又は複数の問題に対処することができるシステム又は技術が望まれる。
【0015】
本明細書に記載の様々な実施形態は、上記の技術的問題のうちの1つ又は複数の問題に対処することができる。本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態は、光子数分割によって画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援することができるシステム、コンピュータにより実施される方法、装置、又はコンピュータプログラム製品を含むことができる。言い換えれば、本明細書に記載された様々な実施形態の発明者は、画像のノイズを除去するためのトレーニングデータを生成する既存の技術の様々な欠点が、光子数分割の実施によって改善できることに気が付いた。特に、光子計数型検出器のコンピュータ断層撮影(PCD-CT)スキャナは、(エネルギー積分型検出器のコンピュータ断層撮影(EID-CT)スキャナとは対照的に)、患者に対してスキャンを実行し、それによってサイノグラムのセットを得ることができる。様々な態様では、本明細書に記載されるように、サイノグラムのセットは、光子単位の二項選択によって、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットとに分割することができる。様々な実施態様において、本明細書で更に説明するように、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットは、任意の適切な画像再構成技術によって、トレーニング用入力CT画像に変換することができる。同様に、本明細書で更に説明するように、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットは、任意の適切な画像再構成技術によって、トレーニング用出力CT画像に変換することができる。このようなトレーニング画像のペアは、患者を一回スキャンすることによって生成できることに留意されたい。即ち、スキャンを繰り返すことと、それに付随する問題(例えば、位置ずれ、過剰な放射線被曝)を回避することができる。更に、本明細書で説明するように、光子単位の二項選択による光子数分割を実施することによって、トレーニング用入力CT画像に存在する視覚ノイズをトレーニング用出力CT画像に存在する視覚ノイズから独立させる(例えば、相関させない)ことができる。従って、相関ノイズの問題を回避することができ、ノイズを除去するトレーニングを改善することができる。実際、本発明者らは、本明細書に記載の様々な実施形態が、完全にクリーンな(例えば、ノイズのない)トレーニング用出力画像を利用する技術に匹敵するノイズ除去性能を達成できることを実験的に検証した。
【0016】
本明細書に記載される様々な実施形態は、光子数分割による画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援することができるコンピュータツール(例えば、コンピュータによって実行可能なハードウェア又はコンピュータによって実行可能なソフトウェアの任意の好適な組み合わせ)と考えることができる。様々な態様において、このようなコンピュータツールは、アクセスコンポーネント、分割コンポーネント、再構成コンポーネント、トレーニングコンポーネント、又はデプロイメントコンポーネントを含むことができる。
【0017】
様々な実施形態において、PCD-CTスキャナ(EID-CTスキャナではない)は患者に対してスキャンを実行し、それによってサイノグラムのセットを得ることができる。様々な態様において、サイノグラムのセットは、適切な数のサイノグラムを含むことができる。様々な実施態様において、サイノグラムは、PCD-CTスキャナによって取得された投影データを表す二次元の画素配列である。例えば、サイノグラムの1つの次元は、PCD-CTスキャナのガントリ角度を表すことができ、サイノグラムの他の次元は、PCD-CTスキャナの投影方向に沿った距離(例えば、X線の放出方向と直交する方向の距離)を表すことができる。様々な場合において、サイノグラムのセットは(EID-CTスキャナではなく)PCD-CTスキャナによって生成することができるので、サイノグラムのセットの画素は、光子エネルギービンによって整理された光子数を表すことができる。言い換えれば、サイノグラムのセットの中の所与のサイノグラムは、所与の光子エネルギー範囲に対応し、その所与のサイノグラムの所与の画素は、患者のスキャンの間に掃引された所与の角度-距離のタプルに対応すると考えることができ、当該所与の画素の値は、当該所与の角度-距離のタプルにおいて、所与の光子エネルギー範囲内の何個の個別の光子がPCD-CTスキャナにより検出されたのかを表すと考えることができる。
【0018】
様々な実施形態において、コンピュータツールのアクセスコンポーネントは、サイノグラムのセットを電子的に受け取る、又はサイノグラムのセットに電子的にアクセスすることができる。一部の態様において、アクセスコンポーネントは、アクセスコンポーネントからリモートであるかアクセスコンポーネントのローカルであるかを問わず、任意の適切な集中型データ構造又は分散型データ構造(例えば、グラフデータ構造、リレーショナルデータ構造、ハイブリッドデータ構造)からサイノグラムのセットを電子的に検索することができる。他の態様では、アクセスコンポーネントは、サイノグラムのセットを生成したPCD-CTスキャナからサイノグラムのセットを電子的に検索することができる。いずれの場合においても、アクセスコンポーネントは、サイノグラムのセットを電子的に取得する又はアクセスすることでき、コンピュータツールの他のコンポーネントは、サイノグラムのセットと電子的にやり取りする(例えば、読み取る、書き込む、編集する、コピーする、操作する)ことができる。
【0019】
様々な実施形態において、コンピュータツールの分割コンポーネントは、光子単位の二項選択によって、サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに電子的に分割することができる。より具体的には、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットは、最初は空のセットである。様々な実施態様において、分割コンポーネントは、サイノグラムセットの各サイノグラムを反復処理する。サイノグラムセットからの所与のサイノグラムに対して、分割コンポーネントは、所与のサイノグラムと同じ次元を有する空のサイノグラム(例えば、空のサイノグラムは、所与のサイノグラムと同じ画素数又は同じ画素配列を有することができるが、空のサイノグラムの全ての画素値は最初はゼロである)を、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットに挿入することができる。説明の便宜上、このような空のサイノグラムをサイノグラムAと呼ぶ。同様に、分割コンポーネントは、所与のサイノグラムと同じ次元を有する空のサイノグラム(例えば、空のサイノグラムは、所与のサイノグラムと同じ画素数又は画素配列を有するが、空のサイノグラムの全ての画素値は最初はゼロである)を、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに挿入することができる。説明の便宜上、このような空のサイノグラムをサイノグラムBと呼ぶ。
【0020】
上述したように、所与のサイノグラムの各画素は光子数を表すことができる。換言すれば、所与のサイノグラムの各画素は、記録された光子のそれぞれの数を含む又は表すと考えることができる。したがって、様々な態様において、分割コンポーネントは、所与のサイノグラムの各画素を反復処理することができ、所与のサイノグラムの所与の画素について、分割コンポーネントは、当該所与の画素によって表される記録された光子を反復処理することができる。所与の記録された光子について、分割コンポーネントは、二項選択によって、当該所与の記録された光子を、サイノグラムAのそれぞれの画素に割り当てる、又はその代わりにサイノグラムBのそれぞれの画素に割り当てることができる。特に、分割コンポーネントは、適切な閾値確率に従って、当該所与の記録された光子をサイノグラムAのそれぞれの画素に確率的に割り当てることができ、また、分割コンポーネントは、その代わりに、その閾値確率の補数に従って、当該所与の記録された光子をサイノグラムBのそれぞれの画素に確率的に割り当てることができる。様々な場合において、このような方法で単一の光子に二項選択を適用することは、光子単位のベルヌーイ試行と考えることができる又は呼ぶことができることに注意されたい。
【0021】
様々な態様において、分割コンポーネントは、所与の画素の記録された各光子に対してこのような確率的な割当てを繰り返すことができ、それにより、サイノグラムAのそれぞれの画素及びサイノグラムBのそれぞれの画素は、記録された光子で満たされるようになる。サイノグラムAのそれぞれの画素の光子数及びサイノグラムBのそれぞれの画素の光子数を合計すると、当該所与の画素の光子数になることに留意されたい(例えば、所与の画素は、記録された適切な数の光子を含むことができ、これらの記録された光子は、閾値確率に従って、サイノグラムAのそれぞれの画素とサイノグラムBのそれぞれの画素との間で、確率的に分割される又は他の方法で分割される)。言い換えれば、サイノグラムAのそれぞれの画素とサイノグラムBのそれぞれの画素は、互いに相補的であると考えることができる。更に別の言い方をすれば、サイノグラムAのそれぞれの画素とサイノグラムBのそれぞれの画素は、両方とも所与の画素の光子数よりも小さい光子数を有し、したがって、「光子数が削減された」という用語がある。
【0022】
上記の段落では、分割コンポーネントが一連のベルヌーイ試行を実行するものとして(例えば、光子ごとに(一度に1つの光子に対して)二項選択を実行するものとして)説明されているが、これは説明を容易にするための単なる非限定的な例であることに留意されたい。この代わりに、様々な態様において、分割コンポーネントは、適切なバッチサイズに従って(例えば、一度に複数の光子に対して)光子単位の二項選択を実行することができる。実際、独立したベルヌーイ試行を合計すると、二項分布を形成すると考えることができる。したがって、所与の画素の個々の光子を、ベルヌーイ試行(例えば、一度に1つの光子)によってサイノグラムAのそれぞれの画素に確率的に割り当てる、又はこの代わりに、サイノグラムBのそれぞれの画素に確率的に割り当てるのではなく、分割コンポーネントは、二項選択を使用して、二項分布をサンプリングすることにより、所与の画素に記録された光子をサイノグラムAのそれぞれの画素に確率的に割り当てることができる。このような場合、このようなサンプリングによってサイノグラムAのそれぞれの画素に割り当てられない所与の画素の記録された光子は、サイノグラムBのそれぞれの画素に割り当てることができる。
【0023】
様々な態様において、分割コンポーネントは、所与のサイノグラムの各画素に対して、及びサイノグラムセットの各サイノグラムに対して、上述の動作を繰り返すことができる。このようにして、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットの画素は、閾値確率に近い割合で、サイノグラムのセットからの記録された光子で満たされ、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットの画素は、閾値確率の補数に近い割合で、サイノグラムのセットからの記録された光子で満たされる。換言すれば、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセット及び光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットは、サイノグラムのセットと同じ(又は大体同じ)投影データのパターン又は配置を視覚的に表している、及び第1のセットと第2のセットが互いに同じ(又は大体同じ)投影データのパターン又は配置を視覚的に表していると考えることができるが、線量レベルは異なっている。
【0024】
様々な実施形態では、コンピュータツールの再構成コンポーネントは、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットに基づいて、及び光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに基づいて、画像のペアを電子的に生成することができる。より具体的には、再構成コンポーネントは、適切な画像再構成技術(例えば、物質弁別、フィルタ逆投影)を光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットに適用することができ、それによって第1のCT画像が得られる。様々な態様において、第1のCT画像は、適切なフォーマット、サイズ、又は次元(例えば、画素の二次元アレイ、ボクセルの三次元アレイ)を有することができる。場合によっては、第1のCT画像は、複数の第1の基準物質画像(例えば、複数の第1のCT画像であり、各第1のCT画像は、それぞれの基準物質(水又はカルシウムなど)に従って患者の解剖学的構造を表す)である。同様に、再構成コンポーネントは、適切な画像再構成技術を光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに適用することができ、それによって第2のCT画像が得られる。上記と同様に、第2のCT画像は適切なフォーマット、サイズ、又は次元を有することができる。更に、上記と同様に、第2のCT画像は、様々な実施態様において、複数の第2の基準物質画像とすることができる。
【0025】
様々な態様において、分割コンポーネントは、記録された光子を、閾値確率に従って、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットに割り当てることができ、第1のCT画像は光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットに基づいて生成することができるので、閾値確率は、第1のCT画像の放射線量に対応する又は第1のCT画像の放射線量の尺度として機能すると考えることができる。同様に、分割コンポーネントは、記録された光子を、閾値確率の補数に従って、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに割り当てることができ、第2のCT画像は、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに基づいて生成することができるので、閾値確率の補数は、第2のCT画像の放射線量に対応する又は第2のCT画像の放射線量の尺度として機能すると考えることができる。従って、閾値確率が50%未満である場合、第1のCT画像及び第2のCT画像の両画像は、患者の解剖学的構造を表している(例えば、両画像とも互いに同じ患者の同じ解剖学的構造を表している)と考えることができるが、第1のCT画像は、第2のCT画像よりも低い放射線量で患者の解剖学的構造を表すことができる。このような場合、第1のCT画像は、ノイズが多くなった第2のCT画像と考えることができる。逆に、閾値確率が50%より大きい場合、第1のCT画像及び第2のCT画像の両画像は、患者の解剖学的構造を表していると考えることができるが、第1のCT画像は第2のCT画像より高い放射線量で患者の解剖学的構造を表していることになる。このような場合、第1のCT画像はノイズが少ない第2のCT画像と考えることができる。いずれにしても、光子単位の二項選択による光子数分割を適用することにより、第1のCT画像内に存在するどのような視覚的ノイズも、第2のCT画像内に存在する視覚的ノイズに依存しない(例えば、相関しない)ようにすることができる。
【0026】
様々な実施形態において、コンピュータールのトレーニングコンポーネントは、教師あり方式により、深層学習ニューラルネットワークを第1のCT画像及び第2のCT画像で電子的にトレーニングすることができる。
【0027】
様々な実施態様において、深層学習ニューラルネットワークは、適切な内部アーキテクチャを有することができる。例えば、深層学習ニューラルネットワークは、適切な数の適切なタイプの層(例えば、入力層、1つ又は複数の隠れ層、出力層であり、これらの層のうちのいずれかの層は、畳み込み層、密層、非線形層、プーリング層、バッチ正規化層、又はパディング層とすることができる)を含むことができる。別の例として、深層学習ニューラルネットワークは、様々な層に適切な数のニューロンを含むことができる(例えば、互いに異なる層は、互いに同じ数又は異なる数のニューロンを有することができる)。更に別の例として、深層学習ニューラルネットワークは、様々なニューロンに、適切な活性化関数(例えば、ソフトマックス、シグモイド、双曲線正接、整流化線形ユニット)を含むことができる(例えば、互いに異なるニューロンは、互いに同じ又は異なる活性化関数を有することができる)。更に別の例として、深層学習ニューラルネットワークは、適切なニューロン間接続又は層間接続(例えば、フォワード接続、スキップ接続、リカレント接続)を含むことができる。
【0028】
深層学習ニューラルネットワークの内部アーキテクチャに関係なく、トレーニングコンポーネントは、第1のCT画像と第2のCT画像を使用して画像のノイズ除去を実行するように深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすることができる。実際、第1のCT画像と第2のCT画像の両画像がノイズの多い画像であっても、第1のCT画像に存在するノイズは、第2のCT画像に存在するノイズとは独立であるので、深層学習ニューラルネットワークは画像のノイズ除去を実行するように学習することができる。いずれにせよ、このようなトレーニングを開始する前に、深層学習ニューラルネットワークの内部パラメータ(例えば、重み、バイアス、畳み込みカーネル)をランダムに初期化することができる。
【0029】
様々な態様において、トレーニングコンポーネントは、第1のCT画像を深層学習ニューラルネットワークに供給することができ、これにより、深層学習ニューラルネットワークに出力を生成させることができる。例えば、第1のCT画像は、深層学習ニューラルネットワークの入力層によって受け取られ、第1のCT画像は、深層学習ニューラルネットワークの1つ又は複数の隠れ層をフォワードパスし、深層学習ニューラルネットワークの出力層は、1つ又は複数の隠れ層によって生成された活性化に基づいて出力を計算することができる。
【0030】
様々な態様において、出力は、深層学習ニューラルネットワークが第1のCT画像に対応するはずであると考える予測結果又は推論結果とみなすことができる。対照的に、第2のCT画像は、第1のCT画像に対応することが分かっている又は第1の画像に対応すると考えられる、正しく、正確な、正解の結果とみなすことができる。深層学習ニューラルネットワークがこれまでにトレーニングを全く受けていない、又はトレーニングをほとんど受けていない場合、出力は、かなり不正確になる恐れがある(例えば、出力が第2のCT画像と大きく異なる場合がある)ことに留意されたい。
【0031】
いずれにしても、トレーニングコンポーネントは、出力と第2のCT画像との間の1つ又は複数の誤差又は損失(例えば、平均絶対誤差(MAE)、平均二乗誤差(MSE)、交差エントロピー)を計算することができる。様々な態様において、トレーニングコンポーネントは、この計算された誤差又は損失によって駆動される誤差逆伝播法(例えば、確率的勾配降下)を実行することによって、深層学習ニューラルネットワークの内部パラメータを更新することができる。
【0032】
これは、トレーニングコンポーネントが、どのようにして第1のCT画像及び第2のCT画像で深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすることができるかを示す非限定的な例である。言い換えれば、第1のCT画像はトレーニングの入力と見なすことができ、第2のCT画像はトレーニングの入力に対応するグラウンドトゥルースアノテーション又はターゲットと見なすことができる。更に別の言い方をすれば、第1のCT画像と第2のCT画像は、入力-アノテーションのペアと考えることができる。様々な態様において、本明細書に記載されたコンピュータツールは、上記のPCD-CTスキャナ(又は他の任意のPCD-CTスキャナ)により生成されたサイノグラムの各セットに対してそれぞれの入力-アノテーションのペアを生成することができる。したがって、PCD-CTスキャナによって生成されたサイノグラムの複数のセットが利用可能である場合、アクセスコンポーネント、分割コンポーネント、及び再構成コンポーネントは、上記のように、入力-アノテーションの複数のペアを生成するように動作することができる。このような入力-アノテーションの複数のペアは、トレーニングコンポーネントが深層学習ニューラルネットワークをトレーニングするための全部のトレーニングデータセットとみなすことができる。このような場合、トレーニングコンポーネントは、トレーニングデータセットの入力-アノテーションの各ペアに対して上述の実行-更新手順を繰り返すことができ、その結果、深層学習ニューラルネットワークの内部パラメータを、入力されたCT画像が正確にノイズ除去されるように反復的に最適化することができる。様々な態様において、トレーニングコンポーネントは、トレーニングの適切なバッチサイズ、トレーニングの適切な終了基準、又は適切な誤差関数、損失関数、若しくは目的関数を実装することができる。
【0033】
深層学習ニューラルネットワークがトレーニングされた後、コンピュータツールのデプロイメントコンポーネントは、適切な運用コンテキストにおいて深層学習ニューラルネットワークを電子的にデプロイすることができる。すなわち、デプロイメントコンポーネントは、現場で得られる所与のCT画像(例えば、ノイズ除去が望まれるCT画像)に対して深層学習ニューラルネットワークを実行することができる。
【0034】
第1のCT画像及び第2のCT画像は、両画像とも、PCD-CTスキャナによって得られたサイノグラムのセットから生成することができ、サイノグラムのセットは、PCD-CTスキャナで実行された単一のスキャンにより得られた結果であることに留意されたい。換言すれば、本明細書に記載された様々な実施形態では、繰り返しのスキャンが行われないようにし、繰り返しスキャンによる問題(例えば、位置ずれ、過剰な放射線被曝)を回避することができる。更に、第1のCT画像及び第2のCT画像は、光子単位の二項選択によって生成することができるので、第1のCT画像内に存在するノイズは、第2のCT画像内に存在するノイズから独立している(例えば、第2のCT画像内に存在するノイズとは相関しない)。換言すれば、本明細書に記載された様々な実施形態では、相関ノイズの問題を回避することができる。更に、本明細書に記載されているように、本発明者らは、光子数分割によって(例えば、光子単位の二項選択によって)生成されたトレーニングデータに対して画像のノイズ除去が実行されるように深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすることによって、この深層学習ニューラルネットワークは、完全にクリーンな(例えば、ノイズのない)グラウンドトゥルースで深層学習ニューラルネットワークをトレーニングするのと同等のノイズ除去精度を示すことを実験的に確認した。
【0035】
本明細書に記載された様々な実施形態を採用し、ハードウェア又はソフトウェアを使用して、実際に技術的に高度な問題(例えば、光子数分割による画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援すること)であって、抽象的ではなく、人間による一連の精神的活動として実行することができない問題を解決することができる。更に、実行される処理の一部は、光子数分割による画像のノイズ除去のトレーニングデータを生成することに関連する定義されたタスクを実行するための専用のコンピュータ(例えば、畳み込みカーネルなどの内部パラメータを有する深層学習ニューラルネットワーク)によって実行することができる。例えば、そのような定義されたタスクは、プロセッサに動作可能に結合されたデバイスによって、光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナによって生成されたサイノグラムのセットにアクセスすること、前記デバイスによって、サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセット及び光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに分割すること、前記装置及び画像再構成によって、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットを少なくとも1つのトレーニング用入力画像に変換し、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットを少なくとも1つのトレーニング用出力画像に変換すること、デバイスにより、前記少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び前記少なくとも1つのトレーニング用出力画像に基づいて、深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすること、を含む。
【0036】
この定義されたタスクは、人間によって手作業で実行されるものではない。実際、人間の精神も、ペンと紙を使用する人間も、PCD-CTスキャナにより取得されたサイノグラムに電子的にアクセスすること、光子単位の二項選択を使用してサイノグラムを光子数が削減されたサイノグラムの2つのセットに電子的に分割すること、光子数が削減されたサイノグラムの2つのセットに画像再構成(例えば、物質弁別、フィルタ補正逆投影)を適用することによって入力-アノテーションのペアを電子的に生成すること、前記入力-アノテーションのペアで深層学習ニューラルネットワークを電子的に(例えば、誤差逆伝播法によって)トレーニングすることはできない。実際、PCD-CTスキャナは、本質的にコンピュータ化された装置であり、コンピュータなしでは人間の精神による如何なる方法でも実装できるものではない。同様に、深層学習ニューラルネットワークも、コンピュータなしでは人間の精神による如何なる方法でも実装できるものではない本質的にコンピュータ化された構成体である。したがって、PCD-CTスキャナによって生成されたサイノグラムで深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすることができるコンピュータツールも同様に、本質的にコンピュータ化されたものであり、コンピュータなしでは、理にかなった方法、実用的な方法、及び合理的な方法で実施することができない。
【0037】
更に、本明細書に記載された様々な実施形態は、光子数分割により画像のノイズを除去するためのトレーニングデータを生成することに関する様々な教示を実用的な用途に統合することができる。上記で説明したように、一部の既存の技術では、完全にクリーンな(例えば、完全にノイズのない)グラウンドトゥルースを利用することによって、CT画像に対して画像のノイズ除去が実行されるように深層学習ニューラルネットワークをトレーニングする。しかしながら、そのような完全にクリーンなグラウンドトゥルースは、臨床設定のスケール(例えば、十分に大きなボリューム)では実行可能なもの又は実用的なものは得ることができない。上述したように、他の既存の技術は、低線量CTスキャンによって生成されたトレーニング用入力と、高線量CTスキャンによって生成された対応するトレーニングターゲットとを使用して、CT画像に対して画像のノイズ除去が実行されるように深層学習ニューラルネットワークをトレーニングする。しかしながら、そのような技術では、患者のスキャンが繰り返されるので、患者が過剰な放射線に晒され、また、位置合わせのエラーが生じる。上述したように、他の様々な既存の技術では、高線量CTスキャンによって生成されたトレーニングターゲットと、ノイズ挿入によって生成された対応するトレーニング用入力とを用いて、CT画像に対して画像のノイズ除去が実行されるように深層学習ニューラルネットワークをトレーニングする。この技術では繰り返しスキャンを回避することができるが、相関ノイズの問題が生じる。
【0038】
本明細書に記載された様々な実施形態は、これらの技術的問題に対処することができる。具体的には、本明細書に記載された様々な実施形態は、PCD-CTスキャナからサイノグラムのセットを取得すること、光子単位の二項選択によってサイノグラムのセットを光子数が削減されたサイノグラムの2つのセットに分割すること、及び光子数が削減されたサイノグラムの2つのセットに画像再構成(例えば、物質弁別)を適用することによって、トレーニング用入力及び対応するトレーニングターゲットを生成することを含む。サイノグラムのセットは患者の1回のスキャンにより得られるので、繰り返しスキャンの問題を回避することができる。更に、光子単位の二項選択による光子数分割を実装することができるため、トレーニング用入力のノイズは、トレーニングターゲットの如何なるノイズにも相関しないようにすることができる(例えば、トレーニングターゲットの如何なるノイズからも独立するようにすることができる)。更に、実験結果では、深層学習ニューラルネットワークをこの方法でトレーニングすることによって、完全にクリーンな(例えば、完全にノイズのない)グラウンドトゥルースを用いて深層学習ニューラルネットワークをトレーニングした場合と同等のノイズ除去性能を達成できることが実証されている。すなわち、本明細書に記載された様々な実施形態は、既存の技術の様々な欠点を改善することができる。したがって、本明細書に記載された様々な実施形態は、画像のノイズ除去の分野における明確で具体的な技術的改善を確実に実現する。したがって、本明細書に記載された様々な実施形態は、コンピュータの有用かつ実用的な用途として明らかに適している。
【0039】
更に、本明細書に記載された様々な実施形態は、開示される教示に基づいて実世界の有形デバイスを制御することができる。例えば、本明細書に記載された様々な実施形態は、実世界のPCD-CTスキャナによって取得された実世界のサイノグラムから生成された実世界のCT画像で、実世界の深層学習ニューラルネットワークを電子的にトレーニング又は実行することができる。
【0040】
本明細書の図及び説明は、様々な実施形態の非限定的な例を提供するものであり、必ずしも実物大で図示されていないことを理解されたい。
【0041】
図1は、本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態による、光子数分割によって画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援することができる例示的で非限定的なシステム100のブロック図を示す。図示されるように、ノイズ除去トレーニングシステム102は、適切な有線又は無線の電子接続によって、深層学習ニューラルネットワーク104又は光子計数検出器コンピュータ断層撮影スキャナ106(以下、「PCD-CTスキャナ106」)と電子的に統合することができる。
【0042】
様々な実施形態において、深層学習ニューラルネットワーク104は、適切な内部アーキテクチャを有する又は示すことができる。例えば、深層学習ニューラルネットワーク104は、入力層、1つ又は複数の隠れ層、及び出力層を有することができる。様々な実施態様において、このような層は、適切なニューロン間接続又は層間接続(順方向接続、スキップ接続、又はリカレント接続など)によって結合することができる。更に、様々な実施態様において、このような層は、学習可能又はトレーニング可能な適切な内部パラメータを有する適切な種類のニューラルネットワーク層とすることができる。例えば、そのような入力層、1つ又は複数の隠れ層、及び出力層のうちのいずれかの層を、畳み込み層とすることができ、畳み込み層の学習可能又はトレーニング可能なパラメータは、畳み込みカーネルとすることができる。別の例として、このような入力層、1つ又は複数の隠れ層、及び出力層のうちのいずれかの層を密層とすることができ、密層の学習可能又はトレーニング可能なパラメータは重み行列又はバイアス値とすることができる。更に別の例として、そのような入力層、1つ又は複数の隠れ層、及び出力層のうちのいずれかの層は、バッチ正規化層とすることができ、バッチ正規化層の学習可能又はトレーニング可能なパラメータは、シフト係数又はスケール係数とすることができる。更に、様々な場合において、そのような層のうちのいずれかの層は、適切な固定又はトレーニングすることができない内部パラメータを有する適切な種類のニューラルネットワーク層とすることができる。例えば、そのような入力層、1つ又は複数の隠れ層、及び出力層のうちのいずれかの層は、非線形性層、パディング層、プーリング層、又は連結層とすることができる。
【0043】
様々な実施形態において、PCD-CTスキャナ106は、エネルギー積分型検出器技術と対照的な光子計数型検出器技術を利用する適切なコンピュータ断層撮影スキャナとすることができる。従って、患者にCTスキャンを実行するとき、PCD-CTスキャナ106は、CTスキャンの任意の所与のポイント(例えば、所与のガントリ角度及び投影方向距離)で検出された適切なエネルギー帯域内の個々の光子の数をカウントすることができる。
【0044】
図示されるように、PCD-CTスキャナ106は、様々な態様において、サイノグラムのセット108を電子的に生成する又は電子的に取得することができる。様々な実施態様において、サイノグラムのセット108は、単一の患者の単一のスキャンの間にPCD-CTスキャナ106によって収集された生の投影データとして考えることができる。言い換えれば、PCD-CTスキャナ106は、患者の任意の適切な解剖学的構造をスキャンすることができ、サイノグラムのセット108は、このスキャンから得られる生の投影データとみなすことができる。一部の非限定的な例として、解剖学的構造は、患者の任意の適切な組織(例えば、骨組織、肺組織、筋組織)、患者の任意の適切な器官(例えば、心臓、肝臓、肺、脳)、患者の任意の適切な体液(例えば、血液、羊水)、患者の任意の他の適切な身体部分、又はそれらの任意の適切な一部分とすることができる。場合によっては、PCD-CTスキャナ106は、最大(例えば、100%の)放射線量レベルを用いてサイノグラム108のセットを生成する又は取得することができる。他の態様では、PCD-CTスキャナ106は、最大より少ない(例えば、100%未満の)放射線量レベルを用いてサイノグラム108のセットを生成する又は取得することができる。
【0045】
様々な態様において、深層学習ニューラルネットワーク104を、画像のノイズ除去が実行されるようにトレーニングすることが望まれる場合がある。様々な実施態様において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、本明細書に記載されるように、サイノグラム108のセットに基づいてCT画像の入力-ターゲットのトレーニングのペアを生成することができ、ノイズ除去トレーニングシステム102は、このような入力-ターゲットのトレーニングペアで深層学習ニューラルネットワーク104をトレーニングすることができる。
【0046】
様々な実施形態において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、プロセッサ110(例えば、中央処理装置、マイクロプロセッサ)と、プロセッサ110に操作可能に、動作可能に、又は通信可能に接続又は結合された非一時的なコンピュータ可読メモリ112とを備えることができる。非一時的なコンピュータ可読メモリ112はコンピュータ実行可能命令を記憶することができ、コンピュータ実行可能命令は、プロセッサ110により実行されると、ノイズ除去トレーニングシステム102のプロセッサ110又は他のコンポーネント(例えば、アクセスコンポーネント114、分割コンポーネント116、再構成コンポーネント118、トレーニングコンポーネント120、又はデプロイメントコンポーネント122)に、1つ又は複数の動作を実行させる。様々な実施形態において、非一時的なコンピュータ可読メモリ112は、コンピュータ実行可能コンポーネント(例えば、アクセスコンポーネント114、分割コンポーネント116、再構成コンポーネント118、トレーニングコンポーネント120、又はデプロイメントコンポーネント122)を記憶することができ、プロセッサ110は、コンピュータ実行可能コンポーネントを実行することができる。
【0047】
様々な実施形態において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、アクセスコンポーネント114を含むことができる。様々な態様において、アクセスコンポーネント114は、深層学習ニューラルネットワーク104又はサイノグラム108のセットを電子的に受信する又は自電子的にアクセスすることができる。様々な態様において、アクセスコンポーネント114は、任意の適切な集中型もしくは分散型のデータ構造(図示せず)から、又は任意の適切な集中型もしくは分散型のコンピューティング装置(図示せず)から、深層学習ニューラルネットワーク104を電子的に検索することができる。同様に、様々な場合において、アクセスコンポーネント114は、任意の適切な集中型もしくは分散型のデータ構造(図示せず)、又は任意の適切な集中型もしくは分散型のコンピューティング装置(図示せず)から、サイノグラム108のセットを電子的に検索することができる。非限定的な例として、PCD-CTスキャナ106は、サイノグラム108のセットをアクセスコンポーネント114に送信することができる。いずれの場合においても、アクセスコンポーネント114は、深層学習ニューラルネットワーク104又はサイノグラム108のセットを電子的に取得又はアクセスし、ノイズ除去トレーニングシステム102の他のコンポーネントが深層学習ニューラルネットワーク104又はサイノグラム108のセットと電子的にやり取りすることができる。
【0048】
様々な実施形態において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、分割コンポーネント116を含むことができる。様々な態様において、本明細書に記載されるように、分割コンポーネント116は、光子単位で、サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットと光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットとに分割することができる。
【0049】
様々な実施形態において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、再構成コンポーネント118を備えることができる。様々な実施態様において、本明細書に記載されるように、再構成コンポーネント118は、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットに基づいてトレーニング用入力画像を生成し、光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットに基づいて、トレーニング用出力画像を生成することができる。
【0050】
様々な実施形態において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、トレーニングコンポーネント120を備えることができる。様々な場合において、本明細書に記載されるように、トレーニングコンポーネント120は、トレーニング用入力画像及びトレーニング用出力画像に基づいて、教師あり方式で深層学習ニューラルネットワークをトレーニングすることができる。
【0051】
様々な実施形態において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、デプロイメントコンポーネント122を備えることができる。様々な態様において、本明細書に記載されるように、デプロイメントコンポーネント122は、適切な所望の画像に対して、トレーニング後に、深層学習ニューラルネットワークをデプロイする又は実行することができる。
【0052】
図2は、本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態による、光子数が削減されたサイノグラムの様々なセットを含む例示的で非限定的なシステム200であって、光子数分割によって画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援することができるシステム200のブロック図を示す。図示されるように、システム200は、場合によっては、システム100と同じコンポーネントを備え、光子数が削減されたサイノグラム202のセット及び光子数が削減されたサイノグラム204のセットを更に備えることができる。
【0053】
様々な実施形態において、分割コンポーネント116は、サイノグラム108のセットを、光子数が削減されたサイノグラム202のセット及び光子数が削減されたサイノグラム204のセットに電子的に分割することができる。より具体的には、分割コンポーネント116は、様々な態様において、光子単位の二項選択をサイノグラム108のセットに適用することによって、光子数が削減されたサイノグラム202のセット及び光子数が削減されたサイノグラム204のセットを生成することができる。様々な非限定的態様が図3図7に示されている。
【0054】
図3図7は、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態に従って、光子数が削減されたサイノグラム202のセット及び光子数が削減されたサイノグラム204のセットをどのようにして生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図300、400、500、600、及び700である。
【0055】
まず、図3を説明する。図示されるように、サイノグラムのセット108は、様々な態様において、n個のサイノグラム(nは任意の適切な正の整数)、即ち、サイノグラム108(1)からサイノグラム108(n)を備えることができる。様々な実施態様において、サイノグラムのセット108内のサイノグラムは、任意の適切なフォーマット、サイズ、又は次元を示すことができる。非限定的な例として、サイノグラムのセット108内のサイノグラムは、a×bの画素のアレイ(a及びbは任意の適切な正の整数)とすることができる。様々な場合において、サイノグラムのセット108内の互いに異なるサイノグラムは、互いに同じフォーマット又は次元を有することができる(例えば、サイノグラムのセット108の各サイノグラムは、a×bの画素のアレイとすることができる)。
【0056】
様々な態様において、サイノグラムのセット108はPCD-CTスキャナ106によって生成することができるので、サイノグラムのセット108は光子エネルギービンによって整理する又は光子エネルギービンに従って整理することができる。実際、PCD-CTスキャナ106は、(エネルギー積分型検出器のび技術ではなく)光子計数型検出器の技術を実施する又は利用することができるので、PCD-CTスキャナ106は、適切な光子エネルギー範囲内の何個の個々の光子が、適切なガントリ角度で適切な光子計数型検出器に衝突するのかをカウントすることができる。特に、サイノグラムのセット108内の所与のサイノグラムが、所与の光子エネルギービンに対応するa×bの画素のアレイである場合、以下のようになる。
そのような所与のサイノグラムの1つの主次元又は主軸は、PCD-CTスキャナ106の異なるガントリ角度を表すと考えることができる。また、そのような所与のサイノグラムの別の主次元又は主軸は、PCD-CTスキャナ106の投影方向に沿った距離を表すと考えることができる。また、このような所与のサイノグラムの所与の画素は、ガントリ角度と投影距離との所与のタプルにおいて位置決めされている又は配置されていると考えることができる。また、所与の画素の値は、PCD-CTスキャナ106がガントリ角度と投影距離との所与のタプルに設定されたときに検出された所与の光子エネルギービンに入る個々の光子の数と考えることができる。サイノグラムのセット108はn個のカーディナリティを有することができるので、サイノグラムのセット108は、n個の別個の又は固有の光子エネルギービンによって又はn個の別個の又は固有の光子エネルギービンに従って整理されると考えることができる。例えば、サイノグラム108(1)は、第1の光子エネルギービン(例えば、電子ボルトで測定された光子エネルギー値の第1の範囲)に対応すると考えることができ、一方、サイノグラム108(n)は、n番目の光子エネルギービン(例えば、電子ボルトで測定された光子エネルギー値のn番目の範囲)に対応すると考えることができる。様々な場合において、このようなn個の光子エネルギービンは、互いに素(例えば、重複しない)とすることができる。
【0057】
様々な態様において、図示されるように、光子数が削減されたサイノグラムのセット202は、それぞれ、サイノグラムのセット108に(例えば、1対1で)対応することができる。したがって、サイノグラムのセット108はn個のサイノグラムを有することができるので、光子数が削減されたサイノグラムのセット202も同様にn個のサイノグラム、即ち、光子数が削減されたサイノグラム202(1)~光子数が削減されたサイノグラム202(n)、を有することができる。言い換えれば、光子数が削減されたサイノグラムのセット202は、サイノグラムのセット108と同じサイノグラムカーディナリティ(例えば、同じ数のサイノグラム)を有すると考えることができる。様々な態様において、光子数が削減されたサイノグラムのセット202の各サイノグラムは、サイノグラムのセット108のいずれかのサイノグラムと同じフォーマット又は次元を有することができる。例えば、サイノグラムのセット108の各サイノグラムがa×bの画素のアレイである場合、光子数が削減されたサイノグラムのセット202の各サイノグラムも同様にa×bの画素のアレイとすることができる。更に、サイノグラムのセット108は、光子エネルギービンによって、又は光子エネルギービンに従って、整理することができるので、光子数が削減されたサイノグラムのセット202も同様に、光子エネルギービンによって、又は光子エネルギービンに従って、整理することができる。例えば、光子数が削減されたサイノグラム202(1)は、サイノグラム108(1)と同様に、第1の光子エネルギービンに対応することができる。同様に、光子数が削減されたサイノグラム202(n)は、サイノグラム108(n)と同様に、n番目の光子エネルギービンに対応することができる。
【0058】
同様に、図示されるように、光子数が削減されたサイノグラムのセット204は、それぞれ、サイノグラムのセット108に(例えば、1対1で)対応することができる。したがって、サイノグラムのセット108はn個のサイノグラムを有することができるので、光子数が削減されたサイノグラムのセット204も同様にn個のサイノグラム、即ち、光子数が削減されたサイノグラム204(1)~光子数が削減されたサイノグラム204(n)、を有することができる。言い換えれば、光子数が削減されたサイノグラムのセット204は、サイノグラムのセット108と同じサイノグラムカーディナリティ(例えば、同じ数のサイノグラム)を有すると考えることができる。上記のように、光子数が削減されたサイノグラムのセット204の各サイノグラムは、サイノグラムのセット108のいずれかのサイノグラムと同じフォーマット又は次元を有することができる。例えば、サイノグラムのセット108の各サイノグラムがa×bの画素のアレイである場合、光子数が削減されたサイノグラムのセット204の各サイノグラムも同様にa×bの画素のアレイとすることができる。更に、サイノグラムのセット108は、光子エネルギービンによって、又は光子エネルギービンに従って、整理することができるので、光子数が削減されたサイノグラムのセット204も同様に、光子エネルギービンによって、又は光子エネルギービンに従って、整理することができる。例えば、光子数が削減されたサイノグラム204(1)は、サイノグラム108(1)と同様に、第1の光子エネルギービンに対応することができる。同様に、光子数が削減されたサイノグラム204(n)は、サイノグラム108(n)と同様に、n番目の光子エネルギービンに対応することができる。
【0059】
様々な態様において、光子数が削減されたサイノグラムのセット202のうちのそれぞれのサイノグラム、及び光子数が削減されたサイノグラムのセット204のうちのそれぞれのサイノグラムは、光子単位の二項選択による光子数分割を、サイノグラムのセット108のうちのそれぞれのサイノグラムに適用することによって生成することができる。例えば、分割コンポーネント116は、光子単位の二項選択をサイノグラム108(1)に適用することによって、光子数が削減されたサイノグラム202(1)及び光子数が削減されたサイノグラム204(1)を生成することができる。したがって、サイノグラム108(1)、光子数が削減されたサイノグラム202(1)、及び光子数が削減されたサイノグラム204(1)はすべて、互いに対応すると考えることができる。同様に、別の例として、分割コンポーネント116は、光子単位の二項選択をサイノグラム108(n)に適用することによって、光子数が削減されたサイノグラム202(n)及び光子数が削減されたサイノグラム204(n)を生成することができる。したがって、サイノグラム108(n)、光子数が削減されたサイノグラム202(n)、及び光子数が削減されたサイノグラム204(n)はすべて、互いに対応すると考えることができる。このような光子単位の二項選択の様々な非限定的な態様が、図4図7において、より詳細に説明される。
【0060】
図示されるように、図4は、サイノグラム108(1)の例示的で非限定的な実施形態を示す。図示されるように、サイノグラム108(1)は画素のセット402を有することができる。様々な態様において、画素のセット402は、p個の画素(pは任意の適切な正の整数)、即ち、画素402(1)から画素402(p)を含むことができる。様々な態様において、pは、サイノグラムのセット108を生成するときにPCD-CTスキャナ106によって掃引された、ガントリ角度と投影距離との所与のタプルの合計を表すと考えることができる(例えば、サイノグラム108(1)がa×bの画素のアレイである場合、p=ab)。更に、サイノグラム108(1)はPCD-CTスキャナ106によって作成することができ、サイノグラム108(1)は第1の光子エネルギービンに対応するので、サイノグラム108(1)の各画素は、ガントリ角度と投影距離とのそれぞれのタプルにおいて、第1の光子エネルギービン内の何個の個別の光子が、PCD-CTスキャナ106によって検出されたかを記録する又は表すと考えることができる。例えば、画素402(1)は、PCD-CTスキャナ106のガントリ角度と投影距離との第1のタプルに対応することができるので、画素402(1)は、ガントリ角度と投影距離との第1のタプルにおいて、第1の光子エネルギービン内の何個の個別の光子が、PCD-CTスキャナ106によって検出されたかを表すと考えることができる。別の例として、画素402(p)は、PCD-CTスキャナ106のガントリ角度と投影距離との第pのタプルに対応することができるので、画素402(p)は、ガントリ角度と投影距離との第pのタプルにおいて、第1の光子エネルギービン内の何個の個別の光子が、PCD-CTスキャナ106によって検出されたかを表すと考えることができる。
【0061】
様々な態様において、画素402(1)が、C1_Totalの画素値を有するとする。C1_Totalは、任意の適切な正の整数である。この場合、画素402(1)は、第1の光子エネルギービン内のエネルギーを有するC1_Total個の個別の又は別個の光子を記録したと考えることができる。従って、画素402(1)は、記録された光子のセット404(1)を含む又は表すと考えることができ、ここで、記録された光子のセット404(1)のカーディナリティは、C1_Totalに等しくなる。つまり、記録された光子のセット404(1)は、C1_Total個の光子、即ち、記録された光子404(1)(1)から記録された光子404(1)(C1_Total)、を含むことができる。
【0062】
同様に、画素402(p)がCp_Totalの画素値を有するとする。Cp_Totalは、任意の適切な正の整数である。この場合、画素402(p)は、第1の光子エネルギービン内のエネルギーを有するCp_Total個の個別の又は別個の光子を記録したと考えることができる。従って、画素402(p)は、記録された光子のセット404(p)を含む又は表すと考えることができ、ここで、記録された光子のセット404(p)のカーディナリティは、Cp_Totalに等しくなる。つまり、記録された光子のセット404(p)は、Cp_Total個の光子、即ち、記録された光子404(p)(1)から記録された光子404(p)(Cp_Total)、を含むことができる。
【0063】
様々な態様において、図示されるように、光子数が削減されたサイノグラム202(1)は、画素のセット406を有する。上記のように、サイノグラムのセット108の各サイノグラム及び光子数が削減されたサイノグラムのセット202の各サイノグラムは、互いに同じ数の画素又は同じ配置の画素を有することができる。したがって、サイノグラム108(1)の画素のセット402はp個のカーディナリティを有することができるので、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の画素のセット406も同様にp個のカーディナリティを有することができる。すなわち、画素のセット406はp個の画素、即ち、画素406(1)から画素406(p)を含むことができる。様々な実施例において、図示されるように、画素のセット406の各画素は、最初は空である。言い換えれば、画素のセット406の各画素は、ゼロの画素値から始まる。例えば、画素406(1)は、(例えば、分割コンポーネント116による光子単位の二項選択を適用する前は)ゼロの画素値から始まり、これは、記録された光子が、まだ画素406(1)によって表されていないことを示している。別の例として、画素406(p)は、(例えば、分割コンポーネント116による光子単位の二項選択を適用する前は)ゼロの画素値から始まり、これは、記録された光子が、まだ画素406(p)によって表されていないことを示している。しかしながら、これは単なる非限定的な実施形態である。他の様々な場合において、画素のセットの406の各画素は、任意の他の適切な方法で初期化することができる。
【0064】
いずれにしても、画素のセット406は、それぞれ、画素のセット402に(例えば、一対一で)対応することができる。例えば、画素406(1)は、画素402(1)に対応することができる(例えば、画素402(1)及び画素406(1)の両画素は、PCD-CTスキャナ106のガントリ角度と投影距離との第1のタプルに対応することができる)。同様に、画素406(p)は、画素402(p)に対応することができる(例えば、画素402(p)及び画素406(p)の両画素は、PCD-CTスキャナ106のガントリ角度と投影距離との第pのタプルに対応することができる)。
【0065】
様々な態様において、図示されるように、光子数が削減されたサイノグラム204(1)は、画素のセット408を有することができる。上述したように、サイノグラムのセット108の各サイノグラム及び光子数が削減されたサイノグラムのセット204の各サイノグラムは、互いに同じ数の画素又は同じ配置の画素を有することができる。したがって、サイノグラム108(1)の画素のセット402はp個のカーディナリティを有することができるので、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の画素のセット408も同様にp個のカーディナリティを有することができる。すなわち、画素のセット408はp個の画素、即ち、画素408(1)から画素408(p)を含むことができる。画素のセット406と同様に、画素のセット408の各画素は、最初は空である。すなわち、画素のセット408の各画素は、ゼロの画素値から始まる。例えば、画素408(1)は、(例えば、分割コンポーネント116による光子単位の二項選択を適用する前は)ゼロの画素値から始まり、これは、記録された光子が、まだ画素408(1)によって表されていないことを示している。別の例として、画素408(p)は、(例えば、分割コンポーネント116による光子単位の二項選択を適用する前は)ゼロの画素値から始まり、これは、記録された光子が、まだ画素408(p)によって表されていないことを示している。しかしながら、これは単なる非限定的な実施形態である。他の様々な場合において、画素のセット408の各画素は、任意の他の適切な方法で初期化することができる。
【0066】
いずれにしても、画素のセット408は、それぞれ、画素のセット402に(例えば、一対一で)対応することができる。例えば、画素408(1)は、画素402(1)に対応することができる(例えば、画素402(1)及び画素408(1)の両画素は、PCD-CTスキャナ106のガントリ角度と投影距離との第1のタプルに対応することができる)。同様に、画素408(p)は、画素402(p)に対応することができる(例えば、画素402(p)及び画素408(p)の両画素は、PCD-CTスキャナ106のガントリ角度と投影距離との第pのタプルに対応することができる)。
【0067】
様々な態様において、分割コンポーネント116は、画素のセット402の各画素を反復処理することができる。更に、画素のセット402内の所与の画素に対して、分割コンポーネント116は、当該所与の画素内に含まれる又は当該所与の画素によって表される記録された各光子を反復処理することができる。当該与所与の画素内の任意の記録された所与の光子に対して、分割コンポーネント116は、記録された所与の光子を、画素のセット406のうちの、所与の画素に対応する画素に、又は画素のセット408のうちの、所与の画素に対応する画素に、確率的に割り当てることができる。記録された光子のこのような確率的な割り当ては、光子単位の二項選択による光子数分割と考えられる、又は光子数分割と呼ぶことができる。このような光子単位の二項選択の非限定的な例が、図5図6に示されている。
【0068】
図5は、非限定的で例示的なやり方で、分割コンポーネント116が、光子単位の二項選択による光子数分割を、画素402(1)の記録された各光子に(例えば、記録された光子のセット404(1)の各光子に)、どのように反復的に適用することができるかを示す図である。
【0069】
様々な態様において、分割コンポーネント116は、画素402(1)の記録された光子404(1)(1)を検討することができる。記録された光子404(1)(1)は、画素402(1)によって表すことができ、画素402(1)は、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の画素406(1)と、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の画素408(1)との両方の画素に対応することができるので、分割コンポーネント116は、光子単位の二項選択を適用して、記録された光子404(1)(1)を画素406(1)又は画素408(1)のいずれかの画素に割り当てる又は割り振ることができる。言い換えれば、分割コンポーネント116は、dの確率で(dは、適切な実数であり、0<d<1)、記録された光子404(1)(1)を画素406(1)に加えることができる、又は、分割コンポーネント116は、1-dの確率で(例えば、dの補数)、記録された光子404(1)(1)を画素408(1)に加えることができる。更に他の言葉では、記録された光子404(1)(1)は、100dパーセントの確率で画素406(1)内に配置され(例えば、これによって、画素406(1)の値が1だけインクリメントされる)、あるいは、100(1-d)パーセントの確率で画素408(1)内に配置される(例えば、これによって、画素408(1)の値が1だけインクリメントされる。
【0070】
同様に、分割コンポーネント116は、画素402(1)の記録された光子404(1)(C1_Total)を検討することができる。記録された光子404(1)(C1_Total)は、画素402(1)によって表すことができ、画素402(1)は、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の画素406(1)と、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の画素408(1)との両方の画素に対応することができるので、分割コンポーネント116は、光子単位の二項選択を適用して、記録された光子404(1)(C1_Total)を画素406(1)又は画素408(1)のいずれかの画素に割り当てる又は割り振ることができる。言い換えれば、分割コンポーネント116は、dの確率で、記録された光子404(1)(C1_Total)を画素406(1)に加えることができる、又は、分割コンポーネント116は、その代わりに、1-dの確率で、記録された光子404(1)(C1_Total)を画素408(1)に加えることができる。更に他の言葉では、記録された光子404(1)(C1_Total)は、100dパーセントの確率で画素406(1)内に配置され(例えば、これによって、画素406(1)の値が1だけインクリメントされる)、あるいは、100(1-d)パーセントの確率で画素408(1)内に配置される(例えば、これによって、画素408(1)の値が1だけインクリメントされる)。
【0071】
ここで、図6を検討する。図6は、分割コンポーネント116が、非限定的で例示的なやり方で、光子単位の二項選択を、画素402(p)の記録された各光子に(例えば、記録された光子のセット404(p)の各光子に)どのように反復的に適用することができるかを示す。
【0072】
様々な態様において、分割コンポーネント116は、画素402(p)の記録された光子404(p)(1)を検討することができる。記録された光子404(p)(1)は、画素402(p)によって表すことができ、画素402(p)は、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の画素406(p)と、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の画素408(p)との両方の画素に対応することができるので、分割コンポーネント116は、光子単位の二項選択を適用して、記録された光子404(p)(1)を画素406(p)又は画素408(p)のいずれかの画素に割り当てる又は割り振ることができる。言い換えれば、分割コンポーネント116は、dの確率で、記録された光子404(p)(1)を画素406(p)に加えることができる、又は、分割コンポーネント116は、1-dの確率で、記録された光子404(p)(1)を画素408(p)に加えることができる。更に他の言葉では、記録された光子404(p)(1)は、100dパーセントの確率で画素406(p)内に配置され(例えば、これによって、画素406(p)の値が1だけインクリメントされる)、あるいは、100(1-d)パーセントの確率で画素408(p)内に配置される(例えば、これによって、画素408(p)の値が1だけインクリメントされる。
【0073】
同様に、分割コンポーネント116は、画素402(1)の記録された光子404(p)(Cp_Total)を検討することができる。記録された光子404(p)(Cp_Total)は、画素402(p)によって表すことができ、画素402(p)は、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の画素406(p)と、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の画素408(p)との両方の画素に対応することができるので、分割コンポーネント116は、光子単位の二項選択を適用して、記録された光子404(p)(Cp_Total)を画素406(p)又は画素408(p)のいずれかの画素に割り当てる又は割り振ることができる。言い換えれば、分割コンポーネント116は、dの確率で、記録された光子404(p)(Cp_Total)を画素406(p)に加えることができる、又は、分割コンポーネント116は、その代わりに、1-dの確率で、記録された光子404(p)(Cp_Total)を画素408(1)に加えることができる。更に他の言葉では、記録された光子404(p)(Cp_Total)は、100dパーセントの確率で画素406(p)内に配置され(例えば、これによって、画素406(p)の値が1だけインクリメントされる)、あるいは、100(1-d)パーセントの確率で画素408(p)内に配置される(例えば、これによって、画素408(p)の値が1だけインクリメントされる)。
【0074】
このようにして、分割コンポーネント116は、光子単位の二項選択を利用して、サイノグラム108(1)に記録された光子を、光子数が削減されたサイノグラム202(1)と光子数が削減されたサイノグラム204(1)との間で確率的に分割することができる。これについては、図7において更に説明する。
【0075】
図示されるように、図7は、分割コンポーネント116により光子単位の二項選択を適用した後の、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の非限定的で例示的な実施形態を示す。
【0076】
様々な態様において、図示されるように、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の画素のセット406は、空ではない。例えば、画素406(1)は、C1_Partialの画素値を有することができ、C1_Partialは任意の適切な正の整数であり、ここで、C1_Partial<C1_Totalである。したがって、「光子数が削減された」という用語が使用されている。言い換えれば、画素406(1)は、記録された光子のセット702(1)を含む又は表すと考えることができ、ここで、記録された光子のセット702(1)のカーディナリティは、C1_Partialに等しくなる。即ち、記録された光子のセット702(1)は、記録された光子702(1)(1)から記録された光子702(1)(C1_Partial)を有することができる。
【0077】
別の例として、画素406(p)は、Cp_Partialの画素値を有することができ、Cp_Partialは、任意の適切な正の整数であり、ここで、Cp_Partial<Cp_Totalである。したがって、「光子数が削減された」という用語が再度使用される。すなわち、画素406(p)は、記録された光子のセット702(p)を含む又は表すと考えることができ、ここで、記録された光子のセット702(p)のカーディナリティは、Cp_Partialに等しくなる。言い換えると、記録された光子のセット702(p)は、記録された光子702(p)(1)から記録された光子702(p)(Cp_Partial)を有することができる。
【0078】
また、図示されるように、図7は、分割コンポーネント116による光子単位の二項選択を適用した後の、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の非限定的で例示的な実施形態を示す。
【0079】
様々な態様において、図示されるように、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の画素のセット408は、空ではない。例えば、画素408(1)は、C1_Remainderの画素値を有することができ、C1_Remainderは任意の適切な正の整数であり、ここで、C1_Remainder+C1_Partial=C1_Totalである。言い換えれば、画素408(1)は、記録された光子のセット704(1)を含む又は表すと考えることができ、ここで、記録された光子のセット704(1)のカーディナリティは、C1_Remainderに等しくなる。即ち、記録された光子のセット704(1)は、記録された光子704(1)(1)から記録された光子704(1)(C1_Remainder)を有することができる。
【0080】
別の例として、画素408(p)は、Cp_Remainderの画素値を有することができ、Cp_Remainderは任意の適切な正の整数であり、ここで、Cp_Remainder+Cp_Partial=Cp_Totalであり、したがって、「光子数が削減された」という用語が再度使用される。つまり、画素408(p)は、記録された光子のセット704(p)を含む又は表すと考えることができ、ここで、記録された光子のセット704(p)のカーディナリティは、Cp_Remainderに等しくなる。言い換えると、記録された光子のセット704(p)は、記録された光子704(p)(1)から記録された光子704(p)(Cp_Remainder)を有することができる。
【0081】
なお、C1_Remainder+C1_Partial=C1_Totalなのは、光子単位の二項選択を適用すると、記録された光子のセット404(1)のうち、画素406(1)に割り振られない又は割り当てられない光子は、画素408(1)に割り振られる又は割り当てられるからである。
【0082】
同様に、Cp_Remainder+Cp_Partial=Cp_Totalなのは、光子単位の二項選択を適用すると、記録された光子のセット404(p)のうち、画素406(p)に割り振られない又は割り当てられない光子は、画素408(p)に割り振られる又は割り当てられるからである。
【0083】
したがって、光子数が削減されたサイノグラム202(1)及び光子数が削減されたサイノグラム204(1)は、互いに相補的であり、光子数が削減されたサイノグラム202(1)及び光子数が削減されたサイノグラム204(1)の画素単位の和は、サイノグラム108(1)に等しくなる。少なくともこの理由から、分割コンポーネント116により光子単位の二項選択をサイノグラム108(1)に適用すると、サイノグラム108(1)を、光子数が削減されたサイノグラム202(1)が光子数が削減されたサイノグラム204(1)とに分割されると考えることができる。
【0084】
更に、光子単位の二項選択を適用すると、以下のようになる。
【数1】
更に、光子単位の二項選択を適用すると、以下のようになる。
【数2】
従って、サイノグラム108(1)が、フル放射線量レベルのPCD-CTスキャナ106によって取得される場合、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の線量レベルは、約dであると考えることができ、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の線量レベルは、約(1-d)と考えることができる。一方、サイノグラム108(1)が、放射線量レベルL(Lは任意の適切な実数であり、0<L<1)のPCD-CTスキャナ106によって取得される場合、光子数が削減されたサイノグラム202(1)の線量レベルは、約d*Lであると考えることができ、光子数が削減されたサイノグラム204(1)の線量レベルは、約(1-d)*Lと考えることができる。
【0085】
いずれにせよ、分割コンポーネント116は、サイノグラムのセット108の各々に対して光子単位の二項選択を実行することができ、それにより、サイノグラムのセット108に記録された光子を、光子数が削減されたサイノグラムのセット202と光子数が削減されたサイノグラム204のセットとの間で分割することができる(例えば、分割コンポーネント116は、光子数が削減されたサイノグラム202(n)及び光子数が削減されたサイノグラム204(n)を生成するように、サイノグラム108(n)に対して光子単位の二項選択を実行することができる)。
【0086】
本明細書の開示では、光子を(例えば、一連のベルヌーイ試行によって)1つずつ割り当てる又は割り振るものとして分割コンポーネント116の様々な実施形態が主に記載されているが、これは単なる非限定的な例にすぎない。様々な場合において、分割コンポーネント116は、一回で、複数の光子に対して光子単位の二項選択を実行することができる(例えば、一回で、画素402(1)の単一の光子を確率dで画素406(1)に確率的に割り当てる、又は確率1-dで画素408(1)に確率的に割り当てるのではなく、分割コンポーネント116は、一回で、画素402(1)の複数の光子を確率dで画素406(1)に確率的に割り当てる、又は確率1-dで画素408(1)に確率的に割り当てることができる)。場合によっては、一回における複数の光子を、各画素の記録された光子の総数とすることができる。他の様々な場合において、分割コンポーネント116は、二項分布をサンプリングすることによって、光子単位の二項選択をバッチで実行することができる(例えば、画素402(1)に関連する二項分布は、画素402(1)の光子数(C1_Total)と閾値確率dによって画定することができ、分割コンポーネント116は、この二項分布をサンプリングすることによって、画素402(1)の記録された光子のうちの何個の光子を画素406(1)に割り当てるべきかを確率的に決定することができ、分割コンポーネント116は、画素402(1)のうち、このサンプリングの後に残る記録された光子を、画素408(1)に割り当てることができる)。
【0087】
図8は、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態に従って、ロー(生の)サイノグラムの光子数分割を支援することができる例示的で非限定的なコンピュータにより実施される方法800のフロー図を示す。様々な場合において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、コンピュータにより実施される方法800を支援することができる。
【0088】
様々な実施形態において、動作802は、プロセッサ(例えば、プロセッサ110)に動作可能に結合されたデバイスによって(例えば、アクセスコンポーネント114によって)、光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナ(例えば、PCD-CTスキャナ106)によって取得されたローサイノグラム(例えば、サイノグラム108(1))にアクセスすることを含む。
【0089】
様々な態様において、動作804は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、第1のサイノグラム(例えば、サイノグラム202(1))及び第2のサイノグラム(例えば、サイノグラム204(1))を生成することを含み、各サイノグラムは、ローサイノグラムと同じ画素次元(例えば、同じ数の画素又は同じ配列の画素)を有しており、各サイノグラムは最初は空である(例えば、各サイノグラムの画素値はゼロである)。
【0090】
様々な実施態様において、動作806は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、ローサイノグラム内の全ての画素が光子数分割されたかどうかを判断することを含む。分割された場合(例えば、ローサイノグラム内の全ての画素が既に光子数分割されている場合)、コンピュータにより実施される方法800は、動作808で終了することができる。分割されていない場合(例えば、ローサイノグラム中の少なくとも1つの画素が、光子カウント値に基づいてまだ分割されていない場合)、コンピュータにより実施される方法800は、動作810に進むことができる。
【0091】
様々な場合において、動作810は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、ローサイノグラムから、まだ光子数分割されていない画素(例えば、画素402(p))を選択することを含む。
【0092】
様々な態様において、動作812は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、選択された画素の記録された全ての光子(例えば、404(p))が再割り当てされたかどうかを、決定することを含む。再割り当てされている場合(例えば、選択された画素の記録された全ての光子が再割り当てられた場合)、コンピュータにより実施される方法800は、動作806に戻る。まだ再割り当てされていない場合(例えば、選択された画素の記録された少なくとも1つの光子がまだ再割り当てされていない場合)、コンピュータにより実施される方法800は、動作814に進むことができる。
【0093】
様々な実施態様において、動作814は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、選択された画素から、まだ再割り当てされていない記録された光子(例えば、404(p)(Cp_Total))を選択することを含む。
【0094】
様々な場合において、動作816は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)0と1との間の乱数を生成することを含む。
【0095】
様々な態様において、動作818は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、乱数が閾値確率値(例えば、d)よりも大きいかどうかを判断することを含む。乱数が閾値確率値よりも大きくない場合(例えば、乱数が閾値確率値以下であり、閾値確率値に等しい発生の可能性がある場合)、コンピュータにより実施される方法800は、動作820に進むことができる。乱数が閾値確率値よりも大きい場合(例えば、乱数が、閾値確率値より大きく、閾値確率値の補数に等しい発生の可能性がある場合)、コンピュータにより実施される方法800は、動作822に進むことができる。
【0096】
様々な実施態様において、動作820は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、選択された光子を第1のサイノグラムの対応する画素(例えば、406(p))に割り当てることを含む。コンピュータにより実施される方法800は、動作812に戻る。
【0097】
様々な場合において、動作822は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、選択された光子を、第2のサイノグラムの対応する画素(例えば、408(p))に割り当てることを含む。コンピュータにより実施される方法800は、動作812に戻る。
【0098】
様々な態様において、動作814、816、818、820、及び822は、全体として、光子単位の二項選択の実行と考えられることに留意されたい。
【0099】
図9は、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態に従って、光子数分割によって画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援することができる少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び少なくとも1つのトレーニング用出力画像を含む例示的で非限定的なシステム900のブロック図を示す。図示されるように、システム900は、場合によっては、システム200と同じ構成要素を含むことができ、トレーニング用入力画像902及びトレーニング用出力画像904を更に含むことができる。
【0100】
様々な実施形態において、再構成コンポーネント118は、光子数が削減されたサイノグラムのセット202に基づいて、トレーニング用入力画像902を電子的に生成することができる。同様に、再構成コンポーネント118は、光子数が削減されたサイノグラムのセット204に基づいて、トレーニング用出力画像904を電子的に生成することができる。様々な非限定的な態様が図10に示されている。
【0101】
図10は、本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態による光子数が削減されたサイノグラムのセット202及び光子数が削減されたサイノグラムのセット204に基づいて、どのようにしてトレーニング用入力画像902及びトレーニング用出力画像904を生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図1000を示す。
【0102】
様々な態様において、図示されるように、再構成コンポーネント118は、光子数が削減されたサイノグラムのセット202に対して任意の適切な画像再構成技術を電子的に実行することができ、それによってトレーニング用入力画像902を生成することができる。一部の非限定的な例として、画像再構成技術には、物質弁別又はフィルタ逆投影を含むことができる。いずれにしても、トレーニング用入力画像902は、任意の適切なフォーマット、サイズ、又は次元を有する適切なCT画像とすることができる。例えば、場合によっては、トレーニング用入力画像902は、光子数が削減されたサイノグラムのセット202から生成されたハウンスフィールドユニット値の2次元画素アレイとすることができる。別の例として、他の場合では、トレーニング用入力画像902は、光子数が削減されたサイノグラムのセット202から生成されたハウンスフィールドユニット値の三次元ボクセルアレイとすることができる。
【0103】
再構成コンポーネント118が物質弁別を適用する状況では、トレーニング用入力画像902は基準物質入力画像のセット1002を含むことができる。様々な態様において、基準物質入力画像のセット1002は、x枚の基準物質画像(xは、任意の適切な正の整数)、即ち、基準物質入力画像1002(1)から基準物質入力画像1002(x)、を含むことができる。様々な実施態様において、基準物質入力画像1002(1)は、任意の適切なフォーマット又は次元を有する任意の適切なCT画像(例えば、ハウンスフィールドユニット値の二次元画素アレイ、ハウンスフィールドユニット値の三次元ボクセルアレイ)であって、任意の適切な基準物質(例えば、カルシウム)を示すCT画像とすることができる。同様に、様々な実施態様において、基準物質入力画像1002(x)は、基準物質入力画像1002(1)と同じフォーマット又は次元を有するが、基準物質入力画像1002(1)とは異なる又は固有の基準物質(例えば、水)を示す任意の適切なCT画像でとすることができる。
【0104】
様々な態様において、上記と同様に、再構成コンポーネント118は、光子数が削減されたサイノグラムのセット204に対して任意の適切な画像再構成技術を電子的に実行することができ、それによって、トレーニング用出力画像904を生成することができる。この場合も、一部の非限定的な例として、画像再構成技術には、物質弁別又はフィルタ逆投影を含むことができる。いずれにしても、トレーニング用出力画像904は、トレーニング用入力画像902と同じフォーマット、サイズ、又は次元を有する任意の適切なCT画像とすることができる。例えば、トレーニング用入力画像902が光子数が削減されたサイノグラムのセット202から生成されたハウンスフィールドユニット値の2次元画素アレイである場合、トレーニング用出力画像904は、光子数が削減されたサイノグラムのセット204から生成されたハウンスフィールドユニット値の2次元画素アレイとすることができる。別の例として、トレーニング用入力画像902が、光子数が削減されたサイノグラムのセット202から生成されたハウンスフィールドユニット値の3次元ボクセルアレイである場合、トレーニング用出力画像904は、光子数が削減されたサイノグラムのセット204から生成されたハウンスフィールドユニット値の3次元ボクセルアレイとすることができる。
【0105】
上記と同様に、再構成コンポーネント118が物質弁別を適用する状況では、トレーニング用出力画像904は基準物質出力画像のセット1004を含むことができる。様々な態様において、基準物質出力画像のセット1004は、基準物質入力画像のセット1002と同じカーディナリティを有することができる。従って、基準物質入力画像のセット1002はx枚の基準物質画像を含むので、基準物質出力画像のセット1004も同様にx枚の基準物質画像、即ち、基準物質出力画像1004(1)から基準物質出力画像1004(x)、を含むことができる。様々な実施態様において、基準物質出力画像のセット1004は、それぞれ、基準物質入力画像のセット1002に(例えば、一対一で)対応することができる。例えば、基準物質出力画像1004(1)は、基準物質入力画像1002(1)に対応することができ、これは、基準物質出力画像1004(1)及び基準物質入力画像1002(1)が互いに同じフォーマット又は次元を有することができ、互いに同じ基準物質を示すことができることを意味する。同様に、基準物質出力画像1004(x)は基準物質入力画像1002(x)に対応することができ、これは、基準物質出力画像1004(x)及び基準物質入力画像1002(x)が、互いに同じフォーマット又は次元を有することができ、互いに同じ基準物質を示すことができることを意味する。
【0106】
図10は、トレーニング用入力画像902及びトレーニング用出力画像904が基準物質画像であるとして(例えば、物質弁別画像であるとして)示されているが、これは、単なる非限定的な例である。様々な態様において、トレーニング用入力画像902及びトレーニング用出力画像904は、任意の適切な種類の画像とすることができる(例えば、仮想単一エネルギー画像とすることができる)。
【0107】
サイノグラムのセット108は、PCD-CTスキャナ106によって走査された患者の解剖学的構造の投影を表すと考えることができるので、光子数が削減されたサイノグラムのセット202及び光子数が削減されたサイノグラムのセット204の両方のセットも、患者の解剖学的構造の投影を表すと考えることができることに留意されたい。したがって、トレーニング用入力画像902及びトレーニング用出力画像904の両方の画像は、患者の解剖学的構造を視覚的に表している又は視覚的に描写していると考えることができる。しかしながら、上述したように、確率dは、光子数が削減されたサイノグラムのセット202の放射線量レベルの尺度と考えることができ、確率(1-d)は、光子数が削減されたサイノグラムのセット204の放射線量レベルの尺度と考えることができる。従って、トレーニング用入力画像902は、光子数が削減されたサイノグラムのセット202から生成することができ、トレーニング用出力画像904は、光子数が削減されたサイノグラムのセット204から生成することができるので、確率dは、トレーニング用入力画像902の放射線量レベルの尺度として考えることができ、確率(1-d)は、トレーニング用出力画像904の放射線量レベルの尺度と考えることができる。従って、トレーニング用入力画像902とトレーニング用出力画像904は、互いに同じ患者の同じ解剖学的構造を、異なる線量レベルで表していると考えることができる(例えば、基準物質入力画像1002(1)と基準物質出力画像1004(1)は、互いに同じ基準物質を通じて、同じ患者の同じ解剖学的構造を異なる線量レベルで表していると考えることができ、基準物質入力画像1002(x)と基準物質出力画像1004(x)は、互いに同じ基準物質を通じて、同じ患者の同じ解剖学的構造を異なる線量レベルで表していると考えることができる)。
【0108】
確率dが50%未満の場合(例えば、0<d<0.5の場合)、確率(1-d)は50%より大きくなる(例えば、1>(1-d)>0.5)。この場合、トレーニング用入力画像902の放射線量レベルは、トレーニング用出力画像904の放射線量レベルよりも小さくなる。この場合、トレーニング用入力画像902は、トレーニング用出力画像904よりも多くの視覚的ノイズを示す又は有すると考えることができる(例えば、基準物質入力画像1002(1)は、基準物質出力画像1004(1)よりも多くの視覚的ノイズを有し、基準物質入力画像1002(x)は、基準物質出力画像1004(x)よりも多くの視覚的ノイズを有する)。
【0109】
確率dが50%に等しい場合(例えば、0<d=0.5の場合)、確率(1-d)も50%に等しくなる(例えば、1>(1-d)=0.5)。この場合、トレーニング用入力画像902の放射線量レベルは、トレーニング用出力画像904の放射線量レベルと等しくなる。この場合、トレーニング用入力画像902は、トレーニング用出力画像904と同程度の視覚的ノイズを示す又は有すると考えることができる(例えば、基準物質入力画像1002(1)は、基準物質出力画像1004(1)と同程度の視覚的ノイズを有し、基準物質入力画像1002(x)は、基準物質出力画像1004(x)と同程度の視覚的ノイズを有する)。
【0110】
確率dが50%より大きい場合(例えば、0.5<d<1の場合)、確率(1-d)は50%未満になる(例えば、0.5>(1-d)>0)。この場合、トレーニング用入力画像902の放射線量レベルは、トレーニング用出力画像904の放射線量レベルよりも大きくなる。この場合、トレーニング用入力画像902は、トレーニング用出力画像904よりも少ない視覚的ノイズを示す又は有すると考えることができる(例えば、基準物質入力画像1002(1)は、基準物質出力画像1004(1)よりも少ない視覚的ノイズを有し、基準物質入力画像1002(x)は、基準物質出力画像1004(x)よりも少ない視覚的ノイズを有する)。
【0111】
いずれの場合にも(例えば、確率dが特定の値であっても)、トレーニング用入力画像902に存在するノイズは、トレーニング用出力画像904に存在するノイズとは相関がない(例えば、独立している)。このようなノイズの独立性は、光子単位の二項選択により光子数分割を適用することによって生じる。
【0112】
様々な実施形態において、ノイズ除去トレーニングシステム102のトレーニングコンポーネント120は、トレーニング用入力画像902及びトレーニング用出力画像904に基づいて、深層学習ニューラルネットワーク104に対して教師ありトレーニングを実行することができる。より具体的には、トレーニング用出力画像904は、トレーニング用入力画像902に対応するグランドトゥルースアノテーション又はターゲットとみなすことができる。様々な非限定的な態様を図11で説明する。
【0113】
図11は、深層学習ニューラルネットワーク104が、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態に従ってどのようにトレーニングすることができるかを示す例示的で非限定的なブロック図1100を示す。
【0114】
様々な態様において、トレーニングを開始する前に、トレーニングコンポーネント120は、任意の適切な方法(例えば、ランダム初期化)で、深層学習ニューラルネットワーク104の任意のトレーニング可能な内部パラメータ(例えば、畳み込みカーネル、重み行列、バイアス値)を初期化することができる。
【0115】
様々な実施態様において、トレーニングコンポーネント120は、トレーニング用入力画像902に対して深層学習ニューラルネットワーク104を実行することができる。様々な実施態様において、この実行によって、深層学習ニューラルネットワーク104は出力1102を生成することができる。より具体的には、場合によっては、深層学習ニューラルネットワーク104の入力層は、トレーニング用入力画像902(例えば、基準物質入力画像のセット1002)を受信することができ、トレーニング用入力画像902(例えば、基準物質入力画像のセット1002)は、深層学習ニューラルネットワーク104の1つ又は複数の隠れ層を通るフォワードパスを完了することができ、深層学習ニューラルネットワーク104の出力層は、1つ又は複数の隠れ層によって提供される活性化に基づいて出力1102を計算することができる。場合によっては、図示されるように、出力1102は、基準物質入力画像のセット1002にそれぞれ対応する基準物質出力のセット1104を含むことができる。すなわち、基準物質入力画像のセット1002はxのカーディナリティを有するので、基準物質出力のセット1104も同様にxのカーディナリティ、即ち、基準物質出力1104(1)から基準物質出力1104(x)、を有することができる。
【0116】
様々な態様において、出力1102は、深層学習ニューラルネットワーク104がトレーニング用入力画像902に対応するはずであると考える予測又は推論された結果(例えば、ノイズが除去された予測/推論の結果)と見なすことができる。対照的に、トレーニング用出力画像904は、トレーニング用入力画像902に対応すると考えられる、正しく正確な結果、又はグラウンドトゥルース(例えば、ノイズが除去された正しい/正確な結果)として見なす又は扱うことができる。言い換えれば、基準物質出力1104(1)は、深層学習ニューラルネットワーク104が基準物質入力画像1002(1)に対応するはずであると考える予測又は推論された結果と見なすことができ、一方、基準物質出力画像1004(1)は、基準物質入力画像1002(1)に対応する、正しく正確な結果、又はグラウンドトゥルースと見なす又は扱うことができる。同様に、基準物質出力1104(x)は、深層学習ニューラルネットワーク104が基準物質入力画像1002(x)に対応すべきであると考える予測又は推論された結果とみなすことができ、一方、基準物質出力画像1004(x)は、基準物質入力画像1002(x)に対応する、正しく正確な結果、又はグラウンドトゥルースと見なす又は扱うことができる。深層学習ニューラルネットワーク104がこれまでにトレーニングを全く受けていない又はほとんど受けていない場合、出力1102はかなり不正確の恐れがあることに留意されたい(例えば、出力1102はトレーニング用出力画像904とかなり異なる恐れがある、基準物質出力1104(1)は基準物質出力画像1004(1)とかなり異なる恐れがある、基準物質出力1104(x)は基準出力画像1004(x)とかなり異なる恐れがある)。
【0117】
様々な態様において、図示されるように、トレーニングコンポーネント120は、出力1102とトレーニング用出力画像904との間(例えば、基準物質出力1104(1)と基準物質出力画像1004(1)との間、基準物質出力1104(x)と基準物質出力画像1004(x)との間)の誤差又は損失(例えば、MAE、MSE、交差エントロピー)を計算することができる。様々な実施態様において、トレーニングコンポーネント120は、計算された誤差又は損失に基づいて、深層学習ニューラルネットワーク104のトレーニング可能な内部パラメータを、誤差逆伝播法(backpropagation)によって、漸進的に更新することができる。
【0118】
トレーニングコンポーネント120によって実施可能な上述のトレーニング手順は、トレーニングバッチサイズが「1」である単なる非限定的な例を示していることに留意されたい。この例は、説明及び図示を容易にするために使用されている。様々な態様において、アクセスコンポーネント114は、光子計数型検出器技術により生成されたサイノグラムの複数のセットにアクセスすることができ、分割コンポーネント116及び再構成コンポーネント118は、この複数のサイノグラムのセットに基づいて、複数のトレーニング用入力画像と、それに対応する複数のトレーニング用出力画像とを生成することができ、この複数のトレーニング用入力画像と、対応する複数のトレーニング用出力画像は、全体のトレーニングデータセットと考えることができ、トレーニングコンポーネント120は、そのようなトレーニングデータセットで深層学習ニューラルネットワーク104を訓練することができる。言い換えれば、トレーニングコンポーネント120は、任意の適切なトレーニングバッチサイズを実装して、深層学習ニューラルネットワーク104をトレーニングすることができる。更に、トレーニングコンポーネント120は、任意の適切な誤差関数/損失関数又は任意の適切なトレーニング終了基準を実装することができる。
【0119】
トレーニング用入力画像902及びトレーニング用出力画像904は独立したノイズを有することができるので、深層学習ニューラルネットワーク104は、dに関係なく(例えば、0<d≦0.5又は0.5<d<1)、入力されたCT画像をノイズ除去する方法を学習すると考えることができることに留意されたい。すなわち、トレーニング用入力画像902がトレーニング用出力画像904よりも少ないノイズを有する場合(例えば、0.5<d<1の場合)であっても、トレーニング用入力画像902に存在するノイズが、トレーニング用出力画像904に存在するノイズと独立する(例えば、相関しない)という事実により、深層学習ニューラルネットワーク104は、ノイズ除去方法を学習すると考えることができる。
【0120】
様々な実施形態において、深層学習ニューラルネットワーク104がトレーニングコンポーネント120によってトレーニングされた後、デプロイメントコンポーネント122は深層学習ニューラルネットワーク104を電子的にデプロイすることができる。換言すれば、ノイズを除去することが望まれる所与のCT画像に出くわすたびに、デプロイメントコンポーネント122は、そのような所与のCT画像に対して深層学習ニューラルネットワーク104を電子的に実行することができ、それにより、深層学習ニューラルネットワーク104は、結果としてCT画像(例えば、所与のCT画像からノイズが除去された推論又は予測された画像)を生成することができる。様々な場合において、デプロイメントコンポーネント122は、結果として得られたCT画像を、任意の適切なコンピューティング装置に電子的に送信することができる。様々な態様において、デプロイメントコンポーネント122は、結果として得られたCT画像を、任意の適切なコンピュータスクリーン、コンピュータディスプレイ、コンピュータモニタ、又はグラフィカルユーザインタフェースに、電子的に表示することができる。
【0121】
以下に、様々な非限定的態様を更に説明する。
【0122】
診断エネルギー範囲では、物質減衰係数は以下のように複数の基準物質の線形結合に弁別することができる。
【数3】
ここでaは弁別係数、fはi番目の基準物質の物質減衰曲線、Mは基準物質の数を表す。Kエッジ物質が存在していない場合、M=2で十分である。それ以外の場合は、Kエッジ物質を、基準物質として追加することができる。
【0123】
物質弁別法を使用して、スペクトル測定から弁別係数の線積分を推定することができる。PCDの場合、測定値は以下のように定式化できる。
【数4】
また、λはi番目のエネルギービンの光子カウント値であり、S(E)はX線源スペクトルであり、h(E’:E)は検出器応答であり、これは、非理想的応答をモデル化している。様々な場合において、一次応答に焦点を当てることができ、これによって、完全なクロストーク補正と同等の効果を得ることができ、光子計数測定値PFd,iがポアソン分布に従う。ここで、iはエネルギービンの添え字であり、Fdはフル線量(full-dose)を表す。つまり、PFd,i~Poisson(λ)である。
【0124】
様々な態様において、光子単位の二項選択を用いて、フル線量の光子カウント値を、ポアソン分布に従う2つの独立した低線量カウント値に分割することができる。つまり、以下ののように分割することができる。
【数5】
ここで、dは定義された線量レベル(例えば、光子単位の二項選択における閾値確率)であり、0<d<1である。これにより、線量レベルd及び残りの線量レベル(1-d)において、それぞれ、2つの独立した分割部分PLd,i (d)及びPLd,i (1-d)が生成される。PLd,i (d)及びPLd,i (1-d)は、それぞれの線量においてポアソン分布であり、独立したノイズを持つ。これに対して、PLd,i (d)及びPFd,iは相関ノイズを持つ(例えば独立ではない)。
【0125】
図12図13は、本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態の様々な利点を実証する例示的で非限定的な実験結果を示す。
【0126】
本発明者らは様々な実験を行った。この実験では、画像のノイズ除去を実行するために、トレーニング用低線量入力(例えば、一部の入力は10%の線量で取得され、他の入力は30%の線量で取得され、更に他の入力は50%の線量で取得された)と完全にノイズのないトレーニング用出力を使用して、第1の深層学習ニューラルネットワークをトレーニングした。このようなトレーニング戦略を、Ld2Clean(例えば、「low-dose to clean」)と呼んだ。これは、理論的に最適な性能を達成できる既存のトレーニング手法と考えることができる。
【0127】
この実験では、ハーフ線量のトレーニング用入力(例えば、50%の線量で取得された入力)と完全にノイズのないトレーニング用出力とを使用して、画像のノイズ除去を実行するように、第2の深層学習ニューラルネットワークがトレーニングした。このようなトレーニング戦略を、Half2Clean(例えば、「half-dose to clean」)と呼んだ。これは、(ハーフ線量画像でトレーニングする場合)理論的に最適な性能を達成することができる既存のトレーニング手法と考えることができる。
【0128】
この実験では、フル線量トレーニング用出力(例えば、100%線量で取得された出力)からシミュレートされた(例えば、50%線量でシミュレートされた)ハーフ線量トレーニング用入力を使用して、画像のノイズ除去を実行するように、第3の深層学習ニューラルネットワークをトレーニングした。このようなトレーニング戦略を、Half2Fd(例えば、「half-dose to full-dose」)と呼んだ。これは既存のトレーニング手法と考えることができる(トレーニング用入力とトレーニング用出力との間に相関ノイズがあることに注意)。
【0129】
この実験では、本明細書に記載されるように光子単位の二項選択によって生成された低線量トレーニング用入力と残りの線量のトレーニング用出力を使用して、画像のノイズ除去が実行されるように、第4の深層学習ニューラルネットワークをトレーニングした(例えば、一部の入力は10%の線量レベルdを有し、これは、その対応する出力が90%の残りの線量レベル(1-d)を有することを意味する。他の入力30%の線量レベルdを有し、これは、その対応する出力が70%の線量レベル(1-d)を有することを意味する。更に他の入力は50%の線量レベルdを有し、これは、その対応する出力が50%の残りの線量レベル(1-d)を有することを意味する)。このようなトレーニング戦略を、Ld2Rd(例えば、「low-dose to remaining-dose」)と呼んだ。これは、本明細書に記載の非限定的な実施形態と考えることができる。
【0130】
この実験では、本明細書に記載されているように、光子単位の二項選択によって生成されたハーフ線量トレーニング用入力及びハーフ線量トレーニング用出力を使用して、画像のノイズ除去が実行されるように、第5の深層学習ニューラルネットワークをトレーニングした(例えば、入力は50%の線量レベルdを有し、これは、その対応する出力が50%の残りの線量レベル(1-d)を有することを意味する)。このようなトレーニング戦略を、Half2Half(例えば、「half-dose to half-dose」)と呼んだ。これは、本明細書に記載される別の非限定的な実施形態と考えることができる。
【0131】
トレーニング後、このような5つの深層学習ニューラルネットワークをテスト/検証した。テスト/検証の結果を図12図13に示す。
【0132】
特に、図12は、第2、第3、及び第5の深層学習ニューラルネットワークの性能結果を示す棒グラフ1200である。すなわち、棒グラフ1200は、Half2Clean、Half2Fd、及びHalf2Halfが互いにどのように機能するかを示している。棒グラフ1200のx軸は、検証のために第2、第3、及び第5の深層学習ニューラルネットワークに供給されたテスト入力の線量レベルを示すことに留意されたい。また、棒グラフ1200のy軸は、測定されたハウンスフィールドユニットの二乗平均平方根誤差であって、第2、第3、及び第5の深層学習ニューラルネットワークのテスト/検証結果に基づいて第2、第3、及び第5の深層学習ニューラルネットワークについて計算された二乗平均平方根誤差を表すことに留意されたい。図示されるように、Half2Fd(既存技術)は、すべての線量レベルでHalf2Clean(理論的最適値)を大幅に下回った。対照的に、Half2Half(本明細書に記載された実施形態)は、すべての投与量レベルでHalf2Cleanと同等(例えば、統計的に有意な差はなく、ほぼ同等)の性能を示す。これらの実験結果は、光子単位の二項選択による光子数分割を使用して、画像のノイズ除去が実行されるように深層学習ニューラルネットワークをトレーニングする様々な利点を実証するのに役立つ。
【0133】
同様に、図13は、第1、第2、第4、及び第5の深層学習ニューラルネットワークの性能結果を示す棒グラフ1300である。すなわち、棒グラフ1300は、Ld2Clean、Half2Clean、Ld2Rd、及びHalf2Halfが互いにどのように機能するかを示す。棒グラフ1300のx軸は、検証のために第1、第2、第4、及び第5の深層学習ニューラルネットワークに供給されたテスト入力の線量レベルを示すことに留意されたい。また、棒グラフ1300のy軸は、測定されたハウンスフィールドユニットの二乗平均平方根誤差であって、第1、第2、第4、及び第5の深層学習ニューラルネットワークのテスト/検証結果に基づいて、第1、第2、第4、及び第5の深層学習ニューラルネットワークについて計算された二乗平均平方根誤差を表すことに留意されたい。図示されるように、Half2Half(本明細書に記載された実施形態)は、全ての線量レベルでHalf2Clean(ハーフ線量でトレーニングされた場合の理論的最適値)と同等(例えば、統計的に有意な差はなく、ほぼ同等)の性能を示す。同様に、図示されるように、Ld2Rd(本明細書に記載された別の実施形態)は、全ての投与量レベルで、Ld2Clean(低線量でトレーニングした場合の理論的最適値)と同等(例えば、統計的に有意な差はなく、ほぼ同等)の性能を示す。この場合も、これらの実験結果は、光子単位の二項選択による光子数分割を使用して、画像のノイズ除去が実行されるように深層学習ニューラルネットワークをトレーニングする様々な利点を実証するのに役立つ(例えば、完全にノイズのないグラウンドトゥルースを得ることに関連する問題を発生させることなく、完全にノイズのないグラウンドトゥルースを使用することに関連するノイズ除去性能に一致させることができる)。更に、Ld2RdとLd2Cleanは、低いテスト線量レベル(例えば、10%線量)において、Half2HalfとHalf2Cleanを(統計的に有意な差で)上回り、これは、異なる低線量レベルでトレーニングすることの様々な利点を実証している。
【0134】
図14は、本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態に従って、光子数分割により画像のノイズを除去するトレーニングデータの生成を支援することができる例示的で非限定的なコンピュータにより実施される方法1400のフロー図を示す。様々な場合において、ノイズ除去トレーニングシステム102は、コンピュータにより実施される方法1400を支援することができる。
【0135】
様々な実施形態において、動作1402は、プロセッサ(例えば、プロセッサ110)に動作可能に結合されたデバイスによって(例えば、アクセスコンポーネント114によって)、光子計数型コンピュータ断層撮影スキャナ(例えば、PCD-CTスキャナ106)によって生成されたサイノグラムのセット(例えば、サイノグラムのセット108)にアクセスすることを含む。
【0136】
様々な態様において、動作1404は、デバイスによって(例えば、分割コンポーネント116によって)、サイノグラムのセットを、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセット(例えば、202)及び光子数が削減されたサイノグラムの第2のセット(例えば、204)に分割することを含む。
【0137】
様々な実施態様において、動作1406は、デバイスによって(例えば、再構成コンポーネント118によって)及び画像再構成によって、光子数が削減されたサイノグラムの第1のセットを少なくとも1つのトレーニング用入力画像(例えば、902)に変換すること、及び光子数が削減されたサイノグラムの第2のセットを少なくとも1つのトレーニング用出力画像(例えば、904)に変換することを含む。
【0138】
様々な態様において、動作1408は、デバイスによって(例えば、トレーニングコンポーネント120によって)、少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び少なくとも1つのトレーニング用出力画像に基づいて深層学習ニューラルネットワーク(例えば、104)をトレーニングすることを含む。
【0139】
図14には明示的に示されていないが、光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットは相補的であり、光子数が削減された第1のセットと光子数が削減された第2のセットを合計すると、(例えば、図7で説明したように)画素単位で、サイノグラムのセットになる。
【0140】
図14には明示的に示されていないが、サイノグラムのセットを光子数が削減された第1のセット及び光子数が削減された第2のセットに分割することは、光子単位の二項選択を含み、光子単位の二項選択は、定義された確率値(例えばd)に従って、サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第1のセットに確率的に割り当てることができ、光子単位の二項選択は、定義された確率値の補数(例えば、1-d)に従って、サイノグラムのセットに記録された光子を、光子数が削減された第2のセットに確率的に割り当てることができ、光子単位の二項選択によって、トレーニング用入力画像及びトレーニング用出力画像をノイズに関して独立にすることができる。様々な場合において、定義された確率値を50%よりも小さくして、少なくとも1つのトレーニング用入力画像を少なくとも1つのトレーニング用出力画像よりもノイズが多くなるようにすることができる。他の様々な場合において、定義された確率値を50%にして、少なくとも1つのトレーニング用入力画像を少なくとも1つのトレーニング用出力画像と同じくらいのノイズにすることができる。更に他の様々な場合において、定義された確率値を50%よりも大きくして、少なくとも1つのトレーニング用入力画像を少なくとも1つのトレーニング用出力画像よりもノイズが少なくなるようにすることができる。
【0141】
図14には明示されていないが、少なくとも1つのトレーニング用入力画像及び少なくとも1つのトレーニング用出力画像は、物質弁別画像又は仮想単一エネルギー画像とすることができる。
【0142】
図14には明示されていないが、サイノグラムのセットは光子エネルギービンによって整理することができる。
【0143】
本明細書の開示では、サイノグラムの様々な実施形態は、画素が二次元アレイであるとして主に説明されているが、これは、図示及び説明を容易にするための単なる非限定的な例である。様々な態様において、サイノグラムは、任意の適切な次元を示すことができる(例えば、一部の例では、サイノグラムは、三次元のボクセルアレイとすることができる)。
【0144】
本明細書の開示では、主に、様々な実施形態は、深層学習ニューラルネットワーク(例えば、104)に適用されるものとして説明されているが、これは単なる非限定的な例である。様々な態様において、本明細書に記載された教示は、任意の適切な人工知能アーキテクチャ(例えば、サポートベクターマシン、ナイーブベイズ、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト)を示す任意の適切な機械学習モデルに適用することができる。
【0145】
様々な実施態様において、機械学習アルゴリズム又は機械学習モデルは、本明細書に記載された任意の好適な態様を支援するための任意の好適な方法で実装することができる。様々な実施形態の上述の機械学習の態様の一部を支援するために、以下の人工知能(AI)について検討する。本明細書に記載された様々な実施形態は、人工知能を採用して、1つ以上の特徴又は機能の自動化を支援することができる。コンポーネントは、AIを使用した様々なスキームを採用して、本明細書に開示された様々な実施形態/実施例を実行することができる。本明細書に記載された多数の決定(例えば、決定する、確認する、推論する、計算する、予測する、予知する、推定する、導出する、予想する、検出する、演算する)を実行する又は支援するために、本明細書に記載されたコンポーネントは、アクセス権が付与されたデータの全体又はサブセットを調べることができ、イベント又はデータによって取得される情報のセットから、システム又は環境の状態を推論する又は決定することができる。決定は、例えば、特定の状況又は動作を識別するために採用することができる、又は、複数の状態の確率分布を生成することができる。決定は確率論的、つまり、データとイベントの考察に基づいて、関心のある状態に対する確率分布を計算することである。決定は、イベント又はデータのセットから高レベルのイベントを構築するために採用される手法を表すこともある。
【0146】
このような決定によって、観測されたイベント又は保存されたイベントデータのセットから、複数のイベントが近い時間で相関しているかどうか、イベントとデータが1つ以上のイベントソース及びデータソースから来たものであるかどうかに関わらず、新たなイベント又は動作を構築することができる。本明細書に開示されるコンポーネントは、請求される対象に関する自動的な動作又は決定された動作を実行することについて、様々な分類((例えば、トレーニングデータによって)明示的にトレーニングされた、及び、(例えば、行動、嗜好、履歴情報を観測すること、外部情報を受信することなどによって)暗示的にトレーニングされた)スキーム又はシステム(例えば、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、エキスパートシステム、ベイジアン信念ネットワーク、ファジー論理、データ融合エンジンなど)を採用することができる。したがって、分類スキーム又はシステムを使用して、多数の機能、動作、又は決定を自動的に学習し、実行することができる。
【0147】
分類器は、入力属性ベクトルz=(z1、z2、z3、z4、zn)を、f(z)=confidence(class)のように、入力がクラスに属する信頼度に対応付けることができる。このような分類は、自動的に実行される動作を決定するために、確率的分析又は統計的分析(例えば、分析ユーティリティと分析コストを考慮する)を採用することができる。サポートベクターマシン(SVM)は使用可能な分類器の一例である。SVMは、考えられる入力の空間に超曲面を見つけることによって動作し、超曲面はトリガー基準と非トリガーイベントを分割しようとする面である。直感的には、超曲面によって、トレーニングデータに近いが同一ではないテストデータを正しく分類する。他の有向モデル分類及び無向モデル分類の手法としては、例えば、ナイーブベイズ、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、ファジー論理モデル、又は独立性が異なるパターンを提供する確率的分類モデルがあり、これらのいずれかを使用することができる。本明細書で使用される分類は、優先モデルを開発するために利用される統計的回帰も含む。
【0148】
本明細書の開示は、非限定的な例を説明する。記載又は説明を容易にするために、本明細書の開示の様々な部分で、様々な実施例を説明するときに、「各」、「あらゆる」、又は「全て」という用語が利用されている。このような「各」、「あらゆる」、又は「全て」という用語の使用は非限定的なものである。換言すれば、本明細書の開示が、ある特定の物体又はコンポーネントの「各」、「あらゆる」、又は「全て」に適用される説明を提供する場合、これは非限定的な例であると理解されるべきであり、様々な他の例において、その説明が、当該特定の物体又はコンポーネントの「各」、「あらゆる」、又は「全て」よりも少ない数に適用される場合があることが更に理解されるべきである。
【0149】
本明細書に記載された様々な実施形態に追加の説明をするために、図15及び以下の説明は、本明細書で説明される実施形態の様々な実施形態が実装される好適なコンピューティング環境1500の簡潔で一般的な説明を提供することを意図している。実施形態は、1つ以上のコンピュータで実行可能なコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で記載されてきたが、当業者であれば、実施形態は、他のプログラムモジュールと組み合わせて、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとしても実装できることを認識する。
【0150】
一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などが含まれる。更に、当業者であれば、本発明の方法は、他のコンピュータシステム構成(例えば、シングルプロセッサ又はマルチプロセッサコンピュータシステム、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、モノのインターネット(IoT)デバイス、分散コンピューティングシステム、ならびにパーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス、マイクロプロセッサを使用した又はプログラム可能な家電製品などがあり、これらの各々は、1つ以上の関連デバイスに動作可能に結合することができる)で実施できることを理解する。
【0151】
本明細書の例示された実施形態は、特定のタスクが通信ネットワークを通じてリンクされるリモート処理デバイスによって実行される分散コンピューティング環境においても実行することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカル及びリモートの両方のメモリ記憶装置に配置することができる。
【0152】
コンピューティング装置は、典型的には、様々な媒体を含み、これらの媒体は、コンピュータ読取り可能記憶媒体、機械読取り可能記憶媒体、又は通信媒体を含むことができ、これらの2つの用語は、本明細書では、以下のように互いに異なる状況で使用される。コンピュータ読取り可能な記憶媒体又は機械読取り可能な記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる利用可能な記憶媒体であり、揮発性媒体と不揮発性媒体との両方、取外し可能な媒体と取外し不可能な媒体との両方を含む。例として、コンピュータ可読記憶媒体又は機械可読記憶媒体は、情報(コンピュータ可読命令又は機械可読命令、プログラムモジュール、構造化データ又は非構造化データなど)を記憶するための任意の方法又は技術と関連して実装することができるが、これに限定されることはない。
【0153】
コンピュータ可読記憶媒体としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)又は他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気ストレージデバイス、ソリッドステートドライブ又は他のソリッドステート記憶装置、又は所望の情報を記憶するのに使用できる他の有形又は非一時的な媒体があるが、これらに限定されることはない。この点に関して、本明細書において、ストレージ、メモリ、又はコンピュータ可読媒体に適用される用語「有形」又は「非一時的」は、一時的な伝搬信号自体のみを除外する修飾語として理解され、一時的な伝搬信号自体のみではない全ての標準的なストレージ、メモリ、又はコンピュータ読取り可能な媒体に対する権利を放棄するものではない。
【0154】
コンピュータ読取り可能記憶媒体は、例えば、アクセス要求、クエリ、又は他のデータ検索プロトコルによって、1つ以上のローカル又はリモートのコンピューティング装置によってアクセスされ、その媒体によって記憶された情報に関する様々な動作ができるようにすることができる。
【0155】
通信媒体は、典型的には、変調されたデータ信号(例えば、搬送波又は他の移送技術)などのデータ信号に、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他の構造化データ又は非構造化データを具体化し、任意の情報配信媒体又は伝送媒体が含まれる。用語「変調されたデータ信号」は、信号の特性セットのうちの1つ以上の特性を有する又は1つ以上の信号の情報をエンコードするような方法で変更された信号を表す。例として、限定するものではないが、通信媒体としては、有線媒体(有線ネットワーク又は直接有線接続など)及び無線媒体(音波、RF、赤外線、その他の無線媒体など)があるが、これに限定されることはない。
【0156】
再び図15を参照すると、本明細書で説明される態様の様々な実施形態を実装するための例示的な環境1500は、コンピュータ1502を含み、コンピュータ1502は、処理ユニット1504、システムメモリ1506、及びシステムバス1508を含む。システムバス1508は、システムメモリ1506を含むシステムコンポーネント(システムメモリ1506に限定されることはない)を処理ユニット1504に結合する。処理ユニット1504は、様々な市販のプロセッサのうちのいずれかのプロセッサとすることができる。デュアルマイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャも、処理ユニット1504として使用することができる。
【0157】
システムバス1508は、さまざまな市販のバスアーキテクチャのうちのいずれかのバスアーキテクチャを使用して、メモリバス(メモリコントローラを有する又は有していない)、周辺バス、及びローカルバスに更に相互接続することができるいくつかの種類のバス構造のうちのいずれかのバス構造とすることができる。システムメモリ1506は、ROM1510及びRAM1512を含む。基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ(ROM、消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、EEPROMなど)に記憶することができ、このBIOSは、起動中などにコンピュータ1502内の構成要素間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む。また、RAM1512は、高速RAM(データをキャッシュするためのスタティックRAMなど)を含むことができる。
【0158】
コンピュータ1502は、内部ハードディスクドライブ(HDD)1514(例えば、EIDE、SATA)、1つ以上の外部記憶デバイス1516(例えば、磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)1516、メモリスティック又はフラッシュドライブリーダー、メモリカードリーダーなど)、及びディスク1522(CD-ROMディスク、DVD、BDなど)から読み取り又は書き込み可能なドライブ1520(例えば、ソリッドステートドライブ、光ディスクドライブなど)を更に含む。あるいは、ソリッドステートドライブが関与する場合、別個のものでない限り、ディスク1522は含まれない。内蔵HDD1514は、コンピュータ1502内に配置されるように図示されているが、内蔵HDD1514は、適切な筐体(図示せず)内で外部使用するように構成することもできる。更に、環境1500には示されていないが、HDD1514に加えて、又はHDD1514の代わりに、ソリッドステートドライブ(SSD)を使用することもできる。HDD1514、外部記憶装置1516及びドライブ1520は、それぞれ、HDDインタフェース1524、外部記憶装置インタフェース1526、及びドライブインタフェース1528によって、システムバス1508に接続することができる。外部ドライブ実装用のインタフェース1524は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)及び電気電子学会(IEEE)1394インタフェース技術のうちの少なくとも1つ又は両方を含むことができる。他の外部ドライブ接続技術は、本明細書で説明する実施形態の予想される範囲内である。
【0159】
ドライブ及びそれらに関連するコンピュータ可読記憶媒体は、データ、データ構造、コンピュータ実行可能命令などを不揮発的に記憶することができる。コンピュータ1502では、ドライブ及び記憶媒体は、適切なデジタル形式で任意のデータを記憶する。上記のコンピュータ読取り可能な記憶媒体の説明では、それぞれの種類の記憶装置に言及しているが、当業者は、既存であるか将来開発されるものであるかにかかわらず、コンピュータによって読み取り可能な他の種類の記憶媒体も、例示した動作環境で使用できること、更に、そのような記憶媒体は、本明細書で説明する方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むことを理解するはずである。
【0160】
ドライブ及びRAM1512には、多数のプログラムモジュール(オペレーティングシステム1530、1つ以上のアプリケーションプログラム1532、他のプログラムモジュール1534、及びプログラムデータ1536を含む)を記憶することができる。オペレーティングシステム、アプリケーション、モジュール、又はデータの全て又は一部をRAM1512にキャッシュすることもできる。本明細書で説明するシステム及び方法は、様々な市販のオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせを利用して実施することができる。
【0161】
コンピュータ1502は、任意選択で、エミュレーション技術を含むことができる。例えば、ハイパーバイザー(図示せず)又は他の仲介者は、オペレーティングシステム1530のためのハードウェア環境をエミュレートすることができ、エミュレートされたハードウェアは、任意選択で、図15に示されたハードウェアとは異なることができる。そのような実施形態では、オペレーティングシステム1530は、コンピュータ1502でホストされる複数の仮想マシン(VM)のうちの1つの仮想マシン(VM)を含むことができる。更に、オペレーティングシステム1530は、ランタイム環境(Javaランタイム環境又はNETフレームワークなど)をアプリケーション1532に提供することができる。ランタイム環境は、アプリケーション1532がランタイム環境を含む任意のオペレーティングシステム上で実行できるようにする一貫した実行環境である。同様に、オペレーティングシステム1530は、コンテナをサポートすることができ、アプリケーション1532は、コンテナの形態とすることができ、コンテナは、例えば、アプリケーションのためのシステムライブラリ及びシステム設定、システムツール、ランタイム、コードを含む、軽量で、スタンドアロンで、実行可能なソフトウェアのパッケージである。
【0162】
更に、コンピュータ1502は、セキュリティモジュール(トラステッド・プロセッシング・モジュール(TPM)など)を使用することができる。例えば、TPMを使用すると、ブートコンポーネントは、時間的に次のブートコンポーネントをハッシュし、その結果がセキュリティで保護された値と一致するのを待って、次のブートコンポーネントをロードする。このプロセスは、コンピュータ1502のコード実行スタック内の任意のレイヤで実行することができ(例えば、アプリケーション実行レベル又はオペレーティングシステム(OS)カーネルレベルにおいて適用される)、これによりコード実行の任意のレベルでセキュリティを実現することができる。
【0163】
ユーザは、1つ以上の有線/無線入力デバイス(例えば、キーボード1538、タッチスクリーン1540、及びポインティングデバイス(マウス1542など))によって、コマンド及び情報をコンピュータ1502に入力することができる。他の入力デバイス(図示せず)としては、マイクロフォン、赤外線(IR)リモートコントロール、無線周波数(RF)リモートコントロール、又は他のリモートコントロール、ジョイスティック、仮想現実コントローラ又は仮想現実ヘッドセット、ゲームパッド、スタイラスペン、画像入力デバイス(例えば、カメラ)、ジェスチャセンサ入力デバイス、視覚運動センサ入力デバイス、感情検出デバイス又は顔検出デバイス、生体測定入力デバイス(例えば、指紋又は虹彩スキャナなど)を挙げることができる。これら及び他の入力デバイスは、システムバス1508に結合できる入力装置インターフェース1544を通じて処理ユニット1504に接続されることが多いが、他のインタフェース(パラレルポート、IEEE1394シリアルポート、ゲームポート、USBポート、IRインタフェース、BLUETOOTH(登録商標)インタフェースなど)によって接続することもできる。
【0164】
また、モニタ1546又は他の種類のディスプレイデバイスは、インタフェース(ビデオアダプタ1548など)を通じてシステムバス1508に接続することができる。モニタ1546に加えて、コンピュータは、典型的には、スピーカーやプリンタなどの他の周辺出力デバイス(図示せず)を含む。
【0165】
コンピュータ1502は、有線通信又は無線通信を通じて1つ以上のリモートコンピュータ(リモートコンピュータ1550など)との論理接続を使用して、ネットワーク化された環境で動作することができる。リモートコンピュータ1550は、ワークステーション、サーバコンピュータ、ルータ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、マイクロプロセッサを使用したエンターテイメントアプライアンス、ピアデバイス、又は他の一般的なネットワークノードとすることができ、典型的には、コンピュータ1502に関連して説明した多くの要素又は全ての要素を含むが、簡潔にするために、メモリ/ストレージデバイス1552のみが図示されている。図示された論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)1554又は大規模なネットワーク(例えば、ワイドエリアネットワーク(WAN)1556)への有線/無線接続を含む。このようなLAN及びWANネットワーキング環境は、オフィスや企業において一般的であり、企業全体のコンピュータネットワーク(イントラネットなど)を支援し、LAN及びWANネットワーキング環境の全てをグローバル通信ネットワーク(例えば、インターネット)に接続することができる。
【0166】
コンピュータ1502は、LANネットワーク環境で使用される場合、有線又は無線通信ネットワークインターフェース又はネットワークアダプタ1558を通じてローカルネットワーク1554に接続することができる。アダプタ1558は、LAN1554への有線又は無線通信を支援することができ、LAN1554は、無線モードでアダプタ1558と通信するために、LANに配置された無線アクセスポイント(AP)を含むこともできる。
【0167】
コンピュータ1502は、WANネットワーク環境で使用される場合、モデム1560を含むこと、又はWAN1556上で通信を確立するための他の手段を通じて(例えば、インターネットを通じて)、WAN1556上の通信サーバに接続することができる。モデム1560は、内部デバイス又は外部デバイス、及び有線デバイス又は無線デバイスとすることができ、入力装置インターフェース1544を通じてシステムバス1508に接続することができる。ネットワーク環境では、コンピュータ1502又はその一部に関連して図示されたプログラムモジュールを、リモートメモリ/記憶装置1552に記憶することができる。図示したネットワーク接続は例示であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段を使用できることが理解される。
【0168】
コンピュータ1502は、LAN又はWANネットワーキング環境のいずれかで使用される場合、上述の外部ストレージデバイス1516に加えて、又は外部ストレージデバイス1516の代わりに、クラウドストレージシステム又はネットワークを使用した他のストレージシステムにアクセスすることができ、ストレージシステムは、情報のストレージ又は処理の1つ以上の態様を提供するネットワーク仮想マシンなどであるが、これに限定されることはない。一般に、コンピュータ1502とクラウドストレージシステムとの間の接続は、例えば、アダプタ1558又はモデム1560によって、それぞれLAN1554又はWAN1556上で確立することができる。コンピュータ1502を関連するクラウドストレージシステムに接続すると、外部ストレージインターフェース1526は、アダプタ1558又はモデム1560の助けを受けて、他の種類の外部ストレージと同様に、クラウドストレージシステムによって提供されるストレージを管理することができる。例えば、外部ストレージインターフェース1526は、あたかもクラウドストレージソースがコンピュータ1502に物理的に接続されているかのように、クラウドストレージソースへのアクセスを提供することができる。
【0169】
コンピュータ1502は、ワイヤレス通信で動作可能に配置された任意のワイヤレスデバイス又はエンティティ(例えば、プリンタ、スキャナ、デスクトップ又はポータブルコンピュータ、ポータブルデータアシスタント、通信衛星、ワイヤレスで検出可能なタグに関連付けられた機器又は場所(例えば、キオスク、ニューススタンド、店舗棚など)、及び電話)と通信するように動作可能である。これには、ワイヤレス・フィデリティ(Wi-Fi)やBLUETOOTH(登録商標)ワイヤレス技術が含まれる。このように、通信は、従来のネットワークのようにあらかじめ定義された構造でも可能であり、少なくとも2つのデバイス間の単なるアドホック通信でも可能である。
【0170】
図16は、開示される対象が情報のやりとりをすることできるサンプルコンピューティング環境1600の概略ブロック図である。サンプルコンピューティング環境1600は、1つ以上のクライアント1610を含む。クライアント1610は、ハードウェア又はソフトウェア(例えば、スレッド、プロセス、コンピューティング装置)とすることができる。また、サンプルコンピューティング環境1600は、1つ以上のサーバ1630を含む。サーバ1630もハードウェア又はソフトウェア(例えば、スレッド、プロセス、コンピューティング装置)とすることができる。サーバ1630は、例えば、本明細書に記載された1つ以上の実施形態を採用することによって変換を実行するためのスレッドを収容することができる。クライアント1610とサーバ1630との間の1つの可能な通信は、2つ以上のコンピュータプロセス間で送信されるように適合されたデータパケットの形態とすることができる。サンプルコンピューティング環境1600は、クライアント1610とサーバ1630との間の通信を支援するために採用することができる通信フレームワーク1650を含む。クライアント1610は、クライアント1610に対してローカルに情報を記憶するために使用することができる1つ以上のクライアントデータストア1620に動作可能に接続される。同様に、サーバ1630は、サーバ1630に対してローカルに情報を記憶するために使用することができる1つ以上のサーバデータストア1640に動作可能に接続される。
【0171】
本発明は、技術的に詳細なレベルで統合が可能なシステム、方法、装置又はコンピュータプログラム製品である。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置によって使用される命令を保持及び記憶することができる有形装置とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置、又はこれらの任意の適切な組み合わせとすることができるが、これらに限定されることはない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例を以下に列挙すると、可能な全ての例を列挙することはできないが、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、機械的にエンコードされたデバイス(パンチカード又は溝に命令が記録された隆起構造など)、及び前述の任意の好適な組み合わせがある。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波又は自由に伝播する他の電磁波、導波管又は他の伝送媒体を伝搬する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを伝送する光パルス)、又はワイヤを伝送する電気信号などの一時的な信号自体であると解釈されるものではない。
【0172】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング装置/処理装置にダウンロードする、又はネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又はワイヤレスネットワーク)によって外部コンピュータ又は外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバー、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、又はエッジサーバを含むことができる。各コンピューティング装置/処理装置のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を転送して、その命令は、各コンピューティング装置/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路用コンフィギュレーションデータ、又は、1つ以上のプログラミング言語(Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語)の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、ユーザのコンピュータ上で完全に実行する、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行する、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行するとともにリモートコンピュータ上で部分的に実行する、又はリモートコンピュータ又はサーバ上で完全に実行することもできる。後者の場合、リモートコンピュータは、任意の種類のネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)など)を通じてユーザのコンピュータに接続することができる、又は外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通じて)接続することができる。一部の実施形態では、本発明の態様を実行するために、電子回路(例えば、プログラム可能な論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラム可能論理アレイ(PLA)など)は、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用してコンピュータ可読プログラム命令を実行し、電子回路をパーソナライズすることができる。
【0173】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図又はブロック図を参照して本明細書に記載されている。フローチャート図又はブロック図の各ブロック、及びフローチャート図又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施できることが理解される。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャート又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を作成するように、マシンを生成することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、又は他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶させることもでき、記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製造物品を含む。また、コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他の装置にロードされ、一連の動作をコンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置上で実行させてコンピュータで実行されるプロセスを生成し、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置上で実行される命令が、フローチャート又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックで指定された機能/動作を実施することができる。
【0174】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装態様のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、命令のモジュール、命令のセグメント、又は命令の一部分を表し、これは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含むことができる。一部の代替的な実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で実行されることができる。例えば、連続するように示された2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行することができる、又は複数のブロックは、含まれる機能に応じて、時には逆の順序で実行することができる。また、ブロック図又はフローチャート図の各ブロック、及びブロック図又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用ハードウェアを使用したシステムによって実装できることにも留意されたい。
【0175】
対象は、1つのコンピュータ又は複数のコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で記載されてきたが、当業者は、本開示は、他のプログラムモジュールと組み合わせても実装できることを認識する。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などが含まれる。更に、当業者は、本発明のコンピュータによって実施される方法が、他のコンピュータシステム構成(シングルプロセッサ又はマルチプロセッサコンピュータシステム、ミニコンピュータ装置、メインフレームコンピュータ、ならびにコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ装置(例えば、PDA、電話)、マイクロプロセッサを使用した又はプログラム可能な民生用又は産業用の電子機器など)で実施できることを理解する。また、図示の態様は、通信ネットワークを通じてリンクされたリモート処理装置によってタスクが実行される分散コンピューティング環境においても実施することができる。しかし、本開示の全ての態様ではないが、一部の態様は、スタンドアロンコンピュータ上で実施することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカルとリモートの両方のメモリ記憶装置に配置することができる。
【0176】
本出願において、用語「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「インタフェース」などは、1つ以上の特定の機能を有するコンピュータ関連のエンティティ又は1つ以上の特定の機能を有する動作マシンに関連するエンティティを表す、又はそれらエンティティを含むことができる。本明細書で開示されるエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかとすることができる。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラム、又はコンピュータとすることができるが、これらに限定されることはない。例示すると、サーバ上で実行されるアプリケーションとサーバとの両方をコンポーネントとすることができる。1つ以上のコンポーネントは、実行プロセス又は実行スレッド内に存在することができ、コンポーネントは1つのコンピュータ上に存在する、又はコンポーネントを2つ以上のコンピュータ間に分散させることもできる。別の例では、それぞれのコンポーネントは、様々なデータ構造が記憶された様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、例えば、1つ以上のデータパケットを有する信号(例えば、ローカルシステムにおいて、分散システムにおいて、又はインターネットなどのネットワーク上で信号を介在させた他の複数のシステムにおいて、別のコンポーネントとやりとりする或るコンポーネントからのデータ)に従って、ローカルプロセス又はリモートプロセスを通じて通信することができる。別の例として、コンポーネントは、プロセッサによって実行されるソフトウェア又はファームウェアアプリケーションによって駆動する電気回路又は電子回路によって動作する機械部品によって特定の機能が提供される装置とすることができる。このような場合、プロセッサは、装置の内部にあってもよく、装置の外部にあってもよく、ソフトウェア又はファームウェアアプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。更に別の例として、コンポーネントは、機械部品を伴わない電子部品を通じて特定の機能を提供する装置とすることができ、電子部品は、電子部品の機能の少なくとも一部を付与するソフトウェア又はファームウェアを実行するプロセッサ又は他の手段を含むことができる。ある態様では、コンポーネントは、例えばクラウドコンピューティングシステム内の仮想マシンによって電子構成要素をエミュレートすることができる。
【0177】
更に、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包含的な「又は」を意味することが意図されている。つまり、特に別段の定めがない限り、あるいは文脈から明らかな場合を除き、「XはA又はBを使用する」は、包括的で自然な任意の組合せを意味することが意図されている。つまり、XがAを使用する、XがBを使用する、又はXがAとBの両方を使用する場合、これらのいずれの例も、「XはA又はBを使用する」を満たすことになる。更に、本明細書において、用語「及び/又は」は、「又は」と同じ意味を含むことが意図されている。更に、本明細書及び添付図面で使用される冠詞「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、別段の定めがない限り、又は文脈から単数形であることが明らかでない限り、一般には、「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。本明細書では、単語「例」及び「例示的」は、一実施例、一例、又は一実例としての役割を果たすという意味で使用される。誤解を避けるため、本明細書に開示された対象は、このような例に限定されるものではない。加えて、本明細書において「例」及び/又は「例示的」として説明される態様又は設計は、必ずしも、他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではなく、当業者に知られている例示的な均等の構造及び技術を排除することを意図するものでもない。
【0178】
本明細書で採用されているように、用語「プロセッサ」は、実質的に任意のコンピューティング処理ユニット又はデバイスを表すことができ、このコンピューティング処理ユニット又はデバイスは、シングルコア・プロセッサ、ソフトウェアがマルチスレッドの実行能力を有するシングルプロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェアがマルチスレッドの実行能力を有するマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術が使用されたマルチコア・プロセッサ、並列プラットフォーム、及び分散共有メモリを有する並列プラットフォームを含むが、これらに限定されることはない。更に、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア構成要素、又は本明細書に記載された機能を実行するように設計された、これらの任意の組み合わせを表すことができる。更に、プロセッサは、空間の使用を最適化する目的又はユーザ機器の性能を向上させる目的で、分子及び量子ドットを使用したトランジスタ、スイッチ及びゲートなどのナノスケールアーキテクチャを利用することができるが、これらに限定されることはない。プロセッサは、複数のコンピューティング処理ユニットの組み合わせとして実装することもできる。本開示では、「ストア」、「ストレージ」、「データストア」、「データストレージ」、「データベース」、及び構成要素の動作及び機能に関連する実質的に他の任意の情報記憶要素などの用語を使用して、「メモリ構成要素」、「メモリ」に具現化されるエンティティ、又はメモリを含む要素を表す。本明細書に記載されたメモリ若しくはメモリ構成要素は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリとすることができ、又は揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含んでいてもよいことが理解されるべきである。例として、不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))がとすることができるが、これらに限定されることはない。揮発性メモリとしては、例えば、RAMがあり、RAMは、外部キャッシュメモリとして機能することができる。例として、RAMは、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM)、ラムバス・ダイナミックRAM(RDRAM)などの多くの形態で利用できるが、これらに限定されることはない。更に、本明細書に開示されたシステム又はコンピュータによって実施される方法のメモリ構成要素は、これら及び他の任意の適切な種類のメモリを含むことが意図されているが、これらに限定されることはない。
【0179】
上記で説明したことには、システム及びコンピュータによって実施される方法の単なる例が含まれているだけである。もちろん、本開示を説明する目的で、構成要素又はコンピュータによって実施される方法の考えられる全ての組み合わせを記載することは不可能であるが、更に多くの組合せ及び順列が可能である。更に、用語「含む」、「有する」、「所有する」などが、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、添付書類、及び図面で使用される場合において、このような用語は、用語「含む」と同様に、請求項において「含む」が移行語として使用される場合に解釈されるように包含的であることを意図している。
【0180】
様々な実施形態の説明は、例示の目的で示されているが、考えられる実施形態が全て含まれることを意図するものではなく、開示される実施形態を限定することを意図するものでもない。記載された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正形態及び変形形態が明らかである。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見つけられる技術より優れた実用的な用途、又は市場で見つけられる技術と比べて技術的に改善されていることを最適なやり方で説明するために選択された、又は当業者が本明細書に開示された実施形態を理解できるように選択された。
【符号の説明】
【0181】
102 ノイズ除去トレーニングシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】