(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065003
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】複合プリプレグからのフィルム層の分離
(51)【国際特許分類】
B65H 41/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65H41/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142238
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】18/050,335
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523043898
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・ヴェラスケス
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108JA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、熱硬化性プリプレグを使用して複合部品を作製することに関し、特に、プリプレグのプライ上のポリフィルム裏材を分離することに関する。
【解決手段】プリプレグのプライに接着されたフィルム層が、2つの締付部材間にプライを締め付けられ、プライの露出した縁部を軽打することによってプライから分離される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合プリプレグのプライ(22)に接着されたフィルム層(24)を分離する方法であって、
前記プライ(22)の縁部(54)を宙に浮かせた(80)状態で第1の締付部材(38)と第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を締め付けるステップと、
前記フィルム層(24)が前記縁部(54)において前記プライ(22)から分離する(58)まで、自動化されたシステムを使用して前記プライ(22)の前記縁部(54)を軽打するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記プライ(22)が、角部(72)を有し、
前記縁部(54)が、前記プライ(22)の前記角部(72)に位置し、
前記縁部(54)を軽打するステップが、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を締め付けるステップ中に前記角部を軽打するステップによって実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プライ(22)を締め付けるステップが、前記プライ(22)の前記縁部を前記縁部(54)の長さに沿って片持ち支持して宙に浮かせる(80)ように、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を位置決めするステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プライ(22)を締め付けるステップが、前記角部(72)が前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)を越えて延伸し、かつ前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)から片持ち支持されるように、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を位置決めするステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プライ(22)を締め付けるステップが、前記プライ(22)の角部(72)を宙に浮かせるステップを含み、
前記縁部(54)を軽打するステップが、前記プライ(22)の前記角部(72)を叩く(52)ステップによって実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記角部(72)を叩く(52)ステップが、軽打器(48)を回転(50)させ、前記軽打器(48)を使用して前記プライ(22)の前記角部(72)を繰り返し叩く(52)ステップによって実行される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プライ(22)からの前記フィルム層(24)の分離(58)を、
前記縁部(54)が前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)を越えて延伸する距離(33)と、
前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)によって前記プライ(22)に加えられる締付力(F)と、
前記角部(72)を叩く(52)の間に前記プライ(22)の前記角部(72)に加えられる力と、
前記角部(72)を叩く(52)の頻度と、
前記プライ(22)の温度と、
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離されるべき程度と、
のうちの少なくとも1つを調整することによって最適化するステップをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から予め選択された分離(58)の程度分離(58)したときを感知するステップと、
前記予め選択された分離(50)の程度が感知されたときに前記軽打することを終了させるステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プライ(22)内の樹脂マトリックスの粘度を低下させることによって前記プライ(22)への前記フィルム層(24)の付着を低減させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記粘度を低下させるステップが、前記縁部(54)を冷却するステップによって実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記締め付けるステップ及び前記軽打するステップが、自動制御エンドエフェクタ(28)によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複合プリプレグのプライ(22)からフィルム層(24)を分離するための装置であって、
エンドエフェクタ(28)と、
前記エンドエフェクタ(28)上に取り付けられており、前記プライ(22)を締め付ける締付機構(36)と、
前記プライ(22)の縁部(54)を軽打することによって前記フィルム層(24)を前記プライ(22)から分離(58)する軽打機構(42)と、
を備える、装置。
【請求項13】
前記軽打機構(42)が、前記プライ(22)を繰り返し叩く(52)回転軽打器(48)を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記締付機構(36)が、第1の締付部材(38)及び第2の締付部材(40)を含み、前記プライ(22)の少なくとも一部分(56)が、前記プライ(22)の前記一部分(56)が前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)から片持ち支持されるように、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に締め付けられ得る、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記エンドエフェクタ(28)、前記締付機構(36)、及び前記軽打機構(42)の動作を制御するプログラムされたコントローラ(92)をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記プログラムされたコントローラ(92)が、
前記締付機構(36)によって前記プライ(22)に加えられる締付力(F)と、
前記軽打機構(42)によって前記プライ(22)に加えられる軽打力と、
前記軽打機構による軽打の頻度と、
前記縁部(54)が前記締付機構(36)を越えて延伸する距離と、
前記プライの温度と、
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離されるべき程度と、
のうちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記軽打機構(42)が、前記プライ(22)の縁部(54)を叩く(52)可撓性軽打器(48)を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記軽打機構(42)が、前記エンドエフェクタ(28)上に取り付けられている、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
複合プリプレグのプライ(22)からフィルム層(24)を除去するためのシステムであって、
プリプレグのプライ(22)を取り上げ締め付ける第1のロボットシステム(94)と、
前記プライ(22)が前記第1のロボットシステム(94)によって締め付けられている間に前記プライ(22)から前記フィルム層(24)を分離する第2のロボットシステム(96)と、
を備える、システム。
【請求項20】
前記第1のロボットシステム(94)が、
第1の締付部材(38)及び第2の締付部材(40)を含む締付機構(36)を含み、前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)が、前記プライ(22)の縁部(54)を露出し宙に浮かせた(80)状態で前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を締め付けるように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2のロボットシステム(96)が、前記プライ(22)の前記縁部(54)を叩く(52)軽打器(48)を有する軽打機構(42)を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1のロボットシステム(94)及び前記第2のロボットシステム(96)の動作を制御するプログラムされたコントローラ(92)をさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記プログラムされたコントローラ(92)が、
前記プライ(22)が前記締付機構(36)を越えて延伸する距離と、
前記締付機構(36)によって前記プライ(22)に加えられる締付力(F)と、
叩く(52)間に前記プライ(22)の前記縁部(54)に加えられる力と、
叩く(52)の頻度と、
前記プライ(22)の温度と、
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離される(58)べき程度と、
のうちの少なくとも1つを最適化するプログラムされた命令のセット(93)を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2のロボットシステム(96)が、前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離された(58)後に前記プライ(22)から前記フィルム層(24)を除去するフィルム層除去器(62)を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記プライ(22)を冷却すること(57)によって前記プライ(22)の粘度を低下させるコントローラ(74)をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
前記プライ(22)からの前記フィルム層(24)の分離(58)を感知するためのセンサ(66)をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景情報
本開示は、一般に、複合積層部品の生産に関し、より詳細には、複合プリプレグからポリ裏打フィルムを分離するための方法、装置、及びシステムを扱う。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性予備含浸(「プリプレグ」)複合材料は、通常、プライの一方の側面上に接着されたポリフィルム層を有するロール形態の単一のプライ厚さとして供給される。ポリフィルム層は、材料がロール形態であるか又はシートとして積み重ねられているときに、層間の粘着を防止するように機能する。「裏打紙」と呼ばれることもあるポリフィルム層は、プライが貯蔵及び/又は最終形状に切断されている間、粘着を防止するためにプライ上に残る。複合部品を形成するためにプライを積み重ねる(lay up)前に、ポリフィルム層を除去しなければならない。高い生産環境でポリフィルム層を除去するための自動化された機器の使用は、除去プロセスがプライの縁部に沿ってプライからフィルム層を分離する最初のステップから開始しなければならないため、困難であり得る。分離プロセスはプライの損傷又は汚染を回避しなければならないため、プライからフィルムを分離することもまた困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、自動化することができ、かつ分離プロセス中のプライの損傷又は汚染を回避する、プリプレグプライからフィルム層を分離する方法、装置、及びシステムを提供することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、一般に、熱硬化性プリプレグを使用して複合部品を作製することに関し、特に、プリプレグのプライ上のポリフィルム裏材を分離することに関する。
【0005】
一態様によれば、複合プリプレグのプライに接着されたフィルム層を分離する方法が提供される。方法は、プライの縁部を露出させ宙に浮かせた状態で、第1の締付部材と第2の締付部材との間にプライを締め付けるステップを含む。方法はまた、フィルム層が縁部においてプライから分離するまで、自動化されたシステムを使用してプライの縁部を軽打する(flick)ステップを含む。
【0006】
別の態様によれば、複合プリプレグのプライからフィルム層を分離するための装置が提供される。装置は、エンドエフェクタと、締付機構と、軽打機構と、を備える。締付機構は、エンドエフェクタ上に取り付けられており、プライを締め付けるように構成されている。軽打機構は、プライの縁部を軽打することによってフィルム層をプライから分離するように構成されている。
【0007】
さらに別の態様によれば、複合プリプレグのプライからフィルム層を除去するためのシステムが提供される。システムは、プリプレグのプライを取り上げ締め付ける第1のロボットシステムと、プライからフィルム層を分離する第2のロボットシステムと、を備える。
【0008】
開示された実施形態の利点のうちの1つは、プライからフィルム層を除去する準備において、プリプレグのプライに接着されたフィルム層をプライから容易にかつ確実に分離することができることである。別の利点は、プライからのフィルム層の分離が自動化されることである。開示された実施形態のさらなる利点は、プライを取り上げ、置くために使用されるエンドエフェクタ上にフィルム層除去機構を搭載することができることである。さらに別の利点は、プライからのフィルム層の分離を感知することができ、プライからのフィルム層の分離のプロセスを最適化するように動作パラメータを自動的に制御することができることである。
【0009】
形態、機能、及び利点は、本開示の様々な例において個別に達成することができ、又は、さらなる詳細を以下の説明及び図面を参照して理解することができるさらに別の例において組み合わせられ得る。
【0010】
例示的な例の特性であると考えられる新規の形態が、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、例示的な例、並びにそれらの好ましい使用のモード、さらなる目的、及び利点は、添付の図面と併せて読んだときに本開示の例示的な例に関する以下の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】マニピュレータがプリプレグプライをスタックから取り上げ、それらを積重ツール上に置く斜視図である。
【
図2】プリプレグプライのうちの1つの角部を示す部分斜視図である。
【
図3】第1及び第2の締付部材間に締め付けられたプリプレグプライの角部を軽打する軽打機構を示す部分斜視図である。
【
図3A】プリプレグプライの角部を軽打するための1つの技術を示す部分側面図である。
【
図3B】
図3Aに類似しているが、プリプレグプライの角部を軽打するための代替的な軽打技術を示す図である。
【
図4】
図3に類似しているが、プリプレグプライから分離されたフィルムを示す図である。
【
図5】第1及び第2の締付部材間に締め付けられたプリプレグプライの長手方向に延伸する縁部に対する軽打器の代替形態の位置を示す部分斜視図である。
【
図6】マニピュレータを使用してフィルム層を分離するためのシステムのブロックと概略図とを組み合わせた図である。
【
図7】軽打機構及び締付機構を単一のロボットによってどのように動作させることができるかを示すブロックと概略図とを組み合わせた図である。
【
図8】2つのロボットシステムを使用してプリプレグプライの縁部からフィルム層を分離するための代替システムのブロックと概略図とを組み合わせた図である。
【
図9】プリプレグプライの縁部からフィルム層を分離する方法の全体ブロック図である。
【
図10】航空機の生産及び保守点検方法体系のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に
図1を参照すると、熱硬化性複合プリプレグが所定の形状を有するプライ22に切断されており、プライ22は所望のプライ計画に従って順序付けられたスタック20に組み立てられている。プライ22の各々は、熱硬化性樹脂マトリックス内に保持された補強材を備える。プライ22は、マニピュレータ26上のエンドエフェクタ28によってスタック20から順次取り上げられる(32)。マニピュレータ26は、プライ22を移送し34、積重ツール30上に置き、そこでプライ22はいくつかの好適な形成技術のうちのいずれかを用いて積重ツール30上に形成される。
図2に示すように、プライ22の各々は、プライ22がそれらの粘着性のためにスタック20内で一緒に粘着するのを防止するために、プライ22に接着された「裏打紙」と呼ばれることもある好適なポリマーのフィルム層24を有する。フィルム層24は、プライ22が積重ツール30上に積み重ねられる前に除去されなければならない。フィルム層24を除去するには、プライ22の縁部54に沿ってフィルム層24をプライ22から分離し、次いでフィルム層24をプライ22から剥がす必要がある。
【0013】
ここで、プライ22からフィルム層24を分離する方法を示す
図3及び
図4に注目する。この例では、プライ22は、第1の締付部材38と第2の締付部材40との間に締め付けられており、プライ22の縁部54は、露出され宙に浮かされた(80)状態である。この例では、縁部54は露出しており、プライ22の角部72にのみ位置するが、他の例では、プライ22の縁部54に沿った長さL(
図5)が露出していてもよい。プリプレグの相対的な剛性のために、プライ22の縁部54、特に角部72は、第1及び第2の締付部材38、40から片持ち支持されている(35)。プライ22は、縁部54が締付部材38、40を越えて予め選択された距離33だけ外側に延伸するように、締付部材38、40間に配置される。プライ22が第1及び第2の締付部材38、40間に締め付けられた状態で、角部72と重なり合う関係に位置決めされた軽打器48が、軽打機構42によって回転させられ(50)、この軽打機構は、軽打器48にプライ22の縁部54を叩かせる(52)。縁部54を叩くことにより、プライ22に衝撃エネルギー44が与えられ、これにより、フィルム層24がプライ22から(
図4)分離される(58)。縁部54のみを露出させるようにプライを締め付けることにより、縁部54を孤立させて安定させ、したがって、軽打器48によってプライ22に与えられる衝撃エネルギーを集中させる。軽打器48は、プライ22を叩き(52)、衝撃エネルギー44を与えるのに十分な剛性を有する任意の好適な材料を含み得る。しかしながら、いくつかの例では、軽打器48は剛性であり得、一方、他の例では、軽打器48は叩かれることによるプライ22の損傷の可能性を低減するために可撓性であり得る。軽打器48の形状は、軽打器48によって縁部54に与えられる衝撃エネルギーを最大にするために、軽打器48が叩く(52)縁部54の形状に適合するように構成されている。
【0014】
図3Aを参照すると、一例では、軽打器48は所望の頻度で回転させられて50、プライ22の一方の側面22aのみを1回以上叩き得る(52)。
図3Bに示す別の例では、軽打器48は、縁部54を通り越して下方に回転し50、プライ22を撓ませ、次いでプライ22の両方の側面22a、22bを繰り返し叩く(52)ように戻り得る。第1及び第2の締付部材38、40によってプライ22に加えられる締付力Fは、縁部54を軽打器48で叩いているときにプライ22が移動することを防止するのに十分であるべきである。このようにプライ22を締め付けることにより、縁部54をプライ22の他の領域から効果的に孤立させ、衝撃エネルギー44をプライ22の他の領域に内向き43に伝播するのではなく、縁部54に集中させる。後述するように、プライ22の縁部54は、熱硬化性樹脂マトリックスの粘度を低下させるために、軽打プロセスの前及び/又はその間に冷却され得、これによりその粘着性が低下し、したがって、フィルム層24への接着が低減し、フィルム層24をプライ22から分離することがより容易になる。
【0015】
図3及び
図4に示す例では、プライの角部72のみが第1及び第2の締付部材38、40を越えて所望の距離33だけ延伸しており、軽打器48による叩きを受ける。しかしながら、
図5に示すように、プライ22は、角部72のみではなく縁部54の長さLを露出し宙に浮かせ得る(80)ように、第1及び第2の締付部材38、40間に締め付けられてもよい。したがって、縁部54全体がその長さLに沿って片持ち支持されてもよい。この例では、軽打器48は、露出された縁部54の実質的に全体の長さLを叩く(52)のに十分な幅Wを有する。
【0016】
ここで、プライ22からフィルム層24を分離し除去するためのシステム55を概略的に示す
図6を参照する。後述するように、システム55は自動化されている。締付機構36が、例えば多関節アーム又はガントリ型ロボットを備え得るマニピュレータ26上に取り付けられた自動制御エンドエフェクタ28上に取り付けられている。締付機構36は、第1の締付部材38及び第2の締付部材40を含み、第1の締付部材38及び第2の締付部材40は、プライ22の少なくとも一部分を移動に対してしっかりと保持するのに十分な力Fでプライ22をそれらの間に締め付ける。前述の例のように、プライ22の縁部54は、プライ22からのフィルム層24の分離を容易にするように最適化された予め選択された距離33だけ、第1及び第2の締付部材38、40に片持ち支持され(35)、それらを越えて延伸する。その結果、縁部54が露出され、宙に浮かせられる。システム55は、露出した縁部54を1回以上叩く(52)ように位置決めされた軽打器48を含む軽打機構42をさらに含む。軽打機構42は、軽打器48を直接又は好適な伝動装置(図示せず)を介してのいずれかで駆動して回転させる(50)好適なモータ(図示せず)を備え得る。冷気57の流れを使用してプライ22の縁部54を冷却するために好適な冷却器45が設けられ得るが、他の冷却技術も可能である。プライ22の縁部54を冷却すると、熱硬化性マトリックスの粘度が低下し、それによりプリプレグの粘着性が低下し、それによって、フィルム層24へのプライ22の接着が低減し、フィルム層24をプライ22から分離することが容易になる。
【0017】
フィルム層24の少なくとも一部分56がプライ22からを分離した(58)とき及び程度を感知し、縁部54の軽打を終了させるために、1つ以上の非接触センサ66が設けられ得る。例えば、センサ66は、フィルム層24がプライ22から除去されることを可能にし得る所望の距離D(
図4)だけフィルム層24がプライ22から分離されたときを感知する光学センサであり得る。フィルム層除去器62が、縁部54の一部分56を把持し、フィルム層24がプライ22から分離されるときにフィルム層24を除去する(60)ために設けられ得る。フィルム層24がプライ22から除去されている(60)ときにフィルム層24を蓄積及び保管するのを支援するために、ローラーシステム(図示せず)などの好適なフィルム層巻取器64が設けられ得る。
【0018】
マニピュレータ26及びエンドエフェクタ28の動作は、プログラムされたコンピュータ、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)若しくは1つ以上のデジタルプロセッサを含み得るコントローラ68、又は同様のプログラムされたコントローラによって連係及び制御される。コントローラ68は、コントローラ68の動作を決定するプログラムされた命令69の1つ以上のセットを含む。加えて、エンドエフェクタ28上の1つ以上の機能を制御するために、エンドエフェクタ28上に位置する1つ以上のプロセッサ70が設けられ得る。コントローラ68及び/又はプロセッサ70は、プライ22からのフィルム層24の分離及び除去を最適化するようにシステムの構成要素を制御するようにプログラムされている。例えば、これに限られるわけではないが、コントローラ68は、プライ22からのフィルム層24の分離(58)を最も効果的に、迅速に、かつ確実に行うために、以下のパラメータである、締付部材38、40によってプライ22に加えられる締付力F、縁部54が延伸し、締付部材38、40から片持ち支持され、したがって軽打器48によって軽打を受ける距離33、プライ22の温度によって決定されるプライ22の粘度、軽打器48がプライ22の縁部54を叩く(52)力、軽打器48が縁部54を叩く(52)頻度、及びフィルム層24がプライ22から分離されるべき程度のうちの1つ以上を個別に又は組み合わせて最適化する。
【0019】
図7は、締付機構36及び軽打機構42の両方が一方のエンドエフェクタ28上に取り付けられた一例を示している。エンドエフェクタ28は、アダプタ84を介して多関節ロボット78又は同様のマニピュレータの手首88に取り付けられている。締付機構36はアダプタ84に直接取り付けられており、一方、軽打機構42は、締付機構36に向かってかつ締付機構36から離れるように移動する(51)ために、支持体49上に取り付けられたスライド47を含む。支持体49は、アダプタ84上に取り付けられている。プライ22の露出した縁部54に対する軽打機構42の位置は、オンボードプロセッサ70(
図6)、又はロボット78の他の動作も制御し得る好適なコントローラ68のいずれかによって制御される。
【0020】
ここで、フィルム層24をプリプレグのプライ22から分離するために使用されるロボットシステム94の別の例を示す
図8に注目する。この例では、プライ22を取り上げ締め付けるために第1のエンドエフェクタ28が使用されており、プライ22の54の縁部を軽打しフィルム層24を除去するために第2のエンドエフェクタ28aが使用されている。第1のエンドエフェクタ28は、多関節アーム型であり得るロボット76の手首88にアダプタ84を介して取り付けられた締付機構36を含む。前述の例のように、締付機構36は、第1及び第2の締付部材38、40に締付圧力を加え、第1及び第2の締付部材38、40は、縁部54を露出させ宙に浮かせた(80)状態でそれらの間にプライ22を締め付ける。第2のエンドエフェクタ28aは、軽打機構42、非接触センサ66、冷却器74、フィルム層除去器62、及びフィルム層巻取器64を備える。
【0021】
第2のエンドエフェクタ28aは、アダプタ86によってロボット78の手首90に取り付けられている。ロボット76、78の動作は、プログラムされたコンピュータ、PLC、又は1つ以上のデジタルプロセッサを備え得る好適なコントローラ92によって個別に制御される。動作中、ロボット76はプライ22を取り上げ締め付けられ、プライ22からフィルム層24を得る準備となるように縁部54を位置決めする。ロボット78は、第2のエンドエフェクタ28aをプライ22の縁部54に近接させ、縁部54の上に軽打器48を位置決めする。縁部54に沿ってプライ22の温度を低下させるために冷却器74が作動され得、これにより、熱硬化性樹脂マトリックスの粘度及びプリプレグの粘着性が低下する。この粘度の低下により、フィルム層24のプライ22への付着が低減し、フィルム層24がプライ22からより容易に分離されるようになる。次いで、軽打機構42が作動され、フィルム層24がプライ22から分離するまで、軽打器48を縁部54に繰り返し叩かせる(52)。プライ22からのフィルム層24の分離は、センサ66によって感知され、センサ66は、予め選択された分離の程度が感知されたときに軽打機構42に縁部54への叩きの終了を促す。フィルム層24がプライから分離されると、フィルム層除去器62はフィルム層24を除去し、それをフィルム層巻取器64に搬送する。
【0022】
図6に関連して前述した例と同様に、コントローラ92は、プライ22からのフィルム層24の分離及び除去を最適化するようにシステム94、96の構成要素を制御するプログラムされた命令93を含むか、又はそれにアクセスする。例えば、これに限られるわけではないが、コントローラ92は、プライ22からのフィルム層24の分離(58)を最も効果的に、迅速に、かつ確実に行うために、以下のパラメータである、締付部材38、40によってプライ22に加えられる締付力F、縁部54が延伸し、締付部材38、40から片持ち支持され、したがって軽打器48によって軽打を受ける距離33、プライ22の温度によって決定されるプライ22の粘度、軽打器48がプライ22の縁部54を叩く(52)力、軽打器48が縁部54を叩く52頻度、及びフィルム層24がプライ22から分離されるべき程度のうちの1つ以上を個別に又は組み合わせて最適化する。
【0023】
ここで、フィルム層24をプリプレグのプライ22から分離する方法のステップを概略的に示す
図9に注目する。ステップ98において、複合プリプレグのプライ22は、プライ22の縁部54を露出させて宙に浮かせた状態で、第1及び第2の締付部材38、40間に締め付けられる。ステップ100において、プライ22の縁部54は、フィルム層24が縁部54においてプライ22から分離するまで軽打される。
【0024】
本開示の例は、例えば、航空宇宙、船舶、自動車用途、及び熱硬化性プリプレグを使用して部品を生産する他の用途を含む様々な潜在的な用途、特に輸送産業における使用を見出し得る。したがって、ここで
図10及び
図11を参照すると、本開示の例は、
図10に示す航空機の製造及び保守点検方法102、及び
図11に示す航空機104の状況において使用され得る。開示された例の航空機用途では、熱硬化性プリプレグを積み重ねることによって生産された様々な部品及び構造を含み得る。量産試作中、製造及び保守点検方法102は、航空機104の仕様及び設計106と、材料調達108と、を含み得る。生産中、航空機104の構成要素及び部分組立品の製造110並びにシステム統合112が行われる。その後、航空機104は、就航中116に置かれるために認証及び搬送114を経ることがある。顧客による就航中116、航空機104は、修正、再構成、及び改修なども含み得る日常の整備及び保守点検118が予定される。
【0025】
製造及び保守点検方法102のプロセスの各々は、システムインテグレータ、サードパーティ、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実行又は実施され得る。この説明の目的上、システムインテグレータは、任意の数の航空機の製造業者及び主要システムの下請け業者を含み得るがこれらに限定されず、サードパーティは、任意の数のベンダ、下請け業者、及び卸売業者を含み得るがこれらに限定されず、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事エンティティ、及びサービス組織などであり得る。
【0026】
図11に示すように、製造及び保守点検方法102によって生産された航空機104は、複数の高水準のシステム122及び内部124を有する機体120を含み得る。高水準のシステム122の例は、推進システム126、電気システム128、油圧システム130、及び環境システム132のうちの1つ以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれ得る。航空宇宙の例が示されているが、本開示の原理は、船舶及び自動車産業などの他の産業に適用されてもよい。
【0027】
ここで例が挙げられている方法及びシステムは、航空機の製造及び保守点検方法102の段階のうちのいずれか1つ以上の間で採用され得る。例えば、構成要素及び部分組立品の製造110に対応する構成要素又は部分組立品は、航空機104の就航中に生産される構成要素又は部分組立品と同様の手法で製作又は製造される。また、1つ以上の装置の例、方法例、又はこれらの組合せが、例えば、航空機104の組立てを実質的に促進又は航空機104のコストを下げることによって、構成要素及び部分組立品の製造110及びシステム統合112中に利用され得る。同様に、装置の例、方法例、又はそれらの組合せのうちの1つ以上が、航空機104が就航中である間に、例えば、限定ではないが整備及び保守点検118に利用され得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「の少なくとも1つ」という語句は、項目のリストとともに使用される場合、列挙された項目のうちの1つ以上の異なる組合せが使用されてもよく、リスト内の各項目のうちの1つのみが必要であってもよいことを意味する。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、制限なく、項目A、項目A及び項目B、又は項目Bを含み得るがこれらに限定されない。この例はまた、項目A、項目B、及び項目C、又は項目B及び項目Cも含み得る。項目は、特定の物体、物事、又はカテゴリであり得る。換言すれば、少なくとも1つとは、任意の組合せ項目及び項目の数がリストから使用され得るが、リスト内の項目の全てが必要とされるわけではないことを意味する。
【0029】
様々な例示的な例の説明は例示及び説明のために提示されており、網羅的であること又は開示された形態の例に限定されることは意図されていない。多くの修正及び変形が、当業者には明らかであろう。さらに、異なる例示的な例は、他の例示的な例と比較して異なる利点をもたらし得る。選択された1つ又は複数の例は、例の原理及び実際の用途を最もよく説明し、かつ企図される特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な例のために本開示を当業者にとって理解可能にするために、選択及び説明されている。
【0030】
[付記項1]
複合プリプレグのプライ(22)に接着されたフィルム層(24)を分離する方法であって、
前記プライ(22)の縁部(54)を宙に浮かせた(80)状態で第1の締付部材(38)と第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を締め付けるステップと、
前記フィルム層(24)が前記縁部(54)において前記プライ(22)から分離する(58)まで、自動化されたシステムを使用して前記プライ(22)の前記縁部(54)を軽打するステップと、
を含む、方法。
[付記項2]
前記プライ(22)が、角部(72)を有し、
前記縁部(54)が、前記プライ(22)の前記角部(72)に位置し、
前記縁部(54)を軽打するステップが、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を締め付けるステップ中に前記角部を軽打するステップによって実行される、
付記項1に記載の方法。
[付記項3]
前記プライ(22)を締め付けるステップが、前記プライ(22)の前記縁部を前記縁部(54)の長さに沿って片持ち支持して宙に浮かせる(80)ように、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を位置決めするステップを含む、付記項2に記載の方法。
[付記項4]
前記プライ(22)を締め付けるステップが、前記角部(72)が前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)を越えて延伸し、かつ前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)から片持ち支持されるように、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を位置決めするステップを含む、付記項2に記載の方法。
[付記項5]
前記プライ(22)を締め付けるステップが、前記プライ(22)の角部(72)を宙に浮かせるステップを含み、
前記縁部(54)を軽打するステップが、前記プライ(22)の前記角部(72)を叩く(52)ステップによって実行される、
付記項1に記載の方法。
[付記項6]
前記角部(72)を叩く(52)ステップが、軽打器(48)を回転(50)させ、前記軽打器(48)を使用して前記プライ(22)の前記角部(72)を繰り返し叩く(52)ステップによって実行される、付記項5に記載の方法。
[付記項7]
前記プライ(22)からの前記フィルム層(24)の分離(58)を、
前記縁部(54)が前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)を越えて延伸する距離(33)と、
前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)によって前記プライ(22)に加えられる締付力(F)と、
前記角部(72)を叩く(52)の間に前記プライ(22)の前記角部(72)に加えられる力と、
前記角部(72)を叩く(52)の頻度と、
前記プライ(22)の温度と、
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離されるべき程度と、
のうちの少なくとも1つを調整することによって最適化するステップをさらに含む、
付記項5に記載の方法。
[付記項8]
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から予め選択された分離(58)の程度分離(58)したときを感知するステップと、
前記予め選択された分離(50)の程度が感知されたときに前記軽打することを終了させるステップと、
をさらに含む、付記項1に記載の方法。
[付記項9]
前記プライ(22)内の樹脂マトリックスの粘度を低下させることによって前記プライ(22)への前記フィルム層(24)の付着を低減させるステップをさらに含む、付記項1に記載の方法。
[付記項10]
前記粘度を低下させるステップが、前記縁部(54)を冷却するステップによって実行される、付記項9に記載の方法。
[付記項11]
前記締付及び軽打するステップが、自動制御エンドエフェクタ(28)によって実行される、付記項1に記載の方法。
[付記項12]
付記項1に記載の方法を使用して組み立てられた航空機の一部分。
[付記項13]
複合プリプレグのプライ(22)からフィルム層(24)を分離するための装置であって、
エンドエフェクタ(28)と、
前記エンドエフェクタ(28)上に取り付けられており、前記プライ(22)を締め付ける締付機構(36)と、
前記プライ(22)の縁部(54)を軽打することによって前記フィルム層(24)を前記プライ(22)から分離(58)する軽打機構(42)と、
を備える、装置。
[付記項14]
前記軽打機構(42)が、前記プライ(22)を繰り返し叩く(52)回転軽打器(48)を含む、付記項13に記載の装置。
[付記項15]
前記締付機構(36)が、第1の締付部材(38)及び第2の締付部材(40)を含み、前記プライ(22)の少なくとも一部分(56)が、前記プライ(22)の前記一部分(56)が前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)から片持ち支持されるように、前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に締め付けられ得る、付記項13に記載の装置。
[付記項16]
前記エンドエフェクタ(28)、前記締付機構(36)、及び前記軽打機構(42)の動作を制御するプログラムされたコントローラ(92)をさらに備える、付記項13に記載の装置。
[付記項17]
前記プログラムされたコントローラ(92)が、
前記締付機構(36)によって前記プライ(22)に加えられる締付力(F)と、
前記軽打機構(42)によって前記プライ(22)に加えられる軽打力と、
前記軽打機構による軽打の頻度と、
前記縁部(54)が前記締付機構(36)を越えて延伸する距離と、
前記プライの温度と、
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離されるべき程度と、
のうちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされている、付記項16に記載の装置。
[付記項18]
前記軽打機構(42)が、前記プライ(22)の縁部(54)を叩く(52)可撓性軽打器(48)を含む、付記項13に記載の装置。
[付記項19]
前記軽打機構(42)が、前記エンドエフェクタ(28)上に取り付けられている、付記項13に記載の装置。
[付記項20]
付記項13に記載の装置を使用して航空機の一部分を製作すること。
[付記項21]
複合プリプレグのプライ(22)からフィルム層(24)を除去するためのシステムであって、
プリプレグのプライ(22)を取り上げ締め付ける第1のロボットシステム(94)と、
前記プライ(22)が前記第1のロボットシステム(94)によって締め付けられている間に前記プライ(22)から前記フィルム層(24)を分離する第2のロボットシステム(96)と、
を備える、システム。
[付記項22]
前記第1のロボットシステム(94)が、
第1の締付部材(38)及び第2の締付部材(40)を含む締付機構(36)を含み、前記第1の締付部材(38)及び前記第2の締付部材(40)が、前記プライ(22)の縁部(54)を露出し宙に浮かせた(80)状態で前記第1の締付部材(38)と前記第2の締付部材(40)との間に前記プライ(22)を締め付けるように構成されている、付記項21に記載のシステム。
[付記項23]
前記第2のロボットシステム(96)が、前記プライ(22)の前記縁部(54)を叩く(52)軽打器(48)を有する軽打機構(42)を含む、付記項22に記載のシステム。
[付記項24]
前記第1のロボットシステム(94)及び前記第2のロボットシステム(96)の動作を制御するプログラムされたコントローラ(92)をさらに備える、付記項23に記載のシステム。
[付記項25]
前記プログラムされたコントローラ(92)が、
前記プライ(22)が前記締付機構(36)を越えて延伸する距離と、
前記締付機構(36)によって前記プライ(22)に加えられる締付力(F)と、
叩く(52)間に前記プライ(22)の前記縁部(54)に加えられる力と、
叩く(52)の頻度と、
前記プライ(22)の温度と、
前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離される(58)べき程度と、
のうちの少なくとも1つを最適化するプログラムされた命令のセット(93)を含む、付記項24に記載のシステム。
[付記項26]
前記第2のロボットシステム(96)が、前記フィルム層(24)が前記プライ(22)から分離された(58)後に前記プライ(22)から前記フィルム層(24)を除去するフィルム層除去器(62)を含む、付記項21に記載のシステム。
[付記項27]
前記プライ(22)を冷却すること(57)によって前記プライ(22)の粘度を低下させるコントローラ(74)をさらに備える、付記項21に記載のシステム。
[付記項28]
前記プライ(22)からの前記フィルム層(24)の分離(58)を感知するためのセンサ(66)をさらに備える、付記項21に記載のシステム。
[付記項29]
付記項21に記載のシステムを使用して航空機の一部分を製作すること。
【符号の説明】
【0031】
20 スタック、22 プライ、22a 側面、22b 側面、24 フィルム層、26 マニピュレータ、28 エンドエフェクタ,第1のエンドエフェクタ、28a 第2のエンドエフェクタ、30 積重ツール、32 取り上げる、33 予め選択された距離、34 移送する、35 片持ち支持する、36 締付機構、38 第1の締付部材、40 第2の締付部材、42 軽打機構、43 内向き、44 衝撃エネルギー、45 冷却器、47 スライド、48 軽打器、49 支持体、50 回転させる、51 移動する、52 叩く、54 縁部、55 システム、56 一部分、57 冷気、58 分離する、60 除去する、62 フィルム層除去器、64 フィルム層巻取器、66 非接触センサ、68 コントローラ、69 プログラムされた命令、70 オンボードプロセッサ、72 角部、74 冷却器、76 ロボット、78 多関節ロボット、80 ぶら下げる、84 アダプタ、86 アダプタ、88 手首、90 手首、92 コントローラ、94 ロボットシステム、96 システム、98 締め付けられる、100 軽打される、102 製造及び保守点検方法、104 航空機、106 仕様及び設計、108 材料調達、110 構成要素及び部分組立品の製造、112 システム統合、114 認証及び搬送、116 就航中、118 整備及び保守点検、120 機体、122 高水準のシステム、124 内部、126 推進システム、128 電気システム、130 油圧システム、132 環境システム、D 距離、F 締付力、L 長さ、W 幅
【外国語明細書】