(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065014
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 21/00 20060101AFI20240507BHJP
B43K 24/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B43K21/00 H
B43K24/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171241
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2022173810
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石郷岡 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】古市 明典
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA08
2C353FE01
2C353FE02
2C353FE04
2C353HA01
2C353HA06
2C353HA07
2C353HA09
2C353HC10
2C353HJ03
(57)【要約】
【課題】筆記部の出没状態の切替操作に伴う衝撃が低減され、従来の筆記具に比べて洗練された印象を使用者に与えることができる筆記具を提供する。
【解決手段】筆記具は、軸筒と、前記軸筒に結合される先部材と、前記先部材からの筆記部の出没状態を切り替える操作が入力される操作部と、前記軸筒及び前記先部材によって形成される内側空間において、前記操作部に連動して前後方向に移動可能な可動部材と、前記内側空間内に位置し、前記操作部に連動する前記可動部材の後退時の衝撃を緩和するように構成された緩衝部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒と、
前記軸筒に結合される先部材と、
前記先部材からの筆記部の出没状態を切り替える操作が入力される操作部と、
前記軸筒及び前記先部材によって形成される内側空間において、前記操作部に連動して前後方向に移動可能な可動部材と、
前記内側空間内に位置し、前記操作部に連動する前記可動部材の後退時の衝撃を緩和するように構成された緩衝部と、
を備える筆記具。
【請求項2】
前記先部材の後端部は、雌ねじを内周に有し、
前記軸筒は、
該軸筒の外周に形成されて前記先部材の前記雌ねじに螺合する雄ねじと、
前記雄ねじの前方に位置して前記可動部材の後退量を規制するためのストッパと、
を有し、
前記緩衝部は、前記先部材の内部において前記前後方向に移動可能な前記可動部材と、前記軸筒の前記ストッパとの間に設けられる
請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記雄ねじの後方の前記軸筒の外周を覆うグリップと、
前記雄ねじが形成された軸方向範囲を越えて前記前後方向に延在し、前記グリップと前記緩衝部とを接続する接続部と、
を備え、
前記グリップ、前記接続部および前記緩衝部は、エラストマにより一体的に構成された
請求項2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記緩衝部は、前記軸筒を構成する樹脂材料と、前記緩衝部を構成するエラストマとの一体成形により、前記軸筒の前記ストッパと一体的に設けられた
請求項2に記載の筆記具。
【請求項5】
前記軸筒は、前記軸筒の内周面から径方向内側に突出し、前記可動部材の後退量を規制するためのストッパを有し、
前記緩衝部は、前記軸筒の内部において前記前後方向に移動可能な前記可動部材と、前記軸筒の前記ストッパとの間に設けられる
請求項1に記載の筆記具。
【請求項6】
前記緩衝部は、前記可動部材の後方に設けられ、
前記緩衝部は、前記可動部材との接触面に複数の凸部を有する
請求項1乃至5の何れか一項に記載の筆記具。
【請求項7】
軸筒と、
前記軸筒に結合される先部材と、
前記先部材からの筆記部の出没状態を切り替える操作が入力される操作部と、
前記軸筒及び前記先部材によって形成される内側空間において、前記操作部に連動して前後方向に移動可能な可動部材と、
前記操作部、または、前記操作部に連動する前記可動部材の後退時の衝撃を緩和するように構成された少なくとも一つの緩衝部と、
を備える筆記具。
【請求項8】
前記軸筒は、前記可動部材の後退量を規制するための第1ストッパを有し、
前記緩衝部は、
前記先部材の内部において前記前後方向に移動可能な前記可動部材と、前記軸筒の前記第1ストッパとの間に設けられる第1緩衝部
を含む
請求項7に記載の筆記具。
【請求項9】
前記軸筒の外周を覆うグリップと、
前記グリップと前記第1緩衝部とを接続する接続部と、
を備え、
少なくとも前記グリップ、前記接続部および前記第1緩衝部は、エラストマにより一体的に構成された
請求項8に記載の筆記具。
【請求項10】
前記第1緩衝部は、前記軸筒を構成する樹脂材料と、前記第1緩衝部を構成するエラストマとの一体成形により、前記軸筒の前記第1ストッパと一体的に設けられた
請求項8又は9に記載の筆記具。
【請求項11】
前記操作部は、前記軸筒の外周に設けられて前記前後方向に移動可能なサイドスライダであり、
前記軸筒は、前記軸筒の外周面から径方向外側に突出し、前記サイドスライダの後退量を規制するための第2ストッパを有し、
前記緩衝部は、
前記操作部としての前記サイドスライダと、前記第2ストッパとの間に設けられる第2緩衝部
を含む
請求項7又は8に記載の筆記具。
【請求項12】
前記軸筒の外周を覆うグリップを備え、
少なくとも前記グリップおよび前記第2緩衝部は、エラストマにより一体的に構成された
請求項11に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、先部材からの筆記部の出没状態を操作部によって切替可能な筆記具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ボールチャック機構により把持される筆記芯が、操作体の操作によって繰り出し可能に構成されたシャープペンシルが記載されている。
特許文献1記載のシャープペンシルは、操作体を押圧すると、中間把持部材が前進し、中間把持部材の把持部に把持された筒状体がチャック及び芯とともに前進する。操作体に対する押圧を解除すると、コイルスプリングの弾発力によって中間把持部が後退し、中間把持部の把持部によって把持された筒状体も後退する。この際、筆記芯は先部材の内部に設けられる芯保持部によって保持されており、筆記芯は前進した位置を維持し、結果的に筆記芯が繰り出される。
【0004】
また、特許文献2には、コレットチャック機構により把持される筆記芯が、ノックレバーの操作によって繰り出し可能に構成されたシャープペンシルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-127404号公報
【特許文献2】実用新案登録第3005020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1又は2記載の筆記具では、先部材からの筆記部の出没状態を操作部によって切り替える際、操作部または操作部と連動する可動部材の後退時に衝撃が発生し、望ましくない音の発生の原因になる。これに加えて、可動部材の後退時に発生する衝撃は、操作の反動として使用者に伝わってしまう。
【0007】
従来、筆記部の出没状態の切替操作に伴う上記問題は、筆記具の機能に実質的に影響しないため、筆記具という商品カテゴリにおいて許容されてきた。
【0008】
しかし、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、筆記具というカテゴリに縛られた商品開発では需要者に商品価値を訴求することが難しくなりつつある。今後は、従来の筆記具としての機能向上を重視した商品開発ではなく、これまでの筆記具では得られなかったユーザ体験を提供できるような商品の開発が望まれる。
【0009】
新たな商品開発の方向性を模索する中で、本発明者らは、スマートフォンやタブレット端末に似通った洗練された印象を需要者に喚起させるために、筆記部の出没状態の切替操作に伴う衝撃を軽減することが重要であるとの認識を得るに至った。
【0010】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、筆記部の出没状態の切替操作に伴う衝撃が低減され、従来の筆記具に比べて洗練された印象を使用者に与えることができる筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る筆記具は、
軸筒と、
前記軸筒に結合される先部材と、
前記先部材からの筆記部の出没状態を切り替える操作が入力される操作部と、
前記軸筒及び前記先部材によって形成される内側空間において、前記操作部に連動して前後方向に移動可能な可動部材と、
前記内側空間内に位置し、前記操作部に連動する前記可動部材の後退時の衝撃を緩和するように構成された緩衝部と、
を備える。
【0012】
本発明の少なくとも幾つかの他の実施形態に係る筆記具は、
軸筒と、
前記軸筒に結合される先部材と、
前記先部材からの筆記部の出没状態を切り替える操作が入力される操作部と、
前記軸筒及び前記先部材によって形成される内側空間において、前記操作部に連動して前後方向に移動可能な可動部材と、
前記軸筒の外周を覆うグリップと、
前記グリップと一体的に設けられ、前記操作部、または、前記操作部に連動する前記可動部材の後退時の衝撃を緩和するように構成された少なくとも一つの緩衝部と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、先部材からの筆記部の出没状態の切替操作に伴う衝撃音や反動が低減され、従来の筆記具に比べて洗練された印象を使用者に与えることができ、筆記具の商品価値の向上に資する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る筆記具の外観を示す図である。
【
図2】
図1の筆記具の一部を示す斜視断面図である。
【
図4】
図1に示す筆記具の幾つかの部品を示す分解斜視図である。
【
図5】他の実施形態に係る筆記具の緩衝部の構成を示す斜視図である。
【
図6】他の実施形態に係る筆記具の緩衝部の構成を示す斜視図である。
【
図7】他の実施形態に係る筆記具の外観を示す図である。
【
図8】他の実施形態に係る筆記具の先端側の内部構造を示す図である。
【
図9】
図8に示す筆記具の幾つかの部品を示す分解斜視図である。
【
図10】さらに別の実施形態に係る筆記具の前方側の部位を示す部分断面図である。
【
図11】一実施形態における筆記具のサイドスライダを示す斜視図である。
【
図12A】
図11に示すサイドスライダの軸筒への取付状態の例を示す筆記具の部分側面図である。
【
図13A】
図11に示すサイドスライダの軸筒への取付状態の他の例を示す筆記具の部分側面図である。
【
図14】さらに別の実施形態に係る筆記具のサイドスライダを示す斜視図である。
【
図15A】
図14に示すサイドスライダの軸筒への取付状態の例を示す筆記具の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態に係る筆記具は、筆記具の先端からの筆記部の出没状態を切り替え可能な構造であれば特に限定されず、例えば、シャープペンシル、ボールペン、マーカーペン等であってもよい。
【0017】
はじめに、
図1~6を参照して、シャープペンシルとしての筆記具100について説明する。但し、
図1~6を参照して以下で説明する内容は、シャープペンシル固有の機構及び構造を除き、任意の形式の筆記具100に当てはまる。
【0018】
図1は、一実施形態に係る筆記具の外観を示す図である。
図2は、
図1の筆記具の一部を示す斜視断面図である。
図3は、
図1の筆記具の一部を示す断面図である。
図4は、
図1に示す筆記具の幾つかの部品を示す分解斜視図である。
図5は、他の実施形態に係る筆記具の緩衝部(第1緩衝部)の構成を示す斜視図である。
図6は、他の実施形態に係る筆記具の緩衝部(第2緩衝部)の構成を示す斜視図である。
【0019】
なお、
図1~
図4において、方向xは、筆記具100の中心軸に沿った筆記具100の軸方向であり、本明細書では筆記具100の前後方向とも称される。これに対し、
図1~
図4において、方向rは、筆記具100の中心軸を基準とした径方向である。
また、本明細書において、説明の便宜上、筆記具100における各部材の位置関係を筆記具100の「前」、「前方」(または「後」、「後方」)と表記する場合がある。筆記具100の「前」又は「前方」とは、筆記具100の中心軸に沿った筆記具100の前後方向(軸方向)xにおける先部材20側を意味する。これに対し、筆記具100の「後」又は「後方」とは、筆記具100の中心軸(方向x)に沿った筆記具100の前後方向における先部材20とは反対側を意味する。
【0020】
幾つかの実施形態では、
図1~
図4に示すように、筆記具100A(100)は、軸筒10と、軸筒10に結合される先部材20と、使用者による操作が入力される操作部30とを備える。軸筒10の外周は、後述のグリップ40によって覆われる。軸筒10及び先部材20によって形成される筆記具100Aの内側空間には可動部材50が設けられる。可動部材50は、操作部30に連動して筆記具100Aの内側空間を前後方向に移動可能である。筆記具100A(100)は、操作部30に連動する可動部材50の後退時の衝撃を緩和するための第1緩衝部60を備える。
なお、軸筒10と先部材20との結合は、螺着、圧入、嵌合等の任意の手段によって実現され得るが、
図2~
図4には、軸筒10に先部材20を螺着した構造を例示している。
【0021】
軸筒10は、筆記具100の軸方向に沿って延在する1以上の筒状の中空部品によって構成される。
幾つかの実施形態では、軸筒10は、
図1に示すように、前軸2と、前軸2よりも後方に位置するとともに前軸2に結合される後軸4とを含む。他の実施形態は、軸筒10は単一の筒状部材によって構成される。さらに別の実施形態では、軸筒10は、3以上の筒状部材を筆記具100の前後方向に接続することで構成される。
【0022】
軸筒10の材質は特に限定されず、任意の材料によって構成され得る。軸筒10の構成材料として、例えば、金属、樹脂、セラミックス、又は、これらの複合材料が挙げられる。軸筒10の構成材料としての樹脂は、例えば、ポリカーボネート又はABS等の硬質樹脂であってもよい。
【0023】
図2及び
図3に示す実施形態では、軸筒10(前軸2)は、第1ストッパ11と、軸筒10(前軸2)の外周に形成される雄ねじ12と、を有する。軸筒10の第1ストッパ11は、軸筒10における雄ねじ12の形成位置よりも前方に位置する。軸筒10の第1ストッパ11は、軸筒10に先部材20が結合された状態において、先部材20の内部空間に侵入している。
図4及び
図5に示す例では、軸筒10の外周の雄ねじ12は、周方向に関して不連続であり、複数の雄ねじ12A,12Bに分割して形成される。すなわち、複数の雄ねじ12A,12Bが、周方向に間隔を空けて軸筒10の外周面に配置される。周方向に間隔を空けて配置された複数の雄ねじ12A,12Bは、ねじ山が通る螺旋状の軌跡は共通しており、各々の雄ねじ12A,12Bが後述する先部材20の雌ねじ22に螺合するようになっている。なお、
図4及び
図5には、軸筒10の外周の雄ねじ12の周方向における分割数が2である例を示したが、雄ねじ12の周方向における分割数は3以上であってもよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、
図4に示すように、軸筒10(前軸2)は、後述の操作部30(サイドスライダ30A)を前後方向に案内するための案内溝13と、案内溝13の溝底に形成された係合窓14とを有する。
案内溝13は、筆記具100Aの軸方向に延在するように軸筒10(前軸2)の外周に設けられる。案内溝13の形状は特に限定されない。
図1、
図2及び
図4に示す例では、案内溝13は、互いに対向するように筆記具100Aの軸方向に沿って延在する一対の直線壁と、該一対の直線壁の前方端をそれぞれ接続する湾曲壁とによって形成されるトラック形状の溝である。
係合窓14は、後述の操作部30を取り付けるための開口であり、前軸2を貫通して前軸2の内部空間と外部とを連通するようになっている。
【0025】
軸筒10(前軸2)は、
図1、
図2、
図4に示すように、案内溝13の後方における軸筒10(前軸2)の外周面から径方向外側に突出し、操作部30(サイドスライダ30A)の後退量を規制するための第2ストッパ15を有する。
第2ストッパ15は、前軸2の他の部位から隆起している。第2ストッパ15は、グリップ40によって覆われずに筆記具100Aの外表面に露出していてもよい。この場合、第2ストッパ15は、筆記具100Aの意匠性に影響を与えるため、
図1及び
図4に示すとおり、案内溝13と、操作部30と、第2ストッパ15と、後軸4に設けられたクリップ6とを前後方向に整列させてもよい。そのために、後軸4の前端部には第2ストッパ15に対応する切欠き5(
図1参照)が設けられ、前軸2に後軸4を結合した状態において、前軸2の第2ストッパ15を後軸4の切欠き5に若干の隙間を有しながらも係合させる。これにより、前軸2に対する後軸4の周方向の位置決めがなされ、上述した案内溝13、操作部30、第2ストッパ15およびクリップ6の整列を実現できる。
【0026】
先部材20は、前端に前端開口を有し、筆記具100の筆記可能状態において、筆記部200が先部材20の前端開口から突出するようになっている。
図2及び
図3に示す実施形態では、先部材20は、シャープペンシル100Aの先金であり、筆記部200としての筆記芯が先部材20(先金)の前端開口に取り付けられた芯パイプ201から突出することで、シャープペンシル100Aが筆記可能な状態となる。なお、本実施形態においては、金属材質からなる先部材(先金)としているが、樹脂材質で成形した先部材としてもよい。
【0027】
先部材20の後端部21は、筆記部200が突出又は没入する前端開口とは反対側において、軸筒10の第1ストッパ11の外径よりも大きな直径の後端開口を有する。先部材20は、先部材20の後端開口と連通する内部空間を有し、先部材20の内部空間には後述する可動部材50が少なくとも部分的に収容される。
先部材20は、
図2及び
図3に示すように、先部材20の内周に形成された雌ねじ22を有する。雌ねじ22は、上述した雄ねじ12(12A,12B)とは対照的に、周方向に連続して設けられてもよい。
【0028】
操作部30は、先部材20からの筆記部200の出没状態を切り替えるための使用者の操作の入力を受けるように構成される。使用者による入力は、操作部30の具体的構造に応じて任意の形態をとり得る。例えば、使用者による入力は、操作部30の押圧(ノック)であってもよいし、操作部30のスライドであってもよい。
操作部30を介した使用者からの入力は、後述する可動部材50に伝達され、可動部材50の位置に応じて筆記部200の出没状態が切り替わる。操作部30の設置位置は特に限定されず、例えば、筆記具100の後端に設けられてもよいし、筆記具100の側面(軸筒10の外周)に設けられてもよい。
【0029】
図1、
図2及び
図4に示す実施形態では、操作部30は、軸筒10(前軸2)の外周に前後方向に摺動自在に設けられたサイドスライダ30Aである。サイドスライダ30Aは、案内溝13に嵌合可能なスライド板部32と、スライド板部32の裏面から径方向内側に突出した一対の係合爪34及び係合凸部36とを有する。
なお、スライド板部32の表面は、鏡面加工が施された平滑面であってもよいし、シボ加工によって微細な凹凸が形成された凹凸面であってもよい。
【0030】
スライド板部32は、案内溝13の前後方向の長さよりも小さい全長、および、案内溝13の溝幅に略対応する板幅を有する。
スライド板部32の具体的形状は特に限定されないが、統一感のあるデザインを実現する観点から案内溝13に対応した形状を有してもよい。
図1及び
図4に示す例では、サイドスライダ30Aのスライド板部32は、案内溝13に対応するトラック形状を有する。
【0031】
一対の係合爪34は、スライド板部32の幅方向における両端に設けられる。各々の係合爪34は、スライド板部32の裏面のうちスライド板部32の幅方向端部の位置から径方向内側に突出している。
一対の係合爪34は、サイドスライダ30Aの軸筒10(前軸2)への取付時、弾性変形しながら係合窓14の内部に押し込まれる。一対の係合爪34の係合窓14への押し込みが完了すると、係合窓14の幅方向における両縁に一対の係合爪34がそれぞれ係合する。これにより、サイドスライダ30Aの軸筒10(前軸2)からの脱落が防止される。
【0032】
一対の係合爪34の間には、上述の係合凸部36が設けられる。係合凸部36は、サイドスライダ30Aのスライド板部32の裏面のうち一対の係合爪34の間の位置から径方向内側に突出して設けられる。係合凸部36は、スライド板部32の板幅方向の略中央の位置において、スライド板部32の裏面から径方向内側に突出して設けられる。係合凸部36は、中継部材210の凹部213に係合する形状となっているため、サイドスライダ30Aが誤って前後逆向きに取り付けられそうになった際、中継部材210の凸部によって押し込みが阻害され、取り付けることができないようになっている。
【0033】
なお、筆記具100Aの前後方向において、各々の係合爪34は、係合窓14よりも小さな寸法を有する。すなわち、
図4に示すように、各々の係合爪34の軸方向に沿った幅W1は、係合窓14の軸方向に沿った窓長W2よりも小さい。
このため、案内溝13内におけるサイドスライダ30Aの移動が許容される。
【0034】
係合爪34の前端34Aは、
図2に示すように、操作部30を介した使用者からの入力を後述の可動部材50に伝達するための中継部材210の鍔部211に係合する。これにより、中継部材210は、操作部30に連動して筆記具100Aの前後方向に移動可能である。
なお、中継部材210は、前軸2と中継部材210との間に設けられるスプリング214によって後方に付勢されており、操作部30への入力が解除されると中継部材210はスプリング214の付勢力によって後退するようになっている。
【0035】
グリップ40は、使用者による筆記具100の把持領域に設けられる弾性体である。
グリップ40は、軸筒10(前軸2)の外周を少なくとも部分的に覆うように設けられる。
図1に示す例示的な実施形態では、グリップ40は、前軸2の大部分を覆うように前軸2の外周に設けられる。具体的には、前軸2の外周のうち案内溝13及び第2ストッパ15を除く領域がグリップ40によって覆われる。
【0036】
グリップ40を構成する弾性体は、エラストマ製であってもよい。
ここで、本明細書における「エラストマ」は、弾性を有する高分子の総称であり、例えば、シリコーンゴム、NBR、合成ゴム、天然ゴム等が含まれる。
【0037】
幾つかの実施形態では、
図2~
図5に示すように、雄ねじ12(12A,12B)の後方で軸筒10(前軸2)を覆うグリップ40と、可動部材50の後退時の衝撃を緩和するための後述の第1緩衝部60と、グリップ40と第1緩衝部60とを接続する接続部42とが、エラストマにより一体的に構成される。
【0038】
ここで、接続部42は、雄ねじ12(12A,12B)が形成される軸方向範囲を越えて筆記具100Aの前後方向に延在する。接続部42の前方端は、雄ねじ12(12A,12B)の前方に位置する第1緩衝部60に接続される。接続部42の後方端は、雄ねじ12(12A,12B)の後方に位置するグリップ40に接続される。
図4及び
図5に示す例では、接続部42は、周方向に分断された複数の雄ねじ12(12A,12B)の間を通過して前後方向に延在する。接続部42の外周面は、雄ねじ12(12A,12B)の谷よりも径方向内側に位置し、雄ねじ12(12A,12B)と雌ねじ22との螺合を阻害しないようになっている。
【0039】
幾つかの実施形態では、
図1、
図2、
図4及び
図6に示すように、筆記具100Aは、操作部30としてのサイドスライダ30Aの後退時の衝撃を緩和するための第2緩衝部70を備える。
第2緩衝部70は、筆記具100Aの前後方向において、サイドスライダ30Aと第2ストッパ15との間に設けられる。グリップ40及び第2緩衝部70は、エラストマにより一体的に構成される。
【0040】
可動部材50は、軸筒10及び先部材20によって形成される筆記具100Aの内側空間に設けられ、操作部30に連動して前後方向に移動可能である。
幾つかの実施形態では、
図1~
図4に示すように、筆記部200としての筆記芯を把持するためのチャックセット220(ボールチャックセット220A)が中継部材210の前方側に設けられ、可動部材50はチャックセット220(220A)の構成部品としてのチャック外筒110である。
【0041】
図2~
図4に示すチャックセット220(220A)では、筆記部200を把持するためにボールチャック機構を採用している。
チャックセット220(220A)は、少なくとも部分的に軸筒10(前軸2)に挿入されるチャック外筒110と、チャック外筒110の内部に収容された状態でチャック外筒110に対して前後に相対移動可能なチャック120とを含む。
【0042】
チャック外筒110の後端側には、中継部材210が摺動可能に挿入されている。チャック外筒110は、後端側の内周面にテーパ112を有し、操作部30による筆記部200の繰り出し操作に伴い、中継部材210はテーパ112(
図3参照)によって先細りとなるチャック外筒110の内部空間内を奥側(前方)へと摺動し、中継部材210の隆起部212とチャック外筒110との嵌合がきつくなっていく。こうして、チャック外筒110の後端側の内周面にテーパ112を形成することで、操作部30の前後方向の移動量に応じて、中継部材210の隆起部212とチャック外筒110との嵌合力を切り替えることが可能である。
チャック外筒110は、前端側の外周面にフランジ114を有する。チャック外筒110は、先部材20の内部の段差面とフランジ114との間に設けられたスプリング115によって後方に付勢される。このため、操作部30への入力が解除された状態において、チャック外筒110は、軸筒10(前軸2)の第1ストッパ11によって規制される原位置まで後退する。かかるチャック外筒110の後退状態では、後述の第1緩衝部60がチャック外筒110のフランジ114と軸筒10の第1ストッパ11との間に介在している。
チャック外筒110は内部に空洞を有し、この空洞にチャック120を収容可能になっている。チャック外筒110内の空洞には、チャック120に加えて、チャック120を後方に向けて付勢するためのスプリング118が収容される。
【0043】
サイドスライダ30Aの操作に伴い中継部材210が前進すると、チャック外筒110は、チャック外筒110の前端が先部材20の内部の段差面に接触するまで前方に移動する。
その後、サイドスライダ30Aの操作量がさらに増えると、中継部材210は、それ以上前進できないチャック外筒110の内部を前方に移動し、チャック外筒110の内部でチャック120を前方へと押圧する。その結果、チャック120は、チャック外筒110に対して相対的に前方へと移動する。
【0044】
チャック120は、複数のチャック片に分割され、チャック片間の隙間の増減によってチャック120の開状態と閉状態とが切替可能になっている。
チャック120には、前端側の外周面に凹部132が設けられる。凹部132には、ボール134が嵌合する。ボール134は、チャック120の前端部を覆うチャックリング136とチャック120との間に保持される。チャックリング136は、チャック外筒110に固定されており、前方に向かって拡径するテーパ部を有する。ボール134は、径方向外側でチャックリング136のテーパ部に当接し、径方向内側で凹部132の凹面に当接する。
チャック120の閉状態において、スプリング118によってチャック120は後方に付勢され、チャックリング136のテーパ部の楔効果によって各チャック片は、ボール134から径方向内側への押圧力を受けてチャック120は閉じられる。他方、チャック外筒110に固定されたチャックリング136に対してチャック120が相対的に前進すると、ボール134がチャックリング136のテーパ部上を前方に向かって転がり、チャック片間の隙間が広がり、チャック120は開状態に移行する。
なお、チャックリング136の前方の開口には、チャックストッパ138が嵌合する。
【0045】
第1緩衝部60は、軸筒10(前軸2)及び先部材20によって形成される筆記具100Aの内側空間内に位置し、チャック外筒110(可動部材50)の後退時の衝撃を緩和する。
上述のとおり、チャック外筒110(可動部材50)は、操作部30の操作に連動して先部材20の内部の段差面に当接するまで前進可能である。この状態で、操作部30への入力が解除されると、チャック外筒110及びチャック外筒110に嵌合された中継部材210が、スプリング115,214の付勢力によって後退し、チャック外筒110のフランジ114は軸筒10(前軸2)の第1ストッパ11に衝突しようとする。この際、第1緩衝部60が、チャック外筒110のフランジ114と軸筒10の第1ストッパ11との間に介在するため、フランジ114の第1ストッパ11への直接的な衝突が防止され、チャック外筒110(可動部材50)の後退時の衝撃が緩和される。
【0046】
第1緩衝部60は、軸筒10(前軸2)の第1ストッパ11の構成材料よりも衝撃吸収性に優れる衝撃吸収材により構成されてもよい。衝撃吸収性は、衝撃吸収材のサンプルに対して上方から重りを落下させ、その時の衝撃の大きさおよびエネルギー吸収を測定することで評価可能である。
第1緩衝部60は、エラストマ製であってもよい。上述のとおり、
図2~
図5に示す例示的な実施形態では、第1緩衝部60は、グリップ40、第1緩衝部60および接続部42が、エラストマにより一体的に構成される。
【0047】
幾つかの実施形態では、第1緩衝部60は、
図5に示すように、可動部材50の後方に設けられ、可動部材50との接触面に複数の凸部62を有する。
図5に示す例示的な実施形態では、2つの雄ねじ12A,12Bを分断する一対の接続部42が互いに対向するように前軸2の中心軸を挟んで両側に配置され、各々の凸部62は、一方の接続部42から他方の接続部42に向かう方向(
図5の上下方向)に沿って延在する。
なお、本数、形状および延在方向を含む凸部62の具体的構成は、
図6に示した例に限定されず、任意の構成を採り得る。
【0048】
第2緩衝部70は、軸筒10(前軸2)の外周側に位置し、操作部30(サイドスライダ30A)の後退時の衝撃を緩和する。
使用者からの入力によってサイドスライダ30Aは案内溝13に沿って前方に移動可能である。この状態で、サイドスライダ30Aへの入力が解除されると、係合爪34の前端34Aが鍔部211に係合することで中継部材210に連動するサイドスライダ30Aは、スプリング214の付勢力によって後退し、サイドスライダ30Aの後端部が第2ストッパ15に衝突しようとする。この際、第2緩衝部70が、サイドスライダ30Aと第2ストッパ15との間に介在するため、サイドスライダ30Aの第2ストッパ15への直接的な衝突が防止され、サイドスライダ30A(操作部30)の後退時の衝撃が緩和される。
【0049】
第2緩衝部70は、軸筒10(前軸2)の第2ストッパ15の構成材料よりも衝撃吸収性に優れる衝撃吸収材により構成されてもよい。衝撃吸収性は、衝撃吸収材のサンプルに対して上方から重りを落下させ、その時の衝撃の大きさおよびエネルギー吸収を測定することで評価可能である。
第2緩衝部70は、エラストマ製であってもよい。上述のとおり、
図1、
図2、
図4及び
図6に示す例示的な実施形態では、第2緩衝部70及びグリップ40は、エラストマにより一体的に構成される。
【0050】
幾つかの実施形態では、第2緩衝部70は、
図6に示すように、サイドスライダ30Aの後方に設けられ、サイドスライダ30Aとの接触面に複数の凸部72を有する。
図6に示す例示的な実施形態では、各々の凸部72は案内溝13の溝深さ方向に沿って延在する。
なお、本数、形状および延在方向を含む凸部72の具体的構成は、
図6に示した例に限定されず、任意の構成を採り得る。
【0051】
図1、
図2及び
図4に示す実施形態では、第2緩衝部70は、案内溝13によって形成されるトラック形状の円弧部分に沿った湾曲形状を有し、スライド板部32のトラック形状の後端部の円弧部分の曲率半径よりも、第2緩衝部70の湾曲形状の曲率半径の方が大きい。
このため、スライド板部32の後端部のうち幅方向中央領域が選択的に第2緩衝部70と接触しやすくなっている。
なお、
図1、
図2及び
図4には、案内溝13及び第2緩衝部70が全体としてトラック形状をなす例を示したが、案内溝13及び第2緩衝部70が全体としてなす形状の他の例には、長丸形や長円形、楕円形等が包含される。
【0052】
しかし、スライド板部32の後端部および第2緩衝部70の形状を工夫することで、スライド板部32と第2緩衝部70の接触位置および接触態様を任意に変更することができる。
【0053】
図7は、他の実施形態に係る筆記具の外観を示す図である。
図7に示す実施形態では、
図1、
図2及び
図4に示す上述の実施形態とは異なり、操作部30としてのサイドスライダ30Bは略矩形である。これに対し、第2緩衝部70は、案内溝13によって形成されるトラック形状の円弧部分に沿った湾曲形状を有する。その結果、サイドスライダ30Bのスライド板部32の後端部のうち幅方向両端領域(スライド板部32の角部)が選択的に第2緩衝部70と接触しやすくなっている。
【0054】
続けて、
図1~
図7を参照して説明した筆記具100(100A,100B)とはチャック機構が異なる他の実施形態の筆記具100Cについて説明する。筆記具100Cは、コレットチャック機構を備えたシャープペンシルである。
図8は、一実施形態に係る筆記具100Cの一部を示す断面図であり、筆記具100Cの先端側の内部構造を示す図である。
図9は、
図8に示す筆記具100Cの幾つかの部品を示す分解斜視図である。
【0055】
幾つかの実施形態では、筆記具100(100C)は、
図8に示すように、軸筒10と、軸筒10に結合される先部材20と、使用者による操作が入力される操作部30(サイドノック30C)とを備える。軸筒10の外周は、グリップ40によって覆われる。軸筒10及び先部材20によって形成される筆記具100Cの内側空間には可動部材50が設けられる。可動部材50は、操作部30(30C)に連動して、筆記具100Cの内側空間において前後方向に移動可能である。筆記具100Cは、操作部30(30C)に連動する可動部材50の後退時の衝撃を緩和するための第1緩衝部60を備える。
【0056】
軸筒10及び先部材20の結合は、筆記具100Aと同様に、軸筒10の外周に設けられた雄ねじ12と、先部材20の後端部の内周に設けられた雌ねじ22の螺合によって実現されてもよい。
軸筒10は、雄ねじ12よりも前方に位置して可動部材50の後退量を規制するための第1ストッパ11を含む。第1緩衝部60は、先部材20の内部において前後方向に移動可能な可動部材50と、軸筒10の第1ストッパ11との間に設けられる。
【0057】
図8及び
図9に示す例示的な実施形態では、サイドノック30Cは、軸筒10の外周に設けられた開口18に取り付けられ、使用者が径方向内側に押し込む(ノックする)ことが可能に構成されている。
サイドノック30Cは、使用者の指等による押圧力を受ける上板部33と、上板部33の板幅方向の両端から垂下する一対の側壁とを有する。一対の側壁の互いに対向する面には、上板部33からの距離の増加に伴い後方に傾斜するテーパ面38が形成される。
図8に示す例では、一対のテーパ面38がサイドノック30Cの各側壁の対向面に設けられている。各々のテーパ面38は、サイドノック30Cの各側壁の対向面に設けられた隆起部39によって画定される逆三角形の三辺のうち前方側の一辺を構成する。
サイドノック30Cへの入力を可動部材50に伝達するための中継部材210の外周には、サイドノック30Cのテーパ面38に対応するテーパ面218が設けられる。
図8に示す例では、軸筒10の内周面に対して摺動可能に当接する一対の突出部219が中継部材210の外周に設けられ、各々の突出部219の後端面がテーパ面218を形成する。
サイドノック30Cが使用者によって軸筒10の内部へと径方向内側に押し込まれると、サイドノック30Cのテーパ面38および中継部材210のテーパ面218の当接部を介して、径方向内側に向かう入力が前方に向かう力に変換され、中継部材210が前方へと押圧される。
なお、中継部材210は、スプリング216によって後方へと付勢されており、操作の入力が解除されると、中継部材210及びサイドノック30Cが原位置に復帰する。
【0058】
中継部材210の前方には、チャックセット220(220B)のチャック121が設けられる。チャック121の後端部は中継部材210の前方に設けられた嵌合孔に嵌合しており、チャック121は中継部材210とともに前後方向に移動可能である。
チャック121は前方部分が半割構造になっており、チャック121の外周に嵌合するチャックリング139から径方向内側に向かう力を受けることでチャック121が閉状態となり、筆記部200としての筆記芯を把持するようになっている。
【0059】
サイドノック30Cの操作によって中継部材210とともにチャック121が前進すると、チャック121の外周に嵌合したチャックリング139もチャック121とともに前進を開始する。チャックリング139が先部材20の内部の段差面に当接すると、チャックリング139の前進は停止する。なお、この状態で、さらにチャック121が前進すると、チャック121とチャックリング139の嵌合が解除され、チャック121は開状態になって筆記芯の把持が解除される。
【0060】
その後、サイドノック30Cの操作の入力が解除されると、スプリング216の付勢力によって、中継部材210、チャック121及びチャックリング139がそれぞれの原位置に向かって後退する。このとき、チャックリング139の前方フランジ部は、軸筒10の第1ストッパ11に衝突しようとする。
しかし、
図8に示すように、第1緩衝部60が、可動部材50としてのチャックリング139の前方フランジ部と、軸筒10の第1ストッパ11との間に介在しているため、チャックリング139の後退時の衝撃が緩和される。
【0061】
幾つかの実施形態では、
図8及び
図9に示すように、第1緩衝部60は、軸筒10の第1ストッパ11の前端面を覆うように軸筒10と一体的に設けられる。
第1緩衝部60は、軸筒10を構成する樹脂材料と、第1緩衝部60を構成するエラストマとの一体成形により、第1ストッパ11と一体的に設けられてもよい。このような軸筒10及び第1緩衝部60の一体成形は、多色成形と称される成形法により実現可能である。
【0062】
続けて、さらに別の実施形態に係る筆記具100Dについて述べる。筆記具100Dは、デビットカム機構を備えたボールペンである。
図10は、さらに別の実施形態に係る筆記具の前方側の部位を示す部分断面図である。
【0063】
幾つかの実施形態では、筆記具100(100D)は、
図10に示すように、軸筒10に結合される先部材20と、使用者による操作が入力される操作部30(サイドスライダ30D)とを備える。軸筒10及び先部材20によって形成される筆記具100Cの内側空間には可動部材50が設けられる。可動部材50は、操作部30(30D)に連動して、筆記具100Dの内側空間において前後方向に移動可能である。筆記具100Dは、操作部30(30D)に連動する可動部材50の後退時の衝撃を緩和するための第1緩衝部60を備える。
【0064】
図10に示す実施形態において、軸筒10及び先部材20の結合は、筆記具100Aと同様に、軸筒10の外周に設けられた雄ねじ12と、先部材20の後端部の内周に設けられた雌ねじ22の螺合によって実現されてもよい。
軸筒10は、雄ねじ12よりも後方に位置して可動部材50の後退量を規制するための第1ストッパ11を含む。第1ストッパ11は、軸筒10の内周面から径方向内側に突出する内側段差によって形成される。第1緩衝部60は、先部材20の内部において前後方向に移動可能な可動部材50と、軸筒10の第1ストッパ11との間に設けられる。
【0065】
図10に示す例示的な実施形態では、サイドスライダ30Dは、軸筒10の外周に設けられた開口18に取り付けられ、使用者が前方にスライドさせることが可能に構成されている。
【0066】
サイドスライダ30Dは、筆記具100Dの外周面に露出したスライド板部32と、スライド板部32の裏面から突出して設けられるリング部37とを含む。
リング部37は筆記具100Dの中心軸を中心とするリング状の保持具であり、リング部37にはデビットカム機構の摺動子310が嵌入される。こうして、摺動子310は、リング部37によって保持され、サイドスライダ30Dとともに軸筒10内を前後方向に移動可能である。
【0067】
摺動子310は、前方側の外周に設けられた複数の凸部312を有する。複数の凸部312は周方向に等ピッチで設けられる。各々の凸部312は、軸筒10の内周面に前後方向に沿って設けられた案内溝に係合する。このため、摺動子310は、凸部312が軸筒10の内周面の案内溝に案内されることで、サイドスライダ30Dに連動して軸筒10内を前後方向に移動可能である。さらに、摺動子310の前端には内カムが設けられている。
【0068】
摺動子310の前方には、デビットカム機構の回転子320が設けられる。回転子320の後端部は、摺動子310の前方側の開口に挿入される。
回転子320の前方端は、筆記部200としてのボールペンリフィルの外周に設けられた突起202によって前方への脱落が防止される。筆記部200及び回転子320は、スプリング330によって後方に付勢されており、サイドスライダ30Dの操作の入力が解除されると、回転子320は原位置へと後退する。
【0069】
回転子320の外周には周方向に複数の凸部322が設けられる。
筆記部200が先部材20内に収容された状態では、回転子320はスプリング330の付勢力によって後退しており、回転子320の凸部322は軸筒10の内周面に形成された案内溝に係合している。
【0070】
サイドスライダ30Dの操作によって摺動子310が前進すると、回転子320の凸部322が案内溝に沿って前方へと移動し、案内溝と凸部322との係合が解除されると、凸部322は摺動子310の前端の内カムに沿って回転子320が回転し、操作の入力が解除されると、スプリング330の付勢力によって案内溝の先端に連なるように軸筒10の内周面に設けられたカム面に沿って周方向へと移動する。凸部322がカム面と係合した状態では、回転子320は後方に移動できないため、筆記部200は先部材20の先端開口から突出した状態で維持される。
この後、サイドスライダ30Dが再び操作されて摺動子310が前進すると、回転子320の凸部322と軸筒10の内周のカム面との係合が解除され、凸部322は摺動子310の前端の内カムに沿って回転子320が回転し、凸部322はカム面の隣の案内溝に係合し、スプリング330の付勢力によって回転子320は原位置へと後退する。
【0071】
回転子320が原位置へと後退する際、回転子320の凸部322は軸筒10の内周に設けられた第1ストッパ11に衝突しようとする。
しかし、
図10に示すように、第1緩衝部60が、可動部材50としての回転子320と、軸筒10の第1ストッパ11との間に介在しているため、回転子320の後退時の衝撃が緩和される。
【0072】
上述の幾つかの実施形態に係る筆記具100(100A~100D)の特徴的な構成を整理すれば、以下のとおりである。
【0073】
[1]本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る筆記具100(100A~100D)は、
軸筒(10)と、
軸筒(10)に結合される先部材(20)と、
先部材(20)からの筆記部(200)の出没状態を切り替える操作が入力される操作部(30A~30D)と、
軸筒(10)及び先部材(20)によって形成される内側空間において、操作部(30A~30D)に連動して前後方向に移動可能な可動部材(50)と、
内側空間内に位置し、操作部(30A~30D)に連動する可動部材(50)の後退時の衝撃を緩和するように構成された緩衝部(60)と、
を備える。
【0074】
上記[1]の構成によれば、可動部材50の後退時に筆記具100の内部で発生する衝撃を緩衝部60によって軽減することができる。その結果、先部材20からの筆記部200の出没状態の切替操作に伴う衝撃音や反動が低減され、従来の筆記具に比べて洗練された印象を使用者に与えることができ、筆記具100の商品価値の向上に資する。
【0075】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]の構成において、
先部材(20)の後端部は、雌ねじ(22)を内周に有し、
軸筒(10)は、
該軸筒(10)の外周に形成されて先部材(20)の雌ねじ(22)に螺合する雄ねじ(12)と、
雄ねじ(12)の前方に位置して可動部材(50)の後退量を規制するためのストッパ(11)と、
を有し、
緩衝部(60)は、先部材(20)の内部において前後方向に移動可能な可動部材(50)と、軸筒(10)のストッパ(11)との間に設けられる。
【0076】
上記[2]の構成によれば、可動部材50の後退時に先部材20の内部で発生する衝撃を緩衝部によって軽減することができる。
【0077】
[3]幾つかの実施形態では、上記[2]の構成において、
筆記具(100A~100B)は、
雄ねじ(12)の後方の軸筒(10)の外周を覆うグリップ(40)と、
雄ねじ(12)が形成された軸方向範囲を越えて前後方向に延在し、グリップ(40)と緩衝部(60)とを接続する接続部(42)と、
を備え、
グリップ(40)、接続部(42)および緩衝部(60)は、エラストマにより一体的に構成される。
【0078】
上記[3]の構成によれば、部品点数およびコストの削減を図りながら、先部材20の内部で発生する衝撃を低減できる。
【0079】
[4]幾つかの実施形態では、上記[2]の構成において、
緩衝部(60)は、軸筒(10)を構成する樹脂材料と、緩衝部(60)を構成するエラストマとの一体成形により、軸筒(10)のストッパ(11)と一体的に設けられる。
【0080】
上記[4]の構成によれば、部品点数およびコストの削減を図りながら、先部材(20)の内部で発生する衝撃を低減できる。
【0081】
[5]幾つかの実施形態では、上記[1]の構成において、
軸筒(10)は、軸筒(10)の内周面から径方向内側に突出し、可動部材の後退量を規制するためのストッパ(11)を有し、
緩衝部(60)は、軸筒(10)の内部において前後方向に移動可能な前記可動部材(50)と、軸筒(10)のストッパ(11)との間に設けられる。
【0082】
上記[5]の構成によれば、可動部材50の後退時に軸筒の内部で発生する衝撃を緩衝部60によって軽減することができる。
【0083】
[6]幾つかの実施形態では、上記[1]~[5]の何れかの構成において、
緩衝部(60)は、可動部材(50)の後方に設けられ、
緩衝部(60)は、可動部材(50)との接触面に複数の凸部(62)を有する。
【0084】
上記[6]の構成によれば、可動部材50と緩衝部60との接触面積の減少、および、緩衝部60の凸部62の微小変形によって、可動部材50の後退時に筆記具100の内部で発生する衝撃をより効果的に軽減することができる。
【0085】
[7]本発明の少なくとも幾つかの他の実施形態に係る筆記具100(100A,100B)は、
軸筒(10)と、
軸筒(10)に結合される先部材(20)と、
先部材(20)からの筆記部(200)の出没状態を切り替える操作が入力される操作部(30A,30B)と、
軸筒(10)及び先部材(20)によって形成される内側空間において、操作部(30)に連動して前後方向に移動可能な可動部材(50)と、
操作部(30)、または、操作部(30)に連動する可動部材(50)の後退時の衝撃を緩和するように構成された少なくとも一つの緩衝部(60,70)と、
を備える。
【0086】
上記[7]の構成によれば、緩衝部60,70を設けることで、操作部30又は可動部材50の後退時の衝撃を緩和することができる。その結果、先部材20からの筆記部200の出没状態の切替操作に伴う衝撃音や反動が低減され、従来の筆記具に比べて洗練された印象を使用者に与えることができ、筆記具100の商品価値の向上に資する。
【0087】
[8]幾つかの実施形態では、上記[7]の構成において、
軸筒(10)は、可動部材(50)の後退量を規制するための第1ストッパ(11)を有し、
緩衝部(60,70)は、
先部材(20)の内部において前後方向に移動可能な可動部材(50)と、軸筒(10)の第1ストッパ(11)との間に設けられる第1緩衝部(60)
を含む。
【0088】
上記[8]の構成によれば、先部材20の内部で発生する衝撃を低減できる。
【0089】
[9]幾つかの実施形態では、上記[8]の構成において、筆記具100(100A,100B)は、
軸筒(10)の外周を覆うグリップ(40)と、
グリップ(40)と第1緩衝部(60)とを接続する接続部(42)と、
を備え、
少なくともグリップ(40)、接続部(42)および第1緩衝部(60)は、エラストマにより一体的に構成される。
【0090】
上記[9]の構成によれば、部品点数およびコストの削減を図りながら、第1緩衝部60によって先部材20の内部で発生する衝撃を低減できる。
【0091】
[10]幾つかの実施形態では、上記[8]又は[9]の構成において、
第1緩衝部(60)は、軸筒(10)を構成する樹脂材料と、第1緩衝部(60)を構成するエラストマとの一体成形により、軸筒(10)の第1ストッパ(11)と一体的に設けられる。
【0092】
上記[10]の構成によれば、部品点数およびコストの削減を図りながら、先部材(20)の内部で発生する衝撃を低減できる。
【0093】
[11]幾つかの実施形態では、上記[7]~[10]の何れかの構成において、
操作部(30)は、軸筒(10)の外周に設けられて前後方向に移動可能なサイドスライダ(30A,30B)であり、
軸筒(10)は、軸筒(10)の外周面から径方向外側に突出し、サイドスライダ(30A,30B)の後退量を規制するための第2ストッパ(15)を有し、
緩衝部(60,70)は、
操作部(30)としてのサイドスライダ(30A,30B)と、第2ストッパ(15)との間に設けられる第2緩衝部(70)
を含む。
【0094】
上記[11]の構成によれば、サイドスライダ30A,30B(操作部30)の後退量を軸筒の第2ストッパ15で規制する際に生じる衝撃を緩和することができる。
【0095】
[12]幾つかの実施形態では、上記[11]の構成において、筆記具100(100A,100B)は、
軸筒(10)の外周を覆うグリップ(40)を備え、
少なくともグリップ(40)および第2緩衝部(70)は、エラストマにより一体的に構成される。
【0096】
上記[12]の構成によれば、部品点数およびコストの削減を図りながら、第2緩衝部70によって、サイドスライダ30A,30B(操作部30)の後退量を軸筒の第2ストッパ15で規制する際に生じる衝撃を緩和することができる。
【0097】
以上、本発明の幾つかの実施形態について述べたが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明は他の変形例も包含し得る。
【0098】
例えば、操作部30としてのサイドスライダ30A,30Bを備える筆記具100A,100Bについて述べたが、サイドスライダの具体的構成は特に限定されず、任意の構成を採り得る。
以下、筆記具100に用いられるサイドスライダの具体的構成および筆記具100への取付例について述べる。
【0099】
図11は、一実施形態に係る筆記具のサイドスライダ30Eを示す斜視図である。
図12Aは、
図11に示すサイドスライダの軸筒への取付状態の例を示す筆記具の部分側面図である。
図12Bは、
図12AのA-A線に沿った筆記具の断面図(径方向断面図)である。
図13Aは、
図11に示すサイドスライダの軸筒への取付状態の他の例を示す筆記具の部分側面図である。
図13Bは、
図13AのB-B線に沿った筆記具の断面図(径方向断面図)である。
【0100】
図11に示すサイドスライダ30Eは、
図2及び
図4に示したサイドスライダ30Aと基本構造が共通であるが、スライド板部32の具体的構成がサイドスライダ30Aと相違する。
すなわち、サイドスライダ30Eのスライド板部32は、
図11、
図12A及び
図13Aに示すように、筆記具100の前方側に位置する傾斜面332と、筆記具100の前後方向の直交方向に沿った境界線333を挟んで傾斜面332の後方に位置する後方面334とを含む。
傾斜面332は、境界線333から前方に向かうに従い筆記具100の径方向外側に向かって隆起するように、後方面334を含む基準平面に対して斜め方向に延在する。後方面334は、筆記具100の前後方向、および、筆記具100の中心軸を基準とした仮想円の接線方向を含む基準平面に含まれる。傾斜面332と後方面334との間の境界線333は、筆記具100の前後方向の直交方向に沿った直線である。
筆記具100の意匠性を向上させる観点から、傾斜面332及び後方面334の少なくとも一方にシボ加工を施して微細凹凸面にしてもよい。
【0101】
図12A、
図12B、
図13A及び
図13Bに示す例では、筆記具100(100A,100B)の前軸2(軸筒10)の外周面に設けられた案内溝13にサイドスライダ30Eが取り付けられる。サイドスライダ30Eのスライド板部32の大部分は案内溝13内に収容されるが、スライド板部32の後方面334は、案内溝13の側縁部313の上面および側縁部313に接するグリップ40の端部341から径方向外側に位置する。
このため、サイドスライダ30Eの操作時、使用者の指はサイドスライダ30Eのスライド板部32に選択的に触れることとなり、案内溝13の側縁部313の上面、および、グリップ40の端部341に使用者の指が触れることがない。よって、案内溝13の側縁部313の上面、および、グリップ40の端部341と指との接触抵抗に起因したサイドスライダ30Eの操作の違和感を解消し、サイドスライダ30Eの円滑な操作が可能となる。
【0102】
なお、
図12A及び
図13Aに示す例では、案内溝13の側縁部313およびグリップ40の端部341の高さを、前軸2の第2ストッパ15の表面よりも低く設定している。これに対し、スライド板部32の後方面334の高さ位置は、
図12Aに示す例では第2ストッパ15の表面の高さと一致し、
図13Aに示す例では第2ストッパ15の表面よりも高い。
このように、案内溝13の側縁部313およびグリップ40の端部341の高さを、前軸2の第2ストッパ15の表面よりも低く設定することで、筆記具100の外周面からスライド板部32を過度に突出させずに、上述したサイドスライダ30Eの円滑な操作を実現可能となる。特に、
図12Aに示す例では、スライド板部32の後方面334の高さ位置が第2ストッパ15の表面の高さ位置と一致していることから、筆記具100の美観を向上させることができる。
【0103】
図14は、さらに別の実施形態に係る筆記具のサイドスライダ30Fを示す斜視図である。
図15Aは、
図14に示すサイドスライダの軸筒への取付状態の例を示す筆記具の部分側面図である。
図15Bは、
図15AのC-C線に沿った筆記具の断面図(径方向断面図)である。
【0104】
図14に示すサイドスライダ30Fは、
図2及び
図4に示したサイドスライダ30Aと基本構造が共通であるが、スライド板部32の具体的構成がサイドスライダ30Aと相違する。
すなわち、サイドスライダ30Fのスライド板部32は、
図14及び
図15Aに示すように、筆記具100の前方から順に、シボ面342、凹面344、後方面346を有する。シボ面342は、シボ加工により微細な凹凸が形成されている。凹面344は、前方に向かうに従い後方面346を含む基準平面からの高さが増加する隆起面である。後方面346は、筆記具100の前後方向、および、筆記具100の中心軸を基準とした仮想円の接線方向を含む基準平面に含まれる。
シボ面342及び凹面344の間の境界線343は、スライド板部32の平面視において、円弧状に湾曲している。これに対し、凹面344と後方面346との境界線345は、筆記具100の前後方向の直交方向に沿った直線である。
【0105】
なお、
図15Aに示す例では、
図12Aの例と同様に、案内溝13の側縁部313およびグリップ40の端部341の高さが第2ストッパ15の表面よりも低く設定される。
その結果、
図15A及び
図15Bに示すように、スライド板部32の後方面346の高さ位置は、第2ストッパ15の表面の高さと一致するとともに、案内溝13の側縁部313およびグリップ40の端部341よりも高くなっている。
【0106】
なお、種々の例を示したが、いずれの例においても、サイドスライダのスライダ天板の形状を最初に示した実施形態(
図1~
図4)のように、トラック形状としてもよい。
【0107】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0108】
2 :前軸
4 :後軸
5 :切欠き
6 :クリップ
10 :軸筒
11 :ストッパ(第1ストッパ)
12 :雄ねじ
13 :案内溝
14 :係合窓
15 :第2ストッパ
18 :開口
20 :先部材
21 :後端部
22 :雌ねじ
30 :操作部
40 :グリップ
42 :接続部
50 :可動部材
60 :緩衝部(第1緩衝部)
62 :凸部
70 :緩衝部(第2緩衝部)
72 :凸部
100 :筆記具
110 :チャック外筒
120,121 :チャック
139 :チャックリング
200 :筆記部
210 :中継部材
220 :チャックセット