(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065024
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】コイル装置及びコイル装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/30 20060101AFI20240507BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240507BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240507BHJP
H01F 5/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01F27/30 160
H01F27/29 H
H01F37/00 T
H01F5/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178727
(22)【出願日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】202211333385.4
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(71)【出願人】
【識別番号】512010122
【氏名又は名称】田村(中国)企業管理有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAMURA CORPORATION OF CHINA LIMITED
【住所又は居所原語表記】13F,Block A,International Shopping Centre Shanghai No.527 Huaihai Zhong Road,Shanghai,China
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(72)【発明者】
【氏名】梁 志勇
(72)【発明者】
【氏名】王 堅
(72)【発明者】
【氏名】楊 小明
(72)【発明者】
【氏名】林 金偉
(72)【発明者】
【氏名】近藤 潤二
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 英人
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AB04
5E043FA07
5E070AA01
5E070BA14
5E070DB04
5E070EA06
(57)【要約】
【課題】基板にコイル装置を取り付ける工程の生産性を向上させることを可能とする。
【解決手段】
コイル装置1は、コア20と、コア20に巻き付けられた複数のコイル10と、コア20を支持する1つ以上の支持部材40と、を備える。コア20は、脚部20aと、脚部20aの両端部に垂直に接続された平行な一対の連結部20bとを有する。コイル10と支持部材40は、交互に重なって脚部20aに取り付けられ、複数のコイル10と1つ以上の支持部材40とを積層したものが、一対の連結部20bの間に嵌入する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと
前記コアに巻き付けられた複数のコイルと、
前記コアを支持する1つ以上の支持部材と、
を備え、
前記コアが、
脚部と、
前記脚部の両端部に垂直に接続された平行な一対の連結部と、を有し、
前記コイルと前記支持部材が、交互に重なって前記脚部に取り付けられ、
前記複数のコイルと前記1つ以上の支持部材とを積層したものが、前記一対の連結部の間に挟み込まれた、
コイル装置。
【請求項2】
前記支持部材が取り付けられる台座を備え、
前記台座が、前記支持部材を取り付けるための第1の取付部を備えた、
請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記台座に、前記コイルのリードが嵌入するリード孔が形成された、
請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記支持部材が、前記脚部が嵌入する凹部が形成された板状の部材である、
請求項2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記支持部材が、
前記台座の上に載置される足部と、
前記足部と平行に配置された第1の腕部と、
前記足部と前記第1の腕部とを連結する胴部と、を有し、
前記足部、前記第1の腕部及び前記胴部により囲まれて、前記凹部が形成された、
請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記第1の腕部の先端部に、前記足部に向かって突出する第1の爪部が形成され、
前記胴部と前記第1の爪部との間に前記脚部が嵌入する、
請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記第1の腕部は、前記足部から離れる方向に撓むことが可能であり、所謂スナップフィットとして機能して、前記脚部を固定するように構成された、
請求項6に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記第1の取付部が、
平行に配置された第1のガイド板及び第2のガイド板と、
前記台座を貫通する嵌合孔と、を有し、
前記支持部材が、前記支持部材を前記台座に取り付けるための第2の取付部を備え、
前記第2の取付部が、
前記第1のガイド板と前記第2のガイド板の間に差し込まれる板部と、
前記嵌合孔に通される第2の腕部と、を有し、
前記第2の腕部の先端部に第2の爪部が突出して形成され、
前記板部と前記第2の爪部との間に前記台座が嵌入する、
請求項2に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記第2の腕部は、撓むことが可能であり、所謂スナップフィットとして機能して、前記脚部を固定するように構成された、
請求項8に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記コイルが、平角導線をエッジワイズ巻きしたものである、
請求項1に記載のコイル装置。
【請求項11】
コイル装置の製造方法において、
前記コイル装置が、
コアと
前記コアに巻き付けられた複数のコイルと、
前記コアを支持する1つ以上の支持部材と、を備え、
前記コアが、
脚部と、
前記脚部の両端部に垂直に接続された平行な一対の連結部と、を有し、
コアの脚部に複数のコイルを巻き付けるステップと、
前記複数のコアの間に前記支持部材を差し込むことにより、前記複数のコイルと前記1つ以上の支持部材とを積層したものを前記一対の連結部の間に挟み込む、
コイル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置及びコイル装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チョークコイルには、トロイダルコイルを備えたものが多い。例えば、特許文献1には、チョークコイル用のトロイダルコアを収容するコア絶縁ケースが開示されている。また、チョークコイルは、回路基板に実装されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたトロイダルコアを使用したコイル装置において、コイルは、コア本体(磁心)が収容されたコア絶縁ケース(以下「コア」という。)に導線を巻き付けることにより形成される。そのため、コイルの形成後にコアとコイルとの間に隙間が生じるため、コアに対してコイルの位置を正確に定めることができない。従って、基板にコイル装置を取り付ける際に、コイルの位置を調整する作業が必要になり、基板にコイル装置を取り付ける工程の生産性を低いものにしていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、コイル装置におけるコイルの位置精度を向上させることによって、基板にコイル装置を取り付ける工程の生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るコイル装置によれば、コアと、コアに巻き付けられた複数のコイルと、コアを支持する1つ以上の支持部材と、を備え、コアが、脚部と、脚部の両端部に垂直に接続された平行な一対の連結部と、を有し、コイルと支持部材が、交互に重なって脚部に取り付けられ、複数のコイルと1つ以上の支持部材とを積層したものが、一対の連結部の間に挟み込まれた、コイル装置が提供される。
【0007】
支持部材を導入することにより、コイル間の絶縁が確保されると共に、コイルの脚部に沿った移動が制限されて、複数のコイルが相対的に位置決めされる。従って、複数のコイルのリードの相対位置が定まるため、回路基板へのコイル装置の取り付けが容易になる。
【0008】
上記のコイル装置において、支持部材が取り付けられる台座を備え、台座が、支持部材を取り付けるための第1の取付部を備えた構成としてもよい。
【0009】
上記のコイル装置において、台座に、コイルのリードが嵌入するリード孔が形成された構成としてもよい。
【0010】
上記のコイル装置において、支持部材が、脚部が嵌入する凹部が形成された板状の部材である構成としてもよい。
【0011】
上記のコイル装置において、支持部材が、台座の上に載置される足部と、足部と平行に配置された第1の腕部と、足部と第1の腕部とを連結する胴部と、を有し、足部、第1の腕部及び胴部により囲まれて、凹部が形成された構成としてもよい。
【0012】
上記のコイル装置において、第1の腕部の先端部に、足部に向かって突出する第1の爪部が形成され、胴部と第1の爪部との間に脚部が嵌入する構成としてもよい。
【0013】
上記のコイル装置において、第1の腕部は、足部から離れる方向に撓むことが可能であり、所謂スナップフィットとして機能して、脚部を固定するように構成された構成としてもよい。
【0014】
上記のコイル装置において、第1の取付部が、平行に配置された第1のガイド板及び第2のガイド板と、台座を貫通する嵌合孔と、を有し、支持部材が、支持部材を台座に取り付けるための第2の取付部を備え、第2の取付部が、第1のガイド板と第2のガイド板の間に差し込まれる板部と、嵌合孔に通される第2の腕部と、を有し、第2の腕部の先端部に第2の爪部が突出して形成され、板部と第2の爪部との間に台座が嵌入する構成としてもよい。
【0015】
上記のコイル装置において、第2の腕部は、足部から離れる方向に撓むことが可能であり、所謂スナップフィットとして機能して、脚部を固定するように構成された構成としてもよい。
【0016】
上記のコイル装置において、コイルが、平角導線をエッジワイズ巻きしたものである構成としてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、コイル装置の製造方法において、コイル装置が、コアとコアに巻き付けられた複数のコイルと、コアを支持する1つ以上の支持部材と、を備え、コアが、脚部と、脚部の両端部に垂直に接続された平行な一対の連結部と、を有し、コアの脚部に複数のコイルを巻き付けるステップと、複数のコアの間に支持部材を差し込むことにより、複数のコイルと1つ以上の支持部材とを積層したものを一対の連結部の間に挟み込む方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、コイル装置におけるコイルの位置精度を向上させることによって、基板にコイル装置を取り付ける工程の生産性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコイル装置の外観図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコイル装置の分解図である。
【
図6】組立時のベースと支持部材との結合部付近を拡大した図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るコイル装置の断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るコイル装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の又は対応する事項には、同一の又は対応する符号を付して、重複する説明を省略する。また、各図において、符号が共通する事項が複数表示される場合は、必ずしもそれらの複数の表示の全てに符号を付さず、それらの複数の表示の一部について符号の付与を適宜省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル装置1の外観を示した斜視図である。また、
図2は、コイル装置1の分解図である。
【0022】
以下の説明において、
図1における左上から右下へ向かう方向をX軸方向、左下から右上へ向かう方向をY軸方向、下から上へ向かう方向をZ軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する方向である。また、以下の説明においては、説明の便宜上、Z軸正方向を「上」と呼び、Z軸負方向を「下」と呼ぶ。なお、コイル装置1は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びそれらの中間の方向のいずれの方向を鉛直に向けて使用してもよい。
【0023】
本実施形態のコイル装置1は、本発明を3相電源用コモンモードチョークコイルに適用した一例である。なお、本発明は、電源用チョークコイルに限らず、高周波回路用チョークコイル、リアクトル、変圧器、電動機、発電機等の各種のコイル装置に適用することができる。
【0024】
コイル装置1は、コア20と、コア20に巻き付けられた3つのコイル10と、台座30と、台座30に対してコア20を位置決めして支持する支持部材40を備える。
【0025】
コイル10は、エナメル等の絶縁被覆が施された導線を螺旋状に巻いたものである。なお、本実施形態のコイル10は円筒形であるが、角筒形のコイル10を使用することもできる。導線には、例えば、銅やアルミニウム等から形成された平角線が使用される。本実施形態のコイル10は、平角線をエッジワイズ巻きしたものであるが、導線の断面形状や巻き方はこの構成に限定されない。コイル10は、螺旋状に巻かれた螺旋部11と、螺旋部11の両端から下方に伸びる一対のリード12を有する。
【0026】
図2に示すように、コア20は、方形の枠形磁心であるコア本体21をコアケース22に収容したものである。コア20は、一対のX軸方向に延びる脚部20aと、一対の脚部20aの端部を連結する一対の連結部20bを有する。コア20の中央には、一対の脚部20a及び一対の連結部20bによって囲まれた中空部20cが形成されている。コア20を方形枠形にすることにより、リード12の配置関係がシンプルになるため、コイル装置1が接続される回路基板の配線パターンの設計が容易になる。
【0027】
本実施形態のコア本体21は、枠形のアモルファス金属磁心であるが、別の形状(例えば、リング形等)や別の材質(例えば、フェライト磁心、ナノクリスタル磁心、磁性体の粒子を含む樹脂から形成されたメタルコンポジット磁心、積層磁心、圧粉磁心等)の磁心を使用してもよい。
【0028】
コアケース22は、上ケース22aと下ケース22bから組み立てられる。コアケース22は、コア本体21とコイル10との間で十分な電気絶縁を確保するために、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等の電気絶縁性を有する材料から形成される。
【0029】
図3は台座30の斜視図であり、
図4は台座30の底面図である。台座30は、略方形板状の部材であり、コイル10間の十分な電気絶縁を確保するために、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等の電気絶縁性を有する材料から形成される。
【0030】
台座30には、3つのコイル10のリード12を通す3対のリード孔31が形成されている。リード孔31はリード12が略隙間なく通る大きさに形成されているため、各リード12を対応するリード孔31に通すことにより、X軸方向及びY軸方向において台座30に対してコイル10が位置決めされる。また、コイル10の螺旋部11の下端が台座30の上面に接触することにより、Z軸方向においても台座30に対してコイル10が位置決めされる。また、複数のコイル10のリード12を台座30のリード孔31に通すことにより、複数のコイル10(特にリード12)の相対位置が定まる。
【0031】
台座30には、支持部材40を取り付けるための取付部30a及び取付部30b(それぞれ「第1の取付部」という。)が2対設けられている。取付部30aは、台座30のY軸正方向における端部付近に設けられ、取付部30bは、台座30のY軸負方向における端部付近に設けられている。取付部30a及び取付部30bは、支持部材40の後述する取付部46及び取付部45(それぞれ「第2の取付部」という。)とそれぞれ結合する。
【0032】
取付部30aは、台座30を貫通した嵌合孔32と、台座30の上面から突出した、X軸方向に垂直な平板状の第1ガイド板33及び第2ガイド板34を有する。第2ガイド板34は、第1ガイド板33よりも高さが低く形成されている。
【0033】
取付部30bは、台座30を貫通した嵌合孔32と、台座30の上面から突出した、X軸方向に垂直な平板状の第1ガイド板35及び第2ガイド板36を有する。第2ガイド板36は、第1ガイド板35よりも高さが低く形成されている。
【0034】
台座30の底面には、縁部やリード孔31の周囲にリブ38が形成されていて、リブ38によって補強されている。また、台座30の底面の四隅には、それぞれ足39が形成されている。
【0035】
図5は、支持部材40の斜視図である。支持部材40は、X軸方向に垂直に配置された、略J字板状の部材である。支持部材40は、コイル10間の十分な電気絶縁を確保するために、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等の電気絶縁性を有する材料から形成される。
【0036】
支持部材40は、台座30の上に載置されるY軸方向に長い足部40aと、足部40aの基端部(すなわち、Y軸負方向における端部)から上方へ延びる胴部40bと、胴部40bの上端部からY軸正方向に延びる腕部40cを有する。足部40aは、Y軸方向において腕部40cよりも長い。足部40aにおける、腕部40cの先端よりもY軸正方向に突出した部分を延長部40eという。
【0037】
支持部材40の足部40a、胴部40b及び腕部40cによって3方向が囲まれた凹部40dが形成される。コア20の脚部20aの一方が凹部40dに嵌入することによって、コア20がY軸方向及びZ軸方向に位置決めされると共に、支持部材40によって支持される。腕部40cは、比較的に剛性が低く、上下に撓むことができるようになっている。
【0038】
腕部40cの先端部の下面からは、爪状の突起である爪部43(凸部)が足部40aに向かって突出している。爪部43の底面の少なくともY軸正方向側の部分は、Y軸負方向に向かって爪部43の高さ(Z軸負方向への突出量)が徐々に高くなるように(言い換えれば、Y軸負方向に向かって凹部40dの幅(Z軸方向における長さ)が徐々に狭くなるように)、テーパー面(以下「ガイド面43a」という。)になっている。また、爪部43は、Y軸負方向の端部においては、腕部40cの下面から略垂直に切り立ち、壁面43b(嵌合面)が形成されている。支持部材40の壁面43bと胴部40bとのY軸方向における間隔は、コア20の脚部20aの幅(Y軸方向における長さ)と略同じ長さになっている。そのため、支持部材40の壁面43bと胴部40bとの間にコア20の脚部20aが嵌ることにより、支持部材40に対して脚部20a(コア20)がY軸方向において位置決めされる。
【0039】
支持部材40に外力が加わらない自然状態における凹部40dの幅は、コア20の脚部20aの高さ(Z軸方向の長さ)と略同じ大きさとなっている。従って、支持部材40の壁面43bと胴部40bとの間にコア20の脚部20aが嵌った状態(すなわち、脚部20aが爪部43の底面に当たって腕部40cを撓ませていない状態)では、支持部材40に対して脚部20a(コア20)がZ軸方向において位置決めされる。
【0040】
支持部材40の凹部40dの幅は、コア20の脚部20aの高さと略同じ大きさであるが、爪部43が形成された部分では、脚部20aの高さよりも狭くなっている。そのため、コア20の脚部20aを支持部材40の凹部40dへY軸方向から差し込むと、脚部20aは、爪部43のガイド面43aと接触する。脚部20aが、ガイド面43aと接触した状態で凹部40dへ押し込まれると、テーパーが付けられたガイド面43aが徐々に押し上げられる(すなわち、腕部40cが弾性変形により上方へ撓む)。脚部20aが、更に凹部40dへ押し込まれて、爪部43を通過すると、弾性復元力により腕部40cの撓みが解消され、自然状態へ戻る。これにより、コア20の脚部20aが、支持部材40の胴部40bと壁面43bとの間に嵌入し、Y軸方向への移動が阻止される。従って、腕部40cは、所謂カンチレバー型のスナップフィットとして機能する。
【0041】
足部40aのY軸方向両端部には、支持部材40を台座30に取り付けるための取付部45、46がそれぞれ設けられている。
【0042】
取付部45は、足部40aの下部がY軸負方向に延長した板部45aと、板部45aの底面から下方に突出した腕部45bと、腕部45bの先端部からY軸方向に突出した爪部45cを有する。
【0043】
取付部46は、足部40aのY軸正方向における端部の下部からなる板部46aと、板部46aの底面から下方に突出した腕部46bと、腕部46bの先端部からY軸方向に突出した爪部46cを有する。爪部45cと爪部46cは、互いにY軸方向の反対側に突出する。本実施形態では、爪部45cと爪部46cは外側に突出しているが、互いに向かい合うように爪部45cと爪部46cを内側に突出させてもよい。
【0044】
支持部材40は、X軸方向に垂直な中心面に対して表裏が面対称に形成されている。支持部材40の両面には、格子状にリブ48、49が形成されている。Y軸方向に延びる2つのリブ49は、他のリブ48よりも高く形成されている。そのため、支持部材40がコイル装置1に組み込まれたときに、リブ49が隣接するコイル10と接触する。
【0045】
図6は、コイル装置1の本体(コイル10、コア20及び支持部材40を組み合わせたもの)を台座30に取り付ける際の支持部材40の取付部45及び台座30の取付部30bの付近を拡大した図である。
【0046】
取付部30bの第1ガイド板35は第2ガイド板36よりも高さが低いため、第2ガイド板36よりも少し高い位置において、取付部45の板部45aを第2ガイド板36側から第1ガイド板35へ向かって移動させて、ガイド面35aに接触させることができる。次に、板部45aがガイド面35aに接触した状態で支持部材40を降下させると、板部45aを第1ガイド板35と第2ガイド板36の間の隙間に差し込むことができる。第1ガイド板35と第2ガイド板36との間隔は、板部45aの厚さと略同じ長さであるため、第1ガイド板35と第2ガイド板36の間に板部45aを嵌入することにより、板部45a(支持部材40)のX軸方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0047】
また、支持部材40の取付部45の腕部45bは、取付部30bの嵌合孔32に差し込まれる。爪部45cは、嵌合孔32を通り抜け、板部45aとの間で台座30を挟み込み、支持部材40が台座30から離脱するのを防止する。また、爪部45cと板部45aとの間隔は、台座30の厚さと略同じ長さであるため、爪部45cと板部45aの間で台座30を挟み込むことにより、支持部材40が台座30に対してZ軸方向にガタツキ無く位置決めされる。爪部45cには、腕部40cの爪部43と同様に、テーパー面(ガイド面)や垂直な壁面が形成されており、腕部45bも、腕部40cと同様に、所謂カンチレバー型のスナップフィットとして機能する。
【0048】
図7は、コイル10と支持部材40とが接触する平面で切断した、コイル装置1の横断面図である。コア20の一対の脚部20aのうち、一方は支持部材40の凹部40dに嵌入し、他方は支持部材40の足部40aの延長部40eの上に載置される。従って、Z軸正方向を上に向けてコイル装置1を配置した場合、コア20は1つの支持部材40により2箇所で支持され、2つの支持部材40により4箇所で支持されることになる。従って、コア20は、2つの支持部材40により、安定に且つ高い位置決め精度で支持される。
【0049】
次に、コイル装置1を組み立てる手順を説明する。まず、上ケース22aと下ケース22bによりコア本体21を覆って、コア20を組み立てる。コアケース22とコア本体21との隙間には、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の充填剤を充填してもよい。また、上ケース22aと下ケース22bとを、接着剤で接合してもよい。また、コア本体21と上ケース22a及び下ケース22bとを接着剤で接合してもよい。
【0050】
次に、コア20に導線を巻き付けて、3つのコイル10を形成して、コア20に装着する。次に、2つの支持部材40を3つのコイル10の間に取り付けて、コイル装置1の本体を組み立てる。
図5に示すように、支持部材40のリブ48、49の一端部には、テーパー面であるガイド面48a、49aが形成されている。支持部材40をコイル10間に差し込んでコア20に取り付ける際に、支持部材40はガイド面48a、49aによってコイル10間にスムーズに案内される。
【0051】
図8は、コイル装置1の平面図である。
図8に示されるように、コア20の中空部20cのX軸方向の長さは、3つのコイル10と2つの支持部材40を積み重ねた積層体の厚さと略同じ長さになる。そのため、コア20の一方の脚部20aに3つのコイル10と2つの支持部材40を取り付けると、これらはコア20の中空部20cに差し込まれる(言い換えれば、積層体がコア20の一対の連結部20bの間に挟み込まれる)ため、脚部20aに沿ったコイル10と支持部材40の移動が制限され、コイル10がX軸方向において位置決めされる。より詳しくは、コイル10と支持部材40を交互に積み重ねることにより、複数のコイル10が積層方向(X軸方向)において相対的に位置決めされる。また、一対の連結部20bの間に積層体を挟み込むことにより、コア20に対して各コイル10がX軸方向において位置決めされる。なお、本実施形態の積層体は、コイル10と支持部材40を単に積み重ねただけのものであり、一体化されたものではないが、例えば接着等により一体に接合してもよい。
【0052】
最後に、コイル装置1の本体を台座30に取り付けると、コイル装置1が完成する。このとき、コイル10のリード12が台座30のリード孔31に差し込まれ、支持部材40の取付部45、46が台座30の取付部30a、30bと結合する。これにより、台座30に対してコイル装置1の本体(コイル10、コア20、支持部材40)が位置決めされると共に固定される。
【0053】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0054】
上記の実施形態では、コア20が2つの脚部20aを有しているが、例えばEIコアのように、コア20が3つ以上の脚部20aを有していてもよい。
【0055】
上記の実施形態では、支持部材40の足部40aに延長部40eを設けて、コアの2つの脚部20aの両方が支持部材40によって支持されるが、延長部40eを設けずに、一方の脚部20aのみが支持される構成としてもよい。
【0056】
上記の実施形態では、コア20は、コア本体21(磁心)をコアケース22(絶縁ケース)に収容したものであるが、例えばインサート成形等によりコア本体21に絶縁被覆を施したものを使用してもよい。また、例えばコイル10に十分な絶縁被覆が施されている場合は、コアケース22を使用せずに、コア本体21にコイル10を直接巻き付ける(すなわち、コア本体21をコア20として使用する)構成としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 コイル
20 コア
20a 脚部
20b 連結部
30 台座
30a、30b 取付部(第1の取付部)
31 リード孔
32 嵌合孔
33、35 第1ガイド板
34、36 第2ガイド板
40 支持部材
40a 足部
40b 胴部
40c 腕部
40d 凹部
43 爪部
45、46 取付部(第2の取付部)
45b、46b 腕部
45c、46c 爪部