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特開2024-65025オンライン葬祭における故人史作成装置および故人史作成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065025
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】オンライン葬祭における故人史作成装置および故人史作成システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240507BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G06Q50/10
B42D15/00 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178922
(22)【出願日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2022172199
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】512175292
【氏名又は名称】株式会社出版のススメ研究会
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC14
5L050CC14
(57)【要約】
【課題】オンライン葬祭の形を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりする。
【解決手段】本発明のオンライン葬祭における故人史作成装置100は、
故人の葬祭にオンラインで参列するための情報を取得する参列者情報取得部10と、
葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメント、および前記故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報、を少なくとも含む縁故情報を登録する縁故情報登録部20と、
参列者が登録した画像又はコメントを故人の生前経過に合わせて年表形式の故人史関連データに変換するデータ変換部30と、
データ変換部によって変換された故人史関連データに基づいて、故人の生前記録をまとめた故人史を出力する故人史出力部40と、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故人の葬祭にオンラインで参列するための情報を取得する参列者情報取得部と、
前記葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメント、および前記故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報、を少なくとも含む縁故情報を登録する縁故情報登録部と、
前記参列者が登録した前記画像又はコメントを前記故人の生前経過に合わせて年代ごとに紐づけた故人史関連データに変換するデータ変換部と、
前記データ変換部によって変換された前記故人史関連データに基づいて、前記故人の生前記録をまとめた年表形式の故人史データを出力する故人史データ出力部と、
を含むことを特徴とするオンライン葬祭における故人史データ作成装置。
【請求項2】
前記縁故情報登録部は、複数の参列者ごとに前記画像又は前記コメントを登録し、
前記故人史データ出力部は、前記故人に対する親密度に応じて前記故人史データにおける前記参列者の掲載ページ数および掲載位置の少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項1に記載のオンライン葬祭における故人史データ作成装置。
【請求項3】
故人史作成装置は、故人史データ作成装置と、印刷・製本機と、を含んで構成され、
前記故人史データ作成装置は、オンライン葬祭にネットワークNETを介して参列したオンライン参列者に対して、参列者が投稿した思い出や写真などのデータを、
故人の時間経過に合わせて年表形式の故人史データとして出力する機能を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオンライン葬祭における故人史データ作成装置。
【請求項4】
葬儀社端末は、葬祭会場に設置された中継カメラや中継モニターを含む葬祭通信設備から葬祭情報を取得し、葬祭に参加出来ない縁故者等に対してビデオ通話アプリケーションを介して葬儀の様子をライブ映像で配信するサービスを実施することを特徴とする請求項1に記載のオンライン葬祭における故人史データ作成装置。
【請求項5】
請求項1~5のいずれかに記載の故人史データ作成装置と、
前記故人史データ作成装置と電気的に接続された印刷機と、
前記印刷機と電気的に接続された製本機と、を含み、
前記故人史データ出力部は、前記印刷機および前記製本機に対して前記故人史データを出力して印刷および製本処理を実行させることを特徴とするオンライン葬祭における故人史作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン葬祭における故人史作成装置および故人史作成システムに関し、
故人の葬祭に参列した参列者やオンラインで参列したオンライン参列者などによって提供された縁故(情報)に基づいて作成される故人史作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自宅や葬儀(葬祭)場等の斎場において、親族や縁故者が集まって故人を偲ぶ行事が広く行われている。
近年は、例えば下記の特許文献に示されるように、斎場から離れた遠隔地よりオンラインにて葬祭に参列する仮想葬儀システムやオンライン葬儀システムが提案されている。
【0003】
特許文献1には、仮想葬儀場をインターネット上に公開し、遺族からの情報に基づき、関係者にメール又は郵便で上記仮想葬儀場の存在を通知し、現場の葬儀場には来ないが仮想葬儀場に参加希望者のコンピュータ端末からの操作によって、香典、花、果物、蝋燭、線香等の供物を仮想葬儀空間上に追加することができ、その供物の追加費用はインターネット上で決算ができ、疑似参加者のコンピュータ端末からの疑似参加者自身の画像が少なくとも1人分メインコンピュータに送信され、疑似参加者自身の画像を、葬儀場の画面上で所定の位置に着席しているように仮想葬儀場に組み込み、疑似参加者自身の画像を一定の処理をして焼香をしている姿に加工し、所定時間経過後、一定の順序により画面上で焼香しているように表示することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、情報端末から送信された式典主催者に関する情報を受け付ける受付手段と、ホームページ構成要素が記憶された構成要素記憶手段と、式典主催者に関する情報とホームページ構成要素とを用いて仮想式典画面を表示するホームページを作成するホームページ作成手段と、作成されたホームページを保存し、インターネット上に公開するサーバと、ホームページ上で式典主催者に対する祝儀金又は不祝儀金を納金するのに必要な納金情報を入力させる納金情報入力手段と、納金情報を外部の決済機関に送信して認証を行う納金情報送受信手段を有するインターネットを利用した仮想式典提供装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-191692号公報
【特許文献2】特開2002-222278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載されたような従来のオンライン葬祭は、葬祭をオンライン形式で許容することで遠方の参列者などにも便宜を図ることにより、葬祭に直接参列できない人に対しては一定の便宜を図っていた。
【0007】
このような形式で行われる実際の葬祭においては、実際に参列した場合においても普段とは勝手が違うことから、葬祭に参列したものの慌ただしく時間が過ぎ、故人を偲ぶような落ち着いた雰囲気の葬祭とは言い難い。
また、実際に葬祭に参列した者であるかオンラインで参列した者であるかを問わず、故人と参列者との関連なども知りたい場合もある。
【0008】
本発明は、上記した課題に鑑みて、オンライン葬祭を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりすることが可能なシステムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のオンライン葬祭における故人史データ作成装置は、次の特徴を有する。
(1)請求項1のオンライン葬祭における故人史データ作成装置においては、
故人の葬祭にオンラインで参列するための情報を取得する参列者情報取得部と、
前記葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメント、および前記故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報、を少なくとも含む縁故情報を登録する縁故情報登録部と、
前記参列者が登録した前記画像又はコメントを前記故人の生前経過に合わせて年代ごとに紐づけた故人史関連データに変換するデータ変換部と、
前記データ変換部によって変換された前記故人史関連データに基づいて、前記故人の生前記録をまとめた年表形式の故人史データを出力する故人史データ出力部と、
を含むことを特徴とする。
(2)請求項2のオンライン葬祭における故人史データ作成装置においては、
請求項1において、前記縁故情報登録部は、複数の参列者ごとに前記画像又は前記コメントを登録し、
前記故人史データ出力部は、前記故人に対する親密度に応じて前記故人史データにおける前記参列者の掲載ページ数および掲載位置の少なくとも1つを調整することを特徴とする。
(3)請求項3のオンライン葬祭における故人史データ作成装置においては、
請求項1において、故人史作成装置は、故人史データ作成装置と、印刷・製本機と、を含んで構成され、
故人史データ作成装置は、オンライン葬祭にネットワークNETを介して参列したオンライン参列者に対して、参列者が投稿した思い出や写真などのデータを、故人の時間経過に合わせて年表形式の故人史データとして出力する機能を有して構成されていることを特徴とする。
(4)請求項4のオンライン葬祭における故人史データ作成装置においては、
葬儀社端末は、葬祭会場に設置された中継カメラや中継モニターを含む葬祭通信設備から葬祭情報を取得し、葬祭に参加出来ない縁故者等に対してビデオ通話アプリケーションを介して葬儀の様子をライブ映像で配信するサービスを実施することを特徴とする。
(5)請求項5のオンライン葬祭における故人史作成システムにおいては、
請求項1~5のいずれかに記載の故人史データ作成装置と、
前記故人史データ作成装置と電気的に接続された印刷機と、
前記印刷機と電気的に接続された製本機と、を含み、
前記故人史データ出力部は、前記印刷機および前記製本機に対して前記故人史データを出力して印刷および製本処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、オンライン葬祭を経て参列者とともに歩んだ故人の足跡を故人史として遺すことが可能なシステムに資することができる。
また、本発明は、オンライン葬祭を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のオンライン葬祭における故人史作成システムを示す模式図である。
図2】故人史作成システムを構成する故人史作成装置の詳細な構成を示す模式図である。
図3】実施形態のオンライン葬祭における故人史作成方法を示すフローチャートである。
図4】オンライン葬祭システムへのログイン画面の一例である。
図5】オンライン葬祭システムにおけるメニュー画面の一例である。
図6】オンライン葬祭システムにおける縁故情報の入力画面の一例である。
図7】故人史作成システムで作成された故人史の一例を示す説明図である。
図8】変形例で用いられる親密度データの一例を示す模式図である。
図9】上製本を天側又は地側から見た説明図である。
図10】上製本用用紙ののど側端部を接着剤で接着固定し、本文を形成する工程の説明図である。
図11】本文に貫通する複数の糸孔を穿設する工程の説明図である。
図12】本文に穿設された糸孔の周孔部に貼設された補強部材の説明図である。
図13】和綴じの手法を応用した綴じ方の説明図である。
図14】糸綴じ終点の、結び目の形成方法の説明図である。
図15】本身と見返しを貼着させる工程の説明図である。
図16】三方断ちの説明図である。
図17】本身に寒冷紗を接着し、製本本体を形成する工程の説明図である。
図18】表紙本体を作成する工程の説明図である。
図19】製本本体と表紙本体を貼合する工程の説明図である。
図20】開いた状態の上製本を示す概略図である。
図21】他の実施形態の上製本を天側又は地側から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明を実施するための実施形態について説明する。
なお、以下で説明する構成以外については、例えば上記した特許文献を含む公知のオンライン葬祭システムを適宜補完して本発明を実施してもよい。
【0013】
[故人史作成システム160]
図1は、実施形態のオンライン葬祭における故人史作成システムを示す模式図である。
以下で詳述する故人史作成システム160は、一例として、インターネット等のネットワークを介してリモート参列者も含めて行われるオンライン葬祭に用いられる。
ここで、オンライン葬祭とは、遠く離れた場所にいる家族や親戚あるいは故人と親しかった者であって何らかの理由で葬祭に参加出来ない者に対し、パソコンやスマートフォン等の通信端末からリモートで故人の葬祭に参列を可能とする葬祭サービス事業を言う。
【0014】
このようなオンライン葬祭に対し、以下に詳述する実施形態の故人史作成システム160を適用することで、オンライン葬祭を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者や縁故者等と故人との繋がりを年表形式によって故人史として出力することができる。
【0015】
本実施形態の故人史作成システム160は、図1に示すように、故人史作成装置100、葬儀社端末150、および葬祭会場151を含み、これらがインターネット等の公知のネットワークNETを介して相互に情報通信可能に構成されている。
【0016】
<葬儀社端末150>
葬儀社端末150は、主として現実の葬祭が実施可能な葬祭会場151を有する葬儀社が所有するコンピュータなどの公知の情報端末である。
葬儀社端末150は、図1に示すように、例えば葬祭会場151に設置された中継カメラ153や中継モニター154を含む葬祭通信設備152から葬祭情報を取得する。
そして、葬儀社端末150は、それぞれで開発あるいは取得した葬祭アプリケーションを利用して、葬祭に参加出来ない縁故者等に対して公知のビデオ通話アプリケーションを介して葬儀の様子をライブ映像で配信するサービスを実施し得る。
【0017】
<葬祭会場151>
葬祭会場151は、図1に示すように、公知の葬儀(葬祭)が実施可能な公知の葬祭会場に対して更に上述の葬祭通信設備152を具備して構成されている。
なお、葬祭通信設備152としては、上記した公知のネットワークカメラなどの中継カメラ153や公知の液晶モニターなどの中継カメラ153の他にも、例えば公知のマイクやスピーカなど音声入出力情報も情報通信可能なように構成されていてもよい。
【0018】
オンライン葬祭においては、例えばオンライン葬儀を実施している葬儀社のスタッフが故人の葬祭に参列を希望する者と情報通信を行い、オンライン参列者は自身の端末にリモート参列するためのアプリケーションをダウンロードする。
そして葬祭の当日には、実際の葬祭に参列する者に加え、葬祭の開始時間になると上記した葬祭通信設備152及び葬儀社端末150を介して葬祭がオンライン参列者に対してもライブ配信されることで、オンライン上からも葬祭に参加して弔問することが可能となっている。
【0019】
<故人史作成装置100>
次に、図2も参照しつつ、本実施形態の故人史作成システム160における故人史作成装置100について詳細に説明する。
図2に示すように、故人史作成装置100は、故人史データ作成装置110と、印刷・製本機120と、を含んで構成されている。なお、印刷・製本機120について、詳細は後述する
【0020】
故人史データ作成装置110は、上記したオンライン葬祭にネットワークNETを介して参列したオンライン参列者OP等に対して、参列者が投稿した思い出や写真などのデータを、故人の時間経過に合わせて年表形式の故人史データとして出力する機能を有して構成されている。
故人史データ作成装置110としては、一例として、ネットワークNETに接続して情報通信が可能な公知の通信装置CD、上記した参列者の情報など各種情報やアプリケーションを保持可能なメモリMRやハードディスクHDDなどを含む公知の記憶装置MD、これら通信装置CDや記憶装置MDを制御して情報処理が可能な公知のCPU(Central Processing Unit)を含む公知の汎用コンピュータが適用できる。
【0021】
このような故人史データ作成装置110は、上記したCPUで構成された、参列者情報取得部10と、縁故情報登録部20と、データ変換部30と、故人史データ出力部40と、を含んで構成されている。
【0022】
参列者情報取得部10は、葬儀社端末150の上記したアプリケーションで実行される故人のオンライン葬祭に対してオンラインで参列するための情報を取得する機能を有する。
この参列者情報取得部10によって取得された参列者情報に基づいて後述する故人史データが作成される。
【0023】
縁故情報登録部20は、上記した故人の葬祭の参列者における故人との関連を示す画像又はコメントと、故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報と、を少なくとも含む縁故情報を登録する機能を有して構成されている。
例えば、図1に示すように、ネットワークNETに接続されたオンライン参列者OP1は、後述する縁故情報登録画面を介して故人とのゆかりや思い出を内包する画像データやコメント(文字や音声データ)を登録することができる。
このとき、コメント(文字や音声データ)には、故人の生前における接触時期(いつの頃か)やその具体的な年代が判別可能なキーワード(例えば「1990年頃」、「2000年初め」、「小学生」など)が入力されていることが好ましい。
【0024】
あるいは上記の他の態様として、縁故情報登録部20を設け、まず入力者がどの時代に縁故者と接触したかを選択させた後に、その時代の縁故情報として区分けされた投稿用画面を表示させることで当該投稿用画面を介して上記画像データやコメント(文字や音声データ)を入力させ、この縁故情報登録部20に登録させる形態とすることができる。
なお、上記入力者のコメントは、マイクなどの公知の音声入力装置を用いて登録させることもできる。
【0025】
データ変換部30は、縁故情報登録部20を介して参列者が登録した画像又は上記コメント(文字や音声データ)を、故人の生前経過に合わせた年代と紐づけた故人史関連データ(年表)に変換する機能を有している。
ここで「故人史関連データ」(年表)とは、故人が生まれてから死ぬまでの期間で、予め用意された年表である。
すなわち、「故人史関連データ」(年表)は、故人の生前記録をまとめた年表形式(すなわち年代順に整理した)の故人との関連事項のデータである。
例えば、参列者と故人とのつながりや思い出などを内包した、画像データやコメント(文字や音声)データなどの、故人の足跡を示すデータである。
また、「故人史関連データ」は、故人の生前経過に合わせて、例えば「小学以前」、「学生」、「社会人」、「退職以降」といった年代枠でそれぞれ紐づけ(カテゴライズ)されていてもよい。
【0026】
なお本実施形態では、オンライン参列者OP1やOP2からの上記画像又は上記コメント(文字や音声データ)に基づいて変換する例を示しているが、故人との縁故情報の提供は、オンライン参列者OPに限られず、現実に葬祭会場151に参加し現実の葬祭参列者PPなどから提供を受けたものであってもよい。
【0027】
故人史データ出力部40は、前記したデータ変換部30によって変換された故人史関連データに基づいて、故人の生前記録をまとめた年表形式(すなわち年代順に区分けして整理された)の故人史データを出力する機能を有して構成されているので、故人の足跡を一覧表として出力することが可能となる。
【0028】
古来よりも葬祭は故人を偲んで行われているが、旧来の手法ではどうしても一方通行で形式的な儀式となりがちであり、葬祭当日を過ぎて雑多な日常に戻ると偲ぶ気持ちも薄らぎやすい。
しかしながら本実施形態によれば、現実に参列した者かオンライン上で参列した者かを問わず、故人の葬祭に参列した参列者と故人とのつながりや思い出などが内包された故人の足跡を故人史データとして遺すことができ、参列者はその傍らに故人との縁故を再現しやすい形態で半永久的に遺すことが可能となる。
【0029】
なお後述するように、本実施形態で作成された故人史データは、印刷機や製本機(印刷・製本機120)で出力することができる。
このように故人史データの出力の形態は、データとして記録したり保存したりすることに加え、例えば印刷処理して印刷物として上製本とする態様も含まれる。
【0030】
印刷・製本機120は、上記した故人史データ作成装置110とネットワークNETを介して通信可能に構成された、それぞれ公知の印刷機と製本機が例示できる。
なお、図2では故人史データ作成装置110と分離されて図示されているが、故人史データ作成装置110と印刷・製本機120とは、同一の事業者が所有して敷地内にまとまって設置されていてもよい。
また、これらが別々の事業者によって運営される形で互いに離れた場所にそれぞれ設置されていてもよい。
【0031】
このように、本実施形態における故人史作成システム160は、上記した故人史作成装置100と、この故人史作成装置100と電気的に接続された印刷機と、この印刷機と電気的に接続された製本機(これらを合わせて印刷・製本機という)とを含んでいてもよい。
そして、故人史作成装置100の故人史データ出力部40は、前記した印刷機および製本機(印刷・製本機120)に対して故人史データを出力して印刷および製本処理を実行させることが可能となっている。
なお、印刷および製本処理については、後述するような上製本なども提案できる。
【0032】
[オンライン葬祭における故人史作成方法]
次いで、図3も参照しつつ、本実施形態におけるオンライン葬祭における故人史作成方法について説明する。
以下で説明する故人史作成方法は、オンライン参列者OP、上記した故人史作成装置100、葬儀社端末150、および葬祭会場151がネットワークNETを介して情報通信可能とされて、故人史作成装置100の上記CPUによって実行されてもよい。
【0033】
まず、ステップ1において、故人の葬祭にオンラインで出席するか否かが判定される。
具体的には、故人の葬祭にオンライン上で参列を希望する参列希望者は、自身のPCやスマートフォンなどの情報端末を介してオンライン葬祭システムにアクセスする。
【0034】
参列希望者が、オンライン参列者OPとして故人の葬祭にオンライン上で参加を希望する場合、ステップ2においてログイン処理と参列情報の入力を行う。
一例として、図4に示すログイン画面60を用いてログイン処理を行い、図5に示すメニュー画面70を用いて参列情報の入力を行うことができる。
【0035】
なお、図示するように、ログイン画面60は、一例として、URL情報61、ユーザー名入力欄62、パスワード入力欄63、ENTER(入力)ボタン64を含んで構成することができる。
このうちユーザー名やパスワードは、公知の初期設定画面/新規登録画面(不図示)などを介して適宜設定することができる。
【0036】
また、メニュー画面70は、一例として、URL情報71、ID情報72(ユーザー画像72a、ユーザー名72b)、葬祭参列ボタン73、縁故情報入力ボタン74、ユーザー情報編集ボタン75などを含んで構成することができる。
このうちユーザー情報編集ボタン75は、例えば既に登録したパスワードや上記ID情報72などの個人情報を編集するためのボタンである。
【0037】
葬祭参列ボタン73は、故人の葬祭にオンラインで参列するための情報を入力するボタンである。
オンライン上で参列を希望する者は、この葬祭参列ボタン73を押下することで不図示の情報入力画面に遷移して各種の参列者情報を入力する。
なお、「参列者情報」とは、故人の葬祭および当該葬祭に参列する者を特定するための情報であり、一例として、故人の氏名、葬祭の日時や会場の情報、オンラインで参列する者の個人情報(氏名やE-mailアドレスを含む連絡先など)が例示できる。
【0038】
この参列者情報が、故人史データ作成装置110から葬儀社端末150に送信されると、葬儀社端末150側でオンライン参列者OPに対してビデオ通話アプリケーションを利用したオンライン葬祭の開催通知などが通知可能となる。
従って、オンライン参列者OPは、葬祭の当日に、自身の情報端末からオンラインで葬祭に参加することで、例えば、葬祭会場151に設置された中継モニター154上にライブ映像で表示される。
また、オンライン参列者OPの情報端末上には、葬祭会場151に設置された中継カメラ153によって実際の葬祭の様子が中継されることになる。
【0039】
次いでステップ3では、故人史作成への情報提供を希望するか否かが判定される。
このうちオンライン上から葬祭に参列する者であっても、故人史作成への情報提供までは希望しない者も存在し得ることから、このような場合(Step3でNo)にはステップ7へ移行して受付処理を完了させる。
一方、オンライン上にて参列を希望する者が、さらに故人史作成への情報提供も希望する場合(Step3でYes)には、上記したメニュー画面70において縁故情報入力ボタン74を押下する。
【0040】
縁故情報入力ボタン74は、参列者における故人との関連を示す画像やコメント、および故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報、を少なくとも含む縁故情報を登録するためのボタンである。
故人史作成への情報提供も希望する者がこの縁故情報入力ボタン74を押下すると、例えば図6に例示するような縁故情報入力画面80に遷移する。
【0041】
図6に一例として示すように、縁故情報入力画面80は、URL情報81、対象葬祭選択ボタン82、故人関連時期入力ボタン83、関係入力ボタン84、画像登録ボタン85、コメント登録ボタン86などを含んで構成することができる。
【0042】
対象葬祭選択ボタン82は、オンライン上から参列を希望する葬祭を選択する機能を有して構成されている。
なお、対象葬祭選択の入力態様としては、日付や場所及び故人名などを直接入力する形態であってもよいし、葬儀社端末150から情報提供を受けて故人名を選択するプルダウン形式など、公知の種々の選択方法を適用できる。
【0043】
故人関連時期入力ボタン83は、故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報を入力する機能を有して構成されている。
縁故時期特定情報としては、例えば、上記した故人の生前経過に合わせた「小学以前」、「学生」、「社会人」、「退職以降」といった年代枠をプルダウン形式で選択する形態であってもよいし、入力者が具体的な年代を特定して入力してもよいし、例えば10年毎に区切られた年代や、年号から選択する形態であってもよい。
音声入力を利用する場合は、そのまま音声を入力したり、音声変換ソフトを介してテキスト化したりして、入力することもできる。
【0044】
関係入力ボタン84は、故人に対する関係を特定するための機能を有する。
故人に対する関係としては、例えば図8に示すように、「家族」、「友人」、「親族」および「その他」などにカテゴライズして区分けしてもよい。
入力者は、関係入力ボタン84を押下することで、上記した各カテゴリーの中から自身が当てはまる項目を選択することができる。
なお、関係入力ボタン84を押下した場合に、上記したカテゴリーから選択することに代えて、故人との関係を直接的に文字や音声データで入力する形態とされていてもよい。
【0045】
画像登録ボタン85は、参列者における故人との関連を示す画像情報を登録する機能を有して構成される。
上記した参列希望者がこの画像登録ボタン85を押下することで、不図示の画像登録画面などを介して自身の端末などで保存された故人との関連を示す画像を登録できる。
なお、故人との関連を示す画像に代えて、圧縮等が適宜施された映像情報を登録する形態であってもよい。
【0046】
コメント登録ボタン86は、葬祭に参列する参列者における故人との関連を示すコメント(文字や音声)情報を登録する機能を有して構成されている。
上記した参列希望者がこのコメント登録ボタン86を押下することで、不図示の文字や音声情報入力画面などを介して自身の入力手段(キーボードやタッチパネル、マイクなど)で故人に対する思いや偲びをコメント(文字や音声)情報として登録することができる。
なお、このとき、入力されるコメント(文字や音声)情報には、故人との関わり時期がいつ頃かを特定できる情報がさらに入力されることが好ましい。
以上で説明した縁故情報の入力が完了した場合には、完了ボタン87を押下することで縁故情報の入力処理が完了する。
【0047】
次いでステップ5では、故人史を受領するか否かが選択される。
参列者が故人史の受領を希望する場合(Step5でYes)には、続くステップ6で受領方法の選択処理がなされる。
受領方法としては、故人史データをダウンロードする形態であってもよいし、上記した印刷・製本機120によって印刷と製本がなされて参列者の上記連絡先に対して配布される形態であってもよい。
【0048】
ステップ6で受領方法の選択が為された後は、ステップ7で受付完了処理が実行されて、上記した各種の入力情報が保存される。
ステップ8では、葬儀社端末150に向けてオンライン葬祭の開催に必要な上記各種の情報(例えばオンライン上で参列する参列者の情報や縁故情報など)がネットワークNETを介して送信される。
【0049】
本実施形態のオンライン葬祭における故人史作成システムによれば、オンライン葬祭の形を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりすることが可能となる。
これにより、故人の葬祭に参列した参列者と故人とのつながりや思い出などが内包された故人の足跡を故人史データとして半永久的に遺すことが可能となる。
【0050】
図7に、本実施形態の故人史作成システムで作成された故人史の例を示す。
図7に示すように、故人史は、故人と参列者とが共に掲載された画像ImやコメントCtが年代順に沿って各年代に紐付けられて掲載されている。
なお年代順の表示例としては、例えば上記した「小学以前」/「学生」/「社会人」/「退職以降」といった年代枠としてもよいし、あるいは「幼児期」/「少年少女期」/「青年期」/「中年期」/「壮年期」などの区分けでもよい。
【0051】
また、年代順の表示例としては、各時代を定義せず、単年乃至十数年といった幅で、故人の生誕年からの年を区分けしてもよい。
このように本実施形態の故人史としては次のごとき特徴の少なくとも1つを備えることができる。
(a)年代順に各時代が区分けされてその時期における画像やコメントが掲載
(b)レイアウト例:時代ごとの出来事や画像が整理された『年表形式』も可
(c)親族や友人と故人が共に掲載
(d)故人史は複数の冊子でも構成可(複数冊子の場合は時代毎に各冊子を設定可)
【0052】
なお、以上で説明した実施形態は本発明を実施する上で好適な形態であって、これらに限定されるものではなく、上記した特許文献を含む公知の手法の一部を活用して適宜変形してもよい。
このような変形例としては、例えば次に示すように実施形態を変形することができる。
【0053】
<変形例>
上記実施形態では関係入力ボタン84を用いて故人に対する関係を特定する情報を登録していたが、変形例においてはこの故人に対する関係を利用して親密度を設定してもよい。
例えば、図8に示すように、登録した故人の関係を示すカテゴリー毎に親密度を順位付けすることもできる。
【0054】
例えば、故人史作成装置100における縁故情報登録部20は、複数の参列者(現実の葬祭参列者PP又はオンライン参列者OP)ごとに上記した故人との縁故を示す画像又はコメントを登録する。
そして故人史データ出力部40は、この故人に対する親密度に応じて故人史データにおける参列者の掲載ページ数および掲載位置の少なくとも1つを調整してもよい。
【0055】
これにより、例えば親密度が高い(図8の例では親密度第1位の家族や第2位の友人)カテゴリーの参列者が登録した上記画像やコメントがより多く故人史へ掲載されることになる。
あるいは、作成される故人史において同じページに複数の参列者からの画像やコメントが掲載される場合には、例えば、より見やすい中央位置に親密度が上位の参列者による画像やコメントが配置されたり、相対的に掲載領域が大きな状態で親密度上位の参列者による画像やコメントが配置されたりすることができる。
【0056】
なお、本変形例では序列が第1位から第4位まで階段状に設定されているが、同列の順位を設定してもよいし、他のカテゴリーを設けてより細分化してもよい。
このような変形例によっても、上記した実施形態の効果を奏することに加え、参列者の故人に対する親密度(関係の深さとも言える)に応じて故人史への掲載比重に傾斜をつけることができる。
これにより、故人の足跡をより現実的に近い形態で後世に遺すことが可能となる。
【0057】
なお上述のとおり添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。
すなわち当業者であれば上記した実施形態に対して更なる変形を試みることは明らかであり、これらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
なお前述したように、本実施形態で作成された故人史データは、印刷機や製本機(印刷・製本機120)で出力することができる。
例えば、以下に説明するように、上質で、高い耐久性、耐引裂性を有する見開き性に優れた上製本として提供できる。
以下、上製本につき、図9図21を用いて説明をする。
上製本は、例えば、複数枚の上製本用用紙202を丁合して本文210を形成する工程と、
前記本文の背側外端縁205に沿って本文を貫通する複数の糸孔(301~304)を穿設する工程と、
前記糸孔に綴じ糸を挿通させて糸綴じし本身602を形成する工程と、
前記本身602の表裏両面に見返し604を貼設し、
前記表裏両面の見返し604の下方部605及び前記本身602の背面603を覆うように寒冷紗802を貼着して製本本体800を形成する工程と、
前記製本本体800に表紙本体900を貼設する表紙取り付け工程と、を有して製造される。
そして、前記糸孔に綴じ糸を挿通させて糸綴じし本身を形成する工程は、
糸玉が形成された綴じ糸の先端を、糸孔内の途中から上方に延ばして該糸孔内から表紙側に露出させた後、天側の方向に向かわせ、
隣接する糸孔内に挿入して糸孔内を下方に延ばし、
該糸孔の下方から露出させた後、天側の方向に向かわせ、
隣接する糸孔内に挿入して糸孔内を上方に延ばし、
糸孔から上方に露出させた後、
天側から地側の方向に逆戻りするように、
隣接する糸孔の表から裏へ、さらに隣接する糸孔の裏から表へと、
本文の表裏両面を交互に綴じ糸を渡し、糸綴じ開始点の糸孔に戻り、
糸綴じ終点の結びを形成する。
【0059】
これにより、一般的な上製本より安価で、また、無線綴じより上質で、高い耐久性、耐引裂性を有する見開き性に優れた上製本を提供することができる。
また、一般的な上製本の製造方法で必要な工程を最小限に留めることで、相対的に安価な上製本を提供することができる。
また、本文に穿設された糸孔の周孔部に補強部材を貼設することで、見開きの際に綴じ糸による周孔部の破損を防止することができる。
また、糸綴じ工程において、本身内部から糸綴じを開始することにより、本文の縫い始め側に糸玉を形成し、その結節点を本身内部に挟む(潜り込ませる)ことで、糸玉のほつれを防止し、縫い始めにおける糸抜けを防止するとともに、糸玉が露出することによる外観の悪さを防止した、上質な上製本を提供することができる。
さらに、伸縮性を有する綴じ糸を用いることで、高い耐久性、耐引裂性を有する、見開き性に優れた上製本を提供することができる。
また、和綴じを応用した手法により糸綴じを行い製本するため、糸綴じにあたっては機械化することも可能である。
【0060】
以下、上製本の製造方法の実施態様につき詳細に説明をする。
まず、上製本用用紙を用意する。
次に、上記本文の背側外端縁に沿って、複数の糸孔を穿設する。
本文の背側外端縁において、天側及び地側から約10mmの箇所に印をつけ、
当該印をつけた箇所間を等分するように複数の糸孔を穿設する。
【0061】
上記本文の背側外端縁に沿って複数の糸孔を穿設した後に、見開きの際に綴じ糸による糸孔の周孔部の破損を防止するために周孔部に補強部材を貼設する。
糸孔の周孔部とは、本文の背側外端縁に沿って穿設された糸孔の表表紙側及び裏表紙側の外端部をいうものとする。
【0062】
次に、本文に穿設された糸孔に伸縮性のある綴じ糸を挿着する。糸綴じは、和綴じの方法を応用した縫い綴じを行うことで、本文外側の縫い目の凹凸を目立たなくすることができる。
すなわち、本文に穿設された糸孔を渡るように伸縮性のある綴じ糸を挿着し、糸孔を渡るようにして糸綴じを開始し、綴じ糸の糸玉を本身の間に挟み込んで、糸綴じの工程で終端の糸玉が抜けないようにする。
糸綴じの工程では、表裏両面を貫通した糸孔を縫うように一筆書きして綴じ糸を通す。
【0063】
糸綴じに用いる綴じ糸は、例えば、一般的な製本糸として、麻糸又は綿糸、また、合成樹脂である、ナイロン6(登録商標)、ナイロン6(登録商標)/ナイロン66(登録商標)共重合体、ナイロン6(登録商標)/ナイロン12(登録商標)共重合体などのポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、超高分子量ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂等からなる糸が挙げられる。
特に、伸縮性を有しており、破断伸度が50%以上と高いナイロン(登録商標)製で、直径0.3~1mmのものを用いることが好ましい。
上製本の展開を容易にし、見開き性に優れた上製本を提供するために、綴じ糸は伸縮性を有すること、強度や耐磨耗性、耐引裂性などの力学特性に優れているものが好ましい。
【0064】
また、糸綴じに用いる綴じ糸は、例えば赤や緑といった色付きの綴じ糸を用いることにより、上製本の見栄えを良くすることもできる。
【0065】
糸綴じ後の本身の両面に、見返しを貼着する。見返しは2つ折りになり、一端が表紙に貼着され、もう一端で本身に貼着される。
見返し紙は2つ折りにした際の大きさが、本身と同様の大きさの矩形状の紙を用いる。
見返しを貼着する際の接着剤には、一般的にでんぷん糊や水溶性合成樹脂糊を用い、この接着剤をローラーや刷毛を用いて見返し用紙に塗布し、水分で見返し紙が撓まないうちに、また接着力が強力になり過ぎないうちに手早く本身に貼着する。
【0066】
次に、見返しを貼着した本身を三方断ちにより裁断する。
これにより、本身の天地方向の寸法と、背から小口までの寸法とを揃えることができる。
【0067】
次に、本身に補強用部材として、寒冷紗を貼着することもできる。
寒冷紗は、接着剤を介して本身の背から本文をつなぐ役割を果たし、綿若しくはレーヨン製の一般的なガーゼ状織物等を用いることができる。
【0068】
しおり紐を本身に付設することもできる。
しおり紐は天側の背上部約5mmの箇所に接着材を用いて接着する。
しおり紐の長さは、背側から小口側対角線の長さより約10mm程度長いものが適当である。
しおり紐は通常レーヨン製の一般的な紐が用いられるが、本発明の上製本では、例えば遠州綿紬等の織物から作成されたしおり紐を使用することで、上製本の風合いを高めることができる。このようにして製本本体を形成する。
【0069】
製本本体には、さらに、飾り布としての花布を付することができる。
これは、製本本体の天地端から約10mmの長さで貼着され、製本本体の天地端から飾り布としての花布が配設されることで、上製本の見栄えを良くするという効果がある。
花布は、製本本体の厚さと同様の幅で切断した2枚の布を用い、接着材を塗布したものを製本本体の背部天地端に貼着する。この際に、花布の外端部を製本本体の背側角部分に密着させ、平行になるように貼着させる。また、花布の切断面にも接着剤を塗布することで、ほつれを防止することができる。
【0070】
最後に、製本本体とあらかじめ形成された表紙本体とを貼合させる。
表紙本体は、芯となるボール紙等の芯材を表紙用紙で覆い、表紙用紙を、芯材の端縁に沿って適宜表紙裏側に折り返し、各芯材と表紙用紙とを接着剤で貼合したものを用いる。
具体的には、まず表紙用紙の内面側に芯材を、製本本体の表表紙用、背表紙用及び裏表紙用の3面それぞれを形成するように互いに所定の間隔をおいて配置する。
芯材は、例えばボール紙の芯紙等を使用することにより、表紙が折り曲がらないように強度を高めることができる。
表紙用紙は、例えば布クロス、紙クロス等の耐久性、耐摩耗性に優れたものを使用する。
【0071】
表紙本体を製本本体へと貼設する工程においては、見返し付きの製本本体の見返し部分に接着剤を塗布しておき、製本本体の表裏の表紙の裏面に本文側の見返しを貼り合わせる。
この際、製本本体の背面には接着剤を塗布しない。表紙本体と製本本体の貼設後、溝付け成形機によりプレスして、表紙の表表紙・背表紙及び背表紙・裏表紙境界部に溝付け加工を施す。
【0072】
図9は、一実施形態に係る上製本の構成の一例を示し、上製本1000を天側又は地側から見た図である。
上製本1000は、表紙本体900、2セットの見返し604、寒冷紗802、本身602、綴じ糸402を備える。
【0073】
上製本1000の製造方法は、図10に示すように、まず、多数枚の上製本用用紙202を用意する。上製本用用紙202は、のど側端部206を揃えて丁合いを行い、接着剤204をのど側端部206に塗布して背固めをし、上製本用用紙202を重ね合わせて冷却することで接着固定し、本文210を作成する。
【0074】
次に、図11に示すように、本文210に複数の糸孔301~304を穿設する。
糸孔301~304は、本文210ののど側端部206の背側外端縁205に沿って、表裏両面を上下に貫通するように、目打ち等の用具で穿設される。
糸孔301~304の形成は、天209a及び地209bから10mmの2箇所、及び当該2箇所間を等分するように、例えば全部で4個の糸孔301~304を穿設する。
糸孔301~304は直径が約5mm程度の円形とすることが好ましいが長穴でもよい。
【0075】
図12(a)に示すように、見開きの際に綴じ糸402による糸孔301~304の周孔部305の破損を防止するために周孔部に補強部材301a~304aを貼設する。
補強部材301a~304aは、表表紙側及び裏表紙側の本文数枚に対して貼設し強度を高めることで、糸孔301~304の周孔部305の破損を防止することが可能となる。
補強部材301a~304aには、糸孔301~304に対応したシール孔を有し、一面が接着剤が塗布処理された接着面に形成された樹脂製のものを用いることができる。
また、図12(b)に示すように、背側外端縁205の長さに調節された帯形状の補強部材406を用いて、糸孔301~304の周孔部305全てを貼設してもよい。
なお、本発明の糸綴じ形式を並製本の製造に用いることが可能である。
【0076】
次に、図13に示すように、本文210に穿設された糸孔301~304を渡るように伸縮性のある綴じ糸402を挿着する。
糸綴じは、本文210の地209b側から2つ目の糸孔302より糸綴じを開始する。
なお、図13では、地209b側から2つ目の糸孔302より糸綴じを開始する態様で記載しているが、他の糸孔より糸綴じを開始してもよい。
ここで綴じ糸402の始端に形成した糸玉404を、本身602の積層された上製本用用紙202を持ち上げて、その間に挟み込んで、糸綴じの工程で始端の糸玉404が抜けないようにする。
糸綴じの工程は、和綴じの手法である四つ目綴じを簡略化し、表裏両面を貫通した糸孔301~304を縫うように一筆書きして綴じ糸402を通す。
すなわち、糸玉404が形成された綴じ糸402の先端を、前記2つ目の糸孔302内の途中から上方に延ばして糸孔302内から表紙側に露出させた後、天209a側の方向に向かわせ、隣接する糸孔303内に挿入して糸孔303内を下方に延ばす。
さらに、糸孔303の下方から露出させた後、天209a側の方向に向かわせ、隣接する糸孔304内に挿入して糸孔304内を上方に延ばす。
糸孔304から上方に露出した後、天209a側から地209b側の方向に逆戻りするように、隣接する糸孔303の表から裏へ、そして隣接する糸孔302の裏から表へ・・・というように、図13に示すような軌跡をたどるようにして、本文210の表裏両面を交互に綴じ糸402を渡し、糸綴じ開始点の糸孔302に戻り、糸綴じ終点の結びを形成する。
【0077】
図14は、糸綴じ終点における結びを示したものである。
図示するように、糸綴じ終点に結び目を形成する際には、糸孔302に通した綴じ糸402の先端を、先に通した綴じ糸402の下部に潜らせて絡めるようにして結び目を形成する。
結び終えた後に、綴じ糸402の余り部分を鋏等で切断処理を行う。
また、終端に形成された結び目を糸孔302内に収納して、本身602の表面に結び目の凹凸が現さないようにし見栄えを良くすることができる。
なお、綴じ糸402は伸縮性を有し、破断伸度50%以上のナイロン(登録商標)製で、直径0.5mmのものを用いることができる。
【0078】
図15に示すように、次の工程において、糸綴じされた本身602の表裏に、見返し604を貼合させる。
見返し604は、2つ折りにした、きき紙606及び遊び608をから形成されており、きき紙606は表紙本体900の裏に張り付けられる部分であり、遊び608は、本身602に張り付けられる部分である。きき紙606及び遊び608は本身602と同様の大きさに調整しておく。
【0079】
次に、見返し604を貼着させた本身602を、裁断機により三方断ちして形状を揃える。
すなわち、図16に示すように、本身602の糸綴じされた背を残して、天側、地側、及び小口側を外端部から約1mm程度同時に裁断して断面を揃えるようにする。
これにより、見返し604が貼合された本身602の天地間の寸法、背から小口までの長さ寸法とを揃えることができる。
【0080】
次に、本身602に補強用部材として寒冷紗802を貼着する。
図17(a)に示すように、寒冷紗802は、例えば本身602の天地側からそれぞれ10mm程度短く、また背から本文側に30mm程度はみ出す大きさである。
寒冷紗802は、目の粗い網目状の薄い綿布を用い、全体に接着剤204を含ませ本身602の背面603にあてがうことで、背固めの補強部材として機能する。
【0081】
なお、しおり紐804を本身602に付設させる場合は、以下のようにする(図9(b)参照)。しおり紐804は本身602の天209a側の背中央上部にその一端が位置するように、天209aから5mmの長さで接着材を用いて付設する。しおり紐804を付設する際は、しおり紐804の一端を本身602の背中央上部の間に挟み込んでおくことが強度の面から好ましい。
【0082】
次に、図18に示すように、表紙本体900を作成する。
裏表紙用芯材904、背表紙用芯材906及び表表紙用芯材908を、表紙用紙902の所定の位置に接着材を用いて貼付ける。
裏表紙用芯材904、背表紙用芯材906及び表表紙用芯材908は、表紙が折り曲がらないよう強度を高めるため、ボール紙を、製本本体800の表紙及び背表紙より一回り大きく調整されたものを用いる。
表紙用紙902には、裏表紙用芯材904及び背表紙用芯材906の間隔、また背表紙用芯材906及び表表紙用芯材908の間隔を約10mm程度に配置できるよう、あらかじめ境界線に線引きしておいたものを用いる。
表紙用紙902には、裏表紙用芯材904、背表紙用芯材906及び表表紙用芯材908を取り囲むように折り返し部を設けており、各芯材を取り囲むように接着剤204を用いて貼着する。
また図示するように、表紙用紙902の四つ角はあらかじめ切り落とされており、折り返しが容易に行うことができる。
このようにして表紙本体900が形成される。
表紙用紙902は、本の内容や用途に応じて、織物生地に染色し裏打ちした布クロス、染色した塩ビを生地に用いたビニールクロス、紙にラミネート加工やエンボス加工をした紙クロス、レザークロスなどが用いられる。
いずれも耐久性、耐摩耗性に優れたものを使用することが好ましい。
【0083】
最後に、製本本体800と表紙本体900とを貼合させる。
図19に示すように、製本本体800に付設された見返し604を形成するきき紙606の表紙側に接着剤204を塗布しておき、表紙本体900の表裏の表紙の裏面にきき紙606を貼り合わせることで製本本体800と表紙本体900を接着固定する。
この際、製本本体800の背面(寒冷紗802と表紙本体900との間)には接着剤204を塗布しない。
製本本体800と表紙本体900の接着後、溝付け成形機によりプレスして、表紙の表表紙・背表紙及び背表紙・裏表紙境界部に溝付け加工を施す。以上の工程から上製本1000を提供することができる。
【0084】
図20は、上製本1000の開いた状態を示す概略図である。本発明の上製本1000の綴じ糸402は伸縮性を有しているので、図12に示すように、全開にした状態でも見開き性に優れている。
【0085】
なお、図21に示すように、見返し604の下方部605を、綴じ糸402の上方に位置せしめて、寒冷紗802を貼着して製本本体800を形成し、製本本体800に表紙本体900を貼設する様にして、綴じ糸402を接着剤204で固定しないようにすることもできる(P参照)。この場合は、上製本1000を開く場合の綴じ糸402の自由な移動が確保され、糸孔301~304の破損を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明は、オンライン葬祭を経て参列者とともに歩んだ故人の足跡を故人史として遺すことが可能なシステムに資することができるので、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0087】
100 故人史作成装置
10 参列者情報取得部
20 縁故情報登録部
30 データ変換部
40 故人史出力部
150 葬儀社端末
151 葬儀会場
152 葬祭通信設備
153 中継カメラ
154 中継モニター
160 故人史作成システム
202 上製本用用紙
204 接着剤
205 背側外端縁
206 のど側端部
209a 天
209b 地
210 本文
301、302、303、304 糸孔
301a、302a、303a、304a 補強部材
305 周孔部
402 綴じ糸
404 糸玉
406 補強部材
602 本身
603 背面
604 見返し
605 下方部
606 きき紙
608 遊び
800 製本本体
802 寒冷紗
900 表紙本体
902 表紙用紙
904 裏表紙用芯材
906 背表紙用芯材
908 表表紙用芯材
1000 上製本
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21