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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006503
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】土台補強金具
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E04B1/58 510C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107418
(22)【出願日】2022-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】522046069
【氏名又は名称】キノテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】紀 正行
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA18
2E125AA45
2E125AB02
2E125AB03
2E125AB04
2E125BB05
2E125BB06
2E125BC02
2E125BE07
2E125BE08
2E125BF05
2E125CA05
(57)【要約】
【課題】地震が発生した場合には、接合部において土台が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供すること。
【解決手段】土台100の接合部を補強する土台補強金具1であって、この土台補強金具1は、土台100の下面に配置され、土台100に沿って延びる底部11と、底部11の上面から立設する複数の固定部13と、を備え、複数の土台100を、それぞれ固定部13に固定する。更に土台100に沿って延びる底部11の両側縁から立設し、土台100に沿って延び、土台100の側面側に配置される側部12を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台の接合部を補強する土台補強金具であって、
前記土台の下面に配置され、前記土台に沿って延びる底部と、
前記底部の上面から立設する複数の固定部と、を備え、
複数の土台を、それぞれ前記固定部に固定することを特徴とする土台補強金具。
【請求項2】
前記土台に沿って延びる前記底部の両側縁から立設し、前記土台に沿って延び、前記土台の側面側に配置される側部、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の土台補強金具。
【請求項3】
前記側部には、前記土台の側面に挿入される固定部材が挿通される側面固定孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の土台補強金具。
【請求項4】
前記底部の略中央の下面には、
略円錐形の凹部を有する受け具と、前記凹部に当接する略円錐形の摺動部を有し、基礎に固定され前記受け具を支持する支え具と、を備える免震具の前記受け具が固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の土台補強金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の基礎に載置される土台に適用される土台補強金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種の技術としては、特許文献1に記載された技術が提案されている。特許文献1には、コンクリート基礎にアンカーボルトが立設されており、このアンカーボルトにチャンネル状鋼製土台が挿通されることにより、コンクリート基礎にチャンネル状鋼製土台が載置されることについて開示されている。更に、チャンネル状鋼製土台のなかに土台補強金物が嵌合されることについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-55793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の土台が接合する土台の接合部に負荷が掛かった場合に、接合部において土台がずれたり互いに離間したりしないように補強金具が取り付けられる場合がある。しかし、補強金具が取り付けられていても、地震が発生したときのように、土台の接合部に大きな負荷が掛かった場合には、接合部において土台が適正位置からずれてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決し、複数の土台が接合する土台の接合部に負荷が掛かった場合に、接合部において土台が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、次の構成を備えている。
【0007】
(1) 土台の接合部を補強する土台補強金具であって、
前記土台の下面に配置され、前記土台に沿って延びる底部(例えば、底部11)と、
前記底部の上面から立設する複数の固定部(例えば、固定部13)と、を備え、
複数の土台を、それぞれ前記固定部に固定することを特徴とする土台補強金具。
【0008】
(1)の発明によれば、底部の上面から立設する複数の固定部によって、底部が土台の下面に配置された状態で複数の土台に固定される。このため、複数の土台に対して負荷が加わった場合に、土台補強金具によって補強されている部位において複数の土台がずれることを防止することができる。このように、地震が発生したときのように、土台の接合部に大きな負荷が掛かった場合に、接合部において土台が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供することができる。
【0009】
(2) (1)において、前記土台に沿って延びる前記底部の両側縁から立設し、前記土台に沿って延び、前記土台の側面側に配置される側部(例えば、側部12)、を更に備えることを特徴とする土台補強金具。
【0010】
(2)の発明によれば、接合部において土台が適正位置からずれようとした場合に、側部によって土台の横方向の移動を規制することができる。これにより、地震が発生したときのように、土台の接合部に大きな負荷が掛かった場合に、接合部において土台が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供することができる。
【0011】
(3) (2)において、前記側部には、前記土台の側面に挿入される固定部材(例えば、ボルト15a)が挿通される側面固定孔(例えば、側面固定孔12a)が形成されていることを特徴とする土台補強金具。
【0012】
(3)の発明によれば、固定部材を側面固定孔に挿通することにより、土台に負荷がかかって接合部において適正位置からずれようとした場合に、固定部材によって土台が土台補強金具から外れることを防止することができる。これにより、地震が発生したときのように、土台の接合部に大きな負荷が掛かった場合に、接合部において土台が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供することができる。
【0013】
(4) (1)、(2)において、前記底部の略中央の下面には、
略円錐形の凹部(例えば、凹部204a)を有する受け具(例えば、受け具204)と、前記凹部に当接する略円錐形の摺動部(例えば、支え具206の頂部)を有し、基礎に固定され前記受け具を支持する支え具(例えば、支え具206)と、を備える免震具(例えば、免震部201)の前記受け具が固定されることを特徴とする土台補強金具。
【0014】
(4)の発明によれば、支え具に受け具が載置されたときに、凹部に略円錐形の摺動部が当接する。このため、建物の重量によって支え具と受け具との間に強い摩擦力が発生するようになり、建物に大きな負荷が加わって受け具が支え具に対してずれたとしても、支え具の頂部に対して凹部が摺動し、ずれを吸収しながら受け具と支え具とが元の位置に戻るようになる。これにより、建物の揺れを収束させることが可能になるとともに、土台の接合部にかかる負荷が小さくなり、土台がずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、土台の接合部に負荷が掛かった場合に、接合部において土台が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における土台補強金具1の種類及び配置例を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態における土台補強金具1の構成を示す説明図である。
図3】他の土台補強金具1の構成を示す平面図である。
図4】位置規制部202の構成を示す説明図である。
図5】本発明の他の実施形態における土台補強金具2に係る本体10の構成を示す説明図である。
図6】本発明の他の実施形態における土台補強金具1の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態における土台補強金具について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態における土台補強金具1の種類及び配置例を示す説明図である。図2は、本発明の一実施形態における土台補強金具1の構成を示す説明図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。
【0019】
土台補強金具1は、土台100の接合部に配置され、当該接合部を補強するものである。土台100は、例えば四角木材のような角材からなり、地面に一部を埋設させたコンクリート基礎101上に、土台補強金具1を介して配置される。本実施形態によれば、図2に示すように、土台100とコンクリート基礎101との間に免震装置が介装される。免震装置は、建物の揺れを吸収する免震部201と、土台100とコンクリート基礎101との間が所定間隔以上広がることを規制する位置規制部202(図4参照)と、を備える。
【0020】
土台100の接合部は、L字接合部、T字接合部、十字接合部、一字形接合部の概ね4種類である。本実施形態においては、詳細については後述するが、土台補強金具1に免震部201の受け具204が固定される。
【0021】
[土台補強金具1]
次に、図2を参照しながら土台補強金具1の構成について説明する。なお、図2に示す土台補強金具1は、T字接合部に適用される。
【0022】
土台補強金具1は、本体10と、固定ナット50と、ワッシャ51と、を備えている。本体10は、図2(b)に示すように、土台100の下面に配置され、土台100の下面に沿って延びるT字形の平板状の底部11と、底部11の両側縁から立設し、土台100の側面側に配置され、土台100の側面に沿って延びる矩形の平板状の側部12と、を備えている。すなわち、底部11においてT字形の中央部から延びる3方向の端部は開放されており、それ以外の外周から側部12が立設している。互いに対向する側部12、12の内側の間隔は、土台100の両側面間の長さ程度に設定されている。これにより、土台100の下面に底部11を配置した場合に、土台100の両側面に側部12が対向する。また、底部11におけるT字形の中央部に孔部11aが形成されている。なお、側部12は底部11に溶接等によって固定したものであっても、曲げ加工によって形成したものであってもよい。
【0023】
また、土台補強金具1は、底部11の上面から立設する複数の固定部13を備えている。固定部13は、円柱状の棒状部材からなり、先端部にはねじ山が形成されている。ワッシャ51は、固定部13に挿入可能なリング状の部材であり、固定ナット50は、固定部13の先端部に螺合可能である。
【0024】
また、固定部13は、底部11において、T字形の中央部から左右方向に延びる底部11の上面から、土台100に接続される柱102を挟んで、それぞれ1つずつ立設しており、左右方向に延びる底部11に対して直角方向に延びる底部11の上面に、2つ立設しており、計4本の固定部13が底部11に立設している。
【0025】
[免震部201]
免震部201は、土台補強金具1に固定される受け具204と、コンクリート基礎101に固定され、受け具204に固定されるボルト205と、受け具204を支持する支え具206と、ボルト205に螺合するナット207と、支え具206を支持する支持軸208と、を備える。
【0026】
受け具204は、略円柱形状の部材からなり、上面部の中心からボルト205が延びており、下面部はすり鉢形状の凹部204aが形成されている。ボルト205の中心軸と凹部204aの中心軸とは一致する。凹部204aは、円柱体に、頂部が球形に形成された円錐体を載せた形状であり、下面部に緩やかな凹面が形成されている。
【0027】
そして、ボルト205を土台補強金具1の孔部11aに下方から挿入して、上方からボルト205の先端部にナット207を締め付けることにより、土台補強金具1に受け具204が固定される。
【0028】
支え具206は、円柱体に、頂部が球形に形成された円錐体を載せた略釣り鐘形状に形成されており、上部に緩やかな凸面が形成されている。支え具206の頂部の曲率は、受け具204の凹部204aの中心部の曲率と同じに設定されている。
【0029】
また、支え具206の下面の中心には円柱状の孔部が形成されており、この孔部に、コンクリート基礎101に固定された支持軸208の先端部が嵌挿される。
【0030】
そして、支え具206上に受け具204を載せて、凹部204aの中心部と支え具206の頂部とを当接させ、凹部204aの中心軸と支え具206の中心軸とを一致させることによって、免震部201が構成される。ここで、例えば、地震等の外力により、凹部204aの中心軸と支え具206の中心軸とがずれた場合には、凹部204aと支え具206の円錐体部分の頂部とが摺動しながら凹部204aの斜面のガイドによって、凹部204aの中心軸と支え具206の中心軸とが一致するように受け具204が移動する。
【0031】
[土台100]
図2(a)に示すように、土台100には、固定部13が挿通される貫通孔100aが形成され、ナット207に対向する位置において、柱102のほぞが嵌合するほぞ孔である貫通孔100bが形成されている。固定部13は、土台100の上下幅よりも短く形成されており、貫通孔100aの上部は、下部よりも径が大きく形成されている。ワッシャ51及び固定ナット50は、貫通孔100aの上部に収容可能であり、ワッシャ51の外径は、貫通孔100aの下部よりも径よりも大きく設定されている。
【0032】
2本の土台100をT字状に接合する場合には、作業員が、T字接合部の下面側から複数の貫通孔100aにそれぞれ本体10における複数の固定部13を挿通する。このとき、固定部13の先端部は、貫通孔100aにおいて径が大きく形成されている上部に位置付けられる。この先端部に作業員がワッシャ51を挿入し、固定ナット50を螺合させて締め付けることにより、2本の土台100が土台補強金具1によってT字形に接合される。なお、免震部201の受け具204については、2本の土台100を接合する前に予め土台補強金具1に固定しても、2本の土台100を接合した後に貫通孔100bに工具を通してボルト205の先端部にナット207を締め付けることにより土台補強金具1に固定してもよい。
【0033】
図3は、他の土台補強金具1の構成を示す平面図であり、図3(a)は十字接合部に適用される土台補強金具1、図3(b)は一字形接合部に適用される土台補強金具1、図3(c)はL字接合部に適用される土台補強金具1を示す。
【0034】
十字接合部(図1参照)に適用される土台補強金具1は、図3(a)に示すように、底部11が十字形の平板状に形成されており、底部11の側縁に側部12が立設し、底部11の四方の端部が開放されている。また、十字接合部に適用される土台補強金具1は、固定部13が、底部11において、十字形の中央部から十字方向に延びる底部11の上面から、それぞれ1つずつ立設しており、計4本の固定部13が底部11に立設している。
【0035】
一字形接合部(図1参照)に適用される土台補強金具1は、図3(b)に示すように、底部11が一字形の平板状に形成されており、底部11の側縁に側部12が立設し、底部11の両端部が開放されている。また、一字形接合部に適用される土台補強金具1は、固定部13が、底部11において、一字形の中央部から左右方向に延びる底部11の上面から、それぞれ1つずつ立設しており、計2本の固定部13が底部11に立設している。
【0036】
L字接合部(図1参照)に適用される土台補強金具1は、図3(c)に示すように、底部11がL字形の平板状に形成されており、底部11の側縁に側部12が立設し、底部11の両端部が開放されている。また、L字接合部に適用される土台補強金具1は、固定部13が、底部11において、L字形の中央部からそれぞれ異なる方向に延びる底部11の上面から、それぞれ2つずつ立設しており、計4本の固定部13が底部11に立設している。
【0037】
図3(a)~図3(c)に示すように、底部11の中央部には孔部11aが形成されている。この孔部11aには、免震部201の受け具204から延びるボルト205が挿入される。
【0038】
[位置規制部202]
図4は、位置規制部202の構成を示す説明図であり、図4(a)は、土台100に取り付けた位置規制部202の平面図、図4(b)は、土台100を長手方向に沿って視認した側面図、図4(c)は、土台100を長手方向に対して直角方向に視認した側面図である。
【0039】
位置規制部202は、土台100に取り付ける本体210と、固定ねじ211と、チェーン212と、位置規制用アンカー213と、を備えている。
【0040】
本体210は、金属板に曲げ加工を施すことによって構成されており、上板部210aと、短側板部210bと、長側板部210cと、延在部210dと、を備えている。上板部210a、短側板部210b、長側板部210c及び延在部210dは矩形であり、上板部210aの長手方向の長さは、土台100の上面の幅と略同じに設定されている。短側板部210bは、上板部210aの長手方向の一端の縁部から上板部210aに対して直角に延在しており、長側板部210cは、他端の縁部から上板部210aに対して直角でかつ短側板部210bと同じ方向に延在している。短側板部210bの延在幅は長側板部210cの延在幅よりも短く、長側板部210cの延在幅は、土台100の側面の幅と略同じに設定されている。延在部210dは、長側板部210cの延在端の縁部から長側板部210cに対して直角でかつ上板部210aとは反対方向に延在している。
【0041】
このため、本体210を側面視した場合、図4(b)に示すように、本体210は、上板部210a、短側板部210b及び長側板部210cによって形成されるJ字形を有している。
【0042】
長側板部210cには、固定ねじ211を挿入するための孔部210eが形成されている。
【0043】
チェーン212は、一端が延在部210dに固定されており、他端がコンクリート基礎101の側面に固定された位置規制用アンカー213に固定されている。チェーン212は、例えば、地震等の外力により、土台100が移動することにより、受け具204の凹部204a(図2参照)の端部が支え具206(図2参照)に当接した場合において、本体210の下面の位置からコンクリート基礎101の側面に固定された位置規制用アンカー213まで伸びる程度の長さであり、支え具206上に被せられた受け具204が、支え具206から抜けない程度の長さを有している。すなわち、位置規制部202は、支え具206上に被せられた受け具204が、支え具206を摺動可能としつつ、支え具206から抜けるのを防止する部材である。
【0044】
[土台100及び免震部201の設置]
次に、土台100及び免震部201の設置について説明する。まず、コンクリート基礎101上に免震部201の支え具206を固定する。次に、受け具204を下面側に固定した土台補強金具1を、コンクリート基礎101の延びる方向と底部11が延びる方向とを合わせ、支え具206の中心と受け具204の中心とを合わせて配置する。そして、複数の土台100の接合部が土台補強金具1に配置されるように、土台100を土台補強金具1に載せて、土台補強金具1と土台100とを固定する。詳細には、土台100に形成された貫通孔100aに、土台補強金具1の固定部13を挿通させ、貫通孔100aの上端から突出した固定部13にワッシャ51をかけてから固定ナット50を螺合させ締め付けることで、土台補強金具1と土台100とを固定する。
【0045】
次に、位置規制部202の取り付けについて説明する。
まず、位置規制用アンカー213の直上位置において、土台100の上部に本体210を配置し、土台100の上面に上板部210aの内面を当接させ、短側板部210bの内面と長側板部210cの内面とを土台100の側面に対向させる。このとき、土台100を挟むように短側板部210bと長側板部210cとが土台100の両側部に位置付けられる。次に、孔部210eに固定ねじ211を挿入して、本体210を土台100に固定する。そして、本体210の延在部210dにチェーン212の一端を固定し、他端に位置規制用アンカー213を取り付ける。
【0046】
[作用効果]
このように構成された本実施形態によれば、底部11の上面から立設する複数の固定部13によって、底部11が土台100の下面に配置された状態で複数の土台100に固定される。このため、複数の土台100に対して負荷が加わった場合に、土台補強金具1の部位において複数の土台100がずれることを防止することができる。これにより、地震が発生したときのように、土台の接合部に大きな負荷が掛かった場合に、土台100の接合部において、土台100が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具1を提供することができる。
【0047】
また本実施形態によれば、本体10が側部12を備えたことにより、土台100の接合部において、土台100が適正位置からずれようとした場合に、側部12によって土台100の横方向の移動を更に規制することができる。
【0048】
また本実施形態によれば、コンクリート基礎101上に土台100を載せる際に、支え具206に受け具204を載置する。このときに、受け具204の凹部204aに略円錐形の支え具206の頂部が当接する。このため、建物の重量によって支え具206と受け具204との間に強い摩擦力が発生するようになり、建物に大きな負荷が加わって受け具204が支え具206に対してずれたとしても、支え具206の頂部に対して凹部204aが摺動し、ずれを吸収しながら受け具204の中心部が支え具206の頂部に戻るようになる。これにより、建物の揺れを収束させることが可能になる。また、土台補強金具1に掛かる負荷が凹部204aと支え具206の頂部との摺動によって吸収されるため、土台補強金具1が変形することが低減される。その結果、土台100の接合部において、土台100が適正位置からずれることを防止することが可能になる。
【0049】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。
【0050】
図5は、本発明の他の実施形態における土台補強金具2に係る本体10の構成を示す説明図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は側面図である。
【0051】
図5に示す土台補強金具2は、図2に示す土台補強金具1において、土台100の長手方向及び固定部13の立設方向に対して直角方向に延びる固定部15によって、底部11の端部の両側部の側部12、12と土台100とを固定するものである。なお、図5に示す土台補強金具2において、図2に示す土台補強金具1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
固定部15は、土台100の両側面の間隔よりも長いボルト15aと、ボルト15aの両端部のそれぞれ螺合するナット15bと、を備える。
【0053】
また、土台補強金具2の側部12における開放端側の上部に側面固定孔12aが形成されている。ボルト15aは側面固定孔12aに挿通可能であり、互いに対向する側部12、12の側面固定孔12a、12aにボルト15aを挿通した場合、ボルト15aは、土台100の長手方向及び固定部13の立設方向に対して直角方向に延びる。
【0054】
土台100には、図2に示す固定部13が挿通される貫通孔100a及びナット207に対向する部位に貫通孔100bに加え、土台100の長手方向と直交する水平方向に延び、ボルト15aが挿通される貫通孔100cが形成されている。
【0055】
作業員は、土台補強金具2に土台100を固定する際に、土台補強金具1に土台100を固定する工程に加え、更に、側面固定孔12aを介して貫通孔100cにボルト15aを挿入し、ボルト15aの両端部にナット15bを螺合させる。なお、ボルト15aとナット15bの代わりに固定ねじを側面固定孔12aに挿入して、土台100にねじ込むことによって土台100と土台補強金具2とを固定してもよい。
【0056】
このように構成された他の実施形態によれば、ボルト15aを、側面固定孔12aを介して貫通孔100cに挿通することにより、土台100に負荷が係って接合部において土台100が適正位置からずれようとした場合に、ボルト15aによって土台100が土台補強金具1から外れることを防止することができる。これにより、地震が発生した場合には、土台100の接合部において、土台100が適正位置からずれることを防止することが可能な土台補強金具を提供することができる。
【0057】
また、他の実施形態として、T字接合、L字接合、十字接合用の土台補強金具1において、図6に示すように、直角に形成されている側部12、12の間に三角形の金属板からなる補強リブ16を設けてもよい。図6(a)はT字形の土台補強金具1に補強リブ16を設けたものである。図6(b)は十字形の土台補強金具1に補強リブ16を設けたものである。図6(c)はL字形の土台補強金具1に補強リブ16を設けたものである。
【0058】
このように補強リブ16を設けることによって土台補強金具1の強度が向上する。これにより、地震の際に土台補強金具1が変形するといった不具合を低減することができる。
【0059】
また、適用する建物に応じて、土台補強金具1の大きさや厚さ、受け具204や支え具206の大きさ、固定部13の数等を適宜変更することは可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、2 土台補強金具
10 本体
11 底部
11a 孔部
12 側部
12a 側面固定孔
13 固定部
15 固定部
15a ボルト
15b ナット
16 補強リブ
50 固定ナット
51 ワッシャ
100 土台
100a 貫通孔
100b 貫通孔
100c 貫通孔
101 コンクリート基礎
102 柱
201 免震部
202 位置規制部
204 受け具
204a 凹部
205 ボルト
206 支え具
206a 孔部
207 ナット
208 支持軸
210 本体
210a 上板部
210b 短側板部
210c 長側板部
210d 延在部
210e 孔部
211 固定ねじ
212 チェーン
213 位置規制用アンカー
図1
図2
図3
図4
図5
図6