(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065036
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】固体電解質及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20240507BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20240507BHJP
H01B 1/10 20060101ALI20240507BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01B13/00 Z
H01B1/06 A
H01B1/10
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181038
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0140030
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523204477
【氏名又は名称】エコプロ ビーエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ア ルム
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム ミ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ペク ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ハヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソル ジェチャン
【テーマコード(参考)】
5G301
5H050
【Fターム(参考)】
5G301CA05
5G301CA16
5G301CA19
5G301CD01
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050DA13
5H050EA15
5H050GA02
5H050GA05
5H050HA05
5H050HA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人体に無害な溶媒を使用することで作業の安定性が向上した硫化物系固体電解質の製造方法及びこれにより製造された固体電解質を提供する。
【解決手段】方法は、硫化物系化合物を提供するステップ、上記硫化物系化合物をシリコンオイルに投入して粉砕するステップ及び上記粉砕された硫化物系化合物を乾燥するステップを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化物系化合物を提供するステップと、
上記硫化物系化合物をシリコンオイルに投入して粉砕するステップと、
上記粉砕された硫化物系化合物を乾燥するステップと、
を含む、硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項2】
上記シリコンオイルは、環状のポリシロキサン、線状のポリシロキサン、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項3】
上記シリコンオイルは、オクタメチルトリシロキサン(Octamethyltrisiloxane)、デカメチルテトラシロキサン(Decamethyltetrasiloxane)、ドデカメチルペンタシロキサン(Dodecamethylpentasiloxane)、デカメチルシクロペンタシロキサン(Decamethylcyclopentasiloxane)、シクロペンタシロキサン(Cyclopentasiloxane)、シクロヘキサシロキサン(Cyclohexasiloxane)、ジメチコン(Dimethicone)、メチルトリメチコン(Methyltrimethicone)、及びカプリリルメチコン(Caprylylmethicone)からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項4】
上記粉砕は、ボールミル又はビーズミルのうちいずれか一つを用いて行われる、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項5】
上記粉砕するステップでは、分散剤を含まない、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項6】
上記硫化物系固体電解質の粒度(D50)は、4μm以下である、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項7】
上記硫化物系化合物は、シリコンオイル100重量部に対して、5~30重量部で投入される、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項8】
上記硫化物系化合物は、リチウム、リン、硫黄、及びハロゲン元素を含む、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の方法により製造された硫化物系固体電解質。
【請求項10】
上記固体電解質は、アルジロダイト(argyrodite)型結晶構造を有する、請求項9に記載の固体電解質。
【請求項11】
上記固体電解質は、1.5mS/cm以上のイオン伝導度を有する、請求項9に記載の固体電解質。
【請求項12】
請求項9に記載の固体電解質を含む電極。
【請求項13】
請求項12に記載の電極を含む二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質及びその製造方法に関し、より詳細には、人体に無害な溶媒を使用することで作業の安定性が向上した硫化物系固体電解質の製造方法及びこれにより製造された固体電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池は、自動車、電力貯蔵システムなどの大型機器から、携帯電話、カムコーダー、ノートパソコンなどの小型機器まで、広く使用されている。
【0003】
二次電池の適用分野の拡大に伴い、電池の安全性向上及び高性能化に対する要求が高まっている。二次電池のうちの一つであるリチウム二次電池は、ニッケル-マンガン電池やニッケル-カドミウム電池に比べて、エネルギー密度が高く、単位面積当たりの容量が大きいという長所がある。
【0004】
ところが、現在、大部分の商用リチウムイオン電池に適用されるシステムにおいては、リチウム塩を含む有機液体電解質が使用されており、安全性及びエネルギー密度向上の面で限界がある。
【0005】
それゆえ、近年、安全性を高めるため、電解質として、液体電解質ではなく固体電解質を用いる全固体電池に対する関心が高まっている。固体電解質は、液体電解質に比べて、難燃性を有しているため、安全性が高く、また、エネルギー密度を高めるのに有利となる。このような固体電解質としては、現在まで、酸化物系固体電解質、及び硫化物系固体電解質が開発されている。
【0006】
これらのうち、酸化物系固体電解質としては、ペロブスカイト(perovskite)、ガーネット(garnet)、ナシコン(NASICON)などが開発されており、空気中での安定性と高温安定性に優れる利点があるが、イオン伝導度が低く、粒界の抵抗が高いという問題点がある。これに対し、硫化物系固体電解質は、イオン伝導度が、液体電解質に近接する程度に高く、加圧により粒子間の密着が容易になるため、加圧成形だけでも成形が可能である利点があり、商用化に最も近いものとして評価されている。
【0007】
なお、全固体リチウムイオン二次電池内で固体電解質の接触性を向上させるためには、微粒化技術が必須であり、乾式又は湿式の粉砕方式で微粒化が進められている。特に、硫化物系固体電解質の場合、硫化物と反応しないトルエン、キシレン、及びヘプタンのような低極性、無極性の溶媒が使用されているが、このような溶媒は、人体に有害であるため、作業者の安全性を損なうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2072005号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、人体に無害な溶媒を使用することで作業の安定性が向上した硫化物系固体電解質の製造方法、及びこれにより製造される、イオン伝導性が向上した固体電解質を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、硫化物系化合物を提供するステップと、上記硫化物系化合物をシリコンオイルに投入して粉砕するステップと、上記粉砕された硫化物系化合物を乾燥するステップと、を含む、硫化物系固体電解質の製造方法が提供される。
【0011】
上記シリコンオイルは、環状のポリシロキサン、線状のポリシロキサン、又はこれらの混合物であることができる。
【0012】
上記シリコンオイルは、オクタメチルトリシロキサン(Octamethyltrisiloxane)、デカメチルテトラシロキサン(Decamethyltetrasiloxane)、ドデカメチルペンタシロキサン(Dodecamethylpentasiloxane)、デカメチルシクロペンタシロキサン(Decamethylcyclopentasiloxane)、シクロペンタシロキサン(Cyclopentasiloxane)、シクロヘキサシロキサン(Cyclohexasiloxane)、ジメチコン(Dimethicone)、メチルトリメチコン(Methyltrimethicone)、及びカプリリルメチコン(Caprylylmethicone)からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0013】
上記粉砕は、ボールミル又はビーズミルのうちのいずれか1つを用いて行うことができる。
【0014】
上記粉砕するステップでは、分散剤を含まなくてもよい。
【0015】
上記硫化物系固体電解質の粒度(D50)は、4μm以下であることができる。
【0016】
上記硫化物系化合物は、シリコンオイル100重量部に対して、5~30重量部で投入することができる。
【0017】
上記硫化物系化合物は、リチウム、リン、硫黄、及びハロゲン元素を含むものであることができる。
【0018】
本発明の他の側面によれば、上述の方法によって製造された硫化物系固体電解質が提供される。
【0019】
上記固体電解質は、アルジロダイト(argyrodite)型結晶構造を有するものであることができる。
【0020】
上記固体電解質は、1.5mS/cm以上のイオン伝導度を有することができる。
【0021】
本発明の他の側面によれば、上記固体電解質を含む電極が提供される。
【0022】
本発明の他の側面によれば、電極を含む二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、作業の安定性が向上し、これにより、全工程において設計上の利点がある固体電解質の製造方法が提供される。
【0024】
但し、本発明の効果は、上記で言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、特許請求の範囲の記載から、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者(「当業者」ともいう。)であれば、明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施例について後述の添付図面を参照して説明し、また、同様な構成要素には同様な参照符号を付するが、これらに限定されない。
【0026】
【
図1】本発明の実施例1及び比較例1に係るX線回折の分析結果を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1及び比較例1に係るラマンスペクトルの分析結果を示す図である。
【
図3】PSA(Particle Size Analysis)を用いた本発明の実施例1~2及び比較例1~2に係る固体電解質粒度の分析結果を示す図である。
【
図4】本発明の実施例1~2及び比較例1~2に係るイオン伝導度の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の具現例について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように明確かつ詳細に説明する。但し、これは、例示として提示されるものに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されることはなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0028】
本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は、一般的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されるべきである。
【0029】
本明細書において「含む」などのような表現は、他の実施例を含む可能性を内包する開放形用語(open-ended terms)として理解されるべきである。
【0030】
本明細書において、「好ましい」、「好適な」とは、特定の状況下で特定の利点を提供し得る本発明の実施形態のことを指す。しかしながら、同一の状況下又は異なる状況下で、好適な他の実施形態があり得る。さらに、1つ以上の好適な実施形態の言及は、他の実施形態が有用ではないことを意味するのではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除く意味ではない。
【0031】
本発明の一側面によれば、硫化物系化合物を提供するステップと、上記硫化物系化合物をシリコンオイルに投入して粉砕するステップと、上記粉砕された硫化物系化合物を乾燥するステップと、を含む、硫化物系固体電解質の製造方法が提供される。
【0032】
本発明の一実施例において、硫化物系化合物は、リチウム、リン、硫黄及びハロゲン元素を含むことができ、ゲルマニウム及びシリコンなど、その他のドープ物質をさらに含んでもよい。
【0033】
上記硫化物系化合物をシリコンオイルに投入して粉砕するステップは、溶媒としてシリコンオイルを提供し、上記溶媒に硫化物系化合物を投入して製造されたスラリーを粉砕するステップであってもよい。このような湿式粉砕工程において、トルエン、キシレン及びヘプタンのような低極性、無極性の溶媒は、硫化物系固体電解質との反応性を有しない点から使用されているが、これらの溶媒は、人体に有害であるため作業者の安全性を損なう問題がある。しかし、本発明の一実施例に係るシリコンオイルは、人体に無害であり、また、後述するように、より精密な粒度の制御が可能であり、イオン伝導度の向上効果を有するという長所がある。
【0034】
また、本発明の好適な実施例によれば、上記粉砕するステップにおいて、分散剤を含まなくてもよい。湿式粉砕過程では、硫化物系固体電解質の粒度を小さくするために凝集を防止する別途の分散剤が投入されているが、本発明においては、分散剤を投入することなく、より小さい粒度に粉砕できるという長所がある。
【0035】
なお、上述の粉砕方法としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル又はビーズミルのうちのいずれか1つを用いて行うことができる。
【0036】
また、これによって製造される上記硫化物系固体電解質の粒度(D50)は、4μm以下、又は、2μm以下、又は1.5μm以下であってもよい。
【0037】
なお、上記シリコンオイルは、環状のポリシロキサン、線状のポリシロキサン、又はこれらの混合物であってもよく、特に限定されないが、例えば、上記シリコンオイルは、オクタメチルトリシロキサン(Octamethyltrisiloxane)、デカメチルテトラシロキサン(Decamethyltetrasiloxane)、ドデカメチルペンタシロキサン(Dodecamethylpentasiloxane)、デカメチルシクロペンタシロキサン(Decamethylcyclopentasiloxane)、シクロペンタシロキサン(Cyclopentasiloxane)、シクロヘキサシロキサン(Cyclohexasiloxane)、ジメチコン(Dimethicone)、メチルトリメチコン(Methyltrimethicone)、及びカプリリルメチコン(Caprylylmethicone)からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0038】
上記シリコンオイルの動粘度(CS)は、0.5~5CSであってもよく、好ましくは、1~1.5CSであってもよい。また、特に限定されないが、上記シリコンオイルの重量平均分子量は、200~500であってもよく、沸点は、150~250℃であってもよい。上記要件を満たさない場合は、沸点が高くて溶媒の除去が容易でないという短所がある。
【0039】
なお、上記硫化物系化合物は、シリコンオイル100重量部に対して、5~30重量部で投入されることが好ましい。特に、30重量部を超過する場合、粉砕効率が低下するという問題がある。
【0040】
本発明の他の側面によれば、上述の方法で製造された硫化物系固体電解質が提供される。本発明の一実施例に係る硫化物系固体電解質は、アルジロダイト(argyrodite)型結晶構造を有するものであってもよい。なお、本発明に係る上記固体電解質は、キシレンを使用する従来の技術に比べて、同等以上のイオン伝導度である1.5mS/cm以上の高いイオン伝導度を示すことができ、好ましくは、1.9mS/cm以上、より好ましくは、2.2mS/cm以上のイオン伝導度を示すことができる。
【0041】
本発明の一具現例によれば、上記固体電解質を含む電極が提供され、また、上記電極を含む二次電池が提供される。
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明の具現例をより詳しく説明する。但し、後述の実施例は、本発明の好適な実施例の例示に過ぎず、本発明は、これらの実施例によって限定されない。
【実施例0043】
実施例1
グローブボックス(N2、H2O<10ppm)内で、500mlのHDPE容器に、シリコンオイル(1CS)130ml、Li5.5PS4.5Cl1.5の組成を有する焼成品20g、及びZrO2 3mmビーズ300gを装入した。
【0044】
次に、ボールミル装置で100rpmで4時間粉砕した後、グローブボックス(N2、H2O<10ppm)内で粉砕されたスラリーを、400メッシュ(38μm)の篩(シーブ)に通過させた後、減圧濾過装置を通じて脱水を行った(ポアサイズ:0.5μm)。
【0045】
その後、脱水品を真空オーブン(10torr、70℃)で2時間乾燥し、N2の雰囲気で冷却(50℃)した後、回収して固体電解質を製造した。
【0046】
実施例2
グローブボックス(N2、H2O<10ppm)内で、シリコンオイル(1CS)500ml、粒子サイズが6μmであるLi5.5PS4.5Cl1.5の粉砕品40gを装入し、スラリーを撹拌した。
【0047】
次に、粉砕ベッセルにZrO2 0.5mmビーズ500gを入れ、撹拌速度を6m/sに設定し、ポンプ速度を2ml/sにして撹拌されたスラリーを40分間循環し、容器に移した。
【0048】
次に、グローブボックス(N2、H2O<Xppm)内で減圧濾過装置を通じて脱水を行った(ポアサイズ:0.5μm)。その後、脱水品を真空オーブン(10torr、70℃)で2時間乾燥し、N2の雰囲気で冷却(50℃)した後、回収して固体電解質を製造した。
【0049】
比較例1
シリコンオイルの代わりに無水キシレン(anhydrous xylene)を使用した以外は、実施例1と同様にして固体電解質を製造した。
【0050】
比較例2
シリコンオイルの代わりに無水キシレン(1CS)を使用した以外は、実施例1と同様にして固体電解質を製造した。
【0051】
実験例
本発明の実施例1~2及び比較例1~2における工程条件と共に、イオン伝導度及び粒度を測定して、下記表1に示す。
【表1】
【0052】
X線回折分析及びラマンスペクトル分析
図1は、本発明の実施例1及び比較例1に係るX線回折の分析結果を示し、
図2は、本発明の実施例1及び比較例1に係るラマンスペクトルの分析結果を示す。
【0053】
図1及び
図2に示されるように、溶媒として人体に無害なシリコンオイルを使用した実施例1において、溶媒と固体電解質との反応性がないこと、アルジロダイト型結晶相、及びPS
4
3- ピークが現れたこと、および不純物が形成されないことが確認できた。
【0054】
粒度分析
図3は、PSAを用いた本発明の実施例1~2及び比較例1~2に係る固体電解質粒度の分析結果を示す図である。
【0055】
図3に示されるように、キシレンを溶媒として使用した比較例1及び2に比べて、シリコンオイルを溶媒として使用した実施例1及び2では、粒度がさらに減少することが分かった。これにより、シリコンオイルを溶媒として使用する場合は、粉砕効果に優れ、かつより精密に固体電解質の粒度を制御可能であることが確認できた。
【0056】
イオン伝導度
図4は、本発明の実施例1~実施例2及び比較例1~2に係るイオン伝導度の測定結果を示す図である。
【0057】
図4に示されるように、キシレンを溶媒として使用した比較例1及び2に比べて、シリコンオイルを溶媒として使用した実施例1及び2におけるイオン伝導度が同等な結果が得られることが確認できた。これにより、人体に有害なキシレンなどの溶媒を使用する工程を代替することが可能であることがわかった。一般に、粒度が小さいほどイオン伝導度が減少する傾向にあるが、本発明の実施例のように、湿式粉砕の溶媒としてシリコンオイルを使用すると、粒度が小さな場合でも、より高いイオン伝導度を示す効果が得られることが確認できた。
【0058】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明してきたが、本発明は、これらによって限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び添付図面の範囲内で種々に変形して実施することが可能であり、それもまた本発明の範囲に属することは言うまでもない。
【0059】
従って、本発明の実質的な権利範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義される。