(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065038
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】飛行体及び飛行体システム
(51)【国際特許分類】
B64U 50/30 20230101AFI20240507BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240507BHJP
B64U 50/19 20230101ALI20240507BHJP
B64U 50/37 20230101ALI20240507BHJP
【FI】
B64U50/30
B64U10/13
B64U50/19
B64U50/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181107
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2022173061
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】717007295
【氏名又は名称】株式会社Liberaware
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】荒川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】野平 幸佑
(57)【要約】
【課題】自己位置推定の精度を向上させ安定的にドローンを飛行させること。
【解決手段】本開示による飛行体は、飛行するための推力発生部を有する本体部と、前記本体部に着脱可能で前記推力発生部に電力を供給するバッテリパックと、を備える飛行体において、
前記本体部には、前記バッテリパックを電気的に接続するための電源コネクタと、前記本体部に対して信号を送受信する外部装置を電気的に接続するための信号コネクタとが設けられ、
前記バッテリパックは、前記本体部に取付けられ電源コネクタに接続された取付状態において、前記信号コネクタを覆い隠すように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行するための推力発生部を有する本体部と、前記本体部に着脱可能で前記推力発生部に電力を供給するバッテリパックと、を備える飛行体において、
前記本体部には、前記バッテリパックを電気的に接続するための電源コネクタと、前記本体部に対して信号を送受信する外部装置を電気的に接続するための信号コネクタとが設けられ、
前記バッテリパックは、前記本体部に取付けられ電源コネクタに接続された取付状態において、前記信号コネクタを覆い隠すように構成されている、飛行体。
【請求項2】
前記バッテリパックは、前記取付状態において前記電源コネクタに対向する面が前記信号コネクタを覆い隠すように構成されている、請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記バッテリパックを前記本体部から取り外すことにより前記信号コネクタが露出して外部装置を接続することができるように構成されている、請求項1又は2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記バッテリパックは、オプション装置を電気的に接続するためのオプションコネクタを備え、
前記本体部に前記バッテリパックを取り付けるとともに、前記オプション装置を前記バッテリパックに取り付けることにより、前記本体部と前記オプション装置とが前記バッテリパックを介して電気的に接続されるよう構成されている、請求項1又は2に記載の飛行体。
【請求項5】
前記バッテリパックは、飛行中のデータを記憶可能であり、且つ、前記本体部から前記バッテリパックを取り外した状態で外部装置に情報を出力可能な記憶部を有する、請求項1又は2に記載の飛行体。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の飛行体と、
前記バッテリパックを取り外した状態の前記本体部に対して着脱可能なアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントは、前記本体部の前記信号コネクタと外部装置とを、該アタッチメントを介して電気的に接続するよう構成されている、飛行体システム。
【請求項7】
前記アタッチメントには、それぞれ異なる通信インターフェースに対応する複数の信号コネクタが設けられている、請求項6に記載の飛行体システム。
【請求項8】
請求項1~5の何れかに記載の飛行体と、
前記本体部から取り外した状態の前記バッテリパックを充電可能な充電装置と、を備え、
前記充電装置は、前記バッテリパックの記憶部から情報を取得して記憶可能な記憶部を有する、飛行体システム。
【請求項9】
前記アタッチメントは、前記本体部に該アタッチメントを取り付けた状態で、前記バッテリパックを該アタッチメントに対して着脱可能に構成されている、請求項6に記載の飛行体システム。
【請求項10】
前記本体部に前記アタッチメントを取り付けるとともに、前記アタッチメントに前記バッテリパックを取り付けた状態で、前記バッテリパックの電力を前記本体部及び前記アタッチメントに供給可能に構成されている、請求項9に記載の飛行体システム。
【請求項11】
前記アタッチメントは、前記本体部に該アタッチメントを取り付けた状態で、前記本体部を冷却するための冷却ファンが設けられている、請求項10に記載の飛行体システム。
【請求項12】
前記アタッチメントは、該アタッチメントに取り付けられた前記本体部及び前記バッテリパックの少なくとも何れかに関する情報を表示するための表示部を有する、請求項10に記載の飛行体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体及び飛行体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、設備点検などの様々な分野において、ドローン等の飛行体が活用されている。飛行体で対象物を撮影する場合、取得した画像データは飛行体の記憶部に記憶され、着陸後に各種データを外部の情報処理装置で取得することがある。例えば特許文献1には、飛行後のドローンを管理装置に有線接続して、ドローンの記憶領域に保存された情報を管理装置に移行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
着陸後に飛行体を情報処理装置等の外部装置に有線接続する場合、飛行体にはケーブルを接続するためのコネクタが必要となる。また、コネクタの金属端子が露出していると塵埃の付着や錆の発生により、コネクタが接触不良を起こす原因となるため、各コネクタに対してカバーを設けることが必要となる。そのため、飛行体の部品数が多くなり、機体重量も大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品数を低減した飛行体システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、飛行するための推力発生部を有する本体部と、前記本体部に着脱可能で前記推力発生部に電力を供給するバッテリパックと、を備える飛行体において、前記本体部には、前記バッテリパックを電気的に接続するための電源コネクタと、前記本体部に対して信号を送受信する外部装置を電気的に接続するための信号コネクタとが設けられ、前記バッテリパックは、前記本体部に取付けられ電源コネクタに接続された取付状態において、前記信号コネクタを覆い隠すように構成されている、飛行体が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、上記の飛行体と、
前記バッテリパックを取り外した状態の前記本体部に対して着脱可能なアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントは、前記本体部の前記信号コネクタと外部装置とを、該アタッチメントを介して電気的に接続するよう構成されている、飛行体システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、部品数を低減した飛行体及び飛行体システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る飛行体を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態に係る飛行体の構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係る飛行体の変形例を示す図である。
【
図4】同実施形態に係る飛行体の他の変形例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係るバッテリパックを充電する充電装置を含む飛行体システムの構成例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係る飛行体及びアタッチメントを含む飛行体システムの構成例を示す図である。
【
図7】比較例としての飛行体の構成例を示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る飛行体を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る飛行体(ドローン)の側面視での概要図である。本例の飛行体1は、複数の回転翼により揚力や推力を得る回転翼機である。また、飛行体1は、後述するアタッチメント等と組み合わせて飛行体システムを構成する。なお、本例の飛行体1は無人飛行体であるが、人が搭乗する有人飛行体に応用してもよい。
【0012】
図1に示すように、飛行体1は、飛行するための推力発生部11を有する本体部(機体)10と、本体部10に着脱可能で推力発生部等に電力を供給するバッテリパック20と、を備える。本体部10には、バッテリパック20を電気的に接続するための電源コネクタ12と、機体に対して信号を送受信する外部装置を電気的に接続するための信号コネクタ13とが設けられている。バッテリパック20は、本体部10に取付けられ電源コネクタ12に接続された取付状態において、電源コネクタ12に対向する面が、信号コネクタ13を覆い隠すように構成されている。
【0013】
本例では、本体部10の下面(飛行時において下方を向く面)に、信号コネクタ13が設けられており、取付状態において、本体部10の下面に対向するバッテリパック20の上面で、信号コネクタ13を覆っている。信号コネクタ13は、本体部10の下面に限られず、上面、側面(前後左右の面などの、本体部の周囲の面)に設けてもよい。その場合、バッテリパック20は信号コネクタ13を設けた面に対向する位置に、信号コネクタ13を覆い隠すような位置に取り付けられる。
【0014】
本例では、本体部10の下面に電源コネクタ12が設けられており、取付状態において、本体部10の下面に対向するバッテリパック20の上面で、電源コネクタ12を覆っている。バッテリパック20の上面には、電源コネクタ12に電気的に接続される接点端子が設けられており、取付状態において、バッテリパック20の電力を本体部10に供給することができる。バッテリパック20の上面には、取付状態において信号コネクタ13に電気的に接続される接点端子が設けられていてもよい。その場合、取付状態において本体部10とバッテリパック20との間で信号の送受信が可能となる。
【0015】
信号コネクタ13は、電源コネクタ12と同一の面(本例では下面)に設けられていることが好ましい。また、信号コネクタ13は、電源コネクタ12と近接配置されていることが好ましい。さらに、信号コネクタ13は、1つに限られず、複数設けられていてもよく、複数ある場合、同一種類のコネクタでもよいし、異なる種類のコネクタであってもよい。複数の信号コネクタ13を設ける場合、それらが全て同一の面(本例では下面)に設けられていることが好ましいが、一部が別の面に設けられていてもよい。具体的に、信号コネクタ13は、例えば、USB、イーサネット(登録商標)、等のコネクタ(ポート)とすることができるが、信号を送受信するためのコネクタであれば、形状は特に限定されない。
【0016】
信号コネクタ13の周囲には、防水、防塵のためのパッキン等のシール部材が設けられていることが好ましい。シール部材は、本体部10とバッテリパック20の対向する面の何れか一方、または両方に設けられ、取付状態において、それらの対向する面で挟み込むことで、本体部10とバッテリパック20の隙間を塞ぎ、信号コネクタ13(及び適宜電源コネクタ12)への埃や水等の侵入を防止する。シール部材は、信号コネクタ13及び電源コネクタ12をまとめて、またはそれぞれを隙間なく取り囲むように配置されることが好ましい。
【0017】
バッテリパック20は、本体部10に対して着脱可能である。バッテリパック20は、充電することにより繰り返し使用可能な二次電池が設けられている。バッテリパック20には、本体部10に結合するための結合部が設けられている。結合部の構成は特に限定されないが、一方から他方に引っ掛けるフック機構、爪嵌合、磁力による結合等の何れか1つ又は複数の組み合わせでもよい。結合部としては、本体部に対するバッテリパックの取付状態を維持することができ、また、取り外し可能であれば任意の結合構造を採用することができる。結合部には、飛行中の脱落を防止するためのロック機構が設けられていることが好ましい。ロック機構は、特に限定されないが、例えば、バッテリパック20と本体部10の一方側に設けた平行移動式もしくは回転式のロック部材を、他方側に設けた係合部材に係合し、また、係合を解除することで、ロック状態と非ロック状態を切り替えられるようにしてもよい。
【0018】
ここで、
図7は比較のための飛行体100の構成例を示す。
図7の飛行体100は、信号コネクタ113が、バッテリパック120で覆い隠されていないため、信号コネクタ113に個別のカバー部材114が設けられている。またこの飛行体100では、信号コネクタ113が複数あるため、各信号コネクタに対応する複数のカバー部材114が必要となる。
【0019】
これに対して、本実施形態においては、バッテリパック20で本体部10の信号コネクタ13を覆い隠しているため、信号コネクタ13用のカバー部材が不要となる。そのため、部品数を低減した飛行体及び飛行体システムを提供することができる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る飛行体1のハードウェア構成例を示す図(平面図)である。
図2に示すように、本実施形態に係る飛行体1は、推力発生部11を構成する回転翼11a、モータ11b、及びESC(Electric Speed Controller)11cを有する。また、飛行体1は、本体部10において、制御部としてのフライトコントローラ14を備える。フライトコントローラ14は、例えば、中央演算処理装置(CPU)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルプロセッサなど、1つ以上のプロセッサ14bを有することができる。フライトコントローラ14は、メモリ14aを有しており、当該メモリ14aにアクセス可能である。メモリ14aは、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラ14が実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。フライトコントローラ14は、制御部の一例である。また、本例の飛行体1は、情報取得部としてのカメラ及び/又はセンサ15を備える。また、飛行体1は、送受信部16を備える。なお、
図2に示す飛行体1の構成は一例であり、
図2に示す本体部10とは異なる構成を有する回転翼機であっても、本発明の範疇に含まれうる。
【0021】
本体部10は、飛行体1を構成するフレーム等により形成される。本体部10を構成する素材は特に限定されず、例えば、炭素繊維樹脂、ガラス繊維樹脂、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄鋼、チタンその他の材料であり得る。回転翼11aはモータ11bに取り付けられる。回転翼11aは、モータ11bの回転により自身が回転することで、飛行体1に揚力(推力)を発生させる。なお、回転翼11aは、本実施形態においては、前後左右の4箇所に設けられているが、本発明はかかる例に限定されず、例えば回転翼11aを機体の周囲6箇所、8箇所に設けてもよい。飛行体1の構造、形状、装備およびサイズ等に応じて、回転翼11aの設けられる数は適宜変更されうる。
【0022】
メモリ14aは、たとえば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラ/センサ15から取得したデータは、メモリ14aに直接に伝達されかつ記憶されてもよい。たとえば、カメラで撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。また、メモリ14aは、信号コネクタ13を介して接続される外部の情報処理装置から取得した情報、または操縦用端末17から送信される情報など、各種の情報を適宜記憶することができる。
【0023】
フライトコントローラ14は、飛行体1の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。たとえば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θx、θy及びθz)を有する飛行体1の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために、ESC11cを経由して飛行体1の推進機構であるモータ11bを制御する。モータ11bにより回転翼11aが回転することで飛行体1の揚力を生じさせる。フライトコントローラ14は、モータ11bの回転数(回転数は、所定時間あたりの回転数をも意味する)を制御して、回転翼11aによる推力を調整し得る。
【0024】
フライトコントローラ14は、1つ以上の外部のデバイス(たとえば、操縦用端末17)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部16と通信可能である。送受信部16は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。送受信部16は、たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などの任意の通信方式のうちの1つ以上を利用することができる。
【0025】
送受信部16は、センサ15で取得したデータ、フライトコントローラ14が生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができ、受け取った情報はメモリ14a等の記憶部に記憶することができる。センサ15により得られた情報は、送受信部16を介して操縦用端末17や外部の装置等に出力されてもよい。
【0026】
操縦用端末17は、飛行体1の飛行の操縦を制御するための装置である。なお、飛行体1の飛行は、地上等にいるオペレータの操縦により制御されてもよいし、飛行経路情報やセンシングによる自律的な飛行プログラム(例えば、GCS(Ground Control Station))に基づく自動操縦または手動操縦により制御されてもよい。操縦用端末17は、例えば、送受信機(プロポ)、スマートフォン、タブレット等の端末等であってもよい。操縦用端末17は、フライトコントローラ14に対して、飛行制御指示情報を送出しうる。
【0027】
本実施の形態に係るセンサ15は、例えば、慣性センサ(IMU(Inertial Measurement Sensor)等の慣性計測装置)、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPSセンサ、風センサ、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、高度センサ、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)等の近接センサ、またはカメラ以外のビジョン/イメージセンサ等を含み得る。また、センサ15は、フライトコントローラ14に搭載されるものであってもよいし、フライトコントローラ14の外部に設けられるものであってもよい。また、カメラが設けられる場合は、かかるカメラは、任意のカメラであってもよい。例えば、カメラは、一般的なカメラの他に、赤外線カメラ、ステレオカメラ等であってもよい。カメラは、例えば、自己位置推定に用いるためのカメラと、撮影対象を撮像するためのカメラとがそれぞれ設けられていてもよい。
【0028】
本例の飛行体1は、非飛行状態において、バッテリパック20を本体部10から取り外し、充電することができる。バッテリパック20を本体部10から取り外すことにより、信号コネクタ13が露出するため、当該信号コネクタ13に対してケーブル等の端子を接続可能となる。例えば、信号コネクタ13と外部装置(例えば、情報処理装置)とを通信ケーブルで接続することにより、飛行体1の本体部10に記憶された情報(画像データ、センサデータ、飛行履歴データ等)を情報処理装置に送信したり、情報処理装置から飛行体1の本体部に、自律飛行に関する飛行ルートデータ、地図データ、飛行制限領域に関するデータ、ソフトウェアのアップデートデータ等、各種の情報を送信したりすることができる。
【0029】
情報処理装置とは、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータや、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末であってもよい。情報処理装置は、例えば制御部、記憶部、通信部等を備える。制御部は、各要素間におけるデータの送受信の制御や、プログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部のプログラムを実行して各処理を行う。記憶部は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置等を備える。また記憶部には、プログラムや各種の処理に用いられる情報等が格納されている。例えば、飛行体の飛行状況や点検状況等を表示するためのプログラムが格納されていてもよい。また、記憶部には、対象設備の内部又は外部を撮影した画像データに関する情報、画像データに基づいて生成した情報等が格納されてもよい。送受信部は、制御部をインターネット網等のネットワークに接続するものであって、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信、LTE、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった通信インターフェースを具備するものであってもよい。また、送受信部は、有線による通信をするための通信インターフェース、コネクタを備える。
【0030】
また、
図3に示すように、バッテリパック20は、1又は複数の追加のオプション装置40用のオプション用コネクタ21を備えていてもよい。オプション用コネクタ21を追加オプション専用のバッテリパックに搭載することで、飛行体の本体部にオプション用コネクタを設ける必要がなくなるため、本体部を軽量化できる。
オプション装置40とは特に限定されないが、例えば、各種センサ、カメラ等の情報取得装置や、音、光等を出力する出力装置、メモリ等の記憶装置、の何れか、またはそれらの組み合わせとすることができる。オプション用コネクタ21にこれらのオプション装置を接続すると、オプション装置40で取得した情報を(バッテリパック20を介して)飛行体の本体部に送信したり、本体部からオプション装置40に制御指示等の信号を送信したりすることができる。オプション用コネクタ21は、バッテリパック20又は本体部10からオプション装置40に電力を供給したり、逆に、オプション装置40に設けられた電源部(バッテリ等)からの電力をバッテリパック20又は本体部10に供給したりすることができるように構成されていてもよい。バッテリパック20には、オプション装置40を機械的に取り付けるための結合部が設けられている。結合部の構成は、特に限定されないが、例えば上記本体部とバッテリパックの結合部と同様の構成とすることができる。
【0031】
オプション用コネクタ21の位置は、特に限定されず、例えば、バッテリパック20の下面、側面(前面、背面、左面、右面を含む)、上面の何れであってもよい。また、オプション装置40の取付位置は、特に限定されず、例えば、バッテリパック20の下面、側面(前面、背面、左面、右面を含む)、上面の何れであってもよい。オプション用コネクタ21の位置と、オプション装置40の取付位置とは、バッテリパック20の同一の面に位置することが好ましいが、これに限られない。例えば、オプション装置40を本体部の上面、側面等に取り付けて、バッテリパック20下面のオプション用コネクタ21とケーブルで有線接続するようにしてもよい。すなわち、オプション装置40はオプション用コネクタ21に隣接して配置しなくてもよい。
【0032】
また、飛行体システムは、オプション用コネクタ21の位置、及びオプション装置40の取付位置の少なくとも何れかが異なる複数種類のバッテリパックを準備しておき、オプション装置40の種類や用途に応じて使い分けるようにしてもよい。例えば、オプション装置40の取付位置がバッテリパックの前面に位置するものと、オプション装置40の取付位置がバッテリパックの後面に位置するものとを準備して、用途に応じて使い分けることができる。このように、追加オプション用のバッテリパックを切り替えることにより、飛行体の本体部を変更することなく、様々な追加オプション装置を任意の場所に搭載することが可能となる。また追加のオプション装置の重量による飛行体の重心位置のズレ(変位)や重量増加を追加オプション専用のバッテリパックの重心位置や重量調整により予め調整できるため、本体部側での調整対応が不要となる。
【0033】
さらに、
図4に示すように、バッテリパック20は、記憶部21を備えていることが好ましく、これによれば、飛行体1で取得した情報を当該記憶部に記憶しておくことができる。記憶部21は、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。情報は、例えば、飛行体1がカメラで撮影した画像データ、各種センサで取得したセンサデータ、GPS等により自己位置を推定すること等により得られた飛行履歴に関するデータ等とすることができるが、これに限られない。バッテリパック20(例えば
図4のバッテリパックA)を本体部10から取り外して、情報処理装置等の外部のシステムに接続することにより、記憶部21の情報を当該外部システムに送信することができる。また、既に充電されたバッテリパック20(例えば
図4のバッテリパックB)を本体部10に付け替えることで、すぐに飛行体1を飛行させて、次の目的に使用することができる。バッテリパック20は、記憶部21に対する情報の送受信を制御するプロセッサ等の制御部を有してもよい。
【0034】
ここで、例えば、記憶部がバッテリパック20にない場合、本体部10の記憶部に記憶された情報を、外部のシステムに送信する作業が終わるまでの間、この本体部10を飛行に使用させることができない。また本体部10の記憶部から外部システムに移行するデータの量が多ければ多いほど、この移行作業に掛かる時間は長くなる。一方で、バッテリパック20に記憶部を設けた場合には、当該バッテリパック20を取り外して充電とデータ移行をしている間に、別の充電済みのバッテリパック20を取り付けることで、すぐに本体部10を使用することが可能となる。このように、飛行体の運用効率を高めることができる。なお、バッテリパック20に記憶部を設ける場合、本体部にも記憶部を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0035】
また、バッテリパック20が記憶部21を有する場合は、
図5に示すように、バッテリパック20を充電するための充電装置50の記憶部51に、バッテリパック20の記憶部21の情報を送信したり、充電装置50の記憶部51からの情報を受け取ったりするようにしてもよい。例えば、バッテリパック20の記憶部21に記憶された飛行中のデータを充電装置50の記憶部51に移行し、任意のタイミングで情報処理装置に記憶部51のデータを移行することができる。このように、バッテリパックの充電と充電装置50内へのデータの一時退避を合わせて行う事で現場でのオペレーションの数が減り、作業性が向上する。また、充電装置50内にデータを一時退避させることで、点検等の現場でのPC等の精密機器の使用を減らした運用も可能となる。さらに、フライト毎にバッテリと共に記録媒体(記憶部)を交換するため、飛行体の本体部ごと全てのデータを失うリスクを低下させることができる。また、飛行体墜落時にも記憶部が堅牢なバッテリパック内に搭載されているため、データロストのリスクを低下させ、ドローン本体部側が破損していてもバッテリパックが無事であればデータを速やかに収集することが可能となる。
【0036】
図6に示すように、本実施形態の飛行体システムは、飛行体1と、バッテリパック20を取り外した状態の本体部10に取り付け可能なアタッチメント30(30a、30b)を備えることができる。アタッチメント30は、バッテリパック20と共通の結合部を有し、バッテリパック20と同じように本体部10に着脱可能となっている。また、アタッチメント30は、外部の情報処理装置等に対して有線又は無線で接続可能となっており、アタッチメント30を介して、飛行体1と情報処理装置とが情報の送受信を行うことができる。例えば、アタッチメント30は、本体部10に取り付けた取付状態において、信号コネクタ13に接続される接点端子を備えており、その接点端子は、アタッチメント30に設けられた1以上の信号コネクタ31に接続している。信号コネクタ31は、例えば、本体部10の信号コネクタ13と共通の種類でも異なる種類でもよい。信号コネクタ31は、取付状態において、外部に露出している。信号コネクタ31は、信号コネクタ13に接続される接点端子が設けられた面(本例ではアタッチメント30の上面)とは別の面に位置することが好ましい。
【0037】
本実施形態の飛行体システムは、用途に応じた複数種類のアタッチメント30(30a、30b)を備えてもよい。例えば、飛行体に接続する情報処理装置等の外部システムの種類に応じて、ケーブルのインターフェースが異なる場合、当該インターフェースに応じた複数種類のアタッチメント30を準備しておくことができる。それぞれのアタッチメント30は、異なるインターフェースに応じた1又は複数の信号コネクタ31(31a、31b、31c)を有する。これによれば、用途に応じてアタッチメント30を付け替えることで、飛行体の本体部10を変えることなく、本体部10に様々な種類のインターフェースを持つ様々な外部システムを接続することができる。また、外部システムとの接続作業を行う際、各インターフェース専用コネクタの挿抜ではなくアタッチメントの付け替え操作での運用が可能となり作業性が向上する。
【0038】
本実施形態の飛行体システムは、
図8に示すように、本体部10にアタッチメント30を取り付けた状態で、アタッチメント30にバッテリパック20を取り付けられるようにしてもよい。この場合、バッテリパック20の電力をアタッチメント30及び本体部10に供給するための電源コネクタ32が設けられている。本体部10に電力を供給することで、本体部10に記憶された情報を、アタッチメント30を介して情報処理装置に送信したり、本体部10に設けられた各種機能を電力駆動して、確認したり調整したりすることができる。アタッチメント30には、バッテリパック20との間で信号を送受信するための信号コネクタ33が設けられていてもよく、(アタッチメント30を介した)バッテリパック20と本体部10の間の通信も可能となる。
【0039】
アタッチメント30は、
図8のようにアタッチメント30にバッテリパック20を取り付けた状態で、バッテリパック20の電池残量を判定したり、劣化度合を判定したりする機能を備えていてもよい。例えば、バッテリパック20に接続された回路に抵抗を負荷して電流、電圧を測定することで電池残量、劣化度合を判定することができる。あるいは、バッテリパック20の使用回数、使用期間等の情報を取得することで、劣化度合を推定したり、バッテリパック20の交換時期を決定したりするようにしてもよい。アタッチメント30は、本体部10の回路の電流、電圧を検出して、異常がないかを判定できるようにしてもよい。
【0040】
アタッチメント30には、冷却ファン34が設けられていてもよい。冷却ファン34は、本体部10にアタッチメント30を取り付けた状態で、本体部10の電子基板等の電子部品を冷却する位置に配置される。具体的には、基板に接続されるヒートシンクに対応する位置冷却ファンが位置することが好ましい。冷却ファン34は、1つでも複数設けられてもよい。冷却ファン34は、本体部10の電子基板等を冷却する機能も有することが好ましい。冷却ファン34は、バッテリパック20から供給される電力で駆動させてもよいし、コネクタ31(31a、31b)を介して接続される情報処理装置(コンピュータ、タブレット端末等)から供給される電力で駆動させてもよいし、アタッチメント30に内蔵される電源で駆動させてもよく、それらの組み合わせでもよい。冷却ファン34は、バッテリパック20から供給される電力を優先的に使用し、当該電力が不足した場合に、USB等のコネクタ31(31a、31b)を介して供給される電力を使用することが好ましい。
【0041】
アタッチメント30には、本体部10及びバッテリパック20の少なくとも一方に関する情報を表示するためのインジケータ35(表示部)が設けられていてもよい。インジケータ35は、バッテリパック20からの電力供給の有無、コネクタ31(31a、31b)を介する電力供給の有無、バッテリパック20の電池残量、劣化状況、本体部10及びバッテリパック20の異常判定の結果等を示すようにしてもよい。インジケータ35は、モニタでもよいし、複数の異なる色の点灯部を有してもよい。例えば、バッテリパック20から供給される電力を受けている場合には青色の光が点灯し、バッテリパック20から電力が供給されていない場合には青色の光が消灯する。USB等のコネクタ31(31a、31b)を介して電力が供給されている場合には緑色の光が点灯し、供給されていない場合には緑色の光が消灯するようにしてもよい。あるいは、例えば、バッテリパック20の残量に応じて、インジケータ35の点灯の数や点滅の頻度等が異なるようにしてもよい。
【0042】
なお、本体部10にアタッチメント30(及びバッテリパック20)を取り付けた状態では、推力発生部11が動作しないように構成されていることが好ましい。例えば、推力発生部11には、アタッチメント30を介してバッテリパック20やコネクタ31(31a、31b)を介して接続される情報処理装置からの電力が供給されないようにすることができる。これによれば、誤って、アタッチメント30を付けた状態で飛行しないようにすることができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
なお、上記実施形態においては、かかる自律飛行制御を飛行体1のフライトコントローラ14により実行するものとして説明したが、本技術はかかる例に限定されない。すなわち、かかる自律飛行制御方法は、飛行体においてエッジで処理される例に限られず、他の自律飛行制御装置により遠隔で上述した補正処理がなされ、その処理結果を飛行体に送信し、かかる結果をもとに駆動部を制御するようなものであってもよい。つまり、かかる自律飛行制御方法を実行するハードウェアの主体は特に限定されず、上述した機能部は複数のハードウェアにより実行されるものであってもよい。
【0045】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0046】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
飛行するための推力発生部を有する本体部と、前記本体部に着脱可能で前記推力発生部に電力を供給するバッテリパックと、を備える飛行体において、
前記本体部には、前記バッテリパックを電気的に接続するための電源コネクタと、前記本体部に対して信号を送受信する外部装置を電気的に接続するための信号コネクタとが設けられ、
前記バッテリパックは、前記本体部に取付けられ電源コネクタに接続された取付状態において、前記信号コネクタを覆い隠すように構成されている、飛行体。
(項目2)
前記バッテリパックは、前記取付状態において前記電源コネクタに対向する面が前記信号コネクタを覆い隠すように構成されている、項目1に記載の飛行体。
(項目3)
前記バッテリパックを前記本体部から取り外すことにより前記信号コネクタが露出して外部装置を接続することができるように構成されている、項目1又は2に記載の飛行体。
(項目4)
前記バッテリパックは、オプション装置を電気的に接続するためのオプションコネクタを備え、
前記本体部に前記バッテリパックを取り付けるとともに、前記オプション装置を前記バッテリパックに取り付けることにより、前記本体部と前記オプション装置とが前記バッテリパックを介して電気的に接続されるよう構成されている、項目1~3の何れかに記載の飛行体。
(項目5)
前記バッテリパックは、飛行中のデータを記憶可能であり、且つ、前記本体部から前記バッテリパックを取り外した状態で外部装置に情報を出力可能な記憶部を有する、項目1~4の何れかに記載の飛行体。
(項目6)
項目1~5の何れかに記載の飛行体と、
前記バッテリパックを取り外した状態の前記本体部に対して着脱可能なアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントは、前記本体部の前記信号コネクタと外部装置とを、該アタッチメントを介して電気的に接続するよう構成されている、飛行体システム。
(項目7)
前記アタッチメントには、それぞれ異なる通信インターフェースに対応する複数の信号コネクタが設けられている、項目6に記載の飛行体システム。
(項目8)
項目1~5の何れかに記載の飛行体と、
前記本体部から取り外した状態の前記バッテリパックを充電可能な充電装置と、を備え、
前記充電装置は、前記バッテリパックの記憶部から情報を取得して記憶可能な記憶部を有する、飛行体システム。
(項目9)
前記アタッチメントは、前記本体部に該アタッチメントを取り付けた状態で、前記バッテリパックを該アタッチメントに対して着脱可能に構成されている、項目6に記載の飛行体システム。
(項目10)
前記本体部に前記アタッチメントを取り付けるとともに、前記アタッチメントに前記バッテリパックを取り付けた状態で、前記バッテリパックの電力を前記本体部及び前記アタッチメントに供給可能に構成されている、項目9に記載の飛行体システム。
(項目11)
前記アタッチメントは、前記本体部に該アタッチメントを取り付けた状態で、前記本体部を冷却するための冷却ファンが設けられている、項目10に記載の飛行体システム。
(項目12)
前記アタッチメントは、該アタッチメントに取り付けられた前記本体部及び前記バッテリパックの少なくとも何れかに関する情報を表示するための表示部を有する、項目10に記載の飛行体システム。
【符号の説明】
【0047】
1 飛行体
10 本体部
20 バッテリパック
30 アタッチメント
40 オプション装置