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特開2024-650573Dプリンティングによるマルテンサイトステンレス鋼を積層するタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法
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  • 特開-3Dプリンティングによるマルテンサイトステンレス鋼を積層するタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065057
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】3Dプリンティングによるマルテンサイトステンレス鋼を積層するタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20240507BHJP
   F01D 11/02 20060101ALI20240507BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20240507BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240507BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20240507BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240507BHJP
   C22C 38/40 20060101ALI20240507BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240507BHJP
   B22F 1/062 20220101ALI20240507BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20240507BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240507BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240507BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240507BHJP
【FI】
F01D25/00 X
F01D11/02
F02C7/28 B
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F01D25/00 L
F01D25/00 M
F16J15/447
C22C38/00 302Z
C22C38/40
C22C38/00 302X
B22F1/00 T
B22F1/062
B22F10/25
B33Y10/00
B33Y80/00
B33Y70/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183137
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0141030
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520054415
【氏名又は名称】ターボ パワーテク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒョン キ
(72)【発明者】
【氏名】ビョン,サム ソブ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,テク ホ
【テーマコード(参考)】
3G202
3J042
4K018
【Fターム(参考)】
3G202KK06
3G202KK17
3J042AA03
3J042BA01
3J042CA10
3J042DA02
3J042DA20
4K018AA33
4K018BA17
4K018BB02
4K018KA12
4K018KA58
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組織の微細化とともに融着不良の減少と接合力の向上を期待できるタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ラビリンスシーリング装置300の製造方法は、タービンのダイヤフラムとタービンローターとの間に装着されているラビリンスシーリング装置300の製造方法であって、ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310と、リング状の胴体310の一面に突出するラビリンス部320とを含み、リング状の胴体310は遠心鋳造又はリングミルで製造し、ラビリンス部320は3Dプリンティングによって製造し、リング状の胴体310とラビリンス部320との間に3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材ワイヤの組成に類似のボンド層を積層することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンのダイヤフラム200とタービンローター100との間に装着されるラビリンスシーリング装置300の製造方法であって、
前記ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310と、前記胴体310の一面に突出するラビリンス部320とを含み、前記胴体310は遠心鋳造又はリングミルで製造し、
前記ラビリンス部320は、3Dプリンティングによって製造し、前記胴体310と前記ラビリンス部320との間に3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材ワイヤの組成に類似のボンド層400を積層することを特徴とする、ラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項2】
前記ラビリンス部320の前記3Dプリンティングは、金属粉末又は金属材のワイヤをレーザクラッディングを介して積層することを特徴とする、請求項1に記載のラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項3】
前記3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材のワイヤは、STSのうち、STS410又はSTS410Sに含まれることを特徴とする、請求項2に記載のラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項4】
前記3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材のワイヤは、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)1.00%以下、マンガン(Mn)1.00%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)16.00%以下、クロム(Cr)11.50~13.50%以下、残りは鉄(Fe)及び不純物を含むことを特徴とする、請求項2に記載のラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項5】
前記3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材のワイヤは、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)1.00%以下、マンガン(Mn)1.00%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)16.00%以下、クロム(Cr)13.00~15.00%以下、鉄(Fe)及び不純物を含むことを特徴とする、請求項2に記載のラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項6】
前記ボンド層400は0.01~5mmの間で積層することを特徴とする、請求項1に記載のラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項7】
前記ボンド層400の組成は、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)0.90%以下、マンガン(Mn)2.50%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)6~20%以下、クロム(Cr)10~30%、鉄(Fe)及び不純物を含むことを特徴とする、請求項6に記載のラビリンスシーリング装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラビリンスシーリング装置の製造方法に関し、より詳細には、タービンのダイヤフラムとタービンローターとの間に装着されているパッキングリング(Packing Ring)のラビリンスシーリング装置を製造することにおいて、胴体は、リングミル又は遠心鋳造で製造し、突出部であるラビリンス部は、3Dプリンティングを用いて積層時にラビリンス部を3Dプリンティングを用いてマルテンサイトステンレス鋼を積層するタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは、流体の流れからエネルギーを抽出して運動エネルギーに切り替える回転式機械装置である。水蒸気を使用する蒸気タービン(steam turbine)、可燃性ガスを使用するガスタービン(gas turbine)などの作動原理、構造に応じて様々な種類がある。
【0003】
一般に、発電用タービンを用いて電力を生産することにおいて、ボイラから生成された高温高圧の蒸気がタービンストップ弁(stop valve)及びコントロール弁(control valve)を経由してタービンケーシング内に流入され、ケーシング内に流入した蒸気は、ダイヤフラム(diaphragm)を経てタービンローターに組み立てられた回転翼(Moving Blade)を回転させることで、タービンローターによって発電機が回転しながら電力が取得される。
【0004】
ここで、ダイヤフラムは、流入した蒸気又はガスが最適な蒸気方向を有する蒸気の流れ(Steam Flow)になるように誘導し、タービンローター(Turbine Rotor)に組み立てられた回転翼を回転させる役割を果たす。
【0005】
このようなタービンでタービンローターのような回転体及びタービンローターを外部で取り囲んでいるダイヤフラムのような固定体間のシーリング部で発生する蒸気の漏れはタービンの効率を低下させ、燃料コストを増加させるという主な要因であるため、蒸気の漏れを減らすためのシーリング装置の設計技術は極めて重要である。
【0006】
ここで、蒸気又はガスタービンのような高温及び高圧タービンに使用されるステンレス素材のシーリング装置は、蒸気やガスの漏れを防止して発電機のエネルギー生産効率を上昇させ、流体による回転体の振動防止に重要な役割を果たす。
【0007】
言い換えれば、ガスタービンの性能向上のために、回転部と停止部との間で発生する漏れ流動を抑制し、損失を減少させようとする試みを持続している。ラビリンスシールは、ガスタービンの2次流動システムに適用される極めて重要な技術のうちの1つであり、回転部品と停止部品との間に生じる間隙で大きい圧力勾配が存在するとき発生する漏れ流動を低減するために適用される。漏れ流動を低減するための最新技術が持続的に発達してきたにもかかわらず、比較的に古典的な方式であるラビリンスシールは単純な構造、耐熱性、広い圧力範囲で適用できるという理由により依然として幅広く使用されている。
【0008】
回転ブレードチップシールに適用されるラビリンスシールは、複数のトゥースを設けて流動抵抗を増加させることで、機密性能を最大化させる方式により設計されている。
【0009】
数十年の間にガスタービンの性能向上に対する研究が盛んに行われることで、ラビリンスシールに対する正確な漏れ流動の予測もその重要性が台頭している。ラビリンスシールの気密特性は、チップトゥースの個数、チップの形状、チップの間隙に応じて異なる。
【0010】
また、実際のエンジン駆動時に発生する熱膨張と遠心力によってチップの間隙、チップの形状がエンジンの作動条件に応じて異なる。
【0011】
したがって、ラビリンスシールを適用する前に、様々なチップ形状の媒介変数及び流動条件における気密特性に対するデータ構築を行うことが必須である。
【0012】
しかし、ガスタービンに適用されるラビリンスシールに対する韓国の研究は数少ない実状であり、海外でも制限的な形状及び圧力比に対する研究結果のみが公開されている実状であり、特に、ラビリンスシールのトゥースを製造するとき、本発明で提示した3Dプリントを用いた製造方法を提示することについては皆無な実状である。
【0013】
即ち、従来におけるラビリンスシーリング装置は、遠心鋳造又はリングミルによってリング状の胴体を形成した後、ラビリンスのトゥースを加工ツールで削って作る過程において、素材の無駄使いが発生することで生産原価が高まるという短所があり、また、トゥースの形態を製造することが容易ではなく、製造期間が長くなるというなど、生産性が良くないという短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-0876603号(登録日2008年12月23日
【特許文献2】韓国登録特許公報第10-1442739号(登録日2014年09月15日)
【特許文献3】韓国登録特許公報第10-1449473号(登録日2014年10月02日)
【特許文献4】韓国登録特許公報第10-1546385号(登録日2015年08月17日)
【特許文献5】韓国登録特許公報第10-1950924号(登録日2019年02月15日)
【特許文献6】韓国登録特許公報第10-2293186号(登録日2021年08月18日)
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】論文:ガスタービンラビリンスシール基礎研究動向(Basic Research Trends on [0015] Labyrinth Seal of Gas Turbine)、イ・スイン、キョン・ヨンジュン、キム・ドンヒョン、クァク・ジェス(韓国流体機械学会論文集第23冊第1号pp32~39)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した問題を解決するために案出されたもので、リング状の胴体を製造した後、前記リング状の胴体に突出するラビリンス部は3Dプリンティングにより製造することで、素材及び加工コストを削減して生産性を向上させることができ、特に、3Dプリンティング時に用いられる金属粉末の最適な組成物を提示することで、組織の微細化とともに融着不良の減少と接合力の向上を期待できるタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の3Dプリンティングによるマルテンサイトステンレス鋼を積層するタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、タービンローターのような回転体がダイヤフラムのような固定体内で回転するとき、相互間の摩擦を最小化してタービンローターの回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、タービンのダイヤフラムとタービンローターとの間に装着されているラビリンスシーリング装置の製造方法において、前記ラビリンスシーリング装置は、リング状の胴体と、前記リング状の胴体の一面に突出するラビリンス部で形成され、前記リング状の胴体は、遠心鋳造又はリングミルで製造し、前記ラビリンス部は、3Dプリンティングによって製造し、前記リング状の胴体とラビリンス部との間には接合力の向上のために3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材ワイヤの組成に類似のボンド層を積層することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、遠心鋳造又はリングミルによってリング状の胴体を製造した後、前記リング状の胴体に突出するラビリンス部(又は、トゥース)は3Dプリンティングで製造することによって、素材及び加工コストを削減して生産性を向上させることができ、特に、3Dプリンティング時にリング状の胴体とトゥースサイの接合力の向上のためにボンド層を積層する金属粉末の最適な組成物を提示することで、組織の微細化とともに融着不良の減少及び接合力の向上を期待できるなどの著しい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】タービンにシーリング装置が装着された状態を示す断面図である。
図2図1に示す一部の拡大詳細概要図である。
図3】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
図4】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置がタービンに装着された状態を示す一部分の拡大詳細断面図である。
図5】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の3Dプリンティングの積層時に、リング状の胴体とラビリンス部との間の接合力の向上のためにボンド層を積層するラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
図6】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の更なる実施に係るラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
図7】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の更なる実施に係る3Dプリンティングの積層時に、リング状の胴体とラビリンス部との間の接合力の向上のためにボンド層を積層するラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の3Dプリンティングによるマルテンサイトステンレス鋼を積層するタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、タービンローター100のような回転体がダイヤフラム200のような固定体内で回転するとき、相互間の摩擦を最小化してタービンローター100の回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、タービンのダイヤフラム200とタービンローター100との間に装着されるラビリンスシーリング装置の製造方法において、前記ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310と、前記リング状の胴体310の一面に突出するラビリンス部320からなり、前記リング状の胴体310は遠心鋳造又はリングミルで製造し、前記ラビリンス部320は、3Dプリンティングによって製造し、前記リング状の胴体310とラビリンス部320との間には接合力の向上のために3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材ワイヤの組成に類似のボンド層400を積層することを特徴とする。
【0021】
前記ラビリンス部320の3Dプリンティングは、金属粉末又は金属材のワイヤをレーザクラッディングを介して積層することを特徴とする。
【0022】
そして、前記3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材のワイヤは、STS410又はSTS410Aに含まれることを特徴とする。
【0023】
また、3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材のワイヤは、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)1.00%以下、マンガン(Mn)1.00%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)16.00%以下、クロム(Cr)11.50~13.50%以下、残りは鉄(Fe)及び不純物を含むことを特徴とする。
【0024】
又は、前記3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材のワイヤは、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)1.00%以下、マンガン(Mn)1.00%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)16.00%以下、クロム(Cr)13.00~15.00%以下、残りは鉄(Fe)及び不純物を含むことを特徴とする。
【0025】
また、前記ボンド層400は、0.01~5mmの間で積層することを特徴とする。
【0026】
また、前記ボンド層400の組成は、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)0.90%以下、マンガン(Mn)2.50%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)6~20%以下、クロム(Cr)10~30%、残りは鉄(Fe)及び不純物を含むことを特徴とする。
【0027】
以下、本発明の3Dプリンティングによるマルテンサイトステンレス鋼を積層するタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法について、添付の図面を参照して詳細に説明すれば次の通りである。
【0028】
図1は、タービンにシーリング装置が装着された状態を示す断面図であり、図2は、図1に示す一部分の拡大詳細概要図である。
【0029】
図1図2に示すように、従来におけるラビリンス型シーリング装置5は、ケーシングに装着されているダイアフラム3の外部リングと内部リングに設けられている。
【0030】
ここで、前記ラビリンス型シーリング装置5は、タービンの非接触式の環状密封装置として幅広く使われており、鋭いトゥース6でタービン内で流れる流体に絞り作用(Throttling Process)を発生させて漏れ流量を低減させる。
【0031】
即ち、前記トゥース6を流体の流れ方向に沿って順に配列し、前記流体が絞りと拡大を繰り返す過程で発生する圧力降下の効果を介して、前記流体の漏れ流量を低減させる。
【0032】
より詳細内容については、従来技術に記述されている本出願が2014年04月08日付で出願し、第10-1442739号(登録日2014年09月15日)に登録された韓国登録特許公報を参照する。
【0033】
しかし、従来におけるトゥース6が形成されているラビリンス形態のシーリング装置は、遠心鋳造によってリング状の胴体を形成した後、ラビリンスを切削ツールで削って作る過程で素材の無駄遣いが激しく、また、ラビリンスの形態を製造することが容易でなく、製造期間が長くなるなど、生産性が良くないという短所があった。
【0034】
図3は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置の断面概要図、図4は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置がタービンに装着された状態を示す一部分の拡大詳細断面図、図5は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の3Dプリンティングの積層時に、リング状の胴体とラビリンス部との間の接合力の向上のためにボンド層を積層するラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
【0035】
図3図5に示すように、本発明のラビリンスシーリング装置300は、タービンローター100のような回転体がダイヤフラム200のような固定体内で回転するとき、相互間の摩擦を最小化してタービンローター100の回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、タービンのダイヤフラム200とタービンローター100との間に装着されるラビリンスシーリング装置300を3Dプリンティングを用いて製造する方法に関する。
【0036】
一般に、ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310と、前記リング状の胴体310の一面に突出するラビリンス部320からなっている。
【0037】
本発明のラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310は遠心鋳造又はリングミルで製造し、ラビリンス部320は3Dプリンティングによって製造する。
【0038】
ここで、リング状の胴体310とラビリンス部320は一体に製造されず、それぞれ別途の方法により製造されるもので、リング状の胴体310に直接3Dプリンティングを介してラビリンス部320を積層してもよく、別途に3Dプリンティングを介してラビリンス部320を製造した後リング状の胴体310に接合してもよい。
【0039】
ラビリンス部320の3Dプリンティングは、金属粉末又は金属材のワイヤをレーザクラッディングのような積層方式によって相互間の堅い締結又は接合は必須的に行われなければならない。
【0040】
ガスタービンのような超高温用部品には、ステンレス鋼のうちオーステナイト系とフェライト系に比べて耐食性は低下するものの、大気中には容易に酸化されず、硬化性を有していることからマルテンサイト系が使用されている。
【0041】
STSは、鉄(Fe)に相当量のクロム(普通12%)を入れて錆がつかないように作られた鋼であって、ここで、必要に応じて炭素(C)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)などを含む複合成分を有している合金鋼である。
【0042】
特に、STSのうち、3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材のワイヤの組成は、耐熱性と耐食性及び靭性に優れたSTS410又はSTS410Sに含まれるようにする。
【0043】
本発明において、3Dプリンティング時に使用されるSTS410系の金属粉末又は金属材のワイヤは、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)1.00%以下、マンガン(Mn)1.00%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)16.00%以下、クロム(Cr)11.50~13.50%以下、残りは鉄と不純物を含むようにする。
【0044】
更なる実施形態として、3Dプリンティング時に使用されるSTS410S系の金属粉末又は金属材のワイヤは、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)1.00%以下、マンガン(Mn)1.00%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)16.00%以下、クロム(Cr)13.00~15.00%以下、残りは鉄と不純物を含むようにする。
【0045】
特に、図5に示すように、前記リング状の胴体310とラビリンス部320との間には、接合力の向上のためにリング状の胴体310の上面に3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材ワイヤの組成に類似のボンド層400を形成した後、上述した金属粉末又は金属材ワイヤを積層する。
【0046】
前記ボンド層400は0.01~5mmの間で積層する。
【0047】
前記ボンド層400は、レーザクラッディングのような積層方式により積層する。
【0048】
ボンド層400の組成は、炭素(C)0.15%以下、ケイ素(Si)0.90%以下、マンガン(Mn)2.50%以下、リン(P)0.040%以下、硫黄(S)0.030%以下、ニッケル(Ni)6~20%以下、クロム(Cr)10~30%、残りは鉄(Fe)及び不純物を含むようにする。
【0049】
一方、本出願人は、前記リング状の胴体310及びラビリンス部320は、レーザクラッディングを通した積層時にリング状の胴体310又は積層粉末に超音波振動を加えて接合した。
【0050】
超音波振動は2KHz~100MHzの間で行う。
【0051】
より詳細に、最適な超音波を積層部に伝達するために、積層部から0.5~2000mm以内に離隔した箇所に振動子(図示せず)を取り付け、母材であるリング状の胴体310に振動を与えながらレーザクラッディングを通した積層を行う。
【0052】
即ち、振動子は、溶接される地点から0.5~2000mm以内に離隔したリング状の胴体310の表面に接触させる。
【0053】
上述したように、超音波振動と同時にレーザクラッディングを介して積層する場合の長所は、積層部に気孔率を0.01%以下に減少させると同時に、結晶粒の大きさを既存のレーザクラッディングよりも50%以下に小さくするため、機械的な特性(硬度、強度、摩耗、疲労、クリープ)が増加する長所がある。
【0054】
そして、前記リング状の胴体310とラビリンス部320のより巧みな接合関係をなすために、リング状の胴体310又は積層粉末に遠赤外線を加えてもよい。
【0055】
溶融温度が高いインコネル超耐熱素材の場合、凝固速度を調整するために遠赤外線ヒーター波長は10~1000ミクロン(μm)を用いて母材の温度を25~900℃内に保持しながらレーザクラッディング積層を行うようにする。
【0056】
一方、本発明におけるリング状の胴体310はステンレス材で製造され、ラビリンス部320は、ステンレス材質とは異なる異種の材質で製造されてもよい。
【0057】
本発明において、ラビリンス部320を次のような方法で製造することで、ラビリンス部320を3Dプリンティングによって更に便利に製造すると共に、製造されたラビリンス部320をリング状の胴体310に巧みに接合してもよい。
【0058】
リング状の胴体310の形状は図3に示された形状に限定されず、胴体310に対応するダイヤフラム200の形状に応じて様々な形状に製造され得る。
【0059】
図6は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の更なる実施に係るラビリンスシーリング装置の断面概要図、図7は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の更なる実施に係る3Dプリンティングの積層時に、リング状の胴体とラビリンス部との間の接合力の向上のためにボンド層を積層するラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
【0060】
図6に示すように、更なる実施に係る本発明のラビリンス部320は、板材形状のベース321と、前記ベース321の一面に突出するトゥース部322で製造する。
【0061】
前記トゥース部322の形状もブラス形態に製造したり、複数の薄い板材の形状など様々な形状に変形して製造してもよい。
【0062】
このように製造されたラビリンス部320は、リング状の胴体310にラビリンス部320のベース321が接触した後、レーザクラッディングのような積層又は接合方式で積層又は接合することで、ラビリンス部320とリング状の胴体310は巧みな結合関係を有することができる。
【0063】
特に、本発明のラビリンス部320のベース321をリング状の胴体310と同じ材質で製造することで、本発明のラビリンス部320とリング状の胴体310は巧みな結合関係を有することができる。
【0064】
前記トゥース部322は、タービンローター100の材質や形状又はタービンローター100の性能による仕様に合わせて、ベース321とは異なる異種材質のうちの1つを選択して製造してもよい。
【0065】
前記ラビリンス部320と胴体310のより巧みな結合関係を有するために、前記ベース321と胴体310の互いに接触している一面のいずれか1つの面には突出部(図示せず)を形成し、他方の一面には、前記突出部に対応する溝部(図示せず)を形成して組立ブロックのように組み立て、レーザクラッディングの方式で積層又は接合して結合することもできる。
【0066】
一方、図7に示すように、前記リング状の胴体310とラビリンス部320との間には接合力の向上のために、リング状の胴体310の上面に3Dプリンティング時に使用される金属粉末又は金属材ワイヤの組成に類似のボンド層400を形成した後、上述した金属粉末又は金属材ワイヤをレーザクラッディングのような積層又は接合方式により積層又は接合してもよい。
【0067】
前記ボンド層400についても0.01~5mmの間で積層し、ボンド層400の組成は、上述したような同じ組成からなる。
【0068】
本発明のラビリンス部320の胴体310及びラビリンス部320の詳細な構成としてのベース321及びトゥース部322は、本明細書発明の権利範囲に属する範囲内で様々な形状に変形又は製造可能である。
【0069】
即ち、本発明において、ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310を遠心鋳造又はリングミルによって製造し、前記リング状の胴体310の表面に3Dプリンティングによりラビリンス部320を積層したり、ラビリンス部320を別途に3Dプリンティングにより製造した後、前記リング状の胴体310に接合できる。
【0070】
ここで、積層又は接合の方式でレーザクラッディングを使用するようにする。
【0071】
上述したように本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、遠心鋳造又はリングミルによってリング状の胴体を製造した後、前記リング状の胴体に突出するラビリンス部(又は、トゥース)は3Dプリンティングで製造することで素材及び加工コストを削減し、生産性を向上させることができ、特に、3Dプリンティング時にリング状の胴体とトゥースとの間の接合力の向上のためにボンド層を積層する金属粉末の最適な組成物を提示することで、組織の微細化と共に融着不良の減少及び接合力の向上を期待できるなどの著しい効果がある。
【符号の説明】
【0072】
100:タービンローター
200:ダイヤフラム
300:ラビリンスシーリング装置
310:ラビリンス胴体
320:ラビリンス部
321:ベース
322:トゥース部
400:ボンド層
1:ローター部
2、20:ケーシング
3:ダイヤフラム
5:ラビリンス型シーリング装置
6:トゥース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7