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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065059
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】眼科用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/23 20060101AFI20240507BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240507BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240507BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240507BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K31/23
A61P3/02 102
A61P27/02
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183252
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2022173027
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内野 峻介
(72)【発明者】
【氏名】飯島 浩
(72)【発明者】
【氏名】栗岡 昌利
(72)【発明者】
【氏名】時久 航一
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076CC23
4C076DD22
4C076DD37
4C076DD49
4C076DD50
4C076DD51
4C076DD59
4C076DD60
4C076EE23
4C206AA01
4C206DB06
4C206DB51
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA78
4C206NA10
4C206ZA33
4C206ZC23
(57)【要約】
【課題】(A)ビタミンA、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上を含有する眼科用組成物における、ビタミンAの保存安定性と、保存効力とを高めることを目的とする。
【解決手段】(A)ビタミンA、
(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上、及び
(D)イプシロンアミノカプロン酸及びアスパラギン酸カリウムから選ばれる1種以上
を含有する眼科用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビタミンA、
(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上、及び
(D)イプシロンアミノカプロン酸及びアスパラギン酸カリウムから選ばれる1種以上
を含有する眼科用組成物。
【請求項2】
(A)成分の含有量が40,000~10,0000単位/100mLである、請求項1記載の眼科用組成物。
【請求項3】
(C)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(C))が、30~1,000である、請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項4】
(B)成分の含有量が、0.1~1w/v%である請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項5】
さらに、(E)ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上を含有する、請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項6】
(C)成分の含有量が、0.001~0.03w/v%である請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項7】
さらに、(F)ホウ酸、ホウ砂、トロメタモール及びエデト酸ナトリウム水和物から選ばれる2種以上を配合する、請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンAを含有する眼科用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂溶性ビタミンであるビタミンAは、上皮細胞の増殖・分化に必須な物質として知られており、ムチン産生を促進する作用、角膜創傷を治癒する作用が知られている。しかしながら、ビタミンAは、空気、光、熱、酸、金属イオン等に非常に敏感であり、特に、眼科用組成物等に安定に配合することが課題となっていた。ビタミンAの安定化のために、界面活性剤等を選択する方法等が知られているが、それらの施策では十分に課題解決できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/183778号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビタミンAと、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとを組み合わせると、ビタミンAによるムチン産生促進作用や角膜修復力を高めることができる。本発明者らは、かすみやかゆみ、充血など眼の様々な症状に対処する目的で、抗炎症作用と高い抗菌力を有するベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上を含有した場合、保存効力を高めることができるものの、ビタミンAの保存安定性が低下するという課題が生じることを知見した。従って、本発明は、(A)ビタミンA、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上を含有する眼科用組成物における、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)ビタミンA、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上を含有する眼科用組成物が、(D)イプシロンアミノカプロン酸及びアスパラギン酸カリウムからから選ばれる1種以上を含有することで、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
従って、本発明は、下記眼科用組成物を提供する。
1.(A)ビタミンA、
(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上、及び
(D)イプシロンアミノカプロン酸及びアスパラギン酸カリウムから選ばれる1種以上
を含有する眼科用組成物。
2.(A)成分の含有量が40,000~10,0000単位/100mLである、1記載の眼科用組成物。
3.(C)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(C))が、30~1,000である、1又は2記載の眼科用組成物。
4.(B)成分の含有量が、0.1~1w/v%である1~3のいずれかに記載の眼科用組成物。
5.さらに、(E)ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上を含有する、1~4のいずれかに記載の眼科用組成物。
6.(C)成分の含有量が、0.001~0.03w/v%である1~5のいずれかに記載の眼科用組成物。
7.さらに、(F)ホウ酸、ホウ砂、トロメタモール及びエデト酸ナトリウム水和物から選ばれる2種以上を配合する、1~6のいずれかに記載の眼科用組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、(A)ビタミンA、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上を含有する眼科用組成物における、ビタミンAの保存安定性と、保存効力を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、ビタミンAであり、ビタミンAそれ自体の他に、ビタミンA油等のビタミンA含有混合物、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA誘導体等が挙げられる。具体的には、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、ビタミンAの安定性の点からレチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノイン酸が好ましい。レチノールパルミチン酸エステルは、通常100万~180万国際単位(以下、I.U.と略記する)のものが市販されており、具体的には、DSM(株)製レチノールパルミチン酸エステル(174万I.U.)等が挙げられる。
【0009】
(A)成分の含有量は、眼科用組成物中40,000~150,000単位/100mL(0.023~0.086w/v%、以下同様)が好ましく、40,000~100,000単位/100mL(0.023~0.057w/v%)がより好ましく、50,000~80,000単位/100mL(0.029~0.046w/v%)がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、(A)成分によるムチン産生促進作用や角膜修復作用をより高めることができ、上記上限値以下とすることで(A)成分の保存安定性をより高めることができる。
【0010】
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、医薬品添加物規格(2018)に記載されたものを好適に用いることができる。エチレンオキシドの平均重合度は3~200が好ましく、20~200がより好ましく、プロピレンオキシドの平均重合度は5~100が好ましく、17~70がより好ましい。ブロック共重合体でもランダム重合体でもよいが、ブロック共重合体が好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコールが挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ビタミンAの安定性及びビタミンAによる角膜修復力がより得られ易くなることから、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコールが好ましい。市販品としては、例えば、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコールは、商品名:Kolliphor P407[BASFジャパン(株)]、商品名:プロノン#407P[日油(株)];ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコールは、商品名:Kolliphor P237[BASFジャパン(株)]の他、医薬品添加物事典2021(日本医薬品添加物協会編、薬事日報社発行)に記載されている市販品が挙げられる。
【0011】
(B)成分の含有量は、眼科用組成物中0.1~1w/v%が好ましく、0.2~1w/v%がより好ましく、0.2~0.8w/v%がさらに好ましく、0.4~0.8w/v%が特に好ましい。上記下限値以上とすることで、ビタミンAによるムチン産生促進作用や角膜修復効果をより高めることができ、上記上限値以下とすることで、ビタミンAの保存安定性をより高めることができる。
【0012】
[(C)成分]
本発明の(C)成分は、ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上であり、高い抗炎症作用を有すると共に、(A)ビタミンA、及び(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有する眼科用組成物の保存効力を高めることができる。(C)成分は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(C)成分としては、例えば、ベルベリン硫化物やベルベリン塩化物等の硫酸塩、塩酸塩等が挙げられる。また、水和物等であってもよい。中でも、保存効力が得られやすくなることから、ベルベリン塩化物水和物が好ましい。
【0013】
(C)成分の含有量は、眼科用組成物中0.001~0.03w/v%が好ましく、0.005~0.03w/v%がより好ましく、0.01~0.03w/v%がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで薬効の発現(抗炎症効果)が好適となり、保存効力をより高めることができ、上記上限値以下とすることで、ビタミンAの保存安定性をより高めることができる。
【0014】
[(D)成分]
本発明の(D)成分は、イプシロンアミノカプロン酸及びアスパラギン酸カリウムからから選ばれる1種以上である。イプシロンアミノカプロン酸は、消炎・収斂効果を有し、アスパラギン酸カリウムは、涙本来の働きを補う(酸素補給)効果を有すると共に、両成分ともビタミンAの保存安定性を高めることができる。中でも、イプシロンアミノカプロン酸が好ましい。アスパラギン酸カリウムは、D体、L体のいずれもよいが、L体が好ましい。また、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム(等量混合物)であってもよい。(D)成分は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(D)成分の含有により、ビタミンAの保存安定性が高められ、(C)成分との併用により、ビタミンAの保存安定性と、保存効力とを両立できる。
【0015】
(D)成分の含有量は、眼科用組成物中0.3~10w/v%が好ましく、0.5~5w/v%がより好ましく、1~3w/v%がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、ビタミンAの保存安定性をより高めることができ、上記上限値以下とすることで、保存効力がより高められる。
【0016】
(D)/(C)で表される質量比(w/v%と同じ値の比、以下同様)は、30~1,000が好ましく、30~300がより好ましく、50~220がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、ビタミンAの保存安定性をより高めることができ、上記上限値以下とすることで、保存効力をより高めることができる。
【0017】
[その他の成分]
本発明の眼科用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、眼科用組成物に配合されるその他の成分を適量配合し含有することができる。その他の成分としては下記のものが例示され、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0018】
[(E)成分]
本発明の眼科用組成物は、(A)成分の保存安定性及び保存効力の点から、さらに(E)ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。ビタミンEとしては、トコフェロール、トコトリエノール、これらの塩、誘導体(エステル)を総称する意味で使用される。中でも、(A)成分の安定性の点からトコフェロール酢酸エステルが好ましい。トコフェロール酢酸エステルは、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロールのいずれであってもよい。
【0019】
(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、眼科用組成物中0.001~0.8w/v%が好ましく、0.001~0.4w/v%がより好ましく、0.001~0.25w/v%がさらに好ましく、0.001~0.21w/v%が特に好ましく、0.001~0.2w/v%が最も好ましい。上記下限値以上とすることで、ビタミンAの保存安定性をより高めることができ、上記上限値以下とすることで、眼科用組成物の透明性(透過率)がより高められる。
【0020】
[(F)成分]
本発明の眼科用組成物は、保存効力の点から、さらに(F)ホウ酸、ホウ砂、トロメタモール、エデト酸ナトリウム水和物から選ばれる2種以上を配合することが好ましい。2種以上の(F)成分の組合せとしては、例えば、ホウ酸とトロメタモール、ホウ酸とトロメタモールとエデト酸ナトリウム水和物等が挙げられ、保存効力の点から、ホウ酸とトロメタモールとエデト酸ナトリウム水和物の組合せが好ましい。
【0021】
(F)成分を配合する場合の量は、眼科用組成物中0.01~5w/v%が好ましく、0.1~4w/v%がより好ましく、1~3w/v%がさらに好ましく、1.8~3w/v%が特に好ましい。上記下限値以上とすることで、保存効力をより高めることができ、上記上限値以下とすることで、点眼時の刺激感が生じにくくなり、眼科用組成物の使用感がより高められる。
【0022】
なお、本発明の眼科用組成物は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、チメロサール、フェニルエチルアルコール、アルキルアミノエチルグリシン、クロルヘキシジングルコン酸、パラオシキ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等の防腐剤を配合しなくても、十分な保存効力が得られるものであり、上記成分は実質的に含有しないことが好ましい。上記成分を実質的に含有しないことで、ダメージを受けた眼に対してもより安全で、かつビタミンAの保存安定性に優れた眼科用組成物が得られる。実質的に含有しないとは、0.001w/v%以下が好ましく、0.0001w/v%以下がより好ましく、検出限界以下がさらに好ましく、配合しなくてもよい。
【0023】
[(B)成分以外のノニオン性界面活性剤]
(B)成分以外のノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)等が挙げられる。
【0024】
ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油)は、ヒマシ油に酸化エチレン(EO)を付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレンヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、3~60モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレンヒマシ油3(EO平均付加モル数3)、ポリオキシエチレンヒマシ油10(EO平均付加モル数10)、ポリオキシエチレンヒマシ油20(EO平均付加モル数20)、ポリオキシエチレンヒマシ油35(EO平均付加モル数35)、ポリオキシエチレンヒマシ油40(EO平均付加モル数40)、ポリオキシエチレンヒマシ油50(EO平均付加モル数50)、ポリオキシエチレンヒマシ油60(EO平均付加モル数60)等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油35が好ましい。
【0025】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)は、水添したヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、5~100モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5(EO平均付加モル数5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10(EO平均付加モル数10)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20(EO平均付加モル数20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30(EO平均付加モル数30)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(EO平均付加モル数40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(EO平均付加モル数50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(EO平均付加モル数60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80(EO平均付加モル数80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100(EO平均付加モル数100)等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が好ましい。
【0026】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)が挙げられる。中でも、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)が好ましい。
【0027】
(B)成分以外のノニオン性界面活性剤の含有量は、眼科用組成物中0.01w/v%以下が好ましく、0.005w/v%以下がより好ましく、検出限界以下がさらに好ましい。上記上限値以下とすることで、ビタミンA保存安定性をより高めることができる。
【0028】
(A)成分、(C)成分及び(D)成分以外の薬物(薬学的有効成分)としては、例えば、充血除去成分(例えば、エピネフリン、塩酸エピネフリン、エフェドリン塩酸塩、ナファゾリン塩酸塩、ナファゾリン硝酸塩、フェニレフリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリン等)、消炎・収斂剤(例えば、アラントイン、アズレンスルホン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、リゾチーム塩酸塩等)、抗ヒスタミン剤等(クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩)、水溶性ビタミン類(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等)、アミノ酸類(例えば、L-アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等)、ヒアルロン酸ナトリウム、サルファ剤(スルファメトキサゾールやスルフイソキサゾール及びこれらの塩)等が挙げられる。これら上記の薬物を含有する場合、その含有量は、各薬物の有効な適性量を選択することができるが、眼科用組成物中0.001~5w/v%が好ましく、0.001~1w/v%がより好ましく、0.001~0.1w/v%がさらに好ましい。
【0029】
糖類としては、例えば、グルコース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。なお、これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。糖類を配合する場合の量は、眼科用組成物中0.001~5w/v%が好ましく、0.001~1w/v%がより好ましく、0.001~0.1w/v%がさらに好ましい。
【0030】
(F)成分以外の緩衝剤としては、例えば、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム等)、リン酸又はその塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等)、酒石酸又はその塩(酒石酸ナトリウム等)、グルコン酸又はその塩(グルコン酸ナトリウム等)、酢酸又はその塩(酢酸ナトリウム等)、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム等)、各種アミノ酸類(アミノエチルスルホン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム)等が挙げられる。緩衝剤を配合する場合の量は、眼科用組成物中0.001~5w/v%が好ましく、0.001~2w/v%がより好ましく、0.001~1w/v%がさらに好ましい。
【0031】
pH調整剤としては、例えば、無機酸又は無機アルカリ剤が挙げられる。具体的には、無機酸としては(希)塩酸が挙げられる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。後述するpHとなるよう、適量を配合する。
【0032】
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。涙液油層不安定化が引き起こす諸症状をより改善する点から、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを配合し、等張化されていることが好ましい。組成物の対生理食塩水浸透圧比は、0.60~2.00が好ましく、0.60~1.55がより好ましく、0.83~1.20が最も好ましい。なお、浸透圧の測定は、25℃で自動浸透圧計(A2O、アドバンスドインストルメンツ社)を用いて行う。
【0033】
(F)成分を除く安定化剤としては、例えば、シクロデキストリン、亜硫酸塩(亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等)等が挙げられる。これら安定化剤を含有することで、ビタミンAの安定性がより一層向上することができる。安定化剤を配合する場合の量は、眼科用組成物中0.001~5w/v%が好ましく、0.001~1w/v%がより好ましく、0.001~0.1w/v%がさらに好ましい。
【0034】
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、リナロール等が挙げられる。d体、l体又はdl体のいずれでもよい。清涼化剤を含有する場合、清涼化剤の含有量は、眼科用組成物中0.0001~0.2w/v%が好ましい。
【0035】
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。多価アルコールを配合する場合量は、眼科用組成物中0.001~5w/v%が好ましく、0.001~1w/v%がより好ましく、0.001~0.1w/v%がさらに好ましい。
【0036】
粘稠剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。粘稠剤を配合する場合の量は、眼科用組成物中0.001~5w/v%が好ましく、0.001~1w/v%がより好ましく、0.001~0.1w/v%がさらに好ましい。
【0037】
油成分としては、流動パラフィン、ヒマシ油、大豆油、オリーブ油、ゴマ油、コーン油、ヤシ油、アーモンド油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、白色ワセリン、流動パラフィン、ワックスエステル、ステロールエステル等が挙げられる。油成分を配合する場合の量は、眼科用組成物中0.001~1w/v%が好ましい。
【0038】
水としては、精製水、滅菌水等を用いることができ、水の含有量は、組成物の残部とすることができる。具体的には、眼科用組成物中90~99.9w/v%が好ましく、93~98w/v%がより好ましい。
【0039】
[製造方法]
本発明の眼科用組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(A)成分及び(E)成分等の油性成分と(B)成分等の界面活性剤成分との混合溶液を、(F)成分を含む水溶液と混合して乳化後、(C)成分及び(D)成分等の水性成分を加え、pHを調整後、総体積を水により調整することにより得ることができる。各成分の混合方法は、一般的な方法でよく、パルセーター、プロペラ羽根、パドル羽根、タービン羽根等を用いて適宜行われるが、回転数は特に限定されず、激しく泡立たない程度に設定することが好ましい。各成分の混合温度は特に限定しないが、油性成分と界面活性剤成分が共に融解温度以上であることが好ましく、具体的には40~95℃の範囲から適宜選定される。
【0040】
[透過率]
本発明の眼科用組成物の透過率は85~100%が好ましく、90~100%がより好ましい。本発明の透過率は、分光光度計(例えば、UV-1800、(株)島津製作所)を用いて測定した波長600nmの透過率をいう。
【0041】
[pH]
本発明の眼科用組成物のpHは、8.0以下が好ましく、6.9以下がより好ましく、6.8以下がさらに好ましい。また、3.5以上が好ましく、5.0以上がより好ましく、6.5以上がさらに好ましい。上記下限値以上及び上限値以下とすることで、ビタミンAの保存安定性をより高めることができる。また、上記上限値以下とすることで、透明性(透過率)をより高めることができる。上記の理由から、眼科用組成物のpHは、3.5~8.0が好ましく、5.0~6.9がより好ましく、6.5~6.8がさらに好ましい。なお、pHの測定方法としては、25℃でpHメータ、例えば、HM-25R、東亜ディーケーケー(株)を用いて行うことができる。
【0042】
本発明の組成物は目への適応を容易にする点から液体が好ましく、25℃における粘度は、20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましく、5mPa・s以下がさらに好ましい。なお、粘度の測定方法はコーンプレート型粘度計(DV2T、英弘精機(株))を用いて行う。
【0043】
本発明の眼科用組成物は、そのまま液剤としてもよく、ゲル剤等に調製してもよい。使用形態としては、具体的には点眼剤(例えば、一般用点眼剤、コンタクトレンズ用点眼剤等)、コンタクトレンズ装着液、コンタクト取り出し液等が挙げられる。中でも、点眼剤として好適である。上記のコンタクトレンズとしては、ハードコンタクトレンズ、O2ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(非イオン性、イオン性)、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ等特に限定されない。
【0044】
本発明の眼科用組成物は、点眼剤又はコンタクトレンズ用点眼剤として使用する場合、1回につき10~100μLを1~3滴、1日につき1~6回点眼することが好ましく、1回につき10~50μLを1~3滴、1日につき1~6回がより好ましい。1回につき10~30μLを1~3滴1日につき1~6回がさらに好ましい。
【0045】
本発明の眼科組成物は、目の疲れ、目のかすみ(目やにの多いときなど)、結膜充血、目のかゆみ、眼瞼炎(まぶたのただれ)、眼病予防(水泳のあと、ほこりや汗が目に入ったときなど)、紫外線その他の光線による眼炎(雪目など)、ハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感等の効果効能を有する一般用点眼薬や、ソフトコンタクトレンズ又はハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感、涙液の補助(目のかわき)、目の疲れ、目のかすみ(目やにの多いときなど)等の効果効能を有する人口涙液に使用することができる。特に、(A)成分を含有するため、角膜の傷、軽度なこすれによる角膜ダメージが修復され、これらが共通原因の一つである目の疲れ(眼疲労)、かすみ、かゆみ、充血等に効果を発揮する。
【0046】
[眼科用製品]
本発明は、眼科用組成物と、この眼科用組成物が充填された容器と、この容器を包装する包囲体とを有する眼科用製品であって、眼科用組成物中の酸素濃度が低減された状態で保存される手段を用いて、(A)ビタミンAの安定化をより向上できる。手段としては、(1)包囲体内への不活性ガス注入、(2)包囲体内への酸素吸収剤の同梱、(3)酸素吸収能を有する容器、又は(4)酸素吸収能を有する包囲体等が挙げられる。なお、包囲体は容器を密封できるものが好ましい。
【0047】
容器としては、プラスチック製容器が好ましく、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル等の材質又はこれら材質の複合体からなるもの等を用いることができる。特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。容器の酸素透過係数は、10cc/(m2・24hr・atm)以上が好ましい。製品中の眼科用組成物の量は、製品及びその使用方法に応じて適宜選択することができ、例えば点眼剤の場合、2~20mLが好ましく、5~20mLがより好ましい。また、容器の容量は、充填する眼科用組成物の量に応じて適切に選定することが好ましく、充填する眼科用組成物の量に対して100~150%が好ましい。例えば点眼剤の場合、2~30mLが好ましい。点眼剤は特に限定されず、マルチドーズ点眼剤でもディスポーザブル点眼剤でもよい。
【0048】
中栓、キャップは、公知の眼科用製品の容器に使用される材質のキャップを使用することができる。中栓の材質としては、メルトフローレート2.0以下、好ましくは1.2~1.8のポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。キャップの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
【0049】
包囲体としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、セロファン、ポリ塩化ビニルフィルム、アルミ箔、アルミニウムを蒸着したポリビニルアルコール系・ポリアミド系フィルム、アルミナを蒸着したポリエチレンテレフタレート、酸化ケイ素を蒸着したポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデンをコートしたフィルム又はラミネートフィルム等、これらの複合、多層フィルム等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン多層フィルム、アルミナを蒸着したポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン多層フィルムが好ましい。包囲体の酸素透過係数は、10cc/(m2・24hr・atm)以下(即ち、0~10cc/(m2・24hr・atm))の酸素非透過性包囲体が好ましい。
【0050】
(1)包囲体内への不活性ガス注入
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられる。中でも窒素ガスが好ましい。不活性ガスの濃度は、包囲体とプラスチック製容器との間に形成された空間容積中、好ましくは50容積%以上、より好ましくは80容積%以上、さらに好ましくは90容積%以上である。上限は特に限定されず、100容積%以下である。このような濃度にするためには、包囲体とプラスチック製容器との間に形成された空間を、不活性ガスで置換すればよい。
【0051】
(2)包囲体内への酸素吸収剤の同梱
具体的には、三菱ガス化学(株)製のエージレス(登録商標)(FX、SP、SS、SPE、ZP、Z-PT、Z-PT15、Z-PKC、GLS、GL-M、Z-20PKヤ)、ファーマキープ、(株)常盤産業製のバイタロン、(株)博洋製のサンソレス、パウダーテック(株)製のワンダーキープ、アイリス・ファインプロダクツ(株)製のサンソカット等を用いることができる。これらの酸素吸収剤を包囲体に同梱することで、包囲体内並びに容器内の酸素濃度を0.1%以下にすることができる。
【0052】
(3)酸素吸収能を有する容器
具体的には、東洋製罐(株)製のオキシブロック、三菱ガス化学(株)製のオキシヴァニッシュ等を用いることができる。
【0053】
(4)酸素吸収能を有する包囲体
具体的には、共同印刷(株)製のオキシキャッチ(登録商標)ICA、シールドエアー社製のCryovac(登録商標) OSフィルム、スタープラスチック工業(株)製のハイスターO2、三菱ガス化学(株)製のエージレスオーマック、東洋製罐(株)製のオキシデック等を用いることができる。
【0054】
上記手段は適宜組み合わせることができ、(1)、(2)、(4)が好ましく、(1)+(2)、(1)+(4)、(2)+(4)がより好ましい。
【0055】
[方法]
本発明は、
(A)ビタミンA、
(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、及び
(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上
を含有する眼科用組成物に、
(D)イプシロンアミノカプロン酸及びアスパラギン酸カリウムからから選ばれる1種以上を配合する、(A)成分の保存安定化方法及び保存効力向上方法を提供する。
上記方法において、好適な成分及び配合量等は上記と同じである。
【実施例0056】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。組成の「%」はw/v%(g/100mL)、比率は質量比(w/v%と同じ値の比)を示す。
【0057】
[実施例、比較例、参考例]
(A)成分及び(E)成分の油性成分と、(B)成分の界面活性剤成分との混合溶液を85℃に加熱し、同様の温度に加熱した(F)成分を含む水溶液と混合して乳化後、40℃以下に冷却し、(C)成分及び(D)成分等の水性成分を加え、希塩酸又は水酸化ナトリウムを適宜使用してpHを6.5~6.8に調整後、総体積を水により調整して眼科組成物(点眼剤)を調製した。得られた眼科用組成物をフィルター滅菌したのち、点眼容器(材質:キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリエチレンテレフタレート)に充填し、脱酸素剤と共にピロー包装した。
得られた眼科用組成物(点眼剤)について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。なお、ビタミンA 50,000単位/100mLは0.029g/100mLである。
【0058】
[保存効力試験]
第十八改正日本薬局方保存効力試験に従い、保存効力試験を行い、1週間及び2週間後の黄色ブドウ球菌の生菌率を測定した。結果を下記評価基準で示す。
<評価基準>
1週間生菌率:10%未満、2週間生菌率:0.1%未満
◎:1週間、2週間ともに基準に適合する
〇:1週間、2週間いずれかが基準に適合する
×:1週間、2週間とも基準に適合しない
【0059】
[ビタミンA(VA)の保存安定性]
眼科用組成物(点眼剤)について、製造直後と、50℃・1カ月保存後について、液体高速クロマトグラフィーを用いて、ビタミンA量を測定した。結果を、製造直後値に対するビタミンAの量の割合(%)で示す。
・HPLC測定条件
移動相:メタノール/2-プロパノール/水/テトラヒドロフラン混液(35:6:5:4)
測定波長:280nm
カラム温度:約40℃
カラム:ODSカラム(φ4.6mm×3cm,3μm)
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
上記参考例1と比較例1との結果から明らかであるように、(A)ビタミンA及び(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有する眼科用組成物に、(C)ベルベリン及びその塩から選ばれる1種以上を配合すると、眼科用組成物の保存効力が高められるが、(A)ビタミンAの保存安定性が悪くなった。(A)~(C)成分を含有する比較例1に、(D)イプシロンアミノカプロン酸及びアスパラギン酸カリウムからから選ばれる1種以上を配合することにより、眼科用組成物の保存効力と(A)成分の保存安定性とを両立することができた。
【0067】
上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。なお、以下の「日局」、「局外規」、「薬添規」との記載は、それぞれ第十八改正日本薬局方規格、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格(2018)に適合した原料であることを意味する。
レチノールパルミチン酸エステル(商品名:レチノールパルミチン酸エステル174万I.U.、BHA/BHT添加、DSM(株)、日局)
ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(商品名:Kolliphor P407、BASFジャパン(株)、薬添規)
ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール(商品名:Kolliphor P237、BASFジャパン(株)、薬添規)
ベルベリン塩化物水和物(商品名:日本薬局方 ベルベリン塩化物水和物、アルプス薬品工業(株)、日局)
イプシロンアミノカプロン酸(商品名:ε-アミノ-n-カプロン酸 EKD、積水メディカル(株)局外規)
L-アスパラギン酸カリウム(商品名:L-アスパラギン酸カリウム、アルプス薬品工業(株)、局外規)
酢酸d-α-トコフェロール(商品名:理研Eアセテートα、理研ビタミン(株)、局外規)
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)(商品名:ジブチルヒドロキシトルエン、富士フィルム和光純薬(株)、薬添規)
トロメタモール(商品名:2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、関東化学(株)、局外規)
ホウ酸(商品名:ホウ酸、関東化学(株)、日局)
エデト酸ナトリウム水和物(EDTA)(商品名:エデト酸ナトリウム水和物「製造専用」、富士フィルム和光純薬(株)、日局)
希塩酸(商品名:希塩酸、小堺製薬(株)、日局)
水酸化ナトリウム(商品名:水酸化ナトリウム、小堺製薬(株)、日局)
脱酸素剤(商品名:エージレスZ-20PKヤ、三菱ガス化学(株))