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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006506
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/23 20240101AFI20240110BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107422
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 駿
【テーマコード(参考)】
3D344
5H181
【Fターム(参考)】
3D344AA20
3D344AA21
3D344AB01
3D344AB03
3D344AB07
3D344AC25
3D344AD02
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA07
5H181AA25
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】情報を適切に伝達できる表示装置を提供する。
【解決手段】本実施形態における表示装置は、車両外部に位置する警告対象物50を視認者に通知するための警告表示51と、警告表示51に視認者を誘目するための誘目表示52と、を表示領域8内に表示する表示器と、警告対象物50を検出した場合、警告表示51を警告対象物50に対応する表示領域8内の警告位置に表示し、誘目表示52を警告位置以外の位置から警告位置に向って進行させて表示するよう、表示器を制御する表示制御部と、を備える。
【選択図】 図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部に位置する警告対象物を視認者に通知するための警告表示と、前記警告表示に前記視認者を誘目するための誘目表示と、を表示領域内に表示する表示器と、
前記警告対象物を検出した場合、前記警告表示を前記警告対象物に対応する前記表示領域内の警告位置に表示し、前記誘目表示を前記警告位置以外の位置から前記警告位置に向って進行させて表示するよう、前記表示器を制御する表示制御部と、を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示領域は、所定方向に沿うライン状に形成され、
前記表示制御部は、前記誘目表示を前記所定方向に沿って進行するように表示する、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示領域は、前記所定方向に沿って平行に形成される第一表示領域及び第二表示領域を有し、
前記表示制御部は、前記警告表示を前記第一表示領域に表示し、前記誘目表示を前記第二表示領域に表示する、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示領域は、前記車両のウインドシールドの下辺に沿って形成される、請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記車両と前記警告対象物との距離が大きいほど前記警告表示の所定方向幅を小さくし、前記車両と前記警告対象物との距離が小さいほど前記警告表示の前記所定方向幅を大きくする、請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記警告対象物の進行方向に応じて前記警告表示の表示態様を異ならせる、請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記警告対象物の速度に応じて前記警告表示の表示態様を異ならせる、請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記視認者が前記警告対象物を認識したことを検出した場合、前記警告表示及び前記誘目表示の少なくとも一方の視認性を低下する、請求項1記載の表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前方に運転者等の視認者に通知すべき対象物が検出された場合に、ヘッドアップディスプレイ(HUD、Head Up Display)等の表示装置を用いて前方注視を促す技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-155496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日、表示装置の表示態様が多様化しており、車両内の種々の領域が表示領域として利用されている。例えば、表示装置は、ウインドシールドの左右方向に延びる下辺に沿って形成される遮光部(いわゆる黒セラ部分)のような、狭い領域も表示領域として使用され得る。
【0005】
ここで、表示装置が複数の箇所に種々の情報が表示される場合や、表示領域が1つであってもその表示領域が相対的に狭い場合等、視認者がその情報に気づかない虞があり、適切に情報が伝達されない虞がある。
【0006】
本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、情報を適切に伝達できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示装置は、上述した課題を解決するために、車両外部に位置する警告対象物を視認者に通知するための警告表示と、前記警告表示に前記視認者を誘目するための誘目表示と、を表示領域内に表示する表示器と、前記警告対象物を検出した場合、前記警告表示を前記警告対象物に対応する前記表示領域内の警告位置に表示し、前記誘目表示を前記警告位置以外の位置から前記警告位置に向って進行させて表示するよう、前記表示器を制御する表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示装置においては、情報を適切に伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における表示装置のシステム構成例を示す説明図。
図2】表示装置の車両への搭載例を示す説明図。
図3】本実施形態における表示装置により実行される警告表示処理を説明するフローチャート。
図4】警告対象物を検出した場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図5】警告対象物を検出した場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図6】警告対象物を検出した場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図7】警告対象物を検出した場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図8】歩行者との距離が変化する場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図9】歩行者との距離が変化する場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図10】歩行者との距離が変化する場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図11】自転車との距離が変化する場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図12】自転車との距離が変化する場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図13】自転車との距離が変化する場合の警告表示及び誘目表示の時間遷移を示す図。
図14】警告対象物の進行方向が変化する場合の警告表示の時間遷移を示す図。
図15】警告対象物の進行方向が変化する場合の警告表示の時間遷移を示す図。
図16】警告対象物の進行方向が変化する場合の警告表示の時間遷移を示す図。
図17】警告表示をグラデーションで表示する場合の警告表示の時間遷移を示す図。
図18】警告表示をグラデーションで表示する場合の警告表示の時間遷移を示す図。
図19】本開示の表示装置の他の実施形態である表示装置を示す図。
図20】表示装置が形成する表示領域を示す図。
図21】警告表示及び誘目表示の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の表示装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の表示装置は、例えば自動車や、二輪車、船舶、農業機械、建設機械等(車両)の運転者等の視認者に情報を伝達するための表示装置に適用することができる。本実施形態においては、表示装置が車両の一例である自動車に搭載され、自動車から取得した各種情報等に基づいて所要の情報を表示する表示装置である例を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における表示装置10のシステム構成例を示す説明図である。
図2は、表示装置10の車両1への搭載例を示す説明図である。
【0012】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」は、図1及び図2における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。
【0013】
表示装置10は、搭載先としての車両1のインストルメントパネル5内に収容される。インストルメントパネル5は、図2に示すように、左右方向に亘って形成される開口6を有する。表示装置10は、この開口6内に配置される。開口6は、ドライバー2から内部が視認されることや内部への塵埃の侵入を防ぐために保護カバー7で覆われる。保護カバー7は、例えば透過性を有し、図示しない基材の前面又は背面にライン状(帯状)の意匠が黒印刷された拡散板である。表示装置10は、ウインドシールド3に形成される遮光部4内の範囲を表示領域8として所要の表示を行う。遮光部4は、上下方向に延びる、ウインドシールド3の左右端部に位置するピラー(窓柱)間であって、ウインドシールド3の下辺に沿ってライン状(帯状)に配置される。表示領域8は、この遮光部4の範囲に合わせて、遮光部4の左右端部を結ぶラインに沿って形成される。表示領域8は、左右方向に細長く、上下に狭いライン状(帯状)を有する。
【0014】
表示装置10は、LEDユニット11(表示器)と、表示制御部30と、を有する。
【0015】
LEDユニット11は、光源としての複数のLED(Light Emitting Diode)と、ドライバーと、を有する。LEDは、RGB(赤、緑、青)の3色からなり、発光して表示光Lを出射する。LEDは、左右方向に複数配置されており、点灯の組み合わせにより任意の形状(意匠)を形成できる。ドライバーは、表示制御部30の指示に基づいて、各LEDの点灯の有無及び輝度を制御する。尚、ドライバーは表示制御部30が兼ねていてもよい。
【0016】
LEDユニット11は、図2に示す表示領域8内に複数のLEDの点灯の有無の組み合わせや色彩により種々の情報を表示し伝達する。本実施形態における、LEDユニット11は、このライン状の表示領域8において、文字や記号ではなく左右方向における点灯の幅や、色彩を組み合わせることにより、直感的に認識できるような表示によりドライバー2に情報の内容を伝達する。
【0017】
筐体12は、LEDユニット11を収容する。筐体12は、LEDから出射される表示光Lを筐体12外に出射する開口を有する。開口は、上述したインストルメントパネル5の開口6と共に保護カバー7により覆われる。保護カバー7を介して出射した表示光Lは、車両1上のウインドシールド3の遮光部4(投影部材)を照射する。遮光部4は、黒セラミックス等からなる黒色等の遮光色からなる部分である。遮光部4は、ウインドシールド3を車両1に固定する接着剤の太陽光による劣化の防止や、接着剤の隠蔽、意匠性の向上等を目的に形成される。車両1のドライバー2(視認者)は、表示光Lの反射光を虚像Vとして視認する。すなわち、ドライバー2は、遮光部4の前方(車両1又はウインドシールド3の前方)で虚像Vとして表示光Lを視認する。
【0018】
表示制御部30は、CPU、ROM、RAM等を有しており、ROMに書き込まれたプログラムに従って所定の演算処理を実行する。具体的には、表示制御部30は、後述する車両1の車両ECU43から取得する情報等に基づいてLEDユニット11を制御し、所要の表示を行う。表示制御部30による制御の詳細は、後述する。
【0019】
車両1は、表示装置10の他に、視線センサ41と、車外センサ42と、車両ECU(Electronic Control Unit)43と、を有する。表示制御部30と、視線センサ41と、車外センサ42と、車両ECU43とは、例えばCAN(Controller Area Network)バス45を介して接続されている。
【0020】
視線センサ41は、ドライバー2を撮影するカメラ及び画像処理装置等から構成され、ドライバー2の視線(視点位置、注視方向)を検出する。尚、視線センサ41は、例えば表示装置10の筐体12内に配置される等、車両1側ではなく表示装置10側に配置されていてもよい。
【0021】
車外センサ42は、車両1の上下前後左右(車両1の周囲)である外部環境に存在する人や構造物、他の車両等の対象物の内容やそれらの位置を検出する。車外センサ42は、例えば車両1の周囲の風景を撮像するステレオカメラ、車両1から対象物までの距離を測定するLIDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)等の測距センサ、車両1の周囲に位置する対象物を検出するソナー、超音波センサ、ミリ波レーダ等である。
【0022】
車両ECU43は、車両1に設けられた各種センサから車速やエンジン回転数等の車両1の走行に必要な車両情報を取得し、車両1の動作を制御する。
【0023】
次に、表示装置10による警告表示処理について説明する。本実施形態における表示装置10は、上述したとおり遮光部4内を表示領域8として左右方向に長く、左右方向の長さに比べて上下方向に相当小さいライン状の表示領域8において通知を行う。具体的には、表示装置10は、車外センサ42が車両1外部に位置する警告対象物を検出した場合に、警告対象物の存在をドライバー2に通知するための警告表示を行う。警告対象物は、例えば歩行者、自転車、道路上の落下物等、車両1の前方に位置する運転の安全上障害となるもの全てを含む。警告表示は、例えば警告対象物の左右方向における位置に対応する表示領域8の左右方向における位置(以下「警告位置」という。)に、赤等の警告色で、所定幅を持って表示される。警告位置は、例えば、ドライバー2の視点と、警告対象物とを結ぶ線上に位置する表示領域8上の位置である。
【0024】
ここで、警告表示は、警告対象物の位置に対応する警告位置に表示されるが、表示装置10がドライバー2に伝達可能な情報が、警告対象物の位置における所定色の発光(点灯)に限られる。すなわち、文字や記号等の有意な情報ではないため、ドライバー2が警告表に気づかない虞がある。そこで、本実施形態における表示装置10は、警告表示に合わせて誘目表示を行うことで、ドライバー2に適切に警告を通知する。以下、表示装置10により実行される警告表示処理について、具体的に説明する。
【0025】
図3は、本実施形態における表示装置10により実行される警告表示処理を説明するフローチャートである。この警告表示処理は、例えば車両1のドアが開けられたタイミングや、起動スイッチ(例えばイグニッションスイッチ)がオンされたタイミングに実行される。
【0026】
ステップS1において、表示制御部30は、警告対象物を検出したか否かを判定する。表示制御部30は、車外センサ42による検出結果を取得することにより判定する。表示制御部30は、警告対象物を検出していないと判定した場合(ステップS1のNO)、検出したと判定するまで待機する。
【0027】
一方、表示制御部30は、警告対象物を検出したと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、警告表示及び誘目表示を行う。誘目表示は、警告表示にドライバー2を誘目するため、例えば警告表示とは異なる色彩(例えば警告表示が赤色の場合は黄色)で表示される。ここで、図4から図7は、警告対象物50を検出した場合の警告表示51及び誘目表示52の時間遷移を示す図である。
【0028】
表示制御部30は、図4に示すような警告対象物50の検出前(ステップS1のNO)には表示が行われていない表示領域8に、図5から図7に示すような警告表示51を、警告対象物50に対応する表示領域8内の警告位置に表示する。警告位置は、警告対象物50の表示領域8内の左右方向位置に対して、表示領域8内の左右方向の相対的な位置である。また、表示制御部30は、誘目表示52を警告位置以外の位置から警告位置に向って進行するように表示する。
【0029】
具体的には、図5に示すように、表示制御部30は、警告表示51をドライバー2の前方視野における左右方向位置と略重畳する表示領域8内の位置を警告位置として、警告表示51を表示する。また、表示制御部30は、誘目表示52を、表示領域8が形成するラインに沿って進行するように表示する。表示制御部30は、例えば時間と共に左右方向の幅を大きくするようにより、誘目表示52を警告表示51に向って進行させる。
【0030】
具体的には、図5に示すように、誘目表示52の表示開始直後は、表示制御部30は、表示領域8の左端を誘目表示52の左端として第一幅を有する誘目表示52を表示する。所定時間が経過すると、表示制御部30は、図6に示すように、誘目表示52の右端を表示領域8の右端側に延ばすことにより誘目表示52が第一幅よりも大きい第二幅を有するように、誘目表示52を遷移する。更に所定時間が経過すると、表示制御部30は、図7に示すように、誘目表示52の右端を表示領域8の右端側に更に延ばすことにより誘目表示52が第二幅よりも大きい第三幅を有するように、誘目表示52を遷移する。
【0031】
尚、表示制御部30は、誘目表示52をラインに沿う幅を大きくすることにより進行させるのみならず、時間の経過と共に誘目表示52の幅を変更することなく維持し、徐々に警告表示方向に移動させてもよい。すなわち、「誘目表示52の進行」は、誘目表示52の幅が警告表示51側に延びる(誘目表示52の右端子が警告表示51に近づく)ことと、固定幅の誘目表示52自体が警告表示51に向かって移動することを含む。また、誘目表示52の進行方向は、警告表示51の位置に応じて決定される。すなわち、警告表示51が表示領域8の中心から右方に位置する場合には、誘目表示52は、左から右に向って進行する。警告表示51が表示領域8の中心から左方に位置する場合には、誘目表示52は、右から左に向って進行する。誘目表示52の進行の起点は、表示領域8の右端又は左端に限定されない。
【0032】
表示制御部30は、このように誘目表示52を警告表示51に向って進行させることにより、警告対象物50の表示領域8上の対応する位置に表示された警告表示51にドライバー2を誘目させることができ、その結果警告対象物50をドライバー2に認識させることができる。
【0033】
また、図8から図10は、歩行者との距離が変化する場合の警告表示51及び誘目表示52の時間遷移を示す図である。表示制御部30は、車両1と警告対象物50との距離に応じて、警告表示51の左右方向の幅(所定方向幅)を異ならせる。具体的には、表示制御部30は、距離が大きく(遠く)警告度合が低いほど警告表示51の幅を小さくし、距離が小さく(近く)警告度合が高いほど警告表示51の幅を大きくする。例えば、図8から図10に示すように、徐々に警告対象物50としての歩行者との距離が小さくなると、表示制御部30は、警告表示51の左右方向の幅を徐々に大きくする。これにより、ドライバー2は、警告表示51の幅という視覚情報から直感的に警告対象物50との距離を認識することができる。
【0034】
また、表示制御部30は、警告対象物50の種類によって、警告表示51の態様を異ならせてもよい。図11から図13は、自転車との距離が変化する場合の警告表示51及び誘目表示52の時間遷移を示す図である。表示制御部30は、警告対象物50が例えば歩行者である場合よりも、自転車である場合においては警告表示51の幅を大きくすることにより、態様を異ならせる。例えば、警告対象物50が歩行者である場合の図8から図10における警告表示51の幅は、警告対象物50が自転車である場合の図11から図13における警告表示51の幅よりも小さい。尚、表示制御部30は、警告表示51の幅のみならず、色彩や輝度等、他の手法を用いて警告対象物50の種類に応じて態様を異ならせてもよい。
【0035】
これにより、ドライバー2は、警告表示51の幅をはじめとする表示態様の差異により、直感的に警告対象物50の種類を認識できる。
【0036】
更に、表示制御部30は、警告対象物50の進行方向によって、警告表示51の態様を異ならせてもよい。図14から図16は、警告対象物50の進行方向が変化する場合の警告表示51の時間遷移を示す図である。
【0037】
表示制御部30は、図14に示すように、警告対象物50が車両1の前方を横断することを検出した場合、赤等の警告色で警告表示51を行う。一方、図15に示すように、警告対象物50が車両1の前方の横断を止めて進行方向を転換した場合には、警告度合は低下するため、赤色よりも警告度合の低い色(例えばオレンジ等)で警告表示51を行う。このとき、ドライバー2に誤認させないように、表示制御部30は、警告表示51と誘目表示52とは異なる色で表示するのが好ましい。また、表示制御部30は、警告対象物50と車両1との距離が小さくなった場合には、図16に示すように、図15における警告表示51の幅よりも大きい幅で警告表示51を表示してもよい。尚、表示制御部30は、警告表示51の色彩のみならず、輝度等、他の手法を用いて警告対象物50の進行方向に応じて態様を異ならせてもよい。
【0038】
これにより、ドライバー2は、警告表示51の色彩をはじめとする表示態様の差異により、直感的に警告対象物50の進行方向に伴う危険性の度合を認識できる。
【0039】
更に、表示制御部30は、警告対象物50の速度によって、警告表示51の態様を異ならせてもよい。図17及び図18は、警告表示51をグラデーションで表示する場合の警告表示51の時間遷移を示す図である。表示制御部30は、警告対象物50が速度の小さい例えば歩行者である場合よりも、速度の大きい例えば自転車である場合においてはグラデーションの変化の割合を大きくすることにより警告表示51の態様を異ならせる。例えば、表示制御部30は、警告対象物50の速度が小さい場合には、図17に示すように、進行方向端部が濃くなるような濃さ100%から50%の範囲でグラデーションを形成して警告表示51を行う。一方、警告対象物50の速度が大きい場合には、図18に示すように、進行方向端部が濃くなるように濃さ100%から0%の範囲でグラデーションを形成して警告表示51を行う。尚、速度は、警告対象物50の絶対速度、車両1との相対速度、警告対象物50の加速度等が含まれる。また、表示制御部30は、警告表示51のグラデーションの変化の割合のみならず、色彩や輝度等、他の手法を用いて警告対象物50の速度に応じて態様を異ならせてもよい。尚、グラデーションは、表示光Lの明るさの高低や色の濃淡で形成することができる。
【0040】
これにより、ドライバー2は、警告表示51のグラデーションの変化の割合の差異をはじめとする表示態様の差異により、直感的に警告対象物50の速度を認識することができる。
【0041】
ステップS3において、表示制御部30は、ドライバー2が警告対象物50を認識したか否かを判定する。表示制御部30は、例えば視線センサ41の検出結果を取得することにより、ドライバー2の視線が警告対象物50方向にあるか否かにより、ドライバー2が警告対象物50を認識したか否かを判定する。表示制御部30は、ブレーキが踏まれたか否かに関する情報を車両ECU43から取得することにより判定してもよい。表示制御部30は、ドライバー2が警告対象物50を認識していないと判定した場合(ステップS3のNO)、ステップS1に戻り以降の処理を繰り返す。
【0042】
一方、表示制御部30は、ドライバー2が警告対象物50を認識したと判定した場合(ステップS3のYES)、ステップS4において、警告表示51及び誘目表示52の輝度を低下する。尚、ステップS4においては、警告表示51及び誘目表示52の視認性が低下すればよいため、表示制御部30は、例えば色彩を彩度の低いものに変更したり、表示の幅を小さくしたりする等、他の手法を用いてもよい。また、警告表示51及び誘目表示52の少なくとも一方のみ視認性が低下すればよい。
【0043】
これにより、表示制御部30は、ドライバー2が警告対象物50を認識しているにもかかわらず警告表示51及び誘目表示52がなされていることに対する煩わしさを低減できる。また、表示制御部30は、警告度合が低下したことを直感的に認識させることができる。
【0044】
その後、処理はステップS1に戻り表示制御部30は以降の処理を繰り返す。
【0045】
このような表示装置10は、警告対象物50の位置を警告表示51によりドライバー2に通知すると共に、警告表示51に誘目させるように誘目表示52を行う。これにより、表示装置10は、ドライバー2に情報を適切に伝達できる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば、本実施形態の表示装置10の態様は一例であって、これに限らない。例えば、図19は、本開示の表示装置の他の実施形態である表示装置10aを示す図である。図20は、表示装置10aが形成する表示領域8aを示す図である。図21は、表示装置10aにより表示される警告表示51及び誘目表示52の表示例を示す図である。
【0048】
表示装置10aが表示装置10と異なる点は、表示領域8が第一表示領域8a及び第二表示領域8bからなる点である。第一表示領域8a及び第二表示領域8bは、ウインドシールド3の下辺の延びる方向(所定方向)に沿ってライン状(帯状)に、平行に形成される。
【0049】
このような表示領域8a、8bを形成するため、表示装置10aは、左右方向に配列されたLEDが略前後方向に2列配置されたLEDユニット11aを有する。筐体12aは、各LEDユニット11aを個別に収容するように二つの領域に区画される。また、筐体12aは、表示光L1、L2を独立して出射する二つの開口を有する。表示制御部30(図19においては図示せず)は、例えば、上方の第一表示領域8aに虚像V1として警告表示51を行い、下方の第二表示領域8bに虚像V2として誘目表示52を行う。
【0050】
このような表示装置10aは、警告表示51と誘目表示52を別個の表示領域8a、8bに表示することができ、表示態様の自由度を向上できる。
【0051】
また、本開示の表示装置は、遮光部4のみならず、遮光部4の上方のウインドシールド3を表示領域としてもよい。また、表示装置は、虚像Vを視認させるのみならず、車両1の所要の位置に配置されるディスプレイ等に投影される実像を視認させてもよい。この場合、表示装置は、例えば視認者に対面する液晶ディスプレイ等であってもよいし、インストルメントパネル内に形成され、視認者側に向けて出射されるLEDの光を直接視認可能な構成を有するものであってもよい。
【0052】
また、表示装置10、10aにおいては、表示領域8、8a、8bが直線である例を説明したが、直線に限らず曲線であってもジグザグであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
2 ドライバー(視認者)
3 ウインドシールド
4 遮光部
5 インストルメントパネル
6 開口
7 保護カバー
8 表示領域
8a 第一表示領域
8b 第二表示領域
10、10a 表示装置
11、11a LEDユニット(表示器)
12、12a 筐体
30 表示制御部
41 視線センサ
42 車外センサ
43 車両ECU
45 CANバス
50 警告対象物
51 警告表示
52 誘目表示
L、L1、L2 表示光
V、V1、V2 虚像
図1
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