(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065068
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】調節された流体放出を伴う灌注管
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183837
(22)【出願日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】17/974,902
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・エム・オカルスキ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK38
4C160KK57
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】カテーテルアセンブリを提供すること。
【解決手段】装置は、本体、カテーテル、及びエンドエフェクタを含む。カテーテルは、本体から遠位に延在しており、管腔を含む。エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む。エンドエフェクタは、少なくとも1つのポートであって、カテーテルの管腔と流体連通しており、そのため、管腔が、流体を流体源から少なくとも1つのポートに伝達するように動作可能である、少なくとも1つのポートを更に含む。エンドエフェクタは、少なくとも1つのポートの上に位置決めされた少なくとも1つの可撓性スリーブを更に含み、少なくとも1つの可撓性スリーブは、流体が少なくとも1つのポートから出ることを少なくとも1つの可撓性スリーブが防止する閉状態と、流体が少なくとも1つのポートから出ることを少なくとも1つの可撓性スリーブが可能にする開状態との間で移行するように構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルが、管腔を含む、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、流体を分注するように動作可能であり、前記エンドエフェクタが、
(i)少なくとも1つの電極と、
(ii)少なくとも1つのポートであって、前記カテーテルの前記管腔と流体連通しており、そのため、前記管腔が、前記流体を流体源から前記少なくとも1つのポートに伝達するように動作可能である、少なくとも1つのポートと、
(iii)前記少なくとも1つのポートの上に位置決めされた少なくとも1つの可撓性スリーブであって、前記少なくとも1つの可撓性スリーブは、前記流体が前記少なくとも1つのポートから出ることを前記少なくとも1つの可撓性スリーブが防止する閉状態と、前記流体が前記少なくとも1つのポートから出ることを前記少なくとも1つの可撓性スリーブが可能にする開状態との間で移行するように構成されている、少なくとも1つの可撓性スリーブと、を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可撓性スリーブが、前記閉状態に向かって弾性的に付勢されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの可撓性スリーブが、エラストマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの可撓性スリーブは、前記管腔内の流体圧力が閾値流体圧力以上であることに応答して、前記閉状態から前記開状態に移行するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの可撓性スリーブは、前記管腔内の前記流体圧力が前記閾値流体圧力未満であることに応答して、前記開状態から前記閉状態に移行するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポートが、複数のポートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの可撓性スリーブが、複数の可撓性スリーブを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の可撓性スリーブのうちの各可撓性スリーブが、前記複数のポートのうちの対応するポートの上に位置決めされている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電極が、複数の電極を含み、前記複数のポートのうちの各ポートが、前記複数の電極のうちの対応する一対の電極の間に介挿されている、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電極が、電気エネルギーを組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアブレーション電極が、高周波電気エネルギーを組織に送達するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアブレーション電極が、パルスフィールド直流電気エネルギーを組織に送達するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電極が、組織内の電位を感知するように構成された少なくとも1つの電気生理学的マッピング電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記エンドエフェクタは、非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタが前記拡張状態にあるときに、螺旋形状を画定するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルが、管腔を含む、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、流体を分注するように動作可能であり、前記エンドエフェクタが、
(i)複数の電極と、
(ii)複数のポートであって、前記カテーテルの前記管腔と流体連通しており、そのため、前記管腔が、前記流体を流体源から前記複数のポートのうちの各ポートに伝達するように動作可能であり、前記複数のポートのうちの各ポートが、前記複数の電極のうちの対応する一対の電極の間に介挿されている、複数のポートと、
(iii)複数の可撓性スリーブであって、前記複数の可撓性スリーブのうちの各可撓性スリーブは、前記複数のポートのうちの対応するポートの上に位置決めされており、前記流体が前記対応するポートから出ることを前記可撓性スリーブが防止するそれぞれの閉状態と、前記流体が前記対応するポートから出ることを前記可撓性スリーブが可能にする開状態との間で移行するように構成されている、複数の可撓性スリーブと、を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【請求項17】
前記複数の電極のうちの各電極が、電気エネルギーを組織に送達するように構成された少なくとも1つのアブレーション電極を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記エンドエフェクタが、非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成されており、前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタが前記拡張状態にあるときに、螺旋形状を画定するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルが、管腔を含む、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、流体を分注するように動作可能であり、前記エンドエフェクタが、
(i)少なくとも1つの電極と、
(ii)少なくとも1つのポートであって、前記カテーテルの前記管腔と流体連通しており、そのため、前記管腔が、前記流体を流体源から前記少なくとも1つのポートに伝達するように動作可能である、少なくとも1つのポートと、
(iii)前記少なくとも1つのポートの上に位置決めされた少なくとも1つの可撓性スリーブであって、前記少なくとも1つの可撓性スリーブは、前記流体が前記少なくとも1つのポートから出ることを前記少なくとも1つの可撓性スリーブが防止する閉状態に向かって弾性的に付勢されており、前記少なくとも1つの可撓性スリーブは、前記管腔内の流体圧力が閾値流体圧力以上であることに応答して、前記閉状態から開状態に移行するように構成されている、少なくとも1つの可撓性スリーブと、を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの可撓性スリーブは、前記管腔内の前記流体圧力が前記閾値流体圧力未満であることに応答して、前記開状態から前記閉状態に移行するように構成されている、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。エネルギー(例えば、高周波(ACタイプ)又はパルスフィールド(DCタイプ)エネルギーなどの不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE))を印加することによって心臓組織を選択的にアブレーションすることにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能となり得る。アブレーションプロセスは、組織を横切る異常な電気信号の通信を効果的に遮断する電気絶縁性病変又は瘢痕組織を形成することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0002】
一部の処置では、1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内にアブレーションを提供することができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次いで前進させて、心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を位置決めすることができる。1つ又は2つ以上の電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触させて配置し、次いで電気のエネルギーで作動させることによって、接触した組織をアブレーションすることができる。場合によっては、電極は双極であってもよい。一部の他の場合において、単極電極を、接地パッドと連携して、又は患者と接触している他の参照電極と連携して使用することができる。灌注を使用して、アブレーションカテーテルのアブレーション構成要素から熱を引き出し、アブレーション部位付近に血栓が形成されるのを防ぐことができる。
【0003】
アブレーションカテーテルの例は、2013年1月31日に公開された「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」と題する米国特許出願公開第2013/0030426号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」、2017年11月2日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、2018年3月15日に公開された「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」と題する米国特許出願公開第2018/0071017号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、2018年11月20日に発行された「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」と題する米国特許第10,130,422号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2015年2月17日に発行された「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」と題する米国特許第8,956,353号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び2017年10月31日に発行された「Electrocardiogram Noise Reduction」と題する米国特許第9,801,585号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0004】
一部のカテーテルアブレーション処置は、電気生理学的(electrophysiology、EP)マッピングを使用してアブレーションの標的とすべき組織領域を特定した後に実行されてもよい。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実行するために使用される同じカテーテル、又は専用のマッピングカテーテル)上の感知電極の使用を含んでもよい。このような感知電極は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の位置を特定することができる。EPマッピングシステムの例は、1998年4月14日に発行された「Cardiac Electromechanics」と題する米国特許第5,738,096号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、2018年3月6日に発行された「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」と題する米国特許第9,907,480号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」、2018年11月20日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0005】
一部のカテーテル処置は、画像誘導手術(image guided surgery、IGS)システムを使用して実施されてもよい。IGSシステムにより、医師は、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、患者内のカテーテルの位置をリアルタイムで視覚的に追跡することが可能になり得る。Irvine,CaliforniaのBiosense Webster,Inc.によるCARTO 3(登録商標)システムを含む一部のシステムは、EPマッピング機能とIGS機能との組み合わせを提供することができる。IGSシステムとともに使用するように構成されているカテーテルの例は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月1日に発行された「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」と題する米国特許第9,480,416号、及び本明細書で引用される様々な他の参考文献に開示されている。
【0006】
いくつかのカテーテルシステム及び方法が実施及び使用されてきたが、本発明者ら以前の誰も、本明細書に記載され、例示され、かつ特許請求される本発明を実施又は使用していないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図を示す。
【
図2A】
図1のカテーテルアセンブリの斜視図であり、追加の構成要素が概略形態で示され、エンドエフェクタが非拡張状態にあり、エンドエフェクタが概略的に示されている。
【
図2B】
図1のカテーテルアセンブリの斜視図であり、追加の構成要素が概略形態で示され、エンドエフェクタが拡張状態にある。
【
図3】拡張状態にある
図2Aのエンドエフェクタの斜視図である。
【
図4A】関節運動駆動アクチュエータが第1の回転位置にある
図1のカテーテルアセンブリのハンドルアセンブリの一部分の上面図である。
【
図4B】関節運動駆動アクチュエータが第2の回転位置にある
図4Aのハンドルアセンブリの一部分の上面図である。
【
図4C】関節運動駆動アクチュエータが第3の回転位置にある
図4Aのハンドルアセンブリの一部分の上面図である。
【
図5A】
図1のカテーテルアセンブリのカテーテルの遠位部分の上面図であり、カテーテルの一部分が断面であり、エンドエフェクタが概略的に示されており、遠位部分が
図4Aの関節運動駆動アクチュエータの第1の回転位置に関連付けられた非偏向状態にある。
【
図5B】
図5Aのカテーテルの遠位部分の上面図であり、カテーテルの一部分が断面であり、エンドエフェクタが概略的に示されており、遠位部分が
図4Bの連結運動駆動アクチュエータの第2の回転位置に関連付けられた第1の偏向状態にある。
【
図5C】
図5Aのカテーテルの遠位部分の上面図であり、カテーテルの一部分が断面であり、エンドエフェクタが概略的に示されており、遠位部分が
図4Cの関節運動駆動アクチュエータの第3の回転位置に関連付けられた第2の偏向状態にある。
【
図6】非拡張状態にある
図2Aのエンドエフェクタの一部分の側面図である。
【
図7】
図1のカテーテルアセンブリとともに使用するためのエンドエフェクタの別の例の斜視図であり、エンドエフェクタが拡張状態にあり、複数の灌注ポート及び複数の弾性スリーブが、対応する灌注ポートの上に位置決めされている。
【
図8A】
図7のエンドエフェクタの一部分の斜視図であり、弾性スリーブのうちの1つが、対応する灌注ポートを示すために省略されている。
【
図8B】
図8Aの部分の斜視図であり、灌注ポートが、対応する弾性スリーブによって覆われている。
【
図8C】
図7のエンドエフェクタの一部分の斜視図であり、弾性スリーブのうちの1つが、対応する灌注ポートを示すために省略されている。
【
図8D】
図8Cの一部分の斜視図であり、灌注ポートが、対応する弾性スリーブによって覆われている。
【
図9A】非拡張状態にある
図7のエンドエフェクタの側面図であり、弾性スリーブがそれぞれの閉状態にある。
【
図9B】非拡張状態にある
図7のエンドエフェクタの側面図であり、弾性スリーブがそれぞれの開状態にある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0009】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0010】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、70%~110%の値の範囲を指してもよい。加えて、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0011】
I.カテーテルシステムの実施例の概要
図1は、上に言及した、EPマッピング及び/又は心臓アブレーションを提供するように使用され得る心臓カテーテルシステムの例示的な医療処置及び関連する構成要素を示す。具体的には、
図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドルアセンブリ(110)を把持している医師(physician、PH)を示し、カテーテルアセンブリ(100)の(
図2A~
図3に示されているが、
図1には示されていない)カテーテル(120)のエンドエフェクタ(300)は、患者(patient、PA)の心臓(heart、H)内若しくはその近くの組織の電位をマッピングし、かつ/又は組織をアブレーションするように患者(PA)内に配設されている。
図2A及び
図2Bに示すように、カテーテルアセンブリ(100)は、ハンドルアセンブリ(110)と、ハンドルアセンブリ(110)から遠位に延在するカテーテル(120)と、カテーテル(120)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(300)と、ハンドルアセンブリ(110)に関連付けられた偏向駆動アセンブリ(200)とを含む。
【0012】
以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(300)は、電気エネルギー(例えば、RF又はIREなど)を標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(300)に付与された外力を追跡し、エンドエフェクタ(300)の場所を追跡し、かつ/又は流体を分散させるように構成されている、種々の電極、センサ、及び/又は他の特徴を含み得る。以下でまたより詳細に説明するように、偏向駆動アセンブリ(200)は、エンドエフェクタ(300)及びカテーテル(120)の遠位部分をカテーテル(120)の近位部分によって画定された中央長手方向軸線(LA)から離れる方向に偏向させるように構成されている。
【0013】
図3に示すように、カテーテル(120)は、細長い可撓性シース(122)を含み、エンドエフェクタ(300)は、シース(122)から遠位に延在する第1の内部シャフト(124)の遠位端(125)に配設されている。シース(122)内に収容されるエンドエフェクタ(300)及び様々な構成要素について、以下でより詳細に説明する。カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)と結合されている。一組の磁場発生器(20)は、患者(PA)の下方に位置決めされ、別のケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)と連結されている。磁場発生器(20)は、単に任意選択である。
【0014】
図1に示すように、本実施例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)及びディスプレイ(18)を含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)と結合されている。一部の変形例では、第1のドライバモジュール(14)は、以下により詳細に説明するように、エンドエフェクタ(300)の電極(310)を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、当該技術分野において既知のEPマッピングを行うプロセッサ(図示せず)を含む。
【0015】
電極(310)がアブレーションを提供するように動作可能である変形例では、第1のドライバモジュール(14)は、電気エネルギー(例えば、RF又はIRE)をそのようなアブレーション電極(310)に提供し、それによってアブレーション電極に接触する組織をアブレーションするように動作可能であってもよい。第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)と結合されている。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を活性化させて、患者(PA)の心臓(H)の周りに交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0016】
第1のドライバモジュール(14)はまた、エンドエフェクタ(300)内の位置センサ(127)からの位置指示信号を受信するように動作可能である。そのような変形例では、コンソール(12)のプロセッサはまた、位置センサ(127)からの位置指示信号を処理し、それによって、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置を決定するように動作可能である。いくつかの変形例では、位置センサ(127)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能な2つ又はそれ以上のそれぞれのパネル上のコイルを含む。コイルは、磁場発生器(20)によって発生した交流電磁場の存在に応答して、電気信号を生成するように構成されている。エンドエフェクタ(300)に関連付けられたリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを挙げることができる。代替的に、エンドエフェクタ(300)は、位置センサ(127)を欠いてもよい。
【0017】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサと結合されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前又は手術中に取得された一組の画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づき得る。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造の図も、エンドエフェクタ(300)の位置センサ(127)からの信号に基づいて動的に変化してもよい。例えば、カテーテル(120)のエンドエフェクタ(300)が患者(PA)内で移動すると、位置センサ(127)からの対応する位置データにより、コンソール(12)のプロセッサは、ディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造の図をリアルタイムで更新し、エンドエフェクタ(300)が患者(PA)内で移動するときのエンドエフェクタ(300)の周囲の患者の解剖学的構造の領域を描写することができる。更に、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタ(300)を用いた電気生理学的(EP)マッピングによって検出されるように、又は他の方法で(例えば、専用のEPマッピングカテーテルを使用するなど)検出されるように、異常な導電性組織部位の位置を示すようにディスプレイ(18)を駆動することができる。単なる例として、コンソール(12)のプロセッサは、照明ドット、十字線、又は異常な導電性組織部位のいくつかの他の形式の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、異常な導電性組織部位の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0018】
コンソール(12)のプロセッサはまた、例えば、照明ドット、十字線、エンドエフェクタ(300)のグラフィック表現、又はいくつかの他の形式の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、エンドエフェクタ(300)の現在の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。このような重ね合わされた視覚的指示はまた、医師が患者(PA)内でエンドエフェクタ(300)を移動させると、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内で移動することができ、それによって、エンドエフェクタ(300)が患者(PA)内で移動すると、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置に関するリアルタイムの視覚的フィードバックを操作者に提供する。したがって、ディスプレイ(18)を介して提供される画像は、エンドエフェクタ(300)を観察するいかなる光学機器(すなわち、カメラ)を必ずしも有することなく、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置を追跡するビデオを効果的に提供することができる。同じビューにおいて、ディスプレイ(18)は、EPマッピングによって検出された異常な導電性組織部位の位置を同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位及び患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に関連して、エンドエフェクタ(300)のリアルタイムの位置を観察することができる。
【0019】
本実施例の流体源(42)は、生理食塩水又は一部の他の好適な灌注流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更と結合されている可撓性チューブを含む。以下により詳細に説明するように、このような灌注流体は、エンドエフェクタ(300)の第2の内部シャフト(126)の開口遠位端部(129)を通って、かつ/又は第2の内部シャフト(126)の灌注ポート(150)を通って排出されてもよい。そのような灌注は、本明細書の教示に照らして当業者に明らかである任意の好適な方法で行うことができる。
【0020】
図2A及び
図2Bに示すように、本例のエンドエフェクタ(300)は、非拡張状態(
図2A)と拡張状態(
図2B)との間を移行するように動作可能である。以下でより詳細に説明するように、この移行は、ハンドルアセンブリ(110)のエンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)の操作によって駆動される。いくつかの変形例では、外側シース(122)は、エンドエフェクタ(300)が非拡張状態である場合、エンドエフェクタ(300)の上を選択的に摺動するように構成されている。そのような変形例では、外側シース(122)は、エンドエフェクタ(300)を露出させるように近位に後退させることができ、それにより、エンドエフェクタ(300)が拡張状態に移行するのを可能にする。
【0021】
図3に示す変形例では、エンドエフェクタ(300)は、拡張形状にあるときに螺旋形状を画定するように構成されている。
図3に示す例のエンドエフェクタ(300)は、外側シース(122)の内部にある第1の内部シャフト(124)に取り付けられている。この例のエンドエフェクタ(300)は、第1の内部シャフト(124)の開放遠位端(125)から突出する第2の内部シャフト(126)に沿って互いに離隔された複数の電極(310)を含む。いくつかの変形例では、電極(310)は、当該技術分野で既知であるように、組織からの心電図信号をピックアップすることによって双極EPマッピングを提供するように動作可能である。電極(310)は、いくつかの実施態様では、対になって協働することができる。電極(310)によって拾い上げられた信号は、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を通ってコンソール(12)に戻されることができる。コンソール(12)は信号を処理して、EPマッピングを提供し、それによって心臓解剖学的構造内の異常な電気的活動の位置を識別することができる。これにより、医師(PH)は、アブレーションする(例えば、RFエネルギー、IREエネルギー、冷凍アブレーションなどで)心臓組織の最も適切な領域を特定することができ、それによって、心臓組織を横切る異常な電気活動の伝達を防止するか、又は少なくとも低減することができる。
【0022】
図3にも示されるように、一対の参照電極(128)は、シャフト(124)を中心にして同軸に位置決めされている。そのような参照電極(128)は、EPマッピング処理中に、電極の対(330)と併せて利用され得る。例えば、参照電極(128)は、EPマッピング処理中に、エンドエフェクタ(300)の内部を通過する血液又は生理食塩水からの参照電位を拾うために利用され得る。そのような参照電位は、当該技術分野で既知であるように、ノイズ又は遠距離場信号を低減するために使用され得る。本例では、エンドエフェクタ(300)は、EPマッピング処理でエンドエフェクタ(300)の使用中に、参照電極(128)が組織に接触することを回避し、それと同時に、依然として、血液及び生理食塩水がエンドエフェクタ(300)を通って自由に流れて参照電極(128)に到達することを可能にするように構成されている。
【0023】
単に一例として、電極(128、310)は、白金、金、又は任意の他の好適な材料から形成されてもよい。電極(128、310)は、必要に応じて、様々なコーティングを含んでもよい。例えば、電極の対(330)は、電極対(330)からの信号の信号対雑音比を改善するように選択されたコーティングを含んでもよい。そのようなコーティングとしては、酸化イリジウム(iridium oxide、IrOx)コーティング、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)コーティング、電着酸化イリジウム(Electrodeposited Iridium Oxide、EIROF)コーティング、白金イリジウム(Platinum Iridium、PtIr)コーティング、又は任意の他の適切なコーティングを挙げることができるが、これらに限定されない。電極(128、310)に使用され得る様々な好適な種類のコーティングは、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう。
【0024】
EPマッピング電極(310)のみが
図3に示されているが、エンドエフェクタ(300)の他の変形例は、EPマッピング電極(310)を含むことに加えて又はその代わりに、アブレーション電極を含むことができる。そのようなアブレーション電極を使用して、アブレーション電極と接触している組織に電気的エネルギーを印加し、それによって組織をアブレーションすることができる。各アブレーション電極は、エンドエフェクタ(300)上の対応するトレース又は他の電気導管と連結されてもよく、それによって、コンソール(12)は、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を介して電気エネルギーをエンドエフェクタ(300)上のトレース又は他の導管に伝達して、アブレーション電極に到達させることができる。そのような電気エネルギーには、高周波(ACタイプ)電気エネルギー、パルスフィールド(DCタイプ)電気エネルギー(例えば、不可逆的エレクトロポレーションなど)、又はいくつかの他の形態の電気エネルギーが含まれ得る。エンドエフェクタ(300)がアブレーションを適用するように動作可能であるいくつかの変形例では、そのようなアブレーションは、電極(310)を介して提供されてもよい。
【0025】
本実施例のエンドエフェクタ(300)は、第2の内部シャフト(126)の遠位端(129)の近くに位置する位置センサ(127)を更に含む。位置センサ(127)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能である。単なる例として、位置センサ(127)は、磁場発生器(20)によって発生される交流電磁場の存在に応じて電気信号を生成するように構成された1つのワイヤコイル又は複数のワイヤコイル(例えば、3つの直交コイル)の形態であってもよい。位置センサ(127)は、カテーテル(120)に沿って又は他の方法でカテーテル(120)を介して、ワイヤ、トレース、又は任意の他の好適な電気導管と連結されてもよく、それにより、位置センサ(127)によって生成された信号が、再びカテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を通ってコンソール(12)に伝達されることを可能にする。コンソール(12)は、位置センサ(127)からの信号を処理して、患者(PA)内でのエンドエフェクタ(300)の位置を特定することができる。エンドエフェクタ(300)に関連付けられたリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを挙げることができる。いくつかの変形例では、位置センサ(127)は省略されてもよい。
【0026】
上記のように、本実施例のカテーテルアセンブリ(100)は、流体導管(40)を介して流体源(42)と連結されている。流体導管(図示せず)は、カテーテル(120)の長さに沿って延在しており、第2の内部シャフト(126)の開口遠位端(129)を通って灌注流体(例えば、生理食塩水)を送達するように動作可能である。例えば、流体導管は、遠位端(129)で遠位に終端してもよい。加えて、又は代替例において、第2の内部シャフト(126)は、第2の内部シャフト(126)の側壁を通って半径方向に延在しており、カテーテル(120)の長さに沿って延在する流体導管を介して流体導管(40)と流体連通する1つ又は2つ以上の横方向に配向された灌注ポート(150)(
図6)を組み込んでもよい。したがって、ポート(150)は、灌注流体が流体源(42)から第2の内部シャフト(126)を通って外へ伝達されることを可能にする。そのような灌注ポート(150)は、エンドエフェクタ(300)の長手方向位置に対応する内部シャフト(126)の長さの領域に沿って離隔され得る。
【0027】
図6に示す例では、ポート(150)は、内部シャフト(126)の長さに沿った各ポート(150)の位置に基づいて、異なる開口サイズを有する。具体的には、ポート(150)の開口サイズは、第2の内部シャフト(126)の長さに沿って遠位方向に漸進的に増加する。そのような構成は、十分な体積の灌注流体が、相対的に近位のポート(150)を通って外に逃げるのではなく、相対的に遠位のポート(150)に到達し、それによって、全てのポート(150)を通って外への灌注流体の好適な送達を促進することを確実にし得る。したがって、ポート(150)の漸進的に増加する開口サイズは、第2の内部シャフト(126)の長さに沿って流体ベーシング効果(basing effect)を提供する。ポート(150)のこの付勢は、灌注流体の所望の下流流量分布を達成するために、灌注流体の特定の入口体積流速に合わせて調整することができる。
【0028】
灌注ポート(150)を含む変形例では、第2の内部シャフト(126)の遠位端(129)は、開放されている代わりに閉鎖されていてもよい。いずれの場合も、灌注ポート(150)及び/又は遠位端(129)の開放変形例を介して放出される灌注流体は、患者(PA)内でのエンドエフェクタ(300)の動作中にエンドエフェクタ(300)において冷却、フラッシング、又は他の効果を提供し得る。カテーテルアセンブリ(100)が灌注を提供し得る様々な好適な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。代替として、カテーテルアセンブリ(100)の一部の変形形態は、導管(40)、流体源(42)、及びポンプ(44)が省略され得るように、灌注能力を欠く可能性がある。
【0029】
上記に加えて、エンドエフェクタ(300)及びカテーテルアセンブリ(100)の他の態様は、参照により本明細書に組み込まれる様々な特許文献のうちのいずれか1つ又は2つ以上の教示の少なくとも一部に従って構成されてもよく、かつ動作可能であってもよい。
【0030】
上述したように、カテーテルアセンブリ(100)は、カテーテル(120)の近位部分によって画定された中央長手方向軸線(LA)から離れる方向にエンドエフェクタ(300)を偏向させるように構成された偏向駆動アセンブリ(200)を含む。本実施例の偏向駆動アセンブリ(200)は、駆動ケーブル(160、170)、ケーブルドライバアセンブリ(210)、及びロッカーアーム(230)を含む。以下でより詳細に説明するように、医師(PH)は、ロッカーアーム(230)をハンドルアセンブリ(110)に対して作動させてもよく、これにより、ケーブルドライバアセンブリ(210)は、駆動ケーブル(160、170)を同時に作動させるようにすることができ、長手方向に対向する運動は、長手方向軸線(LA)から離れる方向に、エンドエフェクタ(300)を横方向に選択的に偏向させ、それによって、医師(PH)が患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)を能動的に操縦することを可能にする。
【0031】
偏向駆動アセンブリ(200)の選択された部分は、ハンドル(110)に動作可能に連結される。ハンドル(110)は、内部空洞(図示せず)を一緒になって画定する第1のケーシング部分(112)及び第2のケーシング部分(114)を含む。駆動ケーブル(160、170)は、それぞれの中間部分(162、172)、遠位部分(図示せず)、及び近位端ブロック(図示せず)を含む。近位端ブロックは、駆動ケーブル(160、170)のための機械的接地として機能する。遠位端部分は、エンドエフェクタ(140)と連結されて、駆動ケーブル(160、170)がエンドエフェクタ(140)から近位に引き抜かれることを防止する。本明細書の教示を考慮することで、駆動ケーブル(160、170)がエンドエフェクタ(140)と連結され得る好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。中間部分(162、172)は、(
図5A~
図5Cに最も良く示されるように)遠位部分からカテーテル(120)の細長い可撓性シース(122)を通って、ケーブルドライバアセンブリ内に近位に延在し、近位端ブロック内で終端する。中間部分(162、172)はそれぞれ、ケーブルドライバアセンブリの一部分の周りに、ハンドル(110)に対するケーブルドライバアセンブリの移動が駆動ケーブル(160、170)を反対方向に同時に作動させ得るように巻き付く。ケーブルドライバアセンブリは、ハンドル(110)と回転可能に連結されている。具体的には、ケーブルドライバ(210)は、ハンドル(110)に対するロッカーアーム(230)の好適な回転が、駆動軸(D-A)を中心としたケーブルドライバ(210)の回転を駆動し得るように、駆動軸を中心として回転するように構成されている。
【0032】
図4A~
図5Cは、エンドエフェクタ(140)及びカテーテル(120)の遠位部分を、中央長手方向軸(L-L)を中心に偏向させるための偏向駆動アセンブリ(200)の例示的な使用を示す。
図4A及び
図5Aは、エンドエフェクタ(140)が中立の非偏向位置にあるときのカテーテルアセンブリ(100)の様々なセクションを示す。
図4Aは、ハンドル(110)に対して中立の回転位置にあるロッカーアーム(230)を示す。ロッカーアーム(230)が第1の回転位置にあるとき、ケーブルドライバアセンブリは、駆動ケーブル(160、170)が、
図5Aに示すように、非偏向位置にあるエンドエフェクタ(140)と関連付けられた第1の長手方向位置にあるように、対応する第1の回転位置にある。
【0033】
医師(PH)が、中央長手方向軸(L-L)に対して第1の方向にエンドエフェクタ(140)を
図5Bに示される第1の偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、ロッカーアーム(230)をハンドル(110)に対して
図4Bに示す位置まで回転させることができる。
図4Bに示される回転位置へのロッカーアーム(230)の回転は、ケーブルドライバアセンブリを対応する回転位置に駆動し、それにより、駆動ケーブル(170)が近位に駆動され、駆動ケーブル(160)が遠位に作動することによってエンドエフェクタ(140)を駆動して
図5Bに示される位置に屈曲させる。
【0034】
同様に、医師(PH)が中央長手方向軸線(L-L)に対して第2の方向にエンドエフェクタ(140)を
図5Cに示す第2の偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、ロッカーアーム(230)をハンドル(110)に対して
図4Cに示す位置まで回転させることができる。
図4Cに示される回転位置へのロッカーアーム(230)の回転は、ケーブルドライバアセンブリを対応する回転位置に駆動し、それにより、駆動ケーブル(160)が近位に駆動され、駆動ケーブル(170)が遠位に作動することによってエンドエフェクタ(140)を駆動して
図5Cに示される位置に屈曲させる。
【0035】
同時に長手方向に対向する方式で駆動ケーブル(160、170)を駆動するために使用され得る様々な他の好適な機構は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。いくつかの変形例では、カテーテルアセンブリ(100)は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月31日に公開された「Catheter Deflection System with Deflection Load Limiter」と題する米国特許出願公開第2020/0405182号及び/又は2021年3月25日に公開された「Catheter Instrument with Three Pull Wires」と題する米国特許出願公開第2021/0085386号の教示の1つ又は2つ以上に従って構成されており、かつ動作可能であり得る。
【0036】
図2A及び
図2Bに示すように、エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)は、エンドエフェクタ(300)を駆動して、非拡張状態(
図2A)と拡張状態(
図2B)との間で移行させるように動作可能である。本実施例のエンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)は、遠位位置(
図2A)と近位位置(
図2B)との間のケーシング部分(112、114)に対して長手方向に並進するように動作可能なスライダの形態である。エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)は、カテーテル(120)の長さに沿って延在する駆動ケーブル(図示せず)を介して、エンドエフェクタ(300)と連結されている。駆動ケーブル(252)の近位端は、エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)のベース(図示せず)と連結されている。駆動ケーブルの遠位端は、エンドエフェクタ(300)の対応する構成要素と連結されている。駆動ケーブルがエンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)及び第2の内部シャフト(126)と連結され得る多様な好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0037】
いくつかの変形例では、エンドエフェクタ(300)の少なくとも一部分は、エンドエフェクタ(300)を
図2B及び
図3に示される拡張状態に向けて促進するように弾性的に付勢される。いくつかのそのような変形例では、エンドエフェクタ(300)の弾性は、駆動ケーブル及び第2の内部シャフト(126)がエンドエフェクタ(300)を拡張状態に向けて駆動するのを支援することができる。いくつかの他の変形例では、駆動ケーブルは、エンドエフェクタ(300)の全長を外側シース(122)に対して遠位に又は近位に駆動する。そのような変形例では、外側シース(122)は、エンドエフェクタ(300)が外側シース(122)内に近位に位置決めされる場合、エンドエフェクタ(300)を圧縮して非拡張状態にすることができ、一方で、エンドエフェクタ(300)の弾性は、エンドエフェクタ(300)が外側シース(122)から遠位に位置決めされる場合、エンドエフェクタ(300)を拡張状態に駆動する。エンドエフェクタ(300)が非拡張状態と拡張状態との間で移行し得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。同様に、駆動ケーブルを利用できる他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。駆動ケーブルは、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年3月25日に公開された「Catheter Instrument with Three Pull Wires」と題する米国特許出願公開第2021/0085386号の教示の1つ又は2つ以上に従って構成されており、かつ動作可能であり得る。
【0038】
II.調節された灌注流体送達を伴うエンドエフェクタの実施例
いくつかの手順では、エンドエフェクタ(300)が位置する周囲環境に関係なく、一貫した灌注流体送達を提供することが望ましい場合がある。例えば、アブレーション処置の実行中に信頼性が高く一貫した灌注流体の送達を促進などのために、エンドエフェクタ(300)が開放空気中に位置しているか、又は液体(例えば、生理食塩水、血液など)に浸漬されているかに影響されない体積流量分布を有する灌注流体の送達を提供することが望ましい場合がある。そのために、1つ又は2つ以上の開口部を通る流体の流れに抵抗する(それでも可能にする)一定の背圧を提供する特徴をカテーテル上に提供することが望ましい場合がある。
【0039】
図7~
図9Bは、そのような様式で機能し得、カテーテルアセンブリ(100)の代わりに
図1の心臓アブレーションカテーテルシステムに組み込まれ得る、カテーテルアセンブリ(400)の実施例を示す。カテーテルアセンブリ(400)は、以下に別途記載される場合を除いて、上述のカテーテルアセンブリ(100)と同様に構成されており、動作可能であり得る。この点に関して、カテーテルアセンブリ(400)は、ハンドルアセンブリ(110)と同様のハンドルアセンブリ(図示せず)、ハンドルアセンブリから遠位に延在するカテーテル(420)、カテーテル(420)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(500)、及びハンドルアセンブリと関連付けられた偏向駆動アセンブリ(200)と同様の偏向駆動アセンブリ(図示せず)を含む。ハンドルアセンブリは、エンドエフェクタ(500)を拡張状態(
図7)と非拡張状態(
図9A及び
図9B)との間で移行させるための、エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)と同様のエンドエフェクタ拡張アクチュエータ(図示せず)を含んでもよい。
【0040】
以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(500)は、電気エネルギー(例えば、RF又はIREなど)を標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(500)に付与された外力を追跡し、エンドエフェクタ(500)の場所を追跡し、及び/又は流体を分散させるように構成されている、種々の電極、センサ、及び/又は他の特徴を含む。例えば、エンドエフェクタ(500)は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年3月25日に公開された「Catheter Instrument with Three Pull Wires」と題する米国特許出願公開第2021/0085386号の教示の1つ又は2つ以上に従って構成されており、かつ動作可能であり得る。
【0041】
図7に示すように、カテーテル(420)は、細長い可撓性シース(422)を含み、エンドエフェクタ(500)は、シース(422)から遠位に延在する第1の内部シャフト(424)の遠位端(425)に配設されている。シース(422)内に収容されるエンドエフェクタ(500)及び様々な構成要素について、以下でより詳細に説明する。カテーテルアセンブリ(400)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)に連結されてもよい。カテーテルアセンブリ(400)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)とも連結されてもよい。
【0042】
図7にも示されるように、一対のアクティブ電流位置(active current location、ACL)電極(428)は、第1のドライバモジュール(14)に位置指示信号を提供するために、シャフト(424)の周りに同軸に位置決めされる。いくつかの変形例では(428)は、電極(428)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年6月4日に公開された「Current Localization Tracker」と題する米国特許第8,456,182号の教示に従って構成されており、かつ動作可能である。加えて、又は代替的に、電極(428)は、上述の基準電極(128)のように構成されており、動作可能であってもよい。
【0043】
いくつかの変形例では、カテーテル(420)は、シャフト(424)にしっかりと固定された少なくとも1つの位置センサアセンブリ(図示せず)を含み、この位置センサは、電極(428)に加えて、又はその代わりに、上述したものと同様の方法などで、患者(PA)内のシャフト(424)の位置及び配向を示す信号を(例えば、磁場発生器(20)によって生成される交流電磁場の存在に応答して)生成するように動作可能である。このようなナビゲーションセンサアセンブリは、単軸センサ(single-axis sensor、SAS)(例えば、単一の軸の周りに巻かれた単一の電磁コイルを有する)、二軸センサ(dual-axis sensor、DAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた2つの電磁コイルを有する)、又は三軸センサ(triple-axis sensor、TAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた3つの電磁コイルを有する)として構成されてもよい。追加的に又は代替的に、ナビゲーションセンサアセンブリは、フレキシブルプリント回路基板(printed circuit board、PCB)として構成されてもよい。単なる例として、そのようなナビゲーションセンサアセンブリは、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2022年1月26日に出願された「Flexible Sensor Assembly for ENT Instrument」と題する米国特許出願公開第17/584693号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成されており、かつ動作可能であり得る。
【0044】
上述したように、エンドエフェクタ(500)は、EPマッピング機能を提供し、かつ/又は電気エネルギーを標的組織部位に送達し、かつ/又は灌注流体を送達するように構成された様々な構成要素を含む。
図7を引き続き参照すると、本変形例のエンドエフェクタ(500)は、拡張形状にあるときに螺旋形状を画定するように構成されている。単なる例として、エンドエフェクタ(500)は、螺旋形状をとるように弾性的に付勢されてもよい。加えて、又は代替的に、駆動ケーブル又は他のアクチュエータを使用して、エンドエフェクタ(500)を螺旋形状に向かって駆動してもよい。
【0045】
図7に示す例のエンドエフェクタ(500)は、外側シース(422)の内部にある第1の内部シャフト(424)に取り付けられている。この例のエンドエフェクタ(500)は、エンドエフェクタ(500)の第2の内部シャフト(526)に取り付けられた複数のリング形状のアブレーション電極(510)を含み、第2の内部シャフトは、閉鎖遠位端(529)で終端する。電極(510)はそれぞれ、電気エネルギーを標的組織に送達するように構成され得る。例えば、第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してトレース又は他の電気導管を通して電極(510)に電気エネルギーを提供し、それによって電極(510)に接触する組織をアブレーションするように動作可能であってもよい。そのような電気エネルギーには、高周波(ACタイプ)電気エネルギー、パルスフィールド(DCタイプ)電気エネルギー(例えば、不可逆的エレクトロポレーションなど)、又はいくつかの他の形態の電気エネルギーが含まれ得る。これに関して、電極(510)はそれぞれ、金属などの導電性材料で形成されてもよい。単なる例として、電極(510)は、白金、金、又は任意の他の好適な材料から形成されてもよい。
【0046】
いくつかの変形例では、1つ又は2つ以上の電極(510)は、組織アブレーションではなく、EPマッピングを提供するように構成されてもよい。例えば、1つ又は2つ以上の電極(510)は、そのような1つ又は2つ以上の電極(510)と接触する組織から電位を拾うように構成されてもよい。したがって、そのような電極(510)を使用して、心臓血管解剖学的構造(例えば、肺静脈など)内の組織における異常な電気的活動の位置を決定することができる。そのような電極(510)によって拾われた信号は、トレース又は他の電気導管を介して通信され、最終的にケーブル(30)を介してコンソール(12)の第1のドライバモジュール(14)に到達することができる。第1のドライバモジュール(14)は、EPマッピング信号を処理し、本明細書に引用されている様々な参考文献の教示に従って、異常な電気的活動の位置を示す対応するフィードバックを医師(PH)に提供することができる。電極(510)は、本明細書に引用されている様々な特許参考文献の教示に従って構築され、動作可能であってもよい。いくつかの変形例では、電極(510)は、上述の電極(310)と同様に構成されており、動作可能であり得る。
【0047】
エンドエフェクタ(500)は、第2の内部シャフト(526)の遠位端(529)の近くに位置する位置センサ(527)を更に含む。位置センサ(527)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(500)の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能である。単なる例として、位置センサ(527)は、磁場発生器(20)によって発生される交流電磁場の存在に応じて電気信号を生成するように構成された1つのワイヤコイル又は複数のワイヤコイル(例えば、3つの直交コイル)の形態であってもよい。位置センサ(527)は、カテーテル(420)に沿って又は他の方法でカテーテル(420)を介して、ワイヤ、トレース、又は任意の他の好適な電気導管と連結されてもよく、それにより、位置センサ(527)によって生成された信号が、再びカテーテル(420)内の電気導管(図示せず)を通ってコンソール(12)に伝達されることを可能にする。コンソール(12)は、位置センサ(527)からの信号を処理して、患者(PA)内でのエンドエフェクタ(500)の位置を特定することができる。エンドエフェクタ(500)に関連付けられたリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを挙げることができる。いくつかの変形例では、位置センサ(527)は省略されてもよい。
【0048】
上記のように、本実施例のカテーテルアセンブリ(400)は、流体導管(40)を介して流体源(42)と連結されている。流体導管(図示せず)は、カテーテル(420)の長さに沿って延在し、第2の内部シャフト(526)を通して灌注流体(例えば、生理食塩水)を送達するように動作可能である。この点に関して、本変形例のエンドエフェクタ(500)は、第2の内部シャフト(526)の側壁を通って半径方向に延在し、カテーテル(420)の長さに沿って延在する流体導管を介して流体導管(40)と流体連通している複数の灌注ポート(550)を含む。したがって、ポート(550)は、灌注流体が流体源(42)から第2の内部シャフト(526)を通って外へ伝達されることを可能にする。示されるように、各ポート(550)は、電極(510)の対応する組の間に長手方向に介挿され得るが、ポート(550)は、任意の他の好適な量及び/又は配置で提供されてもよい。灌注流体は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(500)の動作中に、エンドエフェクタ(500)で冷却、フラッシング、又は他の効果を提供することができることが理解されよう。例えば、灌注流体は、電極(510)を使用するアブレーション処置の実行中に冷却を提供し得る。カテーテルアセンブリ(400)が灌注を提供し得る様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0049】
示される例では、各ポート(550)は、スリーブ(552)は、対応するポート(550)の上に第2の内部シャフト(526)に対して緊密に着座し、灌注流体が対応するポート(550)を通して半径方向外向きに流れることを阻止する、それぞれの閉状態(
図9A)と、対応するポート(550)を覆うスリーブ(552)の少なくとも一部分が、第2の内部シャフト(526)に対して半径方向外向きに拡張され、それによって、対応するポート(550)を覆ってテンティングされて、灌注流体が、対応するポート(550)を通って、スリーブ(552)と第2の内部シャフト(526)との間を(例えば、1つ又は2つ以上の電極(510)に向かって)半径方向外向きに流れることを可能にする、それぞれの開状態(
図9B)との間で移行するように構成されている対応するスリーブ(552)によって覆われている。この点に関して、各スリーブ(552)は、各スリーブ(552)がそれぞれの閉状態に向かって弾性的に付勢され得、第2の内部シャフト(526)内の流体圧力が閾値流体圧力に到達することに応答して、それぞれの開状態に移行するように構成され得るように、エラストマーなどの弾性材料を含み得る。より具体的には、本実施例の各スリーブ(552)は、第2の内部シャフト(526)に対して半径方向内向きに弾性的に付勢されてそれぞれの閉状態をとり、第2の内部シャフト(526)内の閾値流体圧力の存在から生じ得る閾値半径方向外向きの力がそれぞれのスリーブ(552)の半径方向内向きに加えられることに応答して、対応するポート(550)から離れてそれぞれの開状態に向かって半径方向外向きに屈曲するように構成されている。例えば、各スリーブ(552)は、第2の内部シャフト(526)内の流体圧力が閾値流体圧力に到達することに応答して、それぞれの開状態に向かって直ちに屈曲して、対応するポート(550)を通る半径方向外向きの灌注流体の流れを可能にするように構成されてもよく、第2の内部シャフト(526)内の流体圧力が閾値流体圧力未満に低下することに応答して、それぞれの閉状態に直ちに弾性的に戻って、対応するポート(550)を通る半径方向外向きの灌注流体の流れを止めるように構成されてもよい。このようにして、各スリーブ(552)は、自己作動逆止弁として動作するように構成され得る。
【0050】
スリーブ(552)は、対応するポート(550)を通る流体の流れに対向する実質的に均一及び/又は一定の背圧を提供するように構成されてもよい。このようにして、流体の流れは、流体の体積流速又は放出が全てのポート(550)にわたって実質的に同じであり得るように調節され得る。加えて、又は代替的に、各ポート(550)における背圧は、エンドエフェクタ(500)が位置する特定の周囲環境に基づいて変化しない場合があり、その結果、各ポート(550)を通る流体の排出は、エンドエフェクタ(500)が位置する流体媒体(例えば、空気、生理食塩水、血液など)などの環境要因によって影響を受けない場合がある。したがって、スリーブ(552)は、ポート(550)と協働して、電極(510)を使用するアブレーション処置の実行中などに、灌注流体の確実かつ一貫した送達を提供することができる。
【0051】
図8A及び
図8Bに示されるように、1つ又は2つ以上のポート(550)は、対応する1つ又は2つ以上のスリーブ(552)が第2の内部シャフト(526)の半径方向に最も外側の表面の概ね半径方向外側にあり得るように、第2の内部シャフト(526)の半径方向に最も外側の表面を通って延在し得る。加えて、又は代替的に、エンドエフェクタ(500)は、第2の内部シャフト(526)の半径方向最外面の半径方向内向きに配置された1つ又は2つ以上の半径方向凹面(554)を含んでもよく、1つ又は2つ以上のポート(550)は、対応する1つ又は2つ以上のスリーブ(552)が第2の内部シャフト(526)の半径方向最外面と概ね同一平面であり得るように(少なくとも閉状態にあるとき)、そのような半径方向凹面(554)を通って延在してもよい。このような構成を
図8C~
図8Dに示す。
【0052】
いくつかの変形例では、1つ又は2つ以上のポート(550)自体が、それぞれの閉状態とそれぞれの開状態との間で移行するように構成されてもよい。例えば、1つ又は2つ以上のポート(550)は、第2の内部シャフト(526)内に十分な流体圧力がない場合、閉状態又は実質的に閉状態に向かって弾性的に付勢されてもよい。更に、第2の内部シャフト(526)内の十分な流体圧力に応答して、開放状態に伸張してもよい。したがって、そのようなポート(550)は、第2の内部シャフト(526)内に閾値流体圧力がない場合に自己封止するように構成されてもよい。そのような自己封止機能は、ポート(550)を画定する内部シャフト(526)を形成する材料によって提供され得る。いくつかのそのような場合、1つ又は2つ以上のスリーブ(552)が省略されてもよい。いずれのシナリオにおいても、
図7又は
図9A及び
図9Bには示されていないが、ポート(550)はまた、
図6に示されるポート(150)の漸進的に増加する開口サイズと同様に、内部シャフト(526)の長さに沿って漸進的に増加する開口サイズを有してもよい。したがって、ポート(550)の開口サイズは、必ずしも内部シャフト(526)の長さに沿って一定である必要はない。漸進的に増加する開口サイズからの流体付勢を有するポート(550)を備えた弾性的に付勢されたスリーブ(552)を含むことは、灌注流体の高い流速及び低い流速の両方でバランスのとれた体積流量分布を更に促進し得ることが理解されよう。
【0053】
カテーテルアセンブリ(400)の使用の例では、スリーブ(552)は、
図9Aに示すように、電極(510)を使用して患者(PA)の心臓(H)内又は心臓(H)付近でアブレーション処置を行う前など、最初はそれぞれの閉状態にあってもよい。医師(PH)が、患者(PA)内でのエンドエフェクタ(500)の動作中にエンドエフェクタ(500)において冷却、フラッシング、又は他の効果を提供するためなどに、第2の内部シャフト(526)を通して灌注流体を送達することを望む場合、第2の内部シャフト(526)内の流体圧力は、ポンプ(44)を介して流体源(42)から第2の内部シャフト(526)に灌注流体を駆動することなどによって、閾値流体圧力まで増加され得る。次いで、各スリーブ(552)は、第2の内部シャフト(526)内の流体圧力が閾値流体圧力に達することに応答してそれぞれの開状態に移行して、
図9Bに示すように、灌注流体が対応するポート(550)を通ってスリーブ(552)と第2の内部シャフト(526)との間を半径方向外向きに(例えば、1つ又は2つ以上の電極(510)に向かって)流れることを可能にし、エンドエフェクタ(500)において所望の冷却、フラッシング、又は他の効果を提供することができる。
【0054】
エンドエフェクタ(500)における所望の冷却、フラッシング、又は他の効果が達成された後、第2の内部シャフト(526)内の流体圧力は、例えば、ポンプ(44)を介した流体源(42)から第2の内部シャフト(526)への灌注流体の駆動を停止することによって、閾値流体圧力未満に低減され得る。次いで、各スリーブ(552)は、第2の内部シャフト(526)内の流体圧力が閾値流体圧力未満に低下することに応答して、それぞれの閉状態(
図9A)に直ちに弾性的に戻って、対応するポート(550)を通る半径方向外向きの灌注流体の流れを止め、それによって、第2の内部シャフト(526)を通って外への灌注流体の送達を止めることができる。このプロセスは、エンドエフェクタ(500)において追加の冷却、フラッシング、又は他の効果を提供するために繰り返されてもよい。エンドエフェクタ(500)は、
図9A及び
図9Bにおいて非拡張状態で示されているが、灌注流体の送達は、エンドエフェクタ(500)が
図7に示す拡張状態にある間に行われてもよいことが理解されよう。
【0055】
III.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例0056】
装置であって、(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するカテーテルであって、カテーテルが、管腔を含む、カテーテルと、(c)カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、エンドエフェクタが、流体を分注するように動作可能であり、エンドエフェクタが、(i)少なくとも1つの電極と、(ii)少なくとも1つのポートであって、カテーテルの管腔と流体連通しており、そのため、管腔が、流体を流体源から少なくとも1つのポートに伝達するように動作可能である、少なくとも1つのポートと、(iii)少なくとも1つのポートの上に位置決めされた少なくとも1つの可撓性スリーブであって、少なくとも1つの可撓性スリーブは、流体が少なくとも1つのポートから出ることを少なくとも1つの可撓性スリーブが防止する閉状態と、流体が少なくとも1つのポートから出ることを少なくとも1つの可撓性スリーブが可能にする開状態との間で移行するように構成されている、少なくとも1つの可撓性スリーブと、を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。