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特開2024-65092巻き戻し装置、およびそれが組み込まれた狩猟罠
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065092
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】巻き戻し装置、およびそれが組み込まれた狩猟罠
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/34 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
A01M23/34
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184642
(22)【出願日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2022172950
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500200915
【氏名又は名称】松澤 久栄
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】松澤 久栄
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA32
2B121EA26
2B121FA02
(57)【要約】
【課題】 捕獲具に捕獲された獣の移動範囲を自動的に狭め、罠師による取り押さえや止め刺しなどをより安全に行えるものとする新たな罠猟技術を提供する。
【解決手段】 狩猟用の捕獲具2に連結される巻取索条73を巻き取るリール7が本体フレーム6内に回転自在に支持され、該リール7の一端には、巻取索条73を巻き取る巻き戻し力源8が設けられ、同リール7の他端には巻取索条73の繰り出し方向FOの回転を制動し、且つ、同制動を本体フレーム6外から解除操作可能な制動器92を有する逆転止め機構9が設けられ、該リール7の遠心方向の1つに対応する本体フレーム6には当該巻取索条73を導出する導出口67が開口され、該リール7の遠心方向の別の1つに対応する本体フレーム6の外壁には固定物TRへの連結部68が設けられたものとされた巻き戻し装置5である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
狩猟用の捕獲具に連結される巻取索条を巻き取るリールが本体フレーム内に回転自在に支持され、該リールの一端には、巻取索条を巻き取る巻き戻し力源が設けられ、該リールの他端には巻取索条の繰り出し方向の回転を制動し、且つ、同制動を本体フレーム外から解除操作可能な制動器を有する逆転止め機構が設けられ、該リールの遠心方向の1つに対応する本体フレームには巻取索条を導出する導出口が開口され、該リールの遠心方向の別の1つに対応する本体フレームの外壁には固定物への連結部が設けられたものとされたことを特徴とする巻き戻し装置。
【請求項2】
狩猟用の捕獲具に連結される巻取索条を巻き取るリールが本体フレーム内に回転自在に支持され、該リールの一端には、巻取索条を巻き取る巻き戻し力源が設けられ、該リールの他端には巻取索条の繰り出し方向の回転を制動し、且つ、同制動を本体フレーム外から解除操作可能な制動器を有する逆転止め機構が設けられ、該リールの遠心方向の1つに対応する本体フレームには巻取索条を導出する導出口が開口され、該リールの遠心方向の別の1つに対応する本体フレームの外壁には固定物への連結部が設けられ、逆転止め機構の制動器を外部から操作すると巻取索条の導出口からの繰り出しが可能となり、同制動器の操作を止めると巻取索条の繰り出しが不能となり、該巻取索条の先端が、狩猟用の捕獲具に連結され、当該連結部が固定物に連結され、
当該捕獲具が獣を捕らえた場合に、同獣による牽引力がなくなると、当該巻き戻し力源がリールを回転して巻取索条の緩んだ分を巻き取り、同獣が牽引力を発揮すると当該逆転止め機構の制動器が巻取索条の繰り出しを規制するものとされたことを特徴とする巻き戻し装置。
【請求項3】
連結部または本体フレームの何れか一方に、固定物に対し直に連結可能な直接連結部が設けられた、請求項1または請求項2何れか一方記載の巻き戻し装置。
【請求項4】
狩猟用の捕獲具に対し、本体フレームから繰り出された巻取索条の先端が連結されるか、または、一体化されるかの何れか一方とされたものとしてなる、前記請求項1ないし請求項3何れか一記載の巻き戻し装置が組み込まれた狩猟罠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野生の獣を捕獲する狩猟用の罠の技術に関連するものであり、特に、くくり罠やトラバサミなどの狩猟罠や、銛、矢、網などに捕獲された獣や魚類、その他の動物が暴れるのを抑制する装置を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
害獣の駆除やジビエ料理用の狩猟肉を得るため、シカやイノシシの獣道などの行動範囲にくくり罠を仕掛ける狩猟が行われているが、くくり罠に掛かったイノシシは非常に興奮しており、不用意に近づくと危険なため、安全を確保できる距離から銃器類を用いて止め刺しするのが良いが、捕獲場所が銃猟禁止区域だったり、罠師が銃免許を取得していなかったりした場合には、電気止め刺し器やナイフなどの刃物類を用いることとなり、このような場合には、慎重に接近して保定具(チョン掛、鼻くくり、足錠など)でくくり罠に掛かった部位とは別の足や鼻などをくくり、周囲の樹木などに緊結してイノシシの動きを制限し、充分に安全を確保した上、心臓等を刺し、頸動脈を切って血抜きなどの狩猟肉のための処理をするのが一般的であるが、この保定および止め刺しの際に、イノシシに襲われてしまう危険性が高いものであった。
【0003】
(従来の技術)
こうした止め刺しに臨む際の危険性が罠師の間で古くから深く認識されている中、くくり罠には様々な改良が行われて来た。
例えば、改良されたくくり罠には、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、外筒と、外筒に収容され、踏板が内部に設けられる内筒と、くくり金具を介して一端に内筒を周回するループ部が形成されるワイヤーと、くくり金具よりも他端寄りのワイヤーに腕部が取り付けられ、ループ部が内筒から外れた場合に、ループ部を縮径するねじりバネと、内筒の内周に配置される支軸を介して内筒に取り付けられる1個の枠体を備え、枠体は、その胴部に、内筒の内周面を超えてはみ出すはみ出し部が形成され、害獣が踏板を踏み付ける場合に、内筒から外れたループ部がはみ出し部に掛止され、枠体を、支軸を中心として回動させ、害獣の脚が内筒の上縁から素早く上昇して行く場合にも、確実に脚を締め付け、害獣に逃げられる頻度を減少し、捕獲効率を向上させることができるものとされたくくり罠が知られている。
【0004】
また、同特許文献1(2)に見られるような、くくりワイヤーが筒内に挿通され、圧縮コイルばねが圧縮されて収納されるばね収納筒と、くくりワイヤーが筒内に挿通され、圧縮コイルばねの先端から付勢されることによりくくり輪を縮径する移動筒とを備え、移動筒はロックピンを有し、当該ばね収納筒には、圧縮された圧縮コイルばねが挿入された状態で当該ロックピンが係合されるロック溝が設けられたものとされ、当該くくり罠を仕掛ける際に圧縮コイルばねを事前に圧縮して置き、仕掛け作業を効率的に行える上、くくり罠に掛かった獣が暴れても当該ばね収納筒の先端の係止部の肉厚が大きいから破損し難いものとされたくくり罠などが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)および後者特許文献1(2)に示されているようなくくり罠は、獣の捕獲性能を高めたり、くくり罠の仕掛け易さを改良したり、くくり罠そのものの耐久強度を高めたりしたものであって、くくり罠に掛かって暴れる獣を銃を使用せずとも、より安全に止め刺しできるものとはなっておらず、銃を使用しない場合には、従前までと同様に罠師が注意深く安全を確保して細心の注意を払いながら興奮する獣に接近し、保定して止め刺しを行う外に安全な方法はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】(1)実用新案登録第3210351号公報 (2)実用新案登録第3210767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種くくり罠は、何れもくくり罠に掛かって暴れる獣の移動範囲が、同くくり罠のワイヤーロープの長さによって規制されるものであったため、保定具(チョン掛、鼻くくり、足錠など)を掛けて獣の移動を止める際や、同保定具で動けなくなった獣に止め刺しする際などに、不用意に近づくと非常に興奮している獣に襲われたり噛まれたりしてしまう危険性が高いという欠点が残るものであり、従来型のくくり罠に捕獲後の獣の移動可能範囲を狭め、罠師がより安全に獣に近づき保定具を掛け、止め刺しを行えるよう更なる改良が施されたくくり罠の開発の必要性を痛感するに至ったものである。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、くくり罠、トラバサミ、銛、矢または網などの捕獲具に捕獲された動物の移動範囲を自動的に狭め、罠師による取り押さえや止め刺しなどをより安全に行えるものとする新たな罠猟技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の巻き戻し装置、およびそれが組み込まれた新規な狩猟罠を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の巻き戻し装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、狩猟用の捕獲具に連結される巻取索条を巻き取るリールが本体フレーム内に回転自在に支持され、該リールの一端には、巻取索条を巻き取る巻き戻し力源が設けられ、該リールの他端には巻取索条の繰り出し方向の回転を制動し、且つ、同制動を本体フレーム外から解除操作可能な制動器を有する逆転止め機構が設けられ、該リールの遠心方向の1つに対応する本体フレームには巻取索条を導出する導出口が開口され、該リールの遠心方向の別の1つに対応する本体フレームの外壁には固定物への連結部が設けられたものとされた構成を要旨とする巻き戻し装置である。
【0010】
この基本的な構成からなる巻き戻し装置は、その表現を変えて示すならば、狩猟用の捕獲具に連結される巻取索条を巻き取るリールが本体フレーム内に回転自在に支持され、該リールの一端には、巻取索条を巻き取る巻き戻し力源が設けられ、該リールの他端には巻取索条の繰り出し方向の回転を制動し、且つ、同制動を本体フレーム外から解除操作可能な制動器を有する逆転止め機構が設けられ、該リールの遠心方向の1つに対応する本体フレームには巻取索条を導出する導出口が開口され、該リールの遠心方向の別の1つに対応する本体フレームの外壁には固定物への連結部が設けられ、逆転止め機構の制動器を外部から操作すると巻取索条の導出口からの繰り出しが可能となり、同制動器の操作を止めると巻取索条の繰り出しが不能となり、該巻取索条の先端が、狩猟用の捕獲具に連結され、当該連結部が固定物に連結され、
当該捕獲具が獣を捕らえた場合に、同獣による牽引力がなくなると、当該巻き戻し力源がリールを回転して巻取索条の緩んだ分を巻き取り、同獣が牽引力を発揮すると当該逆転止め機構の制動器が巻取索条の繰り出しを規制するものとされた構成からなる巻き戻し装置となる。
【0011】
この発明の基本をなす巻き戻し装置を、より具体的なものとして示すと、連結部または本体フレームの何れか一方に、固定物に対し直に連結可能な直接連結部が設けられた構成からなる、前記何れか一つに記載の巻き戻し装置となる。
【0012】
(関連する発明)
上記した巻き戻し装置に関連し、この発明には、それが組み込まれた狩猟罠も包含している。
即ち、狩猟用の捕獲具に対し、本体フレームから繰り出された巻取索条の先端が連結されるか、または、一体化されるかの何れか一方とされたものとしてなる、この発明の基本をなす前記何れか記載の巻き戻し装置が組み込まれた狩猟罠である。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の巻き戻し装置は、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、既存の狩猟用の捕獲具に組み込まれたものとすることにより、該捕獲具に捉えられた獣やその他の野生動物などの移動範囲を次第に狭めることができるから、より安全且つ効率的な捕獲を実現化できるものとなり、さらに具体的には、既存の狩猟用の捕獲具に連結されたものとすることにより、従前までの捕獲具の単独使用の場合とは違い、捕獲具に掛かった獣が逃げようとして動き回る間に、巻取索条を自動的に巻き取り、捕獲された獣の行動範囲を狭めるものとなるから、罠師が止め刺しを行う際に、獣に対し、より安全に接近し、従前までよりも容易且つ確実に保定具を掛けることができるようになるから、狩猟用の捕獲具による罠猟を、より安全且つ効率的に行うことができるものになるという秀でた特徴が得られるものである。
【0014】
加えて、この発明の巻き戻し装置は、既存の狩猟用の様々な捕獲具に組み込むことができるから、既存のくくり罠、トラバサミ、銛、矢または網などに連結して利用することができ、より具体的には、例えば、押しバネ式、ねじりバネ式または引きバネ式など様々に形態の異なる各種の狩猟用の捕獲具にも幅広く組み込み、より経済的に利用することができ、さらに、本体フレームと逆転止め機構の引き操作された解除摘まみとの間に、挿脱自在に挿着可能な解除ブロックが付属されたものは、逆転止め機構を解除された状態に維持することが可能となり、狩猟用の捕獲具およびそれに組み込まれた巻き戻し装置を仕掛ける作業の効率を大幅に高めることができ、該捕獲具の設置後に当該解除摘まみを簡便に外して逆転止め機構を動作状態に切り替えることができるから、罠師が1人で該狩猟罠を仕掛ける際の作業性を大幅に高めることができるという利点が得られる。
【0015】
また、逆転止め機構に無線ユニットが追加された、この発明の巻き戻し装置によれば、獣を捕獲した際に該無線ユニットが、罠師の形態型端末などに無線通信し、獣を捕らえたことを遠隔的に通知するものとなり、罠師が、遅滞なく狩猟罠に到着し、獲物を収獲した後に、再度、当該狩猟罠を仕掛ける際には、当該無線ユニットが初期状態にリセットされるから、煩わしい初期設定の操作が不要となる上、初期設定の操作を忘れる弊害も解消でき、より効率的な罠猟を実現化できるものとなる。
【0016】
さらに、直接連結部が設けられた、この発明の巻き戻し装置によれば、根が確り張った木などの固定物に対し、直接的に固定できるから、捕獲した獣が暴れた場合にも、該巻き戻し装置が大きく揺さぶられたり、地面や周囲に打ち付けられたりするのを防止し、加わる衝撃力を軽減して、より耐久性に優れたものとすることができる。
【0017】
そして、この発明の巻き戻し装置が組み込まれた狩猟罠は、その全体を一つの商品として販売することができる外、利用者が、この発明の巻き戻し装置のみを購入し、その購入した巻き戻し装置を既存の狩猟罠に組み込んで使用することが可能であるなど、顧客のニーズに合わせて様々な提供が可能になるという効果を奏することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
この発明の巻き戻し装置は、くくり罠、トラバサミ、銛、矢または網などの捕獲具と、固定物との間に確りと繋着されて組み込まれ、該捕獲具が動物を捕らえると、該捕獲具がわ、または、固定物がわの少なくとも何れか一方を自動的に短縮し、当該捕獲具が捕らえた動物を固定物がわへ引き寄せ、動物の行動範囲を自動的に狭める機能を分担するものである。
【0019】
この発明の巻き戻し装置の本体フレームは、同巻き戻し装置に内蔵されるリールや巻き戻し力源、逆転止め機構などを、夫々の位置に支持すると共に捕獲された動物による攻撃やその他の外力から保護する機能を担い、周壁を有さず強固な骨格からなる枠体からなるものとすることができる外、無線ユニットなどの電子部品類などが付属されたものの場合には、それら精密機器類を防水および緩衝して保護する機能を分担するものとすることができ、後述する実施例にも示すように、巻取索条の導出口を除いた略全体を防水、緩衝するよう肉厚の壁で密閉された容器状や箱状のものなどとすることができる。
【0020】
リールは、狩猟用の捕獲具に先端が連結される巻取索条の基端がわから、同巻取索条の略全長を巻き取り、繰り出し可能とする機能を分担し、より具体的には、巻き戻し力源の巻き戻し力を受けて巻き取り方向に回転駆動され、巻取索条を巻き取り、逆転止め機構による繰り出し方向への回転の規制を受け、該逆転止め機構が解除された場合のみ、当該巻き戻し力源の巻き戻し力に抗し、繰り出し方向に回転可能となる機能を担い、後述する実施例にも示しているように、本体フレーム内と該リールとの間には、軸および軸受からなる回転支持機構が設けられ、該軸受は、ボールベアリングや滑り軸受とすることが可能であり、該リールの胴部には巻取索条の基端が、同巻取索条の巻き取り、繰り出し可能に結合され、同リールの一端には巻き戻し力源が設けられ、該リールの他端には逆転止め機構が設けられたものとするのが良い。
【0021】
巻取索条は、リールの巻き取り力を狩猟用の捕獲具に伝える機能を分担し、該捕獲具の対象動物の捕獲に耐える強度を有する素材からなるものとしなければならず、より具体的には、ワイヤーロープやステンレスやスチールなどの金属製のチェーン、または、樹脂繊維、天然繊維、それらの複合素材、その他の素材製のロープ類などとすることが可能であり、本体フレームの外がわに繰り出された先端には、捕獲具に連結可能な、連結用の留め金やシャックルまたはフックなどの何れかの連結部が設けあれたものとすることができる外、当該捕獲具に着脱不能に一体化されたものとすることが可能であり、後述する実施例にも示すように、狩猟罠がくくり罠である場合には、該巻取索条のリールへの巻き取り(繰り出し)長さは、3m未満では捕獲された獣の行動範囲を狭める効果が少な過ぎるものとなり、また、20mを超えると巻き戻し装置それ自体が大型化、大重量化してしまい運搬および仕掛け作業の負担が過大になり過ぎるという欠点を生じてしまうから、3ないし20m、より望ましくは5ないし10mの範囲とするのが良い。
【0022】
巻き戻し力源は、本体フレームに対し、リールを巻取索条の巻き取り方向に回転する力を発生する機能を分担し、バネや圧縮空気(バルーン、シリンダー・ピストン)の弾発力、永久磁石の反発力や吸引力、電動モーター、エンジン、その他の回転駆動力を利用するものとすることが可能であるが、狩猟罠の運搬の際の重量、機能性および経済性などを考慮すると、燃料や電力などの外部からの供給エネルギーを要さずとも動作可能なバネや永久磁石などを利用したものが望ましく、引張または圧縮コイルバネや渦巻バネ(ゼンマイバネ)などからなるものとするのが良く、後述する実施例にも示すように、本体フレームに対し遠心端が結合された渦巻バネの求心端がリールの一端に結合され、同渦巻バネの巻き戻し力に抗して該リールから巻取索条が繰り出されると、該渦巻バネに巻き戻し力が蓄積され、該繰り出し力を解除した場合に巻き取り方向に回転駆動する如く、該蓄積された巻き戻し力を開放されるものとすることができる。
【0023】
また、巻き戻し力源に蓄積された全ての巻き戻し力を使い果たし、巻き取りが停止された際に、巻取索条の先端が、本体フレーム内に完全に収容されず、同巻取索条の先端が該本体フレームの導出口から露出されている状態を維持するよう設定されたものとするのが良いが、当該巻き戻し力源に蓄積された全ての巻き戻し力を開放する前に、当該巻取索条の中途部に、当該本体フレームの導出口よりも大きな止め金具が設けられ、該止め金具が該導出口に係合し、当該巻該取索条の巻き戻しを規制するものとされ、同巻取索条の先端が、当該本体フレーム内に収容されてしまい、外部に繰り出しできなくなる事態を防止できるものとすることができる。
【0024】
逆転止め機構は、本体フレームに対し、リールが繰り出し方向に回転するのを制動し、しかもその制動を一時的に解除可能とする機能を担い、捕獲対象の動物に応じて充分な制動強度を有したものとしなければならず、巻取索条の繰り出し方向の回転を制動し、且つ、同制動を本体フレーム外から解除操作可能な制動器がリールの他端に設けられ、逆転止め機構の制動器を外部から操作すると巻取索条の導出口からの繰り出しが可能となり、同制動器の操作を止めると巻取索条の繰り出しが不能となるものとすべきであり、後述する実施例にも示すように、リールの他端には逆転止め機構の一部をなす逆転止めギアが、各逆止め歯を遠心方向に向けて一体化され、該逆転止めギアの各逆止め歯の遠心方向の何れかに対峙する本体フレーム内には、該逆転止めギアの対峙した何れか少なくとも一対の逆止め歯間の谷に噛合する制動爪、および、同制動爪を求心方向に弾発力をもって押圧する押圧源が内装され、該押圧源の弾発力に抗して当該制動爪を遠心方向に引き操作可能とする解除摘まみが、当該制動爪と一体化されると共に、該解除摘まみが、当該本体フレームの外に露出するよう配されてなり、該制動爪、該解除摘まみおよび該押圧源からなり当該逆転止め機構の他部をなす制動器が設けられたものとすることができる。
【0025】
また、逆転止め機構は、後述する実施例にも示しているように、押圧源の弾発力に抗して遠心方向に引き操作された場合の制動器の解除摘まみと本体フレームとの隙間に一致し且つ挿脱自在な形状に設定されたスペーサー、および、該スベーサーに一体化された把持片を有する解除ブロックが付属され、該解除ブロックが装着されている間に渡り解除摘まみの遠心方向への引き操作位置を維持可能とされたものとすることができる。
【0026】
無線ユニットは、狩猟用の捕獲具が仕掛けられると検知を開始し、その検知の待機状態を維持し、該捕獲具が獲物を捕らえると、罠師に対し遠隔的に捕獲を報知し、さらに、罠師が該捕獲具が捕らえた動物を収獲し、再度該捕獲具を仕掛けなおすと、捕獲の検知を待機する状態にリセットされるという機能を分担し、捕獲具の捕獲獣による牽引を感知するセンサー、外部機器と無線通信する無線機、および、当該センサーからの信号を受信し、該無線機を通じて無線通信する制御部とを有するものとすべきであり、より具体的には、後述する実施例にも示すように、逆転止め機構の制動爪に対峙する本体フレーム内に有って、同制動爪の逆転止めギアを乗り越える際の進退運動をカウント、および、一定時間以上引き操作されたのを検知可能なセンサーとしてのカウンター、該カウンターからの出力信号を待機し、同カウンターが1回以上の進退運動をカウントした場合に捕獲信号を発生し、一定時間以上引き操作されたのを検知した場合にカウンターからの出力信号の待機状態に復帰するよう制御する制御部、該制御部が発生した捕獲信号を外部に送信する無線機、および、当該カウンター、制御部、無線機に電力を供給するバッテリーを有してなるものとするのが良い。
【0027】
狩猟用の捕獲具に対し組み込まれた、この発明の基本をなす巻き戻し装置は、当該捕獲具に捕らえられた獲物が、暴れて巻取索条に牽引力が加わっている間は、同巻取索条の繰り出しを規制し、獲物の牽引力が抜けたときに、同巻取索条を巻き取るよう動作する機能を分担し、狩猟用の捕獲具と、固定物との間に、この発明の基本をなす巻き戻し装置が組み込まれたものとすべきであり、より具体的には、例えば、地上ないし地中に設置された踏み板箱と組み合わされた狩猟用の捕獲具としてのくくり機構部に対し、本体フレームの連結部が連結され、樹木などの固定物に基端を繋着されたリールの先端に対し、当該本体フレームから繰り出された巻取索条の先端が連結されてなるものとすることが可能ではある。しかしながら、こうした接続は、巻取索条を巻き戻す際に巻き戻し装置それ自体の重量も引きずることとなり、あまり望ましいものとは云えず、後述する実施例にも示すように、地上ないし地中に設置された踏み板箱と組み合わされた狩猟用の捕獲具としてのくくり機構部に対し、本体フレームから繰り出された巻取索条の先端が連結され、樹木や杭などの固定物に基端を繋着されたリールの先端に対し、当該本体フレームの連結部が連結されてなるものとするのが良い。
【0028】
狩猟用の捕獲具は、動物を捕獲する機能を分担し、より具体的には、動物の体の一部をくくったり、挟んだり、刺したり、包み込んだりするなどして動物を捕獲する機能を担い、さらに具体的には、既存のくくり罠のくくり機構部や、トラバサミの挟み機構部、銛、矢または網などであると云うことができ、それら既存の捕獲具の外、今後新たに開発される捕獲具とすることも可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面は、この発明の巻き戻し装置、およびそれが組み込まれた狩猟罠の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
図1】この発明の巻き戻し装置が組み込まれた狩猟罠としてのくくり罠を示す平面図である。
図2】この発明の巻き戻し装置が組み込まれたくくり罠がイノシシを捕獲した状態を示す正面図である。
図3】この発明の基本をなす巻き戻し装置を断面化して示す正面図である。
図4】この発明の基本をなす巻き戻し装置を示す平面図である。
図5】この発明の基本をなす巻き戻し装置を示す正面図である。
図6図3のA-A断面を示す平面図である。
図7図3のB-B断面を示す平面図である。
図8図3の制動器が引き操作された状態を断面化して示す正面図である。
図9図8のA-A断面を示す平面図である。
図10】制動中の逆転止め機構および無線ユニットを示す要部の断面図である。
図11】制動が解除された逆転止め機構および無線ユニットを示す要部の断面図である。
図12】無線ユニットの制御を示すフローチャートである。
図13】固定物への直接連結部が設けられた巻き戻し装置を示す平面図である。
図14図13のくくり罠がイノシシを捕獲した状態を示す平面図である。
【実施例0030】
図1ないし図12に示す事例は、狩猟用の捕獲具2に連結される巻取索条73を巻き取るリール7が本体フレーム6内に回転自在に支持され、該リール7の一端には、巻取索条73を巻き取る巻き戻し力源8が設けられ、同リール7の他端には巻取索条73の繰り出し方向FOの回転を制動し、且つ、同制動を本体フレーム6外から解除操作可能な制動器92を有する逆転止め機構9が設けられ、該リール7の遠心方向の1つに対応する本体フレーム6には当該巻取索条73を導出する導出口67が開口され、該リール7の遠心方向の別の1つに対応する本体フレーム6の外壁には固定物TRへの連結部68が設けられたものとされた、この発明の基本をなす巻き戻し装置における代表的な一実施例を示すものである。
以下に、この発明の基本をなす巻き戻し装置5について示し、後述する(実施例1の作用・効果)に、巻き戻し装置5が組み込まれたくくり罠1について示すこととする。
【0031】
それら図3ないし図11の各図からも明確に把握できるとおり、この発明の基本をなす巻き戻し装置5は、その本体フレーム6が、中心に軸受66を有する底壁61を有し、開口縁62が縮径段差縁62とされた短円筒形の下フレーム60と、中心に軸受66を有する天壁64を有し、開口縁65が当該縮径段差縁62に嵌合する拡径段差縁65とされた短円筒形の上フレーム63とからなり、図3に示すように、当該本体フレーム6内には、円筒上の胴部70の両端に円板状の鍔71,71が配され、その中心に軸72が縦貫状に一体化されたリール7が、同軸72の両端を夫々対応する当該上・下フレーム60,63の軸受66,66の間に回転自在に支持され、図3および図7に示すように、当該下フレーム60の底壁61と、リール7の鍔71との間には、渦巻き形状の遠心端が下フレーム60の内周壁から求心方向に突設され、底壁61に一体化されたバネ止めブロックSBに遠心端が結合された巻き戻し力源8としての渦巻バネ8の求心端が、当該底壁61と鍔71との間に位置する当該軸72の周壁に結合され、当該リール7が、巻取索条73の繰り出し方向に回転された場合に、該渦巻バネ8に巻き取り力が蓄積され、該巻取索条73の繰り出し力が無くなると、該蓄積された巻き取り力が当該リール7を巻き取り方向に回転駆動し、例えば3ないし20mより具体的には5ないし10mの長さの巻取索条73の先端が外部に僅かに露出する状態まで略全長を巻き取り、および、該巻き取り力に抗して略全長(3ないし20mより具体的には5ないし10mの長さ)を繰り出し可能となるよう弾性的に付勢するものとなっている。
【0032】
図3および図6に示すように、当該上フレーム63の天壁64に対峙するリール7の鍔71には、同鍔71と、それに対峙する上フレーム63の天壁64との間に配され、該鍔71の天壁64と対峙する側壁に対し、同鍔71の遠心方向に向けられた各歯先が同鍔71の外周縁に一致するか、または、同鍔71の外周縁の僅かに内がわとなる位置に配され、当該リール7の巻き取り方向の歯面が緩やかな勾配に設定され、同リール7の繰り出し方向の歯面がリール7の遠心方向に平行か、または、歯元に近づくほどリール7の巻き取り方向に抉れた歯面とされたかの何れか一方の形状とされた複数枚の逆止め歯91,91,……が、同鍔71の外周囲に沿って配されてなり、逆転止め機構9の一部をなす逆転止めギア90が一体化されている。
【0033】
さらに、該逆転止めギア90の各逆止め歯91,91,……の遠心方向の何れか一箇所に対峙する本体フレーム6の肉厚方向の内外に貫く有天小筒形とされ、同有天小筒形の小天壁の中央に貫通孔94が穿設された案内筒部93が設けられ、該案内筒部93の内端がわに、当該逆転止めギア90の何れか対峙する一対の逆止め歯91,91間の歯底となる谷に噛合する制動爪95が、当該逆転止めギア90の求心方向に進退自在に案内されるよう摺動自在に挿着され、同制動爪95の歯先とは反対がわとなる歯元から当該逆転止めギア90の遠心方向に延伸された操作棒96の周囲には、先端が同制動爪95の歯元に接し、基端が当該案内筒部93の小天壁の内壁に接するよう、当該案内筒部93内に内装された押圧源97としてのコイルバネ97が同心上に設けられ、当該操作棒96の、当該小天壁の貫通孔94を貫通し外部に露出された外端には解除摘まみ98が一体化され、当該逆転止め機構9の他部をなす制動器92が、当該案内筒部93、貫通孔94、制動爪95、操作棒96、コイルバネ97および解除摘まみ98からなるものとされている。
【0034】
そして、当該コイルバネ97が制動爪95を当該逆転止めギア90の求心方向に弾性的に付勢し、同制動爪95の歯先が何れか一対の逆止め歯91,91間の歯底の谷に噛合されるものとなり、また、図8および図9に示すように、当該コイルバネ97の付勢力に抗して当該解除摘まみ98を、当該逆転止めギア90の遠心方向(白抜き矢印方向)に引き操作すると、何れか一対の逆止め歯91,91間の歯底の谷から制動爪95が離脱されるものとなっており、また、図9に示すように、押圧源97としてのコイルバネ97の弾発力に抗して逆転止めギア90の遠心方向(白抜き矢印方向)に引き操作された場合の制動器92の解除摘まみ98と当該本体フレーム6の案内筒部93の小天壁との隙間の寸法、形状に一致し且つ挿脱自在な厚みを有する形状に設定されたスペーサーSC、および、該スペーサーSCに一体化された把持片GRを有する解除ブロックUBが付属され、該解除ブロックUBが装着されている間に渡り解除摘まみ98の当該逆転止めギア90の遠心方向(白抜き矢印方向)への引き操作位置を維持可能なものとされている。
【0035】
図3に示すように、当該リール7の胴部70には、3ないし20mより具体的には5ないし10mの長さのワイヤーロープ製の巻取索条73の基端が、止め金具および複数本のボルトによって結合され、該巻取索条73の先端がわは、当該リールの遠心方向の1つに対応する本体フレーム6の壁に開口された導出口67から外部に導出されており、当該本体フレーム6は、当該下フレーム60の縮径段差縁62と、当該上フレーム63の拡径段差縁65とが密閉状に嵌合され、接着、熔着、溶接、図示しないボルト・ナット、または、当該縮径段差縁62の外周壁に刻設された雄ネジと当該拡径段差縁65の内周壁に刻設された雌ネジとの螺合などの何れかの結合構造によって強固に一体化されたものとされ、さらにまた、該導出口67とは当該軸72を中心に180°反対がわとなる当該本体フレーム6の外壁には、U字フック68が強固に結合されたものとなっている。
【0036】
図10および図11に示すように、逆転止め機構9の制動爪95の歯元に対峙する本体フレーム6内の案内筒部93には、同制動爪95の逆転止めギア90の逆止め歯91を乗り越える際の進退運動をカウント、および、一定時間以上引き操作されたのを検知可能なカウンターCT、該カウンターCTからの出力信号を待機し、同カウンターCTが制動爪95の1回以上の進退運動をカウントした場合に捕獲信号を発生し、制動爪95が一定時間以上引き操作されたのを検知した場合に該カウンターCTからの出力信号の待機状態に復帰するよう制御する制御部CU、該制御部CUが発生した捕獲信号を外部に送信する無線機RA、および、当該カウンターCT、制御部CU、無線機RAに電力を供給するバッテリーBTを有する無線ユニットWLが設けられ、当該本体フレーム6の外に一部が露出状となった該無線ユニットWLには、該本体フレーム6(上フレーム63)に対し、外がわから蓋体LDが複数本のネジを伴って強固に被着され、該本体フレーム6(上フレーム63)と蓋体LDとの間に、該無線ユニットWLの周囲を囲む図示しない環状シール材が挟み込まれるなどして防水状態に密閉するよう施蓋されたものとすることができる。
【0037】
また、この発明の巻き戻し装置5は、その連結部68が、図1および図2に示した、リード3(ループ部31,小ループ32,シャックル33,止め金具34)のように、固定物TRと巻き戻し装置5(本体フレーム6)との間に紐状の延長部分を有するものの外に、該リード3のような延長部分を有さず、固定物TRに対し、連結部68または巻き戻し装置5(本体フレーム6)を直に連結可能な直接連結部DCが、連結部68または本体フレーム6の何れか一方に設けられたものとすることができる。
【0038】
当該直接連結部DCは、本体フレーム6に対して当該リード3のような延長部分を有さずに直接結合されたバンドおよびバックルからなり、根が確り張った木などの固定物に対して巻き付け固定できるものとすることができる。
また、図13および図14に示すように、当該直接連結部DCは、当該連結部68としてのU字フック68に対し、固定物TRとしての根が確り張った木TRなどに1回巻き、または、複数回巻きに直接巻き付け可能な長さの巻き付け用ワイヤーWBが通されており、該巻き付け用ワイヤーWBの両端には小ループSL,SLが設けられ、さらに、同小ループSL,SLがシャックル33によって着脱自在に連結されたものとすることができる。
【0039】
さらにまた、この発明の巻き戻し装置5は、巻取索条73としてのワイヤーロープ73の先端が、捕獲具2のくくり機構部2のループ部21またはトラバサミの挟み機構部などに対し直接連結されたものとすることができる。より具体的には、図13および図14に示すように、巻取索条73としてのワイヤーロープ73の先端に、サルカン(寄り戻し)27、小ループ74が設けられたものとすることができる。そして、くくり機構部(捕獲具)2は、くくり罠用ワイヤーロープ(くくり索条)20のループ部21のくくり金具TFに係合する留め金具22から延伸された(ワイヤーロープ(くくり索条20の)先端に小ループ28が設けられたものとすることができる。当該巻き戻し装置5のワイヤーロープ73の当該小ループ74と、当該くくり機構部(捕獲具)2のワイヤーロープ(くくり索条)20の先端の小ループ28とが、シャックル33によって連結されてなるくくり罠(狩猟罠)1とすることができる。
【0040】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の基本をなす巻き戻し装置5は、図1および図2に示すように、狩猟用の捕獲具としてのくくり機構部2、リード3および踏み板箱4からなる狩猟罠としてのくくり罠1に組み込まれたものとすることができ、該くくり罠1のくくり機構部2は、くくり索条20としてのくくり罠用ワイヤーロープ20の先端に留め金具22を有し、同くくり罠用ワイヤーロープ20の該留め金具22よりも基端がわがくくり金具TFの一方の1つの孔に挿し通され、同くくり罠用ワイヤーロープ20の該くくり金具TFの一方の孔よりも基端がわに、該留め金具22からイノシシ(捕獲対象の獣)WPの足周り長さに相当する長さとなる位置に締付制限金具PMが結合され、同くくり罠用ワイヤーロープ20の該締付制限金具PMよりも基端がわがくくり金具TFの他方の二つの孔に摺動自在に挿し通され、拡径および縮径を可能とされたループ部21が形成され、同くくり罠用ワイヤーロープ20のループ部21と同末端がわとの間に牽引力が加わらない状態では、当該くくり金具TFの他方の二つの孔を通じて当該ループ部21の一部(くくり罠用ワイヤーロープ20の中途部)を繰り広げ、同ループ部21を拡径および縮径操作することが可能であり、同くくり罠用ワイヤーロープ20のループ部21と同末端がわとの間に牽引力が加わった場合には、当該くくり金具TFの他方の二つの孔が当該ループ部21の拡径方向への同くくり罠用ワイヤーロープ20の中途部の通過を強固に規制し、且つ、当該ループ部21を縮径する方向へのみ同くくり罠用ワイヤーロープ20の中途部の通過を許すよう機能するものとされている。
【0041】
さらに、当該くくり金具TFの他方の二つの孔を通過されたくくり罠用ワイヤーロープ20の基端がわからは、摺動蓋23、押しバネ24および外装筒本体25が装着され、さらに、スリーブと蝶ねじからなる止め金具26が装着された上、同くくり罠用ワイヤーロープ20の末端に寄り戻しとなるサルカン27が連結されている。また、当該リード3は、リード用ワイヤーロープ30の基端に小ループ32を有し、該小ループ32に該リード用ワイヤーロープ30の先端がわが通されループ部31が形成された上、中途部にスリーブと蝶ねじからなる止め金具34が設けられ、同リード用ワイヤーロープ30の先端にはシャックル33が連結されたものとなっている。また、当該くくり罠1のくくり機構部2およびリード3に用いられる、ワイヤーロープ用の各金具、部品類は、前述のものに限定されるものではなく、同様の機能を果たす他の部品に置き換えることが可能である。
【0042】
図1ないし図9に示すように、この発明の基本をなす巻き戻し装置5は、その本体フレーム6の導出口67から繰り出された巻取索条73の先端が、くくり機構部2のくくり罠用ワイヤーロープ20のサルカン27の末端に連結され、また、当該巻き戻し装置5のU字フック68に、リード3のシャックル33が連結され、くくり罠1に組み込まれたものとされ、この発明の巻き戻し装置5が組み込まれたくくり罠1を仕掛ける際には、獣道やぬた場、足跡、掘り返し跡、立木のこすり跡などイノシシ(捕獲対象の獣)WPの存在を示す痕跡を探し、イノシシWPの通り道の地中ないし地上に踏み板箱4を敷設し、該踏み板箱4の跳ね枠40,40にくくり罠用ワイヤーロープ20のループ部21を巻き掛け、摺動蓋23と外装筒本体25との間の押しバネ24を圧縮し該外装筒本体25内に納める如く、該摺動蓋23と該外装筒本体25とを互いに脱抜容易な状態に閉じ合わせた上、止め金具26のスリーブを該外装筒本体25の末端に配して蝶ねじを緊締し、当該くくり機構部2の設置を終える。さらに、前述の如く該くくり機構部2の末端のサルカン27に巻取索条73が連結された当該巻き戻し装置5を、根が確り張った木TR寄りとなる地上に置き、該木TRの幹に、リード3のループ部31を確りと巻き付け、同リード3の先端のシャックル33を当該巻き戻し装置5のU字フック68に連結し、当該くくり罠1の設置作業を完了する。また、当該踏み板箱4は、箱型のものに限定されず、板型や筒型など何れの形状、構造のものであっても同様の機能を果たすものであれば置き換えることができる。
【0043】
図8および図9に示すように、罠師が、くくり罠1を仕掛ける際に、巻き戻し装置5の巻取索条73を本体フレーム6から繰り出す場合に、逆転止め機構9の解除摘まみ98を、コイルバネ97の付勢力に抗して同図9中の白抜き矢印方向に引き操作した上、解除ブロックUBのスペーサーSCを本体フレーム6の案内筒部93の小天壁と該解除摘まみ98との間に嵌合状に装着し、制動爪95と逆転止めギア90との噛合状態を解除した状態を維持するものとした上、渦巻バネ8の力に抗して当該巻取索条73を繰り出すよう操作することが可能となり、該解除摘まみ98を引き出した状態に維持したまま、巻取索条73を繰り出すという1人では困難な作業を、当該解除ブロックUBの装着によってより容易に行えるものとなる。そして、当該くくり罠1の仕掛けを完了した後に、該解除ブロックUBを取り外し、制動爪95が逆転止めギア90に噛合された状態に復帰させるようにすることが可能である。また、図2および図3に示す、当該渦巻バネ8の巻き戻し力は、踏み板箱4の跳ね枠40,40にセットされた当該くくり機構部2を引き外す程の牽引力はなく、同くくり機構部2がイノシシWPを捕らえ、該イノシシWPによる牽引力が抜けた際に、張力が加わらず緩んでいる分の当該巻取索条73を巻き取るに充分な牽引力を発揮するものとなっている。
【0044】
図1ないし図9に示すように、獣道を移動して来たイノシシWPが、当該くくり罠1の踏み板箱4を踏み抜くと跳ね枠40,40が跳ね上がり、外れたくくり機構部2のループ部21がイノシシWPの足に掛かり、押しバネ24の付勢力を受けた摺動蓋23が当該くくり金具TFの他方の二つの孔がわをくくり罠用ワイヤーロープ20の先端がわへ向けて瞬時に押し移動し、当該締付制限金具PMまで該ループ部21を縮径し(締め上げて)確りと該イノシシWPの足に脱抜不能な状態に捕らえることとなり、該くくり罠用ワイヤーロープ20は、その末端のサルカン27に連結された巻取索条73に繋げられているから、当該巻き戻し装置5の、渦巻バネ8の付勢力を受けたリール7が該巻取索条73を巻き取り、この巻き取り力に抗してイノシシWPが逃げようとすると、逆転止め機構9のコイルバネ97で付勢された制動爪95が、逆転止めギア90の対応する逆止め歯91,91の間の歯底となる谷に噛合し、当該リール7の繰り出し方向FOの回転を制動するものとなり、該イノシシWPは当該巻き戻し装置5から離れる方向に移動することができない。また、該イノシシWPが、当該巻き戻し装置5に近寄ると、渦巻バネ8の付勢力を受けたリール7が巻き取り方向TUに回転し、当該制動爪95は、逆止め歯91,91,……をそのなだらかな傾斜の歯面を滑り、同歯先を乗り越えながら弾性的に凸没動作を繰り返し、巻き取り方向TUの回転を許し、該巻取索条73の緩んでいる分を巻き取り、当該イノシシWPは興奮して暴れながら次第に、当該巻き戻し装置5に引き寄せられ、その行動範囲を狭められて行き、罠師が当該くくり罠1を確認しに来る頃には、自由な移動が大幅に抑制された(移動可能範囲が充分に狭められた)状態となっており、当該イノシシWPの止め刺しをより安全なものとすることができる。
【0045】
図1ないし図3および図10ないし図12に示すように、無線ユニットWLが内蔵されたこの発明の巻き戻し装置5が組み込まれたくくり罠1を仕掛けた場合には、バッテリーBTから電力の供給を受けた(a)制御部CUが、カウンターCTからの信号を待機し(b)、イノシシWPがくくり罠1に掛かり、踏み板箱4の跳ね枠40,40からくくり罠用ワイヤーロープ20が離脱すると、当該巻き戻し装置5の巻取索条73が、渦巻バネ8の付勢を受けたリール7に巻き取られ、逆転止め機構9の制動爪95が複数枚の逆止め歯91,91,91を乗り越えるのを感知したカウンターCTが、その複数回の乗り越え動作に応じた短い信号を複数回発信し(c)、この信号を受信した制御部CUは、無線機RAを介し、罠師の図示しない携帯端末などの無線機器に対し、当該巻き戻し装置5(くくり罠1)のID(identification)情報、または、GPS(Global Positioning System)情報の少なくとも何れか一方に捕獲情報を付加した情報を無線発信し(e)、遠隔的にこの情報を得た罠師は、当該くくり罠1の設置場所に遅滞なく到着することが可能となり、捕獲されたイノシシWPが長時間に渡って暴れ、くくり罠1のワイヤーロープ20が金属疲労により切れて逃亡してしまったり、止め刺しに向かった罠師に襲いかかったりするのを抑止すると共に、イノシシWP自体に不要な怪我を負わせたり、過剰な苦痛を与えたりするのを未然に防ぐことができるものとなる。
【0046】
また、罠師が、くくり罠1を設置する際に、当該巻き戻し装置5の逆転止め機構9の解除摘まみ98を一定時間以上、例えば20秒以上に亘って引き操作し、巻取索条73を繰り出し、踏み板箱4の跳ね枠40,40にくくり機構部2のループ部21を掛けた場合に、無線ユニットWLのカウンターCTは、20秒以上連続する信号を発信し、これを受信した(d)制御部CUの制御は、新たなカウンターCTからの信号を待機する状態にリセットされることとなる。
【0047】
また、図13および図14に示した、巻き戻し装置5が組み込まれたくくり罠(狩猟罠)1は、1本の根が確り張った木(固定物)TRにリード3のループ部21を巻き付けて連結し、該1本目の木(固定物)TRから5mないし20m程度離れた、別の2本目の根が確り張った木(固定物)TRに巻き戻し装置5の直接連結部DCを巻き付け連結した上、くくり機構部(捕獲具)2を仕掛ける。
【0048】
くくり機構部(捕獲具)2のループ部21にイノシシ(獣)WPが掛かると、リード3がループ部21を当該1本目の木(固定物)TRに繋ぎ止める。さらに、図14中の白抜き矢印に示すように、巻き戻し装置5がワイヤーロープ(巻取索条)73を巻き戻す。該巻き戻し装置5は、巻き付け用ワイヤーWB,小ループSL,SLおよびシャックル33によって当該2本目の木(固定物)TRに対し、直接的に固定されているから、イノシシ(獣)WPが暴れても、該巻き戻し装置5が大きく揺さぶられたり、地面や周囲に打ち付けられたりすることがなく、より耐久性に優れたものとなる。
【0049】
そして、巻き戻し装置5がワイヤーロープ(巻取索条)73を巻き戻すと、くくり罠(狩猟罠)1のくくり機構部(捕獲具)2と、巻き戻し装置5とが、図14中の2本の根が確り張った木(固定物)TR,TRに対し、同2本の木(固定物)TR,TRを結ぶ二点鎖線の仮想直線CL上に、緊張状となり、捕獲されたイノシシ(獣)WPが、該二点鎖線の仮想直線CL上に、繋ぎ止められることとなり、同イノシシ(獣)WPの移動範囲をより狭め、より安全な止め刺しを可能とする。
【0050】
さらに、1個のくくり罠(狩猟罠)1に対し、2個以上の巻き戻し装置5が、平面視T,Y,KまたはX字等の形状となるよう繋がれた場合には、3本以上の根が確り張った木(固定物)TR,TR,TR,……に囲まれた位置に、捕獲されたイノシシ(獣)WPが移動不能に繋ぎ止められることとなり、より一層、イノシシ(獣)WPの移動を抑制できるものとなる。
【0051】
(結 び)
叙述の如く、この発明の巻き戻し装置、およびそれが組み込まれた狩猟罠は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの狩猟罠技術に比較して大幅に罠猟の安全性と効率性とを格段に高め、当該巻き戻し装置の構造も簡素化、軽量化且つ低廉化してより経済的なものとすることができたから、より安全な罠猟を希望する罠師はもとより、くくり罠を含む各種の狩猟罠を製造、販売する罠猟関連業界、および、害獣の被害に苦しむ農家や一般家庭においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0052】
(狩猟罠)
1 くくり罠(狩猟罠)
2 くくり機構部(捕獲具)
20 同 くくり罠用ワイヤーロープ(くくり索条)
21 同 ループ部
22 同 留め金具
PM 同 締付制限金具
TF 同 くくり金具
23 同 摺動蓋
24 同 押しバネ
25 同 外装筒本体
26 同 止め金具(スリーブ、蝶ねじ)
27 同 サルカン(寄り戻し)、
TR 根が確り張った木(固定物)
3 リード
30 同 リード用ワイヤーロープ
31 同 ループ部
32 同 小ループ
33 同 シャックル
34 同 止め金具
4 踏み板箱
40 同 跳ね枠
(巻き戻し装置)
5 巻き戻し装置
6 本体フレーム
60 同 下フレーム
61 同 底壁
62 同 縮径段差縁(開口縁)
SB 同 バネ止めブロック
63 同 上フレーム
64 同 天壁
65 同 拡径段差縁(開口縁)
66 同 軸受
67 同 導出口
68 同 U字フック(連結部)
DC 同 直接連結部
WB 同 巻き付け用ワイヤー
SL 同 小ループ
CL 同 (固定物)TR,TRを結ぶ二点鎖線の仮想直線
7 リール
70 同 胴部
71 同 鍔
72 同 軸
73 同 ワイヤーロープ(巻取索条)
74 同 小ループ
TU 同 巻き取り方向
FO 同 繰り出し方向
8 渦巻バネ(巻き戻し力源)
9 逆転止め機構
90 同 逆転止めギア
91 同 逆止め歯
92 同 制動器
93 同 案内筒部(有天小筒形、小天壁)
94 同 貫通孔
95 同 制動爪
96 同 操作棒
97 同 コイルバネ(押圧源)
98 同 解除摘まみ
WL 無線ユニット
CU 同 制御部
RA 同 無線機
BT 同 バッテリー
CT 同 カウンター
LD 同 蓋体
UB 解除ブロック
SC 同 スペーサー
GR 同 把持片
WP 同 イノシシ(獣)
(無線ユニットの制御)
(a) 電力が投入されて起動する
(b) カウンターの信号ありか?
(c) 短い信号が複数回か?
(d) 20秒以上連続する信号か?
(e) 捕獲信号を発信する
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14